特許第6666421号(P6666421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6666421非燃焼型香味吸引器、方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6666421
(24)【登録日】2020年2月25日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】非燃焼型香味吸引器、方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20200302BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】27
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-500164(P2018-500164)
(86)(22)【出願日】2017年2月15日
(86)【国際出願番号】JP2017005563
(87)【国際公開番号】WO2017141979
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2018年5月2日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2016/054488
(32)【優先日】2016年2月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0253144(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/046385(WO,A1)
【文献】 特開2002−258688(JP,A)
【文献】 特開平11−143304(JP,A)
【文献】 特開2007−121551(JP,A)
【文献】 特表2014−530632(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0075545(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0223522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄積する電池と、前記電池から供給される電力によって吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部と、前記発生部を電気的に制御する制御部と、を含む第1ユニットと、
前記第1ユニットと着脱可能な第2ユニットと、
前記第2ユニットが前記第1ユニットに接続されたときに、前記発生部と並列接続又は直列接続で導通される抵抗器と、を有し、
前記制御部は、前記発生部と前記抵抗器との合成抵抗値と、前記発生部の電気抵抗値との差に基づき、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知するよう構成されている、非燃焼型香味吸引器。
【請求項2】
前記第1ユニットの前記発生部は、エアロゾルを発生させるエアロゾル源を含み、
前記第2ユニットは、香味を発生させる香味源を含む、請求項1に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項3】
前記エアロゾル源は常温で液体であり、
前記香味源は常温で固体である、請求項2に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項4】
前記エアロゾル源は多価アルコールを含み、
前記香味源は植物材料を含む、請求項2又は3に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知した後に、前記発生部へ供給する電力量の制御、又は前記非燃焼型香味吸引器に備えられた報知手段の報知制御を行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項6】
前記発生部の電気抵抗値は前記抵抗器の電気抵抗値と異なる、請求項1から5のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項7】
前記発生部と前記抵抗器とを並列に電気接続する電気経路を有し、
前記電気経路の一部は前記第2ユニットに設けられており、
前記抵抗器は、前記電気経路において前記発生部よりも前記第2ユニット側に設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項8】
前記抵抗器は前記第2ユニットに設けられている、請求項7に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項9】
前記発生部の電気抵抗値に対する前記抵抗器の電気抵抗値の比は、5〜100である、請求項7又は8に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項10】
前記発生部と前記抵抗器とを直列に電気接続する電気経路を有し、
前記電気経路の一部は前記第2ユニットに設けられており、
前記抵抗器は前記第2ユニットに設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項11】
前記発生部の電気抵抗値に対する前記抵抗器の電気抵抗値の比は、0.01〜0.25である、請求項10に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項12】
前記非燃焼型香味吸引器は、前記第2ユニットが前記第1ユニットに取り付けられていないときに前記第1ユニットと着脱可能に構成され、検出対象ではない第3ユニットを有し、
前記第2ユニットが前記第1ユニットに取り付けられていないとき、前記第1ユニット側の前記電気経路は、一対の電気端子で開放されており、
前記第3ユニットは、前記抵抗器の電気抵抗値よりも小さい電気抵抗値で前記一対の電気端子を互いに導通させるよう構成されている、請求項10又は11に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項13】
前記発生部は抵抗発熱体を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項14】
前記発生部及び前記抵抗器と直列に電気接続され、既知の電気抵抗値を有する既知抵抗器を有し、
前記制御部は、前記既知抵抗器の電気抵抗値を用いて前記合成抵抗値を推定するよう構成されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項15】
前記抵抗器は、前記香味源を保持する保持部から区画されている、請求項2から4のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項16】
前記抵抗器は、実質的に前記香味源からのエアロゾル発生に寄与しない、請求項2から4,15のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項17】
前記抵抗器は、前記香味源の加熱に実質的に寄与しない、請求項2から4,15,16のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項18】
前記第1ユニットは、前記発生部の電気抵抗値又は前記発生部の電気抵抗値と対応付けられた識別情報を保持する情報源を有する、請求項1から17のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項19】
前記制御部は、前記合成抵抗値と前記発生部の電気抵抗値との差が所定の閾値以下の場合に前記発生部へ電力供給を禁止するよう構成されている、請求項1から18のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項20】
前記第1ユニットは、少なくとも前記発生部を含む発生ユニットと、少なくとも前記電池を含む電池ユニットと、を含み、
前記発生ユニットは前記電池ユニットと着脱可能に構成されている、請求項1から19のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項21】
前記発生ユニットは、前記電池の正極側に電気的に接続される第1電極と、前記電池の負極側に電気的に接続される第2電極と、を有し、
前記発生部及び前記抵抗器は、前記第1電極と前記第2電極を介して前記電池に電気的に接続される、請求項20に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項22】
前記発生ユニットは、前記電池の正極側に電気的に接続される第3電極と、前記発生部の電気抵抗値を示す情報を格納するメモリと、を有し、
