(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製本する冊子のカバーの位置合わせを行うための一対の位置合わせ具であって、前記固定面に取り付け可能に構成され、当該カバーの厚みに対応した凹部が端部に設けられた第1の側壁と、平らな第2の側壁と、をそれぞれ有する一対の位置合わせ具を更に備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載の製本機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、粘着テープを用いて製本を行うためのテーピング装置が提案されている。このテーピング装置は、同一平面上に水平配置された左右一対の作業面、一対の当接棒、及びスペーサを備えている。そして、一対の作業面の間にはスペーサを挿入可能な溝部が設けられており、各当接棒は、スペーサに対して垂直方向に延在するように各作業面上に配置されている。
【0007】
このテーピング装置は、次のように利用される。すなわち、溝部にスペーサを挿入し、2枚のシートをそれぞれ各作業面に配置する。次に、スペーサ及び各当接棒に各シートの端辺が接するようにして、各シートの位置合わせを行う。そして、スペーサを取り除き、各シートの端辺同士を粘着テープで貼り合わせる。これにより、2枚のシートをテープ止
【0008】
しかしながら、このテーピング装置では、両作業面が同一平面上で固定されているため、基本的には、両作業面に配置される両シートが同じ高さを有していなければ、両シートをテープ止めすることができない。そのため、特許文献1で提案されている製本方法では、冊子の中身を構成する全てのシートをテープ止めするのではなく、粘着テープ及びインサートの2種類の接着方法を用いている。すなわち、複数枚のシートを2枚ずつテープ止めして折り丁を作製した後、折り丁同士は、テープ止めするのではなく、両面に接着剤が塗布されたインサートによって接着している。したがって、2種類の異なる接着工程を含む分だけ製本工程が複雑になってしまう。
【0009】
また、上記特許文献1で提案されているテーピング装置では、2枚のシートの端辺同士を粘着テープで貼り合わせる際に粘着テープを貼着する位置を示す指標が設けられていない。そのため、作業者は、粘着テープの貼付けをフリーハンドで行うことになる。したがって、特許文献1で提案されている製本方法では、各シートの端辺に沿って粘着テープを正確に貼り付けるのが困難であった。
【0010】
以上のような理由により、従来の製本方法では、テープ止めによる製本を簡易に行うことができなかった。
【0011】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、テープ止めによる製本を簡易に行うことができる製本機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0013】
すなわち、本発明の一側面に係る製本機は、固定面と、前記固定面に隣接して配置され、上下方向に昇降可能に構成された可動面と、前記固定面側に配置され、前記固定面上に配置されたシートを押さえる第1押さえ部材と、前記可動面側に配置され、前記可動面上に配置されたシートを押さえる第2押さえ部材と、を備え、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材とは、当該両押さえ部材に押さえられた両シートの端辺同士を粘着テープで接着可能な程度の間隔を空けて位置決めされている。
【0014】
当該構成に係る製本機では、製本する対象のシートを配置する面として、固定面と可動面とが設けられる。そのため、複数枚のシートを粘着テープで接着して冊子を形成する工程で、粘着テープで隣接するシートを接着済みの部分のかさが増えていったとしても、可動面の高さを調節することで、固定面に配置したシートと接着済みの部分との高さを一致させることができる。そのため、当該構成に係る製本機によれば、全てのシートの隣接する端辺同士を粘着テープで接着することができる。
【0015】
加えて、当該構成に係る製本機では、固定面に配置されたシートを押さえる第1押さえ部材と、可動面に配置されたシートを押さえる第2押さえ部材とは、両押さえ部材に押さえられた両シートの端辺同士を粘着テープで接着可能な程度の間隔を空けて位置決めされている。そのため、両押さえ部材の間の隙間が粘着テープを貼り付ける指標となり、作業者は、両押さえ部材の間の隙間に粘着テープを配置すれば、両シートの端辺同士を粘着テープで容易にかつ正確に接着することができる。
【0016】
以上の理由により、当該構成に係る製本機によれば、テープ止めによる製本を簡易に行うことができる。
【0017】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、上記製本機は、ロール状に巻き回された粘着テープを保持し、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材との間でスライド可能に構成されたテープホルダを更に備えてもよく、前記テープホルダは、前記両押さえ部材に押さえられた両シートの端辺に前記保持された粘着テープを圧着する第1の位置と前記保持された粘着テープから離間した第2の位置との間を移動可能な圧着アームを有してもよい。当該構成によれば、圧着アームを有するテープホルダを利用して、両押さえ部材に押さえられた両シートの端辺同士を粘着テープで接着することができる。そのため、手作業で粘着テープを貼着する場合に比べて、製本作業をより簡単に行うことができるようになる。
【0018】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記テープホルダは、前記圧着アームの前記第1の位置と前記第2の位置との間の自由な移動を抑制する抑制機構を更に有してもよい。粘着テープから離間した第2の位置から粘着テープを圧着する第1の位置に圧着アームを急激に移動させると、テープホルダに保持された粘着テープを圧着アームが余分に引張過ぎてしまい、粘着テープの貼着不良が生じてしまう可能性がある。これに対して、当該構成によれば、抑制機構により、圧着アームの急激な移動を抑制することができる。そのため、製本作業において、粘着テープの貼着不良を引き起こす可能性を低減することができる。
【0019】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記圧着アームは、前記第1の位置と前記第2の位置との間を回転移動するように軸支され、前記第1の位置では、前記保持された粘着テープを先端側で圧着するように構成されてもよく、前記抑制機構は、前記圧着アームの後端側に設けられた歯車状の凹凸部、及び当該凹凸部に噛み合うように配置されたロータリーダンパにより構成されてもよい。当該構成によれば、ロータリーダンパを利用した簡易な構成で、圧着アームの急激な移動を抑制し、製本作業において粘着テープの貼着不良を引き起こす可能性を低減することができる。なお、ロータリーダンパの種類は、圧着アームの自由な回転を抑制可能であれば、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、オイル式、摩擦式等のロータリーダンパを利用することができる。
【0020】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記テープホルダは、前記第2の位置で前記圧着アームを着脱自在に固定する固定機構を更に有してもよい。当該構成によれば、粘着テープの貼着作業を行わない間、粘着テープから離間した第2の位置に圧着アームを固定することができる。すなわち、粘着テープの貼着作業を行わない間に、圧着アームが自然と第1の位置に移動してしまうのを防ぐことができ、これによって、粘着テープが無駄に利用されてしまうのを抑制することができる。
【0021】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記固定機構は、磁石により構成されてもよい。当該構成によれば、固定機構を磁石により簡易に構成することができる。したがって、簡易な構成で、粘着テープが無駄に利用されてしまうのを抑制することができる。また、固定機構を磁石により構成することで、圧着アームの着脱を容易にすることができるため、粘着テープの取り出し作業をスムーズに行うことができる。
【0022】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記テープホルダは、前記保持された粘着テープを基材側から刃先を押し付けて切断するカッター刃を更に備えてもよく、前記カッター刃の前記刃先は、中央が凸となる三角形状であってもよい。当該構成によれば、テープホルダのカッター刃にいわゆるセンター刃を利用することで、粘着テープの切断作業を容易に行うことができるようになる。
