(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665265
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】透過分光法を使用して卵の生存を判定するための非接触型卵識別システム、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/35 20140101AFI20200302BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20200302BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20200302BHJP
A01K 43/00 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
G01N21/35
G01N21/64 Z
G01N21/85 A
A01K43/00
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-230567(P2018-230567)
(22)【出願日】2018年12月10日
(62)【分割の表示】特願2016-531707(P2016-531707)の分割
【原出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2019-53087(P2019-53087A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年12月13日
(31)【優先権主張番号】61/905,401
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ウォルカス,ジョエル・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】カリンポー,ラミン
【審査官】
嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6495276(JP,B2)
【文献】
特開2004−184113(JP,A)
【文献】
特開2012−196225(JP,A)
【文献】
特開2005−052156(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0152918(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/83
G01J 3/00− 3/52
G01N 33/08
A01K 43/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
AgriKnowledge
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥卵の生存を判定するための卵識別システムであって、
複数の卵を含有する卵ケースを搬送するように構成された搬送機システムと、
前記卵ケース内で搬送される前記卵のうちの1つに向けて電磁放射線を放出するように構成されたエミッタ組立体と、
前記エミッタ組立体と軸方向に整列された非接触型検出器組立体であって、前記卵を透過した前記電磁放射線を検出するように構成され、識別のために位置付けられた前記卵が前記非接触型検出器組立体の動作中にその組立体から離間するように、非接触位置に配置される、非接触型検出器組立体と、
前記卵が生存しているかを判定するために、透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理するように構成されたプロセッサと、
部分集合に分割されている複数の前記非接触型検出器組立体とを備え、
前記非接触型検出器組立体の第1の部分集合が、第1の光学帯域幅における電磁放射線を検出するように構成され、前記非接触型検出器組立体の第2の部分集合が、第2の光学帯域幅における電磁放射線を検出するように構成され、
前記エミッタ組立体及び前記非接触型検出器組立体が、エミッタ−検出器対を形成し、
さらに、部分集合に分割された複数の前記エミッタ−検出器対があり、さらに、前記搬送機システムによって前記卵ケース内で運搬される前記卵の生存を判定するために、前記卵ケース内に収容された各卵が赤外吸収分光分析及び蛍光分光分析の両方を受けるように、
前記エミッタ−検出器対の第1の部分集合が、赤外吸収分光法モードで動作するように構成され、前記エミッタ−検出器対の第2の部分集合が、蛍光分光法モードで動作するように構成される、卵識別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の卵識別システムにおいて、それぞれの卵に関連した不透明性に基づいて前記卵の生存を判定するように構成された不透明性識別組立体をさらに備え、前記不透明性識別組立体が、エミッタ−検出器対の前記第1及び第2の部分集合の上流側に配置され、前記不透明性識別組立体が、前記不透明性識別組立体によって識別された非生存卵が生存判定のために個別のエミッタ−検出器対に搬送されるとその動作を無効化するように構成されたコントローラと連通している、卵識別システム。
【請求項3】
請求項1に記載の卵識別システムにおいて、前記非接触型検出器組立体が、前記プロセッサと連通している分光計を含み、前記プロセッサが、選択された波長における光強度を表す前記出力信号に基づいてスペクトルを生成するように構成され、前記プロセッサが、前記生成されたスペクトルを、既知の卵の状態に関連する少なくとも1つのスペクトルと比較して、前記卵の生存状況を識別するようにさらに構成される、卵識別システム。
【請求項4】
請求項1に記載の卵識別システムにおいて、前記透過分光法モードが、赤外吸収分光法及び蛍光分光法のうちの1つである、卵識別システム。
【請求項5】
請求項1に記載の卵識別システムにおいて、前記エミッタ組立体が、変調信号の形態でそこから放出された前記電磁放射線を変調させるように構成された変調器を備える、卵識別システム。
【請求項6】
請求項1に記載の卵識別システムにおいて、前記エミッタ組立体が、前記非接触型検出器組立体によって検出される波長とは異なる波長における電磁放射線を放出するように構成される、卵識別システム。
【請求項7】
請求項1に記載の卵識別システムにおいて、前記部分集合に分割されている複数の前記エミッタ組立体をさらに備え、前記エミッタ組立体の第1の部分集合が、第1の波長における電磁放射線を放出するように構成され、前記エミッタ組立体の第2の部分集合が、前記第1の波長とは異なる第2の波長における電磁放射線を放出するように構成される、卵識別システム。
【請求項8】
卵の生存を判定する方法であって、
搬送機システムを使用して、卵ケース内に収容された卵を搬送することと、
