特許第6665198号(P6665198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6665198溶剤系印刷インキ用バインダー及びこれを用いた溶剤系印刷インキ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665198
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】溶剤系印刷インキ用バインダー及びこれを用いた溶剤系印刷インキ
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/102 20140101AFI20200302BHJP
   C09D 175/04 20060101ALN20200302BHJP
【FI】
   C09D11/102
   !C09D175/04
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-547722(P2017-547722)
(86)(22)【出願日】2016年10月12日
(86)【国際出願番号】JP2016080272
(87)【国際公開番号】WO2017073332
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2017年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-214051(P2015-214051)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 正考
【審査官】 緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−028159(JP,A)
【文献】 特開2015−178587(JP,A)
【文献】 特開2013−144732(JP,A)
【文献】 特開平06−346012(JP,A)
【文献】 特開平05−331399(JP,A)
【文献】 特開昭61−238816(JP,A)
【文献】 特開平09−224560(JP,A)
【文献】 特開2013−194081(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/043569(WO,A1)
【文献】 特開2015−110739(JP,A)
【文献】 特開平10−130573(JP,A)
【文献】 特開2000−296362(JP,A)
【文献】 特表2003−506505(JP,A)
【文献】 特表2011−523962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/102
C09D 175/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンウレア樹脂(U)を含む溶剤系印刷インキ用バインダーであって、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)は、2個の活性水素を有する化合物(F)にエチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシドのみからなるアルキレンオキシドをランダムに付加したランダム付加物であるポリエーテルジオール(A)、前記ポリエーテルジオール(A)以外のジオール(a)、ジアミン(B)、ジイソシアネート(C)及び反応停止剤(D)のみを構成単量体とし、
前記2個の活性水素を有する化合物(F)が水、エチレングリコール又は1,2−プロパンジオールであり、
前記ポリエーテルジオール(A)以外のジオール(a)は、前記ポリエーテルジオール(A)以外のポリエーテルジオール(a1)、ポリエステルジオール(a2)、ポリラクトンジオール(a3)、ポリカーボネートジオール(a4)及び数平均分子量が500未満のジオール(a5)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)に対するオキシエチレン基の含有量が2〜24重量%である溶剤系印刷インキ用バインダー。
【請求項2】
ポリウレタンウレア樹脂(U)を含む溶剤系印刷インキ用バインダーであって、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)は、2個の活性水素を有する化合物(F)にエチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシドのみからなるアルキレンオキシドをランダムに付加したランダム付加物であるポリエーテルジオール(A)、ジアミン(B)、ジイソシアネート(C)及び反応停止剤(D)のみを構成単量体とし、
前記2個の活性水素を有する化合物(F)が水、エチレングリコール又は1,2−プロパンジオールであり、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)に対するオキシエチレン基の含有量が2〜24重量%である溶剤系印刷インキ用バインダー。
【請求項3】
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)に対する前記オキシエチレン基の含有量が5〜18重量%である請求項1又は2に記載の溶剤系印刷インキ用バインダー。
【請求項4】
前記ポリエーテルジオール(a1)、ポリエステルジオール(a2)、ポリラクトンジオール(a3)及びポリカーボネートジオール(a4)が分岐アルキル基を有する請求項1又は3に記載の溶剤系印刷インキ用バインダー。
【請求項5】
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基濃度とウレア基濃度との合計値が、0.8〜2.0mmol/gである請求項1〜のいずれか1項に記載の溶剤系印刷インキ用バインダー。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の溶剤系印刷インキ用バインダー、顔料、及び溶剤を含有する溶剤系印刷インキ。
【請求項7】
前記溶剤がアルコールを含有する請求項に記載の溶剤系印刷インキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶剤系印刷インキ用バインダー及び溶剤系印刷インキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタン樹脂をバインダーとする印刷インキはポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対しては単独で優れた接着力を有するが、汎用フィルムであるポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムに対しては充分な接着力がなく、また、塩素化ポリオレフィンをバインダーとした印刷インキはポリオレフィンフィルムに対しては良好な接着力を示すが、ポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対しては充分な接着力がないため基材フィルムが制限されるという問題がある。各種プラスチックフィルムに汎用的に使用する目的で、ポリウレタン樹脂と塩素化ポリオレフィンとを混合して使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、近年、環境問題への取り組みが重視されるようになり、使用済み品の廃棄処理において、有害物質の発生を抑制することが強く望まれており、塩素化ポリオレフィンは、塩素を含んでいるため、焼却時に有害物質が発生し、環境を汚染する恐れがあると言う問題があった。
【0004】
また、プラスチックフィルム用の印刷インキの溶剤として、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)及び酢酸エチル等の溶剤が混合使用されてきた。しかしながら、労働安全衛生法の改正でトルエンの環境濃度規制が強化され、トルエンを含まない溶剤系の印刷インキの需要が大きくなり、更に近年では、より環境に適応したアルコール溶剤系の印刷インキの要望が増えてきている。トルエンを使用せずMEK及び酢酸エチル等の溶剤だけを使用して、ポリプロピレングリコールを含有したポリウレタン樹脂が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、インキの再溶解性が不十分で印刷時に版詰まりが起き、また、水分が多く混入するアルコールを用いたインキでは安定性が悪化したり、耐ボイル性が悪化する等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−251594号公報
