(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、(a)マンニトール、(b)コロイダルシリカ、(c)微結晶セルロース、および(d)フマル酸ステアリルナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の使用。
前記組成物が約12kPから約18kPの硬度を有し、そして、前記組成物が、37℃の模擬胃液(pH1.8)900ml中、50rpmで運転されるUSP 2パドルを備えたパドル撹拌装置で、USP 30 NF25 第711章に準拠する溶解試験に供されるとき、前記組成物中に含有された前記式Iの化合物の少なくとも約90%を約20分未満で放出する、請求項1に記載の使用。
前記組成物が1.75MPaの引張強度を有し、そして、前記組成物が、37℃の模擬胃液(pH1.8)900ml中、50rpmで運転されるUSP 2パドルを備えたパドル撹拌装置で、USP 30 NF25 第711章に準拠する溶解試験に供されるとき、前記組成物中に含有された前記式Iの化合物の少なくとも約90%を約20分未満で放出する、請求項1に記載の使用。
式Iの化合物が、(S)−N−((3S,5S,6R)−6−メチル−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5−(2,3,6−トリフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル)−2’−オキソ−1’,2’,5,7−テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン−6,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−3−カルボキサミドである、請求項1に記載の使用。
式Iの化合物が、(S)−N−((3S,5S,6R)−6−メチル−2−オキソ−5−フェニル−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペリジン−3−イル)−2’−オキソ−1’,2’,5,7−テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン−6,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−3−カルボキサミドである、請求項1に記載の使用。
式Iの化合物が、(S)−N−((3S,5S,6R)−6−メチル−2−オキソ−5−フェニル−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペリジン−3−イル)−2’−オキソ−1’,2’,5,7−テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン−6,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−3−カルボキサミド・三水和物である、請求項1に記載の使用。
【背景技術】
【0001】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、カルシトニンメッセンジャーRNA
の組織特異的選択的プロセシングにより生成される天然起源の37個のアミノ酸ペプチド
であり、中枢および末梢神経系に広く分布している。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(
CGRP)は、偏頭痛の病態生理に重要な役割を果たしていると考えられる強力な血管拡
張性神経伝達物質である。CGRP標的の最初のヒト臨床評価は、2003年にBoeh
ringer Ingelheim社により提供され、オルセゲパントを含むIV製剤が
偏頭痛の急性治療に有効であり、その機序は経口製剤でテルカゲパント(CGRPアンタ
ゴニスト)を用いた試験により確認されたことが報告された。
【0002】
新規に開発されたCGRPアンタゴニスト化合物は、公開された国際公開第2012/
064910号に記載されており、式Iの構造に基づく:
【化1】
【0003】
式I
(式中、「R
a」は様々な置換基である(例えば、式中、「R
a」は水素:(S)−N−
((3S,5S,6R)−6−メチル−2−オキソ−5−フェニル−1−(2,2,2−
トリフルオロエチル)ピペリジン−3−イル)−2’−オキソ−1’,2’,5,7−テ
トラヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン−6,3’−ピロロ[2,3−b]ピリ
ジン]−3−カルボキサミドであり、例えば、式中、「R
a」の3つはフッ素:(S)−
N−((3S,5S,6R)−6−メチル−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオ
ロエチル)−5−(2,3,6−トリフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル)−2’
−オキソ−1’,2’,5,7−テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン−6
,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−3−カルボキサミドとなるように選択される
)。これらの化合物は、副作用および代謝性合併症の可能性が低い、忍容性が良好な強力
なCGRPアンタゴニストとして有望である。しかし、これらの化合物は可溶性が低く、
一般的に、安定な医薬製剤の調製に適した塩を形成しない。
【0004】
初期のインビボ試験には、液体製剤として、例えば、共溶媒として、またはPEG40
0などの共溶媒および必要に応じて他の成分を使用する脂質ベースの溶液として調製され