エミッタ組立体から前記卵に向けて電磁放射線を放出することと、
前記エミッタ組立体と軸方向に整列された非接触型検出器組立体において、前記卵を透過した電磁放射線を受信することであって、前記非接触型検出器組立体が、前記卵から離間している、受信することと、
前記卵が生存しているかを判定するために、透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することと、
部分集合に分割された複数の前記非接触型検出器組立体を提供することと、
前記非接触型検出器組立体の第1の部分集合から、第1の光学帯域幅における電磁放射線を検出することと、
前記非接触型検出器組立体の第2の部分集合から、第2の光学帯域幅における電磁放射線を検出することと、
複数の前記エミッタ組立体及び前記非接触型検出器組立体を提供することをさらに含み、各エミッタ組立体が、エミッタ−検出器対を形成するようにそれぞれの非接触型検出器組立体に関連し、前記エミッタ−検出器対が、部分集合に分割され、前記卵を搬送することが、前記卵が生存判定のために透過吸収分光法及び透過蛍光分光法の両方を受けるように、透過吸収分光法モードを実装する前記エミッタ−検出器対の第1の部分集合と、透過蛍光分光法モードを実装する前記エミッタ−検出器対の第2の部分集合とを通って前記卵を搬送することとを含む、卵の生存を判定する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記卵に関連した不透明性に基づいて前記卵の生存を判定するように構成された不透明性識別組立体を通して前記卵を搬送することであって、前記不透明性識別組立体が、エミッタ−検出器対の前記第1及び第2の部分集合の上流側に配置される、搬送することをさらに含み、前記不透明性識別組立体によって識別された非生存卵が生存判定のために個別のエミッタ−検出器対に搬送されるとその動作を無効化する前記ステップをさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することが、選択された波長における光強度を表す前記出力信号に基づいてスペクトルを生成することと、前記生成されたスペクトルを、既知の卵の状態に関連する少なくとも1つのスペクトルと比較して、前記卵の生存状況を識別することと、を含む、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することが、赤外吸収分光法モード及び透過蛍光分光法モードのうちの1つで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することを含む、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、エミッタ組立体から電磁放射線を放出することが、変調信号の形態で前記エミッタ組立体から放出された前記電磁放射線を変調させることを含む、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法において、エミッタ組立体から電磁放射線を放出することが、前記非接触型検出器組立体によって検出される波長とは異なる波長における電磁放射線を放出することをさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法において、前記部分集合に分割された複数の前記エミッタ組立体を提供することと、前記エミッタ組立体の第1の部分集合から、第1の波長における電磁放射線を放出することと、前記エミッタ組立体の第2の部分集合から、前記第1の波長とは異なる第2の波長における電磁放射線を放出することと、をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、卵識別システムに関する。より具体的には、本開示は、透過分光法を使用して鳥卵内に生存胚が存在するかを判定することができる非接触型卵識別システム、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何らかの観察可能な品質に基づく家禽卵の区別は、家禽産業においては周知の、長い間使用されている作業である。「検卵(candling)」は、そのような技術の1つの一般的な名称であり、元々はろうそくからの光を使用して卵を検査する作業を起源とした用語である。卵に詳しい者には知られているように、卵殻は、ほとんどの照明条件下で不透明に見えるが、実際には幾分半透明であり、直接光の前に置いた場合、卵の中身が観察され得る。
【0003】
孵化して生きた家禽となる卵は、典型的には胚発生中に検卵され、透明な、腐敗した、及び死んだ卵(本明細書において総称して「生きていない卵」と称される)が識別される。生きていない卵(非生存卵とも称される)は、利用可能なインキュベータ空間を増加させるために、インキュベーションから取り除かれる。多くの場合、卵内注射により、孵化前の生きた卵(生存卵とも称される)に物質を導入することが望ましい。鳥卵への様々な物質の注射は、商業的家禽産業において、孵化後死亡率を減少させるために、または孵化した鳥の成長率を増加させるために用いられる。卵内注射に使用されている、または提唱されている物質の例には、ワクチン、抗生物質、及びビタミンが挙げられる。
【0004】
物質の卵内注射は、典型的には、(例えば穿孔器またはドリルを使用して)卵殻に穿刺して貫通孔を作り、その孔を通して卵の内部に(そしていくつかの場合にはその中に含有される鳥胚内に)注射針を伸ばし、針を通して1種以上の治療物質を注射することにより行われる。そのようなデバイスは、卵及び注射針を、互いに固定された関係で位置付けることができ、複数の卵の高速自動注射用に設計されてもよい。注射処置の部位及び時間の両方の選択はまた、注射された物質の有効性、ならびに注射された卵または処置された胚の死亡率に影響し得る。
【0005】
商業的家禽生産では、商業的な若鶏の卵の約60%〜90%のみが孵化する。孵化しない卵は、受精されなかった卵、ならびに死んでいる受精卵を含む。無精卵は、集合内の全ての卵の約5%から最大約25%までを構成し得る。商業的家禽生産が直面する生きていない卵の数、卵内注射のための自動化された方法の使用、及び治療物質の費用のために、生きた卵を識別し、生きた卵のみに選択的に注射(または選択的に接触)するための自動化された方法が望ましい。
【0006】
卵は、生存胚を有することを意味する「生きた」卵であり得る。
図1は、インキュベーションの約1日目の生きた家禽卵1を示す。
図2は、インキュベーションの約11日目の生きた卵1を示す。卵1は、10に表される近傍に幾分尖った端部、ならびに、20に示される近傍に反対側に配置された幅広すなわち鈍角の端部を有する。
図1において、胚2は、卵黄3の上に示されている。卵1は、幅広端20に隣接する気胞4を含有する。
図2に示されるように、雛の翼5、脚6、及び嘴7が発達している。
