(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665381
(24)【登録日】2020年2月25日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】適応型照射を備えたフラッシュライダー
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20200302BHJP
G01S 17/93 20200101ALI20200302BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/93
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-221064(P2018-221064)
(22)【出願日】2018年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-95452(P2019-95452A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2018年11月27日
(31)【優先権主張番号】15/822,287
(32)【優先日】2017年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィブケ エックシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−クリストフ エックシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】エリック マグナス バッハ
【審査官】
▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2016/0245902(US,A1)
【文献】
特開2012−083222(JP,A)
【文献】
米国特許第05313262(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0245920(US,A1)
【文献】
INOUE, T. 外8名,“LCOS spatial light modulator controlled by 12-bit signals for optical phase-only modulation”,Proceedings of SPIE,2007年,Volume 6487, Article 64870Y,11 Pages,DOI: 10.1117/12.699821
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 − G01S 7/51
G01S 17/00 − G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に組み込まれたフラッシュライダー(light detection and ranging(光検出及び測距):lidar)システムであって、
前記車両に組み込まれたライダー送信機であって、前記ライダー送信機は周期変調光源と空間光変調器(SLM)とを有し、前記周期変調光源によって生成された出力光線が、前記ライダー送信機を透過する前に前記SLMによって反射され、前記ライダー送信機に対応する第1の視野(FoV)内に、前記周期変調光源の単一のパルス内で、前記SLMは異なる光強度の複数の照射区域を生成する、ライダー送信機と、
前記車両に組み込まれたライダー受信機であって、前記ライダー受信機はさらにセンサアレイを有し、前記ライダー受信機に対応する第2のFoV内の物体によって反射された光が前記センサアレイによって捕らえられる、ライダー受信機と、
前記ライダー送信機及び前記ライダー受信機に連結されたライダー処理システムであって、前記ライダー処理システムは、前記SLMによって生成された前記複数の照射区域の各照射区域に対して所定の区域サイズ及び所定の光強度を実現するよう前記SLMを適応させるように構成され、前記ライダー処理システムは、前記センサアレイによって取得されたデータに対して飛行時間測定法(ToF測定法)を行うように構成され、前記ライダー処理システムは、(i)現在の車両位置を車載の全地球測位システム(GPS)から受け取り、一連の進行先道路状況をデータベースから受け取り、前記現在の車両位置及び前記一連の進行先道路状況に応じて計算機合成ホログラム(CGH)を生成し、アクティブマトリックス型バックプレーンを用いて前記CGHを前記SLMに適用するように構成される、又は、(ii)一連の進行先道路状況を二次障害物検出システムから受け取り、前記一連の進行先道路状況に応じてCGHを生成し、アクティブマトリックス型バックプレーンを用いて前記CGHを前記SLMに適用するように構成される、ライダー処理システムと
を備える、フラッシュライダーシステム。
【請求項2】
前記ライダー処理システムは、前記周期変調光源の複数のパルスの間に、前記センサアレイによって取得されたデータに対して前記ToF測定法を行う、請求項1に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項3】
前記周期変調光源と前記SLMとの間に置かれた第1のセットの光学系をさらに備え、前記第1のセットの光学系は、前記出力光線が前記SLMに当たる前に、前記出力光線を拡大し且つコリメートする、請求項1に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項4】