【特許文献2】特開2005−298618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、各種プラスチックフィルムに使用できる汎用性に優れ、溶剤への再溶解性に優れており印刷時の版詰まりが非常に少なく、水分が混入した場合でもインキ安定性に優れ、かつ耐ボイル性にも優れる溶剤系印刷インキ用バインダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、ポリウレタンウレア樹脂(U)を含む溶剤系印刷インキ用バインダーであって、上記ポリウレタンウレア樹脂(U)は、2個の活性水素を有する化合物(F)にエチレンオキシドと1,2−プロピレンオキシドとを含有するアルキレンオキシドを付加した付加物であるポリエーテルジオール(A)、ジアミン(B)及びジイソシアネート(C)を必須構成単量体とし、上記ポリウレタンウレア樹脂(U)に対するオキシエチレン基の含有量が2〜24重量%である溶剤系印刷インキ用バインダー;該溶剤系印刷インキ用バインダー、顔料、及び溶剤を含有する溶剤系印刷インキである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーは、各種プラスチックフィルムに使用できる汎用性に優れ、溶剤への再溶解性に優れており印刷時の版詰まりが非常に少なく、水分が混入した場合でもインキの安定性に優れ、かつ耐ボイル性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーは、2個の活性水素を有する化合物(F)にエチレンオキシド(以下EOと略記)と1,2−プロピレンオキシド(以下POと略記)を含有するアルキレンオキシド(以下、AOと略記)を付加した付加物であるポリエーテルジオール(A)、ジアミン(B)及びジイソシアネート(C)を必須構成単量体とするポリウレタンウレア樹脂(U)を含む。
【0010】
ポリエーテルジオール(A)の2個の活性水素を有する化合物(F)としては、水;炭素数2〜8の脂肪族2価アルコール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等)、分岐アルキル鎖を有するジオール(1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール等)等];炭素数6〜10の脂環基含有2価アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香環含有2価アルコール[m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)、ジヒドロキシナフタレン]、及び炭素数1〜12のモノアルキルアミン[モノメチルアミン、モノエチルアミン及びモノブチルアミン等]等が挙げられる。
【0011】
2個の活性水素を有する化合物(F)に付加されたAOはEOとPOとを含有する。
2個の活性水素を有する化合物(F)に付加されたAOには、EO及びPO以外に、1,3−プロピレンオキシド、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、スチレンオキシド及びα−オレフィンオキシド等の他のAOが含まれていても良い。これらの他のAOの含有量は、EO及びPOの合計重量に対して30重量%以下であることが好ましい。
EOとPOの重量比率は、好ましくはEO/PO=10/90〜90/10であり、更に好ましくは20/80〜75/25であり、より好ましくは30/70〜80/20である。
EO及びPOの付加形式は、ランダムとブロックがあり、耐ボイル性の観点からランダムが好ましい。
【0012】
ランダムとブロックの区別は、共重合付加物がEOとPOである場合に、C−NMR測定によって判断することができる。EOに由来するすべてのピーク(60.0〜62.0、68.0〜68.8、70.0〜71.0ppm)の積分値(X)の内、POの2級炭素に隣接するEOに由来するピーク(68.0〜68.8ppm)の積分値(Y)の割合を(Z)とすると、(Z)=(Y)/(X)×100で計算できるが、(Z)が大きい方がランダム共重合の割合が高いと言える。
例えば、EO/POの付加モルの比率が50/50で共重合付加物の数平均分子量が4,000の場合、POの2級炭素に隣接するEOに由来するピークの積分値の割合(Z)は、ランダム共重合では20〜50、ブロック共重合では1〜5である。EO/POの付加モルの比率が80/20で共重合付加物の数平均分子量が4,000の場合、POの2級炭素に隣接するEOに由来するピークの積分値の割合(Z)は、ランダム共重合では7〜15であり、ブロック共重合では0.5〜3である。
【0013】
ポリエーテルジオール(A)としては、再溶解性の観点から、水にEO及びPOのみを付加した付加物、1,2−プロパンジオールにEO及びPOのみを付加した付加物、又はエチレングリコールにEO及びPOのみを付加した付加物が好ましい。
【0014】
ポリウレタンウレア樹脂(U)は、さらに構成単量体として、上記ポリエーテルジオール(A)以外のポリエーテルジオール(a1)、ポリエステルジオール(a2)、ポリラクトンジオール(a3)及びポリカーボネートジオール(a4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール(a)を含有することが再溶解性および密着性の観点から好ましい。ジオール(a)の数平均分子量は500以上であることが好ましい。ジオール(a)の中では、再溶解性および密着性の観点からポリエーテルジオール(a1)又はポリエステルジオール(a2)がさらに好ましい。
また、ジオール(a)は、再溶解性の観点から分岐アルキル基を有することが好ましい。
【0015】
ポリエーテルジオール(A)及びジオール(a)の数平均分子量(以下、Mnと略記)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
Mnの測定条件は以下の通りである。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μL
流量:0.6mL/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0016】
ポリエーテルジオール(A)及びジオール(a)のMnは、接着性及び溶解性の観点から、好ましくは500〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜4,000である。
【0017】
ポリエーテルジオール(a1)としては、下記に示すMnが500未満のジオール(a5)及びモノアルキルアミンへの炭素数2〜12のAO付加物が挙げられる。炭素数2〜12のAOとしては、EO、PO、1,3−プロピレンオキシド、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、スチレンオキシド及びα−オレフィンオキシド等が挙げられる。これらの炭素数2〜12のAOは、1種類がモノアルキルアミンに付加されていてもよく、複数種類がモノアルキルアミンに付加されていてもよい。
なお、ポリエーテルジオール(a1)には、ポリエーテルジオール(A)は含まれない。
【0018】
Mnが500未満のジオール(a5)としては、炭素数2〜8の脂肪族2価アルコール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等)、分岐アルキル鎖を有するジオール(1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール等)等];炭素数6〜10の脂環基含有2価アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香環含有2価アルコール[m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)の炭素数2〜12のAO付加物、ジヒドロキシナフタレンのAO付加物及びビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート等];等が挙げられる。
【0019】
ポリエーテルジオール(a1)の内で、再溶解性の観点から好ましいのは分岐アルキル鎖を有するものである。即ち原料としてMnが500未満のジオールの内の分岐アルキル鎖を有するジオールを用いたものやAO付加物におけるAOとしてPO、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキシド及び3−メチルテトラヒドロフラン等を用いたもの等である。更に好ましいのは分岐アルキル鎖を有する脂肪族2価アルコールの上記AOが付加したAO付加物であり、特に好ましいのはポリオキシプロピレングリコールである。
【0020】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーに含まれるポリウレタンウレア樹脂(U)は、構成単量体として1種類のポリエーテルジオール(a1)を含んでいてもよく、複数種類のポリエーテルジオール(a1)を含んでいてもよい。
【0021】
ポリエステルジオール(a2)としては、Mnが500未満のジオール(a5)とジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級(炭素数1〜4)アルキルエステル及び酸ハライド等]との縮合により得られるもの等が挙げられる。
【0022】
ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2〜15の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸及びフマル酸等)、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸及びイソフタル酸等)及びこれらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル及びジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]等が挙げられる。ジカルボン酸は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
