特許第6665304号(P6665304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665304
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】近距離場無線電力充電用アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20200302BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200302BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   H02J50/20
   H02J7/00 301D
   G04G19/00 X
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-533141(P2018-533141)
(86)(22)【出願日】2016年12月23日
(65)【公表番号】特表2019-506825(P2019-506825A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】US2016068498
(87)【国際公開番号】WO2017112924
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年12月23日
(31)【優先権主張番号】62/387,206
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/046,026
(32)【優先日】2016年2月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514160238
【氏名又は名称】エナージャス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ホッセイニ,アリスター
(72)【発明者】
【氏名】リーブマン,マイケル,エー.
【審査官】 大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0292451(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0143933(US,A1)
【文献】 特開2008−295176(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/049920(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/20
H02J 7/00
G04G 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体、前記第1の筐体に配置された第1の基板、および前記第1の基板により画定される開口に配置された第1の金属コアを含む送信機同軸構造体と、
第2の筐体、前記第2の筐体に配置された第2の基板、および前記第2の基板により画定される開口に配置された第2の金属コアを含む受信機同軸構造体と、
前記受信機同軸構造体が前記送信機同軸構造体からの閾値距離内にある場合、前記送信機同軸構造体は、前記第1の基板を通して前記第1の金属コアに対して1つまたは複数の無線周波数(RF)信号を搬送するように構成され、
前記受信機同軸構造体と前記送信機同軸構造体が互いに前記閾値距離内にある場合、前記受信機同軸構造体は、前記送信機同軸構造体からの前記1つまたは複数のRF信号により励起されるように構成され、前記第1の金属コアから前記第2の金属コアに前記RF信号が伝送されており、受信した前記1つまたは複数のRF信号を使用可能なエネルギーに変換して前記受信機同軸構造体に接続された電子機器を給電または充電するように構成される、無線充電システム。
【請求項2】
前記送信機同軸構造体は充電機器内に配置され、前記受信機同軸構造体は前記電子機器内に配置され、前記電子機器の表面が前記充電機器の表面に実質的に接触するのに応答して前記1つまたは複数のRF信号が伝送される、請求項1に記載のシステム
【請求項3】
前記閾値距離は約10mm未満である、請求項に記載のシステム
【請求項4】
前記送信機同軸構造体及び前記受信機同軸構造体は、互いに近傍に配置されるように構成されたそれぞれの平坦な表面を含む、請求項に記載のシステム
【請求項5】
記平坦な表面は、互いに近傍にかつ互いに平行に配置される、請求項に記載のシステム
【請求項6】
前記第1の基板はメタマテリアルを含む、請求項1に記載のシステム
【請求項7】
前記第1の基板の中心位置には前記第1の金属コアがる、請求項6に記載のシステム
【請求項8】
前記第2の基板はメタマテリアルを含む、請求項に記載のシステム
【請求項9】
前記第2の基板の中心位置には前記第2の金属コアがる、請求項8に記載のシステム
【請求項10】
前記電子機器と前記充電機器とが、少なくとも前記閾値距離へと互いに向かって引き寄せ合うように、前記充電機器及び前記電子機器のそれぞれに取り付けられた磁石を更に含む、請求項2に記載のシステム