第2のセットの光学系と第3のセットの光学系とをさらに備え、前記第2のセットの光学系は、前記ライダー送信機に対応する第1のFoVを照射するために、前記SLMによって反射された前記出力光線を拡大し、前記第3のセットの光学系は、前記第2のFoV内の物体によって反射された前記光を前記センサアレイに投影する、請求項3に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項5】
前記アクティブマトリックス型バックプレーンは、液晶層の第1の面に配置され、前記液晶層の第2の面に透明電極が配置され、前記アクティブマトリックス型バックプレーンは2次元画素アレイで構成され、前記2次元画素アレイを構成する各画素は前記ライダー処理システムによって個別にアドレス指定可能であり、前記ライダー処理システムは前記2次元画素アレイの各画素を個別にアドレス指定して、前記SLMによって生成された各照射区域に対して前記所定の区域サイズ及び前記所定の光強度を実現するように構成される、請求項1に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項6】
前記SLMはさらに、前記周期変調光源の動作波長において高反射率を提供する誘電体ミラーを含む、請求項5に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項7】
前記アクティブマトリックス型バックプレーンを用いて前記CGHを前記SLMに適用することで、各照射区域に対して前記所定の区域サイズ及び前記所定の光強度が生成される、請求項6に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項8】
前記CGHは、
(i)0と少なくとも2PIとの間の位相レベルの空間配置を含み、前記アクティブマトリックス型バックプレーンを用いて前記CGHを前記SLMに適用することで、各照射区域に対して前記所定の区域サイズ及び前記所定の光強度を生成する、又は、
(ii)事前に計算された、位相レベルの空間配置を含み、前記アクティブマトリックス型バックプレーンを用いて前記CGHを前記SLMに適用することで、各照射区域に対して前記所定の区域サイズ及び前記所定の光強度を生成する、又は、
(iii)位相レベルの空間配置を含み、前記ライダー処理システムは、反復フーリエ変換アルゴリズムを適用することによって、位相レベルの前記空間配置をリアルタイムで計算し、前記アクティブマトリックス型バックプレーンを用いて前記CGHを前記SLMに適用することで、各照射区域に対して前記所定の区域サイズ及び前記所定の光強度を生成する、請求項6に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項9】
前記SLMはさらに、シリコン基板とガラス基板とを含み、前記アクティブマトリックス型バックプレーンと、前記液晶層と、前記透明電極と、前記誘電体ミラーとが、前記シリコン基板と前記ガラス基板との間に挟まれる、請求項6に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項10】
前記複数の照射区域は、前記車両に最も近い第1の照射区域から、FoVの水平線に最も近い最後の照射区域まで広がっており、前記ライダー処理システムは、前記第1の照射区域から前記最後の照射区域へと、照射区域ごとに前記所定の光強度を増加させるように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項11】
前記複数の照射区域の各照射区域に対応する立体角当たりの強度が距離とともに増加し、前記複数の照射区域の各照射区域に対応する角度範囲が前記距離とともに減少する、請求項10に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項12】
前記データベースは、(i)車載ナビゲーションシステムに組み込まれるか、又は(ii)外部データベースで構成されるか、のいずれかである、請求項1から11のいずれか一項に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項13】
前記一連の進行先道路状況はさらに、第1のFoV内の存在する可能性がある障害物に対応する複数の位置を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のフラッシュライダーシステム。
【請求項14】