【0007】
卵は、胚を有しないことを意味する「透明」または「無精」卵であってもよい。より具体的には、「透明」卵は、腐敗していない無精卵である。卵は、約1日齢〜5日齢で死ん
だ胚を有することを意味する「早期死亡」卵であってもよい。卵は、約5日齢〜15日齢で死んだ胚を有することを意味する「中期死亡」卵であってもよい。卵は、約15日齢〜18日齢で死んだ胚を有することを意味する「後期死亡」卵であってもよい。
【0008】
卵は、卵が(例えば、卵殻の亀裂の結果として)腐敗した無精卵黄を、または代替として、腐敗した死んだ胚を含むことを意味する「腐敗」卵であってもよい。「早期死亡」、「中期死亡」、または「後期死亡卵」は、腐敗卵であってもよいが、これらの用語は、本明細書において使用される場合、腐敗していないそのような卵を指す。透明、早期死亡、中期死亡、後期死亡、及び腐敗卵はまた、生きた胚を含まないため、「生きていない」卵として分類され得る。
【0009】
生きた(生存)卵及び生きていない(非生存)卵を区別することができることが重要な、他の用途がある。これらの用途のうちの1つは、生きた卵(「ワクチン生成卵」と称される)を介したワクチンの培養及び採取である。例えば、ヒトインフルエンザワクチン生成は、胚発生の約11日目の鶏卵(第11日目の卵)内に種ウイルスを注射し、約2日間ウイルスを増殖させ、卵を冷却することにより胚を致死させ、次いで卵から不明な流体を採取することにより達成される。典型的には、卵は、生きていない卵を除去するために、種ウイルスの注射前に検卵される。ワクチン生成卵は、種ウイルスの注射の1日以上前に検卵されてもよい。生きていない卵において種ワクチンが浪費されることを防止し、生きていない卵の運搬及び廃棄に関連した費用を削減することが望ましいため、ワクチン生成における生きた卵の識別は重要である。
【0010】
いくつかの以前の検卵装置は、複数の光源及び対応する光検出器がアレイとして装備され、卵がケース上で光源と光検出器との間を通過する、不透明性識別システムを用いている。残念ながら、そのような従来の検卵技術は、特に高い検卵処理量速度において、幾分制限された精度を有し得る。パルス光不透明性識別システムは、1時間当たり約300,000個の卵に等しい速度で動作し、卵の流れから透明卵を成功裏に識別することができる。しかしながら、生きているものとして識別されたいくつかの卵は、実際には生きていないことになる(例えば、腐敗卵、中期及び後期死亡卵)。
【0011】
他の以前の検卵装置は、生きた卵及び生きていない卵を判定することができる分光検出モードを用いている。残念ながら、これらのシステムは、検出目的の機械的光シールを形成するために、卵に接触する検出ツールを必要とし、これはいくつかの問題を呈し得る。まず、各検出ツールがそれぞれの卵に接触するために検出ツールヘッドが下降及び上昇される間、卵が停止されなければならないため、処理量パラメータが減速される。次に、生きていない卵、特に腐敗卵(接触時に破裂し得る)との機械的接触は、検出システムまたは周囲の領域/卵内に汚染を不必要に導入し得、これは、さらなる処理中に後続の生きた卵に移される可能性がある。最後に、以前の分光検出システムにおけるエミッタ−検出器構成は、所望の処理量を可能にするように機械的に位置付けることが困難である。これに関して、エミッタ−検出器構成は、反射率モードで動作するように配設されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、動作中に卵と接触することなく、かつ機械的光シールを使用せずに、生きた卵及び生きていない卵を正確に区別することができる分光検出システムを実装する検卵装置を提供することが望ましい。さらに、高処理量及び正確な様式における生きた卵の分光検出を容易にする、関連する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記及び他の必要性は、一態様によると、鳥卵の生存を判定するための卵識別システム
を提供する、本開示の態様により満たされる。本システムは、複数の卵を収容する卵ケースを搬送するように構成された搬送機システムを含む。エミッタ組立体は、卵ケース内で搬送される卵のうちの1つに向けて電磁放射線を放出するように構成される。非接触型検出器組立体は、エミッタ組立体と軸方向に整列される。非接触型検出器組立体は、卵を透過した電磁放射線を検出するように構成される。非接触型検出器組立体は、識別のために位置付けられた卵が非接触型検出器組立体の動作中にその組立体から離間するように、非接触位置に配置される。プロセッサは、卵が生存しているかを判定するために、透過分光法モードで非接触型検出器組立体の出力信号を処理するように構成される。
【0014】
別の態様は、卵の生存を判定する方法を提供する。本方法は、搬送機システムを使用して、卵ケース内に収容された卵を搬送することを含む。本方法は、エミッタ組立体から卵に向けて電磁放射線を放出することをさらに含む。本方法は、エミッタ組立体と軸方向に整列された非接触型検出器組立体において、卵を透過した電磁放射線を受信することをさらに含み、非接触型検出器組立体は、卵から離間している。本方法は、卵が生存しているかを判定するために、透過分光法モードで非接触型検出器組立体の出力信号を処理することをさらに含む。
【0015】
したがって、本開示の様々な態様は、別様に本明細書に詳述される利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
一般的な用語で本開示の様々な実施形態をこのように記載し、以降添付の図面への参照がなされるが、図面は必ずしも縮尺通りには描写されていない。
【0017】
【
図1】インキュベーションの約1日目の生きた鶏卵を示す。
【
図2】インキュベーションの約11日目の生きた鶏卵を示す。
【
図3】本開示の一態様による、卵識別システムの概略図である。
【
図4】固定位置に卵を収容することができる卵ケースの概略斜視図である。
【
図5】卵検出システムの一連のエミッタ−検出器対を通って搬送される卵ケース内の卵を示し、検出信号に不必要に寄与する干渉軸外放出の経路をさらに示している。
【
図6】本開示の一態様による、卵検出システムの一連のエミッタ−検出器対を通って搬送される卵ケース内の複数の卵を示し、制限された干渉放出が検出信号に寄与している。
【
図7】本開示の一態様による、卵検出システムで使用することができるエミッタ−検出器対を示す。
【
図8】本開示の別の態様による、卵検出システムで使用することができるエミッタ−検出器対を示す。
【
図9】本開示のさらに別の態様による、卵検出システムで使用することができるエミッタ−検出器対を示す。
【
図10】本開示の一態様による、不透明性検出構成要素及び分光検出構成要素を有する卵検出システムを通して搬送されている複数の卵を示す。
【