た難溶性の「クラスII」化合物を投与して、溶解を容易にし経口吸収を高めることが一
般的である。臨床試験に有用であるが、急性もしくは慢性疾患状態の治療、または慢性疾
患状態の予防治療で使用するための薬剤の経口送達に液体製剤を提供することは、概して
商業的に魅力的でない。望ましくは、そのような医薬品は、経口投与用の固体形態、例え
ば、APIを含有する加圧錠剤またはカプセルであるべきである。しかし、一般的に、水
溶解度が低い薬物は、吸収部位におけるいくらかの溶解促進剤もしくは透過促進剤または
両方の存在なしに胃腸系に送達することは難しい。
【0005】
固体分散体、および特に固溶体は、水難溶性の医薬品有効成分(API)の経口吸収を
促進するために使用されている。例えば、Ford,Pharm Acta Helv,
1986,61:69−88を参照のこと。固体分散体および固溶体は、APIが固体マ
トリックス、一般的にはポリマーマトリックスに分散または溶解された組成物である。(
医薬品有効成分が賦形剤マトリックス中で均一またはほぼ均一なガラスを形成する)固溶
体および固体分散体は、水難溶性化合物の経口送達において特に興味深い。これらの材料
は、(i)APIの濡れ性を改善すること、(ii)より低エネルギー(例えば結晶)相
APIに関して、飽和点でAPIの一時的な過飽和をもたらすこと、または(iii)両
方の効果により、経口投与されたAPIの吸収を改善すると考えられている。一般に、固
溶体は、溶解速度および/または薬物がマトリックスから溶解される程度を高めることに
より薬物吸収を可能にすると考えられる。
【0006】
固溶体として調製されているクラスII薬物の1つの例は、2009年10月22日に
公開された国際出願公開第2009/129300号に記載されたポサコナゾールである
。ポサコナゾールのそのような組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテー
トスクシネート誘導体化ポリマー(HPMC−AS)でポサコナゾールの押出物を形成し
て調製され、該固体分散体はその後、微結晶セルロース、追加のHPMC−AS、ヒドロ
キシプロピルセルロース、およびマグネシウムステレートと混合された。この混合物は、
望ましいPKおよびバイオアベイラビリティーを有する経口投与可能なポサコナゾール製
剤を提供するために錠剤化された。
【0007】
ポリマーおよびAPIの固溶体の提供において使用されるポリマーの別の例は、難溶性
薬物(テオフィリンにより例示された)および架橋ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコ
ポリマー(PVPコポリマー)を含む固体分散体を記載する米国特許第4,801,46
0号にGoertzらにより報告されている。’460号特許は、試験での最大8時間の
薬物放出時間を報告しており、そのようなポリマーマトリックス固溶体を使用する瞬時放
出医薬品を論じていない。
【0008】
別の例において、1998年7月9日に公表された、公開された国際公開第98/02
9137号(’137号公報)でTakagiらは、セルロース系ポリマー、例えば、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキプロピ
ルセルロース、ならびに溶解の吸熱を有する塩、例えば、崩壊速度を改善すると言われる
重炭酸ナトリウムを含むマトリックスに溶解されるAPIを含む組成物を記載している。
’137号公報は、発泡作用を介して水性環境に暴露された場合に崩壊を助ける固体の水
溶性酸の存在下、炭酸塩または重炭酸塩を使用する混合物に類似すると該公報に教示され
た組成物を同定している。
【0009】
別の例において、Fryらは、セルロース系ポリマー(セルロース系部分を組み込むグ
ラフト共重合体を含む)、ポリビニルアルコールポリマーおよびポリビニルピロリジンポ
リマーの多くの種々の誘導体を含む幅広いポリマーマトリックスに分散されるHER−2
阻害剤の製剤を記載している。2013年4月18日に公表された、公開された国際公開
第2013/056108号を参照のこと。そのような組成物は、患者間のPK変動を低
減すると言われている。
【0010】
それらの使用の増加にもかかわらず、経口薬物吸収を効果的に促進する固溶体製剤の設
計は、ほとんどが試行錯誤の問題のままである。経口吸収を促進する固体分散体としての
親油性化合物の調製の成功は、APIとポリマーの強い相互作用から恩恵を受ける場合が
ある。これは、特に、固体分散体を作成するのに使用されるプロセスが噴霧乾燥である場
合、ヒドロキプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)のよう
な両親媒性を有する部分的水溶性ポリマーへの関心をもたらした。Friesen et
al.,Mol.Pharm.,2008,5:1003−1019を参照のこと。こ
のアプローチは多くの薬物候補に関して成功したが、融点が高い(または融点対ガラス転
移温度の比が高い)化合物および/または特に親油性化合物(例えば、log P値が高
いもの)は、固溶体として成功裡に調製するには特に問題であることが示唆された。Fr
iesenらは、高い融点特性を有する化合物の調製の成功が、固体分散体中のAPIの
濃度を相対的に希釈することに限定される可能性があることを示唆している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で使用され得る以下の用語は、以下の定義に従って使用される。
【0034】
反対の明示的な記載がない限り、本明細書に引用された全ての範囲は、包含的である。
すなわち範囲は、範囲の上限および下限の値ならびにその間の全ての値を含む。一例とし
て、本明細書に記載された温度範囲、割合、当量の範囲等は、範囲の上限および下限なら