【0023】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記可動面の前記固定面とは反対側の端部には、前記可動面を延長する延長テーブルが連結されていてもよい。当該構成によれば、可動面からはみ出すようなシートであっても、延長テーブルにより当該シートを支持することができる。そのため、当該構成によれば、可動面からはみ出すような大型のシートの製本作業を容易に行えるようになる。
【0024】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記延長テーブルは、所定以上の荷重が作用した場合に、前記可動面の端部を軸に回転可能に構成されてもよい。本発明では、可動面は、上下方向に昇降可能に構成されるため、隣接する固定面とは異なる部材で形成される。このような製本機において、固定面とは反対側に配置される延長テーブルに大きな荷重が作用すると、てこの原理により、可動面を構成する機構が固定面から離れる方向に分離してしまい、当該製本機が壊れてしまう可能性がある。これに対して、当該構成では、可動面の端部を軸に延長テーブルを回転可能にすることで、延長テーブルに大きな荷重が作用しても、可動面を構成する機構に大きな負荷が作用しないようにすることができる。そのため、当該構成によれば、延長テーブルに大きな荷重が作用することに起因して製本機が壊れてしまうのを防止することができる。
【0025】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、前記各押さえ部材の各シートを押さえる面には、1又は複数の滑り止め部材が取り付けられていてもよい。当該構成では、各押さえ部材の滑り止め部材によって、製本作業中にシートがずれるのを防止することができる。そのため、当該構成によれば、テープ止めによる製本を簡易にかつ正確に行うことができるようになる。
【0026】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、上記製本機は、粘着テープにより端辺同士を接着したシート間に配置する平板状のスペーサを更に備えてもよい。本発明では、隣接するシートの端辺同士を粘着テープで貼着するため、各シートの端辺(粘着テープの貼着した部分)と、各シートの端辺から離れた部分(粘着テープの貼着していない部分)とで、粘着テープで接着した複数枚のシートで構成される冊子の厚みが異なり得る。そのため、可動面側に配置された第2押さえ部材でこの冊子を押さえた場合に、第2押さえ部材で押さえている部分と冊子の端辺とで高さが相違し、固定面に配置したシートの端辺と冊子の端辺のシートとで高さがずれてしまう可能性がある。固定面に配置したシートの端辺と冊子の端辺のシートとで高さがずれてしまうと、両端辺を粘着テープで接着する際に、粘着テープの貼着不良を引き起こしてしまう可能性がある。これに対して、当該構成によれば、平板状のスペーサを冊子内に挟むことで、粘着テープを貼着した部分とそうでない部分との高さのずれを解消することができる。そのため、上記の理由に起因して粘着テープの貼着不良が生じるのを抑制することができる。
【0027】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、上記製本機は、基台、及び当該基台の一方向の両端部に対向するように配置された一対のカッター刃を有するカッターユニットを更に備えてもよい。製本作業では、両シートの端辺に貼着した粘着テープに、各シートの両側からはみ出した余分な部分が生じ得る。当該構成に係るカッターユニットによれば、このように各シートの両側からはみ出した余分な部分の粘着テープを、当該カッターユニットの向きを変えなくても、一方向の両端部に対向するように配置された一対のカッター刃でそれぞれ切断することができる。したがって、当該構成によれば、粘着テープの余分な部分を切断する作業を迅速に行うことができるようになる。
【0028】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、上記製本機は、製本する冊子のカバーの位置合わせを行うための一対の位置合わせ具であって、前記固定面に取り付け可能に構成され、当該カバーの厚みに対応した凹部が端部に設けられた第1の側壁と、平らな第2の側壁と、をそれぞれ有する一対の位置合わせ具を更に備えてもよい。当該構成に係る位置合わせ具によれば、凹部でカバーを押さえつつ、第1の側面で冊子の位置合わせを行うことができる。また、平らな第2の側壁を利用して、カバーの両面同士の位置合わせを行うことができる。そのため、当該構成によれば、冊子にカバーを取り付ける作業を容易にかつ正確に行うことができるようになる。
【0029】
また、上記一側面に係る製本機の別の形態として、上記製本機は、製本テープを冊子の背に貼着するための製本テープ貼着具を更に備えてもよく、前記製本テープ貼着具は平面視矩形の平板状に形成されてもよく、前記製本テープ貼着具の一面は、短手方向に少なくとも高低二段の面に分かれていてもよく、前記高段の面と前記低段の面との境界には、高低の段差に対応する高さを有する側壁が設けられていてもよく、前記製本テープの剥離紙は、当該製本テープの幅方向に2つに分割されていてもよく、前記低段の面の幅は、前記製本テープの幅よりも短く、かつ前記製本テープの前記剥離紙の一方の部分よりも長くなっていてもよい。当該構成に係る製本テープ貼着具によれば、高段の面と低段の面との境界に設けられた側壁により、製本テープの位置合わせを行うことができる。また、当該構成に係る製本テープ貼着具では、低段の面の幅は、製本テープの幅全体よりも短く、製本テープの剥離紙の一方の部分よりも長くなっている。そのため、この製本テープ貼着具を利用すれば、この剥離紙の一方の部分を剥離した後に、製本テープの一部を低段の面に貼着した上で、製本テープを所定の位置に位置合わせして貼着することができる。したがって、当該構成によれば、製本テープの貼着作業を容易にすることができるようになる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、テープ止めによる製本を簡易に行うことができる製本機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0033】
§1 構成例
まず、
図1〜
図6を用いて、本実施形態に係る製本機1の構成例について説明する。
図1〜
図4はそれぞれ、本実施形態に係る製本機1を模式的に例示する斜視図、正面図、平面図及び側面図である。また、
図5は、製本機1の各押さえ部材(13、14)を上げた状態を模式的に例示する。更に、
図6は、製本機1の各押さえ部材(13、14)を上げて、
図5の場面よりも可動面121を下げた状態を模式的に例示する。なお、
図1では、説明の便宜のため、x軸、y軸及びz軸を用いて各方向を例示している。以下では、x軸方向を前後方向(x軸正の方向を手前側)と称し、y軸方向を左右方向(y軸正の方向を左側)と称し、z軸方向を上下方向(z軸正の方向を上方向)と称することとする。
【0034】
各図に示されるとおり、本実施形態に係る製本機1は、略直方体の箱状に形成された本体部10を備えている。この本体部10の底面には、製本機1を卓上等に載置するため、4つの脚部104が設けられている。また、本体部10の左半分には、固定面111を備える固定台部11が設けられており、本体部10の右半分には、可動面121を備える昇降台ユニット12が設けられている。
【0035】
更に、固定面111上に配置したシートを押さえることができるように、略平板状に形成された第1押さえ部材13が固定面111側に配置されている。これに対して、可動面121上に配置したシートを押さえることができるように、略平板状に形成された第2押さえ部材14が可動面121側に配置されている。そして、第1押さえ部材13及び第2押さえ部材14は左右方向にやや隙間を空けて配置されており、粘着テープを保持するテープホルダ15が、前後方向にスライド可能な状態でこの隙間に配置されている。これにより、本実施形態に係る製本機1は、両押さえ部材(13、14)でそれぞれシートを押さえて、そのシートの端辺同士をテープホルダ15から繰り出した粘着テープで接着することにより、テープ止めによる製本が可能に構成されている。以下、各構成要素について説明する。
【0036】
[固定台部]
