(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記Z軸移動レバーの操作が終わって、前記ノズルが停止されると、前記座標変換制御部は、停止された前記ノズルの位置を通る、トンネル軸と直交するX−Y平面を算出することで、前記X−Y平面移動レバーの操作によって前記ノズルが移動されるX−Y平面を更新させることを特徴とする請求項2記載のコンクリート吹付システム。
前記座標変換制御部は、前記第2アーム移動レバーの操作による前記第2アームの回動に際し、前記第2アームを伸縮させることで、前記ノズルを算出したX−Y平面上で移動させることを特徴とする請求項5記載のコンクリート吹付システム。
前記座標変換制御部は、前記第2アーム移動レバーの操作によって前記第2アームが回動された状態で、前記X−Y平面移動レバーが操作されると、前記第2アームをトンネル軸と平行に回動させることを特徴とする請求項6記載のコンクリート吹付システム。
【背景技術】
【0002】
従来より、地盤を削孔して形成したトンネルの壁面にコンクリートを吹付けて、トンネル壁面を補強している。トンネルの壁面へのコンクリートの吹付けには、
図9に示すようなコンクリート吹付装置1が用いられる。コンクリート吹付装置1は、走行可能な台車2と、台車2の後方側に設けられたコンクリートポンプ3と、空気圧縮機4と、台車2の前方側に設けられたマニピュレータ10と、マニピュレータ10の先端に取付けられ、コンクリートポンプ3と空気圧縮機4とに連結されたノズル5とを備えている。なお、
図9において、コンクリートポンプ3及び空気圧縮機4とノズル5とを連結するホースは省略されている。
【0003】
マニピュレータ10は、台車2の前方側に設けられたベース部2aに上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第1アーム11と、第1アーム11の先端に取り付けられた先端アーム12と、先端アーム12に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第2アーム13とを備え、第2アーム13の先端に、ノズル5が前後及び左右に揺動可能に取り付けられている。そして、第1アーム11の上下方向の回動は第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム11の左右方向の回動は第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム11の伸縮は第1アーム伸縮シリンダ16によってそれぞれ行うように構成されている。また、第2アーム13の上下方向の回動は第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム13の左右方向の回動は第2アーム旋回シリンダ18、第2アーム13の伸縮は第2アーム伸縮シリンダ19によってそれぞれ行うように構成されている。さらに、ノズル5の前後方向の揺動はノズル前後揺動装置20、ノズル5の左右方向の揺動はノズル左右揺動装置21によってそれぞれ行うように構成されている。
【0004】
作業員は、操作盤によりマニピュレータ10を操作することでノズル5を移動させ、トンネルの内周面の所望箇所にコンクリートを吹き付ける。この際、コンクリートの吹付け距離は、適正な距離(1.5m程度)に設定する必要がある。そこで、ノズル5の先端からコンクリートの吹付け対象面までの距離が、所定の範囲内であるか否かを判定し、所定の範囲外であると判定された場合に警報を発する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図9に示すようなコンクリート吹付装置1のマニピュレータ10は、第1アーム11の「伸縮、上下、左右」、第2アーム13の「伸縮、上下、左右」、ノズル5の[前後、左右」の動作要素を持ち、必要な(電気接点や油圧の)開閉操作点は16点にも及ぶ。従って、操作盤30には、
図10に示すように、16点の開閉操作点を操作する4本の操作レバー(第1アーム移動レバー31、第2アーム移動レバー32、伸縮レバー33、ノズル移動レバー34)が必要となり、ノズル5を所望箇所に移動させるためには、4本の操作レバーを複合して操作しなければならない。このため、マニピュレータ10の操作は熟練を要する煩雑な作業であり、経験の少ない作業員がコンクリート吹付装置1を操作した場合には、リバウンド増加による材料ロスと施エサイクルロス、仕上り面の品質低下、発生粉塵増加による作業環境悪化、作業効率の低下等の問題が発生してしまう。