前記メモリは、前記第3電極と前記第2電極を介して前記電池と電気的に接続される、請求項21に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項23】
前記第2ユニットは吸口を含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項24】
前記吸引成分源から前記吸引成分を発生させるための第1電流パスと、前記発生部の電気抵抗値、又は前記発生部と前記抵抗器との合成抵抗値を測定するための第2電流パスと、前記第1電流パスと前記第2電流パスのいずれかに選択的に電流を流すように切り替え可能な切替手段と、を有する、請求項1から23のいずれか1項に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項25】
吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部を含む第1ユニットと、前記第1ユニットと着脱可能な第2ユニットと、を含む非燃焼型香味吸引器における前記第1ユニットと前記第2ユニットの接続を検知する方法であって、
前記第2ユニットが前記第1ユニットに接続されたときに前記発生部と並列接続又は直列接続で導通される抵抗器と前記発生部との合成抵抗値と、前記発生部の電気抵抗値との差に基づき、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知するステップを有する、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法を非燃焼型香味吸引器に実行させるプログラム。
【請求項27】
請求項25に記載の方法を実行するプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を伴わずに、電力によって吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部を備えた非燃焼型香味吸引器、非燃焼型香味吸引器に関する接続を検知する方法、当該方法を実行するためのプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットに代わり、たばこのような香味源を燃焼させることなく、香味を味わう非燃焼型香味吸引器が提案されている。特許文献1は、本体ユニットと、本体ユニットに対して着脱可能に構成されるカプセルユニットと、を有する非燃焼型香味吸引器を開示している。本体ユニットは、エアロゾルを発生するエアロゾル生成源と、燃焼を伴わずにエアロゾル生成源を霧化する霧化手段と、霧化手段に電力を供給する電源と、を有する。カプセルユニットは、ユーザによって吸引される香味を発生する香味源を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/046385号
【発明の概要】
【0004】
第1の特徴は、非燃焼型香味吸引器であって、電力を蓄積する電池と、前記電池から供給される電力によって吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部と、前記発生部を電気的に制御する制御部と、を含む第1ユニットと、前記第1ユニットと着脱可能な第2ユニットと、前記第2ユニットが前記第1ユニットに接続されたときに、前記発生部と並列接続又は直列接続で導通される抵抗器と、を有し、前記制御部は、前記発生部と前記抵抗器との合成抵抗値と、前記発生部の電気抵抗値との差に基づき、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知するよう構成されていることを要旨とする。
【0005】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記第1ユニットの前記発生部は、エアロゾルを発生させるエアロゾル源を含み、前記第2ユニットは、香味を発生させる香味源を含むことを要旨とする。
【0006】
第3の特徴は、第2の特徴において、前記エアロゾル源は常温で液体であり、前記香味源は常温で固体であることを要旨とする。
【0007】
第4の特徴は、第2の特徴又は第3の特徴において、前記エアロゾル源は多価アルコールを含み、前記香味源は植物材料を含むことを要旨とする。
【0008】
第5の特徴は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかにおいて、前記制御部は、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知した後に、前記発生部へ供給する電力量の制御、又は前記非燃焼型香味吸引器に備えられた報知手段の報知制御を行うことを要旨とする。
【0009】
第6の特徴は、第1の特徴から第5の特徴のいずれかにおいて、前記発生部の電気抵抗値は前記抵抗器の電気抵抗値と異なることを要旨とする。
【0010】
第7の特徴は、第1の特徴から第6の特徴のいずれかにおいて、非燃焼型香味吸引器が前記発生部と前記抵抗器とを並列に電気接続する電気経路を有し、前記電気経路の一部は前記第2ユニットに設けられており、前記抵抗器は、前記電気経路において前記発生部よりも前記第2ユニット側に設けられていることを要旨とする。
【0011】
第8の特徴は、第7の特徴において、前記抵抗器は前記第2ユニットに設けられていることを要旨とする。
【0012】
第9の特徴は、第7の特徴又は第8の特徴において、前記発生部の電気抵抗値に対する前記抵抗器の電気抵抗値の比は、5〜100であることを要旨とする。
【0013】
第10の特徴は、第1の特徴から第6の特徴のいずれかにおいて、非燃焼型香味吸引器が前記発生部と前記抵抗器とを直列に電気接続する電気経路を有し、前記電気経路の一部は前記第2ユニットに設けられており、前記抵抗器は前記第2ユニットに設けられていることを要旨とする。
【0014】
第11の特徴は、第10の特徴において、前記発生部の電気抵抗値に対する前記抵抗器の電気抵抗値の比は、0.01〜0.25であることを要旨とする。
【0015】
第12の特徴は、第10の特徴又は第11の特徴において、前記非燃焼型香味吸引器は、前記第2ユニットが前記第1ユニットに取り付けられていないときに前記第1ユニットと着脱可能に構成され、検出対象ではない第3ユニットを有し、前記第2ユニットが前記第1ユニットに取り付けられていないとき、前記第1ユニット側の前記電気経路は、一対の電気端子で開放されており、前記第3ユニットは、前記抵抗器の電気抵抗値よりも小さい電気抵抗値で前記一対の電気端子を互いに導通させるよう構成されていることを要旨とする。
【0016】
第13の特徴は、第1の特徴から第12の特徴のいずれかにおいて、前記発生部は抵抗発熱体を含むことを要旨とする。
【0017】
第14の特徴は、第1の特徴から第13の特徴のいずれかにおいて、前記非燃焼型香味吸引器は、前記発生部及び前記抵抗器と直列に電気接続され、既知の電気抵抗値を有する既知抵抗器を有し、前記制御部は、前記既知抵抗器の電気抵抗値を用いて前記合成抵抗値を推定するよう構成されていることを要旨とする。
【0018】
第15の特徴は、第2の特徴から第4の特徴のいずれかにおいて、前記抵抗器は、前記香味源を保持する保持部から区画されていることを要旨とする。
【0019】
第16の特徴は、第2の特徴から第4の特徴及び第15の特徴のいずれかにおいて、前記抵抗器は、実質的に前記香味源からのエアロゾル発生に寄与しないことを要旨とする。
【0020】
第17の特徴は、第2の特徴から第4の特徴、第15の特徴及び第16の特徴のいずれかにおいて、前記抵抗器は、前記香味源の加熱に実質的に寄与しないことを要旨とする。
【0021】
第18の特徴は、第1の特徴から第17の特徴のいずれかにおいて、前記第1ユニットは、前記発生部の電気抵抗値又は前記発生部の電気抵抗値と対応付けられた識別情報を保持する情報源を有することを要旨とする。
【0022】
第19の特徴は、第1の特徴から第18の特徴のいずれかにおいて、前記制御部は、前記合成抵抗値と前記発生部の電気抵抗値との差が所定の閾値以下の場合に前記発生部へ電力供給を禁止するよう構成されていることを要旨とする。
【0023】
第20の特徴は、第1の特徴から第19の特徴のいずれかにおいて、前記第1ユニットは、少なくとも前記発生部を含む発生ユニットと、少なくとも前記電池を含む電池ユニットと、を含み、前記発生ユニットは前記電池ユニットと着脱可能に構成されていることを要旨とする。
【0024】
第21の特徴は、第20の特徴において、前記発生ユニットは、前記電池の正極側に電気的に接続される第1電極と、前記電池の負極側に電気的に接続される第2電極と、を有し、前記発生部及び前記抵抗器は、前記第1電極と前記第2電極を介して前記電池に電気的に接続されることを要旨とする。
【0025】
第22の特徴は、第21の特徴において、前記発生ユニットは、前記電池の正極側に電気的に接続される第3電極と、前記発生部の電気抵抗値を示す情報を格納するメモリと、を有し、前記メモリは、前記第3電極と前記第2電極を介して前記電池と電気的に接続されることを要旨とする。
