(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の液圧式クランプ装置がクランプするワークは、公差を規定しその公差の範囲に製造されることが一般的であり、そのため規定された公差の範囲でクランプ部の実際寸法はばらつく。このように公差内で寸法がばらつくワークに対して従来では、液圧式クランプ装置の膨張(又は収縮)部とワークとが接触する把持開始点(ゼロ点)を検知する方法がなく、クランプ時、すなわち液圧式クランプ装置が膨張(又は収縮)しワークと接触してからさらに作動液体に圧力を加えた場合に発生する把持力を制御することができなかった。その結果、公差の上限値のワークでは、把持力は低く、公差の下限値のワークでは、把持力は高くなる。
ここで、把持力について説明する。
液圧式クランプ装置は、作動液体室に封入された作動液体に圧力を加えることによって薄肉円筒部(膨張部)が径方向に弾性変形する。
被クランプ部材は、液圧式クランプ装置の膨張部と隙間を有して嵌め合せるため、液圧式クランプ装置の膨張部の膨張を進めると、被クランプ部材の内径(又は外径)に接触することになる。接触してなお作動液体に圧力を加えると、薄肉円筒部は接触した被クランプ部材(ワーク)の肉厚が加味され弾性変形を起こしにくくなる。作動液体に圧力を加える方法として、ピストン等により作動液体室に封入した作動液体を押し込む方法があり、同じ押し込み量のときに、薄肉円筒部だけを膨張させる圧力と薄肉円筒部に被クランプ部材(ワーク)の肉厚が加わり一体となった状態を膨張させる圧力に違いが生じ、その圧力値の差がワークを把持する把持力となる。
【0006】
すなわち、液圧式クランプ装置を用いてワークをクランプする場合に、作動液体に圧力を加えるため、ピストン等を作動する(押し込む)。この時の作動量を一定の量(=押し込みストローク)とした場合に、公差内の上限値のワークは把持力が小さく(=変形が小さく)、公差内の下限値のワークは把持力が大きく(変形が大きくなる)。したがって、ワークを高精度に加工、測定する場合には、このような変形の影響が問題となってくる。
前記説明の形態は、液圧式クランプ装置が膨張してワークをクランプする場合であり、液圧式クランプ装置が収縮してワークをクランプする場合は、ワークの公差と把持力との関係は反対になるものの、その特性は同じである。以降は、液圧式クランプ装置を膨張させてワークを把持する場合の動作を説明する。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、公差内で寸法がばらつく各被クランプ部材に対して把持開始点を見つけることが可能な液圧式クランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、外周面又は内周面をなす第1の周面を備えた第1の部材と、前記第1の周面に重なり合う内周面又は外周面をなす第2の周面を備えた第2の部材とを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材が互いに重なり合う部分において、前記第1の周面及び前記第2の周面の少なくとも一方に設けられた凹部により作動液体室が画定され、前記作動液体室に封入された作動液体の圧力によって前記第2の部材が弾性変形することにより、被クランプ部材をクランプする液圧式クランプ装置であって、
前記作動液体室に封入された前記作動液体の圧力を測定する圧力測定手段と、前記第1の部材に形成されて前記作動液体室に連通するピストン室と、前記ピストン室に設けられたピストンを駆動する駆動装置と、前記第2の部材により前記被クランプ部材のクランプを開始する把持開始点を算出する演算手段
と、を備え
、前記演算手段は、前記圧力測定手段にて測定された前記作動液体の圧力と、前記駆動装置のピストンロッドのストロークの測定データに基づいて前記把持開始点を算出することを特徴とする。
【0010】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の演算手段は、前記作動液体の圧力と、前記ピストンロッドのストロークとの関係を示す測定データに基づいて、前記第2の部材が弾性変形を開始してから前記被クランプ部材の公差下限までの第1の区間の2点と、前記第2の部材が前記被クランプ部材の公差上限と同じになる点から最も弾性変形するまでの第2の区間の2点でそれぞれ直線データを作成し、これらの2直線の交点を前記把持開始点とすることを特徴とする。
【0011】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1に記載の演算手段は、前記作動液体の圧力と、前記ピストンロッドのストロークとの関係を示す測定データを、前記第2の部材が弾性変形を開始してから前記被クランプ部材の公差下限までの第1の区間、前記第2の部材が前記被クランプ部材の公差上限と同じになる点から最も弾性変形するまでの第2の区間のそれぞれの区間で直線回帰法によりそれぞれの直線データを算出し、これらの2直線の交点を前記把持開始点とすることを特徴とする。
【0012】
請求項