前記二次障害物検出システムは、レーダーに基づくセンサ、カメラ、電磁センサ、及び超音波センサからなる群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載のフラッシュライダーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してライダーシステムに関し、より具体的には、自律型又は半自律型車両制御システムに用いるのによく適したフラッシュライダーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年の間に、車の設計者及び製造業者は、自社の車両が提供する安全性及び利便性の両方を高めるように設計された様々なシステムを実装してきた。最近の車では一般的になったこれらのシステムの一部、例えば、アンチロックブレーキ(例えば、ABS)や電子安定制御(例えば、ESC)などは、ブレーキ性能を向上させたり、牽引損失を減少させたりすることによって運転安全性を改善する。様々な車に高級オプションとして提供されるクルーズコントロールや自動縦列駐車システムなどの他の車両システムは、簡単な運転を体験できるように設計されている。さらに最近では、車両の技術チームが完全自律走行車の開発に取り組んでおり、そのような車両は一般に、スマートカーに進展する途上の自然な次の段階とみなされている。最初は、自律走行車の使用は、産業用の運送システムや簡単な自動人員輸送車に限定されるかもしれないが、その使用が受け入れられるようになると、自律走行車には、(i)交通事故や事故傷害を減らすこと、(ii)高齢者や運転ができない人たちの移動性を向上させること、(iii)より多くの自由時間を運転者に提供すること、(iv)通勤時間を減らすこと、及び(v)より多くの駐車スペースを確保することが期待されている。
【0003】
全てのスマートカーはセンサシステムに依存して関連のある車両や環境の状況を監視するが、完全自律走行車は、車両の乗員及び車両の近くにいるかもしれない他の人の両方の安全を保証するために、極めて高性能なセンサシステムを必要とする。そのようなセンサシステムは通常、車両性能(例えば、速度、回転半径など)、周辺状況(例えば、明るさ、外気温、気象状況など)、動いていない物体及び動いている物体(例えば、歩行者、他の車両、建物、樹木、標識など)の両方への車の接近を監視する。検出速度及び検出精度の重要性を考えると、自律走行車は多くの場合、協調して動作する複数のセンサシステムに依存し、これらのセンサシステムは様々な検出方式(例えば、カメラを基にしたレーダー、ライダーなど)を利用する。ライダーシステムは高速且つ正確な障害物検出を提供することが分かっていたが、その実用性は現在までのところ、組み込み制約、所要電力、目の安全性によって限定されている。したがって、必要なことは、目に安全な十分低い強度で動作しつつ、それでも組み込み柔軟性を備えた適応性のある長期的な解決策を提供できる、エネルギー効率の良いライダーシステムである。本発明は、そのようなライダーシステムを提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、小さい可視出力開口部と広い視野(FoV)とを有し、車両の中に組み込めるように設計された、エネルギー効率の良い、適応型フラッシュライダー(light detection and ranging:光検出及び測距)システムを提供する。ライダーシステムは、送信機と、受信機と、処理システムとで構成される。送信機は、周期変調光源、すなわち、パルス状の光源を含むか、又は時間依存変調を有する。光源は、815ナノメートルから2ミクロンの範囲内の動作波長を有するレーザであることが好ましい。送信機は空間光変調器(SLM)も含み、SLMは、送信機のFoV内で、光源の単一のパルスの間に、異なる光強度からなる複数の照射区域を生成する。ライダー受信機は、物体によって反射されたライダー送信機からの光を受信機のFoV内で捕らえるセンサアレイを含む。センサアレイのFoVは、3:1から10:1までの範囲にあるアスペクト比を有することが好ましい。ライダー処理システムはSLMを制御して、SLMによって生成される照射区域のそれぞれに対して所定の区域サイズ及び所定の光強度を実現する。ライダー処理システムは、センサアレイによって取得されたデータに対して飛行時間(ToF)測定法を実行する役割も担っている。
【0005】
1つの態様において、SLMは、液晶層の第1の面に配置されたアクティブマトリックス型バックプレーンと、液晶層の第2の面に配置された透明電極とで構成されてよい。アクティブマトリックス型バックプレーンは2次元画素アレイで構成され、各画素のサイズは10ミクロン台又はそれより小さいことが好ましい。バックプレーンを備える画素は、ライダー処理システムによって個別にアドレス指定可能であり、各照射区域に対して所定の区域サイズ及び光強度を実現するのに用いられる。SLMは、ライダーシステムの光源の動作波長において、高反射率を実現するように構成された誘電体ミラーを含むことが好ましい。SLMのデバイススタックは、シリコン基板とガラス基板との間に挟まれることが好ましい。
【0006】
別の態様において、ライダー処理システムは、計算機合成ホログラム(CGH)を生成するように構成されてよい。0と少なくとも2PIとの間の位相レベルの空間配置を含む位相限定CGHは、Gerchberg−Saxtonアルゴリズムなどの反復フーリエ変換アルゴリズム(IFTA)を用いて、事前に計算されてもリアルタイムで計算されてもよい。CGH位相分布はアクティブマトリックス型バックプレーンを用いてSLMに適用され、これにより入射レーザ光線の波面が修正され、送信機のFoV内の照射区域のそれぞれに対して所望のサイズ及び光強度(例えば、立体角当たりの光強度)が生成される。したがって、本システムは、SLM及び生成された照射区域を利用して、送信機のFoV内の透過光の分布を必要な場所に適応させることが可能であり、必要な場所は、距離(例えば、短距離照射対長距離照射)、検出された障害物(例えば、歩行者、標識、他の車両など)、道路状況(例えば、車両速度、直線道路対曲線道路、市街地走行対幹線道路走行など)、又は他の状況に基づいてよい。
【0007】