まず、固定台部11について説明する。各図に示されるとおり、固定台部11は、本体部10と一体になっており、この固定台部11の左側壁部には、固定台部11の上面を延長する延長テーブル112が連結している。固定台部11の上面と延長テーブル112の上面とは、面一になっており、上下方向に可動しない固定面111を構成している。2枚のシートの端辺同士を粘着テープで接着する際、この固定面111には、当該2枚のシートの内の一方のシートが載置される。
【0037】
なお、固定台部11の各部は、鋼板等の金属材料で形成される。ただし、固定台部11の各部の材料は、このような例に限定されなくてもよく、プラスチックなどの樹脂材料が用いられてもよい。後述する各構成要素についても同様である。また、固定台部11でシートを十分に支持可能な場合には、延長テーブル112は省略されてもよい。
【0038】
[昇降台ユニット]
次に、
図7〜
図9を更に用いて、昇降台ユニット12について説明する。
図7及び
図8はそれぞれ、本実施形態に係る昇降台ユニット12を模式的に例示する斜視図及び底面斜視図である。また、
図9は、本実施形態に係る製本機1の本体部10から昇降台ユニット12を取り除いた状態を模式的に例示する斜視図である。
【0039】
図7及び
図8に例示されるように、本実施形態に係る昇降台ユニット12は、平板状の台座部123を備えている。この台座部123は、前後方向に配置された一対の円柱状の支柱部124により底面側から支持されている。一対の支柱部124の間には、前後方向に配置された一対の側壁部1251、両側壁部1251の上方に架け渡された平板状の上壁部1252、及び両側壁部1251の下方から前後方向に延びる平板状の下壁部1253を備える基台部125が配置されている。
【0040】
上壁部1252及び下壁部1253は、各側壁部1251よりも前後方向外側に延びており、上下方向に貫通する貫通孔(後述する
図10A及び
図10B)を備えている。各側壁部1251の前後方向外側に配置される各支柱部124は、上壁部1252及び下壁部1253の貫通孔を通過しており、下端部1242で抜け止めされている。また、前後方向に配置された一対の支柱部124それぞれに対して、上壁部1252と下壁部1253との上下方向の間には、一対の板材(127、128)が配置されている。以下では、説明の便宜上、これらを第1板材127、第2板材128と称する。
【0041】
第1板材127は、上壁部1252側に配置されており、略矩形状に形成されている。第1板材127は、前後方向の一方の端部側で、側壁部1251に設けられた貫通孔に差し込まれており、上下方向に移動しないように固定されている。これに対して、第1板材127は、前後方向のもう一方の端部側で、上下方向に移動可能なように上壁部1252とばね1271を介して連結されており、このばね1271の作用により下方向の力を受けるように構成されている。
【0042】
同様に、第2板材128は、下壁部1253側に配置されており、略矩形状に形成されている。第2板材128は、前後方向の一方の端部側で、側壁部1251に設けられた貫通孔に差し込まれており、上下方向に移動しないように固定されている。これに対して、第2板材128は、前後方向のもう一方の端部側で、上下方向に移動可能なように下壁部1253とばね1281を介して連結されており、このばね1281の作用により上方向の力を受けるように構成されている。すなわち、両板材(127、128)は、同一方向の端部側で側壁部1251に差し込まれており、かつ、同一方向の端部側で各ばね(1271、1281)により各壁部(1252、1253)と連結している。
【0043】
更に、前後方向に配置された2組の両板材(127、128)それぞれの上下方向の間には、前後方向に延びる円柱状の作動棒126が、軸周りに回転可能なように、基台部125の両側壁部1251を貫通して架け渡されている。作動棒126の前側の端部には、作業者がこの作動棒126を軸周りに回転させることができるように、レバー部1262が着脱自在に取り付けられている。
【0044】
加えて、この作動棒126には、前後方向に一対の略楕円状のブロック材1261が回転不能に固定されている。すなわち、作動棒126を軸周りに回転させると、この回転に応じて各ブロック材1261も軸周りに回転する。各ブロック材1261は、各ばね(1271、1281)側で、各組の両板材(127、128)の上下方向の間に配置されている。これらによって、昇降台ユニット12は、台座部123を所望の高さで固定したり、上下方向に昇降したりすることができるように構成されている。なお、昇降台ユニット12の昇降メカニズムについては後述で詳細に説明する。
【0045】
また、
図1等に例示されるように、この台座部123の固定台部11とは反対側の端部には、台座部123の上面を延長する延長テーブル122がヒンジ部1221を介して連結している。本実施形態では、延長テーブル122に所定以上の荷重が作用した場合に、当該延長テーブル122が台座部123の端部を軸に回転可能に構成されるように、このヒンジ部1221には、例えば、スプリング蝶番、任意の角度を保持可能なフリーストップ仕様のトルクヒンジ等が利用される。台座部123の上面と延長テーブル122の上面とは、面一になっており、上下方向に昇降可能な可動面121を構成している。2枚のシートの端辺同士を粘着テープで接着する際、この可動面121には、当該2枚のシートの内の他方のシートが載置される。なお、台座部123でシートを十分に支持可能な場合には、延長テーブル122は省略されてもよい。
【0046】
図9に示されるように、本体部10の右半分には、昇降台ユニット12の大きさに対応した凹状の嵌合部105が設けられており、昇降台ユニット12は、この嵌合部105に嵌め込まれることで、固定台部11の右側に隣接した状態で本体部10に取り付けられる。これにより、昇降台ユニット12の可動面121は、固定台部11の固定面111の右側に隣接して配置される。
【0047】
(昇降メカニズム)
次に、
図10A及び
図10Bを更に用いて、昇降台ユニット12の昇降メカニズムについて説明する。
図10Aは、昇降台ユニット12のロック解除状態(すなわち、昇降可能状態)を簡略的に例示する。
図10Bは、昇降台ユニット12のロック状態(すなわち、昇降不能状態)を簡略的に例示する。なお、
図10A及び
図10Bは、前後方向手前側に配置された両板材(127、128)の状態を示しており、前後方向奥側に配置された両板材(127、128)の状態は示されていない。前後方向奥側に配置された両板材(127、128)は、前後方向手前側に配置された両板材(127、128)と同一の状態にあるとする。
【0048】
まず、ロック解除状態について説明する。昇降台ユニット12をロック解除状態にするためには、
図10Aに例示されるように、レバー部1262を操作し、作動棒126を軸周りに回転させ、各ブロック材1261の長軸方向を上下方向に向けるようにする。各ブロック材1261の長軸方向の長さは、第1板材127及び第2板材128が側壁部1251にそれぞれ固定されている位置の間の長さとほぼ一致している。
【0049】
そのため、このように作動棒126を操作すると、各板材(127、128)は、各ばね(1271、1281)の押圧方向とは反対方向に各ブロック材1261から押し返され、ほぼ水平方向に保たれる。これにより、各支柱部124は、各板材(127、128)の貫通孔(1272、1282)の内周壁に接触することなく、当該各貫通孔(1272、1282)に挿入された状態になり、上下方向に移動することができるようになる。すなわち、昇降台ユニット12は、可動面121を上下方向に昇降可能な状態になる。
【0050】
ここで、上壁部1252の上面側には、ばね1241が配置されており、台座部123は、このばね1241から上方向の力を受けている。そのため、台座部123に何ら下向きの力をかけない状態では、このばね1241の作用によって、台座部123は、最も高い位置に配置される。したがって、作業者は、台座部123にかける下向きの力の大きさを調節することで、可動面121の上下方向の高さを調節することができる。なお、本実施形態に係る台座部123は、この状態で昇降台ユニット12を本体部10に取り付けた場合に、
図5に示されるように、台座部123の上面(可動面121)と固定面111とが面一になるように位置決めされている。
【0051】
次に、ロック状態について説明する。昇降台ユニット12をロック状態にするためには、
図10Bに例示されるように、レバー部1262を操作し、作動棒126を軸周りに回転させ、各ブロック材1261の短軸方向を上下方向に向けるようにする。各ブロック材1261の短軸方向の長さは、各ばね(1271、1281)に押圧されて両板材(127、128)の間の間隔が短くなった状態でも、各板材(127、128)に各ブロック材1261)が接触しない程度の長さになっている。
【0052】