ポリエステルジオール(a2)の具体例としては、例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
【0024】
ポリエステルジオール(a2)の内で、再溶解性の観点から好ましいのは分岐アルキル鎖を有するポリエステルジオール、特に好ましいのはポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール及びポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、最も好ましいのはポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオールである。
【0025】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーに含まれるポリウレタンウレア樹脂(U)は、構成単量体として1種類のポリエステルジオール(a2)を含んでいてもよく、複数種類のポリエステルジオール(a2)を含んでいてもよい。
【0026】
ポリラクトンジオール(a3)としては、Mnが500未満のジオール(a5)を開始剤としてラクトンモノマー(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の混合物等)を開環重合したもの等が挙げられる。ポリラクトンジオールの具体例としては、ポリブチロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0027】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーに含まれるポリウレタンウレア樹脂(U)は、構成単量体として1種類のポリラクトンジオール(a3)を含んでいてもよく、複数種類のポリラクトンジオール(a3)を含んでいてもよい。
【0028】
ポリカーボネートジオール(a4)としては、Mnが500未満のジオール(a5)と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0029】
ポリカーボネートジオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
【0030】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーに含まれるポリウレタンウレア樹脂(U)は、構成単量体として1種類のポリカーボネートジオール(a4)を含んでいてもよく、複数種類のポリカーボネートジオール(a4)を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーにおいて、ジオール(a)の含有量の合計はポリウレタンウレア樹脂(U)の重量に対して好ましくは0〜90重量%であり、より好ましくは5〜80重量%である。
【0032】
ポリウレタンウレア樹脂(U)は、構成単量体として、ポリエーテルジオール(A)以外に、上記に記載した、Mnが500未満のジオール(a5)を含んでいてもよい。
ポリウレタンウレア樹脂(U)を製造する際に、Mnが500未満のジオール(a5)を用いることにより、ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基濃度やウレア基濃度を調整することができる。Mnが500未満のジオール(a5)の含有量はポリウレタンウレア樹脂(U)の重量に対して好ましくは0〜3重量%であり、より好ましくは0.001〜3重量%である。
【0033】
ジアミン(B)としては、炭素数2〜12のジアミン、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。ジアミン(B)は1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0034】
炭素数2〜12のジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン等が挙げられる。
これらの中では、再溶解性の観点から好ましいのはイソホロンジアミンである。
【0035】
また、ポリウレタンウレア樹脂(U)にMnが500未満のジオール(a5)が含まれる場合、すなわち、ジアミン(B)とMnが500未満のジオール(a5)とが併用される場合、Mnが500未満のジオール(a5)としては、再溶解性及び耐溶剤性の観点から好ましいのは1,4−ブタンジオールである。
【0036】
ジイソシアネート(C)としては、炭素数4〜22の脂肪族ジイソシアネート(C1)、炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネート(C2)、炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネート(C3)及び炭素数10〜18の芳香脂肪族ジイソシアネート(C4)等が挙げられる。
【0037】
炭素数4〜22の脂肪族ジイソシアネート(C1)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート及びビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート等が挙げられる。
【0038】
炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネート(C2)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0039】
炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネート(C3)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリアリールジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
【0040】
炭素数10〜18の芳香脂肪族ジイソシアネート(C4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0041】
これらの内でジイソシアネート(C)として好ましいのは、接着性の観点から炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネート(C2)であり、更にポリウレタンウレア樹脂(U)の再溶解性の観点から好ましいのはIPDIである。
ジイソシアネート(C)は、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0042】
ポリウレタンウレア樹脂(U)を得るに当たっては、ポリエーテルジオール(A)、ジアミン(B)及びジイソシアネート(C)の必須成分に加えて、ポリウレタンウレア樹脂の分子量を調整する目的で反応停止剤(D)を使用することができる。
【0043】
反応停止剤(D)としては、炭素数1〜10のモノアルコール(メタノール、プロパノール、ブタノール及び2−エチルヘキサノール等)及び炭素数2〜8のモノアミン[炭素数2〜8のモノ又はジアルキルアミン(n−ブチルアミン及びジ−n−ブチルアミン等)、炭素数2〜6のモノ又はジアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びプロパノールアミン等)]等が挙げられる。これらの内で好ましいのは炭素数2〜6のモノ又はジアルカノールアミンである。反応停止剤(D)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0044】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダー中のオキシエチレン基の含有量は、ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量に対して2〜24重量%である。オキシエチレン基の含有量が2重量%未満であるとインキ安定性が悪化し、24重量%を超えると耐ボイル性が不良となる。オキシエチレン基の含有量は好ましくは3〜22重量%であり、より好ましくは4〜20重量%であり、さらに好ましくは5〜18重量%であり、よりさらに好ましくは10〜16重量部である。
特に、オキシエチレン基の含有量がポリウレタンウレア樹脂(U)の重量に対して5〜18重量%であると、インキ安定性と耐ボイル性の両方をより良くすることができる。
ポリウレタンウレア樹脂(U)中のオキシエチレン基の含有量は、H−NMRによって定量することができる。H−NMRを測定して、化学シフト3.5ppm付近のオキシエチレン基由来の積分量とその他構成成分由来の水素の積分量の比率からオキシエチレン基含有量を算出する。
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダー中のオキシエチレン基は、ポリウレタンウレア樹脂(U)の構成単量体であるポリエーテルジオール(A)、及びポリエーテルジオール(a1)、ポリエステルジオール(a2)、ポリラクトンジオール(a3)及びポリカーボネートジオール(a4)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール(a)、Mnが500未満のジオール(a5)から由来するものであるが、他の化合物由来であってもよい。
【0045】
ポリウレタンウレア樹脂(U)は、ポリエーテルジオール(A)、ジアミン(B)及びジイソシアネート(C)を構成単量体とするが、その比率は重量比で好ましくは(A):(B):(C)=100:0.1〜20:5〜40であり、より好ましくは100:1〜10:15〜25である。