1つの手法において、ライダー処理システムは光強度勾配を複数の照射区域に適用するように構成されてよく、最低光強度が車両に最も近い照射区域に割り当てられ、また最高光強度がFoVの水平線に最も近い照射区域に割り当てられ、こうして全角度範囲に適応させる。一般に、立体角当たりの強度は距離とともに増加するが、角度範囲は距離とともに減少する。別の手法において、ライダー処理システムは、車両の現在位置を車載GPSシステムから受け取り、また一連の進行先道路状況をデータベース(例えば、車載ナビゲーションシステムのデータベース又は外部データベース)から受け取り、次に、車両の現在位置及び進行先の道路状況に応じてCGHを生成するように構成されてよい。さらに別の手法において、ライダー処理システムは、一連の進行先道路状況を二次障害物検出システム(例えば、レーダーに基づくセンサ、カメラ、電磁センサ、超音波センサなどを用いるセンサシステム)から受け取り、次に、進行先の道路状況に応じてCGHを生成するように構成されてよい。
【0008】
別の態様において、ライダーシステムは、光源とSLMとの間に置かれた第1のセットの光学系を含んでよく、第1のセットの光学系は、出力光線がSLMに当たる前に出力光線を調整する(例えば、光線を拡大し且つコリメートする)。ライダーシステムはさらに、SLMによって反射された出力光線を拡大して、ライダー送信機の対象とするFoVに照射する第2のセットの光学系を含んでよい。ライダーシステムはさらに、受信機のFoV内の物体によって反射された光をセンサアレイに投影する第3のセットの光学系を含んでよい。
【0009】
本発明の特徴及び利点のさらなる理解が、本明細書の残りの部分及び図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図は本発明の範囲を例示することだけを意図するものであって、これを限定することを意図するものではなく、また原寸通りであるとみなされるべきではないことを理解されたい。さらに、異なる図に付けられた同じ参照符号は、同じ構成部分又は類似機能を有する構成部分を指すものと理解されたい。
【0011】
【
図1】本発明の少なくとも1つの実施形態において利用される主要な車両システムのシステムレベルの図を提供する。
【0012】
【
図2】本発明のライダーシステムの好ましい実施形態の説明図を提供する。
【0013】
【
図3】本発明のライダーシステムの1つの実施形態のFoVを例示する。
【0014】
【
図4】車両の位置データを利用する代替の実施形態のFoVを例示する。
【0015】
【
図5】
図4に例示した実施形態の第2の例示的なFoVを提供する。
【0016】
【
図6】ライダーシステムのFoV内の物体(例えば、標識、草木、歩行者、野生動物など)にライダー照射区域を適応させるのに役立つ二次センサシステムを利用する一実施形態のFoVを例示する。
【0017】
【
図7a】ライダーシステムの検出器アレイの3つのセンサ画素を例示する。
【0018】
【
図7b】
図7aに示した3つのセンサ画素に対応する3つの連続的な照射フレームのうち1番目を例示する。
【0019】
【
図7c】
図7aに示した3つのセンサ画素に対応する3つの連続的な照射フレームのうち2番目を例示する。
【0020】
【
図7d】
図7aに示した3つのセンサ画素に対応する3つの連続的な照射フレームのうち3番目を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において、「a」、「an」、及び「the」を冠した単数形は、複数形も含むことが意図されている。ただし、そうでないことが文脈によって明らかに示されている場合を除く。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含む(including)」という用語は本明細書において、述べられた特徴、処理段階、動作、要素、及び/又は構成部分の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、処理段階、動作、要素、構成部分、及び/又はこれらの集合の存在又は追加を除外するものではない。本明細書において、「及び/又は(and/or)」という用語及び「/」という記号は、列挙された関連項目のうち1つ又は複数の任意の組み合わせ又は全ての組み合わせを含むことが意図されている。さらに、様々な段階、計算、又は構成部分を説明するのに、第1、第2などの用語が本明細書で用いられることがあるが、これらの段階、計算、又は構成部分はこれらの用語によって限定されることはなく、むしろこれらの用語は、ある段階、計算、又は構成部分を別のものと区別するためにだけ用いられる。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の計算が第2の計算と呼ばれてよく、同様に、第1の段階が第2の段階と呼ばれてよく、同様に、第1の構成部分が第2の構成部分と呼ばれてよい。
【0022】