【請求項11】
前記電子機器は着用可能な時計である、請求項に記載のシステム
【請求項12】
前記受信機同軸構造体が前記送信機同軸構造体からの前記閾値距離内にある場合、前記第1の金属コアおよび前記第2の金属コアは同軸である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
無線充電システム中で電子機器を充電する方法において、
第1の筐体、前記第1の筐体に配置された第1の基板、および前記第1の基板により画定される開口に配置された第1の金属コアを含む送信機同軸構造体を提供することと、
第2の筐体、前記第2の筐体に配置された第2の基板、および前記第2の基板により画定される開口に配置された第2の金属コアを含む受信機同軸構造体を提供することと、
前記受信機同軸構造体が前記送信機同軸構造体からの閾値距離内にある場合、
前記送信機同軸構造体は、前記第1の基板を通して前記第1の金属コアに対して1つまたは複数の無線周波数(RF)信号を搬送するように構成され、
前記受信機同軸構造体は、前記送信機同軸構造体からの前記1つまたは複数のRF信号により励起されるように構成され、前記第1の金属コアから前記第2の金属コアに前記RF信号が伝送されており、受信した前記1つまたは複数のRF信号を使用可能なエネルギーに変換して前記受信機同軸構造体に接続された電子機器を給電または充電するように構成される、方法。
【請求項14】
前記送信機同軸構造体は充電機器内に配置され、前記受信機同軸構造体は前記電子機器内に配置され、前記電子機器の表面が前記充電機器の表面に実質的に接触するのに応答して前記1つまたは複数のRF信号が伝送される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記送信機同軸構造体は、前記受信機同軸構造体の近傍に、かつ、前記受信機同軸構造体と平行に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記閾値距離は、約10mm未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の基板はメタマテリアルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の基板はメタマテリアルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記受信機同軸構造体を提供することは、前記第2の基板の中心位置に前記第2の金属コアを形成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電子機器と前記充電機器とが、少なくとも前記閾値距離へと互いに向かって引き寄せ合うように、それぞれの磁石が、前記充電機器及び前記電子機器のそれぞれに取り付けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記電子機器は着用可能な時計である、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記受信機同軸構造体が前記送信機同軸構造体からの前記閾値距離内にある場合、前記第1の金属コアおよび前記第2の金属コアは同軸である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、一般的に無線充電システムに関し、より具体的には、本出願は、無線充電システムと共に使用される近距離場無線電力充電用のアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ラップトップコンピュータ、スマートフォン、携帯用ゲーム機器、タブレット、又はその他などの電子機器は、動作するために電力を必要とする。一般的に理解されるように、電子機器は1日に少なくとも1回、又は使用頻度の高い若しくは電力を大量消費する電子機器では1日に2回以上と、頻繁に充電される。そのような作業は退屈であり、ユーザによっては負担になることがある。例えば、ユーザは、電子機器の電力が不足した場合の用心のために、充電器を持ち運ぶ必要があることがある。更に、ユーザによっては、電子機器を接続する利用可能な電源を見つけなくてはならず、これには時間がかかる。最後に、ユーザによっては、電子機器を充電できるように、壁又は何等かの他の電源にプラグ接続しなくてはならない。しかしながら、そのような作業は、充電中に電子機器を使えなくしたり、又は携帯できなくしたりすることがある。
【0003】