反応停止剤(D)の含有量はポリウレタン樹脂(U)の重量に対して好ましくは0.01〜1.0重量%であり、より好ましくは0.1〜0.6重量%である。
【0046】
ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基[−NHCOO−]濃度とウレア基[−NHCONH−]濃度の合計値は、再溶解性と接着性の観点から、好ましくは0.8〜2.0mmol/gであり、より好ましくは0.9〜1.9mmol/gであり、さらに好ましくは1.1〜1.9mmol/gである。
ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基[−NHCOO−]濃度とウレア基[−NHCONH−]濃度の合計値は、窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によって定量される窒素原子含有量とH−NMRによって定量することができる。H−NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224−323(1975)」に記載の方法で行う。即ちH−NMRを測定して、脂肪族を使用した場合、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、当該重量比と上記の窒素原子含有量からウレタン基濃度及びウレア基濃度を算出する。芳香族イソシアネートを使用した場合、化学シフト8ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト9ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を算出し、当該重量比と上記の窒素原子含量からウレタン基濃度及びウレア基濃度を算出する。
【0047】
ポリウレタンウレア樹脂(U)は、再溶解性の観点から、その構成単量体として、3〜4官能の多価アルコール、3〜4官能のポリイソシアネート、及びジヒドロキシカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(E)を極少量以下含有してもよい。また、ポリウレタンウレア樹脂(U)は、3〜4官能の多価アルコール、3〜4官能のポリイソシアネート、及びジヒドロキシカルボン酸のいずれも含有していなくてもよい。
ポリウレタンウレア樹脂(U)に化合物(E)が含まれる場合、化合物(E)の含有量としてはウレタン樹脂(U)の重量に対して0.4重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましく、0.0001〜0.1重量%であることがさらに好ましい。
ポリウレタンウレア樹脂(U)が、3〜4官能の多価アルコールを含む場合、3〜4官能の多価アルコールとしては、トリメチロールプロパンであることが好ましい。
ポリウレタンウレア樹脂(U)が、ジヒドロキシカルボン酸を含む場合、ジヒドロキシカルボン酸としては、ジメチロールプロピオン酸であることが好ましい。
【0048】
ポリウレタンウレア樹脂(U)を製造する方法は特に制限されず、ポリエーテルジオール(A)及び、ジアミン(B)、ジイソシアネート(C)及び必要により反応停止剤(D)を一度に反応させるワンショット法又は段階的に反応させる多段法[例えばポリエーテルジオール(A)とジイソシアネート(C)を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを形成した後、ジアミン(B)及び必要により反応停止剤(D)を加えて更に反応させて製造する方法等]のいずれの方法でもよいが、接着性の観点からはイソシアネート基末端プレポリマーを形成した後、ジアミン(B)として炭素数2〜12のジアミンをプレポリマーが有するイソシアネート基の当量に対してアミンが有するアミノ基の合計値が過剰となるように用いてポリウレタンウレア分子鎖の末端にアミノ基を導入する方法が好ましい。
【0049】
ポリウレタンウレア樹脂(U)の製造に当たって、ジイソシアネート(C)のイソシアネート基と、ポリエーテルジオール(A)、ジアミン(B)及び必要により使用する反応停止剤(D)の活性水素含有基の当量比(イソシアネート基:活性水素含有基)は、好ましくは0.7:1〜0.99:1であり、より好ましくは0.8:1〜0.98:1である。
【0050】
ポリエーテルジオール(A)とジイソシアネート(C)の反応温度は好ましくは20〜140℃であり、より好ましくは40〜120℃である。但し、ジアミン(B)を反応させる場合の反応温度は好ましくは100℃以下であり、より好ましくは0〜80℃である。
【0051】
前記反応に際しては、反応を促進させるため、必要によりウレタン反応において使用される触媒[アミン触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン及びトリエチレンジアミン等)、錫系触媒(ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート及びオクチル酸錫等)及びチタン系触媒(テトラブチルチタネート等)]等を使用してもよい。触媒の使用量はポリウレタンウレア樹脂(U)の構成単量体となる化合物の総重量に対して0.1重量%以下であることが好ましく、0.001〜0.1重量%であることがより好ましい。
【0052】
また、前記反応は有機溶剤中で行ってもよく、有機溶剤を反応途中又は反応後に加えてもよい。有機溶剤としては、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びエチルセロソルブアセテート等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素系溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン及びシクロヘキサン等)及びアルコール系溶剤(エタノール、メタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等)等が挙げられる。
【0053】
これらの内、ポリウレタンウレア樹脂(U)の再溶解性の観点から好ましいのは、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n−プロピルアルコール及びイソプロピルアルコールであり、更に好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びイソプロピルアルコールである。
有機溶剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
本発明におけるポリウレタンウレア樹脂(U)の重量平均分子量(以下、Mwと略記)は、ポリウレタンウレア樹脂(U)の樹脂物性、再溶解性及び耐溶剤性の観点から好ましくは50,000〜200,000であり、より好ましくは100,000〜150,000である。
【0055】
本発明におけるMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」(1本)、「TSKgel α−M」(1本)[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μL
流量:1mL/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
【0056】
上記ポリウレタンウレア樹脂(U)からなる本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーは、ハンドリング性等の観点から、ポリウレタンウレア樹脂(U)を前述の有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)として用いることが好ましい。ポリウレタンウレア樹脂(U)の有機溶剤溶液の樹脂濃度はハンドリング性等の観点から好ましくは10〜60重量%であり、より好ましくは20〜50重量%である。また、ポリウレタンウレア樹脂(U)の有機溶剤溶液の20℃での粘度は、同様の観点から好ましくは50〜100,000mPa・sであり、より好ましくは100〜10,000mPa・sである。
【0057】
本発明の溶剤系印刷インキは、本発明の溶剤系印刷インキ用バインダー、顔料及び溶剤を必須成分としてなる。顔料としては特に制限はなく、通常の溶剤系印刷インキに用いられる無機顔料及び有機顔料等が使用できる。
溶剤としては前記反応に使用する有機溶剤が使用でき、ポリウレタンウレア樹脂(U)の再溶解性の観点から好ましいのは、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n−プロピルアルコール及びイソプロピルアルコールであり、更に好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びイソプロピルアルコールである。特に好ましいのは、アルコールを含有する混合溶剤であり、例えば、酢酸エチルとイソプロピルアルコールの混合溶剤、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールの混合溶剤等が挙げられる。
【0058】
また、必要により溶剤系印刷インキに通常使用される他の樹脂類及び顔料分散剤等の添加剤を配合することもできる。他の樹脂類及び添加剤は、それぞれ1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
