(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665989
(24)【登録日】2020年2月25日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】真空ポンプを含む真空グリッパーユニット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20200302BHJP
F04F 5/20 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
B25J15/06 F
F04F5/20 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-545980(P2018-545980)
(86)(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公表番号】特表2019-511374(P2019-511374A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】KR2017001246
(87)【国際公開番号】WO2017159986
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2018年9月13日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0030778
(32)【優先日】2016年3月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515306105
【氏名又は名称】ヴイテック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ホ−ヨン
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−218099(JP,A)
【文献】
特表2010−521611(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2009−0131617(KR,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1019948(KR,B1)
【文献】
欧州特許出願公開第2574796(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
F04F 1/00 − 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に共通真空チャンバ(14)が形成された垂直型ボディ(11)と;
前記ボディの左側面及び右側面に水平的に平行に配置され、前記ボディ(11)とは別個の装着空間を提供する円筒形部材であって、構造的には、外部から見て、中央部分を連結する前記ボディ(11)を含んで全体として「H」形に形成され、向かい合って対向する各一側に前記共通真空チャンバと連通可能な通路(15)を有する第1及び第2装着筒(12a、12b)と;
前記ボディ(11)の下部に前記共通真空チャンバ(14)と連通するように連結された吸着パッド(13)と;
を含み、
前記第1装着筒(12a)の内部には、圧縮空気の供給及び排出の際に前記共通真空チャンバ(14)を排気して真空が形成されるように動作する真空ポンプ(16)が挿入装着され;
前記第2装着筒(12b)の内部には、選択的に、前記真空ポンプ(16)が挿入装着されるか、或いは前記真空ポンプの動作停止の際に前記共通真空チャンバ(14)に空気が流入するように開放されるリリースバルブ(20)が挿入装着されること;
前記第2装着筒(12b)には、前記真空ポンプ(16)が挿入装着される時、前記ボディ(11)の一側には、前記共通真空チャンバ(14)を経由せずに第1装着筒(12a)と第2装着筒(12b)との間を連結する分配路(39)が形成され、いずれか一方の装着筒(12aまたは12b)に印加された圧縮空気が2つの装着筒(12a、12b)及び真空ポンプ(16)の全てへ供給されるようにすること;
を特徴とする、真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項2】
前記真空ポンプ(16)は、
一端が圧縮空気流入口(17)であり、他端が排出口(18)であり、側壁には前記共通真空チャンバ(14)と連通可能にする通孔(19)が形成されたパイプ型真空ポンプであって;
前記圧縮空気流入口(17)側が第1装着筒(12a)の前方挿入口(23)を介して後方エア供給口(24)と連通するように挿入される方法で第1装着筒(12a)内に装着され、同じ方法で第2装着筒(12b)内にも装着できることを特徴とする、請求項1に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項3】