電子機器に無線でエネルギーを伝送するために幾つかの試みがなされており、これらの試みでは、受信機器が伝送されたエネルギーを消費し、それを使用可能な電力に変換することができる。しかしながら、最も常套的な技術では、充電されるべき機器及び無線充電器が互いから非常に近い距離に配置された場合に効果的にはたらくことができないアンテナを採用している。例えば、従来の解決策は送信機及び受信機を採用していることがある。送信機は、給電信号の電力及び周波数の関数である電力で電磁波を放射するように構成されるアンテナを含む。受信機は、送信機によって送信された電力信号を受信するように構成されたアンテナを含む。しかしながら、送信機アンテナと受信機アンテナとが互いにあまりに近くに配置されると、これらのアンテナは結合の結果として離調することがある。送信段階中に、受信された送信信号によって受信アンテナにおいて生成されることがある強い電流の望ましくない注入を防止するために、同調が必要である。受信アンテナにおける送信信号の望ましくない受信は、同調回路の使用によってのみ防止することができ、これは、パッケージの全体的なコストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当技術分野には、従来のアンテナに基づく無線充電システムの上述の欠点に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本明細書に開示する無線電力システムは、上記の欠点に対処することを試み、また、幾つかの他の特徴も提供することがある。本明細書に記載する無線電力システムは、電子機器を充電するために使用される同軸構造体を提供し、それによって、従来の無線充電システムによって使用されるアンテナの上述の欠点を解決する。
【0006】
一実施形態では、無線充電システムは、導体上に存在するRF信号を搬送するように構成された第1の同軸構造体と、第1の同軸構造体からのRF信号によって励起されるように構成された第2の同軸構造体と、を含み、第1の同軸構造体と第2の同軸構造体とが互いに近接して配置されると、電力が第1の同軸構造体から第2の同軸構造体に伝送される。
【0007】
別の実施形態では、無線充電システム中の電子機器を充電するための方法は、第1の平面同軸構造体が第2の平面同軸構造体に近接して配置されると、第1の平面同軸構造体から第2の平面同軸構造体への電力の伝送を可能にするように第1の平面同軸構造体を励起することを含む。
【0008】
更に別の実施形態では、無線充電システムは、RF信号によって励起されるように構成された第2の同軸構造体を含み、第1の同軸構造体と第2の同軸構造体とが互いに近接して配置されると、RF信号が存在する第1の同軸構造体から第2の同軸構造体に電力が伝送される。
【0009】
別の実施形態では、無線充電システムは、RF信号を搬送する第1の同軸構造体を含み、第1の同軸構造体と第2の同軸構造体とが互いに近接して励起されると、電力が第1の同軸構造体から第2の同軸構造体に伝送される。
【0010】
幾つかの実施形態の追加の特徴及び利点が以降の説明において記載され、また、その一部は説明から明らかになるであろう。幾つかの実施形態の目的及び他の利点は、記載された明細書及び特許請求の範囲並びに添付の図面における例示的な実施形態を参照して説明される例示的な構造によって、実現され達成される。
【0011】
前述の一般的な説明及び以降の詳細な説明は共に、例示的であり説明的であることを理解されたい。
【0012】
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を示す。本開示は、以降の図を参照することにより、より一層理解することができる。図の構成要素は必ずしも正確な縮尺ではなく、その代わりに本開示の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示の一実施形態による、第1の同軸構造体の正面図の概略図である。
図1B】本開示の一実施形態による、第1の同軸構造体の背面図の概略図である。
図2A】本開示の一実施形態による、第2の同軸構造体の正面図の概略図である。
図2B】本開示の一実施形態による、第2の同軸構造体の背面図の概略図である。
図3A】幾つかの実施形態による、同軸構造体の励起を示す図である。
図3B】本開示の一実施形態による、第1の同軸構造体及び第2の同軸構造体を示す概略図である。
図4】本開示の一実施形態による、電子機器を示す概略図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態による電子機器の充電の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
図面に図示された例示的な実施形態を参照する。ここでは、これらの実施形態を説明するために、特定の専門用語が使用される。なお、そのような例示的な実施形態を説明することによって、本発明の範囲を限定することは意図していないことが理解されるべきである。本開示を入手している関連分野の当業者が思いつくであろう、例示的な実施形態の変更例及び更なる修正例、並びに本発明の特徴の原理を実装した追加の用途は、本開示の範囲内であるものとみなされるべきである。
【0015】
電子機器、とりわけ着用可能機器は、定期的に充電されなくてはならない。無線充電は、充電工程を簡略化する。充電器は発電機を含むことがあり、電子機器は、無線エネルギーの伝送を受け取るための受信機を含むことがある。発電機及び受信機のそれぞれは、本明細書で説明するように、エネルギーの無線伝送を可能にする同軸構造体を含むことがある。手短に言うと、受信機同軸構造体が送信機同軸構造体の近傍にない場合、送信機同軸構造体の入力インピーダンスは開回路に似ており、従って、電力は送信機同軸構造体から漏出しない。受信機同軸構造体が送信機同軸構造体の近傍に配置され、受信機同軸構造体が送信機同軸構造体と同じRF場分布(モード)で励起された場合に、電力伝送がおこる。
