(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物を噴風により吹き飛ばして良品と不良品に選別したり、粒状物に混入する異物等を噴風により除去したりする光学式粒状物選別機が知られている。
この種の粒状物選別機は、搬送路の端部から所定の軌跡に沿って落下する粒状物を、不良品等の検出信号に基づいて噴風により吹き飛ばし除去することで、該粒状物の選別を行うものである。
【0003】
上記粒状物選別機は、連続的かつ大量に落下する粒状物の中から不良品等をエアの噴風により吹き飛ばすものであり、当該不良品等のみを他の粒状物を巻き込むことなく精度よく吹き飛ばすためには、噴風装置に応答性のよいバルブを備えることが必要となる。
【0004】
そこで、圧電素子を利用することでバルブの開閉を高速で行える圧電式バルブが提案されている(特許文献1参照。)。
前記圧電式バルブは、高速応答性能に優れる圧電素子の特性を利用するものであり、圧電素子の小さな変位をテコの原理に基づいて拡大する変位拡大機構を備えるものである。
【0005】
前記圧電式バルブは、前記圧電素子に電圧を印加すると、該圧電素子の伸長方向への変位が前記変位拡大機構を介して弁体に伝わり、該弁体を速やかに移動させて開弁する。
また、前記圧電式バルブは、前記圧電素子への電圧印加を解除すると、該圧電素子の原状復帰に伴う復帰力が前記変位拡大機構を介して前記弁体に伝わり、該弁体を速やかに弁座に当接させて閉弁する。
【0006】
そして、前記圧電式バルブを備える噴風装置は、圧電式バルブを複数並設して組み込んだ噴風ノズルと、該噴風ノズルに圧縮空気を送る圧縮空気供給装置を備え、駆動装置が前記複数の圧電式バルブを選択的に駆動して前記噴風ノズルの各ノズル孔から圧縮空気を噴風する。
【0007】
また、前記噴風装置を利用する光学式粒状物選別機は、圧電式バルブの開閉時の応答性が従来の電磁バルブに比べて格段に優れることから、不良品等を精度よく吹き飛ばし、かつ良品等を巻き込んで吹き飛ばすおそれの少ないものである。
【0008】
ところで、圧電素子は、動作に伴う消費エネルギーが少ない、高速動作に適している、小型である等の優れた特長をもつ。
【0009】
しかしながら、前記圧電素子は、高湿環境に弱いため、前記圧電式バルブを高湿環境下で使用する場合には、マイグレーションが原因と考えられる絶縁低下を起こして焼損するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、圧電素子の変位を利用してバルブの開閉を行う圧電式バルブを備える噴風装置であって、該噴風装置の使用中に、前記圧電素子が絶縁低下を起こして焼損するおそれのない噴風装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記噴風装置を利用する光学式粒状物選別機であって、前記噴風装置の使用中に、前記噴風装置に備える圧電素子が絶縁低下を起こして焼損するおそれのない光学式粒状物選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、
圧電素子の変位を利用してバルブの開閉を行う圧電式バルブを備える噴風装置であって、
コンプレッサ及び該コンプレッサにより圧縮された気体を乾燥させるドライヤを有する圧縮気体供給部と、
該圧縮気体供給部から供給される圧縮気体をノズル孔から噴風するノズル部と、
前記圧縮気体供給部から前記ノズル部に圧縮気体を供給する流路部と、
を備え、
前記圧電式バルブの開放により前記圧縮気体供給部から供給される圧縮気体を前記ノズル部の前記ノズル孔から噴風する噴風装置において、
前記流路部内の圧縮気体の湿度を検出する湿度センサと、前記湿度センサによる湿度の検出値を設定値と比較する湿度制御部を設け、
当該噴風装置の使用開始に際し、前記湿度制御部は、前記湿度センサにより検出される前記流路部内の圧縮気体の湿度が設定値以上の場合、
