特許第6665206号(P6665206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6665206ガスばねをトリガするための装置、ガスばねとこのような装置とを有する調節可能な背もたれを備えるシートユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665206
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】ガスばねをトリガするための装置、ガスばねとこのような装置とを有する調節可能な背もたれを備えるシートユニット
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20200302BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20200302BHJP
   A47C 1/024 20060101ALI20200302BHJP
   B64D 11/06 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   B60N2/90
   B60N2/22
   A47C1/024
   B64D11/06
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-563229(P2017-563229)
(86)(22)【出願日】2016年5月14日
(65)【公表番号】特表2018-517611(P2018-517611A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】DE2016000208
(87)【国際公開番号】WO2016192699
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】202015003901.4
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516024556
【氏名又は名称】グイド・ヴァントシュナイダー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】グイド・ヴァントシュナイダー
【審査官】 毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−299609(JP,A)
【文献】 欧州特許第00907842(EP,B1)
【文献】 特表2009−509835(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/010672(WO,A1)
【文献】 特開平06−255592(JP,A)
【文献】 特開2003−201098(JP,A)
【文献】 特表2010−516530(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10203563(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/90
A47C 1/00− 7/74
B64D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスばね(1)をトリガするための装置であって、
操作装置(2)と、
前記操作装置(2)に作用結合され、前記ガスばね(1)の終端部のトリガ(3)に直接的に作用する操作機構(4)と
を備え、
前記操作機構(4)は、力および/または経路に関して低減または増大するレバー装置(5)として構成されており、
前記レバーのうちの1つ(トリガレバー(6))が、前記トリガ(3)を直接的に押圧し、
前記操作装置(2)は、電磁石ユニット(30)を備え、
前記電磁石ユニット(30)は、電流供給部を介して電気エネルギーを供給され、切換ユニット(60)によって作動可能であり、
前記切換ユニット(60)によって作動可能である制御装置(40)であって、前記切換ユニット(60)の信号に応じて前記電磁石ユニット(30)を作動させる制御装置(40)が設けられており、
増大された電圧による前記磁石ユニット(30)の過負荷段階と、これに続く低減された電圧による保持段階と、が所定の時間間隔にわたって生成されるように、前記磁石ユニット(30)の制御が行われ、
前記制御装置(40)は、前記過負荷段階の時間間隔の長さと、過負荷段階の時間間隔における電圧の大きさと、過負荷段階に続く保持段階における電圧の大きさと、のうちの少なくとも1つが固定的に設定可能であるか、または、可変にプログラム可能となるように構成されている
ガスばね(1)をトリガするための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記装置は、電気式の第1バッファメモリユニットと、前記装置から独立して電圧供給部に直接的に接続された第2バッファメモリユニットと、のうちの少なくとも一方を備え、