【0026】
第23の特徴は、第1の特徴から第22の特徴のいずれかにおいて、前記第2ユニットは吸口を含むことを要旨とする。
【0027】
第24の特徴は、第1の特徴から第23の特徴のいずれかにおいて、前記吸引成分源から前記吸引成分を発生させるための第1電流パスと、前記発生部の電気抵抗値、又は前記発生部と前記抵抗器との合成抵抗値を測定するための第2電流パスと、前記第1電流パスと前記第2電流パスのいずれかに選択的に電流を流すように切り替え可能な切替手段と、を有することを要旨とする。
【0028】
第25の特徴は、吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部を含む第1ユニットと、前記第1ユニットと着脱可能な第2ユニットと、を含む非燃焼型香味吸引器における前記第1ユニットと前記第2ユニットの接続を検知する方法であって、前記第2ユニットが前記第1ユニットに接続されたときに前記発生部と並列接続又は直列接続で導通される抵抗器と前記発生部との合成抵抗値と、前記発生部の電気抵抗値との差に基づき、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知するステップを有する。
【0029】
第26の特徴は、第25の特徴に係る方法を非燃焼型香味吸引器に実行させるプログラムであることを要旨とする。
【0030】
第27の特徴は、第25の特徴に係る方法を実行するプログラムを記録した記録媒体であることを要旨とする。この記録媒体は、非一過性の記録媒体であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る発生ユニットを示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器に備えられた電気回路の概略を示す図である。
図4図4は、第2実施形態に係る非燃焼型香味吸引器に備えられた電気回路の概略を示す図である。
図5図5は、第3実施形態に係る非燃焼型香味吸引器に備えられた電気回路の概略を示す図である。
図6図6は、第3実施形態において、第2ユニットの代わりに用いられる第3ユニットを説明するための図である。
図7図7は、第4実施形態に係る非燃焼型香味吸引器に備えられた電気回路の概略を示す図である。
図8図8は、第5実施形態に係る非燃焼型香味吸引器に備えられた電気回路の概略を示す図である。
図9図9は、第5実施形態に係る非燃焼型香味吸引器の動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0033】
従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
【0034】
[開示の概要]
特許文献1に記載の技術について、市場ではユーザビリティ向上のニーズが高まっている。
【0035】
開示の概要に係る非燃焼型香味吸引器は、電力を蓄積する電池と、前記電池から供給される電力によって吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部と、前記発生部を電気的に制御する制御部と、を含む第1ユニットと、前記第1ユニットと着脱可能な第2ユニットと、前記第2ユニットが前記第1ユニットに接続されたときに、前記発生部と並列接続又は直列接続で導通される抵抗器と、を有し、前記制御部は、前記発生部と前記抵抗器との合成抵抗値と、前記発生部の抵抗値との差に基づき、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの接続を検知するよう構成されている。
【0036】
開示の概要では、制御部が、発生部と抵抗器との合成抵抗値と、発生部の抵抗値との差に基づき、第1ユニットと第2ユニットとの接続を検知するよう構成されている。これにより、例えば第2ユニットの接続の有無に応じて発生部へ供給する電力量を変えたり、第2ユニットが第1ユニットに接続されていないときに発生部への電力の供給を停止したりすることが可能となる。また、第2ユニットの接続検知に利用される抵抗器は発生部と並列接続又は直列接続されるので、電池及び/又は制御部から抵抗器までの電気回路の一部を、発生部に電力を供給するための電気回路と共有させることができる。
【0037】
[第1実施形態]
(非燃焼型香味吸引器)
以下において、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器について説明する。図1は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100を示す図である。図2は、非燃焼型香味吸引器100を構成する発生ユニットを示す図である。図3は、非燃焼型香味吸引器100に備えられた電気回路の概略を示す図である。
【0038】
非燃焼型香味吸引器100は、燃焼を伴わずに吸引成分(香喫味成分)を吸引するための器具である。非燃焼型香味吸引器100は、非吸口端E2から吸口端E1に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有していてよい。なお、以下においては、非燃焼型香味吸引器100を単に香味吸引器100と称することがあることに留意すべきである。
【0039】
香味吸引器100は、第1ユニット110と、第2ユニット130とを有する。第1ユニット110は、第2ユニット130と着脱可能に構成されている。具体的には、第1ユニット110は筒体110Xを有しており、第2ユニット130は、筒体110Xの吸口端に着脱可能に構成されている。
【0040】
第1ユニット110は、電力を蓄積する電池40と、電池40から供給される電力によって吸引成分源から吸引成分を発生させる発生部111Aと、発生部111Aを電気的に制御する制御部51と、を含む。
【0041】
第1ユニット110は、少なくとも発生部111Aを含む発生ユニット111と、少なくとも電池40を含む電池ユニット112と、に分離可能に構成されていてよい。発生ユニット111は、電池ユニット112と着脱可能に構成されている。制御部51は、電池ユニット112に設けられている。この代わりに、制御部51は、発生ユニット112に設けられていてもよい。
【0042】
電池ユニット112は、筒体110Xの一部を構成する筒体112Xを有する。電池40や制御部51は筒体112Xに収容される。電池40は、例えば、リチウムイオン電池であってよい。制御部51は、例えば、CPU及びメモリを含む。香味吸引器100に備えられた電気回路については後述する(図3参照)。
【0043】
電池ユニット112は、通気孔112Aを有する。通気孔112Aから導入される空気は、図2に示すように、発生ユニット111に導かれる。
【0044】
電池ユニット112は、ユーザによる吸引動作を検知するセンサ20を有していてもよい。例えば、センサ20は、コンデンサを有するセンサであり、吸引動作により生じた差圧に応じたコンデンサの電気容量を示す値(例えば、電圧値)を出力する。
【0045】
発生ユニット111を構成する発生部111Aは、吸引成分源から吸引成分を発生させるものであれば、任意のものであってよい。例えば、発生部111Aは、吸引成分源としてのエアロゾル源から、吸引成分としてのエアロゾルを発生するものであってもよい。
【0046】
以下では、図2を参照しつつ、発生部111Aとしてエアロゾル源を備えた発生ユニット111の構成の一例について説明する。発生ユニット111は、筒体110Xの一部を構成する筒体111Xを有する。
【0047】
発生部111Aは、リザーバ111Pと、ウィック111Qと、抵抗体111Rとを有する。リザーバ111P、ウィック111Q及び抵抗体111Rは、筒体111Xに収容される。リザーバ111Pは、エアロゾル源を貯留する。例えば、リザーバ111Pは、樹脂ウェブ等材料によって構成される孔質体である。ウィック111Qは、リザーバ111Pから供給されるエアロゾル源を保持する液保持部材の一例である。例えば、ウィック111Qは、ガラス繊維によって構成される。
【0048】
抵抗体111Rは、抵抗発熱体であってよい。この抵抗発熱体は、ウィック111Qによって保持されるエアロゾル源を霧化する。抵抗発熱体は、例えば、ウィック111Qに所定ピッチで巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
【0049】