図11】本開示の一態様による、様々な分光法モード下で動作する複数の検出システムを有する卵検出システムを通して搬送されている複数の卵を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降、本開示の全てではないがいくつかの態様を示す添付の図面を参照して、本開示の様々な態様を下文により完全に記載する。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載される態様に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が該当する法定必要条件を満たすために提供される。同様の番号は、全体にわたって同様の要素を指す。
【0019】
本開示は、卵が識別手段を通過する際に卵に接触することなく、高処理量様式で複数の卵の生存を正確に判定するためのシステム及び方法に関する。非接触または無接触様式でのシステムへの卵の通過は、処理量を改善するための検出システム構成要素の静止位置の維持、及び、破裂し得る腐敗卵等の生きていない卵との接触の制限を含む、多くの利点を提供する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「非接触」及び「無接触」という用語は、生存を判定する際のエミッタ−検出器対の動作中、卵と、本明細書において開示される卵識別システムのある特定の構成要素との間の離間した関係を維持することを指す。いくつかの場合では、これは、卵に対する検出器組立体の離間した関係を具体的に指し得る。これに関して、本開示の検出器組立体は、組立体の構成要素が卵に接触しないように卵から離れて位置付けられ得、それによって干渉信号の検出を制限することができるいかなる機械的光シールをも排除する。その代わりに、本開示は、卵との接触が必要とされない様式で、他の手段によってこれらの干渉信号に対処する。当然ながら、卵は、卵識別システムを通して卵を運搬するように構成される卵ケース等の担持手段と接触してもよい。これに関して、「非接触」という用語は、卵と卵識別システムの動作構成要素との間の接触の回避を指す。
【0021】
さらに、本開示は、卵の生存を判定するために透過(いわゆる「貫通ビーム」)モードを使用するシステム及び方法に関する。透過モードで動作することにより、卵識別システムのエミッタ及び検出器は、本システムが作業可能な様式で構成され得るように、共通の長手方向軸に沿って軸方向に整列され得る。すなわち、システム構成は、反射率モードで動作し、かつ、例えば反射信号を受信するために直角に配設されたエミッタ及び検出器を有する、エミッタ−検出器対を考慮する必要はない。その代わりに、エミッタ組立体及び検出器組立体は、評価及び識別のために卵がその間を容易に通過し得るように、卵の対向する両側に位置付けられてもよい。
【0022】
しかしながら、本開示の態様は、非接触及び透過様式で動作し得るため、所望の透過光レベルは低くなり得、一方で、望ましくない干渉信号の可能性は高くなり得る。これに関して、生存卵の正確かつ信頼性のある識別を提供するような処理のために、望ましくない干渉信号が制限され得、所望の低い透過信号(約1nW/cm
2未満)が最大化され得る、本開示のさらなる態様が提供される。
【0023】
本開示の態様による方法及びシステムは、胚発生の間(インキュベーション期間とも称される)の任意の時点で、生きた卵及び生きていない卵を正確に識別するために利用され得る。本開示の態様は、胚発生期間中の特定の日(例えば11日目)または期間における識別のみに限定されない。さらに、本開示の態様による方法及び装置は、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガン、ウズラ、キジの卵、外来種の卵等を含むがこれらに限定されない、任意の種類の鳥卵とともに使用され得る。
【0024】
図3は、本開示の様々な態様を実装することができる卵識別システム100を示す。卵識別システム100は、フレーム120、及び卵ケース50(
図4)内に収容された複数の卵を卵検出システム160に搬送するように構成された搬送機システム140を含み得る。いくつかの場合では、卵識別システムは、卵識別システム及び/または卵の識別のために卵検出システム160を通過する卵に関する情報を表示することができるディスプレイ180を含んでもよい。卵識別システム100は、卵検出システム160のある特定の構成要素を有効化及び無効化する能力を含む、その様々な側面を制御するためのコントローラを含んでもよい。卵識別システム100は、可搬式であってもよく、いくつかの場合では、例えば卵注射装置、卵分類装置、卵運搬装置、卵除去器装置、または性別識別装置等の他の関連するデバイスに接続され得るように、モジュール式で構成されてもよい。い
くつかの場合では、卵検出システム160は、卵注射装置、卵分類装置、卵運搬装置、卵除去器装置、または性別識別装置に直接適用されてもよい。
【0025】
図4を参照すると、卵ケース50は、複数の端部54により制約された複数の交差薄板52で形成され得る。薄板52は、複数の開口ポケット56を画定し得、各ポケット56は、それぞれの卵1の端部を受容することができる。いくつかの場合では、卵1の尖端10(
図1及び2)は、鈍端20が卵ケース50の上に突出するように、ポケット56内に受容され得る。卵は卵ケース50内に担持され得るが、卵の現在状況を識別するために卵検出システム160に経時的に複数の卵を供する任意の手段を使用してもよい。
【0026】
ここで
図6を参照すると、本開示の態様による、卵の生存を非侵襲的に識別するための卵検出システム160が概略的に示されている。卵1は、卵の鈍端20において卵1に隣接して位置付けられるエミッタ組立体200の発光源210からの光で照射され得る。いくつかの場合では、発光源210から放出される光は平行化され得る。各卵は、約400〜2600ナノメートルのいずれか、特に可視スペクトル、赤外スペクトル、近赤外スペクトル、または紫外スペクトル内の波長における光で照射され得る。検出器組立体300は、卵1の尖端10に隣接し、エミッタ組立体200の反対側に位置付けられ得、卵を透過した光を受信することができる。検出器組立体300は、選択された光の波長に対して受信された光の放射照度を判定するための分光計302をさらに含み得る。分光計302は、物質によって吸収、反射、または放出される放射線の強度を、波長の関数として測定するように構成され得る。
【0027】
受信される光の対象の特定の側面は、選択された波長において判定され得る。選択された波長における光強度を表すスペクトルが生成され得る。スペクトルを、較正されたスペクトルに基づく様々な処理アルゴリズムにかけてよい。次いで、生成されたスペクトルを、少なくとも1つのスペクトルと比較して(ここで各スペクトルはそれぞれの既知の卵の状態に関連する)、卵の生存を識別することができる。例えば、問題の卵に関するスペクトルは、以下の種類の卵:有精卵、生きた卵、早期死亡卵、中期死亡卵、後期死亡卵、透明卵、亀裂入り卵、腐敗卵、または紛失した卵に関連するスペクトルと比較され得る。この比較は、既知のスペクトルから構築される(1つ以上のアルゴリズムからなる)分析モデルによってスペクトルを処理することを伴い得る。分析モデルの出力は、特定の種類の卵と対応するように設計され得る。