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消し、マニピュレータを直感的に操作することができ、簡単な操作でノズルを所望箇所に移動させることができるコンクリート吹付システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンクリート吹付システムは、マニピュレータの先端に取付けられたノズルからトンネルの壁面にコンクリートを吹付けるコンクリート吹付装置を備えたコンクリート吹付システムであって、前記コンクリート吹付装置のトンネル内における位置及び姿勢を測量する測量装置を具備し、前記コンクリート吹付装置は、トンネルの設計データが記憶されている設計データ記憶部と、前記測量装置による測量結果である測量データを受信する測量データ受信部と、X−Y平面移動レバーが設けられた操作盤と、前記マニピュレータの複数の可動箇所を駆動するマニピュレータ駆動部と、前記マニピュレータの複数の可動箇所における可動量をそれぞれ検出する可動量検出部と、前記設計データ記憶部に記憶されているトンネルの設計データ、前記測量データ受信部によって受信された測量データ及び前記可動量検出部による検出結果に基づいて、トンネル軸と直交するX−Y平面を算出し、前記X−Y平面移動レバーが操作されると、前記マニピュレータ駆動部を駆動させ、算出したX−Y平面上の前記X−Y平面移動レバーで指示された方向に前記ノズルを移動させる座標変換制御部とを具備していても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記操作盤には、Z軸移動レバーが設けられており、前記座標変換制御部は、前記設計データ記憶部に記憶されているトンネルの設計データ、前記測量データ受信部によって受信された測量データ及び前記可動量検出部による検出結果に基づいて、トンネル軸と平行なZ軸を算出し、前記Z軸移動レバーが操作されると、前記マニピュレータ駆動部を制御して、算出したZ軸上の前記Z軸移動レバーで指示された方向に前記ノズルを移動させても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記Z軸移動レバーの操作が終わって、前記ノズルが停止されると、前記座標変換制御部は、停止された前記ノズルの位置を通る、トンネル軸と直交するX−Y平面を算出することで、前記X−Y平面移動レバーの操作によって前記ノズルが移動されるX−Y平面を更新させても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記マニピュレータは、ベース部に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第1アームと、前記第1アームの先端側に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、前記ノズルが先端に取り付けられている伸縮可能な第2アームとを備え、前記座標変換制御部は、前記第2アームをトンネル軸と平行に維持した状態で、前記ノズルを移動させても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記操作盤には、前記第2アームの上下及び左右への回動を指示する第2アーム移動レバーが設けられており、前記座標変換制御部は、前記X−Y平面移動レバーの操作によっていずれの方向にも前記ノズルを移動させることができる間は、前記第2アーム移動レバーの操作による前記第2アームの回動を禁止させ、前記X−Y平面移動レバーの操作による前記ノズルのいずれかの方向への移動が限界に達すると、前記第2アーム移動レバーの操作による第2アームの回動を許可させても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記座標変換制御部は、前記第2アーム移動レバーの操作による前記第2アームの回動に際し、前記第2アームを伸縮させることで、前記ノズルを算出したX−Y平面上で移動させても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記座標変換制御部は、前記第2アーム移動レバーの操作によって前記第2アームが回動された状態で、前記X−Y平面移動レバーが操作されると、前記第2アームをトンネル軸と平行に回動させても良い。
さらに、本発明のコンクリート吹付システムは、前記マニピュレータは、ベース部に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第1アームと、前記第1アームの先端側に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、前記ノズルが先端に取り付けられている伸縮可能な第2アームとを備え、前記操作盤には、第2アームの上下及び左右への回動を指示する第2アーム移動レバーが設けられており、前記座標変換制御部は、常時、前記第2アーム移動レバーの操作による前記第2アームの回動を許可させ、前記X−Y平面移動レバーが操作されると、前記ノズルの移動に際し、前記第2アームのトンネル軸に対する姿勢を維持させても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トンネル軸と直交するX−Y平面による空間把握概念を基本とした形で操作することができるため、マニピュレータを直感的、すなわち人が空間を感覚的に認識したイメージにより近い形で操作することができ、簡単な操作でノズルを所望箇所に移動させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態のコンクリート吹付システムは、
図1に示すように、コンクリート吹付装置1aと、測量装置40とを備えている。
【0013】
コンクリート吹付装置1aは、走行可能な台車2と、台車2の後方側に設けられたコンクリートポンプ3と、空気圧縮機4と、台車2の前方側に設けられたマニピュレータ10aと、マニピュレータ10aの先端に取付けられ、コンクリートポンプ3と空気圧縮機4とに連結されたノズル5とを備えている。なお、