エアロゾル源は、常温で液体であってよい。例えば、エアロゾル源としては、多価アルコールを用いることができる。多価アルコールとしては、具体的には、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ソルビトールからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を用いることが好ましい。エアロゾル源は、例えば、上述したように、樹脂ウェブ等の材料によって構成される孔質体によって保持される。孔質体は、非たばこ材料によって構成されていてもよく、たばこ材料によって構成されていてもよい。なお、エアロゾル源は、ニコチン成分を含んでいてもよい。或いは、エアロゾル源は、ニコチン成分を含まなくてもよい。エアロゾル源は、ニコチン成分以外の成分を含んでいてもよい。或いは、エアロゾル源は、ニコチン成分以外の成分を含まなくてもよい。
【0050】
第2ユニット130は、香味吸引器100を構成する第1ユニット110に接続可能に構成される。本実施形態では、第2ユニット130は、発生ユニット111よりも吸口側に設けられる。しかしながら、第2ユニット130は、必ずしも物理空間的に発生ユニット111よりも吸口側に設けられている必要はない。例えば、第2ユニット130は、第1ユニット110の吸口端側に着脱可能に構成されていてもよい。
【0051】
本実施形態で示す例では、第2ユニット130は、筒体131と、香味源132と、網目133Aと、フィルタ133Bとを有する。筒体131は、所定方向Aに沿って延びる筒状形状を有する。筒体131は、香味源132を保持する保持部134を有する。
【0052】
香味源132は、吸口から吸い込まれる空気の流路上において発生ユニット111よりも吸口側に設けられる。香味源132は、発生ユニット111のエアロゾル源で発生したエアロゾルに香喫味成分を付与する。香味源132によってエアロゾルに付与される香味は、香味吸引器100の吸口に運ばれる。
【0053】
香味源132は、常温で固体である。本発明において常温とは、JIS Z 8703にあるとおり、5℃〜35℃の温度範囲を指す。また、香味源132は植物材料である。実施態様ではエアロゾルに香喫味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。原料片のサイズは、0.2mm以上1.2mm以下であることが好ましい。さらには、原料片のサイズは、0.2mm以上0.7mm以下であることが好ましい。香味源132を構成する原料片のサイズが小さいほど、比表面積が増大するため、香味源132を構成する原料片から香喫味成分がリリースされやすい。したがって、所望量の香喫味成分をエアロゾルに付与するにあたって、原料片の量を抑制できる。香味源132を構成する原料片としては、刻みたばこやたばこ原料のようなたばこ材料を粒状に成形した成形体を用いることができる。ただし、香味源132は、たばこ材料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源132を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源132には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0054】
網目133Aは、香味源132に対して非吸口側において筒体131の開口を塞ぐように設けられている。フィルタ133Bは、香味源132に対して吸口側において筒体131の開口を塞ぐように設けられている。網目133Aは、香味源132を構成する原料片が通過しない程度の粗さを有する。網目133Aの粗さは、例えば、0.077mm以上0.198mm以下の目開きを有する。フィルタ133Bは、通気性を有する物質によって構成される。フィルタ133Bは、例えば、アセテートフィルタであることが好ましい。フィルタ133Bは、香味源132を構成する原料片が通過しない程度の粗さを有する。
【0055】
第1実施形態では、図2に示すように、第2ユニット130は、後述する抵抗器300を有する。抵抗器300の電気抵抗値は、発生部111Aの電気抵抗値と異なっていてよく、特に発生部111Aの電気抵抗値よりも小さくてよい。本実施形態において、抵抗器300は、香味源132の加熱に実質的に寄与しないものである。図2に示す実施形態では、抵抗器300は、香味源132を保持する保持部134から区画されている。
【0056】
抵抗器300は、図2に示すように筒体131に接して設けられていてもよいが、この代わりに、筒体131から物理的に離れて設けられていてもよい。具体的には、抵抗器300は、断熱材によって被覆されていてよい。これにより、抵抗器300が仮に発熱したとしても、抵抗器300で発生した熱を香味源132に伝わり難くすることができる。
【0057】
筒体131は、例えば非金属材料又は樹脂材料から構成されていてよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエーテルエーテルケトン等を挙げることができる。
【0058】
筒体131の熱伝導率は、好ましくは1W/(m・K)以下、より好ましくは0.5W/(m・K)以下である。これにより、抵抗器300が仮に発熱したとしても、抵抗器300で発生した熱を香味源132に伝わり難くすることができる。
【0059】
図2に示す形態では、抵抗器300は、筒体131とは別体として設けられている。この代わりに、抵抗器300が、香味源を収容する筒体131と一体に構成されていてもよい。言い換えると、筒体131自体が、所定の電気抵抗値を有する抵抗器300として機能する材料から構成されていてよい。
【0060】
(香味吸引器の電気的構成)
次に、図3を参照しつつ、香味吸引器100に備えられた電気回路の概要について説明する。
【0061】
電池ユニット112は、発生ユニット111と電気的に接続するための電気端子200a,200bを有する。発生ユニット111は、電池ユニット112と電気的に接続するための電気端子201a,201bを有する。電気端子201aは、電池40の正極側に電気的に接続される第1電極を有する。電気端子201bは、電池の負極側に電気的に接続される第2電極を有する。発生ユニット111と電池ユニット112とが互いに機械的に接続されることによって、電気端子200a,200b及び201a,201bを介して、電池40及び制御部51が発生部111Aの抵抗発熱体111Rと電気的に接続される。電池40は、制御部51を介して抵抗発熱体111Rに電力を供給する。
【0062】
発生ユニット111は、第2ユニット130と電気的に接続するための電気端子202a,202bを有する。第2ユニット130は、発生ユニット111と電気的に接続するための電気端子203a,203bを有する。第1ユニット110と第2ユニット130とが互いに機械的に接続されることによって、電気端子201a,201bと電気端子202a,202bとが互いに電気的に接続される。
【0063】
香味吸引器100は、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、発生部111Aと電気的に並列接続で導通される抵抗器300を有する。具体的には、香味吸引器100は、発生部111Aと抵抗器300とを並列に電気接続する電気経路302を有し、電気経路302の一部は第2ユニット130に設けられている。抵抗器300は、電気経路302において発生部111Aよりも第2ユニット130側に設けられている。
【0064】
本実施形態では、発生部111Aと抵抗器300とを並列に電気接続する電気経路302中に、第1ユニット110と第2ユニット130とを電気的に接続する電気端子202a,202b,203a,203bが設けられている。また、抵抗器300は、第2ユニット130に設けられている。抵抗器300は、発生部111Aと並列に接続されるため、発生部111Aに印加される電圧値(VIN−VOUT)と実質的に等しい電圧が印加される。
【0065】
香味吸引器100は、発生部111A及び抵抗器300と直列に電気接続され、既知の電気抵抗値を有する既知抵抗器310を有していてよい。既知抵抗器310は、電池ユニット112に設けられることが好ましい。既知抵抗器310には、発生部111Aの出力電圧VOUTとグランド電極との差に相当する電圧が印加される。
【0066】
(第2ユニットの接続検知)
制御部51は、発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値Rcと、発生部111Aの電気抵抗値R1との差に基づき、第1ユニット110と第2ユニット130との接続を検知するよう構成されている。第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていないときに、電池ユニット112の電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値は、発生部111Aの電気抵抗値R1と実質的に一致する。第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているときに、電池ユニット112の電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値は、実質的に、発生部111Aの電気抵抗値R1と抵抗器300の電気抵抗値R2との合成抵抗値Rc(<R1)となる。したがって、制御部51は、発生部111Aの電気抵抗値R1と合成抵抗値Rcとの差に基づき、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているかどうかを検知することができる。