4に記載の発明は、請求項
1に記載の演算手段は、前記第2の部材が弾性変形を開始してから、前記作動液体の圧力と前記ピストンロッドのストロークとが比例関係を示す測定データの前記作動液体室内の圧力増加率が変化した点を前記把持開始点とすることを特徴とする。
【0013】
請求項
5に記載の発明は、請求項
1に記載の演算手段は、前記第2の部材が弾性変形を開始してから、前記被クランプ部材の公差下限までの区間における、前記作動液体の圧力と前記ピストンロッドのストロークとが比例関係を示す測定データの傾きに対し、前記第2の部材の弾性変形が最大になるまで前記ピストンロッドをストロークさせたときに、前記比例関係を示す測定データの傾きが、前記傾き以上に変化した点を前記把持開始点とすることを特徴とする。
【0014】
請求項
6に記載の発明は、請求項
1に記載の演算手段は、前記被クランプ部材を取り付けない状態で、前記作動液体の圧力と前記ピストンロッドのストロークとの関係を前記第2の部材が弾性変形を開始してから最も弾性変形するまでの比例関係を示す第1の測定データと、前記第2の部材が前記被クランプ部材の公差上限と同じになる点から最も弾性変形するまでの区間において前記被クランプ部材を取り付けた状態で前記作動液体の圧力と前記ピストンロッドのストロークとの比例関係を示す第2の測定データとから直線データを算出し、これら2直線の交点を前記把持開始点とすることを特徴とする。
【0015】
請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載の演算手段は、前記被クランプ部材を取り付けない状態で得られた第1の測定データの傾きに対し、前記被クランプ部材を取り付けた状態で前記ピストンロッドを最大ストロークまでストロークさせたときの前記作動液体の圧力と前記ピストンロッドのストロークとの関係において、前記第1の測定データの傾き以上に変化した点を前記把持開始点とすることを特徴とする。
【0016】
請求項
8に記載の発明は、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の把持開始点を基準として前記第2の部材を弾性変形させ、前記被クランプ部材に対して所定の把持力が得られるように前記作動液体の圧力を制御する把持力制御手段をさらに備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、外周面又は内周面をなす第1の周面を備えた第1の部材と、前記第1の周面に重なり合う内周面又は外周面をなす第2の周面を備えた第2の部材とを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材が互いに重なり合う部分において、前記第1の周面及び前記第2の周面の少なくとも一方に設けられた凹部により作動液体室が画定され、前記作動液体室に封入された作動液体の圧力によって前記第2の部材が弾性変形することにより、被クランプ部材をクランプする液圧式クランプ装置であって、前記第2の部材により前記被クランプ部材のクランプを開始する把持開始点を算出する演算手段と、前記把持開始点を基準として前記第2の部材を弾性変形させ、前記被クランプ部材に対して所定の把持力が得られるように前記作動液体の圧力を制御する把持力制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、第2の部材により被クランプ部材のクランプを開始する把持開始点を算出する演算手段を備えることにより、公差内で寸法がばらつく各被クランプ部材に対して把持開始点を見つけることが可能になる。
また、請求項1に記載の発明によれば、演算手段は、圧力測定手段にて測定された作動液体の圧力と、ピストンロッドのストロークの測定データに基づいて把持開始点を算出することができる。
【0019】
請求項
2に記載の発明によれば、第2の部材が弾性変形を開始してから被クランプ部材の公差下限までの第1の区間の2点と、第2の部材が被クランプ部材の公差上限と同じになる点から最も弾性変形するまで第2の区間の2点でそれぞれ直線データを作成し、これらの2直線の交点を前記把持開始点とすることで、把持開始点を算出することができる。
【0020】
請求項
3に記載の発明によれば、作動液体の圧力と、ピストンロッドのストロークとの関係を示す測定データを、第2の部材が弾性変形を開始してから被クランプ部材の公差下限までの第1の区間、第2の部材が被クランプ部材の公差上限と同じになる点から最も弾性変形するまでの第2の区間のそれぞれの区間で直線回帰法によりそれぞれの直線データを算出し、これらの2直線の交点を把持開始点とすることで、把持開始点を算出することができる。
【0021】
請求項
4に記載の発明によれば、第2の部材が弾性変形を開始してから、作動液体の圧力とピストンロッドのストロークとが比例関係を示す測定データの作動液体室内の圧力増加率が変化した点を把持開始点とするため、把持開始点を算出することができる。
【0022】
請求項