【0016】
図1A及び図1Bは、それぞれ、本開示の一実施形態による、第1の同軸構造体100の正面図及び背面図の概略図である。一実施形態では、第1の同軸構造体100は、充電機器の一部であり得る。別の実施形態では、第1の同軸構造体100は、充電機器に対応するか、又は充電機器に関連付けられていることがある。どちらの場合でも、第1の同軸構造体100は充電機器と電気的に連通していることがある。図示するように、第1の同軸構造体100は一般的に正方形であり、以下で図3Aを参照して更に説明するように、送信機からの伝送線路RF場(即ち、同軸モード)を生成する伝送線路(TL)を含む。第1の同軸構造体100の形状は、代替的に、長方形、円形、又は任意の他の幾何学的若しくは非幾何学的形状であってもよい。
【0017】
第1の同軸構造体100は、複数の側壁102、上面104、及び底面106によって画定される筐体を含むことがある。上面104は、底面106上に延在する。側壁102は、上面104と底面106との間にまたがる。上面は、図示するようにビアを含むことも、又はビアを含まないこともある。実施形態によっては、筐体はプラスチックで形成されるが、代替的に又は追加的に、他の材料、例えば、木材、金属、ゴム、ガラス、又は本明細書に記載する機能を提供することができる任意の他の材料から形成することもできる。図1A及び図1Bに示すように、第1の同軸構造体100は概ね正方形の形状をしているが、他の2次元又は3次元の形状、例えば、立方体、球体、半球体、ドーム状、円錐形、ピラミッド状、又は、開いた形状であろうと若しくは閉じた形状であろうと、任意の他の多角形の若しくは非多角形の形状も可能である。実施形態によっては、第1の同軸構造体100の筐体は防水性又は耐水性である。
【0018】
第1の同軸構造体100は、硬くても又は可撓性を有してもよく、任意選択的に、動かないようにするためのすべり防止底面を含むことがある。同様に、上面104は、上面104と電子機器との間の動きを阻止するために、すべり防止領域を含むか、又は全体的にすべり防止処理されていることがある。更に、固定具又は他のガイドを上面104に取り付けて、ユーザが電子機器を位置決めするのを助けることができる。筐体は、第1の同軸構造体100の様々な構成要素を収容することができる。
【0019】
第1の同軸構造体100は、基板108を含むことがある。基板108は、メタマテリアル、又はFR4などの伝統的な材料、又は当技術分野で知られている任意の他の材料を含むことがある。本開示のメタマテリアルは、無線充電システムの要件と適合した誘電率特性及び透磁率特性をもたらすように開発された広範な種類の合成材料であり得る。本明細書に説明するメタマテリアルは、それ自体で放射し、非常に薄い反射体として作用する。
【0020】
第1の同軸構造体100は、所望の電流を内部に、かつ望ましくない電流を外部に維持するように構成されることがあり、それによって、第1の同軸構造体100内に電流を保持することができる。例示的な実施形態では、電流は、第1の同軸構造体100上で搬送されるRF信号である。第1の同軸構造体100は、コア110を更に含むことがある。コア110は、基板108の中心に形成される。一実施形態では、コア110は、当技術分野で理解されるように、導電体として動作するように金属から作製される。別の実施形態では、コア110は、本開示の範囲から逸脱することなく、当技術分野で知られている任意の適切な材料から作製されることがある。
【0021】
第1の同軸構造体100は、2つの端部を有する同軸コネクタ112を更に含むことがあり、同軸コネクタ112の一方の端部は底面106から延びており、同軸コネクタ112の他方の端部は、接地端子に接続されている。
【0022】
図2A及び図2Bは、それぞれ、本開示の一実施形態による、第2の同軸構造体200の正面図及び背面図の概略図である。一実施形態では、第2の同軸構造体200は、電池を含む、携帯電話などの電子機器の一部であることがある。別の実施形態では、第2の同軸構造体200は、携帯型の電池機器の一部であることがある。更に別の実施形態では、第2の同軸構造体200は、電池を含む着用可能な時計などの電子機器に取り付けられることがある。
【0023】
第2の同軸構造体200は、複数の側壁202、上面204、及び底面206によって画定される筐体を含むことがある。上面204は、底面206上に延在する。側壁202は、上面204と底面206との間にまたがる。実施形態によっては、筐体はプラスチックで形成されるが、代替的に又は追加的に、他の材料、例えば、木材、金属、ゴム、ガラス、又は本明細書に記載する機能を提供することができる他の材料から形成することもできる。図2A及び図2Bに示すように、第2の同軸構造体200は概ね正方形の形状をしているが、他の2次元又は3次元の形状、例えば、立方体、球体、半球体、ドーム状、円錐形、ピラミッド状、又は、開いた形状であろうと若しくは閉じた形状であろうと、任意の他の多角形の若しくは非多角形の形状も可能である。実施形態によっては、第2の同軸構造体200の筐体は防水性又は耐水性である。