前記制御装置(40)は、前記過負荷段階における作動時に、少なくとも部分的または完全に前記磁石ユニット(30)のための電気エネルギーを前記第2バッファメモリユニットから取り出す
装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記電気式のバッファメモリユニットは、放電後に前記制御装置または前記電圧供給部を介して再び充電されるキャパシタまたはアキュムレータとして構成されている
装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の装置であって、
前記電磁石ユニット(30)は、中空コイルボディ(32)と、該中空コイルボディ(32)内に縦方向に変位可能に支持されたアーマチャボディ(34)と、を備える線形の持上げ磁石ユニットとして構成されており、
前記アーマチャボディ(34)は、操作部材(22)を介して前記操作機構(4)の前記レバー装置(5)に結合されている
装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
弾性ユニット、特にばねユニット(24)が設けられており、
前記アーマチャボディ(34)は、前記ばねユニット(24)の作用によって縦方向に変位可能となるように設けられている
装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の装置であって、
前記操作部材(22)がケーブルとして構成されており、
前記弾性ユニットは、圧縮ばねまたは引張りばね(24)として構成されている
装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の装置であって、
操作装置ケーシング(36)が設けられており、
前記操作装置ケーシング(36)内に、前記制御装置(40)と前記磁石ユニット(30)とが配置されており、オプションとして、前記ばねユニット(24)と前記操作部材(22)とが少なくとも部分的に配置されている
装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記操作装置ケーシング(36)は、前記操作機構(4)の前記ケーシング(20)に直接的に設けられているか、または、該ケーシング(20)から間隔をおいて設けられており、
前記操作部材(22)は、前記ケーシング(20)内に突入し、前記レバー機構(5)の操作レバー(9)に接続されている
装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の装置であって、
前記操作装置ケーシング(36)は、前記ケーシング(20)に接続するための上側の接続キャップユニット(38)を備える中空部材、特に円筒状の中空部材として構成されている
装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の請求項であって、
前記トリガレバー(6)の一端は、第1の定置の回転軸線(11)を中心として旋回可能に枢着されており、他端は、第2レバー(結合レバー(8))の端部に旋回可能に結合されており、
前記結合レバー(8)の他端は、第3レバー(操作レバー(9))に旋回可能に結合されており、
前記操作レバー(9)の一端は、第2の定置の回転軸線(7)を中心として旋回可能に枢着されており、他端は、前記操作装置(2)に作用結合されている
装置。
【請求項11】
回転軸線(74)を中心として回転可能な(D)背もたれ(「背もたれリクライニング」)(72)を備えるシートユニット(70)であって、
ガスばね(1)の作用によって回転運動がそれぞれの回転位置でロック可能であり、
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のガスばねをトリガするための装置を備える
シートユニット(70)。
【請求項12】
請求項11に記載のシートユニットであって、
独立した中央の停止/作動ユニット(80)が設けられており、
前記停止/作動ユニット(80)は、前記装置(10)に通信接続されており、
前記停止/作動ユニット(80)によって前記装置のエネルギー供給を停止または作動可能であり、および/または、前記切換ユニット(60)を作動可能である
シートユニット。
【請求項13】
特に航空機の内部キャビン内に、請求項11または請求項12に記載の複数のシートユニットを備える装置であって、
それぞれのシートユニット(70)は、前記中央の停止/作動ユニット(80)に通信接続されている