前記圧電式バルブを繰り返し開閉し、前記湿度が設定値以上の圧縮気体を前記ノズル孔から排出することで、前記流路部内の圧縮気体を前記圧縮気体供給部から供給される湿度が前記設定値未満の圧縮気体と置き換えることを特徴とする。
【0013】
本発明は、
前記湿度制御部からの信号に基づいて前記圧電式バルブを開閉駆動する駆動装置を設け、
前記噴風装置の使用開始に際し、前記湿度制御部は、前記湿度センサにより検出される前記流路部内の圧縮気体の湿度の検出値と前記設定値を比較し、前記検出値が前記設定値以上の場合、前記駆動装置は、前記湿度制御部からの信号に基づいて前記圧電式バルブを高速で繰り返し開閉駆動し、前記湿度が設定値以上の圧縮気体を前記ノズル孔から排出することで、前記流路部内の圧縮気体を前記圧縮気体供給部から供給される湿度が前記設定値未満の圧縮気体と置き換えることが好ましい。
【0014】
参考発明は、
前記流路部の前記ノズル部側に圧縮気体の排出バルブが設けられており、
前記湿度制御部が、前記排出バルブを開放し、前記湿度が設定値以上の圧縮気体を前記排出バルブから排出することで、前記流路部内の圧縮気体を前記圧縮気体供給部から供給される圧縮気体と置き換えることが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記圧電式バルブが、外部から供給される圧縮気体を受け入れる気体圧力室、及び該気体圧力室から前記圧縮気体を排出する気体排出路、を有し、
前記圧電式バルブが、前記気体圧力室に配置され前記気体排出路を開閉する弁体、前記弁体の動作に必要な駆動力を変位として発生する圧電素子、及び前記圧電素子の変位を拡大して前記弁体に作用させる変位拡大機構、をさらに有し、
前記圧電素子に電圧を印加し、該圧電素子を伸張させて前記弁体を開弁することが好ましい。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
被選別物を移送する移送手段と、
該移送手段の端部から落下する被選別物を検出位置において検出する光学検出手段と、
該光学検出手段のさらに下方に設けられ当該光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を圧縮気体の噴風により吹き飛ばす噴風装置と、
を備える光学式粒状物選別機であって、
前記噴風装置は、上記何れかに記載の噴風装置であり、当該噴風装置の使用開始に際し、前記湿度センサにより検出される前記流路部内の圧縮気体の湿度が設定値以上の場合、前記流路部内の圧縮気体を前記圧縮気体供給部から供給される湿度が前記設定値未満の圧縮気体と置き換えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の噴風装置は、当該噴風装置の使用開始に先立って、流路部内の圧縮気体の湿度を湿度センサにより検出し、該検出された湿度が設定値以上の場合、湿度制御部が、前記流路部内の圧縮気体を、圧縮気体供給部から供給される湿度が前記設定値未満の圧縮気体と置き換えるので、当該噴風装置の使用中に、圧電式バルブに利用する圧電素子が絶縁低下を起こして焼損するおそれがない。
【0018】
本発明の噴風装置は、前記湿度制御部が、前記圧電式バルブの開閉を繰り返し、前記湿度が設定値以上の圧縮気体を前記ノズル孔から排出することで、前記流路部内の高湿度の圧縮気体を前記圧縮気体供給部から供給される低湿度の圧縮気体と置き換えることとすれば、前記圧電式バルブの開閉時における圧電素子の伸縮により該圧電素子の表面が熱をもち、当該圧電素子の表面温度が上昇する結果、当該圧電素子表面の相対湿度が低下するため、前記流路部内の高湿度の圧縮気体を前記ノズル孔から排出する場合でも、前記圧電素子が絶縁低下を起こして焼損するおそれがない。
【0019】