5に記載の発明によれば、第2の部材が弾性変形を開始してから、被クランプ部材の公差下限までの区間における、作動液体の圧力とピストンロッドのストロークとが比例関係を示す測定データの傾きに対し、第2の部材の弾性変形が最大になるまでピストンロッドをストロークさせたときに、比例関係を示す測定データの傾きが、前記傾き以上に変化した点を把持開始点とするため、把持開始点を算出することができる。
【0023】
請求項
6に記載の発明によれば、被クランプ部材を取り付けない状態で、作動液体の圧力とピストンロッドのストロークとの関係を第2の部材が弾性変形を開始してから最も弾性変形するまでの比例関係を示す第1の測定データと、第2の部材が被クランプ部材の公差上限と同じになる点から最も弾性変形するまでの区間において被クランプ部材を取り付けた状態で作動液体の圧力とピストンロッドのストロークとの比例関係を示す第2の測定データとから直線データを算出し、これら2直線の交点を把持開始点とするため、把持開始点を算出することができる。
【0024】
請求項
7に記載の発明によれば、被クランプ部材を取り付けない状態で得られた第1の測定データの傾きに対し、被クランプ部材を取り付けた状態でピストンロッドを最大ストロークまでストロークさせたときの作動液体の圧力とピストンロッドのストロークとの関係において、第1の測定データの傾き以上に変化した点を把持開始点とするため、把持開始点を算出することができる。
【0025】
請求項
8、9に記載の発明によれば、把持開始点を基準として第2の部材を弾性変形させ、被クランプ部材に対して所定の把持力が得られるように作動液体の圧力を制御する把持力制御手段をさらに備えるので、被クランプ部材に対する把持力を所定の値に設定することが可能になる。その結果、公差内で寸法がばらつく各被クランプ部材に対して同量の把持力でクランプすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
[発明の実施の形態1]
図1乃至
図5には、本発明の実施の形態1を示す。
【0029】
図1は本発明の実施の形態1に係る液圧式クランプ装置を示す縦断面図である。
図2は、同実施の形態1に係る液圧式クランプ装置の要部を示す縦断面図である。なお、以下の実施の形態に係る液圧式クランプ装置は、ワークの内周面をマンドレルにより把持する装置に適用した例である。
【0030】
図1に示すように、液圧式クランプ部10は、本体(第1の部材)12を有する。本体12は、第1軸状部16とフランジ部18と第2軸状部20とを軸線方向に順に同一軸線上に有する丸棒による棒状部(マンドレル)22を含む。第1軸状部16及び第2軸状部20は同一外径を有する。フランジ部18は、第1軸状部16及び第2軸状部20よりも大きい外径を有し、第1軸状部16及び第2軸状部20に対し径方向外方に拡張して形成されている。
【0031】
第1軸状部16の外周には、薄肉構造の円筒状体(第2の部材)24が嵌装されている。この円筒状体24は、円筒形状の被クランプ部材W1をクランプする外周面24A及び第1軸状部16の外周面(第1の周面)16Aに重なり合う内周面(第2の周面)24Bを備える。
【0032】
第1軸状部16の外周面16Aには、周溝状の凹部28が形成されている。第1軸状部16と円筒状体24との間には、凹部28によって第1軸状部16の外周面16Aの全周に亘って延在する横断面(中心軸線に直交する断面)形状が円環状の作動液体室30が画定されている。第1軸状部16の外周面16Aには、作動液体室30を挟んだ軸線方向の両側に作動液体室30の液密性を確保するためのOリング32が装着されている。なお、円筒状体24は、第1軸状部16にろう付け等によって液密に接合されていてもよい。この場合には、Oリング32は不要になる。
【0033】
棒状部22は、中心軸線上を第1軸状部16に亘って軸線方向に延在するピストン室34を有する。ピストン室34内には、ピストン36が軸線方向に移動可能に嵌合している。ピストン室34の一方の端部は、第1軸状部16に形成された軸線方向の通路38及び径方向の複数の通路40を通して作動液体室30に連通している。
【0034】
ピストン36によって区切られたピストン室34の通路38側の室空間、通路38、40及び作動液体室30は、一つの密閉空間をなしており、作動液体である作動油が封入されている。
【0035】
本体12の第2軸状部20には、ブッシュ42がねじ止めされている。このブッシュ42は、中心部の軸線方向に貫通する貫通孔42Aが形成されている。この貫通孔42Aには、プッシュロッド44が軸線方向に移動可能に係合している。このプッシュロッド44が軸線方向に移動すると、鋼球48を介してピストン36に伝達されるように構成されている。
【0036】
液圧式クランプ部10には、プッシュロッド44と同一軸線上に駆動装置の一例である動力シリンダ部46が設置されている。この動力シリンダ部46は、ピストン36を駆動する駆動装置であり、動力シリンダ部46への制御信号によって駆動装置のピストンロッド47のストロークを制御する。上記制御信号によりピストンロッド47が
図1で見て右方向に移動すると、プッシュロッド44、鋼球48、ピストン36を移動させることになり、作動液体室30の作動油を加圧する。これにより、作動液体室30の圧力は定量的に加圧制御される。