そのため、このように作動棒126を操作すると、各板材(127、128)は、各ブロック材1261と各ばね(1271、1281)とにより水平方向に向きを固定された状態から解放される。換言すると、各板材(127、128)は、各ばね(1271、1281)により押圧され、水平方向から傾いた状態になる。そうすると、各支柱部124は、各板材(127、128)の貫通孔(1272、1282)の内周壁に接触し、上下方向に自由に移動することができなくなる。
【0053】
より詳細には、両板材(127、128)は、同一方向の端部側で側壁部1251に固定されており、第1板材127は上方向からばね1271に押圧され、第2板材128は下方向からばね1281に押圧される。そのため、第1板材127と第2板材128とは異なる方向に傾く。
図10Bの例では、第1板材127は手前側に傾いており、第2板材128は奥側に傾いている。そのため、第1板材127の内周壁から支柱部124に作用する力と第2板材128の内周壁から支柱部124に作用する力とは異なる方向(互いに対向する方向)を向くことになり、これらの力によって、両板材(127、128)は、上下方向に移動不能に支柱部124を保持する。
【0054】
本実施形態に係る昇降台ユニット12は、上記のような操作により、可動面121を昇降可能な状態(ロック解錠状態)と、可動面121を昇降不能な状態(ロック状態)とに切り替えることができる。作業者は、製本作業において、可動面121の高さを変更する際には昇降台ユニット12をロック解除状態にし、可動面121の高さを固定する際には昇降台ユニット12をロック状態にする。これにより、可動面121の高さを調節しながら、冊子内の隣接するシートの端辺同士を粘着テープで接着することができるようになる。当該製本作業は後述で詳細に説明する。
【0055】
[押さえ部材]
次に、各押さえ部材(13、14)について説明する。第1押さえ部材13は、平板状に形成されており、固定面111側に配置されている。この第1押さえ部材13は、
図1等に示されるように、下ろした状態で固定面111上に配置されたシートを押さえることができるように位置決めされている。本実施形態では、第1押さえ部材13は、固定面111の前後方向に架け渡されるように延びており、かつ、固定面111の右側の端部よりやや左側に位置している。また、第1押さえ部材13は、奥側の端部で本体部10に支持されており、
図1及び
図5に示されるとおり、当該端部を軸に回転可能に構成されている。
【0056】
図1及び
図3に示されるとおり、第1押さえ部材13の上面には、前後方向に延びるレール部132が設けられており、このレール部132の左側には複数の凸部133が設けられている。このレール部132には、後述するテープホルダ15が取り付けられる。そのため、第1押さえ部材13は、第2押さえ部材14よりも重くなり、上下方向に移動させ辛くなる可能性がある。そこで、本実施形態では、第1押さえ部材13の手前側の端面に、当該操作のための略角型リング状の持ち手部135が取り付けられている。
【0057】
また、
図5及び
図6に示されるとおり、第1押さえ部材13の下面、すなわち、シートを押さえる面には、6つの滑り止め部材131が整列して取り付けられている。各滑り止め部材131は、例えば、ゴム材である。ただし、滑り止め部材131の配置及び数は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。滑り止め部材131の数は、1つであってもよいし、2〜5つであってもよいし、7つ以上であってもよい。なお、滑り止め部材131は省略されてもよい。
【0058】
一方、第2押さえ部材14は、平板状に形成されており、可動面121側に配置されている。この第2押さえ部材14は、
図1等に示されるように、下ろした状態で可動面121上に配置されたシートを押さえることができるように位置決めされている。本実施形態では、第2押さえ部材14は、可動面121の前後方向に架け渡されるように延びており、かつ、可動面121の左側の端部よりやや右側に位置している。また、第2押さえ部材14は、奥側の端部で本体部10に支持されており、
図1及び
図5に示されるとおり、当該端部を軸に回転可能に構成されている。
【0059】
図5及び
図6に示されるとおり、第2押さえ部材14の下面、すなわち、シートを押さえる面には、第1押さえ部材13と同様に、6つの滑り止め部材141が整列して取り付けられている。各滑り止め部材141は、例えば、ゴム材である。ただし、滑り止め部材141の配置及び数は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。滑り止め部材141の数は、1つであってもよいし、2〜5つであってもよいし、7つ以上であってもよい。滑り止め部材141の数と滑り止め部材131の数とは相違してもよい。なお、滑り止め部材141は省略されてもよい。
【0060】
また、第2押さえ部材14の下面の手前側の端部には、略矩形状の凹部142が設けられている。この凹部142に対応して、本体部10の手前側の端部には、略矩形状に突出する爪部103が設けられている。第2押さえ部材14の凹部142及び本体部10の爪部103は適宜位置合わせされており、第2押さえ部材14を下ろした状態にしたときに、当該爪部103が当該凹部142に着脱自在に係止するように構成されている。これにより、第2押さえ部材14は、爪部103を凹部142に係止させることで、下ろした状態(例えば、
図1)で固定することができる。
【0061】
なお、上記のとおり、第1押さえ部材13と第2押さえ部材14とは、左右方向に隙間を空けて配置される。詳細には、第1押さえ部材13と第2押さえ部材14とは、両押さえ部材(13、14)に押さえられた両シートの端辺同士を粘着テープで接着可能な程度の間隔を空けて位置決めされている。そのため、本実施形態では、両押さえ部材(13、14)で両シートを押さえた状態で、テープホルダ15に保持されたロールから繰り出した粘着テープを両シートの端辺に貼着することができる。
【0062】
[テープホルダ]
次に、
図11及び
図12を更に用いて、テープホルダ15について説明する。
図11及び
図12はそれぞれ、本実施形態に係るテープホルダ15の正面及び背面を模式的に例示する。
【0063】
図11及び
図12に例示されるように、本実施形態に係るテープホルダ15は、ロール状に巻き回された粘着テープ16(以下、「ロール16」とも記載する)を保持するための略円筒状のベース部152を備えている。ベース部152は、底面の略中央から面直方向に延びる軸1521を有しており、当該ベース部152の底面とは反対方向から円環状のリール部1522が取り付けられている。これにより、ベース部152とリール部1522とは、ロール16を軸1521周りに回転可能に挟持している。なお、リール部1522には、このリール部1522が軸1521から外れないように、円盤状の側板部材1523が取り付けられている。
【0064】
また、ベース部152の外周壁は、下方手前側で部分的に開放されており、この開放された部分の下方側には、やや上方に突出する仮保持部1524が設けられている。そのため、ベース部152に保持されたロール16から繰り出した粘着テープ161をこの開放された部分からベース部152の外側に排出することができる。加えて、粘着テープ161の貼付け作業を行わない場合には、当該粘着テープ161の端部を仮保持部1524に貼着させ、次の貼り付け作業に備えることができる。
【0065】
図12に示されるように、このベース部152の背面側の下方には、テープホルダ15をレール部132に取り付けるための連結部151が設けられている。連結部151は、凹溝状のレール部132に沿ってスライド可能に固定されるように適宜構成されている。これにより、テープホルダ15は、両押さえ部材(13、14)の間でスライド可能に構成されている。すなわち、両押さえ部材(13、14)の間の隙間の上方にベース部152が配置され、ベース部152に保持されたロール16から両押さえ部材(13、14)の間の隙間に向けて粘着テープ161を繰り出すことができる。
【0066】
また、ベース部152の背面側には、圧着アーム153が設けられている。この圧着アーム153は、軸1521周りに回転可能に支持されており、これにより、ベース部152の外周壁を軸1521周りに回転移動可能に構成されている。この圧着アーム153の先端側には、ローラー部1531が設けられている。ローラー部1531の軸は、軸1521と同じ方向に延びている。
図1等に例示されるように、圧着アーム153を軸1521周りに下方に回転移動させると、ローラー部1531は、粘着テープ161に基材側から接触して、当該粘着テープ161を接着対象の方に押し付ける。これにより、圧着アーム153は、粘着テープ161を先端側で圧着するように構成されている。