【0067】
具体的な例として、制御部51は、以下のような手順で、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているかどうかを検知することができる。まず、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていないときに、制御部51が発生部111Aの電気抵抗値R1を測定する。電気抵抗値R1は、制御部51のメモリに記憶させておく。制御部51は、所定のタイミングで、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定する。この電気抵抗値は、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、上記の合成抵抗値Rc(<R1)となる。制御部51は、電気抵抗値R1よりも小さい電気抵抗値を検出したときに、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていると判断する。なお、電気抵抗値の測定精度を考慮し、制御部51は、電気抵抗値R1よりも十分に小さい電気抵抗値を検出したときに、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていると判断してもよい。
【0068】
制御部51が、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定するタイミングは、ユーザが吸引動作を行ったときであることが好ましい。すなわち、センサ20が吸引動作を検知したときに、制御部51が電気抵抗値を測定する。
【0069】
この代わりに、ユーザが発生部111Aを駆動するスイッチ、例えば押しボタンを押したときに、制御部51が、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定してもよい。また、制御部51は、所定の時間間隔ごとに、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定してもよい。
【0070】
また、制御部51は、発生部111Aの通電を許容しないスリープモード(省電力モード)から発生部111Aを制御可能なレディモードへ切り替えられたときに、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定してもよい。スリープモードからレディモードへの切り替えは、例えば、スリープモード中に押しボタンが所定時間以上押されたとき、又はスリープモード中にユーザにより特定パターンの吸い込み動作(例えば、2秒程度の短時間での吸い込み動作を所定時間内で3回行う等)が行われたときに実行される。
【0071】
さらに、香味吸引器がユーザ認証機能を有している場合、制御部51は、ユーザ認証のための動作が行われたタイミングで、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定してもよい。ユーザ認証は、例えば、センサ20によってユーザによる吸引動作の特徴を検出することによって行うことができる。もっとも、ユーザ認証の方法は、この例に限定されるものではない。
【0072】
なお、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値は、以下のように測定することができる。まず、発生部111Aへの入力電圧VINと、発生部111Aの出力電圧VOUT(=既知抵抗器310の入力電圧)と、を測定する。電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値Rは、電圧値VIN,VOUTと既知抵抗器310の電気抵抗値R3を用いて、以下の式により算出される:
R=((VIN−VOUT)/VOUT)×R3。
【0073】
第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていない場合には、上式から、実質的に発生部111Aの電気抵抗値R1が算出される。また、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されている場合には、上式から、実質的に合成抵抗値Rcが算出される。
【0074】
上記のように、制御部51は、既知抵抗器310の電気抵抗値R3を用いて合成抵抗値Rcを推定するよう構成されていることが好ましい。図3に示す既知抵抗器310の配置は一例である。既知抵抗器310は、発生部111Aの電気抵抗値R1、発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値Rcを測定可能であれば、電気回路上の任意の位置に配置されていてよい。なお、既知抵抗器310の電気抵抗値R3は、10mΩ〜100mΩの範囲であってよい。
【0075】
第2ユニット130が接続されたかどうかの検出精度を向上させるという観点から、発生部111Aの電気抵抗値R1と合成抵抗値Rcとの差が小さいことが好ましい。この観点から、発生部111Aの電気抵抗値R1に対する抵抗器300の電気抵抗値R2の比は、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。
【0076】
一方、香味吸引器100の使用時の電力消費を低減するという観点から、抵抗器300の電気抵抗値R2はなるべく大きいことが好ましい。この観点から、発生部111Aの電気抵抗値R1に対する抵抗器300の電気抵抗値R2の比は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
【0077】
制御部51は、第1ユニット110と第2ユニット130との接続を検知した後に、発生部111Aへ供給する電力量の制御、又は非燃焼型香味吸引器に備えられた報知手段の報知制御を行ってもよい。報知手段としては、例えば、発光素子、音声出力デバイス、Haptics等の感覚フィードバックデバイス等が挙げられる。報知手段として感覚フィードバックデバイスを用いる場合には、例えば発振素子等を具備し、振動をユーザに伝達することによって報知を行っても良い。
【0078】
制御部51は、合成抵抗値Rcと発生部111Aの電気抵抗値R1との差が所定の第1閾値以下の場合に発生部111Aへ電力供給を禁止するよう構成されていてよい。これにより、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていないときに、香味吸引器100を使用できないようにすることができる。また、正規の第2ユニット130とは異なり、抵抗器300を有していない非正規の部品が第1ユニット110に接続されたときに、発生部111Aへ電力を供給しないようにすることで、非正規品の使用を禁止することができる。
【0079】
また、制御部51は、合成抵抗値Rcと発生部111Aの電気抵抗値R1との差が所定の第2閾値(前述の第1閾値よりも大きい値)以上の場合に発生部111Aへ電力供給を禁止するよう構成されていてもよい。これにより、電気端子202aと電気端子202bとの間で短絡が生じたときに、発生部111Aへの電力供給を停止することができる。
【0080】
さらに、制御部51は、合成抵抗値Rcと発生部111Aの電気抵抗値R1との差が上記の所定の第1閾値以下の場合と、上記の所定の第2閾値以上の場合に、発生部111Aへの電力供給を停止してもよい。これにより、正規品の抵抗器300の電気抵抗値とは全く異なる電気抵抗値を有する抵抗器を備えた非正規品が第1ユニット110に接続された場合に、発生部111Aへ電力供給を禁止することができる。
【0081】
上記実施形態では、抵抗器300は一定の電気抵抗値を有するものである。この代わりに、抵抗器300は、可変抵抗器であってもよい。可変抵抗器の電気抵抗値は、所定方向Aにおいて第2ユニット130が第1ユニット110に挿入された深さ(挿入長)に応じて、連続的又は不連続的に変化する。不連続的に電気抵抗値が変化する可変抵抗器は、例えば複数の抵抗器から構成されていてもよい。この場合、第2ユニット130の挿入長に応じて、発生部111Aに電気的に連結された電気回路に電気的に接続される抵抗器の数が変化する。
【0082】
上記のように、第2ユニット130の挿入長に応じて電気抵抗値が変化する可変抵抗器を利用することによって、合成抵抗値Rcが、第2ユニット130の挿入長に応じて変化する。したがって、制御部51は、合成抵抗値Rcを検出することで、第2ユニット130の挿入長を検知することができる。
【0083】