【0028】
スペクトル処理は、基準卵から得られる較正スペクトルから誘導される要因に基づいてスペクトルを(選択的スケーリング及び/またはシフティングのいずれかによって)調節することを伴い得る。これにより、異なる検出器組立体300により、かつ異なる時間で生成されたスペクトルを客観的に比較することができる。基準スペクトルとの比較前のスペクトルの追加の処理は、雑音低減を伴い得る。
【0029】
分光計302は、卵1に関する光強度値をスペクトルに変換するように(例えば、マイクロプロセッサにより)構成され得る。さらに、分光計302は、卵に関して生成されたスペクトルを、既知の卵の状態に関連する少なくとも1つのスペクトルと比較して、卵1の現在状況(すなわち、生存または非生存)を識別するように構成され得る。例えば、生成されたスペクトルは、問題の卵が生きた卵かを判定するために、生きていると知られている卵のスペクトルと比較され得る。同様に、問題の卵が早期死亡、中期死亡、後期死亡、透明、亀裂入り、腐敗、及び/または紛失しているかを判定するために、既知の状態に関連するスペクトルとの比較を行ってもよい。
【0030】
卵識別システム100は、分光計302に動作可能に接続されたコントローラを含み得る。コントローラは、発光源210を制御することができ、分光計302からの信号を受
信及び処理することができる。コントローラは、卵に関して生成されたスペクトルを、既知の卵の状態に関連する複数のスペクトルと比較することもでき、この比較データを使用して、種類(すなわち、生きた、透明、死亡、腐敗)に従って卵を分類することができる。オペレータがコントローラを対話的操作することができるように、オペレータインターフェース(例えば、ディスプレイ)180が好ましくは提供され得る。
【0031】
コントローラは、1)1つ以上の発光源210を起動及び停止させるための制御信号を生成し、2)分光計302からの信号を受信及び処理し、かつ3)各卵に関連するデータを処理及び保存するように構成され得る。コントローラは、プロセッサ500、または好適なソフトウェアを含む他の好適なプログラム式もしくは非プログラム式の回路網を含み得る。コントローラはまた、1つ以上の発光源210及び分光計302を制御し、分光計302からの信号を処理または別様に査定及び評価するために、そのような他のデバイスを必要に応じて含んでもよい。
【0032】
オペレータインターフェース180は、任意の好適なユーザインターフェースデバイスであってよく、好ましくは、タッチスクリーンまたはキーボードを含む。オペレータインターフェース180により、ユーザは、コントローラから様々な情報を回収し、様々なパラメータを設定し、かつ/またはコントローラをプログラム/リプログラムすることができる。オペレータインターフェース180は、他の周辺デバイス、例えば、プリンタ及びコンピュータネットワークへの接続部を含み得る。ケース50内の複数の卵の各々の識別される状態は、一群または一団の卵に関する累積統計とあわせて、オペレータインターフェース180によって図式的に表示され得る。このような累積統計は、分類データを使用して、コントローラによって組み立て、算出、及び/または推定され得る。累積統計は、各群、集団、またはケースについて、早期死亡の百分率、中期死亡の百分率、及び腐敗卵の百分率を含み得る。これらの統計は、孵化器及びインキュベータの動作、ならびに品種または集団の状態及び性能を監視し、評価するのに有用であり得る。
【0033】
本開示の態様によると、エミッタ−検出器対は、吸収分光法モードまたは蛍光分光法モードで動作するように構成され得る。いくつかの場合では、エミッタ−検出器対は、赤外吸収分光法モードで動作するように構成され得る。本明細書に記載される動作モードは、反射分光法に対立するものとして透過分光法に言及し、具体的には、卵1がエミッタ−検出器対間を通るように、エミッタ組立体200及び検出器組立体300が軸方向に整列され、かつ互いの反対側に位置する構成に言及する。
【0034】
吸収分光法は、サンプル(例えば、卵)との相互作用に起因する、周波数または波長の関数としての放射線の吸収を測定する分光技術を指す。これに関して、卵は、放射領域からエネルギー(すなわち、光子)を吸収する。吸収の強度は周波数の関数として変動し、この変動が吸収スペクトルである。吸収分光法は、電磁スペクトル全体で行われ得る。生成された放射線のビームを卵に向け、卵を通過する放射線の強度を検出することができる。透過エネルギーを使用して吸収を算出することができる。発光源210からの放射線が赤外スペクトルの波長内で発生するとき、この技術は赤外吸収分光法と称される。
【0035】
蛍光分光法は、サンプルからの蛍光を分析する一種の電磁分光法を指す。蛍光分光法は、光線を使用してある特定の化合物の分子中の電子を励起し、光を放出させることを伴い、この光は、いくつかの場合では可視光であり得るが、赤外、近赤外、または紫外スペクトル内の光であってもよい。蛍光分光法で使用される分光計は、蛍光光度計(fluorometerまたはfluorimeter)と称され得る。いくつかの場合では、サンプルから放出される蛍光光の異なる波長が測定され、いくつかの場合では、励起光は、放出スペクトルである一定の波長に保たれる。励起スペクトルはその反対であり、放出光が一定の波長に保たれ、励起光が多くの異なる波長を通して走査される。いくつかの場合で
は、ある範囲の励起波長から得られる放出スペクトルを記録し、それらを全て一緒に組み合わせることによって、放出マップが測定される。これは、等高線図として表され得る3次元表面データセットを提示する。いくつかの場合では、マルチスペクトル分析を実装して、ある特定の状態を有する卵の標識を判定することができる。いくつかの態様によると、検出器組立体300は、所定の蛍光波長のみに応答し、一方で、所定の蛍光波長とは異なる波長を有する迷光は検出器組立体300の電子装置に無視されるように調整され得る。
【0036】
本開示のいくつかの態様によると、透過蛍光分光法に関して、1つの波長における強度分類と、2つの励起波長(例えば、約830ナノメートルにおける放出フィルタを使用した約650ナノメートル及び約720ナノメートル等)を使用する比率分類との組み合わせは、高レベルの精度を提供し得る。
【0037】
ここで
図5及び6を参照すると、本開示のいくつかの態様による、卵の分類に使用するためのエミッタ−検出器対500が示されている。示されるエミッタ−検出器対500は、エミッタ組立体200及び検出器組立体300を含み得る。動作中、複数のエミッタ−検出器対500がアレイ状に配設され、卵ケース50(
