特許第6665412号(P6665412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665412
(24)【登録日】2020年2月25日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】作業機械の調整装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/40 20060101AFI20200302BHJP
【FI】
   B66C13/40 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-59701(P2015-59701)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-179869(P2016-179869A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 菜々美
(72)【発明者】
【氏名】草薙 裕亮
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−052991(JP,A)
【文献】 特開2008−165329(JP,A)
【文献】 特開2014−213531(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0232704(US,A1)
【文献】 特開2004−165728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00−15/06
B66C 19/00−23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の複数の調整項目の調整値を変更するための調整装置であって、
制御部と、
前記制御部に接続された入力部と、
前記制御部に接続された7セグメントディスプレイからなる表示部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の調整項目のそれぞれの項目IDおよび調整値が記憶されており、
前記入力部による変更操作を受け付けた場合に、該変更操作により指定された調整項目の調整値を、該変更操作により指定された値に変更し、
前記入力部による変更終了操作を受け付けた場合に、一の調整項目に対応する項目IDおよび調整値をこの順に前記表示部に表示することを、調整値が変更された調整項目のみについて行
ことを特徴とする作業機械の調整装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の調整項目のそれぞれの前回調整値が記憶されており、
前記入力部による変更終了操作を受け付けた場合に、調整値が前回調整値と異なる調整項目を調整値が変更された調整項目と判断する
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械の調整装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の調整項目のそれぞれの変更フラグが記憶されており、
前記入力部による変更操作を受け付けた場合に、該変更操作により指定された調整項目の変更フラグを変更有りとし、
前記入力部による変更終了操作を受け付けた場合に、変更フラグが変更有りである調整項目を調整値が変更された調整項目と判断する
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械の調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の調整装置に関する。さらに詳しくは、作業機械の各種の調整値を変更するための調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クレーンの各種の調整値を遠隔操作用送信機の操作により変更することが開示されている。具体的には、フック巻上・巻下レバーを繰り返し操作して変更すべき項目にカーソルを合わせ、フック格納/設定ボタンを押す。そうすると、画面表示が指定した項目の変更画面に切り換わる。つぎに、フック巻上・巻下レバーを繰り返し操作して値を変更し、フック格納/設定ボタンを押すと、新たな調整値が登録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−296985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調整項目の数が少ない場合には、作業者はどの調整項目を変更したかを容易に把握できるため、変更漏れや変更ミスが生じにくい。しかし、近年の作業機械は多機能化の傾向があり、それにともない調整項目の数も増大している。そのため、作業者はどの調整項目を変更したかを把握しきれなくなり、変更漏れや変更ミスが生じる恐れがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、変更された調整項目の確認作業が容易である作業機械の調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の作業機械の調整装置は、作業機械の複数の調整項目の調整値を変更するための調整装置であって、制御部と、前記制御部に接続された入力部と、前記制御部に接続された7セグメントディスプレイからなる表示部と、を備え、前記制御部は、前記複数の調整項目のそれぞれの項目IDおよび調整値が記憶されており、前記入力部による変更操作を受け付けた場合に、該変更操作により指定された調整項目の調整値を、該変更操作により指定された値に変更し、前記入力部による変更終了操作を受け付けた場合に、一の調整項目に対応する項目IDおよび調整値をこの順に前記表示部に表示することを、調整値が変更された調整項目のみについて行うことを特徴とする。