図1は、車両100に組み込まれた例示的なライダー(光検出及び測距)システムのブロック図を提供する。ライダーシステムは、送信機101と、受信機103と、処理システム105とを含む。ライダー送信機101及び受信機103は、別個のモジュールに含まれていても、単一のモジュール内の同じ場所に設置されていてもよい。車両100は、電気自動車(EV)、内燃機関(ICE)を利用した車両、又はハイブリッド車であってよく、ハイブリッド車は電気駆動システムを含む複数の推進源を利用する。本発明のライダーシステムは、一組又は複数組の送信機101/受信機103で構成されてよく、これらの送信機/受信機は、外部の光モジュール(例えば、ヘッドライトアセンブリ)、車両のグリル若しくはバンパー、又は任意の他の使いやすい位置に組み込まれてよいことを理解されたい。複数組の送信機/受信機が利用される場合、各組は専用の処理システム105を利用してよく、又は同じ処理システム105が複数組の送信機/受信機をサポートしてもよい。
【0023】
車両100は、中央演算処理装置(CPU)109及びメモリ111で構成されたシステム制御装置107を含み、メモリ111はEPROM,EEPROM、フラッシュメモリ、RAM、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、又は任意の他のタイプのメモリ若しくは複数のメモリタイプの組み合わせで構成される。システム制御装置107は車両管理システムに組み込まれることが好ましい。ライダー処理システム105は、別個の独立したプロセッサを利用してよく、又は車両制御システム107のプロセッサ109を利用してもよい。
【0024】
本発明のライダーシステムは、車両100の近くにある物体、及び場合によっては車の進路内にあるかもしれない障害物を検出することが意図されている。1つの応用例において、ライダーシステムによって提供される情報は、駐車操作を簡単にするのに用いられ、例えば、車両の駐車を妨げ得る様々な障害物(例えば、他の車、樹木、建物など)のいずれかを運転者に警告する。ライダーシステムは、車両の進路に障害物(例えば、歩行者、車両、建物など)が検出され、今にも衝突が発生する可能性があるとシステムが判断した場合、例えば、自動的にブレーキをかける、及び/又は自動的にスロットルを調整してエンジン出力を落とす(例えば、ICEベースの車両の場合)、及び/又は自動的にモータ速度を減速する(例えば、EVの場合)ことによって、スマートカーの様々な機能を高めることもできる。スマートカーの半自律能力を支援することに加えて、本発明のライダーシステムは、完全自律運転を提供する車両においても用いられ得る。
【0025】
本発明のライダーシステムが車両100の半自律又は完全自律能力を高めるのを可能にするために、車両制御システム107は車両のブレーキシステム113、及び/又は車両の操縦システム115、及び/又は車両の駆動系制御システム117に連結されることが好ましい。制御システム117の特徴は、車両100がEVであるか、ICEベースの車両であるか、ハイブリッド車であるかによって決まることが理解されるであろう。少なくとも1つの実施形態において、車両制御システム107は運転者警告システム119にも連結されるので、車両の進路に障害物が検出された場合に、運転者に警告することが可能になる。警告システム119は、車両の音響システム(例えば、車両のエンターテイメントシステム)を介して、又は専用の音響システムによって、可聴警告音を発する可聴警告システムを含んでよい。代替的に又は可聴音と組み合わせて、警告システム119は、可視警告表示、例えば、ダッシュボード若しくは計器パネルに設けられる表示、又は表示画面に示される表示を利用してよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、例えば、完全自律運転能力を提供するいくつかの実施形態において、車両制御システム107は、遠距離通信リンク121を介して、車両100の外側のシステムと通信することが可能である。遠距離通信リンク121は、本明細書では単に通信リンクとも呼ばれ、限定されるものではないが、GSM(登録商標)、EDGE、UMTS、CDMA、DECT、WiFi、及びWiMAX(登録商標)を含む様々な規格のいずれを利用してよい。通信リンク121は、例えば、衝突が今にも起ころうとしている場合に、車両100の制御システム107が他の車両と通信することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態において、通信リンク121は、車両100の制御システム107が他の車両及び/又は第三者のシステムと通信することを可能にして、交通管制を改善するように構成される。通信リンク121は、システム及び/又は構成の最新情報を取得すること、又は外部データベースから情報を取得することにも用いられてよい。
【0027】
当業者は理解することであるが、ライダーシステムは、ライダー送信機(例えば、送信機101)によって放射され、システムの視野(FoV)の中にある障害物から反射され、その後、ライダー受信機(例えば、受信機103)によって受信された光の飛行時間(ToF)を測定することによって、障害物検出及び距離情報を提供する。あるタイプのライダーシステムは、フラッシュライダーと呼ばれ、レーザパルスを用いて対象の場所に照射する。ビーム拡大器が、所望のFoVをカバーするのに十分な程度まで放射レーザ光線を光学的に広げる。この手法の利点は、単一のパルスが照射FoV全体に分布することであり、これにより、ライダー受信機のToFセンサの画素は、各フレームの後方散乱光の複数のパルス又は変調にわたって積分を行うので、FoVによって画定される場所の中にある全ての物体の距離情報を提供し得る。この手法の短所は、100〜200メートル離れた車の前の領域を照射することに起因した大きいFoVなどの場合、比較的高出力、例えば、100〜350ワット台のレーザが必要とされることである。連続的又は半連続的な使用を想定すると、そのような出力レベルは、車両リソース(例えば、車両のバッテリ)の著しい消耗を引き起こす。さらに、これらの出力レベルで本システムは著しい熱を発生させ、これにより、車両の熱管理システムに加えられる熱負荷を増大させる。さらに、高反射率物体、及び検出器の近距離に配置された物体は、ライダー受信機の検出器を容易に飽和させ得る。最後に、レーザ出力レベルが高いために、ライダーシステムによって照射され得る歩行者に対して、目の安全性の問題が提起される。