参考発明の噴風装置は、前記流路部のノズル部側に圧縮気体の排出バルブが設けられており、前記湿度制御部が、前記排出バルブを開放し、前記湿度が設定値以上の圧縮気体を前記排出バルブから排出することで、前記流路部内の高湿度の圧縮気体を前記圧縮気体供給部から供給される低湿度の圧縮気体と置き換えることとすれば、前記流路部内の高湿度の圧縮気体を簡単に排出することができる。
【0020】
本発明の光学式粒状物選別機は、噴風装置が、上記いずれかの噴風装置であり、当該噴風装置の使用開始に先立って、湿度センサにより検出される流路部内の圧縮気体の湿度が設定値以上の場合、前記流路部内の圧縮気体を圧縮気体供給部から供給される湿度が前記設定値未満の圧縮気体と置き換えるので、前記噴風装置の使用中に、前記噴風装置に備える圧電素子が絶縁低下を起こして焼損するおそれがない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<圧電式バルブ>
図1は圧電式バルブの斜視図を示す。
図2は圧電式バルブの組立分解図を示す。
図3はアクチュエータの説明図を示す。
図4は弁座プレートにアクチュエータを固定した状態の説明図を示す。
図5は圧電式バルブの断面図であって、弁座プレートをバルブ本体内部に配設した状態の説明図を示す。
【0023】
圧電式バルブ10は、バルブ本体20、前記バルブ本体20の内部に配設されるとともに該バルブ本体20に固定される弁座プレート25、前記弁座プレート25の両面にネジで固定されるアクチュエータ30を備える。
【0024】
前記バルブ本体20は、前面が開口するケースであって、内部には外部の圧縮気体供給源(図示せず)から圧縮気体の供給を受ける気体圧力室を備える。
また、前記バルブ本体20の前面には、コネクタ部50が設けられる。前記コネクタ部50の前面には、該バルブ本体20内に圧縮気体を吸入する気体吸入口51及び前記圧縮気体を排出する気体排出口52が開口する。
【0025】
前記弁座プレート25は、前記アクチュエータ30の取り付け部を両面に備えるとともに、前記アクチュエータ30の後述する弁体31が当接する弁座26を有する。当該弁座プレート25には、前記弁座26の弁座面から前記コネクタ部50の前面に開口する前記排出口52へ連通する気体排出路が形成される。
また、前記弁座プレート25の前面には、前記ケースの開口を閉鎖する蓋材28が取り付けられる。前記蓋材28には、前記コネクタ部50の前面に開口する吸入口51から前記バルブ本体20内に連通する気体吸入路が形成される。
【0026】
前記アクチュエータ30は、
図3に示すように、ゴム製好ましくは滑性ゴムの弁体31、該弁体31の動作に必要な駆動力を変位として発生する圧電素子32、前記圧電素子32の変位を拡大して前記弁体31に作用させる変位拡大機構33を備える。
【0027】
前記変位拡大機構33は、前記圧電素子32の変位を拡大する変位拡大部34と、前記圧電素子32の変位を前記変位拡大部34に伝達する変位伝達部35を有し、前記弁体31の動作方向の軸線、ここでは、前記弁体31と前記圧電素子32の長手方向軸線を結ぶ直線(以下、「中心線」という。)に対して対称に配置される。
【0028】
前記変位伝達部35は、前記圧電素子32の一端が接合されるU字状のベース基板36と、前記圧電素子32の他端が接合されるキャップ部材37を有する。前記圧電素子32が前記U字状のベース基板36の空間内に配設されることで、前記変位拡大機構33は前記圧電素子32の長手方向軸線を中心として対称な配置とされる。
【0029】
ここで、前記圧電素子32は、前記U字状のベース基板36の空間内であって該ベース基板36のU字状底部と前記キャップ部材37との間に組み込まれ、前記ベース基板36のU字状底部を塑性変形させることで、前記一端が前記ベース基板36のU字状底部に接合され、前記他端が前記キャップ部材37に接合される。
【0030】
前記変位拡大部34は、前記中心線に対して対称な配置とされる第1及び第2変位拡大部34a,34bから構成される。