図1において、コンクリートポンプ3及び空気圧縮機4とノズル5とを連結するホースは省略している。
【0014】
台車2には、位置検出用のプリズム50a、50b、50cが互いに間隔をおいて取り付けられている。測量装置40は、自動視準・自動追尾の機能を備えたトータルステーションであり、トンネル内の基準点に配置される。測量装置40は、プリズム50a、50b、50cとの距離及び測定角度をそれぞれ計測することで、プリズム50a、50b、50cの三次元座標をそれぞれ測定する。そして、測量装置40は、測定したプリズム50a、50b、50cの三次元座標を測量データとしてコンクリート吹付装置1aに送信する。
【0015】
マニピュレータ10aは、
図2を参照すると、台車2の前方側に設けられたベース部2aに上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第1アーム11と、第1アーム11の先端に取り付けられた先端アーム12と、先端アーム12に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第2アーム13とを備え、第2アーム13の先端に、ノズル5が前後及び左右に揺動可能に取り付けられている。
【0016】
第1アーム11の上下方向の回動は第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム11の左右方向の回動は第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム11の伸縮は第1アーム伸縮シリンダ16によってそれぞれ行うように構成されている。すなわち、第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム旋回シリンダ15及び第1アーム伸縮シリンダ16は、第1アーム11の3つの可動箇所を動かして第1アーム11を動作させる第1アーム駆動部として機能する。そして、第1アーム11の3つの可動箇所における可動量をそれぞれ検出する第1アーム可動量検出部として、第1アーム11の上下方向の回動角を検出する第1アーム上下回動角検出センサ22と、第1アーム11の左右方向の回動角を検出する第1アーム左右回動角検出センサ23と、第1アーム11の伸縮長を検出する第1アーム伸縮長検出センサ24とが設けられている。
【0017】
また、第2アーム13の上下方向の回動は第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム13の左右方向の回動は第2アーム旋回シリンダ18、第2アーム13の伸縮は第2アーム伸縮シリンダ19によってそれぞれ行うように構成されている。すなわち、第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム旋回シリンダ18及び第2アーム伸縮シリンダ19は、第2アーム13の3つの可動箇所を動かして第2アーム13を動作させる第2アーム駆動部として機能する。そして、第2アーム13の3つの可動箇所の可動量をそれぞれ検出する第2アーム可動量検出部として、第2アーム13の上下方向の回動角を検出する第2アーム上下回動角検出センサ25と、第2アーム13の左右方向の回動角を検出する第2アーム左右回動角検出センサ26と、第2アーム13の伸縮長を検出する第2アーム伸縮長検出センサ27とが設けられている。さらに、ノズル5の前後方向の揺動はノズル前後揺動装置20、ノズル5の左右方向の揺動はノズル左右揺動装置21によってそれぞれ行うように構成されている。
【0018】
マニピュレータ10aの動きを操作する操作盤30aは、
図3に示すように、ノズル5の揺動を操作するノズル移動レバー34と、トンネル軸と直交するX−Y平面上でのノズル5の移動を操作するX−Y平面移動レバー35と、トンネル軸と平行なZ軸方向へのノズル5の移動を操作するZ軸移動レバー36とを備えている。
【0019】
また、
図4を参照すると、コンクリート吹付装置1aは、設計データ記憶部60と、測量データ受信部70と、マニピュレータ10aの動作を制御する制御装置80とを備えている。
【0020】
設計データ記憶部60は、半導体メモリ等の不揮発性の記憶手段であり、トンネルの設計データが記憶されている。
【0021】
測量データ受信部70は、無線もしくは有線で測量装置40と接続され、測量装置40との間で各種データを送受信する機能を有している。測量データ受信部70は、測量装置40から測量データとしてプリズム50a、50b、50cのそれぞれの三次元座標を受信する。
【0022】
制御装置80は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには制御プログラムが記憶されている。制御装置80は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、姿勢特定部81、座標変換制御部82、ノズル制御部83として機能する。
【0023】
図5を参照すると、姿勢特定部81は、設計データ記憶部60に記憶されているトンネルの設計データと、測量データ受信部70によって受信された測量データ(プリズム50a、50b、50cのそれぞれの三次元座標)とに基づいて、ベース部2a(台車2)のトンネル内における位置と、ベース部2a(台車2)のトンネル軸に対する姿勢ベクトルとを特定する。
