【実施例】
【0085】
以下の実施例及び比較例において、第4工程における限外濾過は、旭化成ケミカルズ(株)製「マイクローザ」、型式ACV-3010D(分画分子量13000)を用いて行い、第5工程における限外濾過は、旭化成ケミカルズ(株)製「マイクローザ」、型式ACP-1010D(分画分子量13000)を用いて行った。
【0086】
また、以下の実施例及び比較例において、(安定化)酸化ジルコニウム粒子分散液の粒度分布、粘度及び全光線透過率、(安定化)酸化ジルコニウム粒子の水スラリー又は分散液の塩素イオン濃度は以下のようにして測定した。
粒度分布
動的光散乱式粒径・粒度分布測定装置(日機装(株)製UPA−UT)を用いて、D50、D90及びDmaxを測定した。尚、D50、D90及びDmaxは体積基準での数値である。
粘度
音叉型振動式SV型粘度計(エー・アンド・デイ(株)製SV−1A(測定粘度範囲0.3〜1000mPa・s)にて測定した。
全光線透過率
ヘーズメーター(日本電色工業(株))製NDH4000)を用いて、光路長10mmのセルにイオン交換水を充填して標準校正を行い、同様にセルに分散液を充填して光線透過率を測定した。尚、全光線透過率が50%以上の場合を分散液及び分散液前駆体が透明であるとした。
塩素イオン濃度
自動滴定装置(平沼産業(株)製TS−2000)を用いて、得られた水スラリー及び分散液に対して硝酸銀を添加し、沈殿滴定により塩素イオンを測定した。
分散液の長期保存安定性の評価
分散液を製造し、これを温度25℃にて24か月保管したときの粘度増加量が20mPa・s以下であるときを「○」(長期保存安定性にすぐれる)とし、分散液を製造し、これを温度25℃にて24か月保管したときの粘度増加量が20mPa・sを越えるとき、又は既にゲル化しているときを「×」(長期保存安定性に劣る)とした。
【0087】
実施例1
(安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−1)の製造)
第1工程
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.03モル/L濃度の塩化イットリウムの混合水溶液900Lと1.9モル/L濃度の水酸化カリウム水溶液680Lを調製した。予め、純水820Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの混合水溶液と水酸化カリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムを同時中和にて共沈させて、ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第1の水スラリーを得た。得られた第1の水スラリーのpHは、9.3であった。
【0088】
第2工程
上記第1の水スラリーを濾過し、水洗濾液の電気伝導度が10μS/cm以下となるまで洗浄し、純水に再度、リパルプして、上記ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第2の水スラリーを得た。上記第2の水スラリーに酢酸42kg(上記第2の水スラリー中のジルコニウムとイットリウムの合計量1モル部に対して1.3モル部)を加え、固形分含有率がジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量にて7.5重量%である第3の水スラリー600Lを得た。
【0089】
上記第3の水スラリーの塩素イオン濃度は400ppmであった。上記第3の水スラリーにおいて、その塩素イオン濃度に基づいて算出したジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量に対する塩素含有率は5330ppmであった。
【0090】
第3工程
上記第3の水スラリーを190℃で3時間、水熱処理して、イットリウムを含む固溶体である安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を得た。
【0091】
第4工程
上記安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、安定化酸化ジルコニウム粒子濃度30.0重量%、塩素イオン濃度560ppmである安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−1)を得た。この安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液において、その塩素イオン濃度に基づいて算出した安定化酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素含有率は1870ppmであった。
【0092】
(安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−1)の製造)
第5工程
上記安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−1)10kgを限外濾過膜を用いて濃縮し、このようにして得られた濃縮分散液に得られた濾液量と等量のメタノールを投入して、分散液の濃縮とメタノールによる希釈を連続的に且つ同時に並行して行うことによって、分散液中の安定化酸化ジルコニウム粒子濃度を30重量%に維持しつつ、分散液の分散媒を水からメタノールに置換して、安定化酸化ジルコニウム粒子濃度30.3重量%、塩素イオン濃度550ppmの安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−1)を得た。この際、希釈に用いたメタノール量は90Lであった。
【0093】
上記安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−1)において、その塩素イオン濃度に基づいて算出した安定化酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素含有率は1820ppmであった。
【0094】
実施例2〜6
実施例1の第1工程において、表1に示す濃度の水酸化カリウム水溶液を用いて、表1に示すpHを有する第1の水スラリーを得た以外は、実施例1と同様にして、安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−2)〜(I−6)を得、更に、それを用いて、安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−2)〜(II−6)を得た。
【0095】
実施例7
(酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−7)の製造)
第1工程
