特許第6665316号(P6665316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6665316ポリビニルアルコールポリマーブレンドから製造された水溶性フィルムを有するパウチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665316
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】ポリビニルアルコールポリマーブレンドから製造された水溶性フィルムを有するパウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/46 20060101AFI20200302BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20200302BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   B65D65/46
   C08L29/04 B
   C11D17/04
【請求項の数】17
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2018-553455(P2018-553455)
(86)(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公表番号】特表2019-513643(P2019-513643A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】US2017027414
(87)【国際公開番号】WO2017180870
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】62/321,959
(32)【優先日】2016年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ラベク、レジーヌ
(72)【発明者】
【氏名】クルシェ、フロランス・カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フリードリック、スティーヴン・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】新居 真輔
(72)【発明者】
【氏名】リー、デイヴィド・エム
(72)【発明者】
【氏名】ランマン、マルク・ルネ・ベール
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−518173(JP,A)
【文献】 特開平04−164998(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0275152(US,A1)
【文献】 特開平06−340899(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01298196(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/46
C08L 29/04
C11D 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムと、少なくとも1つの区画内に、該水溶性フィルムによって少なくとも部分的に密閉された家庭用ケア組成物と、を含む、パウチであって、
前記水溶性フィルムが、
カルボキシル化アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、及び任意にビニルアセテートモノマー単位を含む、第1のPVOHポリマーであって、
前記カルボキシル化アニオン性モノマー単位は、前記第1のPVOHポリマー中に3モル%〜6モル%の量で存在し、
前記カルボキシル化アニオン性モノマー単位、マレイン酸モノメチル、その塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるマレイン酸モノアルキル単位に由来する、第1のPVOHポリマーと、
ビニルアルコールモノマー単位、及び任意にビニルアセテートモノマー単位から本質的になる、第2のPVOHポリマーと、を含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、
前記第1のPVOHポリマーが、前記フィルム中の総PVOHポリマーの10重量%〜50重量%の範囲の量で存在する、パウチ。
【請求項2】
前記PVOH樹脂ブレンドが、前記水溶性フィルム中に該フィルムの50重量%〜95重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、前記第1のPVOHポリマー中に3モル%〜5モル%の量で存在する、請求項1又は2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記カルボキシル化アニオン性モノマーが、前記フィルム中の総PVOHポリマーの0.5モル%〜3モル%の範囲の量で存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項5】
前記第1のPVOHポリマーが、前記フィルム中の総PVOHポリマーの20重量%〜50重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項6】
前記第1のPVOHポリマーが、10cP〜40cPの20℃での4%溶液粘度(μ1)を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項7】
前記第1のPVOHポリマーが、60%〜99%の加水分解度を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項8】
前記第2のPVOHポリマーが、60%〜99%の加水分解度を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項9】
前記第2のPVOHポリマーが、3.0cP〜30cPの20℃での4%溶液粘度(μ2)を特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項10】
前記第1のPVOHポリマーが、20℃での4%溶液粘度(μ1)を特徴とし、前記第1のPVOHポリマーと前記第2のPVOHポリマーとの絶対粘度の差|μ2−μ1|が、0cP〜10cPの範囲である、請求項1〜のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項11】
前記第2のPVOHポリマーが、前記フィルム中の総PVOHポリマーの50重量%〜90重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項12】
前記PVOH樹脂ブレンドが、第3のPVOHポリマーを含む、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項13】
前記水溶性フィルムが、PVOHポリマー以外の少なくとも第3の水溶性ポリマーを更に含、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項14】
前記水溶性フィルムが、可塑剤、可塑剤相溶剤、潤滑剤、離型剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、嫌悪剤、界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項15】
前記フィルムの変形されていない厚さが、5〜200μmである、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項16】
前記パウチが、少なくとも2つの区画を更に含、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項17】
前記家庭用ケア組成物が、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、洗濯洗剤ジェル、漂白組成物、洗濯添加剤、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディソープ、他のパーソナルケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜1のいずれか一項に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水溶性フィルムと、少なくとも1つの区画内に、この水溶性フィルムによって少なくとも部分的に密閉された組成物と、を含むパウチに関し、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む。本開示は更に、このパウチの製造方法及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
送達される材料の分散、注入、溶解、及び投入を簡素化するために、水溶性のポリマーフィルムが包装材料として広く使用されている。例えば、水溶性フィルムから製造されたパケットは一般に、家庭用ケア組成物、例えば、洗濯洗剤又は食器用洗剤を収容するパウチを包装するために使用される。消費者は、バケツ、流し又は洗濯機などの混合容器にパウチを直接加えることができる。有利には、これにより、正確な用量が提供されると同時に、消費者が組成物を測定する必要性が排除される。パウチはまた、例えば、ボトルから液体洗濯洗剤を注ぐといったような、容器から同様の組成物を分配するのに付き物である厄介さを低減することができる。パウチはまた、その中の組成物がユーザーの手と接触するのを隔離する。要約して言えば、予め計量された剤を収容する可溶性高分子フィルムのパケットは、種々の用途における消費者の使用利便性を提供する。
【0003】
パウチを製造するために使用される一部の水溶性ポリマーフィルムは、洗浄サイクルの間の溶解が不完全であり、洗浄液中の品物の上にフィルム残留物が残ることがある。このような問題は、パウチを冷水中(例えば、5℃、及び/又は最大10℃若しくは15℃ぐらいの低温の水)で、短い洗浄サイクルで、及び/又は低水位洗浄サイクル(例えば、約3L〜約20Lの洗浄液)で、使用する場合などの、ストレスのかかった洗浄条件下でパウチが使用される場合に、特に発生する可能性がある。とりわけ、環境問題及びエネルギーコストによって、消費者はより低温の洗浄水及びより短い洗浄サイクルの使用を望むようになっている。
【0004】
更に、パウチは、製造直後及び貯蔵後の両方で、包装、輸送、貯蔵、及び使用中に加えられ得る力に耐えるために、適切な強度を有していなければならない。適切な強度は、パウチが、洗濯洗剤などの液体組成物をカプセル化し、意図しない破裂及び/又は漏れを回避するために特に好適であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好な水溶性(例えば、冷水溶性)、好適なパウチ強度、耐化学性、そこから形成されたフィルム若しくはパウチと接触する洗濯用活性成分若しくは他の組成物との化学的及び物理的適合性、並びに/又は熱成形時及び/若しくは適切な封止時の変形性などの所望の機械的特性の所望の特性を有する、水溶性フィルム及びパウチなどの関連する物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、水溶性フィルムと、この水溶性フィルムによって少なくとも部分的に密閉された組成物と、を含むパウチに関する。水溶性フィルムは、本明細書に記載されるように、好ましいポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む。本開示はまた、このパウチの製造方法及び使用方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書の図面は、事実上例示的なものであり、制限的であることを意図したものではない。
図1】パウチの側断面図である。
図2】多区画パウチである。
図3】パウチ強度試験方法に使用する装置の一部の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、水溶性フィルムから製造されたパウチに関し、この水溶性フィルムは、少なくとも一つの区画内に、組成物を少なくとも部分的に密閉し、このフィルムは、PVOH樹脂ブレンドを含む。
【0009】
本開示の具体的に想到される例は、下記の番号付きパラグラフに記載されている。これらの例は、事実上例示的なものであり、制限的であることを意図したものではない。
1.水溶性フィルムと、少なくとも1つの区画内に、この水溶性フィルムによって少なくとも部分的に密閉された家庭用ケア組成物と、を含む、パウチであって、この水溶性フィルムは、カルボキシル化アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、及び任意にビニルアセテートモノマー単位を含む、第1のPVOHポリマーを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、カルボキシル化アニオン性モノマー単位は、第1のPVOHポリマー中に約3モル%〜約6モル%の量で存在し、第2のPVOHポリマーは、ビニルアルコールモノマー単位及び任意にビニルアセテートモノマー単位から本質的になり、第1のPVOHポリマーは、フィルム中の総PVOHポリマーの約10重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、パウチ。
2.PVOH樹脂ブレンドが、水溶性フィルム中にフィルムの約50重量%〜約95重量%、又は約50%〜約80%、より好ましくは約60%〜約75%の範囲の量で存在する、パラグラフ1に記載のパウチ。
3.カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、上記のアルカリ金属塩、上記のエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーに由来する、パラグラフ1又は2に記載のパウチ。
4.カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、及びこれらの組み合わせから選択されるメンバーに由来する、パラグラフ1〜3のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
5.カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、マレイン酸モノメチル、その塩、好ましくはそのアルカリ金属塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるマレイン酸モノアルキル単位に由来する、パラグラフ1〜4のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
6.カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、第1のPVOHポリマー中に約3モル%〜約5モル%、又は約3.5モル%〜約4.5モル%、又は約4モル%〜約4.5モル%の量で存在する、パラグラフ1〜5のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
7.カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、フィルム中の総PVOHポリマーの約0.5モル%〜約3モル%の範囲の量で存在する、パラグラフ1〜6のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
8.第1のPVOHポリマーが、フィルム中の総PVOHポリマーの約10重量%〜約60重量%、好ましくは約20重量%〜約50重量%、より好ましくは約30重量%〜約40重量%の範囲の量で存在する、パラグラフ1〜7のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
9.第1のPVOHポリマーが、約10cP〜約40cP、又は約10cP〜約30cP、又は約12cP〜約25cP、又は約14cP〜約20cPの20℃での4%溶液粘度(μ)を特徴とする、パラグラフ1〜8のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
10.第1のPVOHポリマーが、60%〜約99%、好ましくは約80%〜約98%、好ましくは約83%〜約95%、好ましくは約85%〜約92%の加水分解度を特徴とする、パラグラフ1〜9のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
11.第2のPVOHポリマーが、60%〜約99%、好ましくは約80%〜約98%、好ましくは約85%〜約95%、好ましくは約87%〜約92%の加水分解度を特徴とする、パラグラフ1〜10のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
12.第2のPVOHポリマーが、約約3.0cP〜約40cP若しくは約30cP、又は約7〜約40cP若しくは約30cP、10cP〜約40cP、又は約10cP〜約30cP、又は約12cP〜約25cPの20℃での4%溶液粘度(μ)を特徴とする、パラグラフ1〜11のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
13.第1のPVOHポリマーが、20℃での4%溶液粘度(μ)を特徴とし、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの絶対粘度の差|μ−μ|が、0cP〜約10cPの範囲である、パラグラフ1〜12のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
14.第2のPVOHポリマーが、フィルム中の総PVOHポリマーの約30重量%〜約90重量%、又は約40重量%〜約90重量%、又は約50重量%〜約90重量%、又は約50重量%〜約80重量%、又は約60重量%〜約70重量%の範囲の量で存在する、パラグラフ1〜13のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
15.PVOH樹脂ブレンドが、第3のPVOHポリマーを含む、パラグラフ1〜14のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
16.水溶性フィルムが、PVOHポリマー以外の少なくとも第3の水溶性ポリマーを更に含む、パラグラフ1〜15のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
17.第3の水溶性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、デンプン、変性デンプン、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリレート、並びにこれらの塩、これらのコポリマー、これらのブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ1〜16のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