前記第1変位拡大部34aは、第1及び第2ヒンジ39,40、第1アーム41及び第1板バネ42を有する。前記第1ヒンジ39の一端は前記U字状のベース基板36の一方側先端に対し一体とされ、前記第2ヒンジ40の一端は前記キャップ部材37に対し一体とされる。前記第1アーム41の外側先端部には、前記第1板バネ42の一端が接合され、該第1板バネ42の他端には前記弁体31の一方側の側端部が接合される。
【0031】
他方、前記第2変位拡大部34bは、第3及び第4ヒンジ43,44、第2アーム45及び第2板バネ46を有する。前記第3ヒンジ43の一端は前記U字状のベース基板36の他方側先端に対し一体とされ、前記第4ヒンジ44の一端は前記キャップ部材37に対し一体とされる。前記第2アーム45の外側先端部には、前記第2板バネ46の一端が接合され、該第2板バネ46の他端には前記弁体31の他方側の側端部が接合される。
ここで、前記変位拡大機構33は、例えばステンレス材等の金属材料を打ち抜いて一体に成形することができる。
【0032】
前記圧電式バルブ10において、前記アクチュエータ30は、閉弁状態において前記圧電素子32に通電すると、当該圧電素子32が伸長する。当該圧電素子32の伸長に伴う変位は、前記変位拡大機構33において、前記第1及び第3ヒンジ39,43を支点、前記第2及び第4ヒンジ40,44を力点、前記第1及び第2アーム41,45の外側先端部を作用点としてテコの原理により拡大され、前記第1及び第2アーム41,45の外側先端部を大きく変位させる。
【0033】
そして、前記第1及び第2アーム41,45の外側先端部の変位は、前記第1及び第2板バネ42,46を介して前記弁体31を前記弁座26から離間させ、前記気体排出路を開放する。
【0034】
他方、上記アクチュエータ30は、前記圧電素子32への通電が解除されると該圧電素子32が収縮し、当該収縮が前記変位拡大機構33を介して前記弁体31を前記弁座26に着座させ、前記気体排出路を閉鎖する。
【0035】
<噴風装置>
次に、前記圧電式バルブ10を備える噴風装置について説明する。
図6は噴風装置の制御ブロック図を示す。
噴風装置110は、コンプレッサ及び該コンプレッサにより圧縮された気体を乾燥させる冷凍式や吸着式等のドライヤを有する圧縮気体供給源120と、該圧縮気体供給源120から供給される圧縮気体の圧力を調整するレギュレータ122と、該レギュレータ122で圧力が調整された圧縮気体を複数のノズル孔から噴風する噴風ノズル130と、前記圧縮気体供給源から前記噴風ノズル130に圧縮気体を供給する流路としての配管141及びマニホールド143を備える。
【0036】
前記噴風装置110は、前記噴風ノズル130又は前記噴風ノズル130付近の流路に、
図1〜
図5に示す前記圧電式バルブ10が複数並設して設けられ、前記圧縮気体供給源120から供給される低湿度の圧縮気体を前記圧電式バルブ10の開閉により前記噴風ノズル130の各ノズル孔から噴風する。
【0037】
前記噴風装置110において、前記配管141には、該流路内の圧力を検出する圧力センサ145と、該流路内の気体の相対湿度を検出する湿度センサ147が設けられる。
また、前記噴風装置110は、湿度制御装置150及び駆動装置160を有する。前記湿度制御装置150は、作業者により湿度が入力設定可能とされており、前記湿度の設定値と前記湿度センサ147による湿度の検出値を比較する。前記駆動装置160は、前記湿度制御装置150からの信号に基づいて、前記圧電式バルブ10又は後述する排出バルブを開閉駆動する。
【0038】
前記噴風装置110の使用開始に際し、前記湿度制御装置150は、前記圧縮気体供給源120の電源信号、及び前記圧力センサ145の圧力信号を入力信号として、前記圧縮気体供給源120から低湿度の圧縮気体が供給される状態で、前記湿度の設定値(例えば30%RH)と前記湿度センサ147による湿度の検出値を比較する。