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスばねをトリガするための装置に関する。この装置は、操作装置と、操作装置に作用結合され、ガスばねの終端部のトリガに直接的に作用する操作機構と、を備えている。操作機構は、力および/または経路に関して低減または増大するレバー装置として構成されており、いずれか1つのレバー(トリガレバー)がトリガを直接的に押圧する。操作装置は、電磁石ユニットを備えている。磁石ユニットは、電流供給部を介して電気エネルギーを供給され、切換ユニットによって作動可能である。
【0002】
本発明は、さらに、このような装置を有する調節可能な背もたれを備えるシートユニット、および、このような装置をそれぞれ有する複数のシートユニットを備える装置に関する。
【背景技術】
【0003】
極めて多様な実施形態のガスばねが実際に知られている。多くのガスばねは、組み込まれた弁システムを備え、これにより、ガスばねは、あらゆる位置で無段階式に固定または遮断される。この場合、ピストンは、圧力管においてシールされており、2つのガススペースを互いに分離している。弁が閉じられている場合には、ガスばねは、ロックされており、所望の位置における遮断が可能となる。トリガタペットとして一般に構成されているトリガを操作することにより、弁が開かれ、このようにしてガスばねを無段階式に位置決めすることができる。この場合、ピストン内のノズルの選択によって押出速度および緩衝を適宜に変更することができる。
【0004】
ここで述べる形式のガスばねは、極めて多様な用途で使用される。このようなガスばねを書き物机の椅子に使用することが実際に知られている。同様に、このようなガスばねによって自動車のシートまたは航空機のシートを調節することもでき、日焼けマシンの部品を動かすこともできる。ガスばねによって書き物机の高さを調節することもできる。
【0005】
実際に既知のガスばねにおいては、操作装置と作用結合されており、かつ、ガスばねの終端部に設けられたトリガに直接的に作用する操作機構が必要である。例えば書き物机の椅子の場合には、単純なレバーの形式で構成された操作機構が使用され、一般に操作機構の終端部がトリガを直接的に押圧する。操作機構のこのような構成は、ガスばねをトリガするために極めて大きい力を必要とするという重大な欠点を有する。さらに、トリガを適正に調整することが難しく、トリガ力が大きい場合には、ガスばねの速度を制御することがほとんど不可能であることがもう一つの欠点である。
【0006】
欧州特許第0907842号により、冒頭で述べた形式のガスばねをトリガするための装置が既知である。この既知の装置の操作機構は、トリガレバーに加えて、さらに2つのレバーを備え、これらのレバーはトリガレバーと共に旋回可能に結合されている。操作装置としては、この場合にはボーデンケーブルが使用される。さらに、この既知の装置は、操作装置が磁石(電動式に作動する持上げ磁石または押圧磁石)を介して操作機構に作用するという代替的な構成を開示している。
【0007】
さらに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19716720号明細書および欧州特許第1328738号明細書により、ガスばねをトリガするための他の装置が既知であり、これらの装置では同様にレバー装置が使用される。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19716720号により、既知の装置では、接触領域を介して協働する2つのレバーが設けられている。レバーとレバーとの間の作用結合は、嵌合によって、または、互いに隣接する摩擦面を介して実現される。欧州特許第1328738号に記載の装置の構成では、レバー装置の接触領域および/または操作レバーが、操作領域および/または接触領域で転動させるために自由に回転するローラまたはボールを備えている。
【0008】
国際公開第2015/010673号は、ガスばねをトリガするための装置の別の実施可能性を開示しており、この実施可能性は、操作装置を接続するための第1接続ユニットがケーシングに設けられており、第1接続ユニットがガスばねの縦方向に対して実質的に平行に延在し、ガスばねの縦方向に対して実質的に横方向に延在する第2接続ユニットが設けられていることにより優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0907842号
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19716720号
【特許文献3】欧州特許第1328738号
【特許文献4】国際公開第2015/010673号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来技術から出発した本発明の基礎をなす目的または技術的課題は、冒頭で述べた形式のガスばねをトリガするための装置を、周辺の構成部材が極めて多様な幾何学的な位置関係にある場合にも使用することができ、経済的に製造することができ、継続的に確実な機能を保証し、省スペースで形成されており、それぞれの要求にフレキシブルに適合可能であり、さらに高い安全性要求を満たすように形成および改良することである。