【0067】
すなわち、圧着アーム153をこの状態にしたままテープホルダ15を前後方向にスライドさせることで、ローラー部1531は、回転しながら粘着テープ161を接着対象に押し付けて、当該接着対象に粘着テープ161を貼り付けることができる。なお、両押さえ部材(13、14)それぞれでシートを押さえ付けている場合には、この接着対象は、両押さえ部材(13、14)それぞれに押さえられたシートの端辺同士である。つまり、この粘着テープ161を圧着するときの圧着アーム153の位置は、本発明の「第1の位置」に相当する。
【0068】
一方、
図11及び
図12に例示されるように、圧着アーム153を軸1521周りに上方に回転移動させると、ローラー部1531を粘着テープ161から離間させることができる。この粘着テープ161からローラー部1531が離間したときの圧着アーム153の位置は、本発明の「第2の位置」に相当する。
【0069】
また、本実施形態では、この第2の位置で圧着アーム153を着脱自在に固定する固定機構が設けられている。具体的には、この固定機構は、圧着アーム153の側壁に設けられた磁石部1532とベース部152の外周壁に設けられた磁石部1525とにより構成されている。各磁石部(1525、1532)は、圧着アーム153が第2の位置に配置されているときに接触するように適宜位置合わせされている。これにより、
図11及び
図12に例示されるように、圧着アーム153を軸1521周りに上方に回転させることで、圧着アーム153の磁石部1532とベース部152の磁石部1525とを接着させ、圧着アーム153を第2の位置で着脱自在に固定することができる。したがって、本実施形態では、圧着アーム153のローラー部1531により粘着テープ161を圧着しないときに、圧着アーム153が第1の位置の方に回転移動しないようにすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、圧着アーム153の第1の位置と第2の位置との間の自由な移動を抑制する抑制機構が設けられている。具体的には、圧着アーム153の後端は円弧状に形成されており、この後端には歯車状の凹凸部1533が設けられている。また、ベース部152の背面側には、軸1521と同じ方向の軸周りに回転可能にロータリーダンパ155が取り付けられており、このロータリーダンパ155は、圧着アーム153の凹凸部1533に噛み合うように配置されている。抑制機構は、この圧着アーム153の後端側に設けられた凹凸部1533と当該凹凸部1533に噛み合うロータリーダンパ155とによって構成される。
【0071】
すなわち、圧着アーム153が、第1の位置から第2の位置に又は第2の位置から第1の方向に回転移動する際に、このロータリーダンパ155が凹凸部1533を介してこの圧着アーム153の回転移動にブレーキをかける。これによって、本実施形態では、圧着アーム153の第1の位置と第2の位置との間の自由な移動を抑制することができる。なお、ロータリーダンパ155の種類は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、ロータリーダンパ155として、オイル式、摩擦式等のロータリーダンパを利用することができる。
【0072】
更に、
図12に例示されるように、本実施形態では、圧着アーム153のローラー部1531と磁石部1532との間に、カッター部154が設けられている。カッター部154は、押圧部1541と、この押圧部1541の下端に連結されたカッター刃1542と、を備えている。
【0073】
このカッター部154は、内部に取り付けられたばね(不図示)から、カッター刃1542を圧着アーム153の内部に収納する方向に力を受けている。そのため、カッター部154を操作していない状態、すなわち、押圧部1541に人為的に力を加えていない状態では、
図12に例示されるように、押圧部1541が圧着アーム153から突出し、カッター刃1542は圧着アーム153内に内蔵されている。
【0074】
一方、圧着アーム153の内部に押し込むように押圧部1541に力を加えると、ばねの弾性力に逆らってカッター部154を移動させることができ、これによって、押圧部1541とは反対側からカッター刃1542を突出させることができる。このカッター刃1542の突出量は、圧着アーム153で粘着テープ161を圧着している際にカッター刃1542で粘着テープ161を切断できる程度に適宜設定される。
【0075】
すなわち、ローラー部1531で粘着テープ161を圧着している際にこの操作を行うと、カッター刃1542の刃先が粘着テープ161に基材側から押し付けられる程度に、カッター部154は、圧着アーム153の側壁から突出する。そのため、本実施形態に係るカッター部154によれば、圧着アーム153による粘着テープ161の圧着操作を行っている際に、押圧部1541を押圧することで、カッター刃1542を圧着アーム153から突出させ、粘着テープ161を圧着している部分からロール16側で切断することができる。
【0076】
また、本実施形態に係るカッター刃1542の刃先は中央が凸となる三角形状に形成されている。すなわち、カッター刃1542は、いわゆるセンター刃である。これによって、カッター刃1542の刃先が粘着テープ161の幅方向の略中央から接触し、粘着テープ161がカッター刃1542の刃先から逃げ難いようにすることができる。そのため、本実施形態では、粘着テープ161の切断をスムーズに行うことができる。なお、粘着テープ161の接着工程にテープホルダ15を利用しない場合には、当該テープホルダ15は省略されてもよい。
【0077】
[付属品]
次に、本実施形態に係る製本機1の付属品について説明する。本実施形態に係る製本機1は、上記の他、付属品として、スペーサ17、カッターユニット18、位置合わせ具19、及び製本テープ貼着具20を備えている。以下、各付属品について説明する。なお、これらの付属品は、利用しない場合には、省略されてもよい。
【0078】
<スペーサ>
まず、
図13を用いて、スペーサ17について説明する。
図13は、本実施形態に係るスペーサ17を模式的に例示する斜視図である。本実施形態に係る製本機1では、隣接するシートの端辺同士を粘着テープで接着するため、粘着テープの接着を繰り返していくと、複数枚のシートで構成される冊子の粘着テープで接着している部分とそうでない部分とで厚みの違いが生じる。スペーサ17は、この厚みの違いを解消するために利用される。具体的には、スペーサ17は、平板状に形成されている。スペーサ17の長さは、可動面121上に配置された複数枚のシートの間に配置しやすいように、可動面121の前後方向の長さとほぼ同じである。また、スペーサ17の厚みは、上記厚みの違いを解消する分に応じて適宜設定されている。使用時には、このスペーサ17は、粘着テープにより端辺同士を接着したシート間に配置される。これにより、スペーサ17の厚みの分だけ、粘着テープで接着している部分とそうでない部分との厚みの違いを解消することができる。
【0079】
<カッターユニット>
次に、
図14を用いて、カッターユニット18について説明する。
図14は、本実施形態に係るカッターユニット18を模式的に例示する斜視図である。本実施形態に係るカッターユニット18は、隣接するシートの端辺同士を接着した粘着テープの余分な部分を切断するために利用される。具体的には、カッターユニット18は、略矩形状の基台181と、基台181の上面左側に取り付けられた持ち手部182と、基台181の上面右側で前後方向の両端部に対向するように配置された一対のカッター刃(183、184)を備えている。テープ止めによる製本では、各シートの天及び地の両側で粘着テープの余分な部分が生じ得る。このカッターユニット18によれば、カッターユニット18の向きを変えなくても、それぞれの端部で発生した粘着テープの余分な部分を各カッター刃(183、184)によって切断することができる。
【0080】
<位置合わせ具>
次に、
図15を用いて、位置合わせ具19について説明する。
図15は、本実施形態に係る位置合わせ具19を模式的に例示する斜視図である。本実施形態に係る位置合わせ具19は、複数枚のシートをテープ止めして形成した冊子にハードカバー等の厚めのカバーを取り付けるために利用される。具体的には、位置合わせ具19は、略直方体状に形成されており、カバーの厚みに対応した凹部1911が端部に設けられている第1の側壁191と、平らな第2の側壁192と、を有している。この位置合わせ具19には磁石が内蔵されている。そのため、位置合わせ具19は、固定面111に着脱自在に取り付けることができる。この位置合わせ具19の使用方法については後述する。