【0024】
そして、座標変換制御部82は、姿勢特定部81によって特定されたベース部2a(台車2)のトンネル内における位置と、第1アーム上下回動角検出センサ22、第1アーム左右回動角検出センサ23、第1アーム伸縮長検出センサ24、第2アーム上下回動角検出センサ25、第2アーム左右回動角検出センサ26及び第2アーム伸縮長検出センサ27の検出結果とに基づいて、ノズル5のトンネル内における位置を特定する。そして、座標変換制御部82は、特定したノズル5の位置と、設計データ記憶部60に記憶されているトンネルの設計データとに基づいて、特定したノズル5の位置を通る、トンネル軸と平行なZ軸方向と、トンネル軸と直交する切羽面と平行なX−Y平面を算出する。
【0025】
座標変換制御部82は、X−Y平面移動レバー35が操作されると、第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム伸縮シリンダ16、第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム旋回シリンダ18及び第2アーム伸縮シリンダ19を複合させて駆動することで、第2アーム13をトンネル軸(算出したZ軸)と平行に維持した状態で、算出したX−Y平面上のX−Y平面移動レバー35で指示された方向にノズル5を移動させる。なお、第2アーム13を算出したZ軸と平行に維持する制御は、算出した姿勢ベクトルと、トンネルの設計データとに基づいて行われる。
【0026】
座標変換制御部82は、Z軸移動レバー36が操作されると、第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム伸縮シリンダ16、第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム旋回シリンダ18及び第2アーム伸縮シリンダ19を複合させて駆動することで、算出したZ軸上のZ軸移動レバー36で指示された方向にノズル5を移動させる。Z軸移動レバー36の操作が終わって、ノズル5が停止されると、座標変換制御部82は、停止されたノズル5の位置を通る、トンネル軸と直交する切羽面と平行なX−Y平面を算出する。これにより、X−Y平面移動レバー35の操作によってノズル5が移動されるX−Y平面が更新される。
【0027】
ノズル制御部83は、ノズル移動レバー34が操作されると、ノズル前後揺動装置20もしくはノズル左右揺動装置21を駆動することで、ノズル移動レバー34で指示された方向にノズル5を移動させる。
【0028】
以上説明したように、第1実施形態は、マニピュレータ10aの先端に取付けられたノズル5からトンネルの壁面にコンクリートを吹付けるコンクリート吹付装置1aを備えたコンクリート吹付システムであって、コンクリート吹付装置1aのトンネル内における位置及び姿勢を測量する測量装置40を具備し、コンクリート吹付装置1aは、トンネルの設計データが記憶されている設計データ記憶部60と、測量装置40による測量結果である測量データを受信する測量データ受信部70と、X−Y平面移動レバー35が設けられた操作盤30aと、マニピュレータ10aの複数の可動箇所を駆動するマニピュレータ駆動部(第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム伸縮シリンダ16、第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム旋回シリンダ18、第2アーム伸縮シリンダ19)と、マニピュレータ10aの複数の可動箇所における可動量をそれぞれ検出する可動量検出部(第1アーム上下回動角検出センサ22、第1アーム左右回動角検出センサ23、第1アーム伸縮長検出センサ24、第2アーム上下回動角検出センサ25、第2アーム左右回動角検出センサ26、第2アーム伸縮長検出センサ27)と、設計データ記憶部60に記憶されているトンネルの設計データ、測量データ受信部70によって受信された測量データ及び可動量検出部による検出結果に基づいて、トンネル軸と直交するX−Y平面を算出し、X−Y平面移動レバー35が操作されると、マニピュレータ駆動部を駆動させ、算出したX−Y平面上のX−Y平面移動レバー35で指示された方向にノズル35を移動させる座標変換制御部82とを具備している。
この構成により、トンネル軸と直交するX−Y平面による空間把握概念を基本とした形で操作することができるため、マニピュレータ10aを直感的、すなわち人が空間を感覚的に認識したイメージにより近い形で操作することができ、簡単な操作でノズル5を所望箇所に移動させることができる。従って、リバウンドが低減されるため材料と施エサイクルロスとが低減されてコストを削減することができる。また、仕上り面の平滑性や、支保工背面へのコンクリート充填等の品質向上も期待できる。さらに、発生粉塵減少によって作業環境が改善されると共に、複合動作は機械側で行うため、オペレータによる複数レバーの同時操作が不要となり、負担が軽減される。
【0029】