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウム水溶液900Lと1.6モル/L濃度の水酸化カリウム水溶液680Lを調製した。予め、純水820Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウム水溶液と水酸化カリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムを同時中和にて沈殿させて、酸化ジルコニウム粒子を含む第1の水スラリーを得た。得られた第1の水スラリーのpHは、8.7であった。
【0096】
第2工程
上記第1の水スラリーを濾過し、水洗濾液の電気伝導度が10μS/cm以下となるまで洗浄した後、純水に再度、リパルプして、上記酸化ジルコニウム粒子を含む第2の水スラリーを得た。上記第2の水スラリーに酢酸42kg(上記第2の水スラリー中のジルコニウム1モル部に対して1.4モル部)を加え、固形分含有率が酸化ジルコニウム換算の重量にて7.5重量%である第3の水スラリー600Lを得た。
【0097】
上記第3の水スラリーの塩素イオン濃度は950ppmであった。従って、上記第3の水スラリーにおいて、その塩素イオン濃度に基づいて算出した酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素含有率は12670ppmであった。
【0098】
第3工程
上記第3の水スラリーを190℃で3時間、水熱処理して、酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を得た。
【0099】
第4工程
上記酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、酸化ジルコニウム粒子濃度31.2重量%、塩素イオン濃度1320ppmの酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−7)を得た。
【0100】
上記酸化ジルコニウム粒子水分散液において、その塩素イオン濃度に基づいて算出した酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素含有率は4230ppmであった。
【0101】
(酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−7)の製造)
第5工程
上記酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−7)10kgを限外濾過膜を用いて濃縮し、このようにして得られた濃縮分散液に得られた濾液量と等量のメタノールを投入して、分散液の濃縮とメタノールによる希釈を連続的に且つ同時に並行して行うことによって、分散液中の酸化ジルコニウム粒子濃度を30重量%に維持しつつ、分散液の分散媒を水からメタノールに置換して、酸化ジルコニウム粒子濃度30.9重量%、塩素イオン濃度1260ppmの酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−7)を得た。この際、希釈に用いたメタノール量は90Lであった。
【0102】
上記酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液において、その塩素濃度に基づいて算出した酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素含有率は4080ppmであった。
【0103】
実施例8及び9
実施例1の第1工程において、表1に示す濃度の水酸化カリウム水溶液を用いて、表1に示すpHを有する第1の水スラリーを得た以外は、実施例1と同様にして、安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−8)〜(I−9)を得、更に、それを用いて安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−8)〜(II−9)を得た。
【0104】
このようにして得られた安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−8〜II−9)を温度25℃で28か月間保管したときの粘度はいずれも4mPa・sであった。
【0105】
実施例10
実施例7の第1工程において、表1に示す濃度の水酸化カリウム水溶液を用いて、表1に示すpHを有する第1の水スラリーを得た以外は、実施例7と同様にして、酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−10)を得た。
【0106】
このようにして得られた酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−10)を温度25℃にて密栓して、50か月にわたって保管したときの水分散液の粘度は温度25℃において7mPa・sであった。
【0107】
また、上記水分散液(I−10)を用いて、酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−10)を得た。このメタノール分散液を温度25℃にて密栓して、44か月にわたって保管したときの粘度は温度25℃において2mPa・sであった。
【0108】
実施例11
(安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−11)の製造)
第1工程
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.03モル/L濃度の塩化イットリウムの混合水溶液900Lと1.9モル/L濃度の水酸化カリウム水溶液680Lを調製した。予め、純水820Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの混合水溶液と水酸化カリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムを同時中和にて共沈させて、ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第1の水スラリーを得た。得られた第1の水スラリーのpHは、9.3であった。
【0109】
第2工程
上記第1の水スラリーを濾過し、水洗濾液の電気伝導度が10μS/cm以下となるまで洗浄して、純水にリパルプして、上記ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第2の水スラリーを得た。上記第2の水スラリーに酢酸42kg(上記第2の水スラリー中のジルコニウムとイットリウムの合計量1モル部に対して1.3モル部)を加え、固形分含有率がジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量にて7.5重量%である第3の水スラリー600Lを得た。