【0028】
上述した問題を克服するために、従来の車載型フラッシュライダーシステムの大部分がシステムのFoVを制限し、したがって、近距離の障害物検出のためだけに、例えば駐車中だけに、ライダーシステムに頼ることによって必要なレーザ出力を制限している。代替的に、ある車載システムが、所望の場所をレーザ光線で走査する走査手法を用いることができる。この手法は、大きいFoVに適用された場合のフラッシュライダー手法に関連した高出力の懸念を解決するが、走査手法はそれ自体の問題を有する。例えば、レーザ光線を走査するのに用いられるシステムは非常に複雑であり、その結果、製造コスト及び実行コストがより高くなり、信頼性がより低くなる。さらに、走査手法は場所全体を同時に照射するのではなく、その場所を連続的に照射するので、車両の動き及び走査される物体の動きによって、画像の歪みや誤りがもたらされる。
【0029】
従来のフラッシュライダーシステム及び走査型ライダーシステムの両方の欠点を克服するために、本発明は適応型ライダーシステムを利用する。本発明のライダーシステムの好ましい実施形態が、
図2に示されている。例示するように、ライダー送信機101の中に光源201がある。光源201はレーザであることが好ましく、815ナノメートルから2ミクロンの範囲で動作するレーザであることがより好ましい。ライダー処理システム105は、所望の動作周波数で光源201を変調し、所望の動作周波数は0.1〜10MHzであることが好ましい。この変調は、パルス変調、周期変調(例えば、正弦波変調、方形波変調、又は三角波変調)、又は疑似ランダム変調であってよい。光学系203は、光源201によって放射されたレーザ光線を、通常は最初に拡大した後にコリメートすることで、出力されたレーザ光線を調整する。調整後に、レーザ光線は空間光変調器(SLM)205に当たる。
図2は、入射ビームの波面に特定の位相限定パターンを適用する反射性SLMを、好ましいものとして示す。
これにより、光円錐の形状に合わせるための、特別な吸収に基づくベゼル又は開口を必要とすることなく、入射光の効率的な角度再分布がもたらされる。光学系207は、所望のFoVを照射するために、SLM205によって反射された光を拡大する。送信機101の出力開口は非常に小さいことが好ましく、例えば、2センチメートル×2センチメートル台である。FoV内の物体から反射される光は、光学系209によってセンサアレイ211に投影される。
【0030】
SLM205は、所望のFoV(例えば、車両100の前の、街路の一部、建物、歩行者、標識、車両、及び他の存在する可能性がある障害物を含み得る領域)を照射するために、光源201によって放射される光の2次元の光強度を制御するのに必要な手段を提供する。SLM205を用いることによって、ライダー送信機101により放射される光強度は、システムのFoV内の各物体の位置、及びおそらく各物体までの距離に基づいて変化し得る。必要に応じて、送信機101によって放射される光強度は、FoV内の物体の反射率に基づいて変化し得る。
図2に示す構成を利用した場合、発明者らは、およそ2メートルの検出高さを想定すると、200メートル離れたところの、車両のFoVを照射するために、光源201はおよそ8ワットの電力しか必要としないと判断した。それに対して、従来のフラッシュライダーシステムで同じFoV及び検出高さを照射するとすれば、およそ280ワットのレーザ光源を必要とすることになる。
【0031】
好ましい実施形態において、SLM205は反射型液晶(liquid crystal on silicon:LCOS)のSLMである。SLMは2次元画素アレイに分割されており、各画素は、液晶層215の一方の面に配置されたアクティブマトリックス型バックプレーン213と、液晶層のもう一方の面に配置された透明電極217とを介して、電気的に且つ個別にアドレス指定可能である。バックプレーン213は通常、CMOS(相補型金属酸化物半導体)技術を用いて製造されるが、他の半導体バックプレーン製造技術が用いられてもよい。透明電極217は、酸化インジウムスズ(ITO)材料の層で構成されてよい。バックプレーン213、したがってSLM205に対応する画素サイズは、十分なFoVを保証するために、幅が10ミクロンより細いことが好ましい。さらに、SLM205は、光源201の動作波長において高反射率を実現するように設計された誘電体ミラーで構成される層219を含む。デバイススタックは、シリコン基板221とガラス基板223との間に挟まれる。ある画素の液晶に電界を印加することによってその画素が作動すると、液晶のこの領域を通過する光の位相が変わる。所望の光強度分布を実現するために、処理システム105は、計算機合成ホログラム(CGH)と呼ばれる位相分布を生成し、その後、この位相分布はバックプレーン213を用いてSLM205に適用される。誘電体ミラー(すなわち、層219)の効率性を考えると、光干渉を用いて所望の光強度分布を作り出す利点は、この手法が極めて効率的であるということである。