さらに、第1実施形態によれば、操作盤30aには、Z軸移動レバー36が設けられており、座標変換制御部82は、設計データ記憶部60に記憶されているトンネルの設計データ、測量データ受信部70によって受信された測量データ及び可動量検出部による検出結果に基づいて、トンネル軸と平行なZ軸を算出し、Z軸移動レバー36が操作されると、マニピュレータ駆動部を制御して、算出したZ軸上のZ軸移動レバー36で指示された方向にノズル5を移動させる。
この構成により、トンネル軸と並行なZ軸による空間把握概念を基本とした形で操作することができるため、マニピュレータ10aを直感的、すなわち人が空間を感覚的に認識したイメージにより近い形で操作することができ、簡単な操作でノズル5を所望箇所に移動させることができる。
【0030】
さらに、第1実施形態によれば、Z軸移動レバー36の操作が終わって、ノズル5が停止されると、座標変換制御部82は、停止されたノズル5の位置を通る、トンネル軸と直交するX−Y平面を算出することで、X−Y平面移動レバー35の操作によってノズル5が移動されるX−Y平面を更新させる。
この構成により、ノズル5が停止された位置でトンネル軸と直交するX−Y平面が更新されるため、トンネルがカーブしていても、簡単な操作でノズル5を所望箇所に移動させることができる。
【0031】
さらに、第1実施形態によれば、マニピュレータ10aは、ベース部2aに上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第1アーム11と、第1アーム11の先端側に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、ノズル5が先端に取り付けられている伸縮可能な第2アーム13とを備え、座標変換制御部82は、第2アーム13をトンネル軸と平行に維持した状態で、ノズル5を移動させる。
この構成により、第2アーム13をZ軸と平行にした状態でマニピュレータ10aを直感的に操作することができる。
【0032】
(第2実施形態)
第2実施形態のコンクリート吹付装置1bは、
図6及び
図7に示すように、操作盤30bとして、第1実施形態の操作盤30の構成に加え、第2アーム13の上下左右への回動を操作する第2アーム移動レバー32と、Z軸スイッチ37とを備えている。Z軸スイッチ37は、第2アーム13をZ軸と平行に維持する制御をオンする「Z軸維持」と、第2アーム13をZ軸と平行に維持する制御をオフする「Z軸解除」とを切り換えるスイッチである。
【0033】
また、第2の実施の形態のコンクリート吹付装置1bは、
図7に示すように、設計データ記憶部60と、測量データ受信部70と、マニピュレータ10aの動作を制御する制御装置80aとを備え、制御装置80aは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、姿勢特定部81、座標変換制御部82a、ノズル制御部83、第2アーム制御部84として機能する。第2アーム制御部84は、第2アーム移動レバー32が操作されると、第2アーム起伏シリンダ17もしくは第2アーム旋回シリンダ18を駆動することで、第2アーム移動レバー32で指示された方向に第2アームを回動させる。
【0034】
まず、Z軸スイッチ37が「Z軸維持」に切り換えられている状態での、座標変換制御部82aの動作について説明する。
座標変換制御部82aは、X−Y平面移動レバー35が操作されると、第1実施形態と同様に、X−Y平面上でのノズル5の移動に際し、第2アーム13をZ軸と平行に維持制御する。
【0035】
また、座標変換制御部82aは、第2アーム制御部84を制御することで、X−Y平面移動レバー35の操作によって算出したX−Y平面上のいずれの方向にもノズル5を移動させることができる間は、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動を禁止させ、X−Y平面移動レバー35の操作によるノズル5のいずれかの方向(X方向右、X方向左、Y方向上もしくはY方向下)への移動が限界に達すると、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動を許可する。そして、座標変換制御部82aは、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動に際し、第2アーム伸縮シリンダ19を連動させて駆動して第2アーム13を伸縮させることで、ノズル5を算出したX−Y平面上で移動させる。
【0036】
図8(a)には、X−Y平面移動レバー35によるノズル5の移動がX右方向で限界に達した状態が示されている。その後、
図8(b)に示すように、第2アーム移動レバー32の操作によって第2アーム13が右方向に回動させることで、X−Y平面上でのノズル5の移動範囲を拡大させることができる。
【0037】
第2アーム移動レバー32の操作によって第2アーム13が回動した状態で、X−Y平面移動レバー35が操作されると、座標変換制御部82aは、第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム伸縮シリンダ16、第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム旋回シリンダ18及び第2アーム伸縮シリンダ19を複合させて駆動することで、第2アーム13をトンネル軸(Z軸)と平行に回動させ、算出したX−Y平面上のX−Y平面移動レバー35で指示された方向にノズル5を移動させる。これにより、作業員は、第2アーム13をZ軸と平行にした状態でマニピュレータ10aを直感的に操作することができ、簡単な操作でノズル5を所望箇所に移動させることができる。