そして、前記湿度制御装置150における前記比較の結果、前記湿度センサ147による湿度の検出値が前記設定値(例えば30%RH)以上の場合、前記噴風装置110の使用に先立って、前記流路内に存在する(残留する)高湿度の圧縮気体を前記圧縮気体供給源120から供給される低湿度(例えば30%RH未満)の圧縮気体と置き換える。
【0039】
このように、前記噴風装置110は、前記流路内に存在する高湿度の圧縮気体を、当該噴風装置110の使用に先立って、低湿度の圧縮気体と置き換えておくこととすれば、当該噴風装置110の使用中に前記圧電式バルブ10に利用する圧電素子32が絶縁低下を起こして焼損するおそれがない。
【0040】
前記噴風装置110は、前記駆動装置160が、前記湿度制御装置150からの信号に基づいて、前記圧電式バルブ10を高速(例えば100Hz程度)で繰り返し開閉駆動することで、前記高湿度の圧縮気体を前記噴風ノズル130のノズル孔から排出することができる。
【0041】
このように、前記噴風装置110において、前記流路内に存在する高湿度の圧縮気体を、前記圧縮気体供給源120から供給される低湿度の圧縮気体と置き換えるに際し、前記噴風ノズル130のノズル孔から前記高湿度の圧縮気体を排出することとすれば、他に特別な装置構成を設ける必要がない。
【0042】
また、前記噴風装置110において、前記駆動装置160が、前記圧電式バルブ10を高速で繰り返し開閉駆動することとすれば、前記圧電式バルブ10の開閉時における圧電素子32の伸縮により該圧電素子32の表面が熱をもち、当該圧電素子32の表面温度が上昇する結果、当該圧電素子32表面の相対湿度が低下するため、前記流路内に存在する高湿度の圧縮気体を前記噴風ノズル130のノズル孔から排出する場合でも、前記圧電素子32は絶縁低下を起こして焼損するおそれがない。
【0043】
また、前記噴風装置110は、前記マニホールド143の端部側に電磁バルブ等による図示しない排出バルブを設ける構成とし、前記駆動装置160が、前記湿度制御装置150からの信号に基づいて、前記排出バルブを開放することで、前記高湿度の圧縮気体を前記排出バルブから排出することができる。
【0044】
このように、前記噴風装置110において、前記流路内に存在する高湿度の圧縮気体を、前記圧縮気体供給源120から供給される低湿度の圧縮気体と置き換えるに際し、前記排出バルブから前記高湿度の圧縮気体を排出することとすれば、前記高湿度の圧縮気体を簡単に排出することができる。
【0045】
なお、前記湿度制御装置150は、圧力センサ145の圧力信号を入力信号として設定値と湿度センサ147の検出値とを比較し、検出値が設定値以上の場合、噴風装置110の使用に先立って残留気体を低湿度の気体と置き換える動作を行うが、当該設定値と検出値との比較動作は、前記噴風装置110の使用開始に際してだけでなく、その後も連続して(秒単位)行うことができる。
これにより、噴風装置110の使用中に、万一、ドライヤ等の不具合により圧縮気体の湿度が上昇した場合には、噴風装置110を停止して圧電式バルブ10に利用する圧電素子32の絶縁低下現象を防止することができる。
【0046】
<光学式粒状物選別機>
次に、前記噴風装置110を利用する光学式粒状物選別機について説明する。
図7は光学式粒状物選別機の内部構造を簡略化して示した要部側断面図を示す。
図8は光学式粒状物選別機における制御ブロック図を示す。
光学式粒状物選別機210は、上部にタンク220と振動フィーダ230とからなる粒状物供給部を有する。粒状物供給部の下方には所定幅を有する傾斜状シュート240が配置される。
前記粒状物供給部から供給された粒状物は、前記傾斜状シュート240上を幅方向に広がって連続状に自然流下した後、その下端から所定の落下軌跡に沿って空中に放出される。
【0047】
前記所定の落下軌跡の前後には、前記傾斜状シュート240の幅方向に平行に直線状に延びる粒状物検出位置Oにおいて粒状物を撮像する少なくとも一対の光学検出装置250a,250bが対向して配設される。各光学検出装置250a,250bは、それぞれCCDラインセンサを内蔵するCCDカメラ等の撮像手段251a,251b、蛍光灯やLED等からなる照明手段252a,252b、及び前記粒状物を撮像する際の背景となるバックグラウンド253a,253b等から構成される。