【0032】
前述したように、車両100とライダーシステムのFoV内の障害物との間の距離を導出するために、センサアレイ211によって受信された光に基づいて、光源201から発した光の各パルスに対してToF測定法が行われる。センサアレイ211は、検出器アレイを製造するのに一般に用いられる様々な半導体製造技術のいずれか、例えばCMOS技術を用いて製造されてよい。センサアレイ211は、幅が少なくとも100画素、高さが10画素であることが好ましい。アレイ211の画素数、したがって解像度と、アレイのコスト及び複雑性との間にはトレードオフが存在することが理解されるであろう。さらに、画素アレイを大きくすると、データ取得速度を含むデータ処理要件が増える。アレイ211のアスペクト比に関しては、この比は照射されるFoVに基づいている。発明者らは、アレイ211のアスペクト比は3:1〜10:1の範囲内が好ましいことを確認した。このアスペクト比は、この範囲の比を有するセンサアレイを用いることによって、又はx方向に複数のセンサを用いることによって実現され得る。
複数のセンサの場合、光学系209による単一又は複数の結像が用いられてよい。複数の結像光学系を用いると、積分空間及び簡単な光学系の両方の面で利点が提供される。
【0033】
最も簡単な実施形態の1つにおいて、SLM205は、受信機のFoV内で監視される複数の照射区域に同時に対応できる。
図3は、照射区域と、この構成のセンサのFoVとの両方を例示する。この例示的な実施形態において、ライダーシステムは一組の送信機/受信機で構成される。長方形301は、ライダー受信機センサのFoVを表す。受信機センサのFoV内で、照射区域は、特定の対象領域(例えば、車道及び車道に隣接する領域)と、これらの領域のそれぞれまでの異なる距離(すなわち、ライダーシステムとそれぞれの対象領域との間の距離)とに対応するように適応される。照射区域を調整することで、本システムは、区域サイズ及び光強度(例えば、立体角当たりの出力)を制御して、様々な状況に適応することが可能になる。
【0034】
ライダーシステムと照射される領域との間の距離にかかわらず、低電力消費を保証するために、各照射区域に対して照射の強度及び角度範囲が適応される。例えば、
図3に例示された実施形態において、照射区域313〜316はそれぞれ、0〜10メートル、10〜30メートル、30〜100メートル、及び100〜300メートルの距離に対応する。異なる距離に対して1平方メートル当たりの出力が一定となる照射を実現するために、遠い距離では立体角当たりの出力を増加させる必要がある。したがって、センサが検出するのに10mW/m
2が必要であると考え、道路幅が20メートルで検出高さが2メートルであると想定して概算すると、次の結果が得られる。
・距離5mのFoV:125°×23°(=0.7sr)では、およそ500mW/srが必要。
・距離50mのFoV:22°×2.3°では、およそ25,000mW/srが必要。
・距離100mのFoV:11.5°×1.2°では、およそ100,000mW/srが必要。
・距離200mのFoV:5.7°×0.6°では、およそ400,000mW/srが必要。125°×23°という従来の非適応型ライダーシステムのFoVの場合、200メートルの距離で十分な照射を実現するには、およそ280Wが必要になる。この一定に照射されたFoVは、高い電力消費、及び短距離には高すぎる強度をもたらす。この電力問題を解決し、異なる距離に対して1平方メートル当たりほぼ一定の出力を実現するために、本システムでは、立体角当たりの強度は距離とともに増加するが、全照射角度範囲は距離とともに減少する。
図3に示す例示的な実施形態において、本手法は、ライダー送信機の所要電力を著しく減少させることになる。すなわち、従来の非適応型ライダーシステムで必要となるおよそ280ワットから、本システムを用いた場合の約8ワットに減少する。なお、
図3において、線303は方位角0°を表す。したがって線303は、本システムのFoVを左側と右側に分割する。線305は、高度0°と水平線とを表す。図の理解を助けるために、
図3には道路が示されている。この道路は、左側の道路境界307と、右側の道路境界309と、道路のセンターライン311とを含む。
【0035】
図3の示す実施形態において、SLM205は、送信機のFoVを4つの照射区域313〜316に同時に分割する。FoVは、より少ない照射区域に、とはいえ少なくとも2つの区域に分割されてよく、示された区域より多くの照射区域に分割されてもよいことが理解されるであろう。上述したように、FoVを複数の区域に分割することで、本発明のライダーシステムは、より高い光強度を生成し、必要であれば光源出力を最小限に抑えることも可能になる。
図3に示す例において、最低光強度は車両に最も近く(区域313)、水平線(線305)に近づくにつれて光強度が増加する。したがって、最高光強度は区域316になり、車両(例えば、車両100)と存在する可能性がある障害物との間の距離は最も大きい(例えば、100〜300メートル台)。一般に、この実施形態では、立体角当たりの強度は距離とともに増加するが、角度範囲は距離とともに減少する。
【0036】
図3に示す例は本発明の簡単な実施形態を表しており、SLM205によって制御される各ライダー照射区域の光強度は、車両のライダーシステムからの各区域の想定距離に基づいて変わる。さらに、この実施形態は、主に車の真正面の領域に注目している。