18.水溶性フィルムが、可塑剤、可塑剤相溶剤、潤滑剤、離型剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、ナノ粒子、漂白剤、界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、パラグラフ1〜17のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
19.水溶性フィルムが、1つ以上の可塑剤をフィルムの約1重量%〜約40重量%の範囲の量で更に含む、パラグラフ1〜18のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
20.フィルムが、嫌悪剤、好ましくは苦味剤、より好ましくは安息香酸デナトニウム、及び/又はその誘導体を含む、パラグラフ1〜19のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
21.フィルムの変形されていない厚さが、約5〜約200μm、又は約20〜約100μm、又は約40〜約85μm、又は約76μmである、パラグラフ1〜20のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
22.パウチが、少なくとも2つの区画、又は少なくとも3つの区画を更に含む、パラグラフ1〜21のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
23.第2の区画が、第1の区画の上に重ねられている、パラグラフ1〜22のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
24.家庭用ケア組成物が、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、洗濯洗剤ジェル、漂白組成物、洗濯添加剤、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディソープ、他のパーソナルケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、パラグラフ1〜23のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
25.組成物が液体の形態である、パラグラフ1〜24のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
26.水溶性フィルムと、少なくとも1つの区画内に、この水溶性フィルムによって少なくとも部分的に密閉された家庭用ケア組成物と、を含む、パウチであって、この水溶性フィルムは、カルボキシル化アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、及び任意にビニルアセテートモノマー単位を含む、第1のPVOHポリマーを含む、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含み、第1のPVOHポリマーは、フィルム中の総PVOHポリマーの約10重量%〜約50重量%の範囲の量で存在し、カルボキシル化アニオン性モノマー単位は、フィルム中の総PVOHポリマーの約0.5モル%〜約3モル%の範囲の量で存在し、第2のPVOHポリマーは、ビニルアルコールモノマー単位及び任意にビニルアセテートモノマー単位から本質的になる、パウチ。
27.カルボキシル化アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、上記のアルカリ金属塩、上記のエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーに由来する、パラグラフ26に記載のパウチ。
29.組成物が液体である、パラグラフ26〜28のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
30.家庭用ケア組成物が、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、洗濯で一般に使用される洗濯洗剤ジェル、漂白組成物、洗濯添加剤、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディソープ、他のパーソナルケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、パラグラフ26〜29のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチ。
31.水溶性フィルムを提供することと、フィルムを成形し開放区画を形成することと、開放区画へ組成物を提供することと、任意に第2のフィルムで、開放区画を封止し、中に組成物が密閉された封止区画を有するパウチを形成することと、を含む、パラグラフ1〜30のいずれか1つのパラグラフに記載のパウチの形成方法。
32.本方法で形成されたパウチが、重ねられた区画を有する多区画パウチとなるように、開放区画を少なくとも第2の封止区画で封止する、パラグラフ31に記載の方法。
33.本方法が、水の存在下で、基材を、パラグラフ1〜30のいずれか1つに記載のパウチの組成物と接触させることを含む、基材の処理方法。
34.本方法が、パウチを水と組み合わせることと、パウチのフィルムの少なくとも一部が、水の存在下で溶解できるようにすることと、その中に収容される組成物を、水で300〜800倍に希釈し、洗浄液を形成することと、及び/又は基材、好ましくは布地を洗浄液と接触させることと、を含み、処理される基材、好ましくは布地が、1つ以上の染みを含んでもよい、パラグラフ33に記載の方法。
35.家庭用組成物を含むパウチを提供し、このパウチが、改善された冷水溶性を示す、パラグラフ1〜33のいずれか1つのパラグラフに記載のフィルムの使用。
【0010】
パウチ、フィルム、組成物、方法、及び使用は、以下により詳細に記載されている。
【0011】
パウチなどの物品を製造するために使用される一部の水溶性ポリマーフィルム(例えば、その中に家庭用ケア組成物を収容することができる)は、洗濯関連組成物を収容するパケットの、通常の使用中、例えば洗濯洗浄サイクル中の、水への溶解が不完全である(例えば、それによって、洗浄液中の品物の上にフィルム残留物が残る)。
【0012】
PVOHをベースとする水溶性ポリマーフィルムは、溶解性の変化を受ける可能性がある。コポリ(ビニルアセテートビニルアルコール)ポリマー中のアセテート基は、当業者によって既知であり、酸又はアルカリ加水分解のいずれかで加水分解可能である。加水分解度が増加すると、PVOHホモポリマー樹脂から製造されたポリマー組成物の機械的強度は増大するが、より低温での溶解性は低下する(例えば、完全に溶解するには、熱水温度が必要である)。これにより、アルカリ環境に(例えば、洗濯漂白添加剤から生じた)PVOHホモポリマー樹脂を露出すると、所与の水性環境(例えば、冷水媒体)中で急速で完全に溶解する樹脂から、水性環境中でゆっくりと及び/又は不完全に溶解する樹脂に転換する場合があり、場合により、洗浄サイクルの最後に未溶解のポリマー残留物をもたらす。これは、商用のPVOHホモポリマー樹脂の特徴を示す、単にビニルアセテート/アセテートコポリマーをベースとするフィルムの適用における固有の欠点である。
【0013】
ビニルアルコール/加水分解メチルアクリレートナトリウム塩樹脂などのペンダントカルボキシル基を備えたPVOHコポリマー樹脂は、隣接するペンダントカルボキシル基とアルコール基との間にラクトン環を形成する場合があり、これによりPVOHコポリマー樹脂の水溶性を低下し得る。洗濯漂白添加剤などの強塩基の存在下で、ラクトン環は比較的暖かい(周囲温度)及び高湿度の条件下で、数週間にわたって開環することができる(例えば、ラクトン環開環反応を介して、水溶性の高い対応するペンダントカルボキシル基とアルコール基とを形成する)。したがって、PVOHホモポリマーフィルムで観察される効果とは反対に、保管中にフィルムとパウチ内のアルカリ組成物との間の化学的相互作用により、このようなPVOHコポリマーフィルムがより可溶性になり得ると考えられている。これにより、経年劣化するにつれて、パケットは、湿潤又は多湿保管条件中又は偶然の水への露出で、早期に溶解する傾向が高まる場合があり、漂白剤の存在と得られたpHの影響により、パウチの強度の低下及び/又は特定の洗濯活性成分の効果が低下し得る。あるいは、フィルムを、例えばpH7〜8程度のほぼ中性のpH配合物に接触させると、ラクトン環の量が増加する場合があり、場合によりパウチが比較的不溶性になる。
【0014】
追加的に、熱成形における良好な変形性及び封止性を確保するのに十分な形成性を有するだけでなく、また良好なパウチ強度を確保するのに十分な結晶性を有するようにパウチ状に形成されることが、PVOH水溶性にとって望ましい。一見相反する特性の間のバランスが良好であることが望ましい。
【0015】
本明細書に記載される問題のうち少なくとも一部又は全ては、慎重に選択されたPVOH樹脂ブレンドを有するフィルムを含むパウチを提供することにより対処することができる。特に、アニオン性コポリマー中のアニオン性モノマー単位の同一性及び量、並びにフィルム中の総PVOH樹脂の重量に対するPVOH樹脂ブレンド中のアニオン性コポリマーの総量の慎重な選択により、特に望ましい特性を有するフィルム及びパウチを提供することが見出された。
【0016】
本開示は、以下により詳細に記載するように、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンド、及び任意に可塑剤、充填剤、界面活性剤、及びその他の添加剤などの1つ以上の追加の成分を含む水溶性フィルムを含むパウチに関する。パウチは、例えば家庭用ケア組成物などの組成物を収容することができる。本開示の組成物及びプロセスの構成要素は、以下により詳細に記載されている。
【0017】
用語の定義
本明細書において使用する場合、特許請求の範囲で使用されるときの「a」及び「an」という冠詞は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ又は2つ以上を意味すると理解される。本明細書において使用する場合、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語は、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなることができる。
【0018】
本明細書では、用語「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」が使用され得る。これは、指示される物質が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的に組成物に添加されない、又は、好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、示された材料が意図的に含まれる他の材料の1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。示された材料は、もしある場合は、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%のレベルで存在してもよい。
【0019】
本開示のパウチは、組成物、例えば、家庭用ケア組成物を収容してもよい。組成物は、液体、固体、又はこれらの組み合わせから選択することができる。本明細書において使用する場合、「液体」は、自由流動性液体、並びにペースト、ゲル、泡、及びムースを含む。液体の非限定的な例には、軽質及び重質液体洗剤組成物、布地柔軟剤、洗濯で一般に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤が挙げられる。気体(例えば、懸濁気泡)又は固体(例えば、粒子)は、液体に含まれてもよい。本明細書において使用する場合、「固体」は、粉末、粒塊、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。固体の非限定的な例としては、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、及び真珠光沢ボールが挙げられる。固体組成物は、洗浄中の利点、前処理の利点、及び/又は審美的効果であるがこれらに限定されない技術的利点を提供することができる。
【0020】
本明細書において使用する場合、「ホモポリマー」という用語は、一般に単一タイプのモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一モノマー繰り返し単位からなる、又は本質的になるポリマー鎖)を含む。特にPVOHの場合、「ホモポリマー」(又は「PVOHホモポリマー」若しくは「PVOHポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位の分布を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位からなる、又は本質的になるポリマー鎖)を更に含む。限定的な100%加水分解の場合、PVOHホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する真のホモポリマーを含むことができる。
【0021】
本明細書において使用する場合、「コポリマー」という用語は、一般に2つ以上のタイプのモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどであるかどうかに関わらず、2つ以上の異なるモノマー繰り返し単位からなる、又は本質的になるポリマー鎖)を含む。特にPVOHの場合、「コポリマー」(又は「PVOHコポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位の分布、並びに少なくとも1つの他のタイプのモノマー繰り返し単位を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位、ビニルアセテートモノマー単位、及び1つ以上の他のモノマー単位、例えばアニオン性モノマー単位からなる、又は本質的になるター−(又はそれ以上)ポリマー鎖)を更に含む。限定的な100%加水分解の場合、PVOHコポリマーは、ビニルアルコール単位及び1つ以上の他のモノマー単位を有するコポリマーを含み得るが、ビニルアセテート単位を含まない。
【0022】
本明細書において使用する場合、特に指定のない限り、「重量%(wt.%及びwt%)」という用語は、フィルム全体の「乾燥」(水以外)重量部(適用できる場合)又はパウチ内に密閉された全組成物の重量部(適用できる場合)中の特定された成分の組成物を指すことを意図している。本明細書において使用する場合、特に指定のない限り、「phr」という用語は、水溶性フィルム中の水溶性ポリマー(又は樹脂、PVOHであるか否かを問わず)100重量部当たりの特定された成分の組成物の部を指すことを意図している。
【0023】
特に明記しない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源中に存在し得る不純物、例えば、残留溶剤又は副生成物は除外される。
【0024】
本明細書における全ての温度は、特に断らない限り、摂氏(℃)を単位とする。特に規定がない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で行う。
【0025】
本開示において、全ての百分率は、特に記載のない限り、全組成物の重量を基準としている。別途記載のない限り、全ての比は重量比である。
【0026】
本明細書の全体を通して記載される全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含むことになる。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明示的に記載されているかのように含むことになる。
【0027】
パウチ
本開示は、パウチに関する。パウチは、本明細書に記載される水溶性フィルムを含んでいてもよい。フィルムは、少なくとも部分的に又は完全に組成物を密閉できる区画へと成形してよい。
【0028】
パウチは、典型的には少なくとも1つの封止区画を含む。パウチは、単一区画又は少なくとも2つの区画若しくは少なくとも3つの区画などの複数区画を含むことができる。
【0029】
図1は、界面30で封止された水溶性ポリマーフィルム10、20から形成した水溶性パウチ100の物品を示す。フィルム10、20の一方又は両方は、本開示の第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーのPVOH樹脂ブレンドを含む。フィルム10、20は、水性環境中に放出するための任意の所望の組成物50を収容する内部パウチ容器容積40を画定する。組成物50は、特に限定されず、例えば以下に記載される様々な洗浄組成物のいずれかを含む。
【0030】
多区画を含む実施例では、各区画は同じ及び/又は異なる組成物を収容することができる。また、組成物は、液体、固体、及びこれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁した固体)などの任意の好適な形態を取ることができるが、これらに限定されない。パウチは、第1、第2、及び第3の区画を含むことができ、各区画はそれぞれ異なる第1、第2、及び第3の組成物を収容することができる。
【0031】
多区画パウチの区画は、同じ又は異なる大きさ及び/又は容量であってもよい。本発明の多区画パウチの区画は、分離されていてもよく、又は任意の好適な様式で接合されてもよい。第2及び/若しくは第3の、並びに/又はそれに続く区画が、第1の区画に重ね合わせられてもよい。第3の区画が、第2の区画に重ね合わせられてもよく、次にこれが第1の区画上に挟み込む配置で重ね合わせられてもよい。あるいは、第2及び第3の区画が、第1の区画に重ね合わせられてもよい。しかしながら、第1、第2、及び任意に第3の、及びそれに続く区画を、隣り合わせたもの同士互いに接着できることも同様に予想される。区画を一続きにパックして、ミシン目線により各区画をそれぞれ分離されているようにしてもよい。それゆえ例えば、区画に含まれる組成物で布地を前処理又は後処理するために、各区画がエンドユーザにより一続きの残りの部分からそれぞれ切り離されてもよい。第1の区画は、例えば、タイヤとリム構成、又はパウチ内パウチ構成で、少なくとも第2の区画に取り囲まれていてもよい。
【0032】
多区画パウチは、1つの大きい第1の区画と2つのより小さな区画とからなる3つの区画を含んでもよい。第2及び第3のより小さな区画は、第1のより大きな区画上に重ね合わせられる。区画の大きさ及び形状は、この配置を達成できるように選択される。区画の形状は同じでも異なっていてもよい。第2及び任意に第3の区画は、それぞれ第1の区画と比較して異なる形状及び外形を有してもよい。第2及び任意に第3の区画は、第1の区画上のデザイン中に配置されてもよい。例えば、この設計は、コンセプト又は取扱の説明に役立つように装飾的、教育的、例証的であってもよく、及び/又は製品の供給元を示すために使用されてもよい。第1の区画は、全周が封止された2つの大きな面を有する最大区画であってもよく、第2の区画は、それより小さく、第1の区画の1面の表面積の約75%未満、又は約50%未満を覆っている。第3の区画がある場合、前述の構造は同じであってもよいが、第2及び第3の区画は、第1の区画の1面の表面積の約60%未満、又は約50%未満、又は約45%未満を覆っている。