図4)により支持される卵のそれぞれのアレイを分類するために利用されることができる。示されるエミッタ組立体200は、円筒状のエミッタ収容部202を含み得る。本開示の態様は、エミッタ収容部202の図示される構成に限定されない。エミッタ収容部202は、限定されることなく、様々な形状、大きさ、及び構成を有し得る。エミッタ組立体200のアレイは、卵検出システム160のフレームまたは他の支持部材によって支持され得る。卵検出システム160が非接触様式で動作することから、エミッタ組立体200は、上昇位置と下降位置との間で移動する必要がなくてもよいが、いくつかの場合では、各々がそのために構成されてもよい。
【0038】
図5は、発光源210により放出される電磁放射線がエミッタ組立体200を出るときに移動し得る可能性のある様々な放出経路を示す。以前に言及されたように、機械的光シールを使用せずに卵1を透過した低い透過光レベル9を検出することは、分光法に基づいて卵1の生存を評価する際に問題を呈する。機械的光シールが存在しないことを考慮して、本開示の態様は、卵ケース50を通して反射された光12、隣接する卵から反射された光14、ならびにフレーム120及び他の関連する構成要素から反射された光16等の干渉反射信号の生成を最小限に抑えるように構成され得る。
【0039】
エミッタ組立体200は、放出が首尾一貫して卵1に向けて誘導されるように卵1の長手方向軸に沿って電磁放射線の放出を最大化するとともに、軸外放出の拒絶も最大化するように構成され得る。すなわち、エミッタ組立体200は、迷光の放出を制限しながら、卵1の所定領域上に発光源210の放出を投影するように構成され得、迷光は、卵の所定領域を照射しない、エミッタ組立体200を出る任意の光学エネルギーである。
【0040】
エミッタ収容部202内には、発光源210が配置される。発光源210は、例えば、可視光、赤外光、及び紫外光を含む、電磁スペクトルの様々な波長の電磁放射線を放出するように構成され得る。いくつかの場合では、発光源210は、約400nm〜2600nmの波長範囲内の光を放出するように特に構成されてもよい。いくつかの態様によると、発光源210は、例えば、電磁スペクトルの様々な部分からの光を放出するように構成された、発光ダイオード(LED)280(
図9)、光ファイバー光源285(
図8)、または石英タングステンハロゲン光源290(
図7)で形成されてもよい。しかしながら、本開示の態様は、LEDまたは赤外放射線の使用に限定されない。様々な種類の発光源が、限定されることなく利用され得る。特に、任意の固相励起源が利用され得る。
【0041】
いくつかの態様によると、
図7〜9に示されるように、エミッタ組立体200は、光学フィルタ260を含み得る。いくつかの場合では、発光源210から放出される光を調節するために、モジュレーションホイール262及び関連する駆動組立体が提供され得る。発光源210から放出される電磁放射線を平行化するために、平行化レンズ264が提供されてもよい。放出光がエミッタ組立体200を出ることを可能にしながらエミッタ組立体200の内部構成要素を保護するために、透明なエミッタ保護窓がエミッタ収容部202内に組み込まれてもよい。
【0042】
本開示の態様はまた、検卵作業中に卵を透過した電磁放射線/光を受信するための検出器組立体300を含み得る。検出器組立体300は、エミッタ−検出器対を形成するように、軸方向に整列してエミッタ組立体200の反対側に位置付けられ得る。したがって、複数のエミッタ組立体200及びそれぞれの複数の検出器組立体200は、卵ケース内で運搬される複数の卵を評価することができるエミッタ−検出器対のアレイを形成し得る。
【0043】
以前に記載されたように、いくつかの場合では、検出器組立体300は、検出器のいかなる部分も卵に接触せず、それによって非接触位置を画定するように、検卵操作中に卵から離間してよい。そのような無接触構成は、以前に記載されたように、処理量の増加を可能とし得、後続の卵の汚染を制限し得る。したがって、無接触の特徴を提供するために、指定角度の検出器視野内から卵1により放出された光(これは出力信号を表す)の収集量を最大化しながら、検出器視野の外から収集される光を最低限に抑えるが望ましい場合がある。
【0044】
いくつかの態様によると、
図7〜9に示されるように、検出器組立体300は、透過光が検出器組立体300に進入することを可能にしながら検出器組立体300の内部構成要素を保護するために、検出器収容部302内に組み込まれ得る透明な検出器保護窓を含み得る。検出器組立体300の視野内の卵を透過した電磁放射線を収集するために、平行化レンズ364が提供されてもよい。いくつかの場合では、検出器組立体300は、光学フィルタ360を含み得る。いくつかの場合では、システム内の光学雑音を低減させるために、光パイプ362が提供され得る。いくつかの場合では、光学カップリングレンズ307が提供され得る。適切な回路網が、プロセッサ500に伝送される出力信号を生成するように構成されたセンサ303(例えば、光検出器)と連通していてよい。
【0045】
動作中、卵1がエミッタ−検出器対間に配置されると、発光源210は、卵1に向けられた光を放出することができる。センサ303は、卵5を出る光を受信し得、卵1を出る光の強度に対応する出力信号を生成し得る。
【0046】
コントローラは、検出器組立体300と連通し、かつ卵1の生存を判定するようにセンサ303からの出力信号を処理するように構成された、プロセッサ500を含み得る。卵を通過する光の強度は、所望の波長または標識波長において判定され得、選択された波長における光強度を表すスペクトルが生成され得る。次いで、生成されたスペクトルを、それぞれの既知の卵の状態に関連する1つ以上のスペクトルと比較して、卵の現在状況を識別することができる。例えば、生成されたスペクトルは、以下、生きた卵、早期死亡卵、中期死亡卵、後期死亡卵、透明卵、腐敗卵、及び/または紛失した卵のうちの1つ以上に関連するそれぞれのスペクトルと比較され得る。
【0047】
本開示のいくつかの態様によると、卵検出システム160は、卵識別システム100を通して連続的に移動されながら、生存性に従って卵を識別することが可能であり得る。これに関して、卵ケース50内の卵1は、その生存評価の間、卵識別システム100を通して連続的に移動されることが可能であり得、それにより、所望される最適な処理量が可能となる。その目的で、卵ケース50は、検出器ツールが卵1に接触することを可能にする
ために識別処理中に停止されるか、または別様に検出のために角度をつけて位置付けられる必要がない。しかしながら、いくつかの場合では、卵ケース50は、識別のためにエミッタ−検出器対間で停止または中断され得る。いずれにしても、搬送機システム140は、可変速度で卵ケース50を搬送するように同期され得る。