【0037】
本実施の形態では、動力シリンダ部46を使用することによって作動液体室30の作動油の加圧を機械化及び自動化することができる。
【0038】
このようにしてピストンロッド47の加圧構造が構成され、プッシュロッド44の移動によってピストン36がピストン室34を通路38側(
図1で見て右側)に移動する。これにより、作動液体室30の作動油が加圧され、この加圧によって円筒状体24が径方向に弾性変形することにより径方向外方に拡径変形する。その結果、円筒状体24の外周面24Aにおいて円筒状体24の拡径変形のもとに被クランプ部材W1をクランプすることが行われる。より詳細には、被クランプ部材W1は、円筒状体24の外周に嵌合した中心孔Aを有していて、円筒状体24の拡径変形によって中心孔Aの内周面に円筒状体24の外周面24Aが密着することにより、液圧式クランプ部10に把持(クランプ)される。
【0039】
このように、本実施の形態1の液圧式クランプ部10は、円筒形状の被クランプ部材W1をクランプする力を制御してクランプする。
【0040】
第1軸状部16の端面16Bには、圧力センサ装置60が取り付けられている。この圧力センサ装置60は、
図2に示すようにフランジ部62と、このフランジ部62から一方の側に延出した雄ねじ部64と、フランジ部62のもう一方の側に順に形成された六角部66及びハウジング68と、このハウジング68の遊端(先端)に装着されたキャップ部70とを有する。
【0041】
ハウジング68には、不図示の圧力測定素子及び回路基板を含む液圧測定部(圧力測定手段)72がオイル69によって封止された状態で設けられている。雄ねじ部64、フランジ部62及び六角部66には、雄ねじ部64の先端に開口にして測定対象の圧力を液圧測定部72に導く圧力導入通路74が形成されている。
【0042】
液圧測定部72がオイル69によって封止されていることにより、液圧測定部72の絶縁信頼性が高くなるとともに、外部環境の影響を受け難くなり、液圧測定部72により安定した圧力測定が可能になる。
【0043】
キャップ部70には、液圧測定部72によって測定された圧力を示す信号を外部に、本実施の形態では液圧式クランプ部10の近傍に配置される無線式リーダ90(
図1参照)に出力する無線通信部76と、圧力センサ装置60のための電力を無線によって外部から、本実施の形態では前述の無線式リーダ90から受信する受電部78とを有する。受電部78は、内蔵アンテナ(不図示)を用いて無線式リーダ90から公知の電磁誘導あるいは電界及び磁界が変化する電波によって外部から非接触方式で給電されるものであり、液圧測定部72及び無線通信部76に電力の供給を行う。
【0044】
第1軸状部16には、端面16Bに開口した径方向の有底のねじ孔80が形成されている。圧力センサ装置60は、雄ねじ部64がねじ孔80にねじ係合することにより、第1軸状部16の端面16Bに固定される。
【0045】
図2に示すように、フランジ部62の雄ねじ部64側には、円環状の凹溝65が形成されている。この凹溝65には、円環状のゴムパッキン67が装着されている。このゴムパッキン67は、雄ねじ部64がねじ孔80にねじ係合することにより、弾性変形して第1軸状部16の端面16Bに押し付けられ、第1軸状部16と圧力センサ装置60との間の液密シールを行う。
【0046】
第1軸状部16には、
図1に示すように、ねじ孔80の軸線方向に連通する通路82が形成されている。この通路82は、第1軸状部16に形成された軸線方向の通路38及び径方向の複数の通路40に連通している。
【0047】
ねじ孔80、通路82、40及び38には、前述の密閉空間の膨張部として密閉空間と同様の作動油が封入されており、これらねじ孔80、通路82、40及び38は、作動液体室30の圧力を液圧測定部72に導く。これにより、作動液体室30の作動油の圧力(液圧)と同じ圧力が液圧測定部72に作用し、液圧測定部72は作動液体室30の液圧を測定する。
【0048】
この作動液体室30の液圧を測定するには、ハンディタイプの無線式リーダ90が液圧式クランプ部10の圧力センサ装置60に近付けられ、無線式リーダ90の測定ボタン92が押されることにより開始される。測定ボタン92が押されると、圧力センサ装置60の受電部78は無線式リーダ90から非接触方式で給電され、受電部78から液圧測定部72及び無線通信部76に電力の供給が行われる。これにより、液圧測定部72及び無線通信部76がアクティブ状態になって液圧測定部72が作動液体室30の液圧を測定し、無線通信部76が液圧測定部72によって測定された液圧の示す信号(電波)を外部に出力する。この無線通信部76が出力する電波を無線式リーダ90が受信することにより、無線式リーダ90の表示部94に作動液体室30の液圧が表示される。
【0049】
これにより、圧力センサ装置60において電池交換を行ったり、圧力センサ装置60にリード線の接続を行ったりする作業を必要とすることがなく、作動液体室30の液圧の測定が作業性よく行われるようになる。