【0024】
第2の同軸構造体200は、硬くても又は可撓性を有してもよく、任意選択的に、動かないようにするためのすべり防止底面を含むことがある。同様に、上面204は、上面204と電子機器との間の動きを阻止するために、すべり防止領域を含むか、又は全体的にすべり防止処理されていることがある。更に、固定具又は他のガイドを上面204に取り付けて、ユーザが電子機器を位置決めするのを助けることができる。筐体は、第2の同軸構造体200の様々な構成要素を収容することができる。
【0025】
第2の同軸構造体200は、基板208を含むことがある。基板は、メタマテリアル、又はFR4などの伝統的な材料、又は当技術分野で知られている任意の他の材料を含むことがある。本開示のメタマテリアルは、無線充電システムの要件と適合した誘電率特性及び透磁率特性をもたらすように開発された広範な種類の合成材料であり得る。本明細書に説明するメタマテリアルは、それ自体で放射し、非常に薄い反射体として作用する。
【0026】
第2の同軸構造体200は、所望の電流を内部に、かつ望ましくない電流を外部に維持するように構成されることがあり、それによって、第2の同軸構造体200内に電流を保持することができる。例示的な実施形態では、電流は、第2の同軸構造体200上で搬送されるRF信号である。第2の同軸構造体200は、コア210を更に含むことがある。コア210は、基板208の中心に形成される。一実施形態では、コア210は、当技術分野で理解されるように、導電体として動作するように金属から作製される。別の実施形態では、コア210は、本開示の範囲から外れることなく、当技術分野で知られている任意の適切な材料から作製されることがある。
【0027】
第2の同軸構造体200は、トランスデューサ機器などの回路212を更に含んで、同軸場放射をエネルギーに変換して電子機器の電池を給電又は充電することがある。
【0028】
図3Aは、幾つかの実施形態による、送信機側の同軸構造体302の励起を示す図である。同軸構造体302は、銅表面を有する側壁304、導体306、及び基板308を含むように示されている。基板は、従来型の基板であっても、又はそうではなくてもよい。同軸構造体302が励起されると、RF場分布(モード)310が、銅表面を有する側壁304と導体306との間の基板308に発生する。同軸構造体302の寸法は、制限なく拡大又は縮小することができる。同軸構造体302(図3A)及び312(図3B)は、同一でかつ構造が逆であるか、又は構造は異なるが、同軸構造体302及び312が互いに近傍にあることに基づいてRF場分布(モード)310が生成されるように、2つの同軸構造体302及び312が接続又はさもなければ配置され得るという点で相補的であることがある。一実施形態では、とりわけ、同軸構造体302及び312が小型である場合、同軸構造体302及び312のいずれか又は両方に磁石を統合又は取り付けて、同軸構造体302及び312が互いの近傍にあり続けるように整列し位置決めするのを助けることができる。
【0029】
動作時に、受信機側の同軸構造体312(図3Bを参照)が、図3Aに示すような送信機側の同軸構造体302の近傍に配置されていない場合、送信機ユニットの入力インピーダンスは開回路に類似しており(即ち、入力インピーダンスは無限大であり)、受信機ユニットは、同じRF場分布(モード)で励起されず、電力は同軸構造体302から漏出又は別の態様で伝送されない。しかしながら、図3Bに示すように、受信機側の同軸構造体312が同軸構造体302の近傍に配置されると、受信機ユニットは同じRF場分布(モード)で励起される。
【0030】
図3Bは、本開示の一実施形態による、送信機の第1の同軸構造体302及び受信機の第2の同軸構造体312を示す概略図である。第1の同軸構造体302のより詳細な構造は、図1A及び図1Bを参照して上記で提示した。第2の同軸構造体312のより詳細な構造は、図2A及び図2Bを参照して上記で説明した。
【0031】
図示した図3Bの実施形態では、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312の表面が互いから近接した距離に配置されると、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312のそれぞれに電流が存在するおかげで、同軸場放射が励起されることがある。励起された又は別の態様で生成された同軸場放射は、第1の同軸構造体302及び第2の同軸構造体312の周囲の領域における同軸場放射の分布をもたらし、同軸場放射からの電流の伝送は、受信機によって電力に変換して第2の同軸構造体312に結合された電子機器の電池を充電するために、第1の同軸構造体302から第2の同軸構造体312へ伝送されることがある。図示した実施形態では、近接距離は10mm未満の任意の距離であり得るが、当業者であれば、近接距離は10mm以下には限定されず、開示した実施形態の範囲から逸脱することなく10mm超であってもよいことを、理解するであろう。