制御部51は、抵抗発熱体111Rに供給される電力量Eを制御してもよい。抵抗発熱体111Rに供給される電力量Eの大きさは、抵抗発熱体111Rに対して印加される電圧値V1及び抵抗発熱体111Rに電圧が印加される時間T1で定義される。例えば、抵抗発熱体111Rに対して連続的に電圧が印加されるケースにおいては、抵抗発熱体111Rに対して印加される電圧値の変更によって、抵抗発熱体111Rに供給される電力量の大きさが変更される。一方で、抵抗発熱体111Rに対して断続的に電圧が印加されるケース(パルス制御)においては、抵抗発熱体111Rに対して印加される電圧の値又はデューティ比(すなわち、パルス幅及びパルス間隔)の変更によって、抵抗発熱体111Rに供給される電力量の大きさが変更される。抵抗発熱体111Rに供給される電力量の大きさによって、発生部111Aから発生する吸引成分の量を制御することができる。
【0084】
制御部51は、抵抗発熱体111Rに供給される電力量Eが第1閾値EMAXを超えないように、電力量を制御してもよい。具体的には、例えば、制御部51は、抵抗発熱体111Rに供給される電力量Eが第2閾値EMINを超えるように、電力量を制御する。また、電力量(印加時間)がEMAX(TMAX)に達した場合に、制御部51は抵抗発熱体111Rへの電力供給を終了する。
【0085】
第2ユニット130が第1ユニット110接続されたか否かに応じて、抵抗発熱体111Rに印加される電圧値は変化し得る。この場合であっても、制御部51は、抵抗発熱体111Rに供給される電力量Eが一定になるように制御することが好ましい。
【0086】
好ましくは、制御部51は、D=V/V1の式に従って、補正項Dを算出する。具体的には、制御部51は、E=D×V1/R1×Tの式に従って、抵抗発熱体111Rに供給する電力量を補正する。Vは、電池の基準電圧値であり、電池の種類等に応じて予め定められた値である。Vは、少なくとも電池の終止電圧よりも高い電圧である。
【0087】
なお、抵抗発熱体111Rに印加される電圧の補正は、例えばDC/DCコンバータを用いて実現される。DC/DCコンバータは、降圧コンバータであってもよく、昇圧コンバータであってもよい。
【0088】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について図4を用いて説明する。図4は、第2実施形態に係る香味吸引器の電気回路の概略構成を示している。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号が付されている。第1実施形態と同一の構成については、説明を省略することがあることに留意すべきである。
【0089】
第2実施形態に係る香味吸引器100は、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、発生部111Aと電気的に並列接続で導通される抵抗器300を有する。具体的には、香味吸引器100は、発生部111Aと抵抗器300とを並列に電気接続する電気経路302を有し、電気経路302の一部は第2ユニット130に設けられている。抵抗器300は、電気経路302において発生部111Aよりも第2ユニット130側に設けられている。なお、第2実施形態では、抵抗器300は、第1ユニット110に設けられている。
【0090】
第2ユニット130の一対の電気端子203a,203bは、抵抗器300の電気抵抗値よりも小さい電気抵抗値で電気的に連結されている。例えば、一対の電気端子203a,203bは、導線や金属板などにより電気的に連結されていてよい。一対の電気端子203a,203b間には、抵抗器が設けられていない。したがって、第2ユニット130は、第1ユニット110に接続されたときに、第1ユニット110の一対の電気端子202a,202bどうしを導通させる。
【0091】
第2実施形態に係る香味吸引器では、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、一対の電気端子202a,203b間が導通され、抵抗器300を含む電気回路が形成される。したがって、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、電池ユニット112の電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の合成抵抗値が変化する。これにより、第1実施形態と同様の手法により、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているかどうかを検出することができる。
【0092】
香味吸引器は、第1ユニット110に第2ユニット130が取り付けられたときのみに使用可能となっていてもよく、第1ユニット110のみで使用可能となっていてもよい。
【0093】
第2実施形態では、第1ユニット110の電気端子202a又は202bに抵抗器300が接続されている。そのため、第1ユニット110に第2ユニット130が取り付けられていない状態で第1ユニット110の電気端子202a,202bどうしが意図せず短絡してしまったときに、抵抗器300は過度の電流が流れることを防止する保護手段として機能し得る。
【0094】
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について説明する。図5は、第3実施形態に係る香味吸引器の電気回路の概略構成を示している。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号が付されている。第1実施形態と同一の構成については、説明を省略することがあることに留意すべきである。
【0095】
香味吸引器100は、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、発生部111Aと電気的に直列接続で導通される抵抗器300を有する。具体的には、香味吸引器100は、発生部111Aと抵抗器300とを直列に電気接続する電気経路302を有し、電気経路302の一部は第2ユニット130に設けられている。抵抗器300は、第2ユニット130に設けられている。抵抗器300は、発生部111Aと直列に接続される。そのため、発生部111Aを通る電流値は、抵抗器300を通る電流値と実質的に等しい。
【0096】
第1の実施形態と同様に、香味吸引器100は、発生部111A及び抵抗器300と直列に電気接続され、既知の電気抵抗値を有する既知抵抗器310を有していてよい。既知抵抗器310は、電池ユニット112に設けられることが好ましい。既知抵抗器310には、発生部111Aの出力電圧VOUTとグランド電極との差に相当する電圧が印加される。
【0097】
図6に示すように、第3実施形態では、香味吸引器は、検出対象ではない第3ユニット150を有していてよい。第3ユニット150は、第2ユニット130の代わりに利用される。第3ユニット150は、第2ユニット130が第1ユニット110に取り付けられていないときに第1ユニット110と着脱可能に構成されている。第3ユニット150は、第1ユニット110の電気端子202a,202bと電気的に接続される電気端子204a,204bを有する。
【0098】
第2ユニット130が第1ユニット110に取り付けられていないとき、第1ユニット110側の電気経路は、一対の電気端子202a,202bで開放されている。第3ユニット150は、一対の電気端子204a,204b間に抵抗器を有していない。この代わりに、第3ユニット150は、第2ユニット130の抵抗器300の電気抵抗値よりも小さい電気抵抗値で一対の電気端子202a,202bを互いに導通させるよう構成されていてもよい。
【0099】
第3ユニット150は、香味源を有していなくてもよい。第3ユニット150は、単に第1ユニット110に取り付けられる蓋体であってよい。第3ユニット150が吸口端側に設けられる場合、第3ユニット150は、マウスピースを構成していてもよい。この場合、香味吸引器100は、第2ユニット130なしで使用可能となる。
【0100】
(第2ユニットの接続検知)
制御部51は、発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値Rcと、発生部111Aの電気抵抗値R1との差に基づき、第1ユニット110と第2ユニット130との接続を検知するよう構成されている。第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているとき、電池ユニット112の電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値は、発生部111Aの電気抵抗値R1と抵抗器300の電気抵抗値との合成抵抗値Rc(>R1)となる。したがって、制御部51は、発生部111Aの電気抵抗値R1と合成抵抗値Rcとの差に基づき、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているかどうかを検知することができる。