びにその間の連続体における任意の値を含む。
【0035】
用語「製剤」は本明細書で使用される場合、医薬品有効成分(API)を含む材料の混
合物、集合体、溶液または他の組み合わせを指す。製剤は、患者における病態または疾患
状態の治療、管理、予防等において特定の投与様式に適合される(例えば、経口投与用に
設計された錠剤に加圧成形するのに適した製剤)。
【0036】
用語「被験者」は本明細書で使用される場合、治療、観察または実験の対象となってい
る動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。治療される疾患状態を患うヒ
ト被験者が活動に含まれるとき、それらはあるいは本明細書で「患者」と呼ばれる。
【0037】
上述のように、本発明は、可溶性ポリマーマトリックスと、その中に分散もしくは溶解
された式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩:
【化5】
【0038】
式I(式中、「R
a」は独立して−Hまたは−Fである)と、分散剤、例えば、ビタミン
Eポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)とを含む押出組成物(押出物)に関
し、押出物は崩壊系を含む医薬製剤に組み込まれ、製剤は、標準的な崩壊試験において約
5分以内に崩壊する、最大18kP硬度、いくつかの実施形態において好ましくは16k
P硬度の錠剤の提供に適している。
【0039】
本発明の組成物における使用に適した式Iの化合物は、国際公開第2012/0649
10号に記載された合成に従って調製することができる。いくつかの実施形態において、
エタノール/水溶媒から前述に従って調製された式Iの粗化合物を結晶化させ、故に化合
物の結晶性三水和物形態を提供すること、および分散体の調製に使用される押出機装置に
入れることができる自由流動性粉末を提供する粒径まで結晶性材料を粉砕することが好ま
しい。注記される場合に理解されるように、本明細書に記載された製剤および錠剤中の式
Iの化合物に関して記載された重量および重量パーセント関係は、100%未満の活性を
有する材料を用いる製剤を調製する場合に考慮されるように、結晶体または不活性材料の
溶媒なしで、化合物の100%活性な遊離塩基当量の重量を反映するように調整される。
【0040】
図1および2に関して、一般に押出物は、式Iの化合物、およびHME処理に適するよ
うにする追加の作業を受けていてもまたは受けていなくてもよい様々な賦形剤のホットメ
ルトエクストルージョン(HME)により調製される。
【0041】
本発明者らは、驚くべきことに、上述されたような多くの種々のポリマーにしばしば分
散されるクラスII医薬化合物での一般的な経験に反して、特定の市販のセルロース系ポ
リマーを含むマトリックスにHME法を用いて式Iの化合物を組み込む試みがなされると
き、式Iの化合物は熱的に分解する傾向があることを見出した。例えば、ポリマーマトリ
ックスとしてのHPMCASの使用は、作製された分散体における過剰な分解産物の形成
をもたらす。いくつかの実験において、HMEにより式Iの化合物の分散体を調製する分
散マトリックスとしてのセルロース系ポリマーの使用は、生成された同じ熱エクスカーシ
ョンにAPI単独を供する場合の最大25倍のAPI分解量をもたらした。
【0042】
驚くべきことに、本発明者らは、化合物の熱分解を悪化させることなく式Iの化合物の
分散体が調製され得る市販のポリマー材料の1つのタイプが、市販の水溶性ポリマー、例
えば、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(PVP−VAポリマー)であるこ
とを見出した。水溶性ポリマー、例えばPVP−VAポリマーおよび式Iの化合物を用い
てHME法により調製された分散体は、生の式Iの化合物単独を同じ熱エクスカーション
に供するより大きな熱分解をもたらさないことが驚くべきことに見出された。したがって
、遊離塩基化合物「FIa−H」(「R
b」の全てが−Hである式Iaの化合物)または
遊離塩基化合物「FIa−F」(「R
b」の全てが−Fである式Iaの化合物)および可
能性のある2つのマトリックスポリマーの1つの完全な混合物が、TGA機器段階で17
0℃まで2分の加熱に供され、次いで室温に冷却され、既知の熱分解産物の形成について
分光学的に評価された。これらのデータは表Iにまとめられている。
【表1】
【0043】
表Iに例示されているように、これらのデータは、いくつかの市販のセルロース系ポリ
マーが、FIa−H化合物およびFIa−F化合物の両方の熱分解を悪化させることを示
している。さらに、本発明者らは、典型的にはHME処理温度が180℃に達し得、分解
産物への式Iの化合物のさらにより大きな割合の損失をもたらすことを見出した。故に、
本研究者らは、驚くべきことに、セルロース系ポリマーが使用されるときに用いられる同
じ熱エクスカーションで行われるホットメルトエクストルージョン(HME)処理法を用
いて、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(PVP−VAコポリマー)の可溶
性コポリマーに式Iの化合物を分散させることが、押出物産物において検出される分解産
物の減少をもたらすことを見出した。典型的には、そのような押出物で観察される分解産
物の増加率は、同じ式Iの化合物の試料が、HMEプロセスで経験される同じ熱エクスカ
ーションに供された場合に観察される分解産物の割合より大きくなかった。
【0044】
前述に従って、本発明の組成物における使用に適した水溶性ポリマーは、6:4比のビ
ニルピロリドン:酢酸ビニルモノマーのフリーラジカル重合により作られる任意の可溶性