【0033】
図2は、水溶性フィルム5から形成した水溶性多区画パウチ1の物品を示す。パウチ1は、3つの区画を有し、2つのより小さな区画3、4は、1つのより大きな下部区画2の上に重ねられている。
【0034】
本開示の物品、パウチ、及び/又はパケットは、1つ以上の異なるフィルムを含んでもよい。例えば、パウチが単区画を含む場合、パウチは、2つに折り畳んで端部を封止した1つの壁から製造されてもよく、又は別の方法としては、端部を共に封止した2つの壁から製造されてもよい。パウチが多区画を含む場合、パウチは、任意の所定のパケット区画が、単一のフィルム、又は異なる組成を有する複数のフィルムから製造された壁を含み得るように1つ以上のフィルムから製造されてもよい。多区画パウチは、上外壁、下外壁、及び仕切り壁の少なくとも3つの壁を備えることができる。上外壁及び下外壁は、一般に対向しており、パウチの外面を形成する。仕切り壁は、パウチの内部にあり、一般には対向する外壁に封止線に沿って固定されている。仕切り壁は、多区画パウチの内部を少なくとも第1の区画及び第2の区画に分離する。
【0035】
パウチ及びパケットなどの物品は、任意の好適な装置及び方法を用いて製造されてもよい。例えば、単一区画パウチは、一般に当該技術分野において既知の垂直形式充填技術(vertical form filling technique)、水平形式充填技術(horizontal form filling technique)、又は回転ドラム充填技術(rotary drum filling technique)を用いて製造されてもよい。そのようなプロセスは、連続的又は断続的のいずれであってもよい。フィルムを湿らせて、及び/又は加熱して、その展性(malleability)を高めてもよい。また、本方法は、フィルムを好適な成形型の中に引き込むために真空の使用を伴ってもよい。フィルムを成形型に引き込む真空は、フィルムが表面の水平部にある時点で、約0.2〜約5秒、約0.3〜約3、又は約0.5〜約1.5秒の間適用され得る。この真空は、例えば、1kPa〜100kPa(10mbar〜1000mbar)の範囲、又は10kPa〜60kPa(100mbar〜600mbar)の範囲の圧力を提供するようなものであり得る。
【0036】
その中にパケットなどの物品が製造される成形型は、必要とされるパウチ寸法に応じた任意の形状、長さ、幅及び深さを有することができる。成形型はまた、望ましい場合、寸法及び形状が互いに異なっていてもよい。例えば、最終パウチの体積は、約5mL〜約300mL、約10〜150mL、又は約20〜約100mLであってもよく、成形型の寸法はこれに従って調整される。
【0037】
パウチは、第1及び第2の封止区画を含んでもよい。第2の封止区画及び第1の封止区画がパウチに内設された仕切り壁を共有するように、第2の区画は、第1の封止区画と概ね重ねられた関係にあってもよい。
【0038】
パウチは、第1及び第2の区画を含んでよく、第3の封止区画を更に含んでもよい。第3の封止区画及び第1の封止区画がパウチに内設された仕切り壁を共有するように、第3の封止区画は、第1の封止区画と概ね重ねられた関係にある。
【0039】
第1の組成物と第2の組成物は、次の組み合わせのうちの1つから選択してもよい。液体、液体;液体、粉末;粉末、粉末;及び粉末、液体。第1、第2、及び第3の組成物は、次の組み合わせのうちの1つから選択してもよい。固体、液体、液体;液体、液体、液体;液体、固体、液体;固体、固体、液体;固体、固体、固体。
【0040】
単一の区画又は複数の封止区画が、組成物を収容してもよい。複数の区画が、それぞれ、同じ又は異なる組成物を収容してもよい。組成物は、液体、固体、又はこれらの組み合わせから選択された形態であってもよい。組成物は、液体、個体、粉末、ビーズ、又はこれらの混合物の形態であってもよい。
【0041】
組成物は、例えば、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、手洗い食器洗浄及び自動食器洗浄組成物を含む硬質表面洗浄用組成物、洗濯で一般に使用される洗剤ゲル、漂白組成物、洗濯添加剤、布地柔軟剤組成物、シャンプー、ボディソープ、他のパーソナルケア組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される家庭用ケア組成物などの家庭用ケア組成物であってもよい。
【0042】
水溶性フィルム
本開示のパウチは、水溶性フィルムを含む。水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂ブレンドを含む。PVOH樹脂ブレンドは、2つ以上のPVOHポリマー、好ましくは2つのPVOHポリマーを含む。フィルムの組成物については、以下により詳細に議論される。
【0043】
ポリビニルアルコールポリマー
水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含む。より具体的には、本開示のフィルムは、PVOHホモポリマー(例えば、実質的にビニルアルコール単位のみ、及び任意にビニルアセテートモノマー単位を含む)、及びPVOHコポリマー(例えば、ビニルアルコール及び任意にビニルアセテート単位に加え、1つ以上の他のモノマー単位を含む)を含む。
【0044】
PVOHは、一般にポリビニルアセテートのアルコール分解(通常、加水分解又はけん化と呼ばれる)により調製される合成樹脂である。実質上全てのアセテート基がアルコール基に変換された、完全に加水分解されたPVOHは、強力に水素結合された高結晶性ポリマーであり、約60℃(約140°F)より高い熱水にのみ溶解する。ポリビニルアセテートの加水分解後に十分な数のアセテート基が残されている場合、すなわちPVOHポリマーが部分的に加水分解されている場合、PVOHポリマーは、より弱く水素結合された低結晶性であり、一般に約10℃(約50°F)未満の冷水に溶解する。中位の冷水又は熱水溶性フィルムは、例えば、中位に部分的に加水分解されたPVOH(例えば、約94%〜約98%の加水分解度)を含むことができ、温水にのみ容易に溶解する(例えば、約40℃以上の温度にて急速に溶解する)。完全に又は部分的に加水分解されたPVOHタイプの両方は、一般にPVOHホモポリマーと呼ばれるが、部分的に加水分解されたタイプは、技術的にはビニルアルコール−ビニルアセテートコポリマーである。
【0045】
本開示の水溶性フィルムに含まれているPVOHポリマーの加水分解度(DH)は、約75%〜約99%の範囲(例えば、約79%〜約92%、約86.5%〜約89%、又は約88%、冷水溶性組成物などで、約90%〜約99%、約92%〜約99%、又は約95%〜約99%)であってもよい。加水分解度が低下するにつれて、樹脂から製造されたフィルムの機械的強度が低下するが、約20℃未満の温度での溶解は速くなる。加水分解度が増加するにつれて、ポリマーから製造されたフィルムの機械的強度は増加しがちであり、熱成形性及び溶解は、特に洗浄温度が低いと減少しやすい。
【0046】
PVOHの加水分解度は、ポリマーの水溶性が温度に依存するように選択されてもよく、これによりポリマー、任意の相溶剤ポリマー、及び追加の成分から製造されたフィルムの溶解度にも影響を及ぼし得る。1つのオプションでは、フィルムは、冷水溶性である。10℃未満の温度で水に可溶性である冷水溶性フィルムは、約75%〜約90%の範囲、又は約80%〜約90%の範囲、又は約85%〜約90%の範囲、又は約87%〜約90%の範囲の加水分解度を有するPVOHを含むことができる。別のオプションでは、フィルムは、熱水可溶性である。少なくとも約60℃の温度で水に可溶性である熱水溶性フィルムは、少なくとも約98%の加水分解度を有するPVOHを含むことができる。
【0047】
水溶性ポリマー(例えば、PVOH樹脂ブレンドのみ、又は他の水溶性ポリマーと組み合わせて)は、約50重量%、又は約60重量%から、及び/又は約70重量%、又は約80重量%、又は約90重量%、又は約95%の範囲の量でフィルム中に含まれることができる。例えば、PVOH樹脂ブレンドは、水溶性フィルム中にフィルムの約50重量%、約60重量%から、及び/又は約70重量%、又は約80重量%、又は約90重量%、又は約95重量%の範囲の量で存在してよい。好ましくは、樹脂ブレンドは、フィルム中に約50%〜約80%、より好ましくは約60%〜約75%存在する。
【0048】
全ての可塑剤(水を含む)、相溶化剤、及び二次添加剤の結合量と比較して、全ての水溶性ポリマーの量の重量比は、例えば、約0.5〜約18、約0.5〜約15、約0.5〜約9、約0.5〜約5、約1〜3、又は約1〜2の範囲であり得る。好ましくは、この比は、約1〜約3、より好ましくは約1.3〜約2.5である。特異的な量の可塑剤及び他の非ポリマー組成物は、水溶性フィルムの目的の用途に基づいて、特定の実施形態において選択することができ、所望のフィルム機械的特性を考慮して、フィルムの柔軟性を調整し、加工利点を付与することができる。
【0049】
PVOH樹脂ブレンドは、1つ以上のタイプのアニオン性モノマー単位(例えば、PVOHター−(又はそれ以上のコ−)ポリマー)、好ましくは1タイプのアニオン性モノマー単位を含むPVOHポリマー(「第1のPVOHポリマー」)である第1のPVOH樹脂を含む。PVOH樹脂ブレンドは、ビニルアルコールモノマー単位及び(任意に)ビニルアセテートモノマー単位から本質的になるPVOHポリマー(「第2のPVOHポリマー」)である第2のPVOH樹脂を含む(例えば、完全に加水分解されたポリビニルアルコール又は部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアセテート)の組み合わせのいずれかであるPVOHホモポリマー。好ましくは、PVOH樹脂ブレンドは、第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーのみを含む(例えば、2つのポリマーの二成分ブレンド)。代替的又は追加的に、PVOH樹脂ブレンド、水溶性フィルム、又は両方は、他のポリマー(例えば、一般に他の水溶性ポリマー、具体的には他のPVOH系ポリマー、又はその両方)を含まないか、又は実質的に含まないことを特徴とすることができる。水溶性フィルムは、1つ以上の追加の水溶性ポリマーを含むことができる。例えば、PVOH樹脂ブレンドは、第3のPVOHポリマー、第4のPVOHポリマー、第5のPVOHポリマー(例えば、アニオン性モノマー単位を有する、又は有さない、1つ以上の追加のPVOHホモポリマー又はPVOHコポリマー)などを含むことができる。例えば、水溶性フィルムは、PVOHポリマー以外(例えば、アニオン性モノマー単位を有する、又は有さない、PVOHホモポリマー又はPVOHコポリマー以外)の少なくとも第3(又は、第4、第5など)の水溶性ポリマーを含むことができる。
【0050】
PVOH樹脂ブレンドは、第1のPVOHポリマーを含む。第1のPVOHポリマーは、アニオン性モノマー単位を含む。第1のPVOHポリマーは、ビニルアルコールモノマー単位、ビニルアセテートモノマー単位(すなわち、完全に加水分解されていない場合)、及び単一タイプのアニオン性モノマー単位(例えば、単一タイプのモノマー単位は、アニオン性モノマー単位の同等の酸形態、塩形態、及び任意に残留エステル形態を含むことができる)を含むPVOHターポリマーであり得る。PVOHコポリマーは、2種以上のアニオン性モノマー単位を含むことができる。好ましくは、PVOHコポリマーは、単一タイプのアニオン性モノマー単位を含む。
【0051】
第1のPVOHポリマー中のアニオン性モノマー単位は、カルボキシル化アニオン性モノマー単位に由来し得る。本明細書において使用する場合、「カルボキシル化アニオン性モノマー単位」は、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステル及び無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステル及び無水物、並びに上記のいずれかの塩、好ましくはそのアルカリ金属塩、に対応するビニル重合単位を含む。
【0052】
驚くべきことに、モノマレエート単位などのカルボキシル化モノマーを有するアニオン性ポリマーが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩などのスルホン化モノマーを含有するもののような他のアニオン性ポリマーと比較して、特定の利点を提供することが見出された。理論に束縛されることを望むものではないが、モノマレエート単位などのカルボキシル化モノマーは、良好なパウチ強度を更に確保するため、ポリマーパッキング、及びそれによりもたらされるフィルムの結晶性を過度に破壊せずに、ポリマーパッキング、つまりフィルムの結晶性を十分に破壊する適切なバランスをもたらし、良好なフィルム溶解を可能にすると考えられている。
【0053】
好適なアニオン性モノマー単位の例としては、ビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられ、このビニルアニオン性モノマーには、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、上記のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又は他のアルカリ金属塩)、上記のエステル(例えば、メチル、エチル、又は他のC〜C又はCアルキルエステル)、及びこれらの組み合わせ(例えば、複数のタイプのアニオン性モノマー、又は同じアニオン性モノマーの同等物)が挙げられる。カルボキシル化アニオン性モノマー単位は、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。好ましくは、カルボキシル化アニオン性モノマー単位は、マレイン酸モノアルキルモノマー単位である。マレイン酸モノアルキルモノマー単位は、マレイン酸モノメチル、そのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることが好ましい。マレイン酸モノアルキルモノマーは、マレイン酸モノメチルであることが好ましい。
【0054】
1つ以上のアニオン性モノマー単位は、第1のPVOHポリマー中に所定の量で組み入れられるか、又は存在してもよい。典型的には、アニオン性モノマー含量が増加するにつれて、PVOHポリマー樹脂、樹脂ブレンド、及び/又はこのような樹脂又は樹脂ブレンドから製造されたフィルムの溶解度も増加する。より高いアニオン性モノマー含量を有するPVOHポリマーを含むフィルムはまた、相対的に高い粘着度を有することができ、より高い封止性を示すことができる。しかし、相対的な粘着度が高すぎる水溶性フィルムは、粘着フィルムをパウチに変換することが困難であるため、望まれない場合がある。
【0055】
アニオン性モノマー単位の量は、第1のPVOHポリマー中のアニオン性モノマー単位のモル含量(例えば、モル%で表現される)を特徴としてもよい。1つ以上のアニオン性モノマー単位は、第1のPVOHポリマー中に、個別で又は一括して、約3モル%〜約6モル%、又は約3モル%〜約5モル%、又は約3.5モル%〜約4.5モル%、又は約4モル%〜約4.5モル%の範囲の量で存在してよい。アニオン性モノマー単位(複数)は、第1のPVOHポリマー中に、少なくとも4.0モル%の約3.0、3.5モル%、及び/又は最大約6.0、5.5、5.0、又は4.5モル%の量で存在してよい。
【0056】
代替的又は追加的に、アニオン性モノマー単位(複数)は、例えば、フィルム中のPVOHポリマーの総量(例えば、PVOH樹脂ブレンド中のホモポリマー(複数)及びコポリマー(複数)を含むPVOHポリマーの合計)と比較した、アニオン性モノマー単位のモル含量(モル%)として、PVOHフィルム中に存在するアニオン性モノマー単位を特徴としてもよい。アニオン性モノマー単位(複数)は、水溶性フィルム中に、フィルム中の総PVOHポリマーの約0.5モル%〜約3モル%の範囲の量で存在してよい。アニオン性モノマー単位(複数)は、フィルム中に、フィルム中の総PVOHポリマーの少なくとも約0.5、0.75、1.0、若しくは1.2モル%、及び/又は最大約3.0、2.5、2.0、若しくは1.7モル%の量で存在してよい。例えば、(カルボキシル化)アニオン性モノマー単位を含む第1のPVOHポリマーは、約20重量%/80重量%のブレンドから約80重量%/20重量%のブレンドで、ホモポリマーなどの第2のPVOHポリマーとブレンドされてよく、平均ブレンドアニオン性モノマー単位の含量が、総PVOHポリマーの約0.5モル%〜約3モル%を実現してよい。上記のアニオン性モノマー単位の含量はまた、フィルム、PVOH、又はその他の中の総水溶性ポリマー含量に対して代替的又は追加的に適用することができる。
【0057】
ポリビニルアセテートをポリビニルアルコールにけん化するための溶剤は、典型的には、乾燥後も得られるPVOH粉末中に残留し得るメタノールである。PVOHを溶解すると、メタノールは大気中に放出される。これにより、PVOH粉末中に残留するメタノール含量が、3重量%未満、又は更には1重量%未満まで低下することが望ましい。揮発性有機物を除去する方法は、乾燥工程中に水分含有ガスを供給し、揮発性有機物をPVOHポリマー中の水と置換することを含む。しかし、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル、又は無水物で変性されたPVOHは、水に対する親和性が高く、水性ガスの使用により粉末粒子の表面が溶解して粒子の凝集が起こり、PVOHの加工を困難にする。あるいは、高温での長時間の加熱を用いて残留メタノールを除去する。しかし、このような高温は、PVOHヒドロキシル部分とモノエステル、ジエステル及び/又は無水物単位との間の架橋を促進し、不溶性成分を生成する。
【0058】
PVOHコポリマー中の残留メタノールの量を低減するために、けん化されたコポリマーを、酢酸メチル含量が約45体積%以上、60体積%以上、又は70体積%以上であるメタノール/酢酸メチルの混合物中で洗浄する。例えば、けん化工程後に得られたPVOHゲルを、メタノール/酢酸メチルが15/85(v/v)の割合で粉砕することができる。
【0059】
更に、メタノール量を低減するために、95重量%超が1.0mmのふるいを通過するか、又は30%超が500マイクロメートルのふるいを通過するか、又は45%超が500マイクロメートルのふるいを通過するように、最終PVOH樹脂の粒径を小さくできる。最終PVOH樹脂の粒径が大きく過ぎても、メタノールの揮発が困難となる。
【0060】
エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル、又は無水物を含有するPVOHコポリマーについて、部分けん化によってラクトン環形成物と変性コポリマーの比を制御することにより、不溶性成分の量を低減することができる。ラクトン環形成物と変性コポリマーの比は、等式(Q)によって記載することができる。