他の樹脂類としては、例えばポリアミド樹脂、ニトロセルロース、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレンマレイン酸共重合系樹脂、エポキシ樹脂及びロジン系樹脂等が挙げられる。これら他の樹脂類の添加量は溶剤系印刷インキ中、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。また、0.5重量%以上であることが好ましい。
【0060】
本発明の溶剤系印刷インキの製造方法は特に制限はなく、公知の方法等、例えば三本ロール、ボールミル及びサンドグラインダーミル等の通常のインキ製造装置を用いて溶剤系印刷インキを製造できる。
【0061】
本発明の溶剤系印刷インキの配合処方の一例を示せば下記の通りである。
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダー(樹脂固形分の量):5〜40重量%(好ましくは10〜30重量%)
顔料:5〜40重量%(好ましくは10〜30重量%)
他の樹脂類:0〜30重量%(好ましくは0〜20重量%)
溶剤:30〜80重量%(好ましくは40〜70重量%)
【0062】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーを用いてなる溶剤系印刷インキは、一液型印刷インキとして使用してもよいが、例えばポリイソシアネート系硬化剤と併用して二液型印刷インキとして使用することもできる。この場合のポリイソシアネート系硬化剤としては、例えばトリメチロールプロパン1モルと、1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、トリレンジイオシアネート又はIPDI3モルとからのアダクト体;1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート又はIPDIのイソシアネート基の環状三量化によって合成されるイソシアヌレート基含有の三量体;水1モルと1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート3モルとから誘導される部分ビュレット反応物及びこれらの2種以上の混合物が好適である。二液型印刷インキとして使用する場合、ポリイソシアネート系硬化剤の使用量は、本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーの重量に基づいて好ましくは0.5〜10重量%である。
【0063】
本発明の溶剤系印刷インキを用いた印刷方法としては、プラスチックフィルムの印刷に使用される特殊グラビア印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷及び感熱転写印刷等の印刷方法が挙げられる。
【0064】
本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーは、ポリエステル、ナイロン及びポリオレフィン等の各種プラスチックフィルムに対して優れた接着性を有し、各種プラスチックフィルム用の溶剤系印刷インキ用バインダーとして汎用的に使用できる。
また、本発明の溶剤系印刷インキは、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、表面処理又は無処理ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、アセテートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びこれらのフィルムにアルミ蒸着を施したフィルム等の各種プラスチックフィルムの印刷に好適に用いることができる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下において「部」は重量部を示す。
【0066】
製造例1
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,2−プロパンジオール57.9部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、撹拌下にEO2380.3部とPO540.8部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A−1)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A−1)は1,2−プロパンジオールのEO/POランダム付加物でEO/POの重量比が80/20、Mn=4000であった。
【0067】
製造例2
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,2−プロパンジオール50.6部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、撹拌下にEO1651.2部とPO1297.2部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A−2)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A−2)は1,2−プロパンジオールのEO/POランダム付加物でEO/POの重量比が55/45、Mn=4900であった。
【0068】
製造例3
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,2−プロパンジオール87.8部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、撹拌下にEO898.7部とPO2012.5部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A−3)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A−3)は1,2−プロパンジオールのEO/POランダム付加物でEO/POの重量比が30/70、Mn=2000であった。
【0069】
製造例4
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,4−ブタンジオール214.3部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、撹拌下にEO1202.5部とPO1582.1部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A−4)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A−4)は1,4−ブタンジオールのEO/POランダム付加物でEO/POの重量比が50/50、Mn=2000であった。
【0070】
製造例5
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器にビスフェノールAのPO付加物である「ニューポールBP−3P」(三洋化成工業社製)931.3部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、撹拌下にEO1110.3部とPO1460.8部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A−5)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A−5)はビスフェノールAのEO/POランダム付加物でEO/POの重量比が50/50、Mn=2000であった。
【0071】
製造例6
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,2−プロパンジオール57.9部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、PO540.8部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。次に、攪拌下にEO2380.3部を反応温度が120〜130℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A’−1)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A’−1)は1,2−プロパンジオールのEO/POブロック付加物でEO/POの重量比が80/20、Mn=4000であった。
【0072】
製造例7
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,2−プロパンジオール50.6部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、PO1297.2部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。次に、攪拌下にEO1651.2部を反応温度が120〜130℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A’−2)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A’−2)は1,2−プロパンジオールのEO/POブロック付加物でEO/POの重量比が55/45、Mn=4900であった。
【0073】
製造例8
