(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に基づくプレス機械1の外観構成を説明する図である。
【0023】
図1を参照して、プレス機械1は、側面視コ字状の本体フレーム2と、本体フレーム2の下部に配置されたボルスタ3と、本体フレーム2の上部に昇降自在に支持されたスライド4と、コントロールパネル70と、制御装置40と、荷重センサ60とを備えている。
【0024】
ボルスタ3の上面には下型5が装着される。また、スライド4の下面には、下型5に対向するように上型6が装着される。
【0025】
また、スライド4には、プレス加工の荷重値を出力する荷重センサ60が装着される。
本体フレーム2の側面側には、プレス機械1を制御する制御装置40が設けられる。また、本体フレーム2の前面側には、プレス機械1を操作するためのコントロールパネル70が設けられる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に基づくプレス機械1の要部の構成を説明する図である。
図2を参照して、本体フレーム2の上部には、電動モータ8と、動力伝達機構9と、電動モータ8の回転をスライド4の昇降に変換するための変換機構10とが設けられている。
【0027】
動力伝達機構9は、フライホイール12と、クラッチ・ブレーキ装置13と、第1ギア14及び第2ギア15とを有している。
【0028】
フライホイール12は、電動モータ8の出力軸に固定されたプーリ16にVベルト17を介して連結されている。クラッチ・ブレーキ装置13はフライホイール12に連結されている。また、クラッチ・ブレーキ装置13の近傍には2個のエア電磁弁18a,18bが設けられている。これらの電磁弁18a,18bには図示しないエアタンクからエアが供給され、さらに両電磁弁18a,18bからエア配管19を介してクラッチ・ブレーキ装置13にエアが供給されている。これにより、クラッチ・ブレーキ装置13は、フライホイール12の回転を第1ギア14に伝達(クラッチオン)あるいは遮断(クラッチオフ)することができる。また、クラッチ・ブレーキ装置13は、第1ギア14の回転を制動(ブレーキオン)したり、制動を解除(ブレーキオフ)したりすることができる。第1ギア14はクラッチ・ブレーキ装置13のクラッチ側に装着され、第2ギア15は第1ギア14に噛み合っている。
【0029】
変換機構10は、第2ギア15の軸と同軸に設けられたクランク軸20と、クランク軸20の偏心部分に上端が回転自在に装着されたコンロッド21とを有している。このコンロッド21の下端部にスライド4が回転自在に装着されている。
【0030】
また、図示しないが、このプレス機械1には、クラッチ・ブレーキ制御空圧回路と、プレス角度検出装置等が設けられている。クラッチ・ブレーキ制御空圧回路は、2つのエア電磁弁18a,18bに接続され、クラッチ・ブレーキのオン、オフを制御するための回路である。
【0031】
プレス角度検出装置はクランク軸20の回転角度位置を検出するための装置であり、このプレス角度検出装置によって、スライド4の位置及び移動方向を検出することが可能である。
【0032】
<プレス機械1の制御装置の構成>
次に、プレス機械1の制御装置40について説明する。
【0033】
図3は、本実施形態に基づく制御装置40の機能構成を示すブロック図である。
図3において、本実施形態に基づく制御装置40は、プレス機械1全体を制御する装置であって、詳細図示による説明は省略するが、CPUや高速数値演算プロセッサ等を主体に構成され、決められた手順に従って入力データの算術・論理演算を行うコンピュータ装置と、指令電流を入出力する入出力インタフェースとを備えて構成されている。
【0034】
本実施形態に基づく制御装置40は、検出部42と、算出部43と、判断部44と、異常報知部45と、調整部47とを含む。
【0035】
制御装置40は、ROM、RAM等の適宜な記憶媒体で構成されたメモリ50と接続されている。メモリ50は、制御装置40が各種の機能を実現するためのプログラムが格納されている。なお、メモリ50は、各種演算処理を実行するためのワーク領域としても用いられる。当該メモリ50は、制御装置40の外部に設けられていても良いし、内部に設けられていても良い。
【0036】
制御装置40は、コントロールパネル70の他、荷重センサ60とも接続される。
制御装置40は、荷重センサ60によりスライド4のプレス荷重の状態を判断することが可能である。なお、荷重センサとして歪みゲージや圧油センサ等を利用することが可能である。また、当該荷重センサは、当業者であるならば適宜適切な位置に配置することが可能である。
【0037】