【0081】
<製本テープ貼着具>
次に、
図16を用いて、製本テープ貼着具20について説明する。
図16は、本実施形態に係る製本テープ貼着具20を模式的に例示する斜視図である。製本テープ貼着具20は、製本テープに冊子の背に貼着するために利用される。具体的には、製本テープ貼着具20は、平面視矩形の平板状に形成される。製本テープ貼着具20の表側の面は、右側から順に、第1低段面202、第1高段面201、及び第2低段面203に分かれている。第1高段面201と第1低段面202との境界には、これらの面の高低の段差に対応する高さを有する第1側壁206が設けられている。また、第1高段面201と第2低段面203との境界には、これらの面の高低の段差に対応する高さを有する第2側壁207が設けられている。更に、製本テープ貼着具20の裏側の面は、短手方向に、第2高段面204と第3低段面205とに分かれており、第2高段面204と第3低段面205との境界には、これらの面の高低の段差に対応する高さを有する第3側壁208が設けられている。この製本テープ貼着具20の使用方法については後述する。
【0082】
§2 使用例
次に、本実施形態に係る製本機1の使用例について説明する。本実施形態に係る製本機1による製本工程は、隣接するシートの端辺同士を粘着テープで接着する接着工程、及び当該接着工程を繰り返して、複数枚のシートで構成された冊子を形成する冊子形成工程に分けることができる。また、冊子を形成した後には、当該形成した冊子にカバーを取り付けてもよいし、当該形成した冊子の背を製本テープで綴じてもよい。カバーの取り付けは、上記位置合わせ具19を2つ用いて行うことができる。また、形成した冊子の背を製本テープで綴じる工程は、上記製本テープ貼着具20を用いて行うことができる。以下、各工程について説明する。
【0083】
<接着工程>
まず、
図17A〜
図17Fを用いて、本実施形態に係る製本機1を利用して、隣接するシート3の端辺同士を粘着テープ161で接着する工程(接着工程)を説明する。
図17A〜
図17Fは、本実施形態に係る製本機1を利用してシート3の端辺同士を粘着テープ161で接着する過程を簡略的に示す。
【0084】
最初に、端辺同士を粘着テープ161で接着する2枚のシート3を用意する。ここで、同じ厚みの2枚のシート3の端辺同士を粘着テープ161で接着する際には、昇降台ユニット12を操作して、固定面111と可動面121との高さを合わせる。一方、見返し紙と中身の紙とのように、2枚のシート3の厚みが異なる場合には、後述する冊子形成工程と同様の方法で可動面121の高さを調節する。本使用例では、説明の便宜のため、各シート3は同じ厚みを有しているとする。
【0085】
次に、
図17Aに例示されるように、両押さえ部材(13、14)を上げた状態にし、一方のシート3を固定面111側に配置し、他方のシート3を可動面121側に配置する。このとき、各面(111、121)と本体部10の手前側の端部とは段差101が設けられているため、この段差101を利用して、両シート3の位置合わせを行うことができる。
【0086】
次に、
図17Bに例示されるように、各押さえ部材(13、14)を下ろして、各押さえ部材(13、14)で各シート3を押さえる。このとき、本実施形態では、各押さえ部材(13、14)の下面には滑り止め部材(131、141)が設けられているため、各押さえ部材(13、14)で各シート3を押さえている間に当該各シート3がずれ難くなっている。
【0087】
次に、テープホルダ15を手前側にスライドさせ、ロール16から粘着テープ161を繰り出す。ここで、本実施形態に係る本体部10には、両押さえ部材(13、14)の隙間より手前側に位置決めブロック102が設けられている。そのため、ロール16から繰り出した粘着テープ161の端部をこの位置決めブロック102に貼着することで、粘着テープ161の位置合わせを行うことができる。
【0088】
次に、
図17B及び
図17Cに例示されるように、テープホルダ15を手前側から奥側にスライドさせて、両シート3の端辺に粘着テープ161を貼り付ける。具体的には、圧着アーム153を第1の位置に回転移動させ、ローラー部1531で粘着テープ161を押し付けている状態にした上で、テープホルダ15をスライドさせる。これにより、両シート3の端辺に粘着テープ161を容易に貼り付けることができる。
【0089】
なお、圧着アーム153が急激に移動可能になっていると、当該操作の際に、ローラー部1531が粘着テープ161を接着する長さ以上に繰り出してしまい、これに起因して、粘着テープ161の貼着不良を引き起こしてしまう可能性がある。これに対して、本実施形態では、ロータリーダンパ155及び凹凸部1533の作用によって、圧着アーム153の回転移動にはブレーキがかかるようになっている。そのため、本工程において、粘着テープ161の貼着不良が生じる可能性を低減することができる。
【0090】
また、本実施形態では、テープホルダ15がスライドするレール部132に隣接して複数の凸部133が設けられており、この凸部133には、レール部132に左右方向にまたがって矩形状のブロック材134が取り付けることができるようになっている。このブロック材134により、テープホルダ15のスライド範囲を規制することができる。すなわち、このブロック材134によって、両シート3を超えて余計に粘着テープ161を繰り出さないようにすることができる。なお、各凸部133は、各シート3の寸法に応じて、テープホルダ15のスライド範囲が設定されるように適宜配置されている。
【0091】
テープホルダ15をブロック材134に接触するまでスライドさせた後、圧着アーム153を第1の位置に配置したままで、カッター部154の押圧部1541を押圧する。これによって、カッター刃1542を圧着アーム153の内部から突出させ、カッター刃1542で粘着テープ161を切断する。なお、カッター刃1542の刃先は中央が凸となる三角形状に形成されているため、カッター刃1542の刃先は粘着テープ161の幅方向の略中央から接触し、粘着テープ161がカッター刃1542の刃先から逃げ難いようになっている。そのため、本実施形態では、この粘着テープ161の切断作業をスムーズに行うことができる。
【0092】
カッター部154を操作して粘着テープ161を切断した後には、圧着アーム153を第2の位置まで引き上げて、圧着アーム153の磁石部1532をベース部152の磁石部1525に接着させる。これにより、圧着アーム153を第2の位置で固定することができ、次の操作まで、圧着アーム153が第1の位置に自然に移動してしまうのを防ぐことができる。また、次の操作の際に、圧着アーム153の固定を容易に解除することができるため、粘着テープ161の取り出し作業をスムーズに開始することができる。
【0093】
次に、
図17D及び
図17Eに例示されるように、両押さえ部材(13、14)を上げて、両シート3の端辺の天及び地の両側にはみ出した粘着テープ161の余分な部分を、カッターユニット18を利用して切断する。具体的には、作業者は、カッターユニット18の端辺を各シート3の端辺に沿うように配置する。そして、作業者は、一方の手で持ち手部182を把持し、他方の手で粘着テープ161の端部を把持して、粘着テープ161の余分な部分をいずれかのカッター刃(183、184)に押し付けるようにして切断する。
【0094】
このとき、カッターユニット18には、一方向の両端部に対向するように一対のカッター刃(183、184)が配置されているため、カッターユニット18の向きを変えることなく、天及び地の両側にはみ出した粘着テープ161の余分な部分を切断することができる。例えば、
図17D及び
図17Eの例では、カッターユニット18の向きを変えることなく、一方のカッター刃183で奥側にはみ出した粘着テープ161の余分な部分を切断し(
図17D)、他方のカッター刃184で手前側にはみ出した部分を切断する(
図17E)ことができる。そのため、本実施形態に係るカッターユニット18によれば、この粘着テープ161の余分な部分の切断作業を迅速に行うことができる。
【0095】
以上の工程により、
図17Fに示されるように、両シート3の端辺同士を粘着テープ161で容易且つ正確に接着することができる。なお、シート3及び粘着テープ161の種類は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、シート3には、インクジェット用両面写真用紙を用いることができる。また、粘着テープ161には、アクリル系粘着剤をポリエステル系フィルム基材に塗布した粘着テープを用いることができる。また、固定面111及び可動面121の寸法は、各シート3の寸法に応じて、適宜決定されてよい。