前記リリースバルブ(20)は、
圧縮空気の圧力有無に応じて、スプリング(21)に支持されたピストン(22)が開放側または閉鎖側に移動して、前記共通真空チャンバ(14)への空気流入を制御するバルブであって;
ピストン(22)の端部が第2装着筒(12b)の前方挿入口(23)を介して後方エア供給口(24)を開閉するように挿入されることにより第2装着筒(12b)内に装着されること;を特徴とする、請求項1に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項4】
前記吸着パッド(13)は、
前記ボディ(11)の下端に着脱可能に結合されるリップホルダー(31)と、
前記リップホルダー(31)の下部に連結され、対象物(P)の表面に接触するスカート型リップ(32)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項5】
前記吸着パッド(13)は、
対象物(P)の表面の異物をフィルタリングするために、前記リップホルダー(31)の内周に挿入装着されるフィルタ要素(43)をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項6】
前記第1装着筒(12a)及び第2装着筒(12b)の前方挿入口(23)には、前記装着された真空ポンプ(16)及びリリースバルブ(20)を支持してその離脱を防止する仕上げ材(25、26)が嵌め込まれて提供されることを特徴とする、請求項1に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項7】
前記第1及び第2装着筒(12a、12b)のうち、真空ポンプ(16)が装着された装着筒(「12a」または「12a、12b」)の仕上げ材(25)は、その内部に真空ポンプ(16)の排出口(18)側が挿入されるようにしながら、前記装着筒(「12a」または「12a、12b」)の前方挿入口(23)に挿入される中空状サイレンサーであることを特徴とする、請求項6に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項8】
C形のクリップ(27)が前方挿入口(23)側の外面の溝条(28)に弾力的に挿入されて装着され、その一部が溝条(28)の孔(29)に侵入して仕上げ材(25、26)の外面の顎部(30)に係止されるようにして、仕上げ材(25、26)の分解の際には、まず前方挿入口(23)側から前記クリップ(27)を除去するようにしたことを特徴とする、請求項6または7に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項9】
前記ボディ(11)は、
前記真空グリッパーユニットを外部ブラケットに固定するための手段として、上面の中央に形成されたねじ溝(34)と、上面の外側に形成された一つ以上の固定凹溝(35)または突起を含むことを特徴とする、請求項1に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【請求項10】
前記第1装着筒(12a)または第2装着筒(12b)の他の一側には、真空及び負圧の解除の際に共通真空チャンバ(14)に空気を供給するためのリリースポート(38)が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の真空ポンプを含む真空グリッパーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速の圧縮空気により発生する負圧を用いて対象物を把持するために使用される真空グリッパーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、真空グリッパーシステムは、中空状のボディと、前記ボディの下端に連通して結合されるパッドと、前記ボディの上側または一側にホースで接続される真空ポンプとを含んでなる。前記パッドが対象物に接触した状態で高速の圧縮空気が真空ポンプを通過するとき、パッド内の空気がボディ及びホースを経由してポンプの内部に誘引され、圧縮空気と一緒にポンプの外部へ排出される。この際、パッド内には負圧が発生すると同時に、この負圧によりその対象物が把持されるのである。この把持された対象物は、自動化システムなどによって、決められた場所へ移送される。
【0003】
このようなグリッパーシステムは、依然として有効に用いられているが、実際には設計や配線などにおいて複雑な問題を持っている。このため、前記ボディの内部に真空ポンプを装着することにより比較的コンパクトに改善された真空グリッパー装置が提案されたことがあるが、韓国公開特許第10−2009−0131617号公報及び米国特許第7540309号明細書に開示されている真空装置がその例である。
【0004】