検出部42は、荷重センサ60で計測されたデータの入力を受け付けてプレス加工におけるプレス荷重を検出する。また、検出部42は、外部からの指示を受け付けて検出し、所定の処理を実行するようにしても良い。例えば、検出部42は、プレスの起動の停止指示を受け付けてプレス加工を停止させるようにしても良い。
【0038】
算出部43は、後述するが荷重センサ60で検出されたプレス荷重に基づいてプレス加工における仕事量を算出する。
【0039】
判断部44は、過負荷なプレス加工か否かを判断する。具体的には、算出部43で算出されたプレス加工における仕事量が許容量の範囲内であるか否かを判断する。
【0040】
異常報知部45は、判断部44の判断結果に基づいて異常を報知する。具体的には、異常報知部45は、判断部44の判断結果に基づいてコントロールパネル70に過負荷なプレス加工である旨の情報を出力するように指示する。コントロールパネル70は、当該指示に従って表示器に当該情報を出力する。あるいは、アラームを出力するようにしても良い。また、異常報知部45は、プレス機械1がネットワークを介して外部装置と接続されている場合に、当該ネットワークを介して異常である旨の情報を送信するようにしても良い。
【0041】
調整部47は、判断部44の判断結果に基づいて必要に応じてワークのプレス加工を調整する。
【0042】
図4は、本実施形態に基づくプレス荷重の荷重波形を説明する図である。
図4に示されるように、スライドストロークに従って発生する荷重センサ60で計測されたプレス荷重が示されている。
【0043】
本実施形態におけるプレス機械1の仕事量は、次のようにして算出する。
制御装置40の算出部43は、加圧行程中に、スライドストローク量と検出部42で検出した荷重センサ60からプレス荷重値とを取り込み、スライドストローク量とプレス荷重値との積の積算値、すなわちプレス荷重値のスライドストローク量による積分値を求める。
図4の例においては、ハッチング領域の面積が仕事量となる。
【0044】
また、本例においては、許容荷重線Aが示されており、所定のスライドストロークに対する許容荷重が示さている。当該許容荷重線Aを超える荷重が検出された場合には、過負荷異常としてプレス機械を異常停止させることも可能である。
【0045】
図5は、本実施形態に基づくプレス機械1において、過負荷異常を判断する方式を説明する図である。
【0046】
図5に示されるように、プレス機械1の過負荷異常を検出するために、プレス機械1の保護特性として、
図5に示すような断続運転時における作業ストローク数に対するプレス機械1の仕事量の許容値(閾値線)Lを記憶している。当該許容値Lは、メモリ50に予め登録されている。断続運転とは、ワンストローク毎に上死点でスライド4を停止させる運転方式である。
【0047】
作業ストローク数/分は、上死点停止時間も含めた1分間のストローク回数である。
作業ストローク数が大きくなればなるほど許容値Lの限界値が低下する場合が示されている。許容値Lは、過負荷耐量の限界値であり、フライホイール12の大きさ、電動モータ8の回転速度等のプレス機械1の規格により定まる値である。
【0048】
具体的には、作業ストローク数が小さい場合には、フライホイール12に蓄積するエネルギーを電動モータ8により回復させる時間(速度回復時間)は十分確保可能であるため仕事量の許容値は所定の最大値を維持する。
【0049】
一方で、作業ストローク数が大きくなると、電動モータ8によりフライホイール12に蓄積するエネルギーを回復させる時間(速度回復時間)は短くなる。したがって、速度回復時間の減少に伴い電動モータ8の回転速度および回転トルクに従うフライホイール12に回復可能なエネルギーは減少する。本例においては、一例として一次関数的に仕事量の許容値が減少する場合が示されている。傾きは、フライホイール12の大きさ、電動モータ8の回転速度等のプレス機械1の規格により定まる値に基づいて所定の関数に基づいて算出することが可能である。
【0050】
本実施形態においては、プレス機械1の仕事量として、当該許容値Lよりも下側であれば、プレス加工のプレス荷重負荷は正常であり、許容値Lよりも上側であればプレス荷重負荷は過負荷(異常)であると判断する。
【0051】
許容値Lを超える仕事量が継続して実行された場合には、過負荷であるためフライホイール12に蓄積されたエネルギーが過大に消費される結果、フライホイールの回転数がストローク毎に低下し、最終的にプレス機械が停止することになる。
【0052】
したがって、本実施形態においては、算出した仕事量が許容値Lよりも上側であれば異常である旨を報知する。
【0053】
当該方式により、許容値Lを超える仕事量が継続して実行されることを回避してフライホイールの回転数低下によるプレス機械の異常停止を抑制することが可能である。