攪拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に1,2−プロパンジオール87.8部と水酸化カリウム1.0部を仕込んだ後、PO2012.5部を反応温度が100〜110℃となるように制御しながら連続的に投入した。次に、攪拌下にEO898.7部を反応温度が120〜130℃となるように制御しながら連続的に投入した。得られた触媒を含む粗ポリエーテルポリオールに、水60.0部とアルカリ吸着剤「キョーワード600」(協和化学工業社製)60.0部を加え、吸着処理、ろ過、乾燥することにより精製し、更に6−メチルヘプチル=3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート(BASFジャパン社製「イルガノックス1135」)を0.9部加え、攪拌溶解してポリエーテルジオール(A’−3)3000部を得た。ポリエーテルジオール(A’−3)は1,2−プロパンジオールのEO/POブロック付加物でEO/POの重量比が30/70、Mn=2000であった。
【0074】
実施例1
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)50部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)150部、1,4−ブタンジオール(a5)0.95部、及びIPDI(C−1)37.49部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.42重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル390部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール195部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)11.59部及びモノエタノールアミン(D−1)0.52部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−1)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−1)のMwは83,000であった。
【0075】
実施例2
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)6部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)181部、1,4−ブタンジオール(a5)0.11部、及びIPDI(C−1)41.79部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量3.36重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル380部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール191部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)15.50部及びモノエタノールアミン(D−1)0.70部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−2)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−2)のMwは85,000であった。
【0076】
実施例3
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)76部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)124部、1,4−ブタンジオール(a5)1.56部、及びIPDI(C−1)37.60部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.42重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル391部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール196部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)11.24部及びモノエタノールアミン(D−1)0.81部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−3)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−3)のMwは85,000であった。
【0077】
実施例4
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)60部、ポリオキシプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製「サンニックスPP−2000」:Mn=2000](a1−1)140部、1,4−ブタンジオール(a5)1.92部、及びIPDI(C−1)59.48部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量5.12重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル448部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール225部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)25.34部及びモノエタノールアミン(D−1)1.82部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−4)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−4)のMwは74,000であった。
【0078】
実施例5
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−2)60部、ポリネオペンチレンアジペートジオール[三洋化成工業(株)製「サンエスター5620」:Mn=2000](a2−2)140部、1,4−ブタンジオール(a5)1.24部、及びIPDI(C−1)24.47部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量0.37重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル354部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール177部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)2.14部及びモノエタノールアミン(D−1)0.08部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−5)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−5)のMwは90,000であった。
【0079】
実施例6
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−3)200部、及びIPDI(C−1)44.81部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量3.43重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル406部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール204部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)16.06部及びモノエタノールアミン(D−1)1.15部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−6)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−6)のMwは78,000であった。
【0080】
実施例7
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)60部、ポリネオペンチレンアジペートジオール[三洋化成工業(株)製「サンエスター5620」:Mn=2000](a2−2)140部、1,4−ブタンジオール(a5)1.18部、及びトリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートと、2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、2,4−トリレンジイソシアネート80重量%、2,6−トリレンジイソシアネート20重量%)(C−2)36.25部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量3.82重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル398部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール199部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)17.90部及びモノエタノールアミン(D−1)0.80部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−7)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−7)のMwは79,000であった。