【0101】
具体的な例として、制御部51は、以下のような手順で、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているかどうかを検知することができる。まず、第3ユニット150が第1ユニット110に接続されているときに、制御部51が発生部111Aの電気抵抗値R1を測定する。電気抵抗値R1は、制御部51のメモリに記憶させておく。制御部51は、所定のタイミングで、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定する。この電気抵抗値は、第3ユニットが取り外され、かつ第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、上記の合成抵抗値Rc(>R1)となる。制御部51は、電気抵抗値R1よりも大きい電気抵抗値を検出したときに、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていると判断する。なお、電気抵抗値の測定精度を考慮し、制御部51は、電気抵抗値R1よりも十分に大きい電気抵抗値を検出したときに、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていると判断してもよい。
【0102】
制御部51が、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定するタイミングは、ユーザが吸引動作を行ったときであることが好ましい。すなわち、センサ20が吸引動作を検知したときに、制御部51が電気抵抗値を測定する。
【0103】
この代わりに、前述したように、ユーザが発生部111Aを駆動するスイッチを押したとき、スリープモードからレディモードに切り替えられたとき、ユーザ認証のための動作が行われたとき、又は所定の時間間隔ごとに、制御部51が電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定してもよい。なお、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値は、第1実施形態と同様に測定することができる。また、既知抵抗器310の電気抵抗値R3は、10mΩ〜100mΩの範囲であってよい。
【0104】
第2ユニット130が接続されたかどうかの検出精度を向上させるという観点から、発生部111Aの電気抵抗値R1と合成抵抗値Rcとの差が大きいことが好ましい。この観点から、発生部111Aの電気抵抗値R1に対する抵抗器300の電気抵抗値の比は、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
【0105】
一方、香味吸引器100の使用時の電力消費を低減するという観点から、抵抗器300の電気抵抗値はなるべく小さいことが好ましい。この観点から、発生部111Aの電気抵抗値R1に対する抵抗器300の電気抵抗値の比は、0.25以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。
【0106】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について図7を用いて説明する。図7は、第4実施形態に係る香味吸引器の電気回路の概略構成を示している。第4実施形態と同一の構成については、同一の符号が付されている。第4実施形態と同一の構成については、説明を省略することがあることに留意すべきである。
【0107】
第4実施形態では、第1ユニット110、具体的には発生ユニット111は、発生部111Aの電気抵抗値R1又は発生部111Aの電気抵抗値R1と対応付けられた識別情報を保持する情報源330を有する。情報源330は、例えば、制御部51と電気的に接続されたメモリであってよい。
【0108】
具体的には、発生ユニット111は、電池40の正極側に電気的に接続される電気端子201cをさらに有する。電気端子201cは、制御部51と電気的に接続された、電池ユニットの電気端子200cと電気的に接続可能となっている。メモリは、発生ユニット111の電気端子201b,201cと電池ユニット112の電気端子200b,200cとを介して、電池40と電気的に接続される。
【0109】
(第2ユニットの接続検知)
制御部51は、発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値Rcと、発生部111Aの電気抵抗値R1との差に基づき、第1ユニット110と第2ユニット130との接続を検知するよう構成されている。
【0110】
具体的な例として、制御部51は、以下のような手順で、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されているかどうかを検知することができる。制御部51は、所定のタイミングで、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定する。この電気抵抗値は、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されたときに、上記の合成抵抗値Rc(<R1)となる。また、制御部51は、情報源330に記録されている発生部111Aの電気抵抗値R1を取得する。
【0111】
制御部51は、情報源330から取得した電気抵抗値R1よりも小さい電気抵抗値を検出したときに、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていると判断する。なお、電気抵抗値の測定精度を考慮し、制御部51は、電気抵抗値R1よりも十分に小さい電気抵抗値を検出したときに、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていると判断してもよい。
【0112】
第4実施形態によれば、制御部51は、発生部111Aの電気抵抗値R1を情報源330から取得すればよいので、発生部111Aの電気抵抗値R1を測定する必要がない。
【0113】
図7には示されていないが、第4実施形態においても、発生部111Aの電気抵抗値R1と抵抗器300の電気抵抗値との合成抵抗値Rcを測定するために、既知抵抗器310の電気抵抗値を利用してもよい。
【0114】
第4実施形態では、情報源330は、制御部51に電気的に接続されたメモリであり、メモリは発生部111Aの電気抵抗値R1を記憶している。この代わりに、メモリは、電気抵抗値R1の情報と対応付けられた識別情報を記憶していてもよい。この場合、制御部51は、通信端末のような外部装置にアクセスするための外部アクセス部を有することが好ましい。外部アクセス部は、例えば、通信端末と有線で接続するためのモジュールであってもよく、通信端末と無線で接続するためのモジュールであってもよい。外部アクセス部は、メモリ111Mから識別情報を読み出すとともに、読み出された識別情報を用いて、外部装置から発生部111Aの電気抵抗値R1を取得する。制御部51は、この電気抵抗値R1を用いて、第2ユニット130の接続検知を実行することができる。
【0115】
第4実施形態では、情報源330は、制御部51に電気的に接続されたメモリである。この代わりに、情報源330は、制御部51に電気的に接続されていない、発生ユニット111に設けられた媒体であってもよい。この媒体は、例えば、識別情報が表された紙媒体、例えば発生ユニット111の外側面に貼付されるラベルであってよい。この場合にも、制御部51は、通信端末のような外部装置にアクセスするための外部アクセス部を有することが好ましい。外部装置は、識別情報の入力又は識別情報の読み取りによって、紙媒体から識別情報を取得する。制御部51は、外部アクセス部を通じて、外部装置から当該識別情報と対応付けられた情報、すなわち発生部111Aの電気抵抗値R1を取得する。制御部51は、この電気抵抗値R1を用いて、第2ユニット130の接続検知を実行することができる。
【0116】
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について図8を用いて説明する。図8は、第5実施形態に係る香味吸引器の電気回路の概略構成を示している。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号が付されている。第1実施形態と同一の構成については、説明を省略することがあることに留意すべきである。
【0117】
香味吸引器100は、既知抵抗器310の両端の電位差を増幅するためのオペアンプ等の増幅回路(不図示)を有していてもよい。
【0118】