【0054】
図6は、本実施形態に基づくプレス機械1において、過負荷異常を判断する方式を説明する別の図である。
【0055】
図6に示されるように、プレス機械1の過負荷異常を検出するために、プレス機械1の保護特性として、
図5に示すような連続運転時における作業ストローク数に対するプレス機械1の仕事量の許容値(閾値線)Lを記憶している。当該許容値Lは、メモリ50に予め登録されている。連続運転とは、上死点でスライド4を停止させずに連続して運転する方式である。
【0056】
作業ストローク数/分は、連続する1分間のストローク回数である。
連続運転の場合には電動モータ8の回転速度と作業ストローク数とは連動している。具体的には作業ストローク数が大きくなると電動モータ8の回転速度が上昇する。したがって、電動モータ8の回転速度および回転トルクに従うフライホイール12に回復可能なエネルギーは増加する。本例においては、一例として一次関数的に仕事量の許容値が増加する場合が示されている。傾きは、フライホイール12の大きさ、電動モータ8の回転速度の上昇率等のプレス機械1の規格により定まる値に基づいて所定の関数に基づいて算出することが可能である。そして、電動モータ8の回転速度が最大となった場合に仕事量の許容値は所定の最大値を維持する。
【0057】
本実施形態においては、プレス機械1の仕事量として、当該許容値Lよりも下側であれば、プレス加工のプレス荷重負荷は正常であり、許容値Lよりも上側であればプレス荷重負荷は過負荷(異常)であると判断する。
【0058】
許容値Lを超える仕事量が継続して実行された場合には、過負荷であるためフライホイール12に蓄積されたエネルギーが過大に消費される結果、フライホイールの回転数がストローク毎に低下し、最終的にプレス機械が停止することになる。
【0059】
したがって、本実施形態においては、算出した仕事量が許容値Lよりも上側であれば異常である旨を報知する。
【0060】
当該方式により、許容値Lを超える仕事量が継続して実行されることを回避してフライホイールの回転数低下によるプレス機械の異常停止を抑制することが可能である。
【0061】
図7は、本実施形態に基づくプレス機械1の制御装置40における過負荷異常を判断する処理を説明するフロー図である。
【0062】
図7に示されるように、プレス機械1は、プレス起動の停止が指示されたかどうかを判断する(ステップS2)。検出部42は、プレスの起動の停止指示を受け付けていないかどうかを判断する。
【0063】
ステップS2において、プレス機械1は、プレス起動の停止が指示された場合(ステップS4においてYES)には、処理を終了する(エンド)。検出部42は、プレスの起動の停止指示を受け付けた場合には、プレス加工を停止する。
【0064】
一方、ステップS2において、プレス機械1は、プレス起動の停止が指示されていない場合(ステップS2においてNO)には、処理を継続する。
【0065】
プレス機械1は、荷重値の読込処理を実行する(ステップS4)。検出部42は、荷重センサ60からのプレス荷重の荷重波形を取得する。
【0066】
次に、プレス機械1は、仕事量を算出する(ステップS6)。算出部43は、スライドストローク量とプレス荷重値との積の積算値を仕事量として算出する。
【0067】
次に、プレス機械1は、算出した仕事量が許容値内であるか否かを判断する(ステップS8)。判断部44は、
図5、6で説明したように検出部42で算出した仕事量が許容値L内であるか否かを判断する。
【0068】
ステップS8において、プレス機械1は、算出した仕事量が許容値内であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、ステップS2に戻り、処理を継続する。
【0069】
一方、ステップS8において、プレス機械1は、算出した仕事量が許容値内でないと判断した場合(ステップS8においてNO)には、異常報知する(ステップS10)。判断部44は、異常報知部45に指示して、異常報知部45は、判断部44からの指示に従い異常を報知する。
【0070】
次に、プレス機械1は、処理が終了したかどうかを判断する(ステップS11)。判断部44は、プレス加工の処理が終了したかどうかを判断する。
【0071】
ステップS11において、プレス機械1は、処理が終了したと判断した場合(ステップS11においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0072】
一方、プレス機械1は、処理が継続していると判断した場合(ステップS11においてNO)には、ステップS2に戻り、上記処理を繰り返す。
【0073】