0.05≦Y/X<0.98 (Q)
式中、Xは変性コポリマー、Yはラクトン環形成物である。不溶性材料の量を低減させるために、Y/Xは、約0.80以下、約0.60以下、約0.40以下である。
【0061】
PVOH樹脂ブレンドは、第2のPVOHポリマーを含む。第2のPVOHポリマーは、ビニルアルコールモノマー単位、及び任意にビニルアセテートモノマー単位(例えば、PVOHホモポリマー)から本質的になる。
【0062】
水溶性フィルムは、少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、若しくは90重量%、及び/又は最大約60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、若しくは99重量%のPVOH樹脂ブレンドを含有し得る。好ましくは、樹脂ブレンドは、フィルム中に約50%〜約80%、より好ましくは約60%〜約75%存在する。
【0063】
第1のPVOHポリマーは、水溶性フィルム中に、フィルム中の総PVOHポリマーの(すなわち、PVOH樹脂ブレンド重量に対して)約10重量%〜約70重量%、又は約10重量%〜約60重量%、又は約20重量%〜約50重量%、又は約30重量%〜約40重量%の範囲の量で存在してよい。例えば、第1のPVOHポリマーは、フィルム中の総PVOHポリマーの少なくとも約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、及び/又は最大約70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、若しくは10重量%、好ましくは、少なくとも約30重量%、及び/又は最大約40重量%の量で存在してよい。第1のPVOHコポリマーの上記の濃度は、代替的又は追加的に、フィルム、PVOH、又はその他の中の総水溶性ポリマー含量に関連し得る。
【0064】
第2のPVOHポリマーは、フィルム中の総PVOHポリマーの(すなわち、PVOH樹脂ブレンド重量に対して)約30重量%〜約90重量%、又は約40重量%〜約90重量%、又は約50重量%〜約80重量%、又は約60重量%〜約70重量%の範囲の量で存在してよい。例えば、第2のPVOHポリマーは、フィルム中の総PVOHポリマーの少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、若しくは60重量%、及び/又は最大約90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、若しくは40重量%、好ましくは、少なくとも約60重量%、及び/又は最大約70重量%の量で存在してよい。第2のPVOHポリマーの上記の濃度は、代替的又は追加的に、フィルム、PVOH、又はその他の中の総水溶性ポリマー含量に関連し得る。
【0065】
以下により詳細に記載するように、PVOHポリマーは、その粘度(一般にポリマーの分子量に相関する値)を特徴としてもよい。ポリマーの粘度は、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに製造した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書においてcPで明記されているポリマー粘度は、特に指定のない限り、20℃における4%の水溶性ポリマー水溶液の粘度を指すと理解すべきである。参考までに、第1のPVOHポリマーは、20℃での第1の4%溶液粘度(μ)を有するものとして表されてよく、第2のPVOHポリマーは、20℃での第2の4%溶液粘度(μ)を有するものとして表されてもよい。
【0066】
第1のPVOHポリマーは、約10cP〜約40cP、又は約10cP〜約30cP、又は約12cP〜約25cP、又は14cP〜20cPの20℃での4%溶液粘度(μ)を特徴としてもよい。第1の粘度μは、約4cP〜約24cPの範囲であってよい(例えば、少なくとも約4、8、10、若しくは12cP、及び/又は最大約12、16、20、若しくは24cP、例えば約10cP〜約16cP、又は約10cP〜約20cPなど)。第2のPVOHポリマーは、約3.0cP〜約40cP、又は約7〜約40cP、約10cP〜約40cPの、又は約10cP〜約30cP、又は約12cP〜約25cPの20℃での4%溶液粘度(μ)を特徴としてもよい。第2の粘度μは、約4cP〜約24cPの範囲であってよい(例えば、少なくとも約4、8、10、若しくは12cP、及び/又は最大約12、16、20、若しくは24cP、例えば約10cP〜約16cP、又は約10cP〜約20cPなど)。第2のPVOHポリマーは、約20cP以下(例えば、少なくとも約4、8、10、若しくは12cP、及び/又は最大約12、16、若しくは20cP)の20℃での第2の4%溶液粘度(μ)を有してもよい。第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとの絶対粘度の差|μ−μ|は、0cP〜約10cPの範囲であってよく、又は少なくとも約0、0.5、1、若しくは2cP、及び/若しくは最大約8、9、若しくは10cP、例えば約0cP〜約10cP、又は約2cP〜約8cPなどの範囲であってよい。
【0067】
水溶性ポリマー(PVOH又はその他)の粘度は、同じポリマーの重量平均分子量
【0068】
【数1】
と相関し、多くの場合粘度は
【0069】
【数2】
の代わりとして用いられることは、当該技術分野において周知である。このように、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとを含む、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、約30,000〜約175,000、又は約30,000〜約100,000、又は約55,000〜約85,000の範囲であることができる。
【0070】
PVOH樹脂ブレンドが、PVOHポリマー及びPVOHコポリマー樹脂から選択される3つ以上のPVOH樹脂を含む場合、上記の粘度値を、PVOHポリマー又はPVOHコポリマーの各々に個別に適用でき、上記の粘度の差を、PVOH樹脂ブレンド及び得られた水溶性フィルム中のPVOHポリマー/PVOHコポリマーの対の各々に適用できる。
【0071】
上記のとおり、PVOHポリマーは、加水分解度を特徴としてもよい。第1のPVOHポリマーは、60%〜約99%、好ましくは約80%〜約98%、好ましくは約83%〜約95%、好ましくは約85%〜約92%の加水分解度を特徴としてもよい。第2のPVOHポリマーは、60%〜約99%、好ましくは約80%〜約98%、好ましくは約85%〜約95%、好ましくは約87%〜約92%の加水分解度を特徴としてもよい。
【0072】
他のフィルム成分及び/又は特性
上記のポリビニルアルコールポリマーに加えて、本開示の水溶性フィルムは、他の成分を含んでもよい。
【0073】
本開示のフィルムは、他の水溶性ポリマーを含んでもよい。ブレンド中にPVOHポリマー及びPVOHコポリマーに加えて使用するための他の水溶性ポリマーとしては、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、水溶性天然ポリマー(グアーガム、アラビアゴム、キサンタンゴム、カラギーナン、及びデンプンが挙げられるが、これらに限定されない)、水溶性ポリマー誘導体(変性デンプン、エトキシ化デンプン、及びヒドロキシプロピル化デンプンが挙げられるが、これらに限定されない)、上記のコポリマー、並びに上記のいずれかの組み合わせが挙げることができるが、これらに限定されない。更に他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びその塩、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、並びにポリメタクリレートを含むことができる。このような水溶性ポリマーは、PVOHであろうとなかろうと、種々の供給源から市販されている。上記の水溶性ポリマーのいずれかは、一般に、フィルム形成ポリマーとしての使用に適し得る。一般に、水溶性フィルムは、上記の樹脂のコポリマー及び/又はブレンドを含むことができる。
【0074】
水溶性ポリマー(例えば、他の水溶性ポリマーと組み合わされたPVOH樹脂ブレンド)は、例えば、約30重量%、又は約50重量%から、約90重量%、又は約95重量%の範囲の量でフィルム中に含まれることができる。全ての可塑剤、相溶剤、及び二次添加剤の結合量と比較して、全ての水溶性ポリマーの量の重量比は、例えば、約0.5〜約18、約0.5〜約15、約0.5〜約9、約0.5〜約5、約1〜3、又は約1〜2の範囲であり得る。好ましくは、この比は、約1〜約3、より好ましくは約1.3〜約2.5である。特異的な量の可塑剤及び他の非ポリマー組成物は、水溶性フィルムの目的の用途に基づいて、特定の実施形態において選択することができ、所望のフィルム機械的特性を考慮して、フィルムの柔軟性を調整し、加工利点を付与することができる。
【0075】
本明細書に記載されるフィルム中で使用するための水溶性ポリマー(PVOHポリマー及びPVOHコポリマーを含むが、これらに限定されない)は、約3.0〜約40cP又は約30cP又は約27.0cPの範囲、例えば、約4.0〜約24.0cP、約4.0〜約23.0cP、約4.0〜約15cP、又は約6.0〜約10.0cPの粘度を特徴とすることができる。ポリマーの粘度は、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに製造した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書においてcPで明記されているポリマー粘度は、特に指定のない限り、20℃における4%の水溶性ポリマー水溶液の粘度を指すと理解すべきである。
【0076】
水溶性ポリマー(PVOH又はその他)の粘度は、同じポリマーの重量平均分子量
【0077】
【数3】
と相関し、多くの場合粘度は
【0078】
【数4】
の代わりとして用いられることは、当該技術分野において周知である。このように、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとを含む、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、約30,000〜約175,000、又は約30,000〜約100,000、又は約55,000〜約85,000の範囲であることができる。
【0079】
水溶性フィルムは、他の補助的な薬剤及び加工剤、例えば、これらに限定されないが、可塑剤、可塑剤相溶剤、界面活性剤、潤滑剤、離型剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、層状ケイ酸塩型ナノクレイ(例えば、モンモリロナイトナトリウム)などのナノ粒子、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムなど)、苦味剤などの嫌悪剤(例えば、安息香酸デナトニウム、サッカリンデナトニウム、及び塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;オクタアセチルスクロース;キニーネ;ケルセチン及びナリンゲン(naringen)などのフラボノイド;並びにカシン及びブルシンなどのカシノイド)、及び刺激性(例えば、カプサイシン、ピペリン、イソチオシアン酸アリル、及びレシニフェラトキシン)、及び他の機能性成分を、それらの意図された目的に適した量で含有できる。可塑剤を含むフィルムは、有益である。このような薬剤の量は、個別で又は一括して、最大約50重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、4重量%、及び/又は少なくとも0.01重量%、0.1重量%、1重量%、又は5重量%であってよい。好ましくは、フィルム中のこのような補助的な薬剤及び加工剤の総量は、約20%〜約50%、より好ましくは約25%〜約40%である。
【0080】
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、又はこれらの組み合わせである。可塑剤の総量は、フィルムの総重量に基づいて、約1重量%〜約40重量%、又は10重量%〜約40重量%、又は約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%の範囲、例えば約25重量%であってもよい。グリセリン、ジプロピレングリコール、及びソルビトールを組み合わせて使用してもよい。あるいは、グリセリン、トリメチロールプロパン、及びソルビトールを組み合わせて使用してもよい。所望により、グリセリンは、約5重量%〜約30重量%、又は5重量%〜約20重量%、例えば、約13重量%の量で使用され得る。所望により、ジプロピレングリコール又はトリメチロールプロパンは、約1重量%〜約20重量%、又は約3重量%〜約10重量%、例えば、6重量%の量で使用され得る。所望により、ソルビトールは、約1重量%〜約20重量%、又は約2重量%〜約10重量%、例えば約5重量%の量で使用され得る。特異的な量の可塑剤は、水溶性フィルムの所望のフィルムの柔軟性及び加工特性に基づいて、特定の実施形態で選択され得る。可塑剤の濃度が低いと、フィルムは、脆性になり、加工が難しく、又は破断されやすくなる場合がある。可塑剤の濃度が高いと、フィルムは、柔らかすぎて、弱く、所望の用途のための加工が難しくなる可能性がある。
【0081】
好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双極性の部類を挙げることができる。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N−アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性物質)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤としては、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、及び脂肪酸のアセチル化エステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、約0.1重量%〜2.5重量%、任意に約1.0重量%〜2.0重量%の範囲であってよい。
【0082】
好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸類及びそれらの塩類、脂肪族アルコール類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミン類、脂肪族アミンアセテート類及び脂肪酸アミド類が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/離型剤は、脂肪酸類、脂肪酸塩、及び脂肪族アミンアセテート類である。水溶性フィルム中の潤滑剤/離型剤の量は、約0.02重量%〜約1.5重量%、任意に約0.1重量%〜約1重量%の範囲であってよい。
【0083】
このフィルムは、苦味剤などの嫌悪剤、例えば、安息香酸デナトニウム及び/又はその誘導体を含んでもよい。この嫌悪剤は、フィルムの製造に先立って(例えば、フィルムのキャスティング又は押し出しに先立って)、ポリマー材料及び/又は他の添加剤と混合されてもよい。代替的又は追加的に、この嫌悪剤は、例えば、粉付け、印刷、噴霧、又は他のコーティングによって、一旦形成されたフィルム又はパウチに添加してもよい。
【0084】
好適な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン及びシリカである。水溶性フィルム中の充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤の量は、約0.1重量%〜約25重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、又は約3重量%〜約5重量%の範囲であってよい。デンプンが存在しない場合、好適な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着性除去剤の1つの好ましい範囲は、約0.1重量%若しくは1重量%〜約4重量%若しくは6重量%、又は約1重量%〜約4重量%、又は約1重量%〜約2.5重量%である。
【0085】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定により測定するとき、少なくとも4重量%、好ましくは、約4〜約10重量%の範囲の残留水分含量を更に有していてもよい。
【0086】
フィルムは、不透明でも、透明でも、半透明でもよい。フィルムは、プリントされた領域を含んでもよい。印刷領域は、フィルムの連続部分で覆われてもよく、又はその一部で覆われてもよい。プリント領域はインク、顔料、染料、ブルーイング剤、又はこれらの混合物を含んでもよい。プリント領域は、単色を含んでも、複数色、更には3色を含んでもよい。プリントは、フィルム表面上に層として存在しても、フィルム内に少なくとも部分的に浸透していてもよい。フィルムは、第1の面及び第2の面を含むものである。プリント領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。プリント領域は、フィルムの片面上にあっても、両面上にあってもよい。あるいは、フィルムの全部又は少なくとも一部が着色されるように、インク又は顔料をフィルムの製造中に添加してもよい。
【0087】
フィルムの製造方法
水溶性フィルムは、例えば、本明細書に記載される好ましい及び任意の二次添加剤と共に、第1のPVOHコポリマー及び第2のPVOHポリマーを、本明細書に記載されるタイプ及び量に従って、混合、共キャスティング、又は溶着することによって形成することができる。ポリマーが最初に混合される場合、好ましくは得られた混合物を(例えば、他の可塑剤及び他の添加剤と共に)キャスティングしてフィルムを形成することにより水溶性フィルムを形成する。ポリマーが溶着される場合、例えば、溶剤又は熱溶着により、水溶性フィルムを形成してもよい。水溶性フィルムは、押し出し、例えば押出ブロー成形により形成されてもよい。
【0088】
フィルムは、任意の好適な厚さを有することができる。例えば、フィルムは、約5〜約200μmの範囲、又は約20〜約100μm、又は約35〜約100μm、又は約40〜約85μmの範囲、例えば、76μmの厚さを有することができる。例えば、以下に記載されるように熱成形によりパウチを製造する際、フィルムが変形し、パウチのフィルム厚さが変化する場合がある。したがって、フィルムの変形されていない厚さは、変形及び/又はパウチ形成に先立って決定することができる。
【0089】
所望により、水溶性フィルムは、1層又は複数の同様の層からなる自立フィルムであり得る。
【0090】