PVP−VAコポリマーである。このタイプの市販のコポリマーの例は、商品名Koll
idon(登録商標)64のもと販売されているポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポ
リマー、およびその同等物である。
【0045】
マトリックスポリマーおよび少なくとも1つの式Iの化合物に加えて、本発明の押出物
は、分散剤として作用するある程度の量の賦形剤を含むであろう。その用語が本明細書で
使用されているように、分散剤は、式Iの化合物をマトリックスポリマー溶液に追い込む
こと、およびマトリックスに分散された式Iの化合物の分解損失がさらにより低い分散体
の形成を促進することに要する熱エネルギーを低減することができる。本発明の押出物に
関して、いくつかの実施形態においてビタミンEをそのポリエチレングリコールスクシネ
ート(本明細書ではd−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、
またはTPGS)の形態で使用することが好ましい。本発明の押出物における使用に適し
た市販のTPGSの例は、ポリエチレングリコール1000でエステル化されたd−アル
ファ−トコフェリルスクシネートを提供するものは何でも、例えば、Eastman C
hemical Company社製のビタミンE d− −TPGS NFであるが、
これに限定されない。いくつかの実施形態において、好ましくはTPGSは分散剤として
使用され、完成押出物中に押出組成物の少なくとも約5wt.%である量で存在する。
【0046】
他の分散剤、例えばポリエトキシ化ひまし油(例えば、クレモフォール)も使用され得
ることが理解されよう。
【0047】
押出組成物(押出物)のwt.%として表される、本発明の組成物において使用される
式Iの化合物、マトリックスポリマーおよび分散剤の相対量は異なり得、依然として本発
明の範囲内であり得る。典型的には、マトリックスポリマーは、APIおよび分散剤のw
t.%を減算後、組成物の差を補う量で存在する。典型的にはマトリックスポリマーの量
は、完成押出物の約70wt.%から75wt.%である。いくつかの実施形態において
本発明の組成物は、式Iの100%純粋遊離塩基化合物と比較して相対的活性を補正する
と、完成押出物組成物内に含有される100%遊離塩基化合物の25wt.%以下と等し
い式Iの化合物の量を含むことが好ましい。いくつかの実施形態において、好ましくは、
完成押出物に存在する式Iの化合物の量は、活性において完成押出物中の100%純粋遊
離塩基化合物の約5wt.%から約22wt.%と等しく、より好ましくは、活性におい
て完成押出物中の100%遊離塩基化合物の少なくとも約20wt.%と等しい量である
。
【0048】
本発明の組成物は、薬物がポリマー中のまたはポリマーに溶解された一般的には非晶質
の均一な分散体となるように、選択されたAPI(例えば、式Iaの化合物)にポリマー
マトリックス全体を通じて分散体を形成させるのに適したプロセスにより調製することが
できる。一般にこれは、所望の組成物の成分を加熱し、混ぜ合わせ、分散体または溶液を
固体形態で回収する何らかの方法を必要とする。分散体を得る任意の手段は、本発明から
逸脱することなく使用され得ることが理解されようが、いくつかの実施形態において、ホ
ットメルトエクストルージョン(HME)により本発明の組成物を調製することが好まし
い。ホットメルトエクストルージョン(HME)は、完成組成物分散体または溶液を、打
錠製剤(押出物)の調製においてさらなる処理に使用することができる「ヌードル」また
は他の便利に扱われる形状に形成しながら、押出機、例えば、27mm Leistri
tz二軸押出機が、ポリマー、薬物、および分散剤を混合および加熱するのに使用される
手法である。
【0049】
そのような作業の実施において、いくつかのまたは全ての成分は押出機に導入される前
に、混合(blending)、混合(mixing)または造粒プロセスにおいて、例
えば、乾燥粉末の混合または成分の湿式粉砕もしくは成分を一緒に湿式混合することによ
り予混合されて、混合物が押出機に入れられるときに成分の均一な混合物をもたらす密に
混合された成分を確保してもよい。あるいは、成分は、独立した供給流を用いて押出機に
入れられてもよい(Polymer Extrusion 4
th Edition b
y Chris Rauwendaal 2001,Hanser Gardner P
ublications,Inc.,Cincinnati,OH、またはSchenc
k et al.,(2010),Achieving a Hot Melt Ext
rusion Design Space for the Production o
f Solid Solutions,in Chemical Engineerin
g in the Pharmaceutical Industry:R&D to
Manufacturing(ed.D.J.am Ende),John Wiley
&Sons,Inc.,Hoboken,NJ,USAを参照のこと)。いくつかの本発
明の組成物に関して、それらを調製するのにHMEプロセスを使用することが好ましいが
、本発明の組成物は、式Iの化合物、マトリックスポリマーおよび分散剤の混合物が加熱
、混合、および回収され得る任意の便利な装置で溶融物を調製するのに有用な任意の手段
により、調製できることが理解されよう。
【0050】
一般に、材料を押し出すとき、押出機を通じて材料を輸送する行為は、輸送材料におい
て熱に変換されるエネルギーを材料に与える結果となる。式Iの化合物の所望の分散体ま
たは溶液をポリマーマトリックスで作製するのに必要とされる温度を得るのに、材料輸送
で消費される押出機出力からの熱伝達がそれだけで十分でない場合、一般的には押出機バ