【0011】
さらに本発明の基礎となる課題は、調節可能な背もたれ(背もたれリクライニング)を備えるシートユニットまたはシートユニットの装置において、高い安全基準を備え、スペースを節約した配置を可能にする装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるガスばねをトリガするための装置は、独立請求項1の特徴によって得られる。有利な構成および実施形態が、独立請求項1に直接的または間接的に従属する請求項の対象である。
【0013】
本発明によるシートユニットまたはシートユニットの装置が請求項12、請求項13または請求項14の特徴により得られる。
【0014】
したがって、本発明によるガスばねをトリガするための装置は、制御装置が設けられており、この制御装置が、切換ユニットによって作動可能であり、切換ユニットの信号に依存して電磁石ユニットを作動し、増大された電圧による磁石ユニットの過負荷段階と、後続の低減された電圧による保持段階と、が所定の時間間隔にわたって生成されるように磁石ユニットの制御が行われることにより優れている。
【0015】
本発明による制御装置の構成により、持続的に確実な機能が保証され、ガスばねを操作するために必要な力を容易に生成し、利用することができ、ボーデンケーブルなどの付加的な機械式の構成部材なしに済ますことができ、所望の機能を生成するために必要とされる力の所望の調整を容易に行うことができる。
【0016】
本発明による装置の特に好ましい構成は、過負荷段階の時間間隔の長さおよび/または過負荷段階の時間間隔における電圧の高さおよび/または過負荷段階に続く保持段階における電圧の高さが設定可能であるか、または、(用途に応じて)可変にプログラム可能であるように制御装置が形成されていることにより優れている。
【0017】
実際に、例えば航空機の内部キャビンのシート装置に多数の装置が設けられている場合や、大容量の電流供給が提供されていない場合には、エネルギー供給部の過負荷を防止するために、過負荷段階の時間間隔の長さを数ミリ秒、例えば10ミリ秒未満に設定することが好ましい場合もある。他の用途において、電流供給の容量および使用される磁石ユニットに依存して、これよりも長い継続時間を設定してもよい。このために、制御装置は、プログラム可能に構成されており、それぞれの用途に継続時間を最適に適合させることができる。
【0018】
実際の用途では、過負荷段階の時間間隔における電圧は、例えば6,12,18,24または28ボルトであり、過負荷段階に続く保持段階における電圧は6Voltである。しかしながら、これらは実際のテストにより生じた例示的なボルトのデータに過ぎない。上記数値のボルト値は、使用目的、提供されている電流網、および、使用される磁石ユニットに応じて、上方または下方にずれ得る。
【0019】
特に複数の装置が設けられている場合にガスばねの作動時に電流網の過負荷を防止するために、特に好ましい構成は、装置が、電気式の第1バッファメモリユニット、および/または、装置から独立して電圧供給部に直接的に接続された第2バッファメモリユニットを備えており、制御装置が、過負荷段階における作動時に磁石ユニットのための電気エネルギーをこの第2バッファメモリユニットから少なくとも部分的または完全に取り出すことにより優れている。
【0020】
電気式のバッファメモリユニットは、好ましくはキャパシタまたはアキュムレータとして形成されており、これにより、経済的な製造、持続的に信頼性の高い機能、および、簡単な作動が保証される。
【0021】
例えば航空機、バス、列車、または船舶のシート装置に、ガスばねをトリガするための多数の装置が設けられており、大容量の電流網が提供されていない場合に、多数の装置を同時に操作した際に十分なエネルギーが供給されるように、特に大容量を備える第2バッファメモリユニットを使用することは特に好ましい。
【0022】
好ましい小型の実施形態は、わずかなスペースしか必要とせず、電磁石ユニットが中空コイルボディと、中空コイルボディ内に縦方向に変位可能に支承されたアーマチャボディと、を備える線形の持上げ磁石ユニットとして形成されており、アーマチャボディが操作部材を介して操作機構のレバー装置に結合されていることにより、構造の実現に関して優れている。
【0023】
特に好ましい構成によれば、弾性的なユニット、特にばねユニットが設けられており、このばねユニットの作用によりアーマチャボディが縦方向に変位可能に設けられていることにより、装置の確実な機能が保証される。
【0024】
このような構造の実施形態における好ましい構成では、操作部材はケーブルとして形成されている。
【0025】