【0038】
次に、Z軸スイッチ37が「Z軸解除」に切り換えられている状態での、座標変換制御部82aの動作について説明する。
座標変換制御部82aは、常時、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動を許可している。そして、座標変換制御部82aは、X−Y平面移動レバー35が操作されると、X−Y平面移動レバー35によるX−Y平面上のノズル5を移動に際し、第2アーム13のトンネル軸に対する姿勢を維持制御する。これにより、第2アーム移動レバー32の操作によって第2アーム13を回動させた状態で、ノズル5をX−Y平面上を移動させることができ、X−Y平面上でのノズル5の移動範囲を拡大させることができる。
【0039】
以上説明したように、第2実施形態は、マニピュレータ10aの先端に取付けられたノズル5からトンネルの壁面にコンクリートを吹付けるコンクリート吹付装置1bを備えたコンクリート吹付システムであって、コンクリート吹付装置1bのトンネル内における位置及び姿勢を測量する測量装置40を具備し、コンクリート吹付装置1bは、トンネルの設計データが記憶されている設計データ記憶部60と、測量装置40による測量結果である測量データを受信する測量データ受信部70と、X−Y平面移動レバー35と第2アーム13の上下及び左右への回動を指示する第2アーム移動レバー32とが設けられた操作盤30bと、マニピュレータ10aの複数の可動箇所を駆動するマニピュレータ駆動部(第1アーム起伏シリンダ14、第1アーム旋回シリンダ15、第1アーム伸縮シリンダ16、第2アーム起伏シリンダ17、第2アーム旋回シリンダ18、第2アーム伸縮シリンダ19)と、マニピュレータ10aの複数の可動箇所における可動量をそれぞれ検出する可動量検出部(第1アーム上下回動角検出センサ22、第1アーム左右回動角検出センサ23、第1アーム伸縮長検出センサ24、第2アーム上下回動角検出センサ25、第2アーム左右回動角検出センサ26、第2アーム伸縮長検出センサ27)と、設計データ記憶部60に記憶されているトンネルの設計データ、測量データ受信部70によって受信された測量データ及び可動量検出部による検出結果に基づいて、トンネル軸と直交するX−Y平面を算出し、X−Y平面移動レバー35が操作されると、マニピュレータ駆動部を駆動させ、算出したX−Y平面上のX−Y平面移動レバー35で指示された方向にノズル35を移動させる座標変換制御部82aとを具備し、マニピュレータ10aは、ベース部2aに上下及び左右に回動可能に取り付けられ、伸縮可能な第1アーム11と、第1アーム11の先端側に上下及び左右に回動可能に取り付けられ、ノズル5が先端に取り付けられている伸縮可能な第2アーム13とを備え、座標変換制御部82aは、第2アーム2をトンネル軸と平行に維持した状態で、ノズル5を移動させ、X−Y平面移動レバー35の操作によっていずれの方向にもノズル5を移動させることができる間は、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動を禁止させ、X−Y平面移動レバー35の操作によるノズル5のいずれかの方向への移動が限界に達すると、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動を許可させる。
この構成により、第2アーム13をZ軸と平行にした状態でマニピュレータ10aを直感的に操作した後に、第2アーム移動レバー32の操作によってノズル5の移動範囲を拡大させることができる。
【0040】
さらに、第2実施形態によれば、座標変換制御部82aは、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動に際し、第2アーム13を伸縮させることで、ノズル5を算出したX−Y平面上で移動させる。
この構成により、第2アーム移動レバー32の操作によってX−Y平面上でのノズル5の移動範囲を拡大させることができる。
【0041】
さらに、第2実施形態によれば、座標変換制御部82aは、第2アーム移動レバー32の操作によって第2アーム13が回動された状態で、X−Y平面移動レバー35が操作されると、第2アーム13をトンネル軸と平行に回動させる。
この構成により、第2アーム13をZ軸と平行にした状態でマニピュレータ10aを直感的に操作することができ、簡単な操作でノズル5を所望箇所に移動させることができる。
【0042】
また、第2実施形態によれば、Z軸スイッチ37が「Z軸解除」に切り換えられている状態では、座標変換制御部82aは、常時、第2アーム移動レバー32の操作による第2アーム13の回動を許可させ、X−Y平面移動レバー35が操作されると、ノズル5の移動に際し、第2アーム13のトンネル軸に対する姿勢を維持させる。
この構成により、第2アーム移動レバー32の操作によって第2アーム13を回動させた状態で、ノズル5をX−Y平面上を移動させることができ、X−Y平面上でのノズル5の移動範囲を拡大させることができる。
【0043】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。