レルに、追加の熱を材料に与える手段が与えられる。同様に、押出機バレルの異なるセク
ションが必要に応じて加熱または冷却されて、押出機バレルの一セクション内の特定の温
度を維持してもよく、またはさらには材料が通過するときに材料を冷却するために押出機
バレルの異なるセクションの熱を取り出してもよい。一般に押出機の温度、出力および押
出機の輸送スピードは、均一な分散体または溶液が調製され、故に処理中に分解を受ける
API量を最小限にすることを確保するのに必要な最小限の温度エクスカーションおよび
滞留時間を提供するように設定される。
【0051】
一般に、押出機から出てくる押出物は塑性状態にあり、圧力解放および冷却によりバレ
ルから出ると固まる。この遷移の間に、典型的には押出物は輪郭形状、例えば、ヌードル
、棒、円筒等を有し、便利な長さに切りそろえられる。押出物片が得られたら、それらは
さらに機械的に処理されて、例えば、粉砕、研削、または篩い分けにより剤形への組み込
みに便利な形態を得ることができる。用語が本明細書で使用されているように、押出機か
ら出てくる材料、およびその後、機械的プロセス、例えば、粉砕、研削、混合、篩い分け
または造粒により材料に与えられる任意の形態は、「押出物」と呼ばれる。例示的な押出
機には、Leistritz社により提供されるもの、例えば27mm Leistri
tz二軸押出機、およびThermo−Fisher社により提供されるもの、例えば1
6mm二軸Thermo−Fisher押出機が含まれる。この装置は一般的には、「ホ
ットメルトエクストルージョン」作業で使用できるように押出機バレルを加熱する手段を
備えている。
【0052】
押出物がさらなる処理のための便利な形態にされると、押出物は、経口投与に適した剤
形の提供に使用するための製剤、例えば、錠剤への加圧成形またはカプセルへの充填に適
合した製剤に組み込むことができる。偏頭痛治療の提供において、式Iの化合物を効果的
に投与するのに必要な溶解および崩壊目標を達成するために、完成押出物を含む製剤が調
製され、好ましくは粉砕されて、製剤の他の成分、崩壊系、ならびに打錠に適した製剤の
調製に有用な他の賦形剤、例えば希釈剤および滑沢剤と容易に混合される粉末形態を提供
する。本発明の製剤において使用するために、崩壊系は、従来の崩壊剤、例えば、クロス
カルメロースナトリウムまたはクロスポビドン、および「粉末塩化ナトリウム」が本明細
書に示された意味を有する場合は粉末塩化ナトリウムを含む。
【0053】
本発明の崩壊系において使用するために、語句「粉末塩化ナトリウム」は、以下の値:
(i)約210ミクロン未満のd
50、例えば、約195ミクロン、(ii)約50ミク
ロン未満のd
10、例えば、43ミクロンから44ミクロン、(iii)約470ミクロ
ン未満のd
90、例えば、約460ミクロンをもたらす粒子分布を有する形態に処理され
、および材料が約240ミクロン未満、例えば、約230ミクロンの体積平均径を示す塩
化ナトリウムを意味する。市販されている1つのそのようなタイプの塩化ナトリウムの例
は、製品名「Sodium Chloride,Powder,USP GenAR(登
録商標)製品番号7540」のもと、Avantor(商標)により提供される。
【0054】
表IIに示されたデータは、本発明の製剤における崩壊系において粉末塩化ナトリウム
を使用する必要性を例示している。したがって、本発明の押出物(PVP−VAマトリッ
クス、式Iaの化合物(FIa−H)、およびTPGSを含む前記押出物)、微結晶セル
ロースを含む希釈剤、ならびにクロスカルメロースナトリウムおよび表IIの左手の列に
示された塩から成る崩壊系を含む試験錠剤が、崩壊媒体として水性HCl(pH1.8)
を37℃で用いた標準的な崩壊試験装置(Pharamatron DT50)でのUS
P 31−NF26第701章に準拠する崩壊試験に供された。表IIに反映されている
ように、驚くべきことに、崩壊系において粉末塩化ナトリウムを使用する錠剤のみが、5
分未満の崩壊目標を満たすことができた(全ての製剤に対して一貫した硬度および厚さの
錠剤を提供するように制御された錠剤圧縮力)。
【表2】
【0055】
さらに、同等の錠剤が、クロスカルメロースナトリウムなしで粉末塩化ナトリウム単独
を用いて作られた場合、錠剤崩壊時間は同様に5分を超えることが見出された。したがっ
て、いくつかの実施形態において崩壊系は、従来の崩壊剤を粉末塩化ナトリウムと併せて
、およびより好ましくは粉末塩化ナトリウム:崩壊剤、1:1の重量比で含むことが好ま
しい、理論に拘束されることなく、本発明の錠剤が意図された溶解環境(ヒトGI管)に
暴露される場合、粉末塩化ナトリウムは、ポリマーマトリックスのゲル化の速度と比べて
急速な溶解動力学を示すと考えられる。さらに理論に拘束されることなく、粉末塩化ナト
リウムは、その微粒子プロフィールのおかげで、望ましい溶解動力学、および十分な速さ
で(マトリックスポリマーのゲル化の速度より速く)十分なイオン強度の局所的境界層を
形成してマトリックスポリマーにおけるゲル形成を抑制し、これにより、さもなければマ
トリックスポリマーにおけるゲル形成により阻害される錠剤製剤からの式Iの化合物の放
出を容易にする能力の組み合わせを有すると考えられる。急速な溶解動力学、および十分
なイオン強度の局所的境界層を急速に形成してゲル化を抑制する能力の同じ組み合わせを
示す形態で提供されるならば、本明細書に定義された本発明の範囲から逸脱することなく
、他の塩も本発明の製剤において使用できることが理解されよう。
【0056】
本発明の製剤では、本発明の崩壊系において使用する適切な崩壊剤は、例えば、クロス
カルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムポリマー)、例え
ば、FMC社から入手可能なポリマーのAC−Di−Sol(登録商標)系である。本明