弾性的なユニットは、例えば圧縮ばねとして構成されていてもよい。このような場合、圧縮ばねは、作動状態で磁石ユニットを支援し、磁力に加えて、圧縮ばねのばね力が付加的にレバー装置に作用する。
【0026】
特に好ましい構成は、環境作用、汚染、および損傷から装置を保護するために操作装置ケーシングが設けられており、この操作装置ケーシング内に制御装置、磁石ユニット、ばねユニット、および、操作部材が少なくとも部分的に配置されていることにより優れている。
【0027】
特に好ましい小型の実施形態は、あらかじめの組付けという観点において、操作装置ケーシングが、操作機構のケーシングに接続されており、操作部材が、ケーシング内に突入し、レバー装置の操作レバーに接続されており、操作装置ケーシングが、好ましくは上側の接続キャップユニットを備える中空部材、特に円筒状の中空部材として形成されていることにより優れている。
【0028】
操作装置ケーシングは、操作機構のケーシングに対して離間されていてもよく、これにより、延長された操作部材を使用することができる。操作部材は、好ましくは柔軟なケーブルとして形成されているので、したがって、組付けられた位置においてケーシングの配置をそれぞれの位置関係に適合させることができる。
【0029】
操作装置の一部である電磁石ユニットに結合された既知の操作機構の特に好ましい構成は、トリガレバーの一端が第1の定置の回転軸線を中心として旋回可能に枢着されており、他端が第2レバー(結合レバー)の端部に旋回可能に結合されており、結合レバーの他端が第3レバー(操作レバー)に旋回可能に結合されており、操作レバーの一端が第2の定置の回転軸線を中心として旋回可能に枢着されており、他端が操作装置に作用結合していることにより優れている。
【0030】
1つのシートユニットまたは複数のシートユニットの装置は、本発明によるガスばねをトリガするための装置と、停止/作動ユニットと、が設けられており、この停止/作動ユニットが本発明による装置に通信接続されており、停止/作動ユニットにより装置のエネルギー供給部が停止または作動可能であり、それぞれのシートユニットが中央の停止/作動ユニットに通信接続されていることにより優れている。
【0031】
それぞれの装置のエネルギー供給を切換ユニットとは無関係に、停止/作動ユニットによって作動もしくは停止できることにより、安全性に対する高い要求が満たされる。これにより、例えば、航空機の始動もしくは着陸段階においてユーザが許可されていない状況でシートの背もたれを調整できないようにすることができる。航空機のシート装置は、経済的に極めて重要である。これまでは、非常出口の領域では、この領域において許可されていないのにもかかわらず、背もたれが押し出された位置まで乗客がシートを移動した場合であっても、非常時に十分なスペースが提供されているようにシート列の間隔を大きくとる必要があった。乗客は、始動時もしくは着陸時には背もたれを直立位置に移動するように要求され、このことは客室乗務員によってもチェックされるが、チェックが行われた後に乗客が再び背もたれを押し出された位置に戻すリスクがあり、この場合、まさに非常出口領域において必要なスペースが制限されてしまう。中央の停止/作動ユニットに接続された本発明によるシートユニットまたはシート装置によって、このような安全性に対するリスクは排除され、個々の装置の電圧供給を中央で停止することができる。この点においては、非常出口の領域におけるシート間隔を減じる可能性が生じる。なぜなら、始動段階および着陸段階において許可されていない背もたれの調節が行われるリスクはもはやなくなり、これにより、航空機の内部キャビンに全体としてより多くのシートユニットを配置することができ、これにより経済性が著しく高められるからである。
【0032】
本発明の他の実施形態および利点が、請求項にさらに記載する特徴および以下に示す実施例により明らかになる。請求項の特徴は、これらの特徴が明らかに相反しない限りにおいて随意に相互に組み合わせることができる。
【0033】
図面に示す実施例に基づいて、本発明ならびに好ましい実施形態およびさらなる構成を以下に詳細に説明し、明らかにする。説明および図面から明らかな特徴は、それぞれ個々に使用してもよいし、複数の特徴を随意に組み合わせて本発明にしたがって使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】レバー装置を有する操作機構と、電磁石ユニットと制御装置とを有する操作装置と、を備えるガスばねをトリガするための装置の作動された状態を示す概略的な縦断面図である。
図2図1に示した装置の概略的な断面図である。
図3】レバー装置を有する操作機構と、電磁石ユニットと制御装置とを有する操作装置と、を備えるガスばねをトリガするための装置の作動されていない状態を示す概略的な縦断面図である。
図4図3に示した装置の概略的な断面図である。