なお、本実施の形態は無線式リーダ90を用いた例について説明したが、有線式圧力センサを用いて測定した内部圧力を外部へ発信しても液圧の測定値に変わりはない。
【0050】
次に、本実施の形態の制御回路について説明する。
【0051】
図3は、実施の形態1に係る液圧式クランプ装置の制御回路を示すブロック図である。
図4は、
図3の制御部の動作を示すフローチャートである。
図5は、実施の形態1に係る液圧式クランプ装置においてピストンロッドのストローク(位置)と液圧(圧力)との関係を示すグラフである。
ここで、液圧式クランプ部10の動作特性について説明する。
すなわち、液圧式クランプ装置の動作特性として以下の(1)、(2)、(3)が分かっている。
(1)作動液体を加圧するためのピストンロッド47の移動量(=ピストンロッド47のストローク)と作動液体の圧力は比例関係にある。
(2)作動液体の圧力と液圧式クランプ部10の円筒状体24の膨張量は比例関係にある。
(3)前記比例関係により液圧式クランプ部10の円筒状体24の径とピストンロッド47のストロークとの関係を求めることができる。したがって、対象となる被クランプ部材W1の把持部の公差の上限、下限の径と同径になるピストンロッド47のストローク、または液圧は、液圧式クランプ部10の固有値として把握することが可能である。
この固有値は、液圧式クランプ部10の円筒状体24径を実測しても、液圧式クランプ部10の設計値から計算で求めてもどちらでも可能である。
【0052】
図3に示すように、液圧式クランプ装置の制御回路は、制御部50を有している。この制御部50は、液圧式クランプ部10における圧力センサ装置60の液圧測定部72の圧力測定データを入力するとともに、動力シリンダ部46からピストンロッド47のストロークの測定データを入力する。
【0053】
制御部50は、演算手段としての演算部52と、把持力制御手段としての把持力制御部54とを有する。演算部52は、円筒状体24により被クランプ部材W1のクランプを開始する把持開始点を算出する。具体的には、演算部52は、円筒状体24の外周面24Aが被クランプ部材W1の内周面に接触を開始する点を算出する。把持力制御部54は、上記把持開始点を基準としてあらかじめ規定する圧力となるようにピストンロッド47のストロークを制御する。
【0054】
ところで、本実施の形態は、液圧式クランプ部10のプッシュロッド44を取付機械側の動力シリンダ
部46のピストンロッド47で押す動力タイプである。ピストンロッド47が押されることにより、液圧式クランプ部10の作動液体室30の作動油に圧力がかかり、円筒状体24が拡径変形する。この作動液体室30に通路40、82、ねじ孔80を通して圧力センサ装置60が接続されており、作動液体室30の内部の圧力変化を圧力センサ装置60の液圧測定部72で測定している。
【0055】
演算部52は、ピストンロッド47のストロークの測定データ、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データに基づいてゼロ点、すなわち把持開始点を算出するようにしている。ここで、上記把持開始点(以下、ゼロ点ともいう。)とは、円筒状体24の外周面24Aが被クランプ部材W1の中心孔Aの内周面に接触を開始する点をいう。また、上記把持力は、上記把持開始点からさらに作動液体室30内の圧力を上昇させた場合の液圧に置き換えることができる。
具体的には、液圧式クランプ部10の作動液体室30に封入されている作動油を加圧すると円筒状体24が拡径変形する。上述したように内圧と拡径変形量及び加圧のためのシリンダストロークと拡径変形量は、比例関係にあることから被クランプ部材W1を把持した場合、把持開始点からの拡径変形量に相当する液圧で把握することができる。なお、把持開始点を得るための具体的な算出方法については、後述する。
【0056】
動力シリンダ部46は、一般的には油圧シリンダ、空圧シリンダ、油圧式サーボシリンダ、モータとボールねじを用いた電動シリンダ等が使用される。動力シリンダ部46のピストンロッド47のストロークは、ピストンロッド47に測長器や変位計等の移動量測定手段を取り付け、この移動量測定手段によりピストンロッド47の移動量を測定する。また、動力シリンダ部46に電動シリンダを用いた場合には、モータの回転角度とボールねじのリードから移動量を算出することができる。
【0057】
次に、制御部50の動作を
図4及び
図5に基づいて説明する。
【0058】
まず、液圧式クランプ部10に被クランプ部材W1を装着する(ステップS11)。具体的には、円筒状体24の外周面24Aに被クランプ部材W1を装着する。
【0059】
次いで、液圧式クランプ部10の膨張(拡径変形)を開始する(ステップS12)。具体的には、円筒状体24の膨張を開始する。このステップS12の処理では、制御部50がピストンロッド47のストロークの測定データと、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データを監視する。
【0060】
そして、円筒状体24を膨張させる(ステップS13)。