細書に記載された崩壊系の他の態様に従って使用され、本発明の範囲から逸脱しないなら
ば、他の崩壊剤、例えば、クロスポビドンが効果的な崩壊系を提供するのに使用されても
よいことが理解されよう。
【0057】
式Iの化合物は偏頭痛の治療に関し、そのため急速放出製剤は、そのような錠剤が投与
されるヒト患者に治療効果をもたらす上で重要であると考えられる。
【0058】
知られているように、活性医薬化合物の放出に重要な錠剤およびカプセル剤形の2つの
性質は、剤形の崩壊時間および/または溶解時間を測定する標準的な試験を用いて実証す
ることができる。崩壊試験は、剤形が可視的に崩壊し、標準的な運転条件下、標準的な装
置に含有される標準バスケットからウォッシュアウトするのに要する時間を測定する。標
準的な崩壊試験は、266頁に始まるUSP 31−NF26、第701章で錠剤および
カプセルについて記載されている。例えば、欧州薬局方および日本薬局方に記載されたそ
の同等物があり、標準的な試験は一般的にほとんどの国の規制機関で承認されている。本
発明の製剤および錠剤に関して本明細書で「崩壊時間」が使用される場合、該用語は、水
性HCl(pH1.8)を崩壊流体として用いた37℃でのこの標準ランに準拠する試験
に従って決定されたという意味である。
【0059】
経口投与用に意図される剤形は溶解試験でも測定することができ、標準的な装置の標準
的媒体に溶解された治療化合物の量の時間−速度放出が、剤形を試験媒体へ導入した後に
測定される。錠剤およびカプセルの標準的な溶解試験は、例えば、USP 36、第71
1章に記載されている。同等の試験は、欧州薬局方および日本薬局方、ならびにUS F
DAからのガイダンス、例えば、U.S.Department of Health
and Human Services,Food and Drug Adminis
tration,Center for Drug Evaluation and R
esearchにより1997年8月に刊行された「Guidance for Ind
ustry,Dissolution Testing of Immediate R
elease Solid Oral Dosage Forms」、1〜13頁、およ
びその中の参考文献に記載されている。本発明の製剤および錠剤に関して本明細書で「崩
壊時間」が使用される場合、該用語は、900mlの模擬胃液(pH1.8)、37℃中
、50rpmで運転されるUSP 2パドルを備えた標準的溶解装置で、この標準に準拠
する試験に従って決定されたという意味である。]
1つの態様において本発明は、約12kPから約16kP、およびいくつかの実施形態
において12kPから約18kPの硬度を有するように製剤がひとたび加圧成形されると
、その中に含有されたAPIの90%超を約20分未満で放出する錠剤を提供する(U.
S.Department of Health and Human Service
s,Food and Drug Administration,Center fo
r Drug Evaluation and Researchにより1997年8月
に刊行された「Guidance for Industry,Dissolution
Testing of Immediate Release Solid Oral
Dosage Forms」、1〜13頁、およびその中の錠剤硬度が上回る参考文献
に概説された手順に従って、900mlの模擬胃液(pH1.8)、37℃中、50rp
mで運転されるUSP 2パドルを備えた標準的溶解装置での溶解試験に供される場合)
量で、本発明の押出物、粉末塩化ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムを含む
崩壊系、ならびに他の賦形剤、例えば、希釈剤、流動化剤および滑沢剤を含む錠剤の調製
に適合した製剤を提供する。
【0060】
錠剤硬度が本明細書で使用される場合、それは500mg目標重量およびカプレット形
またはカプレット形で652.2mg目標重量を有する錠剤に関してである。したがって
、該用語が本明細書で使用される場合、12kPaから16kPaの範囲に硬度を有する
錠剤は、約1.75MPaの対応する引張強度を有し、19kPaから22kPaの範囲
に硬度を有する錠剤は、約2.75Mpaの引張強度を有する。
【0061】
経口剤形(すなわち、錠剤またはカプセル)の調製に使用される本発明の製剤は、他の
賦形剤をさらに含んでもよい。例えば、加圧錠剤の調製の対象とされる本発明の典型的な
製剤は、希釈剤(例えば、マンニトール、商品、および/または微結晶セルロース、例え
ばAvicel(登録商標))、流動化剤(例えば、コロイダルシリカ、例えばCab−
O−Sil(登録商標))、および滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、商
品)を含有してもよい。本発明の組成物の調製において、他の希釈剤、流動化剤、および
滑沢剤が類似の製剤をもたらすために代用され得ることが理解されよう。
【0062】
以下の定義は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の製剤に使用され得る賦形剤
に適用される。
【0063】
希釈剤は典型的には、希釈剤を含まない剤形を簡便に処理または投与できるようにする
には製剤中の医薬品有効成分が強すぎる場合、または希釈剤なしの製剤がそれだけでは剤
形の形成を難しくする場合(例えば、希釈剤なしの製剤のアリコートが、該アリコートを
錠剤に形成するには少量すぎる場合)に、剤形のかさを増やす賦形剤である。
【0064】
崩壊剤は、水性環境、例えば胃腸管に入れられると膨張および/または溶解し、錠剤が
分解するのを助け、錠剤に含有された医薬品有効成分の放出を促進する賦形剤である。