図1を参照すると、前者のグリッパー装置1は、「T」タイプの中空状ボディ2を中心に、下部には吸着パッド3が結合され、一側には真空ポンプ4が装着され、他側には圧縮空気供給ホール5が形成されたものである。前記圧縮空気の圧力によって動作するリリースバルブ6が前記ホール5の下方に配置される。ちなみに、後者の装置は、単に、前記バルブ6が「+」タイプのボディの上方に配置されるという差異があるだけで、実質的には前者の装置1と同様のものであるから、ここでは別途図示しない。図面において、符号7はサイレンサーである。
【0005】
通常の真空グリッパーシステムの場合と同様に、前記パッド3が対象物Pに接触した状態で高速の圧縮空気が真空ポンプ4を通過するとき、パッド3内の空気がボディ2を経由してポンプ4の内部に誘引され、圧縮空気と一緒にポンプ4の外部へ排出される。この時、パッド3内に負圧が発生するとともに、この負圧により対象物Pが把持されるのである。一方、供給された圧縮空気の一部が前記バルブ6を圧迫し続けることによりリリースバルブ6は閉じており、このため、ポンプ4の内部は真空が維持できる。
【0006】
例えば、対象物Pの移送が終わって圧縮空気の供給が中断されると、リリースバルブ6はスプリングの圧力で開放される。すると、外部空気がボディ2の内部に流入しながら装置内の真空及び負圧は破棄され、グリッパー装置1は、対象物Pから分離された後に次のグリップ工程のために準備される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0131617号公報
【特許文献2】米国特許第7540309号明細書
【特許文献3】韓国登録特許第1303740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来のグリッパー装置1は、ボディ2に吸着パッド3、真空ポンプ4、リリースバルブ6などを装着するように設計されている。よって、伝統的な方式に比べて、真空グリッパーシステムの設計及び実現がコンパクトに行われるという利点があるといえる。しかし、これには:
第一に、前記グリッパー装置1を構成する各要素3、4、6を「T」タイプまたは「+」タイプのボディ2の各方向に締結しなければならないことにより、その組立及び分解が不便であって生産性が低下するしかない問題;
第二に、特に前記真空ポンプ4が別個の装着空間なしでボディ2に直接装着されることにより、供給される圧縮空気による圧力がボディ2及びパッド3側に直接伝達されてグリップ信頼度が低下する問題;
第三に、前記ボディ2を中心とした要素3、6間の配置アンバランスにより、パッド3のグリップ状態に影響を与える問題;
第四に、現場によっては真空の迅速または解除の迅速のための要素の選択、変換、適用などが必要な場合があるが、これに関する対策が全くないことにより自体的に使用上の限界を持つ問題;などがある。
【0009】
本発明は、前述した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、真空ポンプを含むコンパクトタイプの装置において、特に各要素の組立及び分解が容易であり、圧縮空気による真空応答速度おおびグリップ信頼度が向上し、要素間の配置バランスを満足させる真空グリッパーユニットを提供することにある。本発明の他の目的は、現場の必要に応じて装着要素を選択することができるようにすることにより適用性に優れた真空グリッパーユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態において、真空グリッパーユニットは、
内部に共通真空チャンバが形成された垂直型ボディと;
前記ボディの左側面及び右側面に水平的に平行に配置され、前記ボディとは別個の装着空間を提供する円筒形部材であって、構造的には、外部から見て、中央部分を連結する前記ボディを含んで全体として「H」形に形成され、向かい合って対向する各一側に前記共通真空チャンバと連通可能な通路を有する第1及び第2装着筒と;
前記ボディの下部に前記共通真空チャンバと連通するように連結された吸着パッドと;
を含み、
前記第1装着筒の内部には、圧縮空気の供給及び排出の際に前記共通真空チャンバを排気して真空が形成されるように動作する真空ポンプが挿入装着され;
前記第2装着筒の内部には、選択的に、前記真空ポンプが挿入装着されるか、或いは前記真空ポンプの動作停止の際に前記共通真空チャンバに空気が流入するように開放されるリリースバルブが挿入装着されること;