【0061】
さらに、制御部50の演算部52は、ピストンロッド47のストロークの測定データと、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データとから把持開始点(ゼロ点)を算出する(ステップS14)。
【0062】
次に、制御部50は、ステップS14で算出された把持開始点に基づいて所定の圧力となるようにフィードバック制御する(ステップS15)。具体的には、制御部50の把持力制御部54は、上記把持開始点を基準として
図5に示すピストンロッド47のストロークの測定データと作動液体室30内の圧力の測定データから所定の圧力となるように動力シリンダ部46に制御信号を出力する。動力シリンダ部46は、その制御信号を入力してピストンロッド47のストロークの値が所定の圧力となるように設定する。これにより、液圧式クランプ部10は、そのストロークの値に基づいて円筒状体24を弾性変形(拡径変形)させ、被クランプ部材W1に対して所定の圧力(把持力)となるように制御される。
【0063】
ここで、被クランプ部材W1に対して所定の圧力(把持力)となるように制御することについて説明する。また、所定の把持力とは、本制御を実施するにあたり、あらかじめ設定する任意の値である。
【0064】
複数の被クランプ部材W1は、それぞれ公差内においてばらつきがあるため、円筒状体24が弾性変形(拡径変形)した場合、円筒状体24の外周面24Aが被クランプ部材W1の中心孔Aの内周面に、接触するまでの拡径変形量がばらつくことになる。接触点が分からない状態では、複数の被クランプ部材W1の中心孔Aの内径より確実に大きくなるよう円筒状体24の拡径を決めてクランプするため、複数の被クランプ部材W1をクランプした場合、把持力にばらつきが生じる。
【0065】
そこで、本実施の形態では、円筒状体24の外周面24Aが被クランプ部材W1の中心孔Aの内周面に接触して把持する把持開始点からの測定データが得られている。したがって、この測定データに基づいて、例えば、把持開始点からストロークをどの程度にすると、如何なる圧力で把持することが分かる。よって、各被クランプ部材W1に対して所定の圧力(把持力)となるように制御することが可能になる。
【0066】
さらに、加工完了後は、動力シリンダ部46を元の位置である原点に復帰させ(ステップS16)、制御部50の一連の処理を終了する。
【0067】
次に、ステップS14の把持開始点の算出処理について、具体的な
6つの方法を説明する。
【0068】
(第1の把持開始点算出方法)
図6は、同実施の形態1において測定データに基づいて把持開始点を算出する一例を示すグラフである。
【0069】
本実施の形態によって得られたピストンロッド47のストロークの測定データと、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データに基づいて、演算部52は、
図6に示すように液圧式クランプ部10の円筒状体24が膨張(弾性変形)を開始してから被クランプ部材W1の公差下限の値に膨張するまでの区間a(第1の区間)の2点(
図6に〇印で示す点)と、被クランプ部材W1の公差上限の値に膨張したところから液圧式クランプ部10の円筒状体24が最大膨張(最も弾性変形)するまでの区間b(第2の区間)の2点(
図6に△印で示す点)でそれぞれ直線データを作成する。これらの2直線の交点を把持開始点(ゼロ点)とする。
【0070】
把持開始点の検出後は、把持開始点に対して所定の圧力となるようにフィードバック制御を行う。このときの制御対象は、上記ストローク、又は圧力のいずれかを基準にしてもよい。この制御対象の基準については、以下の把持開始点算出方法についても同様である。
【0071】
(第2の把持開始点算出方法)
本実施の形態によって得られたピストンロッド47のストロークの測定データと、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データに基づいて、演算部52は、区間a、区間bの測定データをそれぞれ直線回帰法により2直線データに変換する。これらの2直線の交点を把持開始点とする。
【0072】
把持開始点の検出後は、上記と同様に把持開始点に対して所定の圧力となるようにフィードバック制御を行う。
【0073】
(第3の把持開始点算出方法)
液圧式クランプ部10が被クランプ部材W1に接触する前の作動液体の圧力とピストンロッド47のストロークとが比例関係を示す測定データから、その液圧式クランプ部10の傾きが得られる。この傾きとは、ピストンロッド47のストローク量に対する作動液体室30内の圧力増加の比率をいう(以下、圧力増加率という。)。
【0074】
液圧式クランプ部10が被クランプ部材W1に接触し、さらに液圧式クランプ部10を膨張させるためピストンロッド47をストロークさせると、作動液体室30内の圧力増加率は、被クランプ部材W1に接触するまでの圧力増加率より上昇する。この圧力増加率が変化する変化点を把持開始点とする。
把持開始点の検出後は、上記と同様に把持開始点に対して所定の圧力となるようにフィードバック制御を行う。