本明細書に記載されるフィルムを使用して、同じフィルムで又は他のポリマー材料のフィルムと組み合わされて製造された2つ以上の区画を有するパケットなどの物品を製造することも可能である。追加のフィルムは、例えば、当該技術分野において既知であるように、同じ又は異なるポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形又は押出ブロー成形により得ることができる。追加のフィルムとしての使用に適したポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、並びにカラギーナンから選択されてもよい。例えば、ポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよく、又はポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよい。意図されるある種のフィルムは、パウチ材料(例えば、上記のようなPVOH樹脂ブレンド)中のポリマー濃度が少なくとも60%であることを特徴とする。上記のとおり、そのフィルムは、その上に印刷されてもよい。
【0091】
フィルムの使用
本開示は更に、改善された冷水溶性を示すパウチを提供するために、本明細書に記載されるようなフィルムの使用に関する。好ましくは、パウチは、洗濯洗剤などの家庭用ケア組成物を含む。このパウチは、約1℃〜約30℃、又は約5℃〜約20℃の温度の水へ改善された溶解度を示してもよい。
【0092】
組成物
本物品(例えば、パウチ又はパケットの形態)は、様々な組成物、例えば、家庭用ケア組成物を収容することができる。多区画パウチは、それぞれ個々の区画に同じ又は異なる組成物を収容することができる。この組成物は、水溶性フィルムの近位にある。この組成物は、フィルムから約10cm未満、又は約5cm未満、又は約1cm未満であってよい。典型的には、この組成物はフィルムに隣接しているか、又はフィルムと接触している。このフィルムは、内部に組成物を収容する、パウチ又は区画の形態であってよい。
【0093】
上記のとおり、フィルム及びパウチは、水素イオン交換性を有する材料、例えば、アミン−脂肪酸平衡及び/又はアミン−アニオン性界面活性剤平衡などの酸/塩基平衡を特徴とする組成物の(例えば、直接接触する)パッケージに特に有利である。
【0094】
多区画パウチは、不適合な成分(例えば、漂白剤と酵素)を含有する組成物を物理的に分離し、又は互いに区分化された状態に保つのに有用であり得る。このような仕切りは、このような成分の耐用年数を延ばし、及び/又は物理的不安定性を低減できると考えられる。追加的又は代替的に、このような仕切りは、審美的利点を提供することができる。
【0095】
有用な組成物(例えば、家庭用ケア組成物)の非限定的な例には、軽質及び重質液体洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、洗濯に広く使用されている洗剤ジェル、漂白及び洗濯用添加剤、布地柔軟剤組成物(柔軟仕上げ剤など)、シャンプー、ボディソープ、並びに他のパーソナルケア組成物が挙げられる。本発明のパウチに使用される組成物は、液体、固体、又は粉末の形態を取ることができる。液体組成物は、固体を含んでいてもよい。固体は、マイクロカプセル、ポリマービーズ、ヌードル若しくは1つ以上の真珠色のボール、又はこれらの混合物など、粉末又は粒塊を含み得る。このような固体要素は、洗浄を通して、又は前処理、遅延、若しくは順次放出成分として技術的利点をもたらし得る。追加的又は代替的に、固体要素は、審美的効果を提供することが可能である。
【0096】
本明細書に記載されるフィルムによってカプセル化される組成物は、配合した成分及び組成物の目的などの要素に応じ、任意の好適な粘度を有し得る。組成物は、20s−1のせん断速度及び20℃の温度下で、100〜3,000cP、あるいは300〜2,000cP、あるいは500〜1,000cPの高せん断粘度値を有し得、1s−1のせん断速度及び20℃の温度下で、500〜100,000cP、あるいは1000〜10,000cP、あるいは1,300〜5,000cPの低せん断粘度値を有し得る。粘度の測定方法は、当該技術分野で既知である。本開示によると、粘度測定は、回転レオメータ、例えばTA Instrument社のAR550を用いて実施される。この計器は、等方性液体用の約50〜60μmのギャップを有する、40mmの2°若しくは1°の円錐器具、又は粒子含有液体用の1000μmのギャップを有する、40mmのフラットスチールプレートを含む。この測定は、調整工程、ピークホールド、及び連続傾斜工程を含むフロー手順を用いて実施される。調整工程は、20℃の測定温度の設定で、10s−1のせん断速度での10秒の予備せん断、及び選択された温度での60秒の平衡を含む。ピークホールドは、10s毎にサンプリングして、3分間20℃にて0.05s−1のせん断速度を適用することを含む。連続傾斜工程は、全フロープロファイルを得るために、3分間20℃にて0.1〜1200s−1のせん断速度で実施する。
【0097】
洗濯、洗濯添加剤及び/又は布地柔軟剤組成物を含むパウチ又はその他の物品において、組成物は、次の非限定的な成分リストの1つ以上を含んでもよい。布地ケア有益剤、洗浄性酵素、沈着助剤、レオロジー変性剤、ビルダー、漂白剤(bleach)、漂白剤(bleaching agent)、漂白剤前駆体、漂白促進剤、漂白触媒、香料及び/又は香料マイクロカプセル香料充填ゼオライト、デンプン封入アコード、ポリグリセロールエステル、白色剤、パールエッセンス剤酵素安定剤系、アニオン性染料の固着剤を含む除去剤、アニオン性界面活性剤の錯化剤、及びこれらの混合物、任意の漂白剤又は蛍光剤、汚れ放出ポリマー及び/又は汚れ懸濁ポリマーを含むがこれらに限定されないポリマー、分散剤、消泡剤、非水性溶剤、脂肪酸、泡抑制剤、例えばシリコーン泡抑制剤、カチオンデンプン、スカム分散剤、直接染料、色調染料、着色剤;乳白剤、酸化防止剤、トルエンスルホネート、キュメンスルホネート、及びナフタレンスルホネートなどのヒドロトロープ、カラー粒子、着色ビーズ、球体、又は押出物、粘土柔軟化剤、抗菌剤。追加的又は代替的に、組成物は、界面活性剤、第四級アンモニウム化合物、及び/又は溶剤系を含んでもよい。第四級アンモニウム化合物は、柔軟仕上げ剤などの布地柔軟剤組成物中に存在してもよく、正電荷を有する多原子イオンの構造NR(式中、Rはアルキル基又はアリール基)である第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0098】
界面活性剤
洗剤組成物は、約1重量%〜80重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、第1の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第1の組成物は約5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。第2及び第3の組成物は、0.1〜99.9%の濃度の界面活性剤を含んでもよい。
【0099】
使用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双極性イオン、両性若しくはカチオン性のタイプのものであってもよく、又はこれらのタイプの界面活性剤の相容性混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性の界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物はベタイン系界面活性剤を実質的に含まない。アニオン性及び非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0100】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体がいくつかの異なるタイプのものであってよい。例えば、高級脂肪酸類の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩のような、アルカリ金属石鹸が挙げられる。石鹸は、油脂の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって作製することができる。特に有用なものは、ココヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウムタロー及びココヤシ石鹸である。
【0101】
本明細書に用いるのに好適な、石鹸以外のその他のアニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩類、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」にはアシル基のアルキル部分が含まれる。)合成界面活性剤のこの基の例としては、a)獣脂又はココナッツ油のグリセリドを還元することにより製造されたものなど、特に高級アルコ−ル(C〜C18)を硫酸化することによって得られたものなどの、アルキル硫酸ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムと、b)特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含むものなどで、ポリエトキシレート鎖は、1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含む、アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムと、C)直鎖又は分岐鎖の構成で、アルキル基が、約9〜約15個の炭素原子を含む、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びカリウムと、を含む。とりわけ価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が約11〜13個のC11〜C13 LASと略される、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【0102】
本開示のアニオン性界面活性剤及び補助アニオン性補助界面活性剤は酸型で存在してもよく、この酸型を中和して、本発明の洗剤組成物で使用するために望ましい界面活性剤塩を形成してもよい。典型的な中和剤としては、水酸化物(例えばNaOH又はKOH)のような金属対イオン塩基が挙げられる。酸型の、本開示のアニオン性界面活性剤及び補助アニオン性界面活性剤又は補助界面活性剤を中和するための更に好ましい中和剤としては、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミンが挙げられる。アルカノールアミンが好ましい。当該技術分野で既知のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び他の直鎖状若しくは分岐鎖状アルカノールアミンを含む好適な非限定的な例。例えば、かなり好ましいアルカノールアミンとしては、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン、又は1−アミノ−3−プロパノールが挙げられる。アミン中和は完全又は部分的に行われてもよく、例えばアニオン性界面活性剤の一部はナトリウム又はカリウムにより中和されてもよく、及びアニオン性界面活性剤の一部はアミン又はアルカノールアミンにより中和されてもよい。
【0103】
好ましい非イオン性界面活性剤は、R(OCOHの式で表されるものであり、式中、RはC10〜C16のアルキル基又はC〜C12のアルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。特に好ましいのは、C12〜C15アルコールとアルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物であり、例えば、C12〜C13アルコールをアルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドで縮合したものである。
【0104】
組成物は、5%〜約60%、又は約15%〜約50%、又は約20%〜約45%の界面活性剤を含み得る。組成物は、界面活性剤を含んでもよく、界面活性剤は、約20:1〜約1:3、又は約15:1〜約1:2、又は約12:1〜約3:1の重量比で、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤は、1つ以上の脂肪酸、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、又はこれらの組み合わせを含む。
【0105】
溶剤系
本発明の組成物における溶剤系は水だけ、又は有機溶剤と水との混合物を含有する溶剤系であることができる。好ましい有機溶剤としては、グリセロール、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,2プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,3ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールホルマールジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、及びこれらの混合物、より好ましくは1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。また、他の低級アルコール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのC〜Cアルカノールアミンを使用してもよい。溶剤系は、例えば本開示の無水固形物実施形態の実施例のように、なくてもよいが、より典型的には、組成物の約0.1重量%〜約98重量%の範囲にある濃度で存在でき、好ましくは少なくとも約1重量%〜約50重量%、より通常的には約5重量%〜約25重量%で存在する。典型的には、本発明の組成物は、特に液体の形態で、組成物の50重量%未満の水、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%の水、又はより好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、又は約5重量%〜約12重量%の水を含む。液体を含む形態の場合、好ましい溶剤の範囲は、組成物の約5重量%〜約60重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%、より好ましくは約20重量%〜約45重量%である。溶剤系は、好ましくは水とグリコールの混合物を含み、グリコールは、グリセロール、1,2,プロパンジオール、1.3,プロパンジオール、及びジプロピレングリコールを含む群から選択されてもよい。グリセロールは、組成物の総重量の約15%未満、好ましくは約10%未満の量で存在してよい。水とグリセロールの総結合量は、組成物の約3重量%〜約20重量%、好ましくは約5重量%〜約15重量%であってもよい。
【0106】
溶剤タイプと濃度の選択は、液体成分の相安定性、パウチの気密度/可撓性、パウチ強度を含む最終的なパウチの品質を制御し、フィルムを通しての化学物質の拡散を制御するために使用される。理論に束縛されることを望むものではないが、好ましい溶剤系(上記のとおり)は、フィルム可塑化の良好なバランスを保証すると考えられている。この系が、水及びグリセロールを含有しすぎると、パウチが柔らかくなりすぎ、濃度が低すぎると、パウチが脆性になりすぎになる場合がある。
【0107】
本明細書の組成物は、一般的に成分を共に混合することにより調製できる。パールエッセンス材を使用する場合、混合の後の方の段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を使用する場合、レオロジー変性剤を、組成物を構成するために最終的に用いられる、水及び任意に他の成分の一部に分散させたプレミックスを最初に形成することが好ましい。プレミックスは、構造化された液体を形成するような方法で形成する。次に、この構造化したプレミックスを攪拌しながら添加することができ、水及びあらゆる任意の洗剤組成物補助剤と共に、界面活性剤及び必須の洗剤補助剤材料を使用できる。
【0108】
有用な組成物のpHは、約2〜約12、約4〜約12、約5.5〜約9.5、約6〜約8.5、又は約6.5〜約8.2であってもよい。洗濯洗剤組成物は、約6〜約10、約6.5〜約8.5、約7〜約7.5、又は約8〜約10のpHを有していてもよい。自動食器洗浄組成物は、約8〜約12のpHを有していてもよい。洗濯洗剤添加剤組成物は、約4〜約8のpHを有することができる。布地柔軟剤は、約2若しくは4〜約8、又は約2〜約4、又は約2.5〜約3.5、又は約2.7〜約3.3のpHを有することができる。
【0109】
洗剤のpHは、20±2℃における洗剤の10%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。固形及び粉末洗剤に関しては、20±2℃における洗剤の1%(重量/体積)水溶液のpHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意の計測器が好適である。Orion meters(Thermo Scientific,Clintinpark−Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem−Aalst,Belgium)又は均等物が、許容可能な計器である。pH計は、カロメル又は銀/塩化銀基準を有する適切なガラス電極を備えていなければならない。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解質溶液に保存する必要がある。
【0110】
洗剤の10%水溶液は、以下の手順に従って調製される。10±0.05グラムの試料を、±0.02グラムまで正確に測定することができる天秤で計量する。試料は100mLのメスフラスコへ移されて、精製水(水の導電率が<5□S/cmである限り、脱イオン化された及び/又は蒸留された水が好適である)で容量まで希釈されて、十分に混合される。得られた溶液の約50mLをビーカーに注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pHメータ製造業者の標準的な手順に従ってpHを測定する(製造業者の指示に従い、pHアセンブリを設定及び較正することも重要である)。
【0111】
固体及び粉末洗剤では、以下の手順に従って洗剤の1%水溶液を調製する。試料10±0.05グラムを±0.02グラムまで正確に測定できる天秤で計量する。試料を1000mLメスフラスコに移し、精製水(水の伝導度が<5□S/cmであれば、脱イオン水及び/又は蒸留水が好適である)で容量まで希釈し、十分に混合する。得られた溶液の約50mLをビーカーに注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pHメータ製造業者の標準的な手順に従ってpHを測定する(製造業者の指示に従い、pHアセンブリを設定及び較正することも重要である)。
【0112】
漂白剤
無機及び有機漂白剤は、本明細書において用いるのに好適な洗浄活性物質である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。あるいは、塩は、当該技術分野において既知のとおりにコーティングされ得る。