【0032】
別の実施形態では、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312の表面を互いに接触させると、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312のそれぞれに電流が存在するおかげで、同軸場放射が生成されることがある。次いで、同軸場放射は、第1の同軸構造体302及び第2の同軸構造体312の周囲の領域に分布し、電力に変換されて第2の同軸構造体312に結合された電子機器の電池を充電することができる。
【0033】
一実施形態では、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312の表面は、磁気の性質を含むことがあり、かつ/又は、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312との間の距離が近接距離未満となるように、第1の同軸構造体302と第2の同軸構造体312の表面を互いに向かって引き寄せ合う磁石を用いて構成されることがある。第1の同軸構造体302及び第2の同軸構造体312が近接して配置されると、第1の同軸構造体302及び任意選択的に第2の同軸構造体312に電流が存在するおかげで、同軸場放射が生成されることがある。同軸構造体302及び312の両方が同じモードであり、互いに近接した位置に配置されると、電力が第1の同軸構造体302から第2の同軸構造体312に伝送される。代替の実施形態では、上面104及び204などの構造は、磁気の性質を有するか、又は、同軸構造体302及び312を互いに近接させて引き寄せ、維持する性質を提供するための磁石を用いて構成されることがある。同軸場放射306は、次いで、整流器及び電力変換器を含む適切な回路を使用して電力に変換されて電子機器の電池を充電することができる。
【0034】
図4は、本開示の一実施形態による、電子機器402を示す概略図である。例示的な電子機器402は、充電機器404の近くに配置されることがある。電子機器402は、電子機器402の電池を充電するために電子機器402に取り付けられた第2の同軸構造体を含む。充電機器404は、第1の同軸構造体を含む。第1の同軸構造体のより詳細な構造は、図1A及び図1Bを参照して上記で説明した。第2の同軸構造体のより詳細な構造は、図2A及び図2Bを参照して上記で説明した。
【0035】
電子機器402は、第2の同軸構造体、並びに本開示に従って充電されることになる電池を含むことがある。実施形態によっては、電子機器402は、1つ又は複数のスイッチ素子、整流器、及び電力変換器を含む回路を含んでおり、整流器及び電力変換器は結合されていることがある。実施形態によっては、第2の同軸構造体が、1つ又は複数のスイッチ素子、整流器、及び電力変換器を含む回路を含むことがあり、整流器及び電力変換器は結合されていることがある。第2の同軸構造体は、電子機器402の内部に配置され、電池と接続されることがある。
【0036】
充電機器404は、第2の同軸構造体を含むことがある。電子機器402及び充電機器404が、電子機器402と充電機器404との間の距離が近接距離未満になるように、互いに近くに置かれると、少なくとも第1及び第2の同軸構造体に電流が存在するおかげで、同軸場放射が生成される。
【0037】
スイッチ素子は、同軸場を検出することができ、かつ、検出された放射が閾値を超える電力レベルに相当する場合に、この放射を整流器に導くことができる。例えば、実施形態によっては、スイッチは、受信された同軸放射が所定の閾値限界より大きな無線電力伝送を示す場合に、受信した同軸場を整流器に導くことがある。他の実施形態では、スイッチは、受信された同軸場が所定の限界値より大きな無線電力伝送を示す場合に、その受信された同軸場を導くことがある。このスイッチングは、電子機器402の電子部品を損傷から保護し、かつ、電力サージがそこに印加されるのを防止するように作用する。
【0038】
生成された同軸場は次いで、電子機器402の電池を充電するための整流回路などの電力変換回路によって電力信号に変換される。実施形態によっては、総電力出力は、連邦通信委員会(FCC)規則第15編(低電力、非認可の第1の同軸構造体)に準拠するために、1ワット以下である。一実施形態では、整流器はダイオード、抵抗器、インダクタ、及び/又はコンデンサを含んで、当技術分野で理解されるように、生成された交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に整流することがある。実施形態によっては、整流器及びスイッチは、損失を最小にするために、技術的に可能な限り近接して配置されることがある。AC電圧を整流した後、DC電圧は電力変換器を使用して調節及び/又は調整されることがある。電力変換器は、入力に関わらず一定の電圧出力を電子機器、又はこの実施形態では電池に提供するのを助けることができるDC−DC変換器とすることができる。