第2発明の作業機械の調整装置は、第1発明において、前記制御部は、前記複数の調整項目のそれぞれの前回調整値が記憶されており、前記入力部による変更終了操作を受け付けた場合に、調整値が前回調整値と異なる調整項目を調整値が変更された調整項目と判断することを特徴とする。
第3発明の作業機械の調整装置は、第1発明において、前記制御部は、前記複数の調整項目のそれぞれの変更フラグが記憶されており、前記入力部による変更操作を受け付けた場合に、該変更操作により指定された調整項目の変更フラグを変更有りとし、前記入力部による変更終了操作を受け付けた場合に、変更フラグが変更有りである調整項目を調整値が変更された調整項目と判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
発明によれば、変更操作の終了後に変更された調整項目が表示されるので、確認作業が容易である。そのため、変更漏れや変更ミスを低減できる。また、変更された調整項目のみを表示するので、どの調整項目を変更したか確認しやすい。さらに、調整項目を順に表示するので表示できる情報量が少ない表示部でも表示できる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る調整装置1のブロック図である
図2】第1実施形態における調整値テーブル52を示す図である。
図3】調整値処理部51の全体フローチャートである。
図4】変更処理のフローチャートである。
図5】確認表示処理のフローチャートである。
図6】第2実施形態における調整値テーブル52を示す図である。
図7】積載形トラッククレーンCRの側面図である。
図8】操作パネル40の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る調整装置1は積載形トラッククレーンCRに設けられる。調整装置1は積載形トラッククレーンCRの各種の調整項目の調整値を変更するのに用いられる。
【0010】
(積載形トラッククレーンCR)
まず、積載形トラッククレーンCRの構成について説明する。
図7に示すように、積載形トラッククレーンCRは、汎用トラック10の運転室11と荷台12との間の車両フレーム13に小型クレーン20が搭載されたものである。
【0011】
小型クレーン20は、車両フレーム13上に固定されたベース21と、ベース21に対して旋回可能に設けられたポスト22と、ポスト22の上端部に起伏可能に設けられたブーム23と、ベース21の左右両側に設けられた一対のアウトリガ装置24、24とを備えている。
【0012】
ポスト22にはウインチが内蔵されており、このウインチからワイヤロープをブーム23の先端部に導いて、ブーム23先端部の滑車を介してフック25に掛け回すことにより、フック25をブーム23の先端部から吊り下げている。これらのクレーン装置は油圧回路により油圧駆動される。この油圧回路を操作するためのレバー群26がベース21の左右両側に設けられている。また、油圧回路を電気的に制御する制御装置27がレバー群26の近くに設けられている。
【0013】
制御装置27は遠隔操作端末30と双方向に無線通信または有線通信可能となっている。遠隔操作端末30には各種のスイッチやレバーなどの入力部と、液晶パネルなどの表示部が搭載されている。作業者が遠隔操作端末30の入力部を操作すると、遠隔操作端末30は制御装置27に操作信号を発し、制御装置27はその操作信号を基に油圧回路を制御してクレーン装置を動作させる。このようにして、作業者は遠隔操作端末30を用いてクレーン装置を遠隔操作できる。
【0014】
制御装置27の前面は、図8に示すような操作パネル40となっている。操作パネル40には、保守モードスイッチ41、AMLモードスイッチ42、調整モードスイッチ43、ホーンスイッチ44、アクセルトグルスイッチ45、音量トグルスイッチ46が備えられている。また、操作パネル40には、4桁の7セグメントディスプレイ47が備えられている。
【0015】
積載形トラッククレーンCRは各種の調整項目を有する。例えば、エンジン回転数に関する項目として「最高エンジン回転数」、「中速エンジン回転数」、「微速エンジン回転数」、「アイドルエンジン回転数」などを有する。ブームの自動格納・張出に関する項目として「フックアウト時の巻下げ調整」、「フックアウト時の起し調整」、「フックイン・アウト時の旋回調整」などを有する。ブームの高さ制限に関する項目として「固定高さ」、「根元高さオフセット」などを有する。吊り荷の平行・水平行移動に関する項目として「ウィンチ・ドラム回転数ゼロ調整」、「平行・水平移動の縮み、伏せポンプ吐出量係数」、「平行・水平移動のオフセット緩起停時間」、「平行・水平移動の伏せ、旋回操作量制限」、「平行・水平移動の起し操作量制限」などを有する。