を特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記第2装着筒の内部には前記真空ポンプが挿入装着され、この時、前記ボディの一側には、真空チャンバを経由せずに第1装着筒と第2装着筒との間を連結する分配路が形成され、いずれか一方の装着筒に印加された圧縮空気が2つの装着筒及び真空ポンプの全てへ供給されるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の真空グリッパーユニットは、真空ポンプを含むコンパクトタイプの真空グリッパー装置である。特に、共通真空チャンバを提供する垂直型ボディの外側面にボディとは別個の装着空間を提供し、構造的には、外部から見て、中央部分を連結する前記ボディを含んで全体として略「H」形に平行に構成される2つの装着筒を備えることにより、
1)前記真空ポンプ及びリリースバルブの組立及び分解が容易であるのはもとより;
2)ボディとは別個の真空ポンプ装着空間を提供して、圧縮空気が直接前記ボディに圧力または衝撃を与えないことによりグリップ信頼度が向上し;
3)前記ボディの左・右要素間の配置バランス及びそれによるパッドグリップの安定性を提供する;
などの効果がある。
【0013】
4)一方、前記装着筒のうち、いずれか一方には必ず真空ポンプを装着するが、もう一方には実施形態によってリリースバルブまたは真空ポンプを装着することにより、作業上必要とされる「破棄の迅速」または「真空の迅速」に効果的に対応することができる;
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の第1実施形態に係る真空グリッパーユニットの外形図である。
【
図3】
図2の真空グリッパーユニットの分解斜視図である。
【
図7】
図2の真空グリッパーユニットの真空グリップ作用図である。
【
図8】
図2の真空グリッパーユニットの解除作用図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る真空グリッパーユニットの断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る真空グリッパーユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以上に記載された若しくは記載されていない本発明の「真空ポンプを含む真空グリッパーユニット」(以下、「真空グリッパーユニット」という。)の特徴及び作用効果は、以下で添付図面を参照して説明する実施形態の記載からさらに明らかになるだろう。
図2以下の図面において、本発明に係る真空グリッパーユニットが実施形態によって符号「10a」、「10b」、「10c」と表示されている。
【0016】
<第1実施形態>
図2乃至
図6を参照すると、本発明の真空グリッパーユニット10aは、垂直型ボディ11と、前記ボディ11の左側面及び右側面にそれぞれ一体に形成され、前記ボディ11とは別個の装着空間を提供する円筒形の第1及び第2装着筒12a、12bと、前記ボディ11の下部に連結された吸着パッド13とを含んでなる。図示の如く、前記ボディ11は、内部に共通真空チャンバ14が形成された断面逆U字形であり、吸着パッド13は、前記真空チャンバ14と連通するように構成される。
【0017】
具体的に、前述した第1及び第2装着筒12a、12bは、水平的に平行に配置されることにより、構造的には、外部から見て、中央を連結する前記ボディ11を含んで全体として「H」形に形成され、互いに向かい合って対向する各一側には、前記ボディ11内の前記共通真空チャンバ14と連通可能にする通路15を含む。本実施形態において、第1装着筒12aの内部には真空ポンプ16が装着され、第2装着筒12bの内部にはリリースバルブ20が装着される。
【0018】
前記真空ポンプ16は、一端が圧縮空気流入口17であり、反対側の他端が排出口18であり、側壁には前記真空チャンバ14と連通可能にする通孔19が形成されたパイプ型真空ポンプである。前記リリースバルブ20は、圧縮空気の圧力有無に応じて、スプリング21に支持されたピストン22が開放側または閉鎖側に移動して共通真空チャンバ14への空気流入を制御するバルブである。但し、このように構成されて作用する前記真空ポンプ16及びリリースバルブ20自体が、本発明または本実施形態で特別なものではない。
【0019】
また、本発明の各実施形態において、前記リリースバルブ20は、圧縮空気の供給に伴う圧力によってピストン22が一方向に移動して開放され、圧縮空気の供給が中断されると、スプリング21の圧力によって反対方向に移動して閉鎖される構造で設計されている。これとは異なり、
図1に示したバルブ6構造のように、圧縮空気の供給に伴う圧力によってピストン22が一方向に移動して閉鎖され、圧縮空気の供給が中断されると、スプリング21の圧力によって反対方向に移動して開放される構造で設計されることも可能であろう。
【0020】
前記真空ポンプ16は、圧縮空気流入口17側が第1装着筒12aの前方挿入口23を介して後方エア供給口24に連通するように挿入されることにより第1装着筒12a内に装着でき、前記リリースバルブ20も同様に、ピストン22の端部が第2装着筒12bの前方挿入口23を介して後方エア供給口24を開閉するように挿入されることにより第2装着筒12b内に装着できる。