【0075】
なお、第3の把持開始点算出方法では、圧力増加率が変化する変化点を境界として、第1の把持開始点算出方法、第2の把持開始点算出方法による把持点の検出も可能である。
【0076】
(第4の把持開始点算出方法)
前記区間aにおける作動液体の圧力とピストンロッド47のストロークとが比例関係を示す測定データから、その液圧式クランプ部10のその時点での固有の傾きが得られる。この固有の傾きとは、ピストンロッド47のストロークの一定量に対する作動液体室30内の圧力増加量をいう(以下、固有の傾きという。)。
【0077】
液圧式クランプ部10が被クランプ部材W1に接触し、さらに液圧式クランプ部10を膨張させるためピストンロッド47をストロークさせると、作動液体室30内の圧力増加量は、被クランプ部材W1に接触するまでの増加量より上昇する。この圧力増加量が変化する変化点を把持開始点とする。
すなわち、本算出方法は、液圧式クランプ部10の円筒状体24の弾性変形が最大になるまでピストンロッド47をストロークさせたときに、比例関係を示す測定データの傾きが、固有の傾き以上に変化した点を把持開始点とする。上記と同様に把持開始点に対して所定の圧力となるようにフィードバック制御を行う。
【0078】
(第5の把持開始点算出方法)
図7は、実施の形態1において測定データに基づいて把持開始点を算出する他の例を示すフローチャートである。第
5の把持開始点算出方法は、被クランプ部材W1を液圧式クランプ部10に装着しない状態で作動液体の圧力とピストンロッド47のストロークとの比例関係を示す測定データを用いている。以下、具体的に説明する。
【0079】
図7に示すように、液圧式クランプ部10に被クランプ部材W1を装着しない状態(液圧式クランプ装置に取り付けない状態)とする(ステップS1)。具体的には、円筒状体24の外周面24Aに被クランプ部材W1を装着しない。
【0080】
次いで、液圧式クランプ部10の膨張(拡径変形)を開始する(ステップS2)。このステップS2の処理では、制御部50がピストンロッド47のストロークの測定データと、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データを監視する。そして、液圧式クランプ部10のピストンロッド47の最大ストロークに到達するまでストロークさせる(ステップS3)。
【0081】
本実施の形態では、このときのストロークの測定データと作動液体室30内の圧力とが比例関係を示す測定データ(第1の測定データ)から、この液圧式クランプ部10の固有の傾きを検出することができる。
【0082】
次に、液圧式クランプ部10に被クランプ部材W1を装着して、液圧式クランプ部10の膨張(拡径変形)を開始する(ステップS11,S12)。このステップS12の処理では、制御部50がピストンロッド47のストロークの測定データと、液圧測定部72で測定した作動液体室30内の圧力の測定データを監視する。そして、液圧式クランプ部10の最大ストロークまでピストンロッド47をストロークさせる(ステップS13)。
【0083】
ステップS11〜S13では、前記装着状態で液圧式クランプ部10の膨張を進めると、被クランプ部10に接触する。さらに、ピストンをストロークさせ作動液体の圧力を高めることにより、液圧式クランプ部10の円筒状体24が被クランプ部材W1に接触した後の圧力とピストンロッド47のストロークとの比例関係を示す測定データ(第2の測定データ)が得られる。したがって、この測定データから、被クランプ部材W1をクランプしてからの傾きを検出することができる。この時の把持開始点算出方法は、第1、第2の把持開始点算出方法と同様に、これらの傾きの2直線の交点を把持開始点とする。
【0084】
把持開始点の検出後は、上記と同様に把持開始点に対して所定の圧力となるようにフィードバック制御を行う。その他の処理は、
図4に示すフローチャートと同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
なお、第
5の把持開始点算出方法では、被クランプ部材W1に対して装着しない状態のストロークの第1の測定データと作動液体室30内の圧力との関係を示す測定データを得た後に、セット状態での測定データを連続して得るようにしたが、これに限らず非セット状態の測定データは、あらかじめ得るようにしてもよい。
【0086】
(第
6の把持開始点算出方法)
この把持開始点算出方法では、被クランプ部材W1をクランプしない状態で液圧式クランプ部10の円筒状体24を膨張させる。この動作でこの液圧式クランプ部10の固有の傾きを検出することができる。
【0087】
次に、被クランプ部材W1を装着してクランプすることで、被クランプ部材W1をクランプしてからの傾きを検出することができる。
【0088】