【0016】
これらの調整項目は積載形トラッククレーンCRの出荷時などに調整される。例えば、積載形トラッククレーンCRの場合、小型クレーン20が搭載される汎用トラック10として種々のものが選択される。このことから、油圧回路に設けられる油圧ポンプを回転させるエンジンとして種々のものが用いられる可能性がある。そのため、油圧ポンプにとって適切なエンジン回転数が得られるように、エンジン回転数に関する項目が調整される。
【0017】
(調整装置1)
つぎに、本実施形態の調整装置1を説明する。
図1に示すように、調整装置1は、制御部50と、入力部41〜46と、表示部47とを備えている。また、制御部50は調整値処理部51と、調整値テーブル52とからなる。制御部50は前記制御装置27の一機能として実装される。より詳細には、制御装置27はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータである。調整値処理部51は制御装置27のCPUがメモリに記憶されたソフトウエアを実行することで実現される。また、調整値テーブル52は制御装置27のメモリに記憶されている。
【0018】
入力部41〜46は、操作パネル40に設けられた保守モードスイッチ41、AMLモードスイッチ42、調整モードスイッチ43、ホーンスイッチ44、アクセルトグルスイッチ45、音量トグルスイッチ46である。表示部47は、操作パネル40に設けられた7セグメントディスプレイ47である。これら入力部41〜46および表示部47は制御部50に接続されている。
【0019】
図2に調整値テーブル52の構成を示す。調整値テーブル52は、「項目番号」、「項目名称」、「調整値」、「前回調整値」の各列からなる。調整値テーブル52には、複数の調整項目のそれぞれの項目番号、項目名称、調整値および前回調整値が記憶されている。項目番号は各調整項目に一意に付された番号である。項目名称は各調整項目の名称である。調整値は各調整項目につき現在設定されている調整値である。前回調整値は各調整項目につき前回設定されていた調整値である。
【0020】
なお、本実施形態では、項目番号が特許請求の範囲に記載の「項目ID」に相当する。項目IDは項目番号に限定されず、各調整項目を識別可能な数値や文字列であればよい。例えば、項目名称を項目IDとして用いてもよい。さらになお、図2中の値は例示である。
【0021】
つぎに、図3に示すフローチャートに基づき、調整値処理部51の処理を説明する。
まず、作業員が変更開始操作を行う(ステップS100)。すなわち、調整値処理部51が入力部41〜46による変更開始操作を受け付ける。例えば、変更開始操作は調整モードスイッチ43の2秒以上長押しと定められる。
【0022】
そうすると、調整値処理部51は調整モードに遷移した旨を表示部47に表示する(ステップS200)。例えば、表示部47に『 cc』を表示する。
【0023】
つぎに、調整値処理部51は準備処理を行う(ステップS300)。具体的には、調整値テーブル52の各調整項目の前回調整値を調整値で更新する。
【0024】
つぎに、調整値処理部51は変更処理を行う(ステップS400)。変更処理において調整値の変更を行う。変更処理の詳細は後に説明する。
【0025】
変更処理の終了後、調整値処理部51は確認表示処理を行う(ステップS500)。確認表示処理において変更された調整値を表示部47に表示する。確認表示処理の詳細は後に説明する。
【0026】
図4に示すように、変更処理(ステップS400)では以下の手順で処理を行う。
まず、作業員が調整項目を指定する(ステップS401)。例えば、表示部47に最初の項目番号『c 1』を表示する。音量トグルスイッチ46が操作されるたびに、表示部47に表示される項目番号を昇順または降順で切り換える。作業員は変更が必要な調整項目の項目番号が表示部47に表示されるまで音量トグルスイッチ46を操作する。所望の項目番号が表示部47に表示された状態でホーンスイッチ44が押されると、その調整項目が指定される。アイドルエンジン回転数の調整値を変更する場合には、アイドルエンジン回転数の項目番号『c 4』が表示部47に表示された状態でホーンスイッチ44を押す。
【0027】
つぎに、調整値処理部51は指定された調整項目の調整値を調整値テーブル52から取得し、表示部47に表示する(ステップS402)。アイドルエンジン回転数を指定した場合には、アイドルエンジン回転数の調整値『 0.6』が表示部47に表示される。
【0028】
つぎに、作業員が調整値を指定する(ステップS403)。例えば、音量トグルスイッチ46が操作されるたびに、表示部47に表示される調整値を昇順または降順で切り換える。作業員は表示部47に表示された調整値が適切な値になるまで音量トグルスイッチ46を操作する。所望の調整値が表示部47に表示された状態でホーンスイッチ44が押されると、その調整値が指定される。アイドルエンジン回転数の調整値を0.8に変更する場合には、変更後の値『 0.8』が表示部47に表示された状態でホーンスイッチ44を押す。
【0029】