【0065】
「崩壊系」は、崩壊系が組み込まれる剤形が、剤形が崩壊する環境、例えば模擬胃液、
被験者の胃腸管またはpH1.8の水性HCl中の環境に入れられる場合、有益な抗ゲル
化効果をもたらす従来の崩壊剤および急速に溶解する塩の組み合わせである。
【0066】
流動化剤は、粒子間摩擦を低減して粒状混合物の流れを高める賦形剤、例えばコロイダ
ルシリカである。
【0067】
経口剤形(錠剤およびカプセル)の調製に意図された医薬製剤は、薬学的に優れたおよ
び口当たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成
る群から選択される1つまたは複数の薬剤をさらに含有してもよい。
【0068】
本発明の組成物を含む固体経口剤形の提供において使用するのに適した本発明の製剤の
調製は、その後の操作(例えば、錠剤への圧縮)中に成分が分離するリスクを圧縮および
/または低減するための混合、ローラー圧縮または湿式造粒を伴ってもよい。造粒ステッ
プは、原料の特性変動(例えば、賦形剤粒径)がその後の処理(例えば、錠剤圧縮)およ
び最終産物の性能に与える影響を最小化するのにも使用することができる。潤滑は典型的
には、材料が圧縮表面(例えば、錠剤工具)に接着する傾向を低減するように、ローラー
圧縮および錠剤圧縮の前に行われる。一般に滑沢剤はステアリン酸の誘導体、例えば、ス
テアリン酸マグネシウムまたはフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0069】
剤形の調製に有用な手法および方法、例えば、Ansel,Introduction
to Pharmaceutical Dosage Forms,Seventh
Edition,1999に記載されているように公知である。
【0070】
一般に、本発明の医薬製剤からの経口剤形の調製は、本発明の医薬製剤(賦形剤、崩壊
系および本発明の組成物の混合物)が錠剤に圧縮され、またはカプセルに投入されること
を必要とする。錠剤は、様々な可能性のある形状(楕円、カプセル、両凸円等)で調製す
ることができる。粉末もカプセル投与量でカプセル化することができる(例えば、ハード
ゼラチンカプセルを用いて)。本発明の固体経口剤形の調製に適した手法は、Remin
gton’s Pharmaceutical Sciences,18th edit
ion,edited by A.R.Gennaro,1990,Chapter 8
9およびRemington−The Science and Practice o
f Pharmacy,21st edition,2005,Chapter 45に
記載されている。本発明のいくつかの実施形態において、錠剤が式Iaの化合物(100
%遊離塩基)の50mg当量を提供する目標を有する場合、462.5から537.5m
gの製剤をElizabeth Carbide Die Company(商標)、図
面番号P−14305−Bを有する打錠金型に入れ、それをKorsch(商標)タブレ
ット成形機で加圧成形して16kP以下の硬度を有する錠剤を調製することが好ましい。
【0071】
図3に関して、一般に本発明の組成物は、様々な賦形剤を粉砕分散体(その中に分散さ
れたAPIを含む可溶性ポリマーマトリックス)と乾式混合し、混合物を錠剤に圧縮して
調製される。
【0072】
以下は、押出物の調製、押出物を含む打錠製剤の調製、およびそこからの本発明の錠剤
の調製において使用される一般的な手順の記載である。以下の例は、本発明およびその実
践を例示するのみの役割を果たす。例は、本発明の範囲または趣旨への制限と解釈される
べきでない。
【0073】
[実施例]
[実施例I]
Kollidon(登録商標)64、TPGSおよび(S)−N−((3S,5S,6R
)−6−メチル−2−オキソ−5−フェニル−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)
ピペリジン−3−イル)−2’−オキソ−1’,2’,5,7−テトラヒドロスピロ[シ
クロペンタ[b]ピリジン−6,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−3−カルボキ
サミド(FIa−H)を含む押出物、打錠製剤ならびにそこから調製された錠剤の調製:
図2に関して、水溶性ポリマーマトリックスおよびその中に分散されたAPIを含む押
出物は、
(i)1:3.75のAPI:マトリックスポリマーの重量比を有する予混合物を提供す
る、結晶性FIa−Hおよびポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(マトリック
スポリマー)の量を乾式混合して、FIa−H/マトリックスポリマー予混合物を形成す
ること、
(ii)API予混合物:TPGS、19:1の重量比を提供するAPI/マトリックス
予混合物の量および溶融アルファ−トコフェロール/ポリエチレングリコールスクシネー
ト(TPGS)の量を、押出機に入れること、ならびに
(iii)約20wt%の活性APIを含むマトリックス(ポリビニルピロリドン−酢酸
ビニルコポリマー/TPGS)中にAPIの固溶体を含む押出物を提供するバレル温度、
送り速度およびスクリュー回転速度に押出機装置を維持すること
により調製した。
【0074】
したがって、1.318KgのFIa−H(全ての「R
b」が−Hである式Iaの化合
物)三水和物を4.382Kgのマトリックスポリマーと混合した。TPGS(0.30
0Kg)を溶融し、高剪断造粒機でFIa−HおよびVA−64の混合物に添加した。混
合したAPI、VA−64、およびTPGSを、6Lボウル、1000rpmのインペラ
速度、(600)rpmのチョッパー速度を有するDiosna高剪断造粒機を用いて、
8回の別々の混合で調製した。各回でブレンダーを1分間運転してFIa−Hおよびマト