被クランプ部材W1を装着しない状態で得られた傾きに対して、被クランプ部材W1をクランプした傾きがそれ以上に変化したポイントを把持開始点とする。すなわち、被クランプ部材W1を取り付けない状態で得られた第1の測定データの傾きに対し、被クランプ部材W1を取り付けた状態でピストンロッド47を最大ストロークまでストロークさせたときの作動液体の圧力とピストンロッド47のストロークとの関係において、第1の測定データの傾き以上に変化した点を把持開始点としている。この把持開始点の検出後は、上記と同様に把持開始点に対して所定の圧力となるようにフィードバック制御を行う。
なお、この把持開始点算出方法では、
図7に示すステップS13の膨張工程が不要になる。
【0089】
ところで、前記第
4、第
6の把持開始点算出方法では、液圧式クランプ部10を徐々に膨張させて規定の圧力以上に変化があったポイントを把持開始点とするため、被クランプ部材W1に不必要な力がかかることはない。
【0090】
第
5及び第
6の把持開始点算出方法では、被クランプ部材W1をクランプしていない非セット状態での動作と、被クランプ部材W1をクランプしたセット状態での動作の2つの動作(モーション)が必要になる。しかし、この動作で得られる液圧式クランプ部10の固有の傾きは、第1及び第2の把持開始点算出方法と比較して測定データ数が多いため、データの信頼性が高くなるという効果がある。
【0091】
このように本実施の形態によれば、円筒状体24により被クランプ部材W1のクランプを開始する把持開始点を算出する演算部52を備えることにより、公差内で寸法がばらつく各被クランプ部材W1に対して把持開始点を見つけることが可能になる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、演算部52は、液圧測定部72にて測定された作動液体の圧力と、ピストンロッド47のストロークの測定データに基づいて把持開始点を算出することにより、把持開始点を算出することができる。
【0093】
さらに、本実施の形態によれば、把持力制御部54は、把持開始点を基準として円筒状体24の弾性変形量(膨張量)を、被クランプ部材W1に対して所定の把持力となるように制御するので、被クランプ部材W1に対する把持力を所定の値に設定することが可能になる。
【0094】
[発明の実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係る液圧式クランプ装置の制御回路を示すブロック図である。なお、前記実施の形態1と同一の部分には、同一の符号を付して異なる構成および作用について説明する。
【0095】
図8に示すように、本実施の形態では、前記実施の形態1の圧力センサ装置60に代えて、動力シリンダ
部46の先端に圧力測定手段としてのロードセル85が取り付けられている。
【0096】
本実施の形態では、動力シリンダ部46のストローク、ロードセル85の圧力を演算することにより、前記実施の形態1と同様に把持開始点(ゼロ点)を得るようにしている。
【0097】
このように本実施の形態によれば、圧力測定手段としてロードセル85を用いたことにより、前記実施の形態1のような液圧測定部72に比べて構造を簡素化することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、ロードセル85を動力シリンダ46の先端に取り付けるようにしたが、これに限らずピストンロッド47や液圧式クランプ部10内に組み込むようにしてもよい。その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0099】
本発明の各実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施の形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0100】
例えば、上記各実施の形態では、被クランプ部材W1の内周面をマンドレルにより把持する液圧式クランプ装置について説明したが、これに限らず被クランプ部材W1の外周面をチャックにより把持する液圧式クランプ装置にも適用可能である。
【0101】
また、上記各実施の形態では、作動液体として作動油を用いた例について説明したが、これ以外に水やゲル状物質を用いることもできる。
【0102】
さらに、本発明では、テーパ状コレットを備えたものについても適用可能である。具体的には、円筒状体24に代えてテーパ状コレットを設け、このテーパ状コレット内に外周面がテーパ状に形成された円柱状の本体を設け、テーパ状コレットの外周面を被クランプ部材W1の内周面に挿入し、円柱状の本体をテーパ状コレットから引っ張るようにする。これにより、円柱状の本体のストローク(軸方向位置)が変化することで、被クランプ部材W1に対する圧力が変化する。
【解決手段】液圧式クランプ装置は、第1の部材である本体12及び第2の部材である円筒状体24が互いに重なり合う部分において、第1の周面である外周面16A及び第2の周面である内周面24Bの少なくとも一方に設けられた凹部28により作動液体室30が画定され、作動液体室30に封入された作動液体の圧力によって円筒状体24が弾性変形することにより、被クランプ部材W1をクランプする。液圧式クランプ装置は、円筒状体24により被クランプ部材W1のクランプを開始する把持開始点を算出する演算手段を備える。