【0113】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書に記載される洗剤組成物で使用するための好ましい過酸化水素化物である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。製品内安定性を提供する好適なコーティング材料は、水溶性アルカリ金属硫酸塩と炭酸塩との混合塩を含む。混合塩コーティング材料と過炭酸塩との重量比は、1:99〜1:9、好ましくは1:49〜1:19の範囲内にある。好ましくは、混合塩は、一般式NaSO+n+NaCOを有する硫酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムのものである(式中、nは、0.1〜3、好ましくは0.3〜1.0、より好ましくは0.2〜0.5である)。製品安定性を提供する別の好適なコーティング材料は、SiO:NaO比が1.8:1〜3.0:1、好ましくは1.8:1〜2.4:1であるケイ酸ナトリウム、及び/又はメタケイ酸ナトリウムを含み、好ましくはペルオキシモノ過硫酸カリウムのような無機過水和物塩の2重量%〜10重量%、(通常3重量%〜5重量%)の水準でSiOが適用される。ケイ酸マグネシウム、ケイ酸塩及びホウ酸塩、ケイ酸及びホウ酸、ワックス、油、脂肪石鹸を含有する他のコーティングもまた、本発明において有利に使用できる。
【0114】
有機漂白剤としては、ジアシル及びテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特に、ジペルオキシドデカン二酸(diperoxydodecanedioc acid)、ジペルオキシテトラデカン二酸(diperoxytetradecanedioc acid)、及びジペルオキシヘキサデカン二酸(diperoxyhexadecanedioc acid)を挙げることができる。過酸化ジベンゾイルは、本明細書において好ましい有機ペルオキシ酸である。ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、約0.1〜約100マイクロメートル、好ましくは約0.5〜約30マイクロメートル、より好ましくは約1〜約10マイクロメートルの重量平均径を有する粒子の形態で存在し得る。好ましくは、少なくとも約25%〜100%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%の粒子が、10マイクロメートルより小さく、好ましくは6マイクロメートルより小さい。
【0115】
その他の有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、特定の例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えば、アルキルペルオキシ安息香酸に加えて、ペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシへキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミド過アジピン酸及びN−ノネニルアミド過コハク酸、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノ過カプロン酸)である。
【0116】
漂白活性化剤は、一般的に、60℃以下の温度での洗浄過程において漂白作用を増強する有機過酸前駆体であり得る。本明細書における使用に好適な漂白活性化剤は、過加水分解条件下で、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/又は任意に置換過安息香酸を生成する化合物を含む。好適な物質は、炭素原子の数が指定されているO−アシル基及び/若しくはN−アシル基並び/又は任意に置換ベンゾイル基を有する。好ましいのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−又はイソ−NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン、更にはトリエチルアセチルクエン酸塩(TEAC)である。
【0117】
本明細書での洗剤組成物で使用するために好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体、並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体が挙げられる。
【0118】
食器洗浄剤
自動食器洗い用洗剤で使用するための好ましい界面活性剤は、それ自体が低起泡性である、又は他の構成成分(例えば、泡抑制剤)と組み合わされる。本明細書に用いるのに好ましいのは、低及び高曇点非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物であり、非イオン性アルコキシル化界面活(特にC〜C18一級アルコールから誘導されるエトキシレート)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、Olin CorporationのPoly−Tergent(登録商標)SLF18)、エポキシ末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、Olin CorporationのPoly−Tergent(登録商標)SLF18B、国際公開第A−94/22800号を参照)、エーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びBASF−Wyandotte Corp.(Wyandotte,Michigan)によるPLURONIC(登録商標)、REVERSED PLURONIC(登録商標)、及びTETRONIC(登録商標)のようなブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー化合物、C12〜C20アルキルアミンオキシ(本明細書に用いるのに好ましいアミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド及びヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)のような両性界面活性剤、並びにMiranol(商標)C2Mのようなアルキルアンホカルボン酸界面活性剤、ベタイン及びスルタインのような双極性界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。界面活性剤は、洗剤組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在し得る。
【0119】
他の組成物及び添加剤
本明細書に記載される洗剤組成物で使用するために好適なビルダーとしては、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、並びにトリポリリン酸ナトリウム及びカリウムの混合塩のような水溶性ビルダーが挙げられる。
【0120】
消費者製品は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼ及びリパーゼをアミラーゼと共に含んでよい酵素カクテルである。追加の酵素は、消費者製品中に存在する場合、消費者製品の約0.00001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約1重量%、又は更には約0.001重量%〜約0.5重量%の酵素タンパク質の濃度で存在してよい。
【0121】
酵素は、プロテアーゼを含んでもよい。好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられ、例えば、サブチリシン(EC 3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物、又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に改変された突然変異体が挙げられる。好適なプロテアーゼは、例えば、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼのような、セリンプロテアーゼであり得る。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、サブチリシン及びメタロプロテアーゼを含む。
【0122】
好ましいプロテアーゼとしては、バチルス・ギブソニイ、又はバシラス・レンタス、又はバチルス・アミロリケファシエンスに由来するものが挙げられ、及びBPN’、GG36、及びTY145主鎖に由来するものが挙げられる。
【0123】
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、商標名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Everlase(登録商標)、及びEsperase(登録商標)でNovozymes A/S(Denmark)により販売されているもの、商標名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Purafect OXP(登録商標)、及びPreferenz P(登録商標)シリーズで、DuPont International Biosciencesにより販売されているものが挙げられる。
【0124】
好適なα−アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に改変された突然変異体(変異体)が含まれる。好ましいアルカリ性α−アミラーゼは、バチルスの菌種から、例えば、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、又は他のバチラス種、例えばバチルス種、NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378、KSM K36、若しくはKSM K38などの、バチルスの菌株に由来する。好ましいアミラーゼとしては、AA560、sp722、TS23、AmyE、及びsp707主鎖に由来するものが挙げられ、好ましくはこのアミラーゼは、少なくとも70%、好ましくは80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%、又は100%でこれらの主鎖と同一性を示す親主鎖からの突然変異を含む。
【0125】
好適な市販のα−アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbHWehlistrasse 27b A−1200 Wien Austria)、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)及びPURASTAR OXAM(登録商標)、PREFERENZ S1000及びPREFERENZ S110を含むPREFERENZ(登録商標)Sシリーズ(DuPont Industrial Biosciences,Palo Alto,California);並びにKAM(登録商標)(花王株式会社(日本、103−8210、東京都中央区日本橋茅場町1丁目14−10))が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、NATALASE(登録商標)、EVEREST(登録商標)、PREFERENZ S1000(登録商標)、PREFERENZ S2000(登録商標)、STAINZYME(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0126】
T酵素は、米国特許第6,939,702(B1)号、及び米国特許出願公開第2009/0217464号に記載されているものなどの「第1サイクルリパーゼ」を含むリパーゼを含んでもよい。リパーゼは、第1の洗浄用リパーゼ、好ましくは、T231R及びN233R突然変異のうちの1つ以上を含んでもよく、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)由来の野生型リパーゼの変異体であってもよい。野生型配列は、Swissprotアクセッション番号Swiss−Prot O59952(サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)(フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)由来)の269個のアミノ酸(アミノ酸23〜291)である。好ましいリパーゼとしては、商標名Lipex(登録商標)、Lipoclean(登録商標)、Lipex Evity(登録商標)、Calipso(登録商標)、及びLipolex(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
【0127】
他の好ましい酵素としては、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を呈する真菌及び微生物由来のエンドグルカナーゼが挙げられる。好適なエンドグルカナーゼは、商標名Celluclean(登録商標)、Celluclean Classic、Carezyme(登録商標)Premium、Carezyme(登録商標)、Celluzyme(登録商標)、Carezyme Premium(登録商標)、及びWhitezyme(登録商標)(Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)、又は商標名Puradax(商標)、及び/若しくはRevitalenz(商標)(DuPont)で販売されている。
【0128】
他の好ましい酵素としては、商標名Pectawash(登録商標)、Pectaway(登録商標)、Xpect(登録商標)として販売されているペクチン酸リアーゼ、並びに商標名Mannaway(登録商標)(全てNovozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark)製)、並びにPreferenz F(登録商標)及びPurabrite(登録商標)(DuPont International Biosciences,Palo Alto,California)として販売されているマンナナーゼが挙げられる。
【0129】
好適な酵素混合物としては、Preferenz(商標)、Smartenz(商標)、Sharpenz(商標)、Excellenz(商標)、Marvellenz(商標)、Renewenz(商標)、Revitalenz(商標)、及びEffectenz(商標)の範囲、並びにMedley(登録商標)(Novozymes A/S)の範囲で販売されるようなものが挙げられる。
【0130】
家庭用ケア組成物で使用するための酵素は、様々な技法によって安定化できる。本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する最終布地ケア製品及びホームケア製品中に、それらのイオンの水溶性供給源を存在させることよって安定化させることができる。プロテアーゼを含む水性消費者製品の場合、ペプチドアルデヒド、又はホウ酸塩を含むホウ素化合物、4−ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸、及びこれらの誘導体、又はギ酸カルシウム、ギ酸ナトリウム及び1,2−プロパンジオールのような化合物といった、可逆的プロテアーゼ阻害剤を加えて、更に安定性を向上させることができる。
【0131】
組成物は、布地色相剤を含み得る。好適な布地色相剤としては、染料、染料−粘土複合体、及び顔料が挙げられる。好適な染料としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アッシドレッド、アッシドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット、及びベーシックレッドの色指数(Colour Index、C.I.)分類に区分される染料、又はこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。好ましい染料としては、アルコキシル化アゾチオフェン、ソルベントバイオレット13、アシッドバイオレット50、及びダイレクトバイオレット9が挙げられる。
【0132】
組成物は、カプセル化剤を含み得る。一態様では、カプセル化剤は、コアと、内面及び外面を有するシェルと、を含み、シェルは、コアをカプセル化する。コアは、香料を含んでもよい。シェルは、メラミンホルムアルデヒド及び/又は架橋メラミンホルムアルデヒドを含んでもよい。シェルは、ポリアクリレートポリマーを含んでもよい。
【0133】
好適なカプセル化剤は、コア材料及びシェルを含んでよく、そのシェルは、そのコア材料を少なくとも部分的に取り囲む。このカプセル化剤の少なくとも75%、85%、又は更には90%が、約0.2MPa〜約10MPa、約0.4MPa〜約5MPa、約0.6MPa〜約3.5MPa、又は更には約0.7MPa〜約3MPaの破壊強度、並びに0%〜約30%、0%〜約20%、又は更には0%〜約5%の有益剤漏出率を有してもよい。一態様では、このカプセル化剤の少なくとも75%、85%、又は更には90%が、約1マイクロメートル〜約80マイクロメートル、約5マイクロメートル〜60マイクロメートル、約10マイクロメートル〜約50マイクロメートル、又は更には約15マイクロメートル〜約40マイクロメートルの粒径を有してもよい。一態様では、このカプセル化剤の少なくとも75%、85%、又は更には90%が、約30nm〜約250nm、約80nm〜約180nm、又は更には約100nm〜約160nmの粒子壁厚を有し得る。
【0134】
一態様では、カプセル化剤のコア材料は、香料原材料からなる群から選択される材料、及び/又は任意で、以下からなる群から選択される材料を含み得る:ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、菜種油、大豆油、トウモロコシ油、ヤシ油、亜麻仁油、ベニバナ油、オリーブ油、ピーナッツ油、ココナッツ油、パーム核油、ヒマシ油、レモン油及びこれらの混合物を含むストレート及び/又はブレンド植物油を含む植物油;植物油のエステル(エステルは、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ブチルベンジル、アジピン酸ベンジルオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、及びこれらの混合物を含む);約80℃を超える沸点を有する直鎖又は分枝鎖炭化水素を含む、直鎖又は分枝鎖炭化水素;部分的に水素化したテルフェニル、フタル酸ジアルキル、モノイソプロピルビフェニルを含むアルキルジフェニル、ジプロピルナフタレンを含むアルキル化ナフタレン、灯油、鉱油、及びこれらの混合物を含むペトロリウムスピリット;ベンゼン、トルエン、及びこれらの混合物を含む芳香族溶剤;シリコーンオイル;並びにこれらの混合物。
【0135】