【0039】
図5は、本開示の幾つかの実施形態による電子機器の充電の動作を示す流れ図500である。
【0040】
ステップ502で、第2の同軸構造体を有する電子機器を充電機器に近接して配置することがある。第2の同軸構造体は、電子機器の本体の内部に配置されるか、又は、電子機器の本体に取り付けられることがある。第2の同軸構造体は、所望の電流を内部に、かつ望ましくない電流を外部に維持するように構成されることがあり、それによって、第2の同軸構造体内に電流を維持することができる。
【0041】
充電機器は、第1の同軸構造体を備えることがある。第1の同軸構造体は、電子機器の本体の内部に配置されるか、又は、電子機器の本体に取り付けられることがある。第1の同軸構造体は、所望の電流を内部に、かつ望ましくない電流を外部に維持し、それによって、第1の同軸構造体内に電流を維持するように構成されることがある。
【0042】
ステップ504で、電子機器が充電機器の近接距離内に配置されるのに応答して、充電機器から電子機器に電力を伝送することができる。一実施形態では、近接距離は約10mm未満である。近接距離以内である他の距離も可能である。第1の同軸構造体の平坦な表面が第2の同軸構造体の平坦な表面に近接して配置されると、第1の平坦な同軸構造体が第2の同軸構造体上で同じRF場分布(モード)を励起して、第1の同軸構造体から第2の同軸構造体に電荷を伝送する。
【0043】
ステップ506で、電子機器に給電するために使用される適切な形態のエネルギーに同軸場放射を変換することによって、電子機器を充電することができる。生成された同軸放射は、電子機器の電池を充電するための例えば整流回路などの電力変換回路によって電力信号に変換することができる。整流器はダイオード、抵抗器、インダクタ、及び/又はコンデンサを含んで、当技術分野で理解されるように、生成された交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に整流することができる。実施形態によっては、総電力出力は、連邦通信委員会(FCC)規則第15編(低電力、非認可の第1の同軸構造体)に準拠するために、1ワット以下である。
【0044】
前述の方法の説明及び流れ図は、単に例証的な例として提供されたものであり、様々な実施形態のステップが、提示された順序で実行されなくてはならないことを要求又は意味するように意図したものではない。前述の実施形態におけるステップは、任意の順序で実行されてもよい。「次いで(then)」「次に(next)」等の語は、ステップの順序を限定するように意図したものではない。これらの語は、単に、方法の説明を通じて読者を導くために使用される。工程の流れ図は、動作を逐次的な工程として説明していることがあるが、動作の多くは、並列に又は同時に行うことができる。更に、動作の順序は並べ替えることができる。工程は、方法、関数、手続き、サブルーチン、サブプログラム等に相当することがある。工程が関数に相当する場合、その終了は、呼び出し元関数又は主関数に関数を戻すことに相当することがある。
【0045】
本明細書に開示した実施形態に関連して説明した、様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はその両方の組み合わせとして実装することができる。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、及びステップについては、上記では一般的に、それらの機能性の観点から説明した。そのような機能性がハードウェアとして実装されるか又はソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途及びシステム全体に課される設計制約に依存する。熟練した職人であれば、記載された機能性を特定の用途毎に様々な態様で実装することができるが、そのような実装の決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。
【0046】
開示した実施形態の前述の説明は、当業者が本発明を実施又は使用することができるように提供されたものである。これらの実施形態への様々な修正例は当業者には容易に明らかであり、本明細書で規定する一般的な原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。従って、本発明は、本明細書に示した実施形態に限定されるように意図されるものではなく、以降の特許請求の範囲並びに本明細書に開示した原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を授けられるべきである。
【0047】
様々な態様及び実施形態を開示したが、他の態様及び実施形態も考えられる。開示した様々な態様及び実施形態は、例示の目的のためのものであり、限定することを意図したものではなく、真の範囲及び趣旨は以降の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5