図5】ガスばねをトリガするための装置のガスばねの作用によって調節可能な背もたれを備えるシートユニットの概略的な断面図である。
図6図5に示した複数のシートユニットと、中央の停止/作動ユニットと、を備えるシート装置の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図4は、ガスばね1をトリガするための装置を示し、ガスばね1の終端部のみが示されており、図1および図2は作動状態の装置10を示し、図3および図4は作動されていない状態の装置10を示す。
【0036】
装置10は、操作装置2と、操作装置2に作用結合し、ガスばね1の終端部のトリガ3に直接的に作用する操作機構4と、を備える。操作機構4は、力および/または経路に関して低減または増大するレバー装置5として構成されており、いずれか1つのレバー、いわゆる「トリガレバー6」は、トリガ3を直接的に押圧する。トリガレバー6の一端は、第2の定置の回転軸線7を中心として旋回可能に枢着されており、他端は、第2のレバー、いわゆる「結合レバー8」に旋回可能に結合されている。結合レバー8の他端は、第3レバー、いわゆる「操作レバー9」に旋回可能に結合されている。操作レバー9の一端は、第1の定置の回転軸線11を中心として枢着されており、他端は、操作装置2に作用結合されている。この機構5は、欧州特許出願公開第0907842号明細書により既知である。
【0037】
一方では、定置の第2の回転軸線7とトリガ3との間、および、トリガ3と結合レバー8の旋回結合部との間におけるトリガレバー6のレバー部分と、他方では、定置の第1の回転軸線11と結合レバー8の旋回結合部との間、および、結合レバー8の旋回結合部と自由端または操作装置2との作用結合部との間における操作レバー9のレバー部分との比率は、低減または増大の程度を規定する。
【0038】
操作機構4は、ガスばね1と一列に並んでいる。操作機構4は、ケーシング20に格納されている。
【0039】
操作装置2は円筒状の操作装置ケーシング36を備え、操作装置ケーシング36は、接続された接続キャップユニット38を上側に有し、接続キャップユニット38は、2段階式にテーパ状に形成されており、ケーシング20に接続されている。
【0040】
操作装置ケーシング36の内部には、持上げ磁石として形成され、中空コイルボディ32を備える電磁石ユニット30が配置されており、中空コイルボディ32の内部中空スペースにはアーマチャボディ34が縦方向Lに変位可能に設けられている。
【0041】
アーマチャボディ34の上方にはタペットユニット48が設けられており、このタペットユニットの内部には操作部材22が接続されており、操作部材22は、接続キャップユニット38を通って外側に案内されており、ケーシング20の内部でレバー装置5の操作レバー9に接続されている。操作部材22はケーブルとして形成されている。
【0042】
アーマチャボディ24は、この実施例では圧縮ばねとして形成されたばねユニット24の作用を受ける。ばねユニット24は、一方では、アーマチャボディ34で支持され、他方では、向かい合った端部において接続キャップユニット38の内側に張り出した壁部で支持される。
【0043】
タペットユニット48は、下側でシャフト固定ユニット44において支持されており、このシャフト固定ユニットは、緩衝の目的でゴムリングユニット46において支持されている。
【0044】
操作装置ケーシング36の内部には、磁石ユニット30の下方に制御装置40が設けられており、この制御装置は、電流ケーブル42を介して電磁石ユニット30に電流を印加し、この電流ケーブル42は、外部に設けられている電流供給部にも通じている。
【0045】
制御装置40は、図1に概略的に示した切換ユニット6によって作動される。
【0046】
同時に、装置10の電圧供給を必要に応じて停止/開始する上位の中央の停止・開始ユニット60が図1に概略的に示されている。
【0047】
制御装置40は、切換ユニット60によって作動され、電磁石ユニット30を作動する。この場合、制御装置40は、図示の実施例では、例えば5msにわたって20Vにより磁石ユニット30を制御し(過負荷段階)、この後に6Vに電圧を下げる(保持段階)ように構成されている。これにより、ガスばね1の確実なトリガが保証されている。
【0048】