この組成物はまた、沈着助剤、好ましくはカチオン性又は非イオン性ポリマーを含む群からなる沈着助剤を含むことができる。好適なポリマーとしては、カチオンデンプン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルホルムアルデヒド、ローカストビーンガム、マンナン、キシログルカン、タマリンドガム、ポリエチレンテレフタレート、並びに任意にアクリル酸及びアクリルアミドを含む群から選択される1つ又はモノマーと共にジメチルアミノエチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられる。
【0136】
本明細書に記載される洗剤組成物で使用するために適した泡抑制剤には、低曇点を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書において使用する場合、「曇点」とは、温度が上昇するにつれて界面活性剤の溶解性が低下する結果となる非イオン性界面活性剤の周知の特性であり、第2相の出現が観察できる温度を、「曇点」と呼ぶ。本明細書で使用する場合、「低曇点」非イオン性界面活性剤とは、30℃未満、好ましくは約20℃未満、更により好ましくは約10℃未満、及び最も好ましくは約7.5℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤系成分として定義される。低曇点の非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に第一級アルコールから誘導されるエトキシレート、及びポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマーを挙げることができる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFのPoly−Tergent SLF18)及びエポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、非イオン性のBASFのPoly−Tergent SLF18Bシリーズ)を挙げることができる。
【0137】
本明細書に記載される家庭用ケア組成物中で使用するための他の好適な構成要素としては、再付着防特性、汚れ放出特性、又はその他の洗浄特性を有する洗浄ポリマーが挙げられる。本明細書に用いる再析出防止ポリマーとしては、Sokalan PA30、PA20、PA15、PA10、並びにSokalan CP10(BASF GmbH)、Acusol 45N、480N、460N(Rohm and Haas)、Sokalan CP5などのアクリル酸/マレイン酸コポリマー、及びアクリル/メタクリルコポリマーなどのアクリル酸含有ポリマーが挙げられる。家庭用ケア組成物は、布地及び表面からグリース粒子を除去するように、親水性と疎水性が釣り合っている両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーを含んでよい。本開示の両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーは、コア構造及びそのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基(alkoxylate group)を含んでもよい。好適なポリマーとしては、任意に四級化され得る、アルコキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI600 EO20及び/又はエトキシ硫酸化ヘキサメチレンジアミンジメチル第四級アンモニウム化合物)などのアミン系ポリマーが挙げられる。その他のポリマーは、内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含んでいてもよい。本明細書に用いるのに好ましい汚れ放出ポリマーとしては、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びこれらのコポリマー、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの混合物のテレフタレートエステルをベースとする、非イオン性及びアニオン性ポリマーが挙げられる。
【0138】
構造化液体は、内部的に構造化することによって、一次成分(例えば界面活性剤物質)によってその構造を形成することも、及び/又は、二次成分(例えば、ポリマー、粘土、及び/又はケイ酸塩材料)を用いて、三次元マトリックス構造をもたらすことによって、外部的に構造化することもできる。本組成物は、構造化剤を含んでいてよく、好ましくは、0.01重量%〜5重量%、0.1重量%〜2.0重量%の構造化剤を含んでもよい。構造剤は典型的には、ジグリセリド、トリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶性セルロース、セルロース系物質、微細繊維セルロース、Polygel W30(3VSigma)などの疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム、及びこれらの混合物からなる群から選択する。好適な構造剤としては、硬化ヒマシ油、及びその非エトキシル化誘導体が挙げられる。このような構造化剤は、ある範囲のアスペクト比を有する糸様構造系を有する。
【0139】
また重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤、例えば、塩及び遊離酸形態のジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシ−エチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートもまた、洗剤での使用に適している。
【0140】
同様に本明細書に記載される洗剤組成物で使用するために適しているのは、例えば、有機銀コーティング剤(特に、Wintershall(Salzbergen,Germany)から販売されるWINOG 70のようなパラフィン)、窒素含有腐食防止剤化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンズイミダゾール、並びにMn(II)化合物、特に有機配位子のMn(II)塩のような腐食防止剤である。
【0141】
本明細書での洗剤組成物で使用するための他の好適な構成要素としては、例えばカルシウムイオン、ホウ酸及びプロピレングリコールのような酵素安定剤が挙げられる。
【0142】
好適なすすぎ添加剤は、当該技術分野において既知である。典型的に、市販の食器洗浄用すすぎ補助剤は、低起泡性脂肪族アルコールポリエチレン/ポリプロピレングリコールエーテル、可溶化剤(例えば、クメンスルホネート)、有機酸(例えば、クエン酸)及び溶剤(例えば、エタノール)の混合物である。こうしたすすぎ補助剤の機能は、水滴、筋、又はフィルムが、以降の乾燥プロセス後に残らないように、薄い凝集性フィルムの形態ですすいだ表面から排出され得るような方法で水の界面張力に影響することである。すすぎ添加剤は、界面活性剤として混合エーテルを含有してもよい。柔軟仕上げ剤及び同類のもののようなすすぎ添加剤も同様に考えられ、本明細書の開示に従うフィルムへのカプセル化に好適である。
【0143】
パウチの製造方法
本開示は、パウチの製造又は形成方法に関する。一般に、この方法は、本明細書に記載されるような水溶性フィルムを提供することと、フィルムを成形し開放区画を形成することと、開放区画へ組成物を提供することと、開放区画を封止し、中に組成物が密閉された封止区画を有するパウチを形成することと、を含む。開放区画は、少なくとも第2の封止区画で封止されてよく、これにより重ねられた区画を有するパウチを形成する。これらの工程は、以下により詳細に記載されている。
【0144】
本明細書に記載されるパウチを形成するための方法は、フィルムを熱成形することを含んでもよい。したがって、このフィルムは、本明細書に記載されるように製造された水溶性フィルムの良好な熱成形性を特徴としてもよい。熱成形フィルムは、熱及び力の印加によって成形され得るフィルムである。
【0145】
フィルムを熱成形することは、フィルムを加熱し、成形型の中でこれを成形し、その後フィルムを冷却するプロセスであり、その結果、このフィルムは成形型の形状を保持することになる。熱は任意の好適な手段を使用して加えることができる。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、又は表面上に供給してすぐに加熱要素の下あるいは熱風の中を通過させることで直接加熱されてもよい。別の方法としては、フィルムは、例えば、表面を加熱するか、あるいはフィルム上に熱い物を適用することにより間接的に加熱されてもよい。フィルムは、赤外光を用いて加熱されてもよい。フィルムは、約50〜約150℃、約50〜約120℃、約60〜約130℃、約70〜約120℃、又は約60〜約90℃の温度まで加熱されてもよい。熱成形は、熱で軟化したフィルムを成形型上に手動でドレーピングするプロセス、又は圧力を誘発させて軟化したフィルムを成形型に成形するプロセス(例えば、真空成形)、又は正確な温度が既知のシートを成形及び仕上げステーションに新たに押出成形する自動高速割り出しプロセス、又はフィルムを自動配置し、プラグ及び/又は空気で伸張し、圧力成形するプロセスのいずれか1つ以上により実行され得る。
【0146】
あるいは、フィルムは、任意の好適な手段、例えば、フィルムを表面上に送り込む前に又はフィルムが表面上にある時点で、湿潤剤(水、フィルム組成物の溶液、フィルム組成物用の可塑剤、又はこれらの任意の組み合わせ)をフィルムに直接吹き付けることによって、又は表面を間接的に湿潤させることによって、あるいはフィルムの上に湿潤部材を適用することによって、湿潤させることができる。
【0147】
フィルムを加熱及び/又は湿潤後、好ましくは真空を使用して、フィルムを適切な成形型の中に引き込み、これにより開放区画を形成してもよい。家庭用ケア組成物などの組成物を、例えば、好適な充填ノズルを介して開放区画に提供してもよい。成形フィルムの充填は、任意の好適な手段を利用して達成され得る。最も好ましい方法は、製品の形状及び所要の充填速度によって異なるであろう。インライン充填技術によって成形フィルムを充填してよい。次いで、充填された開放区画は、任意の好適な方法によって、例えば第2のフィルムを使用することによって封止閉鎖され、中に組成物が密閉された封止区画を有するパウチを形成する。これは、水平位置にある間に連続的な定速運動で達成され得る。閉鎖は、開放パケットを覆って及びその上に第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで好ましくは、典型的には成形型と成形型との間、したがってパケットとパケットとの間の領域で第1のフィルムと第2のフィルムを共に封止することにより達成されてよい。
【0148】
パケット及び/又はその個々の区画を封止する任意の好適な方法を用いることができる。こうした手段の非限定的な例としては、加熱封止、溶剤溶着、溶剤又は湿式封止、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、封止を形成することになる領域のみが熱又は溶剤により処理される。熱又は溶剤は、任意の方法により、典型的には閉鎖材料の上に、典型的には封止を形成することになる領域の上のみに適用され得る。溶剤若しくは湿式の封止又は溶着を用いる場合、熱も印加することが好ましい場合がある。好ましい湿式又は溶剤封止/溶着方法は、溶剤を成形型間、又は閉鎖材料上に、例えば、これをこれらの領域上に噴霧又は印刷することにより選択的に適用すること、次いで圧力をこれらの領域に適用して封止を形成することを含む。例えば、上記のとおり封止ロール及びベルト(任意に熱も提供する)を使用してよい。
【0149】
次いで、形成されたパウチを切断装置によって切断してもよい。切断は任意の既知の方法を用いて達成され得る。また、切り出しは、連続方式で、好ましくは一定速度で及び好ましくは水平位置にある間に行うことが好ましい場合がある。切断装置は、例えば、鋭利な物品、又は高温物品、又はレーザであってよく、後者の場合には、高温物品又はレーザがフィルム/封止領域を「焼き切る」。
【0150】
多区画パウチの異なる区画は、隣り合った様式で一緒に形成されてもよく、その場合、得られた接合しているパウチは、切断によって分離されてもよいし、されなくてもよい。あるいは、区画を別々に作製してもよい。
【0151】
パウチは、以下の工程を含むプロセスに従って製造してよい。a)第1の区画を形成する工程(上記のとおり)、b)工程(a)で形成された閉じた区画の一部又は全ての内部に凹所を形成して、上記の第1の区画の上に重ねられた第2の成形区画を作り出す工程、c)第3のフィルムを用いて、第2の区画を充填し、閉じる工程、d)第1、第2、及び第3のフィルムを封止する工程、e)フィルムを切断し、多区画パウチを製造する工程。工程(b)で形成される凹所は、工程(a)で調製された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【0152】
第2及び/又は第3の区画(複数)は、別個の工程で製造され、次いで、第1の区画に結合することができる。
【0153】
パウチは、以下の工程を含むプロセスに従って製造してよい。a)第1の成形機械に第1のフィルムを用いて、任意に熱及び/又は真空を使用して、第1の区画を形成する工程、b)第1の区画に第1の組成物を充填する工程、c)第2の形成機械上で第2のフィルムを変形させて、任意に熱及び真空を使用して第2の及び任意に第3の成形区画を製造する工程、d)第2及び任意に第3の区画を充填する工程、e)第3のフィルムを用いて第2及び任意に第3の区画を封止する工程、f)封止した第2の及び任意に第3の区画を第1の区画上に配置する工程、g)第1、第2、及び任意に第3の区画を封止する工程、h)フィルムを切断し、多区画パウチを製造する工程。
【0154】
第1及び第2の成形機械は、上記のプロセスを実施するための適合性に基づいて選択され得る。第1の成形機械は、水平成形機械であってよく、第2の成形機械は、例えば第1の成形機械上に配置された、回転ドラム成形機械であってよい。
【0155】
適切な供給ステーションの使用により、多数の異なる若しくは独特の組成物、及び/又は異なる若しくは独特の液体、ゲル、又はペースト組成物を組み込む、多区画パウチが製造可能であることは理解されるであろう。
【0156】
フィルム及び/又はパウチに、活性剤、潤滑剤、嫌悪剤、又はこれらの混合物などの好適な材料を噴霧又は粉付けしてもよい。フィルム及び/又はパウチは、例えば、インク及び/又は活性剤で、その上に印刷されてもよい。
【0157】
使用方法
本開示は更に、本明細書に記載されるパウチの使用方法に関する。例えば、本開示は、布地などの基材の処理方法に関する。
【0158】
本明細書に記載されるパウチ、及びそれに収容される組成物は、例えば、基材を、フィルム、物品、及び/又は中に収容される組成物と接触させることによって、基材、例えば、布地又は硬質面を処理する方法に使用されてもよい。本方法が、パウチを水と組み合わせることと、パウチのフィルムの少なくとも幾つかが、水の存在下で溶解できるようにすることと、その中に収容される組成物を、水で300〜800倍に希釈し、洗浄液を形成することと、及び/又は基材、好ましくは布地を洗浄液と接触させることと、を含んでもよく、処理される基材、好ましくは布地が、1つ以上の染みを含んでもよい。
【0159】
接触工程は、手動で、又は例えば、自動(縦型、又はドラム式)洗濯機又は自動食器洗い機などの自動機械中で実施してよい。接触工程は、水の存在下で実施してよく、温度は、最大約80℃、又は最大約60℃、又は最大約40℃、又は最大約30℃、又は最大約20℃、又は最大約15℃、又は最大約10℃、又は最大約5℃であってよい。上記のように、本発明のフィルム及びそれから製造された物品は、特に、冷水溶解に適しており、これにより冷水(例えば、約1℃〜約30℃、又は約5℃〜約20℃)での洗浄に利点をもたらす。接触工程の後に、複数回のすすぎサイクル、又は更には単一のすすぎサイクルを行ってもよい。フィルムが、良好な溶解特性を有するため、フィルムの溶解及び/又はその中に収容される内容物の放出に必要な水が少なくなる。本発明によるパウチはまた、短時間の洗浄、又は急速洗浄サイクル、又は更には実際に感知された洗浄条件毎に機械が洗浄サイクルを適合させるスマートサイクルを進化させるために使用することができる。
【0160】
試験方法
以下の試験方法を用いて、本明細書に記載される特定の特性のいくつかを決定する。
【0161】
溶解チャンバ残留物試験
溶解チャンバ(DC)試験に従って、溶け残った残留物を特徴とする、又は未溶解の残留物を試験される水溶性フィルムを、下記の材料を用いて以下のとおり分析する。
1.ビーカー(4000ml)、
2.ステンレス鋼ワッシャ(外径88.9mm(3.5インチ)、内径47.6mm(1.875インチ)、厚さ3.18mm(0.125インチ))、
3.スチレンブタジエンゴムガスケット(外径85.7mm(3.375インチ)、内径48.5mm(1.91インチ)、厚さ3.18mm(0.125インチ))、
4.ステンレス鋼スクリーン(外径76.2mm(3.0インチ)、200×200メッシュ、ワイヤ外径0.053mm(0.0021インチ)、304SSステンレス鋼ワイヤクロス)、
5.温度計(0℃〜100℃、+/−1℃の精度のもの)、
6.切断パンチ(直径38.1mm(1.5インチ))、
7.タイマ(秒単位の精度のもの)、
8.逆浸透(Reverse osmosis、RO)水、
9.バインダークリップ(サイズ5番又はこれに相当するもの)、
10.アルミニウムパン(外径50.8mm(2.0インチ))、
11.超音波発生装置。
【0162】
各試験フィルムのため、3つの試験片を、76.2±2.5μm(又は3.0±0.10ミル)の厚さを有する選択された試験フィルムから、切断パンチを用いて切り出す。フィルムウェブから切断する場合、ウェブの横断方向に沿って等しく離間したウェブの領域から試料を切断しなければならない。次いで、以下の手順を用いて各試験片を分析する。
1.フィルム試験片を計量し、試験を通して試験片を追跡する。初期フィルム重量(F)を記録する。
2.各試験片用の2組の超音波処理したきれいな乾燥したスクリーンを計量し、試験を通してスクリーンを追跡する。初期スクリーン重量(2枚のスクリーンを合わせた合計としてS)を記録する。
3.2枚のスクリーンの中央の間にフィルム試験片、続いて2つのゴムガスケット(スクリーンとワッシャの間の各側に1つにガスケット)、次いで2つのワッシャを平らに挟み込むことによって、試験片溶解チャンバを組み立てる。
4.溶解チャンバアセンブリを、ワッシャの周囲に等間隔で配置した4つのバインダークリップによって固定し、クリップを折り返す。
5.ビーカーを実験室温(22+/−2℃(72+/−3°F))で1,500mLの逆浸透(RO)水で満たし、室温を記録する。
6.タイマを所定の浸漬時間の5分に設定する。
7.溶解チャンバアセンブリをビーカーの中に置き、直ちにタイマをスタートさせ、溶解チャンバアセンブリを約45°の進入角で水面に差し込む。この進入角は、チャンバから気泡の除去を促すものである。溶解チャンバアセンブリは、試験片フィルムがビーカーの底から約10mmの位置に水平に配置されるように、ビーカーの底に置かれる。溶解チャンバアセンブリの4つの折り返されたバインダークリップが、ビーカーの底から約10mmのフィルムのクリアランスを維持する上で適当であるが、他のいずれの同等の支持手段を使用することもできる。