香味吸引器100は、第1実施形態で説明したものと同様の既知抵抗器310を有する。第5実施形態では、香味吸引器100は、吸引成分源から吸引成分を発生させるための第1電流パス321と、発生部111Aの電気抵抗値、又は発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値を測定するための第2電流パス323と、第1電流パス321と第2電流パス323のいずれかに選択的に電流を流すように切り替え可能な切替手段と、を有する。切替手段の具体的構成は特に限定されない。第1実施形態で説明したものと同様の既知抵抗器310が、第2電流パス323に配置されていてよい。
【0119】
切替手段は、具体的一例として、第1スイッチ320と、第1スイッチ320に並列に接続された第2スイッチ322と、を有する。第2スイッチ322は、既知抵抗器310と直列に接続されている。第1スイッチ320及び第2スイッチ322は、例えば開閉型のスイッチであってよい。なお、第1スイッチ320及び第2スイッチ322の切り替えは、制御部51によって行われる。
【0120】
発生部111Aの電気抵抗値、又は発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値を測定する場合、制御部51は、第1スイッチ320を開き、第2スイッチ322を閉じることによって、第2電流パス323に電流を流すようにすればよい。これにより、既知抵抗器310を利用して抵抗値を測定することができる。
【0121】
吸引成分源を発生させるために発生部111Aに電力を供給する際、制御部51は、第1スイッチ320を閉じ、第2スイッチ322を開くことによって、第1電流パス321に電流を流すようにすればよい。これにより、発生部111Aに電力を供給する際に既知抵抗器310に電流が流れないため、電力の損失を低減することができる。
【0122】
制御部51が、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定するタイミング、すなわち発生部111Aの電気抵抗値、又は発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値を測定するタイミングは、第1実施形態で説明したとおりである。
【0123】
図9は、ユーザによる吸引成分の吸引に関するフローチャートを示している。まず、制御部51は、センサ20がユーザによる吸引動作を検知した直後、又は吸引開始用の押しボタンが押下された直後に、第1スイッチ320が開き、第2スイッチ322が閉じた状態にする(ステップS902,S904)。制御部51は、第1スイッチ320が開き、第2スイッチ322が閉じた状態で、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値(合成抵抗値)を算出する(ステップS906)。算出した電気抵抗値が、所定の範囲内、すなわち発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値と近似する範囲内である場合、制御部51は、第2ユニット130が正常に接続されていると判別する(ステップS908)。算出した電気抵抗値が、所定の範囲外である場合、制御部51は、第2ユニット130が正常に接続されていないと判別し、ユーザへ報知する(ステップS910)。この際、第1スイッチ320が開いた状態が維持される。なお、ユーザへの報知は、例えば前述の報知手段によって行うことができる。
【0124】
第2ユニット130が正常に接続されていると判別された後に、制御部51は、ステップS906で算出した電気抵抗値に基づき、発生部111Aへ供給する電力量を決定し(ステップS912)、第1スイッチ320が閉じ、第2スイッチ322が開いた状態にする(ステップS914)。これにより、発生部111Aへの電力供給が開始され、発生部111Aから吸引成分源を発生させる。
【0125】
発生部111Aへ電力の供給を開始した後に、電力供給を終了するかどうかを判断する(ステップS916)。電力供給の終了は、例えば、ユーザによる吸引動作の終了が検知されたかどうか、ユーザによる押しボタンの押下が解除されたかどうか、電力開始から一定時間が経過したかどうか、又は所定の電力量が発生部111Aへ供給されたかどうか等により判別することができる。制御部51が電力供給を終了すると判断すると、第1スイッチ320及び第2スイッチ322を開き、電力の供給を終了する(ステップS930)。
【0126】
制御部51が電力供給を終了しないと判断した場合、発生部111Aへの電力供給が継続される。制御部51は、発生部111Aへの電力供給中に、定期的に電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値(合成抵抗値)を算出してもよい。具体的には、制御部51は、第1スイッチ320を開き、第2スイッチ322を閉じた状態にし(ステップS924)、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値(合成抵抗値)を算出する(ステップS926)。算出した電気抵抗値が所定の範囲内である場合、制御部51は、第1スイッチ320を閉じ、第2スイッチ322を開いた状態にし(ステップS914)、発生部111Aへの電力供給を継続する。なお、算出した電気抵抗値が所定の範囲外である場合、制御部51は、第1スイッチ320を開いた状態を維持しつつ、ユーザへ報知する(ステップS910)。
【0127】
制御部51が、電気端子200a及び電気端子200bに接続される電気回路の電気抵抗値を測定するタイミング、すなわち発生部111Aの電気抵抗値、又は発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値を測定するタイミングは、図9のフローチャートで示すタイミングに限られない。例えば、制御部51は、発生部111Aの通電を許容しないスリープモード(省電力モード)から発生部111Aを制御可能なレディモードへ切り替えられたときに、発生部111Aの電気抵抗値、又は発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値を測定してもよい。また、別の例として、香味吸引器がユーザ認証機能を有している場合、制御部51は、ユーザ認証のための動作が行われたタイミングで、発生部111Aの電気抵抗値、又は発生部111Aと抵抗器300との合成抵抗値を測定してもよい。
【0128】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0129】
例えば、上記の各実施形態に記載された構成は、可能な限り、互いに組み合わせ、及び/又は置き換えることができる。
【0130】
上述した各実施形態で説明した制御部51によって実行される方法を実行するプログラムも本願の発明に含まれ得る。また当該プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。ここで、上記プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。
【0131】
上述した実施形態では、第2ユニット130は、香味源132を有するユニットである。この代わりに、第2ユニット130は、上述した発生部111Aと同様の構成を有する発生部を備えたユニットであってもよい。この場合、複数のエアロゾル源を備えた香味吸引器を提供することができる。
【0132】
また、第2ユニット130は、吸口を含む吸口ユニットであってもよい。この吸口ユニットは、香味源132を含んでいてもよいし、香味源132を含んでいなくてもよい。
【0133】
上述した実施形態では、抵抗器300は、香味源の加熱に実質的に寄与しないものであった。この代わりに、抵抗器300は香味源を加熱するために用いられる抵抗発熱体であってもよい。この場合、抵抗発熱体は、筒体131のまわりに巻きまわされてもよい。さらに、筒体131は、熱伝導部材から構成されることが好ましい。
【0134】
また、抵抗器300が香味源を加熱するために用いられる抵抗発熱体である場合、筒体131自体が、所定の電気抵抗値を有する抵抗器300として機能する材料から構成されていてもよい。
【0135】
抵抗器300が香味源を加熱するために用いられる発熱抵抗体である場合、係る発熱抵抗体は、実質的に香味源からのエアロゾル発生に寄与しない発熱抵抗体であることが好ましい。香味源に含まれる香味成分の沸点と香味源の熱分解温度のいずれの温度よりも低い温度で加熱することが好ましい。具体的には、係る発熱抵抗体によって加熱される香味源の加熱温度は、150℃未満であることが好ましい。
【0136】
香味吸引器は、例えばLEDのような発光素子を有していてもよい。発光素子は、制御部51と電気的に接続されていてよい。この場合、香味吸引器は、第2ユニット130が第1ユニット110に接続されていることを、発光素子の発光態様によって報知することができる。
【0137】
香味吸引器は、押しボタン又はユーザによる吸引動作を検知するセンサ20に基づき、発生部111Aの駆動を開始するように構成されていてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9