【0048】
また、前記粒状物検出位置Oの下方には、不良品等を圧縮気体の噴風により除去する噴風装置110が配設される。前記噴風装置110は、
図6に記載したものであり、前記圧電式バルブ10を複数並設して組み込んだ噴風ノズル130と、該噴風ノズル130に圧縮気体を供給する圧縮気体供給源120と、前記圧縮気体供給源120と前記噴風ノズル130を繋ぐ配管141等の流路を備え、前記流路には、該流路内の圧力を検出する圧力センサ145と、該流路内の気体の相対湿度を検出する湿度センサ147を有する。
【0049】
さらに、前記光学式粒状物選別機210は、前記各光学検出装置250a,250bによる前記傾斜状シュート240の下端から放出される粒状物の検出結果に基づいて、前記圧電式バルブ10の圧電素子32を伸縮駆動する駆動装置272を有する。
【0050】
前記光学式粒状物選別機210において、前記傾斜状シュート240を幅方向に広がって連続状に自然流下した後、その下端から所定の落下軌跡に沿って空中に放出される粒状物は、前記粒状物検出位置Oにおいて前記各光学検出装置250a,250bの撮像手段251a,251bにより撮像され、当該撮像データが制御装置260に送られる。該制御装置260は、前記撮像データに基づいて不良品等の除去すべき粒状物を特定するとともに当該粒状物の大きさ等に関する情報を取得し、前記不良品等の排除信号を前記駆動装置272に送る。
【0051】
前記噴風装置110は、前記駆動装置272に送られる前記排除信号に基づいて前記複数の圧電式バルブ10を選択的に駆動し、前記傾斜状シュート240の幅方向に平行に直線状に延びる粒状物排除位置Eを通過する不良品等に対し、該幅方向の各位置に対応して設けられる前記噴風ノズル130の各ノズル孔から圧縮気体を噴風する。
【0052】
そして、前記噴風ノズル130の各ノズル孔からの噴風により吹き飛ばされた不良品等は、不良品排出口281から機外に排出される。また、噴風により吹き飛ばされることなく所定の落下軌跡をそのまま通過した良品等は、良品排出口282から回収される。
【0053】
ここで、前記噴風装置110は、当該光学式粒状物選別機210に利用される場合においても、当該光学式粒状物選別機210の運転開始時であって、当該噴風装置110の使用に先立って、前述のとおり、前記流路内に存在する(残留する)高湿度の圧縮気体を低湿度の圧縮気体と置き換えておくことができる。
その場合、当該光学式粒状物選別機210における制御装置260の湿度制御部が、
図6に示す噴風装置110の湿度制御装置150の役割を果たす。
【0054】
このように、前記噴風装置110が、前記流路内に存在する高湿度の圧縮気体を、当該噴風装置110の使用開始に先立って、低湿度の圧縮気体と置き換えておくこととすれば、前記光学式粒状物選別機210の運転時であっても、前述のとおり、当該噴風装置110の使用中に前記圧電式バルブ10に利用する圧電素子32が絶縁低下を起こして焼損するおそれがない。
【0055】
また、前記光学式粒状物選別機210の運転中、前記湿度センサ147が設定値(例えば30%RH)以上の湿度を検出した場合には、前記制御装置26は警報を発したり、当該光学式粒状物選別機210の運転を停止したりすることで、前記圧電式バルブ10に利用する圧電素子32の安全性を確保することができる。
【0056】
上記光学式粒状物選別機において、選別対象となる粒状物は、代表的には穀物粒、特に米粒であるが、必ずしも穀物粒に限られるわけではなく、その対象物は、噴風によって吹き飛ばすことが可能な大きさと質量である限り何でも構わない。
【0057】
なお、本発明は、上記実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。