8.所定の浸漬時間である5分が経過した時点で、溶解チャンバアセンブリを約45°の角度でビーカーからゆっくりと取り出す。
9.溶解チャンバアセンブリをアルミニウムパンの上に水平に保持してスクリーンから垂れる液を全て捕捉し、バインダークリップ、ワッシャ、及びガスケットを慎重に取り出す。挟んだ状態のスクリーンを開かないようにする。
10.挟んだ状態のスクリーン(すなわち、スクリーン/残留した溶け残ったフィルム/スクリーン)をアルミニウムパンの上に置き、オーブンに入れて100℃で30分間乾燥させる。
11.内部に残留した溶け残ったフィルム全てを含む、乾燥させた、挟んだ状態のスクリーンの組を計量する。この乾燥スクリーン重量に、溶解チャンバアセンブリがビーカーから最初に取り出された際、及び乾燥中に、パンに捕捉され、パンから回収された(例えば、掻き取ることにより)乾燥フィルム滴下物を全て測定し加える。最終的な挟んだ状態のスクリーン重量を記録する(乾燥フィルム滴下物を含む合計としてS)。
12.フィルム試験片について残った残留率(%)(「DC残留率」)を計算する:%DC残留率=100×((S−S)/F)。
13.挟んだ状態のスクリーンを逆浸透(RO)水のビーカー中に約20分間浸漬することによってきれいにする。次いで、スクリーンを引き離し、超音波発生装置(スイッチを入れ、逆浸透(RO)水で満たす)中で少なくとも5分間、又はスクリーン上に残留物が見られなくなるまで最後のすすぎを行う。
【0163】
本開示に従う水溶性フィルムの好適な挙動は、DC試験によって測定した場合に、約45重量%以下、又は約48重量%以下のDC残留率の値によって示される。水溶性フィルムは、少なくとも1、2、5、10、若しくは20重量%、及び/又は最大約15、20、30、40、45重量%、若しくは48重量%(例えば、約5重量%〜約48重量%、約10重量%〜約45重量%、約20重量%〜約45重量%、又は約30重量%〜約40%)のDC値を有してもよい。
【0164】
引張強度試験及び弾性率試験
引張強度(Tensile Strength、TS)試験に従った引張強度によって、及び弾性率(Modulus、MOD)試験に従った弾性率(又は引張応力)を特徴とする、又はそれらについて試験される水溶性フィルムを、以下のように分析した。この手順は、ASTM D 882(「薄いプラスチックシートの引張特性の標準的試験方法」)、又は同等の方法に従って引張強度を測定すること、及び100%伸長率における弾性率を測定することを含む。インストロン引張試験装置(モデル5544引張試験機又は同等の装置)を、フィルムデータの収集に使用する。最低でも3つの試験片を、寸法安定性及び再現性を保証するために信頼性の高い切断工具でそれぞれ切り出し、各測定において機械方向(machine direction、MD)(当てはまる場合)で試験する。試験は、23±2.0℃かつ相対湿度35±5%の標準的な実験室雰囲気中で実施する。引張強度及び弾性率の測定を行うため、厚さ76.2±3.8μm(又は3.0±0.15ミル)の1枚のフィルムシートから幅2.54cm(1インチ)の試料を調製する。次いで、試料をINSTRON引張試験装置に移して、相対湿度35%の環境への曝露を最小限に抑えつつ試験を行う。引張試験機は、500Nロードセルを備え、製造者の指示に従って準備し、較正する。適正なグリップ及びフェース面を取り付ける(ゴムでコーティングされた幅25mmのモデル番号2702−032のフェース面を有するINSTRONグリップ、又は同等のもの)。各試料を引張試験機内に取り付け、100%弾性率(すなわち、100%フィルム伸長率を得るのに要する応力)及び引張強度(すなわち、フィルムを破断するために要する応力)を測定するために分析を行う。
【0165】
所望により、フィルムは、フィルムを例えばフィルムパウチなどの物品へと加工するのに適した特定の機械的特性を特徴とすることができる。
【0166】
本開示に従った水溶性フィルムは、TS試験により測定したとき、少なくとも約24MPa又は約28MPaのTS値を特徴とすることができる。一般に、フィルムが封止の制限要素又は最も弱い要素である場合、TS値が高ければ、より強いパウチ封止になるため、より高いTS値が望ましい。水溶性フィルムは、少なくとも約24、26、28、30、33、若しくは35MPa、及び/又は最大約32、34、40、45、若しくは50MPa(例えば、約24MPa〜約36MPa、又は約28MPa〜約32MPa)のTS値を有してもよい。代替的又は追加的に、好適なTS値範囲の上限は、PVOH樹脂ブレンド中のPVOHポリマー及びPVOHコポリマーのうち単一のPVOHポリマー又はPVOHコポリマーのみを有する対応する水溶性フィルム(例えば、より高いTS値を有する対応する単一樹脂フィルム)のTS値であってもよい。
【0167】
本開示に従った水溶性フィルムは、MOD試験により測定したとき、少なくとも約11N/mm又は約12N/mmのMOD値を特徴とすることができる。一般に、MOD値が高ければ、パウチの剛性がより大きくなり、製造中、又は最終消費者包装において、相互に積み重ねられたときに変形したり、互いに付着したりする可能性が低下するため、より高いMOD値が望ましい。水溶性フィルムは、少なくとも約11、12、若しくは13N/mm及び/又は最大約13、14、15、若しくは16N/mm(例えば、約11N/mm〜約15N/mm又は約12N/mm〜約14N/mm)のMOD値を有してもよい。代替的又は追加的に、好適なMOD値範囲の上限は、PVOH樹脂ブレンド中のPVOHポリマー及びPVOHコポリマーのうち単一のPVOHポリマー又はPVOHコポリマーのみを有する対応する水溶性フィルム(例えば、より高いMOD値を有する対応する単一樹脂フィルム)のMOD値であってもよい。
【0168】
パウチ強度試験方法
本試験方法は、Instronユニバーサル材料試験機(Instron Industrial Products,825 University Ave.,Norwood,MA 02062−2643)を用いて、最大100kN(キロニュートン)のロードセルでパウチ強度を測定する手法について記載する。パウチを圧縮することにより、この方法で、フィルム及び封止領域に加圧し、パウチの全体的な強度(ニュートン)を測定する。パウチ強度(ニュートン)は、パウチが破断する前に支持可能な最大荷重として定義される。
【0169】
フィルム/パウチは、変換後に設定する時間を有するように、パウチ強度は、パウチ製造後1時間以内に測定される。本方法は、40〜50%の相対湿度(relative humidity、RH)及び22〜24℃の間の室内環境で実施する。保管されたパウチは、試験に先立ち、1時間試験室環境に再平衡させることができる。
【0170】
図3は、パウチ強度試験の基本構成の略図である。パウチ強度を測定するため、パウチ510をプラスチック脱気バッグ500(クロージャ付き150mm×124mm、60マイクロメートル厚、例えばRajaグリップシールバッグRGP6B)中に密閉し、パウチの破断による作業環境の汚染を防ぐ。バッグ内への密閉後、パウチ510を試験機の2つの圧縮板520、530の間の中心に置く。パウチ510は、応力が封止幅にかかるように、封止寸法幅540(実際に試験したパウチでは43mm)が、圧力板の間になるように立位で置かれる。圧縮時には、プレート520、530の速度を60mm/分に設定する。パウチが破損すると、試験機が自動でパウチ強度値(すなわち、パウチが破損するときの力)を記録する。テストレッグ毎に10回の繰り返しを行い、平均のパウチ強度データを報告する。
【0171】
本開示に従ったパウチは、以下の条件のうちの1つ以上の下で測定した場合、少なくとも約200N、又は少なくとも約250Nの平均パウチ強度値を特徴とすることができる。(a)製造後1時間(40〜50% RHの間、及び22〜24℃の間で保管されたフレッシュな値)、(b)4週間20℃で保管後(40〜50% RH)、及び/又は(c)4週間32℃で保管後(80% RH)。本開示に従ったパウチの集団は、以下の条件のうちの1つ以上の下でパウチ強度を測定した場合、1%を超えない、又は5%を超えない、又は10%を超えない、又は20%を超えない、又は25%を超えない、又は40%を超えない、又は50%を超えない、約200N未満、又は約250N未満のパウチ強度を有する集団を含んでもよい。(a)製造後1時間(40〜50% RHの間、及び22〜24℃の間で保管されたフレッシュな値)、(b)4週間20℃で保管後(40〜50% RH)、及び/又は(c)4週間32℃で保管後(80% RH)。
【実施例】
【0172】
以下の実施例は、事実上例示的なものであり、制限的であることを意図したものではない。
【0173】
実施例1−パウチ強度データ。
パウチ強度関連データを、上記のパウチ強度試験方法に従って収集した。特定のパウチ、家庭用ケア組成物、及びフィルムは、以下により詳細に記載されている。
【0174】
水溶性パウチ:
2016年4月から英国で市販されているProcter & Gamble Company製のアリエールジェルボール3D(Ariel 3−in−1 Pods)と同じ形状の多区画水溶性パウチが、1つのレーンコンバーター上で、第1の水溶性フィルム(以下に記載)を120℃まで予熱し、続いて、第1のフィルムを真空(22kPa(220mbar))でキャビティ中に引き込むことを含む熱真空成形によって製造された。下部区画には、以下に記載される液体洗剤が充填され、したがって充填された区画は、別々に調製された上部区画の底部フィルムに水を塗布することによる溶剤封止によって閉じられた。上部区画は、予熱した(120℃)第2の水溶性フィルムを真空(22kPa(220mbar))でキャビティ中に引き込み、区画を充填し、充填した開放上部区画を第3の水溶性フィルムで水による溶剤封止によって閉じることにより、回転ドラム上で調製した。第3の水溶性フィルムは最終的に、最終の重ねられた多区画パウチ製品中の中間フィルムとなる。材料の予備コンディショニング(少なくとも1時間)及びパウチ製造は、35% RH及び22〜24℃の間の室内環境で実施された。
【0175】
異なるパウチ形成キャビティを使用し、以下に記載されるフィルム1及びフィルム2をそれぞれ用いてパウチを形成した。フィルム1の熱成形に使用したキャビティは、約20mmの深さで、フィルム2の熱成形に使用したキャビティは、約15mmの深さであった。各パウチのフットプリント(41×43mm)は同じであった。キャビティ深さの違いにより、得られるパウチの底部区画の容積が異なった。約25mLの液体洗剤を、フィルム1から製造したパウチに加え、約15mLの液体洗剤を、フィルム2から製造したパウチの底部区画に加えた。
【0176】
家庭用ケア組成物:
区画には、2016年4月から英国で販売されているProcter & Gamble Company製のアリエールジェルボール3D(Ariel 3−in−1 Pods)として市販されている、代表的な液体多区画単位用量洗濯洗剤組成物を充填した。
【0177】
水溶性フィルム:
2つの異なる水溶性フィルムを、表Aに記載されるように試験した。各フィルムは、PVOH樹脂ブレンドを含み、このブレンドは、以下に記載されるように、アニオン性PVOHコポリマー及びPVOHホモポリマーを含んだ。フィルムは、可塑剤などのフィルム添加剤を更に含んだ。「4%粘度」は、本明細書に記載されるように測定され、ポリマー分子量に関する。「DH」は、本明細書に記載されるような加水分解度を指す。
【0178】
【表1】
アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)のコモノマー
【0179】
試験結果:
フィルム1及びフィルム2から製造されたパウチのパウチ強度を、次の間隔で試験した。(a)製造後1時間(40〜50% RHの間、及び22〜24℃の間で保管されたフレッシュな値)、(b)4週間20℃で保管後(40〜50% RH)、及び(c)4週間32℃で保管後(80% RH)。表Bは、各条件下での平均パウチ強度を示す。表Cは、4週間32℃(80% RH)で保管後、200N未満のパウチ強度を示すパウチの相対的な割合を示す(200N未満のパウチ強度は、失敗と考えられる)。
【0180】
【表2】
【0181】
【表3】
【0182】
このデータは、PVOH樹脂ブレンド中にカルボキシル化アニオン性PVOHコポリマーを含むフィルム1から製造されたパウチは、PVOH樹脂ブレンド中にスルホン化アニオン性PVOHコポリマーを含むフィルム2(比較フィルム)から製造されたパウチと比較して、経年劣化時のパウチ強度をより良好に維持することを示す。例えば、フィルム1から製造されたパウチは、欠陥のないパウチであり、200Nの経年劣化時のパウチ強度閾値は、典型的な市販のパウチの露出条件下で、パウチ完全性を維持するために設定される。
【0183】
上記のとおり、カルボキシル化及びスルホン化含有フィルムを備えたパウチは、底部区画の深さが異なっていた。しかし、特に、理論に束縛されることを望むものではないが、フィルム変形が少なく、したがって、パウチ製造プロセス中に発生する膜減りが少ないため、スルホン酸系フィルム(例えば、比較フィルム2)から製造されたパウチは、より強度が高いパウチが期待された。したがって、示された2つの異なるアニオン化学種間のパウチ強度の差は、同じ空洞深さが選択された場合、より大きくなると考えられている。
【0184】
実施例2−サンプル樹脂ブレンド、並びにそれから製造されたフィルム及びパウチ。
表1は、PVOHフィルムの製造に使用され得る幾つかの例示のPVOHポリマー樹脂(A〜J)を示す。
【0185】
【表4】
ナトリウム塩
【0186】
表2は、表1に記載のポリマーから製造され得る様々なPVOHポリマーブレンド(#1〜20)を示す。ブレンドは、各PVOHブレンド中の各ポリマーの相対重量%によって列挙される。PVOH樹脂ブレンドは、他のフィルム添加剤(可塑剤など)と共に使用して、水溶性フィルムを製造することができる。このようなフィルムを使用して、洗濯洗剤などの家庭用ケア組成物を収容するパウチを形成することができる。パウチは、単一区画又は多区画パウチであってよい。
【0187】
【表5】
【0188】
実施例3−家庭用ケア組成物を収容するパウチ。
単一区画パウチ及び/又は多区画パウチは、実施例2に記載されているフィルム(例えば、PVOHブレンド1〜20のいずれかを含むフィルム)のうちのいずれから形成されてもよい。パウチは、以下の配合に従った家庭用ケア組成物を収容してもよい。
【0189】
漂白剤添加剤組成物は、表3に示される成分を含むことができる。
【0190】
【表6】
テトラアセチルエチレンジアミン
【0191】
粒状洗濯洗剤は、表4に示される成分を含むことができる。
【0192】
【表7】
【0193】
液体洗濯洗剤は、表5に示される成分を含むことができる。
【0194】
【表8】
また、好ましいLASは、直鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【0195】
洗剤は、表6に示される配合物を含むことができる。
【0196】
【表9】
【0197】
この家庭用ケア組成物は、表7に示される配合物のいずれかを含むことができる。
【0198】
【表10】
ジ(アシルオキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェートであって、アシル基は部分的に水素添加されたカノーラ脂肪酸から誘導される。
部分的に水素添加されたカノーラ脂肪酸。
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
PEG 6コカミド−ヤシ脂肪酸のポリエチレングリコールアミド。
ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩
供給元により柔軟活性物質に含まれる物質。
【0199】
多区画パウチは複数の有益剤を収容することができる。非限定的な例として、2成分又は3成分パウチは、表8に示される配合物を別個の密閉空間の中に収容することができ、用量は各密閉空間内の配合物の量である。
【0200】
【表11】
米国特許第7169744号に記載されるような硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル
PAP=フタロイル−アミノ−ペルオキシカプロン酸、70%活性湿潤ケーキとして
−NH1個当たり20個のエトキシレート基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。
エトキシル化チオフェン、EO(R+R)=5
RA=予備アルカリ度(NaOHのg/用量)
【0201】
多成分パウチの別の実施形態では、各密閉空間は液体及び固体の有益剤で充填することができる。1つの密閉空間は液体で充填され、1つの密閉空間は固体で充填されている2区画パウチの非限定的な例は、表9A及び表9Bに示される配合物の組み合わせを含む。
【0202】
【表12】
1.C11〜13直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
2.(ビス(CO)(CO)n)(CH)−N−CxH2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO))、式中、nは15〜30、xは3〜8である。
3.ランダムグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖及び多数のポリビニルアセテート側鎖を有する、ポリビニルアセテートグラフトポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートとの重量比は、約40〜60であり、50エチレンオキシド単位当たり1グラフト点を超えない。
【0203】
【表13】
【0204】
専門家によって使用され得る硬質表面洗浄組成物は、表10に提示された配合物を含むことができる。
【0205】
【表14】
【0206】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指定がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0207】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用をも、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(1つ又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することにより本明細書に援用された文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0208】
以上、本開示の特定の実施形態について図示、説明したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変が可能である点は当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内に属する全てのこのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に網羅するものとする。
図1
図2
図3