つぎに、調整値処理部51は調整値テーブル52のうち指定された調整項目の調整値を、指定された値に変更する(ステップS404)。アイドルエンジン回転数の調整値を0.8に変更する場合には、調整値テーブル52のうちアイドルエンジン回転数の調整値を0.8に変更する。
【0030】
以上の調整項目指定の操作(スッテプS401)と調整値指定の操作(ステップS403)とを合わせて「変更操作」と称する。変更操作の手順は上記の手順に限定されない。調整値処理部51が入力部41〜46による変更操作を受け付けた場合に、その変更操作により指定された調整項目の調整値を、その変更操作により指定された値に変更できればよい。
【0031】
つぎに、調整値処理部51は変更継続操作または変更終了操作を受け付ける(ステップS405)。例えば、変更継続操作はホーンスイッチ44の押下と定められる。変更終了操作は調整モードスイッチ43の押下と定められる。
【0032】
入力部41〜46による変更継続操作を受け付けた場合、再びステップS401に戻る(ステップS406)。この場合、ステップS401において表示部47に最初に表示する項目番号は、前回のステップS401において指定された調整項目の項目番号とすればよい。
【0033】
以上のステップS401からS406を繰り返して、複数の調整項目の調整値を変更できる。例えば、アイドルエンジン回転数を0.6から0.8に変更し、フックアウト時の巻下げ調整を2.0から3.0に変更し、固定高さを3.0から4.0に変更したとする。この場合、変更後の調整値テーブル52の内容は図2に示す状態となる。アイドルエンジン回転数、フックアウト時の巻下げ調整、固定高さの3項目については、前回調整値と調整値とが異なる値となっている。
【0034】
ステップS405において入力部41〜46による変更終了操作を受け付けた場合、調整値処理部51は変更処理(ステップS400)を終了し、次に説明する確認表示処理(ステップS500)を行う。
【0035】
図5に示すように、確認表示処理(ステップS500)では以下の手順で処理を行う。
まず、調整値処理部51は調整値テーブル52から最初の項目番号(c1)の調整値および前回調整値を取得する(ステップS501)。例えば、最高エンジン回転数の調整値(1.5)と前回調整値(1.5)を取得する。
【0036】
つぎに、取得した調整値と前回調整値とを比較して変更の有無を判断する(ステップS502)。具体的には、調整値が前回調整値と異なる場合は変更有りと判断し、調整値が前回調整値と一致する場合は変更無しと判断する。項目番号c1の最高エンジン回転数は、調整値(1.5)と前回調整値(1.5)とが一致するので変更無しと判断される。
【0037】
変更無しと判断された場合には、項目番号をインクリメントし、ステップS501に戻る。そして、変更有りの調整項目が見つかるまで、項目番号をインクリメントしながら、ステップS501およびS502を繰り返す。
【0038】
ステップS502で変更有りと判断された場合には、その調整項目に対応する項目番号を表示部47に表示する(ステップS503)。項目番号c4のアイドルエンジン回転数は、調整値(0.8)と前回調整値(0.6)とが異なるので変更有りと判断される。そのため、項目番号『c 4』が表示部47に表示される。
【0039】
続いて、変更有りと判断された調整項目に対応する調整値を表示部47に表示する(ステップS504)。例えば、アイドルエンジン回転数の調整値『 0.8』が表示部47に表示される。
【0040】
その後、項目番号をインクリメントし、ステップS501に戻る。再び変更有りの調整項目が見つかった場合には、その調整項目に対応する項目番号および調整値を表示部47に表示する(ステップS503、S504)。例えば、フックアウト時の巻下げ調整および固定高さが変更されている場合には、フックアウト時の巻下げ調整の項目番号『c 5』、調整値『 3.0』、固定高さの項目番号『c 8』、調整値『 4.0』が順に表示される。
【0041】
なお、項目番号の表示と調整値の表示との間の遷移は、所定時間ごとに自動で遷移するよう構成すればよい。また、所定の操作、例えばホーンスイッチ44の押下をきっかけに遷移するよう構成してもよい。
【0042】
以上のステップS501からS504を繰り返して、最後の調整項目の処理が終了すると、確認表示処理(ステップS500)が終了する。
【0043】
結果として、表示部47には、調整値が変更された調整項目のみについて、その調整項目に対応する項目番号および調整値が順に表示される。このように、変更操作の終了後に変更された調整項目が表示されるので、確認作業が容易である。そのため、変更漏れや変更ミスを低減できる。また、調整項目の数が多い場合でも、確認作業を短時間で行うことができる。
【0044】
しかも、変更された調整項目のみを表示するので、どの調整項目を変更したか確認しやすい。さらに、調整項目(項目番号および調整値)を順に表示するので表示できる情報量が少ない7セグメントディスプレイ47でも表示できる。
【0045】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係る調整装置を説明する。
本実施形態の調整装置の構成は第1実施形態の調整装置1と同様であり、制御部50と、入力部41〜46と、表示部47とを備えている。また、制御部50は調整値処理部51と、調整値テーブル52とからなる(図1参照)。