【0048】
卵1の鈍端20が照射されているものとして示され記載されるが、エミッタ組立体200及び検出器組立体300の位置は、電磁放射線が卵1の尖端10内に上方に向けられ、透過光が鈍端20において検出されるように入れ替えられてもよい。
【0049】
いくつかの態様によると、
図10及び11に示されるように、卵検出システム160は、不透明性識別システム600及び分光法検出システム700を含み得る。分光法検出システム700は、
図5〜9に関して以前に記載された態様によって表される。いくつかの場合では、不透明性識別システム600は、分光法検出システム700から処理方向800において上流に提供されてもよい。不透明性識別システム600は、光電子識別を実装し、搬送される卵ケース50の上に位置するエミッタ組立体(個別のエミッタ610)、及び搬送される卵ケース50の下に位置する受容器組立体を含み得る。不透明性識別システム600は、分光法検出システム700に搬送される前に卵を走査し、卵を非生存(透明)または生存(非透明)として識別する。各エミッタ610は、各卵1を通して光を下方に向けることができ、受容器は、卵を通過した光を集める。各卵1を通過する光を測定して、卵が非生存または生存であるかを判定することができる。光は、約720ナノメートル〜約935ナノメートルの光学帯域幅において放出され得る。
【0050】
これに関して、不透明性識別システム600は、卵を分光法検出システム700に通過させる前に、透明卵、早期死亡卵、または卵ケース50から紛失している卵を識別するために、初回通過識別器として使用され得る。分光法検出システム700の検出器組立体300の飽和を制限するために、エミッタ−検出器対のそれぞれの位置は、不透明性識別システム600によって、例えば、透明、早期死亡、または紛失として識別された卵1に関連する場合、停止、解除、または別様に無効化され得る。すなわち、透明、早期死亡、または紛失している卵1は、著しい量の透過光を検出器組立体300に不必要に到達させる場合がある。したがって、不透明性識別システム600は、コントローラが分光法検出器システム700に関連するエミッタ組立体200及び/または検出器組立体300の動作を選択的に誘導し得るように、卵識別システム100のコントローラと連通してよい。この様式で、ある特定のエミッタ−検出器対が所与の卵ケース50に対して無効化されるべきであることをコントローラに伝えることにより、検出器の飽和を最小限に抑えることができる。
【0051】
いくつかの態様によると、分光法検出システム700を通過する際に各卵に2つ以上のエミッタ−検出器対による評価及び識別を受けさせて、識別システムの精度の改善をさらに確実にすることができる。
【0052】
いくつかの態様によると、エミッタ−検出器対は、卵識別システム160の性能を改善するように、様々な波長または異なる光学帯域幅において動作する様々な部分集合へと細分されてもよい。これは、エミッタ−検出器対が吸収分光法モードまたは蛍光分光法モードで動作しているかに関わらなくてよい。例えば、
図10に示されるように、分光法検出システム700を形成するエミッタ−検出器対は、部分集合710、720、730へと細分され得、各部分集合は、分光法検出システム700を通過する各卵が2回以上、かつその分類の判定において様々な光学帯域幅で分析され得るように、異なる光学帯域幅で動作する。示されるエミッタ−検出器対または部分集合の数は例示のみを目的とすること、及び任意の数のエミッタ−検出器対または部分集合が提供され得ることが理解される。
【0053】
本開示のいくつかの態様によると、
図11に示されるように、分光法検出システム700は、それぞれ吸収分光法モード及び蛍光分光法モードで動作する、吸収分光法システム800及び蛍光分光法システム900を含み得る。これに関して、不透明性識別システム600に加えて、卵検出システム160は、識別精度の改善のために、吸収分光法システム800及び蛍光分光法システム900を含み得る。
【0054】
いくつかの場合では、吸収分光法システム800及び蛍光分光法システム900のエミッタ−検出器対は、分光法検出システム700の性能を改善するように、様々な波長または異なる光学帯域幅において動作する様々な部分集合へと細分されてもよい。例えば、
図11に示されるように、吸収分光法システム800を形成するエミッタ−検出器対は、部分集合810、820、830へと細分され得、各部分集合は、吸収分光法システム800を通過する各卵が2回以上、かつその分類の判定において様々な光学帯域幅で分析され得るように、異なる光学帯域幅で動作する。さらに、蛍光分光法システム900を形成するエミッタ−検出器対は、部分集合910、920へと細分され得、各部分集合は、蛍光分光法システム900を通過する各卵が2回以上、かつその分類の判定において様々な光学帯域幅で分析され得るように、異なる光学帯域幅で動作する。示されるエミッタ−検出器対または部分集合の数は例示のみを目的とすること、及び任意の数のエミッタ−検出器対または部分集合が提供され得ることが理解される。いくつかの場合では、部分集合内であっても、エミッタ−検出器対は、異なる波長または光学帯域幅において動作するように構成され得る。吸収分光法システム800は蛍光分光法システム900の上流に示されるが、いくつかの場合ではこの順序を逆転してもよい。
【0055】
本明細書に記載されるシステム及び方法はまた、卵の評価全体にわたり卵殻構造が無傷なままであるという点で、非侵襲的と称され得る。さらに、本開示の態様は、生存に関して卵を評価するために卵殻または卵の内部成分に物質を導入することを必要としないが、いくつかの場合では、バイオマーカー等のそのような物質が評価前に導入されてもよい。しかしながら、1種以上の物質の導入を含むそのような態様は、侵襲的であるとみなされるであろう。
【0056】
本明細書に記載される本開示の多くの修正形態及び他の態様が、前述の記載及び関連する図面において提示される教示の利益を有する、本開示が属する技術分野の当業者に想起されるであろう。したがって、本開示が開示される特定の態様に限定されないこと、ならびに修正形態及び他の態様が添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書において用いられるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的のためではない。
以下は、本願出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1)
鳥卵の生存を判定するための卵識別システムであって、
複数の卵を含有する卵ケースを搬送するように構成された搬送機システムと、
前記卵ケース内で搬送される前記卵のうちの1つに向けて電磁放射線を放出するように構成されたエミッタ組立体と、