【0096】
<冊子形成工程>
次に、
図18A〜
図18Dを用いて、本実施形態に係る製本機1を利用して、複数枚のシート3で構成される冊子30を形成する工程(冊子形成工程)を説明する。
図18A〜
図18Dは、本実施形態に係る製本機1を利用して冊子30を形成する過程を簡略的に示す。
【0097】
図18Aに示されるとおり、同じ厚みの2枚のシート3を接着する際には、昇降台ユニット12を操作して、台座部123を最も高い位置に配置し、固定面111と可動面121とを同じ高さにする。しかしながら、
図18B〜
図18Dに示されるとおり、同じ厚みのシート3を利用しても、複数枚のシート3を接着させていくと、それまでに形成した冊子30の厚みと当該冊子30に接着するシート3の厚みは相違する。
【0098】
そこで、本実施形態に係る冊子形成工程では、上記接着工程により、2枚のシート3を接着した後には、
図18Bに例示されるように、固定面111側のシート3を可動面121側のシート3の方に折り畳み、冊子30を閉じた状態にする。次に、
図18Cに例示されるように、昇降台ユニット12をロック解除状態にして、シート3の厚みよりやや大きめに可動面121を下方に移動させる。そして、第2押さえ部材14を下ろして、爪部103を凹部142に係止させ、第2押さえ部材14を固定する。更に、可動面121を上方に移動させて、第2押さえ部材14で冊子30を押さえる。この状態で昇降台ユニット12をロック状態にして、可動面121の高さが変動しないようにする。
【0099】
次に、冊子30の最上位のシート3に接着するシート3を固定面111にセットし、第1押さえ部材13を下ろして、当該第1押さえ部材13でシート3を押さえる。このとき、両押さえ部材(13、14)の高さは一致しているため、固定面111側のシート3の端辺と可動面121側の冊子30の最上位のシート3の端辺とはほぼ同じ高さになっている。そのため、上記接着工程を実施することで、これらの端辺同士を粘着テープ161で接着することができる。
【0100】
図18Dに示されるように、これにより接着したシート3を再度可動面121側の冊子30(シート3)の方に折り畳み、これらの作業をページ数分だけ繰り返す。これによって、隣接するシート3の端辺同士をテープ止めしたレイフラットタイプの冊子30を作製することができる。
【0101】
なお、
図18B及び
図18Dに示されるように、冊子30では、粘着テープ161で接着している部分とそうでない部分とで厚みが相違し得る。また、両押さえ部材(13、14)の間で粘着テープ161を接着するため、第2押さえ部材14は粘着テープ161の接着していない部分で冊子30を押さえる。そのため、上記
図18Cに示すように、第2押さえ部材14で冊子30を押さえた際に、冊子30の最上位のシート3の端辺が、固定面111側に配置されたシート3の端辺よりも粘着テープ161の厚みの分だけ高くなってしまい、これらのシート3の端辺同士を粘着テープ161で正確に接着できない可能性がある。これに対して、本実施形態では、上記スペーサ17を利用することで、このような厚みの相違を解消することができる。
【0102】
図19は、上記製本工程においてスペーサ17を利用する場面を簡略的に示す。
図19に示すとおり、冊子30では、粘着テープ161で接着している部分R1とそうでない部分R2とで厚みが相違する。そこで、隣接するシート3間の部分R2の領域にスペーサ17を挟み込む。特に、第2押さえ部材14の下方に位置するようにスペーサ17を配置する。
【0103】
これによって、スペーサ17の厚みの分だけ、部分R2の厚みを増すことができ、部分R1と部分R2との厚みの差を低減することができる。すなわち、第2押さえ部材14で冊子30を押さえた時に、粘着テープ161の接着している部分R1だけがその他の部分R2よりも盛り上がってしまうのを防ぐことができる。そのため、このスペーサ17を利用すれば、粘着テープ161の接着している部分R1とそうでない部分R2との厚みの差を解消することができ、固定面111側に配置されたシート3を可動面121側に配置された冊子30の最上位のシート3に正確に接着させることができる。なお、利用するスペーサ17の数及び配置は、粘着テープ161の厚み、スペーサ17の厚み等に応じて適宜選択されてよい。
【0104】
<カバー取り付け工程>
次に、
図20A〜
図20Cを用いて、本実施形態に係る位置合わせ具19を利用して冊子30にカバー4を取り付ける工程を説明する。
図20A〜
図20Cは、本実施形態に係る位置合わせ具19を利用して冊子30にカバー4を取り付ける過程を簡略的に示す。
【0105】
まず、
図20Aに例示されるように、カバー4を固定面111上に配置する。そして、カバー4の端辺に沿って、一対の位置合わせ具19を配置する。
図20Aの例では、一方の位置合わせ具19をカバー4の手前側の端辺に配置し、他方の位置合わせ具19をカバー4の左側の端辺に配置している。
【0106】
このとき、
図20Bに例示されるように、各位置合わせ具19の凹部1911にカバー4の端辺が嵌まるように、各位置合わせ具19を配置する。つまり、第1の側壁191をカバー4の方に向けて、各位置合わせ具19をカバー4の端辺に沿って配置する。これにより、両位置合わせ具19でカバー4を押さえることができ、また、各位置合わせ具19の第1の側壁191をカバー4に対して冊子30を配置する指標として利用することができる。なお、本実施形態では、上記のとおり、各位置合わせ具19には磁石が内蔵されているため、この磁石の作用によって、固定面111上に各位置合わせ具19を固定することができる。
【0107】
次に、
図20Bに例示されるように、上記冊子形成工程により形成した冊子30の表側及び裏側それぞれに見返し用両面粘着シート41を接着する。そして、冊子30の端辺が、各位置合わせ具19の第1の側壁191に接触するようにして、冊子30の位置合わせを行い、一方の見返し用両面粘着シート41を介して一方の表紙部分側で、冊子30をカバー4に接着する。
【0108】
次に、
図20Cに例示されるように、各位置合わせ具19を取り外し、向きを変えて、各位置合わせ具19を再度カバー4の端辺に沿って配置する。具体的には、第2の側壁192をカバー4の方に向けて、各位置合わせ具19をカバー4の端辺に沿って配置する。第2の側壁192は、平らに形成されているため、カバー4の端辺の位置の指標として利用することができる。
【0109】
そこで、各位置合わせ具19を再度配置した後には、カバー4の他方の表紙部分側を折り返して、このカバー4の他方の表紙部分の端辺が各位置合わせ具19の第2の側壁192に接触するようにして、両部分の端辺が一致するようにカバー4の両部分の位置合わせを行い、他方の見返し用両面粘着シート41を介して当該他方の表紙部分側で、冊子30をカバー4に接着する。
【0110】
以上の工程により、
図20Cに示されるように、冊子30にカバー4を容易にかつ正確に取り付けることができる。なお、カバー4及び見返し用両面粘着シート41の種類は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、カバー4の材料には、厚紙、樹脂、アルミニウム等の金属が用いられてもよい。また、これに応じて、凹部1911の寸法は、カバー4の位置合わせが可能なように適宜設定されてよい。例えば、凹部1911の寸法は、段差が3mmになるように設定されてもよい。
【0111】
<製本テープ取り付け工程>
次に、
図21A、
図21B、及び
図22A〜
図22Dを用いて、本実施形態に係る製本テープ貼着具20を利用して、冊子30の背を製本テープ5で綴じる工程を説明する。
図21A及び
図21Bは、本実施形態で利用する製本テープ5を模式的に例示する。また、
図22A〜
図22Dは、本実施形態に係る製本テープ貼着具20を利用して冊子30の背を製本テープ5で綴じる過程を簡略的に示す。
【0112】
まず、
図21A及び
図21Bを用いて、冊子30の背を綴じるために利用する製本テープ5について説明する。
図21A及び
図21Bに示されるように、本実施形態で利用する製本テープ5は、基材51、粘着層52、及び剥離紙53がこの順で積層している。そして、剥離紙53は、幅方向に2つの部分(531、532)に分割されている。このような製本テープ5には、例えば、ニチバン社のBK−25(25mm幅)、BK−35(35mm幅)等を用いることができる。
【0113】
次に、
図22A〜
図22Dを用いて、製本テープ貼着具20を利用して、製本テープ5を冊子30の背に接着する工程について説明する。まず、冊子30の背表紙に十分な長さの製本テープ5を用意し、剥離紙53の一方の部分を剥離する。