リックスポリマーを混合し、次いでインペラおよびチョッパー速度を維持しながら5分に
わたってピペットにより溶融TPGSを添加した。TPGS添加後、インペラおよびチョ
ッパー速度を維持しながら混合物をさらに1分間混合した。
【0075】
約146℃から約160℃の産物温度、約14バールから約16バールのダイ圧力、3
0〜52g/分の粉末送り速度を維持しながら、混合物材料をThermo−Fisch
er 16mm押出機に入れて6.0Kgの本発明の押出物を得た。この材料を、スクリ
ーン径0(0.027’’)を備えたFitzmillで、以下の運転条件:2000〜
4500prmのインペラ速度、および衝撃:刃順方向(forward blade
direction)を用いて粉砕した。粉砕した押出物材料を、錠剤に加圧成形する混
合物(打錠混合物)の調製に使用するために、600ミクロンスクリーンを通過させて、
QICPICにより測定した場合約195ミクロンのVMDを有する粉末(押出物中間体
)を提供する大きさにした。
【0076】
打錠混合物(6kg)を、200mg/g当量の100%遊離塩基FIa−H、1.1
60kgのマンニトールSD10、0.600kgの塩化ナトリウム粉末、0.600k
gのクロスカルメロースナトリウム、0.01500kgのコロイダルシリカ、0.09
000kgのフマル酸ステアリルナトリウム、および0.5798kgのAvicel
PH102を含む3.6kgの押出物中間体を用いて調製した。ブレンダー速度は25r
pmであり、ブレンダー時間は5分であった。
【0077】
打錠混合物を1.250kgサブパーツに細分し、12〜16kP、19〜22kP、
および24〜28kPの硬度範囲に対応する錠剤を、面図面(face drawing
)P14305−B、すなわち14.68mm×8.33mmのプレーン楕円金型(pl
ain oval tool)による上下金型を備えたKorsch XI100で、打
錠混合物の各部分からのアリコートを圧縮して調製した。
【0078】
12kPから16kPの範囲に硬度を有する錠剤を、900mlの模擬胃液(pH1.
8)、37℃中、50rpmで運転されるUSP 2パドルを備えたパドル撹拌装置で、
USP 30 NF25 第711章に準拠する試験に従って試験した。これらの錠剤は
、20分未満で溶解される錠剤に含有される90%FIa−Fの放出プロフィール目標を
満たした。
【0079】
[実施例II]
Kollidon(登録商標)64、TPGSおよび(S)−N−((3S,5S,6R
)−6−メチル−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−5−(2,3
,6−トリフルオロフェニル)ピペリジン−3−イル)−2’−オキソ−1’,2’,5
,7−テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン−6,3’−ピロロ[2,3−
b]ピリジン]−3−カルボキサミド)(FIa−F))を含む押出物、打錠製剤ならび
にそこから調製された錠剤の調製:
実施例Iに示された一般的な調製を用いて、1.421KgのFIa−F(全ての「R
b」が−Fである式Iaの化合物)を、25.0L Fielder Granulat
or、「速」に設定したインペラ速度、「高」に設定したチョッパー速度で4.320K
gのマトリックスポリマーと混合した。インペラおよびチョッパー速度を維持しながら、
造粒機に0.300KgのTPGSを5分にわたって添加した。この混合材料を158℃
の産物温度、20g/分の粉末送り速度、および2〜4バールに維持したダイ圧力を提供
するように設定したThermo−Fisher 16mm押出機で熱溶融押し出しし、
4.52Kgの押出物を得た。
【0080】
故に調製された押出物(3.3Kg)を、「順」方向にセットした衝撃刃、および目標
3000rpm(2000rpmから6000rpm)に設定したインペラ速度により、
Fitzmill、スクリーン径000(0,20’’)で粉砕した。粉砕押出物を60
0ミクロンスクリーンを通して篩にかけ、3.01Kgの篩過押出物を得た。篩過材料(
3.0Kg)の一部を、フマル酸ステアリルナトリウム(0.05625Kg)、二酸化
ケイ素(0.01875Kg)、微結晶セルロース(0.9750Kg)、粉末塩化ナト
リウム(0.750Kg)およびマンニトール(1.950Kg)と24rpmで運転す
るV−ブレンダーを用いて混合した。
【0081】
上記調製した打錠混合物の2アリコート(1.957Kg)を、面図面P10165−
B(プレーン/プレーン)楕円金型、15.88mm×8.81mmによる上下金型を備
えたKorsch XI 100タブレット成形機で、652.2mgの錠剤目標重量で
、それぞれ12kP〜18kPおよび20kP〜26kPの硬度範囲に対応する錠剤に加
圧成形した。
【0082】
模擬胃液、37℃、パドル速度50rpmを用いたUSP 30 NF25 第711
章に準拠する試験において、錠剤をパドル撹拌溶解装置で溶解した。これらの錠剤は、2
0分未満で溶解される錠剤に含有されるFIa−Fの90%の放出プロフィール、および
水性HCl(pH1.8)、37℃で試験した、崩壊媒体として水性HCl(pH1.8
)を37℃で用いた標準的な崩壊試験装置(Pharamatron DT50)でUS
P 31−NF26第701章に準拠する崩壊試験を用いて試験した場合、5分未満での
完全崩壊の崩壊目標を満たした。
【0083】
前述の明細書は、例示目的で提供される例を用いて本発明の原理を教示するが、本発明
の実践は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある有用な変形形態、適応形態および/また
は修正形態の全てを包含する。