【0081】
実施例8
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−4)32部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)168部、1,4−ブタンジオール(a5)0.79部、及びIPDI(C−1)41.46部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.63重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル395部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール198部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)12.78部及びモノエタノールアミン(D−1)0.57部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−8)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−8)のMwは89,000であった。
【0082】
実施例9
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−5)155部、ポリネオペンチレンアジペートジオール[三洋化成工業(株)製「サンエスター5620」:Mn=2000](a2−2)45部、1,4−ブタンジオール(a5)0.79部、及びIPDI(C−1)41.46部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.63重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル395部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール198部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)12.78部及びモノエタノールアミン(D−1)0.57部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−9)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−9)のMwは86,000であった。
【0083】
実施例10
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A’−1)50部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)150部、1,4−ブタンジオール(a5)0.95部、及びIPDI(C−1)37.49部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.42重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル390部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール195部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)11.59部及びモノエタノールアミン(D−1)0.52部を加え、40℃で1時間反応させて比較の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−10)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−10)のMwは81,000であった。
【0084】
実施例11
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A’−2)60部、ポリネオペンチレンアジペートジオール[三洋化成工業(株)製「サンエスター5620」:Mn=2000](a2−2)140部、1,4−ブタンジオール(a5)1.24部、及びIPDI(C−1)24.47部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量0.37重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル354部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール177部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)2.14部及びモノエタノールアミン(D−1)0.08部を加え、40℃で1時間反応させて比較の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−11)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−11)のMwは92,000であった。
【0085】
実施例12
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A’−3)200部、及びIPDI(C−1)44.81部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量3.43重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル406部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール204部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)16.06部及びモノエタノールアミン(D−1)1.15部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−12)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−12)のMwは79,000であった。
【0086】
実施例13
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)50部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)150部、トリメチロールプロパン0.23部、及びIPDI(C−1)34.48部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.26重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル382部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール191部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)10.69部及びモノエタノールアミン(D−1)0.48部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−13)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−13)のMwは113,000であった。
【0087】
実施例14
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)50部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)150部、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)0.23部、及びIPDI(C−1)34.16部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.24重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル381部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール191部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)10.59部及びモノエタノールアミン(D−1)0.48部を加え、40℃で1時間反応させて本発明の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U−14)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U−14)のMwは88,000であった。
【0088】
比較例1