異常報知部45は、許容値Lを超える仕事量が検出された場合には、異常を報知する。具体的には、コントロールパネル70の表示器に過負荷なプレス加工である旨の情報を出力する。あるいは、アラーム音を出力するようにして過負荷なプレス加工である旨を作業者に通知するようにしても良い。また、プレス機械1とネットワークを介して接続されている外部装置(管理装置)に当該情報を送信することにより、当該情報を管理者側で把握できるようにすることも可能である。
【0074】
当該方式により、許容値Lを超える仕事量が継続して実行されることを回避してフライホイールの回転数低下によるプレス機械の異常停止を抑制することが可能である。
【0075】
なお、本例においては、許容値Lを超える仕事量が検出された場合に異常を報知する構成について説明したが、当該過負荷なプレス加工が継続された場合にプレス機械の異常停止が生じるため許容値Lを超える仕事量が検出された回数をカウントして、所定回数を超えた場合に異常を報知するようにしても良い。所定回数は、当業者であるならばプレス機械の異常停止が生じない最適な回数に適宜設計変更することが可能である。
【0076】
また、異常報知部45による異常を報知するのに加えて調整部47によりプレス加工を調整するようにしても良い。
【0077】
具体的には、調整部47は、判断部44の判断結果に基づいて仕事量が許容値を超えると判断した場合には、プレス加工を一時停止させるようにしても良い。
【0078】
例えば、過負荷なプレス加工が継続された場合にフライホイール12に蓄積されたエネルギーが枯渇しないように例えば、ワンストローク期間、プレス加工を一時停止させるようにしても良い。当該プレス加工を一時停止することにより過負荷なプレス加工が継続されることを抑制してフライホイールの回転数低下によるプレス機械の異常停止を抑制することが可能である。
【0079】
また、フライホイール12に蓄積されるエネルギーは、フライホイール12を回転させる電動モータ8の回転数にも依存する。
【0080】
したがって、調整部47は、判断部44の判断結果に基づいて仕事量が許容値を超えると判断した場合には、電動モータ8の回転数を調整するようにしても良い。具体的には、電動モータ8の回転数を高回転に設定することが可能である。当該処理により、許容値Lを調整して仕事量を許容値L内に調節することにより、過負荷なプレス加工が継続されることを抑制してフライホイールの回転数低下によるプレス機械の異常停止を抑制することが可能である。
【0081】
なお、上記においては、フライホイール型のプレス機械に適用可能である場合について説明したが、特にこれに限られず、電動サーボモータを有するプレス機械にも利用することができる。
【0082】
図8は、サーボプレス1#の要部を示す側断面図である。
図9は、サーボプレス1#の別の要部を示す一部断面の平面図である。
【0083】
図8に示されるように、サーボプレス1#は、サーボモータ121と、球面孔33Aと、ねじ軸37と、球体部37Aと、ねじ部37Bと、コンロッド本体38と、雌ねじ部38Aと、コンロッド39と、メインシャフト110と、エキセン部110Aと、サイドフレーム111と、軸受部112〜114と、メインギア115と、動力伝達軸116と、伝達ギア116Aと、軸受部117,118と、プーリ119とをさらに有する。
【0084】
サーボプレス1#では、サーボモータ121によりスライド33を駆動している。スライド33の上部に形成された球面孔33A内には、ダイハイト調整用のねじ軸37の下端に設けられた球体部37Aが抜け止めされた状態で回動自在に挿入されている。球面孔33Aおよび球体部37Aにより、球状継手が構成されている。ねじ軸37のねじ部37Bは、上方に向けてスライド33から露出し、ねじ軸37の上方に設けたコンロッド本体38の雌ねじ部38Aに螺合している。ねじ軸37およびコンロッド本体38により、伸縮自在なコンロッド39が構成されている。
【0085】
なお、ダイハイトとは、スライド33を下死点にしたときのスライド下面からボルスタ上面の距離をいう。
【0086】
コンロッド39の上部は、メインシャフト110に設けられたクランク状のエキセン部110Aに回動自在に連結されている。メインシャフト110は、本体フレーム32を構成する左右一対の厚板状のサイドフレーム111間において、前後3箇所の軸受部112,113,114で支承されている。メインシャフト110の後部側には、メインギア115が取り付けられている。
【0087】
メインギア115は、その下方に設けられた動力伝達軸116の伝達ギア116Aと噛合している。動力伝達軸116は、サイドフレーム111間において、前後2箇所の軸受部117,118で支承されている。動力伝達軸116の後端には、従動側のプーリ119が取り付けられている。プーリ119は、その下方に配置されたサーボモータ121で駆動される。