図22Aの例では、右側の部分531を剥離しているが、左側の部分532を剥離してもよい。以下、説明の便宜のため、本ステップでは、右側の部分531を剥離したとして説明する。
【0114】
次に、剥離紙53の残っている部分532を製本テープ貼着具20の方に向け、剥離紙53を第1低段面202の方に向けて、製本テープ5を製本テープ貼着具20の第1側壁206に沿わせて配置する。このとき、第1低段面202の幅は、製本テープ5の幅より短く、かつ剥離紙53の一方の部分531よりも長くなっている。そのため、
図22Aに例示されるように、第1低段面202の端部で製本テープ5を部分的に接着するようにし、製本テープ貼着具20上で製本テープ5がずれてしまうのを防ぐことができる。
【0115】
次に、
図22Bに例示されるように、製本テープ5が部分的に第1低段面202に接着した状態で、第1低段面202側の端辺が冊子30の背に接触するように製本テープ貼着具20を冊子30の背に沿わせて配置する。そして、冊子30の一方の表紙になるシート3の端辺に製本テープ5の第1低段面202の端辺から突出した部分を貼り付ける。
【0116】
次に、
図22Cに例示されるように、製本テープ貼着具20を取り外す。そして、冊子30の背に沿って製本テープ5を折り曲げ、製本テープ5に折り目を付ける。また、冊子30の天及び地の両側からはみ出した製本テープ5の余分な部分をはさみ等で切断する。そして、剥離紙53の他方の部分532を剥離して、製本テープ5を折り目に沿って折り曲げ、冊子30の他方の表紙になるシート3の板辺に製本テープ5の他方の部分を貼り付ける。
【0117】
以上の工程により、
図22Dに示されるように、冊子30の背に製本テープ5を容易にかつ正確に貼り付けることができる。なお、上記工程では、製本テープ貼着具20の第1低段面202を利用したが、第2低段面203又は第3低段面205を利用してもよい。本実施形態に係る製本テープ貼着具20は、このように3つの低段面(202、203、205)を備えているため、各低段面(202、203、205)の幅方向の長さを変えることで、様々なサイズの製本テープ5に対応することができる。
【0118】
ここで、各低段面(202、203、205)の幅方向の長さは、製本テープ5の各部分(531、532)の幅方向の長さと各低段面(202、203、205)に製本テープ5を接着するのりしろの長さとに応じて設定される。例えば、製本テープ5の幅方向の長さが25mmであり、各部分(531、532)の幅方向の長さが12.5mmである場合に、1.5mmののりしろを設けるためには、いずれかの低段面(202、203、205)の幅方向の長さを14mmに設定すればよい。ただし、のりしろが長すぎると一方の表紙側に接着する製本テープ5の幅が短くなってしまう。反対に、のりしろが短すぎると製本テープ貼着具20に製本テープ5が接着しなくなってしまう。この観点から、幅寸法が25mmの製本テープ5を利用する場合には、のりしろが1.5mm程度に設定されるように、各低段面(202、203、205)の幅方向の長さを、製本テープの剥離紙の左右いずれかの部分の幅方向の長さよりも1.5mm程度長くなるように設定するのが望ましい。また、幅寸法が35mmの製本テープ5を利用する場合には、のりしろが6.5mm程度に設定されるように、各低段面(202、203、205)の幅方向の長さを、製本テープの剥離紙の左右いずれかの部分の幅方向の長さよりも6.5mm程度長くなるように設定するのが望ましい。つまり、一方の表紙側に接着する製本テープ5の貼りしろ部分を11mm程度確保するように、各低段面(202、203、205)の幅寸法を設定するのが好ましい。
【0119】
[特徴]
以上のとおり、本実施形態に係る製本機1によれば、複数枚のシート3を接着済みの部分(冊子30)のかさが増えていったとしても、上記接着工程及び冊子形成工程のとおりに可動面121の高さを調節することで、固定面111上に配置したシート3の高さと可動面121上に配置した冊子30の最上位のシート3の高さを一致させることができる。そのため、本実施形態に係る製本機1によれば、全てのシート3の隣接する端辺同士を粘着テープ161で接着することができる。加えて、両押さえ部材(13、14)の間の隙間が粘着テープ161を貼り付ける指標となるため、両シート3の端辺同士を粘着テープ161で容易にかつ正確に接着することができる。したがって、本実施形態によれば、テープ止めによる製本を簡易に行うことができる。
【0120】
また、本実施形態では、可動面121を構成する昇降台ユニット12に延長テーブル122が連結されている。この延長テーブル122が回転不能に台座部123に連結されていると、延長テーブル122に作用した荷重が昇降台ユニット12に直接伝わり、昇降台ユニット12が本体部10の嵌合部105から外れる方向に変形し、製本機1が故障してしまう可能性がある。これに対して、本実施形態では、ヒンジ部1221を介して台座部123に延長テーブル122が連結していることで、延長テーブル122は、所定以上の荷重が作用した場合に、台座部123の端部を軸に回転可能に構成されている。そのため、延長テーブル122に大きな荷重が作用しても、延長テーブル122が軸周りに回転することで、この荷重が昇降台ユニット12に直接伝わらないようにし、製本機1が故障するのを防ぐことができる。
【0121】
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、上記製本機1の各構成要素に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてもよい。また、上記製本機1の各構成要素の形状及び大きさも、実施の形態に応じて適宜決定されてもよい。
【0122】
例えば、上記実施形態では、昇降台ユニット12は、2組の一対の板材(127、128)及びブロック材1261により、ロック状態とロック解除状態とを取り得るように構成されている。しかしながら、昇降台ユニット12は、このような構成に限定されなくてもよく、可動面121の高さを調節可能であれば、実施の形態に応じて適宜構成されてよい。例えば、可動面121を昇降可能に構成するために、公知のスライドレール等が用いられてもよい。なお、上記実施形態では、各ブロック材1261は略楕円状に形成されている。しかしながら、各ブロック材1261の形状は、一方に長く他方に短い形状であれば、楕円状でなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0123】
また、例えば、上記実施形態では、第1押さえ部材13の上面に、テープホルダ15がスライドするためのレール部132が設けられている。しかしながら、レール部132の配置は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、第2押さえ部材14の上面にレール部132が設けられてもよい。
【0124】
また、例えば、上記実施形態では、ロータリーダンパ155と凹凸部1533とによって、圧着アーム153の自由な移動を抑制する抑制機構が構成されている。しかしながら、抑制機構の構成は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、抑制機構には、圧着アーム153の回転軸に摩擦をかける部材が用いられてもよい。
【0125】
また、例えば、上記実施形態では、一対の磁石部(1525、1532)によって、圧着アーム153を第2の位置で着脱自在に固定する固定機構が構成されている。しかしながら、固定機構の構成は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、固定機構には、爪部103及び凹部142の係合による機構、プランジャ及び孔の嵌め合いによる機構等が用いられてもよい。
【0126】
また、例えば、上記実施形態では、カッター刃1542の刃先は中央が凸となる三角形状に形成されている。しかしながら、カッター刃1542の刃先の形状は、このような例に限定されなくてもよく、粘着テープ161を切断可能であれば、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、カッター刃1542は、平刀、印刀、丸刃等であってもよい。
【0127】
また、例えば、上記実施形態では、製本テープ貼着具20は、表面側に2つの低段面(202、203)を備え、裏面側に1つの低段面205)を備えている。しかしながら、製本テープ貼着具20は、少なくとも一方の面で、短手方向(幅方向)に少なくとも高低二段の面に分かれていればよい。すなわち、製本テープ貼着具20の一方の面に、少なくとも1つの低段面と少なくとも1つの高段面とが形成されているのであれば、製本テープ貼着具20の他方の面は平らに形成されていてもよい。