図4及び
図5は別の実施形態を例示しており、これらの図では、SLM205によって提供されるライダーシステムからの光強度分布は、様々な道路状況を考慮に入れることが可能である。この実施形態では、SLM205によって利用され、所望の光強度分布を実現するCGHを生成するために、ライダー処理システム105は、他の車両システムによって提供される情報を利用する。具体的には、この実施形態では、地図上の車両の位置が、進行先の道路状況を判断するのに用いられる。車両100の位置は、車載GPSシステム123によって提供されることが好ましい。交差点や道路のカーブなどの進行先の道路状況は、車載ナビゲーションシステム125によって提供されることが好ましいが、この同じ情報は車載データベース(例えば、メモリ111に格納されたデータベース)に含まれていても、通信リンク121を用いて外部データベースから取得されてもよい。車両制御システム107によって定期的に監視され、したがって、ライダー処理システム105によってアクセス可能である車両速度や車両特性も、ライダーシステムは必要に応じて考慮に入れることができる。
【0037】
近づく道路状況を監視することで、ライダーシステム105は、SLM205によって利用されるCGHを絶えず更新して、ライダーシステムの光強度分布が進行先の道路状況に確実に適合するようにすることが可能である。例えば、
図4に示すように、周辺道路401が現在の道路と交差すると本システムが判断した場合、照射区域は図示するように変化し、周辺道路を走行する車両が確実に検出されるようにする。同様に、
図5に示すように、現在の道路が例示されるように右にカーブしていることをデータ(すなわち、現在の車両位置及び地図データ)が示す場合、照射区域313〜316の位置及びサイズは、ライダーシステムのSLMによって適切に変わる。
【0038】
ライダーシステムを絶えず更新して様々な道路状況に適応する能力は、本発明の明確な利点であり、特に、システムの効率性及び光源の低所要電力を考えると、本発明の好ましい実施形態では、本システムは存在する可能性がある障害物にも適応することが可能である。この実施形態では、道路状況に適応することに加えて、本システムは、二次障害物検出システム123によって提供される情報を用いて、SLM205によって利用されるCGHを更新するので、本システムは、車両100が走行する常に変わる環境に適応することが可能になる。二次検出システム123は、レーダーに基づくセンサ、可視スペクトルで動作するカメラ、赤外線スペクトルで動作するカメラ、電磁センサ、超音波センサ、又は他のセンサタイプを利用してよい。検出システム123は、ステレオビジョンに基づく検出アルゴリズム、v視差アルゴリズム、又は検出された障害物の高さ及び/又は位置を判断する他のアルゴリズムを用いてよい。
【0039】
1つ又は複数の二次検出システムを利用して、車道に存在するか又は隣接しているかもしれない物体を検出することで、本発明のライダープロセッサは、SLM205とともに用いられるCGHを介して光強度分布を絶えず適応させて、これらの物体がライダーシステムによって確実に監視されるようにすることが可能である。こうして、
図6に例示するように、遠くにいて、いつか道路に入ってくるかもしれない一対の鹿601が、ライダーシステムによって監視される。具体的には、ライダーシステムは、区域603、例えばこの区域内の物体(すなわち、鹿601)が監視されるようにFoVを適応させる。
【0040】
様々な道路状況及び存在する可能性がある障害物に適応することに加えて、本発明は、高解像度を提供するためにSLM205を利用できる。高解像度を実現するために、SLM205は、少なくとも高い解像度が要求される区域に、センサ画素サイズより小さい画素サイズを有する光分布を提供するのに用いられる。検出器アレイによって用いられる画素サイズより小さい画素サイズに透過光を画素化することによって、また各検出器画素に対して異なる画素を連続的に照射することによって、取得されたセンサデータを重ね合わせると、検出器アレイの有効解像度が増加する。
図7a〜
図7dはこの手法を例示する。
図7aに示す画像は、検出器アレイ211の3つのセンサ画素の画像である。
図7b〜
図7dは、
図7aに示す3つのセンサ画素に対応する3つの連続的な照射フレームを例示する。これらの照射フレームを重ね合わせると、増加した所望の有効解像度が提供される。この実施形態において、一連の照射フレームが、解像度の増加が要求される時間全体にわたって単に繰り返されることが理解されるであろう。
【0041】
システム及び方法が、本発明の詳細を理解するための助けとして一般的な用語で説明されている。いくつかの例において、よく知られた構造、材料、及び/又は動作は、本発明の態様を不明瞭にしないように、詳細については具体的に示されても説明されてもいない。他の例において、本発明の十分な理解を提供するために、具体的な詳細が与えられている。当業者であれば、本発明が、例えば、特定のシステム、又は装置、又は状況、又は材料、又は構成部分に適応するために、本発明の精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得ることを認識するであろう。したがって、本明細書の開示及び説明は、本発明の範囲を例示することを意図しており、限定するつもりはない。