図3および図4は停止状態を示す。アーマチャボディ34は、ばねユニット24の作用を受けて引き出された上方の位置にある。操作機構4のレバー装置5を介してガスばね1のトリガ3に圧力が加えられていない。ガスばね1は、この状態では作動されていない。したがって、ガスばね1のピストンロッドが接続された調節可能な構成部材(図3および図4には示していない)は、係止された位置にある。操作装置2が切換ユニット60の操作によって作動された場合には、制御装置40は、電磁ユニット30の中空コイルボディ32を電圧によって作動し、これにより構成された磁界に基づいてアーマチャボディ34は縦方向Lにばねユニット24の支援作用によって下方に移動され、中空コイルボディ32の内部中空スペースに押し込まれる。この状態が図1および図2に示されている。これにより、操作レバー9は、第1の定置の回転軸線11を中心として反時計回りに回転され、トリガレバー6は、結合レバー8との結合に基づいて、第2の回転軸線7を中心として時計回りに回転し、ガスばね1のトリガ3を操作し、これにより、ガスばね1のピストンロッドに接続された構成部材を移動することができる。磁石ユニット30が停止されるとすぐに、操作レバー9は、ガスばね1の戻し力によってレバー装置5を介して第1の回転軸線11を中心として時計回りに回転され、アーマチャボディ34は、ばねユニット24の作用に抗して、図3および図4に示した引き出された位置に移動する。この状態では、操作機構4のレバー装置5を介してトリガ3に圧力が加えられることはなく、したがって、ガスばね1は、ピストンロッドの移動に関して遮断されており、これにより、ピストンロッドに接続された構成部材の位置は固定される。
【0049】
過負荷段階は比較的高い電流を必要とし、このことは、複数の消費機器が設けられている場合には電流供給網にネガティブな影響を及ぼす場合があるので、本発明によれば、磁石ユニットが作動されている場合にネットワーク全体の電流を低減するための手段が設けられており、この手段は、具体的にはバッファメモリユニット(図示しない)として構成されている。バッファメモリユニットは、例えば、キャパシタまたはアキュムレータであってもよい。
【0050】
本発明によれば、作動時にまず制御装置40によって(キャパシタの)バッファメモリユニットのエネルギーが電磁石ユニット30に伝達され、これにより、初期に電流網全体に負荷が加えられることはない。保持段階には、電流網によって供給されたエネルギーがあれば十分である。同時に、制御装置40は、バッファメモリユニットが再び充電され、次の作動プロセスにおいて再び使用できるように準備する。
【0051】
補足的に、電圧供給部に直接的に接続されており、高い容量を備え、過負荷段階において電気エネルギーを取り出すことができる第2バッファメモリユニット、例えば、キャパシタまたはアキュムレータが設けられていてもよい。この第2バッファメモリユニットは、例えば複数の装置に接続されていてもよく、電流網の過負荷のリスクを確実に低減することができる。
【0052】
図5は、回転軸線74を中心として回転方向Dに旋回可能な背もたれ72を備えるシートユニット70を概略的に示す。背もたれ72の回転運動は、ガスばね1のピストンロッド12に結合される。すなわち、背もたれ72の回転は、ガスばね1がピストンロッド12を引き出すか、または、押し込むことにより、この回転Dを許容した場合、もしくは、ガスばね1が切換ユニット60の操作によって装置10を介して作動された場合にのみ可能である。このような背もたれは、例えば航空工学では「背もたれリクライニング」という技術用語で呼ばれる。
【0053】
図6は、例えば航空機の内部キャビンに設けられていてもよい複数のシートユニット70の装置の概略的な平面図を示す。それぞれの装置10は、有線接続または無線接続によって上位の停止/作動ユニット80に通信接続されており、停止/作動ユニット80の操作によって、装置10の操作装置2の電圧供給部を意図的に遮断し、再び接続することもできる。
【0054】
切換ユニット60が非作動状態となるように電流供給部を意図的に遮断することができる上位の停止/作動ユニット80は、全体的に安全性を高める。なぜなら、ガスばねが操作されることが望ましくない段階では、このような操作が確実に防止されるからである。
【0055】
したがって、上位の停止/作動ユニット80は、1つの装置10または複数の装置10に接続されていてもよく、1つの装置10または複数の装置10の作動は、停止/作動ユニット80を介して自動的に行われ、例えば、シート装置のシートユニットの全ての背もたれを適時に戻すことができる。これは、例えば鉄道、バス、船舶(フェリー)のシート装置において有利である。なぜなら、これにより、乗務員はシートユニットの個々の背もたれのそれぞれを運航開始前に初期位置に戻す必要がないからである。乗用車のシートユニットの分野では、本発明による装置により、電動モータなしに持続的に確実に機能するシートユニットの調節装置が安価に得られ、これにより、快適性が高められ、同時に経済的な製造も可能になる。
【0056】
本発明によるガスばねをトリガするための装置10は、小型の幾何学形状に基づいて、使用場所および操作装置2に関して、周辺の構成部材の様々な幾何学的な位置関係においても経済的に製造することができ、それぞれの要求に応じて適合させることができ、さらに持続的に確実な機能を保証する。さらに高い安全性基準を保証することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6