【0046】
本実施形態では調整値テーブル52の構成が第1実施形態と異なる。図6に示すように、調整値テーブル52は、「項目番号」、「項目名称」、「調整値」、「変更フラグ」の各列からなる。調整値テーブル52には、複数の調整項目のそれぞれの項目番号、項目名称、調整値および変更フラグが記憶されている。変更フラグは各調整項目につき変更の有無を示すフラグである。例えば、変更有りを1、変更無しを0と定義される。
【0047】
つぎに、図3に示すフローチャートに基づき、調整値処理部51の処理を説明する。
変更開始操作(ステップS100)および調整モード表示(ステップS200)の各処理は第1実施形態と同様である。本実施形態では、準備処理(ステップS300)において、調整値テーブル52の各調整項目の変更フラグを変更無し(0)に更新する。
【0048】
図4に示す変更処理(ステップS400)は、調整値変更(ステップS404)を除き、第1実施形態と同様である。本実施形態では、調整値変更(ステップS404)において、調整値テーブル52のうち指定された調整項目の調整値を指定された値に変更するとともに、その調整項目の変更フラグを変更有り(1)に変更する。
【0049】
変更処理(ステップS400)のステップS401からS406を繰り返して、複数の調整項目の調整値を変更できる。例えば、アイドルエンジン回転数、フックアウト時の巻下げ調整、固定高さを変更したとする。この場合、変更後の調整値テーブル52の内容は図6に示す状態となる。アイドルエンジン回転数、フックアウト時の巻下げ調整、固定高さの3項目については、変更フラグが変更有り(1)となっている。
【0050】
図5に示す確認表示処理(ステップS500)では、調整値テーブル52から調整値および変更フラグを取得し(ステップS501)、変更フラグの値に基づき変更の有無を判断する(ステップS502)。具体的には、変更フラグが変更有り(1)の場合は変更有りと判断し、変更フラグが変更無し(0)の場合は変更無しと判断する。項目番号表示(ステップS503)および調整値表示(ステップS504)は第1実施形態と同様である。
【0051】
結果として、表示部47には、調整値が変更された調整項目のみについて、その調整項目に対応する項目番号および調整値が順に表示される。例えば、アイドルエンジン回転数、フックアウト時の巻下げ調整および固定高さが変更されている場合には、アイドルエンジン回転数の項目番号『c 4』、調整値『 0.8』、フックアウト時の巻下げ調整の項目番号『c 5』、調整値『 3.0』、固定高さの項目番号『c 8』、調整値『 4.0』が順に表示される。
【0052】
このように、変更操作の終了後に変更された調整項目が表示されるので、確認作業が容易である。そのため、変更漏れや変更ミスを低減できる。また、調整項目の数が多い場合でも、確認作業を短時間で行うことができる。
【0053】
しかも、変更された調整項目のみを表示するので、どの調整項目を変更したか確認しやすい。さらに、調整項目(項目番号および調整値)を順に表示するので表示できる情報量が少ない7セグメントディスプレイ47でも表示できる。
【0054】
〔その他の実施形態〕
表示部47としては7セグメントディスプレイに限定されず、液晶パネルなどを用いてもよい。そうすれば、表示部47に表示できる情報量を多くすることができる。この場合、確認表示処理(ステップS500)において、上記実施形態のように調整値が変更された調整項目のみについて項目番号および調整値を順に表示する形態に代えて、以下の形態としてもよい。
【0055】
すなわち、表示部47に複数の調整項目の各種情報を表示する。例えば、複数の調整項目の項目番号、項目名称、調整値を表形式で表示する。この際、全ての調整項目を表示してもよいし、前半部分など一部の調整項目を表示してもよい。そして、調整値が変更された調整項目と調整値が変更されていない調整項目とを区別可能な態様で表示する。例えば、調整値が変更された調整項目については、文字の色やフォントサイズ、書体、背景色などを目立つものにする。
【0056】
このような形態とすれば、変更された調整項目と変更されていない調整項目とを区別できるので、どの調整項目を変更したか確認しやすい。
【0057】
入力部は操作パネル40に設けられた各種スイッチ41〜46でもよいし、遠隔操作端末30に設けられた入力部でもよい。表示部は操作パネル40に設けられた表示部47でもよいし、遠隔操作端末に設けられた表示部でもよい。
【0058】
本発明に係る作業機械の調整装置は、移動式クレーン、固定式クレーン、高所作業車、ホイルローダー、油圧ショベルなどの種々の作業機械に設けられる。移動式クレーンとしては、オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、トラッククレーン、積載形トラッククレーンなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0059】
1 調整装置
40 操作パネル
41〜46 入力部
47 表示部
50 制御部
51 調整値処理部
52 調整値テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8