前記エミッタ組立体と軸方向に整列された非接触型検出器組立体であって、前記卵を透過した前記電磁放射線を検出するように構成され、識別のために位置付けられた前記卵が前記非接触型検出器組立体の動作中にその組立体から離間するように、非接触位置に配置される、非接触型検出器組立体と、
前記卵が生存しているかを判定するために、透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理するように構成されたプロセッサと、を備える、前記卵識別システム。
(形態2)
前記非接触型検出器組立体が、前記プロセッサと連通している分光計を含み、前記プロセッサが、選択された波長における光強度を表す前記出力信号に基づいてスペクトルを生成するように構成され、前記プロセッサが、前記生成されたスペクトルを、既知の卵の状態に関連する少なくとも1つのスペクトルと比較して、前記卵の生存状況を識別するようにさらに構成される、形態1に記載の卵識別システム。
(形態3)
前記透過分光法モードが、赤外吸収分光法及び蛍光分光法のうちの1つである、形態1に記載の卵識別システム。
(形態4)
前記エミッタ組立体が、変調信号の形態でそこから放出された前記電磁放射線を変調させるように構成された変調器を備える、形態1に記載の卵識別システム。
(形態5)
前記エミッタ組立体及び前記非接触型検出器組立体が、エミッタ−検出器対を形成し、さらに、部分集合に分割された複数の前記エミッタ−検出器対があり、さらに、前記搬送機システムによって前記卵ケース内で運搬される前記卵の生存を判定するために、前記卵ケース内に収容された各卵が赤外吸収分光分析及び蛍光分光分析の両方を受けるように、前記エミッタ−検出器対の第1の部分集合が、赤外吸収分光法モードで動作するように構成され、前記エミッタ−検出器対の第2の部分集合が、蛍光分光法モードで動作するように構成される、形態1に記載の卵識別システム。
(形態6)
それぞれの卵に関連した不透明性に基づいて前記卵の生存を判定するように構成された不透明性識別組立体をさらに備え、前記不透明性識別組立体が、エミッタ−検出器対の前記第1及び第2の部分集合の上流側に配置され、前記不透明性識別組立体が、前記不透明性識別組立体によって識別された非生存卵が生存判定のために個別のエミッタ−検出器対に搬送されるとその動作を無効化するように構成されたコントローラと連通している、形態5に記載の卵識別システム。
(形態7)
前記エミッタ組立体が、前記非接触型検出器組立体によって検出される波長とは異なる波長における電磁放射線を放出するように構成される、形態1に記載の卵識別システム。
(形態8)
部分集合に分割されている複数の前記エミッタ組立体をさらに備え、前記エミッタ組立体の第1の部分集合が、第1の波長における電磁放射線を放出するように構成され、前記エミッタ組立体の第2の部分集合が、前記第1の波長とは異なる第2の波長における電磁放射線を放出するように構成される、形態1に記載の卵識別システム。
(形態9)
部分集合に分割されている複数の前記非接触型検出器組立体をさらに備え、前記非接触型検出器組立体の第1の部分集合が、第1の光学帯域幅における電磁放射線を検出するように構成され、前記非接触型検出器組立体の第2の部分集合が、第2の光学帯域幅における電磁放射線を検出するように構成される、形態1に記載の卵識別システム。
(形態10)
卵の生存を判定する方法であって、
搬送機システムを使用して、卵ケース内に収容された卵を搬送することと、
エミッタ組立体から前記卵に向けて電磁放射線を放出することと、
前記エミッタ組立体と軸方向に整列された非接触型検出器組立体において、前記卵を透過した電磁放射線を受信することであって、前記非接触型検出器組立体が、前記卵から離間している、受信することと、
前記卵が生存しているかを判定するために、透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することと、を含む、前記方法。
(形態11)
透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することが、選択された波長における光強度を表す前記出力信号に基づいてスペクトルを生成することと、前記生成されたスペクトルを、既知の卵の状態に関連する少なくとも1つのスペクトルと比較して、前記卵の生存状況を識別することと、を含む、形態10に記載の方法。
(形態12)
透過分光法モードで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することが、赤外吸収分光法モード及び透過蛍光分光法モードのうちの1つで前記非接触型検出器組立体の出力信号を処理することを含む、形態10に記載の方法。
(形態13)
エミッタ組立体から電磁放射線を放出することが、変調信号の形態で前記エミッタ組立体から放出された前記電磁放射線を変調させることを含む、形態10に記載の方法。
(形態14)
複数の前記エミッタ組立体及び前記非接触型検出器組立体を提供することをさらに含み、各エミッタ組立体が、エミッタ−検出器対を形成するようにそれぞれの非接触型検出器組立体に関連し、前記エミッタ−検出器対が、部分集合に分割され、前記卵を搬送することが、前記卵が生存判定のために透過吸収分光法及び透過蛍光分光法の両方を受けるように、透過吸収分光法モードを実装する前記エミッタ−検出器対の第1の部分集合と、透過蛍光分光法モードを実装する前記エミッタ−検出器対の第2の部分集合とを通って前記卵を搬送することを含む、形態10に記載の方法。
(形態15)
前記卵に関連した不透明性に基づいて前記卵の生存を判定するように構成された不透明性識別組立体を通して前記卵を搬送することであって、前記不透明性識別組立体が、エミッタ−検出器対の前記第1及び第2の部分集合の上流側に配置される、搬送することをさらに含み、前記不透明性識別組立体によって識別された非生存卵が生存判定のために個別のエミッタ−検出器対に搬送されるとその動作を無効化する前記ステップをさらに含む、形態14に記載の方法。
(形態16)
エミッタ組立体から電磁放射線を放出することが、前記非接触型検出器組立体によって検出される波長とは異なる波長における電磁放射線を放出することをさらに含む、形態10に記載の方法。
(形態17)
部分集合に分割された複数の前記エミッタ組立体を提供することと、前記エミッタ組立体の第1の部分集合から、第1の波長における電磁放射線を放出することと、前記エミッタ組立体の第2の部分集合から、前記第1の波長とは異なる第2の波長における電磁放射線を放出することと、をさらに含む、形態10に記載の方法。
(形態18)
部分集合に分割された複数の前記非接触型検出器組立体を提供することと、前記非接触型検出器組立体の第1の部分集合から、第1の光学帯域幅における電磁放射線を検出することと、前記非接触型検出器組立体の第2の部分集合から、第2の光学帯域幅における電磁放射線を検出することと、をさらに含む、形態10に記載の方法。