【0088】
サーボプレス1#は、ブラケット122と、出力軸121Aと、プーリ123と、ベルト124と、ブラケット125と、位置検出器126と、ロッド127と、位置センサ128と、補助フレーム129と、ボルト131,132とをさらに有する。
【0089】
サーボモータ121は、略L字形状のブラケット122を介してサイドフレーム111間に支持されている。サーボモータ121の出力軸121Aは、サーボプレス1#の前後方向に沿って突出しており、出力軸121Aに設けられた駆動側のプーリ123と従動側のプーリ119に巻回されたベルト124により動力が伝達される。
【0090】
また、スライド33の背面側には、上下2箇所からサイドフレーム111間に向けて後方に突出した一対のブラケット125が取り付けられている。上下のブラケット125間には、リニアスケール等の位置検出器126を構成するロッド127が取り付けられている。このロッド127には、スライド33の上下位置を検出するためのスケールが設けられており、同じく位置検出器126を構成する位置センサ128に上下動自在に嵌挿されている。位置センサ128は、一方のサイドフレーム111に設けられた補助フレーム129に固定されている。
【0091】
補助フレーム129は、上下方向に縦長に形成されており、下部がボルト131によりサイドフレーム111に取り付けられ、上部が上下方向に長い長孔内に挿入されたボルト132により上下方向に摺動自在に支持されている。このように補助フレーム129は、上下いずれか一方側(本実施形態では下側)のみがサイドフレーム111に固定され、他方側が上下動自在に支持されているため、サイドフレーム111の温度変化による伸縮の影響を受けないようになっている。これにより、位置センサ128は、サイドフレーム111のそのような伸縮の影響を受けずに、スライド位置およびダイハイト位置を正確に検出可能としている。
【0092】
一方、スライド33のスライド位置およびダイハイトは、スライド33内に設けられたスライド位置調整機構133によって調整される。スライド位置調整機構133は、
図9にも示すように、ねじ軸37の球体部37Aの外周にピン37Cを介して取り付けられたウォームホイール134と、ウォームホイール134と噛合するウォームギア135と、ウォームギア135の端部に取り付けられた入力ギア136と、入力ギア136に噛合する出力ギア137を有したインダクションモータ138とで構成される。インダクションモータ138は、軸方向長さが短いフラット形状とされ、コンパクトに構成されている。インダクションモータ138の回転動をウォームホイール134を介してねじ軸37を回動させることによって調整している。
【0093】
図10は、本実施形態に基づく別のプレス機械において、過負荷異常を判断する方式を説明する図である。
【0094】
図10に示されるように、プレス機械の過負荷異常を検出するために、プレス機械の保護特性として、1分間の作業ストローク数に対するプレス機械の仕事量の許容値(閾値線)Lを記憶している。
【0095】
一例として予めシミュレーションにより計測したデータに基づいて許容値を設定することが可能である。任意のスライドモーションを設定し、その際の1分間の作業ストローク数を設定し、サーボモータの必要となる等価連続トルクを算出する。サーボモータの定格トルクの比率でトルク負荷率を算出する。シミュレーションによりプレス機械に負荷を掛けてトルク負荷率が100%となった際の仕事量を算出し、当該データを保持する。作業ストローク数を変更してデータを取得することにより本例におけるプレス機械の仕事量の許容値Lを取得することが可能である。
【0096】
電動サーボモータを用いた構成においても、プレス機械の仕事量として、当該許容値Lよりも下側であれば、プレス加工のプレス荷重負荷は正常であり、許容値Lよりも上側であればプレス荷重負荷は過負荷(異常)であると判断する。
【0097】
当該方式により、許容値Lを超える仕事量が継続して実行されることを回避してモータオーバヒートや過電流アラームを抑制することが可能である。
【0098】
なお、本例においては、制御装置40の各部の機能構成としてプレス機械に設けられる構成について説明したが、特に当該プレス機械に限られるものではなく、プレス機械を含むプレスシステムとすることも可能である。例えば、ネットワークを介して外部サーバと接続されている場合には、当該外部サーバのCPUと連携して各部の機能を実行することも可能である。また、プレス機械の表示部に表示する構成に限定されるのではなく、ネットワークを介してプレス機械と接続可能な端末の表示部に表示することも可能である。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。