【0021】
また、前記第1装着筒12a及び第2装着筒12bの前方には、前記装着された真空ポンプ16及びリリースバルブ20を支持してその離脱を防止する仕上げ材25、26が嵌め込まれて提供される。この時、前記仕上げ材25、26の強固な結合のために、略「C」形のクリップ27が提供されるが、前記クリップ27は、前方挿入口23側の外面の溝条28に弾力的に挿入されて装着され、その一部が溝条28の孔29に侵入して仕上げ材25、26の外面の顎部30に係止される。
【0022】
したがって、分解の際には、前方挿入口23側から前記クリップ27を取り外した後、仕上げ材25、26、真空ポンプ16及びリリースバルブ20を分離することができるようにする。好ましくは、前記第1装着筒12aの仕上げ材25は、その内部に、前記真空ポンプ16の排出口18側が挿入されるように形成された陥凹部41を含み、第2装着筒12bの仕上げ材26は、その内部に前記リリースバルブ20が挿入されるように形成された陥凹部42を含む。さらに好ましくは、前記第1装着筒12aの仕上げ材25は中空状サイレンサーである。
【0023】
前記吸着パッド13は、ボディ11の下部に前記真空チャンバ14と連通するように連結され、下端部がグリップ対象物Pの表面に接触する。具体的には、前記吸着パッド13は、ボディ11の下端に結合されるベローズタイプのリップホルダー31と、前記リップホルダー31の下部に分離型または一体型で連結され、対象物Pの表面に接触するスカート型リップ32とを含む。符号33は、分離型で提供された前記リップホルダー31とリップ32との接触部分を圧着するリング状のクランプである。このクランプ33を用いて、前記吸着パッド13は、リップホルダー31とリップ32との間に配置され且つその上端と下端がそれぞれリップホルダー31及びリップ32に結合される一つ以上のミドルベローズをさらに含んでもよい。
【0024】
本実施形態として示された前記吸着パッド13の構造は、各要素31、32、33が分離可能に結合される構造であって、これは、韓国登録特許第1303740号公報に開示されているものと相違しない。図示の如く、ここで、前記吸着パッド13は、対象物Pの表面の汚れや異物をフィルタリングするために、リップホルダー31の内周に嵌め込まれて装着されるフィルタ要素43を含む。ただし、本発明は、前述した吸着パッド13の具体的な構成に限定されるものではない。
【0025】
一方、前記真空グリッパーユニット10aは、自動化移送システムに最適に連結されるようにするための手段をさらに含む。この手段として、前記ボディ11は、上面の中央に形成されたねじ溝34と、上面外側に対向して形成された一つ以上の固定凹溝35または突起を含む。例えば、
図2に示すように、連結用ブラケット36が、前記ねじ溝34に挿入された支持具37によって固定できる。この時、前記固定凹溝35がブラケット36の一面の突起に対応することにより、ブラケット36の遊動または回転が防止できる。
【0026】
図7を参照すると、まず、高速の圧縮空気が第1装着筒12aの後方エア供給口24を介して供給(矢印1参照)され、前記真空ポンプ16の圧縮空気流入口17に流入して排出口18へ進む。この過程で、前記真空チャンバ14及び吸着パッド13の内部空気が通路15及び通孔19を介して真空ポンプ16の内部に誘引(矢印2参照)され、圧縮空気と一緒に排出口18を介して排出(矢印3参照)され、これにより真空チャンバ14に真空が生成されながら同時に吸着パッド13内に負圧が発生する。このとき、リリースバルブ20のピストン22の端部は、スプリング21の圧力で第2装着筒12bの後方エア供給口24を閉鎖している。
【0027】
この負圧によって対象物(
図6の「P」)が把持され、これにより自動化移送システムによる対象物Pの移送が可能となるのである。もちろん、前記移送が完了すると、前述した真空ポンプ16の排気動作が停止し、これと同時にリリースバルブ20が動作して外部空気が真空チャンバ14に流入することにより、吸着パッド13は対象物Pから迅速に分離できる。
【0028】
図8を参照すると、この場合、高速の圧縮空気が第2装着筒12bの後方エア供給口24を介して供給(矢印4参照)され、この圧力によってピストン22が移動してリリースバルブ20が開放されながら、空気が真空チャンバ14及び吸着パッド13に流入(矢印5参照)する。したがって、前記生成された真空及び負圧が破棄され、吸着パッド13と対象物Pが分離できるのである。符号38は、第1装着筒12aの他の一側に形成されたリリースポートであって、例えば、圧縮空気がこのポート38を介して供給(矢印6参照)されると、前記リリースバルブ20の作動に関係なく、さらに迅速な負圧破棄及び対象物Pの分離が行われ得るという利点がある。
【0029】
<第2実施形態>
本実施形態の真空グリッパーユニット10bは、前述した第1実施形態の真空グリッパーユニット10aをベースとする。すなわち、本実施形態の真空グリッパーユニット10bは、