【0110】
上記第3の水スラリーの塩素イオン濃度は510ppmであった。上記第3の水スラリーにおいて、上記塩素イオン濃度に基づいて算出したジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量に対する塩素イオン含有率は6800ppmであった。
【0111】
第3工程
上記第3の水スラリーを190℃で3時間、水熱処理して、イットリウムを含む固溶体である安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を得た。
【0112】
第4工程
上記安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を限外濾過膜にて洗浄、濃縮して、上記安定化酸化ジルコニウム粒子濃度30.5重量%、塩素イオン濃度710ppmの安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−11)を得た。この水分散液において、上記塩素イオン濃度に基づいて算出した安定化酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素イオン含有率は2330ppmであった。
【0113】
上記安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液を温度25℃で41か月間保管したときの粘度は8mPa・sであった。
【0114】
実施例12
(安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−12)の製造)
第1工程
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.03モル/L濃度の塩化イットリウムの混合水溶液900Lと1.9モル/L濃度の水酸化カリウム水溶液680Lを調製した。予め、純水820Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの混合水溶液と水酸化カリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムを同時中和にて共沈させて、ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第1の水スラリーを得た。得られた第1の水スラリーのpHは、9.2であった。
【0115】
第2工程
上記第1の水スラリーを濾過し、水洗濾液の電気伝導度が10μS/cm以下となるまで洗浄して、純水に再度、リパルプして、上記ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第2の水スラリーを得た。上記第2の水スラリーに酢酸42kg(上記第2の水スラリー中のジルコニウムとイットリウムの合計量1モル部に対して1.3モル部)を加え、固形分含有率がジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量にて7.5重量%である第3の水スラリー600Lを得た。
【0116】
上記第3の水スラリーの塩素イオン濃度は660ppmであった。上記第3の水スラリーにおいて、上記塩素イオン濃度に基づいて算出した安定化酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素イオン含有率は8800ppmであった。
【0117】
第3工程
上記第3の水スラリーを190℃で3時間、水熱処理して、安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液の前駆体を得た。
【0118】
第4工程
上記安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液の前駆体を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、安定化酸化ジルコニウム粒子濃度30.0重量%、塩素イオン濃度920ppmの安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−12)を得た。この水分散液において、上記塩素イオン濃度に基づいて算出した安定化酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素イオン含有率は3070ppmであった。
【0119】
上記安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液を温度25℃で51か月間保管したときの粘度は、9mPa・sであった。
【0120】
比較例1
(安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−A)の製造)
第1工程
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.03モル/L濃度の塩化イットリウムの混合水溶液900Lと1.9モル/L濃度の水酸化カリウム水溶液680Lを調製した。予め、純水820Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの混合水溶液と水酸化カリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムを同時中和にて共沈させて、ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第1の水スラリーを得た。得られた第1の水スラリーのpHは、9.7であった。
【0121】
第2工程
上記第1の水スラリーを濾過し、水洗濾液の電気伝導度が10μS/cm以下となるまで洗浄して、純水に再度、リパルプして、上記ジルコニウムとイットリウムの共沈物の粒子を含む第2の水スラリーを得た。上記第2の水スラリーに酢酸42kg(上記第2の水スラリー中のジルコニウムとイットリウムの合計量1モル部に対して1.3モル部)を加え、固形分含有率がジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量にて7.5重量%である第3の水スラリー600Lを得た。
【0122】
上記第3の水スラリーの塩素イオン濃度は140ppmであった。上記第3の水スラリーにおいて、その塩素濃度に基づいて算出したジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量に対する塩素イオン含有率は1870ppmであった。
【0123】
第3工程
上記第3の水スラリーを190℃で3時間、水熱処理して、安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を得た。
【0124】
第4工程