撹拌装置を備えた反応装置に、ポリオキシエチレングリコール[三洋化成工業(株)製「PEG−2000」:Mn=2000](a1−2)60部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)140部、1,4−ブタンジオール(a5)0.52部、及びIPDI(C−1)40.32部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.58重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル394部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール198部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)12.44部、及びモノエタノールアミン(D−1)0.56部を加え、40℃で1時間反応させて比較の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U’−1)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U’−1)のMwは88,000であった。
【0089】
比較例2
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)4部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)196部、1,4−ブタンジオール(a5)0.61部、及びIPDI(C−1)40.34部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.58重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル395部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール198部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)12.45部、及びモノエタノールアミン(D−1)0.56部を加え、40℃で1時間反応させて比較の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U’−2)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U’−2)のMwは79,000であった。
【0090】
比較例3
撹拌装置を備えた反応装置に、上記ポリエーテルジオール(A−1)86部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)114部、1,4−ブタンジオール(a5)2.52部、及びIPDI(C−1)40.73部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.58重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル399部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール200部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)12.57部、及びモノエタノールアミン(D−1)0.56部を加え、40℃で1時間反応させて比較の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U’−3)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U’−3)のMwは77,000であった。
【0091】
比較例4
撹拌装置を備えた反応装置に、ポリオキシプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製「サンニックスPP−2000」:Mn=2000](a1−1)60部、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール[クラレ(株)製「クラレポリオールP−2010」:Mn=2000](a2−1)140部、1,4−ブタンジオール(a5)0.52部、及びIPDI(C−1)40.32部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、NCO含量2.58重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、酢酸エチル394部を加え均一な溶液とした。次にイソプロピルアルコール198部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン(B−1)12.44部、及びモノエタノールアミン(D−1)0.56部を加え、40℃で1時間反応させて比較の溶剤系印刷インキ用バインダーであるポリウレタンウレア樹脂(U’−4)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U’−4)のMwは82,000であった。
【0092】
実施例15〜28及び比較例5〜8
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られたポリウレタンウレア樹脂の溶液を用いて、以下の処方にて実施例15〜28及び比較例5〜8の溶剤系印刷インキを作製した。
【0093】
[青インキの作製]
ポリウレタンウレア樹脂の溶液100部、顔料(β型フタロシアニンブルー)30部、イソプロピルアルコール30部、酢酸エチル70部及びガラスビーズ150部からなる混合物をペイントコンデイショナー(レッドデビル社製)にて1時間混練し、ガラスビーズをろ過により除去して青インキを得た。
【0094】
得られた溶剤系印刷インキを使用して以下の性能試験を行った結果を、ポリウレタンウレア樹脂(U)中のオキシエチレン基含有量、ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基濃度とウレア基濃度との合計値と共に表1に示す。
【0095】
[テストピースの作製]
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡株式会社製「パイレンP−2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡株式会社製「エスペットE−5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡株式会社製「ハーデンN−1130」(厚さ15μm)]に溶剤系印刷インキを固形分で2〜3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥させてテストピースを作製した。
[接着性の試験方法]
各テストピースの塗工面にセロハンテープ(ニチバン製、12mm巾)を貼り、このセロハンテープの一端を塗面に対して直角方向に急速に引き剥がしたときの塗布面状態を観察してインキが剥離しなかった面積%で評価した。
【0096】
[耐ボイル性の試験方法]
上記表面処理ナイロンフィルムを用いたテストピースの塗工面に、ドライラミネート用接着剤[主剤:ポリボンドAY−651A、硬化剤:ポリボンドAY−651C(三洋化成工業社製)]を塗工し、ラミネーターを用いてLLDPE(三井化学東セロ社製)と貼り合わせ、40℃で48時間エージングを行った。その後、LLDPE面を内側としてヒートシールによって製袋し、内容物として酢/サラダ油/ミートソース=1/1/1(重量比)の混合物を封入し、98℃1時間ボイル処理を行なった後の外観を観察して以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:外観変化なし。
○:ごく一部にラミネートの浮きが発生。
△:部分的にラミネートの浮きが発生。
×:全面でラミネートが剥がれる。
【0097】
[再溶解性の試験方法]
版詰まりグラビア印刷試験機(TS−1型印刷機;東谷鉄工所社製)で、深度35μmのグラビア版を用いて、30m/分のスピードでOPPフィルムに溶剤系印刷インキを100m印刷した後、グラビア版に付着した余分のインキをイソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合溶剤(重量比3:7)でかるく洗い落とした後の、セル中のインキ残存量(体積%)を表1に記載した。
【0098】
[インキ安定性の試験方法]
作製したインキに水を5重量%加えて攪拌した後、25℃で1週間静置し、水を加えたインキの作製直後の粘度(v0)と25℃で1週間静置後の粘度(v1)をザーンカップ#4(25℃)で測定する。インキ安定性を(v1)−(v0)で計算される上昇した粘度(秒)で表し、表1に記載した。
なお表1中、「沈降」は、顔料が一部凝集し、容器の底に沈みこんだ状態であり粘度が測定できなかったことを意味する。
【0099】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のバインダーは接着性及び溶剤への再溶解性、インキ安定性、耐ボイル性に優れることから、各種プラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びセロファンフィルム等)用特殊グラビアインキ用バインダーとして特に好適である。また、本発明のバインダーは前記用途だけではなく、フレキソ溶剤系印刷インキ用バインダー、塗料用のバインダー、接着剤及び紙等のコーテング剤としても有用である。