内部に共通真空チャンバ14を提供する垂直型ボディ11と;
前記ボディ11の左側面及び右側面にそれぞれ一体に形成され、水平的に平行に配置され、ボディ11とは別個の装着空間を提供する円筒形部材であって、構造的には、外部から見て、中央部分を連結する前記ボディ11を含んで全体として「H」形に形成され、向かい合って対向する各一側に前記共通真空チャンバ14と連通可能にする通路15を有する第1及び第2装着筒12a、12bと;
前記ボディ11の下部に真空チャンバ14と連通するように連結された吸着パッド13と;
を含むものである。
【0030】
図9を参照すると、但し、ここでは、前記第1及び第2装着筒12a、12bの両方の内部に、圧縮空気の供給及び排出の際に前記共通真空チャンバ14を排気して真空が形成されるように動作真空ポンプ16が挿入装着されるという点で、第1実施形態と異なる。これにより、第1実施形態の前記真空グリッパーユニット10aが真空解除の迅速性の面で有利であれば、本実施形態の真空グリッパーユニット10bは真空生成の迅速性の面で有利であるといえる。
【0031】
ここで、第2装着筒12bに真空ポンプ16が装着される構成及び作用は、第1実施形態で第1装着筒12aに真空ポンプ16が装着されるのと同様なので、別途に説明しない。特徴的に見ると、高速の圧縮空気が第1装着筒12a及び第2装着筒12bの後方エア供給口24に同時に供給され、各真空ポンプ16を貫通しつつ、結局二つの真空ポンプ16が共通真空チャンバ14及び吸着パッド13を排気(矢印7参照)する。よって、真空生成の迅速性の面で、前記真空グリッパーユニット10aに比べて有利であるといえる。
【0032】
真空解除の問題は、前記リリースポート38を介して圧縮空気を供給(
図8の矢印6参照)することにより、効果的に解決できるだろう。
【0033】
<第3実施形態>
本実施形態の真空グリッパーユニット10cは、前述した第2実施形態の真空グリッパーユニット10bをベースとする。すなわち、本実施形態の真空グリッパーユニット10cは、
内部に共通真空チャンバ14を提供する垂直型ボディ11と;
前記ボディ11の左側面及び右側面に一体に形成され、水平的に平行に配置されてディ11とは別個の装着空間を提供する円筒形部材であって、構造的には、外部から見て、中央部分を連結する前記ボディ11を含んで全体として「H」形に形成され、向かい合って対向する各一側に前記共通真空チャンバ14と連通可能にする通路15を有する第1及び第2装着通12a、12bと;
前記ボディ11の下部に真空チャンバ14と連通するように連結された吸着パッド13と;
を含み、
前記第1及び第2装着筒には、圧縮空気の供給及び排出の際に前記共通真空チャンバを排気して真空が形成されるように動作する真空ポンプが挿入装着される。
【0034】
図10を参照すると、但し、ここでは、前記ボディ11の一側に、真空チャンバを経由せずに第1装着筒と第2装着筒との間を連結する分配路39が形成されることにより、いずれか一方の装着筒12aに印加された圧縮空気が2つの装着筒12a、12bの両方に供給されるようにした点で差異がある。具体的には、第1装着筒12aの後方エア供給口24を介して供給された圧縮空気が第2装着筒12bの後方エア供給口24に分配供給(矢印8参照)され、結局、圧縮空気は第1及び第2装着筒12a、12bの両方に供給できるようになるだろう。
【0035】
実際に、このような設計は、エネルギー効率及び配線の面で、前記真空グリッパーユニット10bに比べて有利であるといえる。もちろん、二つの真空ポンプ16が共通真空チャンバ14及び吸着パッド13を排気(矢印7参照)することは、第2実施形態の真空グリッパーユニット10bと同一である。また、真空解除の問題は、前記リリースポート38を介して圧縮空気を供給(
図8の矢印6参照)することにより解決できる。
【0036】
図面は、前記第2装着筒12bの後方端部が完全に開放不可能に閉鎖された状態を示している。しかし、この状態が、その閉鎖端部側に
図2乃至9に示されたオープンコネクタ40が適用されるのと比較して有意な作用上の差異を持つものではない。
【符号の説明】
【0037】
10a、10b、10c 真空グリッパーユニット
11 ボディ
12a 第1装着筒
12b 第2装着筒
13 吸着パッド
14 共通真空チャンバ
15 通路
16 真空ポンプ
17 圧縮空気流入口
18 排出口
19 通孔
20 リリースバルブ
21 スプリング
22 ピストン
23 前方挿入口
24 後方エア供給口
25、26 仕上げ材
27 クリップ
28 溝
29 孔
30 顎部
31 リップホルダー
32 リップ
33 クランプ
34 ねじ溝
35 固定凹溝
36 ブラケット
37 支持具
38 リリースポート
39 分配路
40 コネクタ
41、42 陥凹部
43 フィルタ要素