上記安定化酸化ジルコニウム粒子の透明な水分散液前駆体を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、安定化酸化ジルコニウム粒子濃度30.4重量%、塩素イオン濃度190ppmである安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−A)を得た。この安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液において、その塩素イオン濃度に基づいて算出したジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量に対する塩素含有率は630ppmであった。
【0125】
(酸化ジルコニウム微粒子のメタノール分散液(II−A)の製造)
第5工程
上記安定化酸化ジルコニウム粒子水分散液(I−A)10kgを限外濾過膜を用いて濃縮し、このようにして得られた濃縮分散液に得られた濾液量と等量のメタノールを投入して、分散液の濃縮とメタノールによる希釈を連続的に且つ同時に並行して行うことによって、分散液中の安定化酸化ジルコニウム粒子濃度を30重量%に維持しつつ、分散液の分散媒を水からメタノールに置換して、安定化酸化ジルコニウム粒子濃度30.4重量%、塩素濃度220ppmの安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液(II−A)を得た。この際、希釈に用いたメタノール量は90Lであった。
【0126】
上記安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液において、その塩素イオン濃度に基づいて算出した安定化酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素イオン含有率は720ppmであった。このようにして得られた安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液は製造して7日後にはゲル化して、流動性を失った。
【0127】
上記実施例7及び10で得られた酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液からメタノールを除去、乾燥し、かくして、得られた酸化ジルコニウム微粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は約5nmであった。
【0128】
上記実施例1〜6、8、9、11、12及び比較例1で得られたイットリウムを含む固溶体である安定化酸化ジルコニウム粒子メタノール分散液からメタノールを除去、乾燥し、かくして、得られた安定化酸化ジルコニウム粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、安定化酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は約3nmであった。
【0129】
上記実施例及び比較例において、オキシ塩化ジルコニウム(と塩化イットリウム)(酸)の(混合)水溶液を水酸化カリウム(アルカリ)で中和したときの酸に対するアルカリのモル過剰度を表1に示す。ここに、上記モル過剰度とは、上記中和反応において用いたアルカリのモル量/用いた酸のモル量の比によって表される。
【0130】
オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの水酸化カリウムによる中和反応の化学式は次式のとおりである。
ZrOCl
2 + 2KOH → ZrO(OH)
2 + 2KCl …(1)
YCl
3 + 3KOH → Y(OH)
3 + 3KCl …(2)
従って、酸に対するアルカリのモル過剰度Eは、次式によって求めることができる。
E=K/(2Z+3Y)…(3)
ここに、Kは用いた水酸化カリウムのモル量、Zは用いたオキシ塩化ジルコニウムのモル量、Yは用いた塩化イットリウムのモル量を表す。
【0131】
上記実施例1〜12及び比較例1において、第1工程で用いた水酸化カリウム水溶液濃度、第1工程で得られた第1の水スラリーのpH、第2工程で得られた第2の水スラリーの塩素イオン濃度とその塩素イオン濃度に基づいて算出した塩素イオン含有率(Cl/ZrO
2)を表1に示す。但し、実施例7及び10においては、酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素イオン含有率であり、実施例1〜6、8、9、11、12及び比較例1においては、ジルコニウムとイットリウムの酸化物換算の合計重量に対する塩素イオン含有率である。
【0132】
また、実施例1〜12及び比較例1において得られた(安定化)酸化ジルコニウム粒子水分散液の(安定化)酸化ジルコニウム粒子濃度、pH、電気伝導度、粒度分布、全光線透過率、塩素イオン濃度と共に、(安定化)酸化ジルコニウム粒子水分散液において、上記塩素イオン濃度に基づいて算出した(安定化)酸化ジルコニウム粒子の重量に対する塩素イオン含有率(Cl/ZrO
2)、製造直後の水分散液の25℃における粘度及び水分散液の長期保存安定性の評価の結果を表2に示す。
【0133】
更に、実施例1〜10及び比較例1において得られた酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液の濃度、粒度分布、全光線透過率、塩素イオン濃度と共に、その塩素イオン濃度に基づいて算出した(安定化)酸化ジルコニウム粒子に対する塩素イオン含有率(Cl/ZrO
2)、水分量、製造直後の25℃における粘度、製造して7日後の粘度及び長期保存安定性の評価の結果を表3に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
本発明の方法に従って得た(安定化)酸化ジルコニウム粒子水分散液は、実施例1〜12に示すように、微細な酸化ジルコニウム粒子を高濃度にて含んでいても、高透明性と低粘度を有し、そのうえ、温度25℃にて24か月保管したときの粘度増加量が20mPa・s以下であって、長期保存安定性に著しくすぐれている。特に、好ましい態様によれば、40か月以上保管しても、その25℃における粘度は、製造直後と実質的に変わらず、長期保存安定性に極めてすぐれている。
【0138】
更に、本発明の方法に従って得た(安定化)酸化ジルコニウム粒子水分散液の分散媒である水を有機溶媒に置換して得られる有機溶媒分散液も、実施例1〜10に示すように、水分散液と同様に、微細な酸化ジルコニウム粒子を高濃度で含んでいても、高透明性と低粘度を有し、そのうえ、温度25℃にて24か月保管したときの粘度増加量が20mPa・s以下であって、長期保存安定性に著しくすぐれている。特に、好ましい態様によれば、40か月以上保管しても、その25℃における粘度は、製造直後と実質的に変わらず、長期保存安定性に極めてすぐれている。