特許第6666546号(P6666546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6666546
(24)【登録日】2020年2月26日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/28 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   G07F11/28
【請求項の数】3
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-31213(P2016-31213)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-151542(P2017-151542A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩子 努
(72)【発明者】
【氏名】福田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】中里 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 康宏
(72)【発明者】
【氏名】西山 貴史
【審査官】 松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−134830(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0210088(US,A1)
【文献】 実開昭62−183764(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/28−11/32
A47F 3/04,5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口に対して商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納棚と、この商品収納棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収納棚に収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機において、前記商品収納棚は、左右一対のラック側板に跨る態様で架設された一枚の棚として形成され、かつ、その板面に設定溝を複数穿設してなり、平板状に形成され、下部を商品収納棚の板面の設定溝に係合させる一方、上部を上段の商品収納棚の係止部に係止させて商品収納棚に装着することにより商品投入口から投入された商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する仕切部材を備え
商品収納棚の係止部は、前端に形成した複数の位置決め溝からなり、仕切部材は、その下部に商品収納棚の設定溝に係合する爪を有するととともに上部前端に商品収納棚の位置決め溝に係合する係止爪を有することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口に対して商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納棚と、この商品収納棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収納棚に収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機において、前記商品収納棚は、左右一対のラック側板に跨る態様で架設された一枚の棚として形成され、かつ、その板面に設定溝を複数穿設してなり、平板状に形成され、下部を商品収納棚の板面の設定溝に係合させる一方、上部を上段の商品収納棚の係止部に係止させて商品収納棚に装着することにより商品投入口から投入された商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する仕切部材を備え
商品収納棚の設定溝および係止部は、仕切部材の下部に形成した爪および上部前端に形成した係止爪を横並びに複数収納可能な大きさを有することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
切部材は、前後方向の略中央位置の上部側に、左右一対のラック側板に架設されたピンが挿通するガイド穴を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する複数の商品収納通路を画成してなる商品収納棚を上下方向に多段に備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機は、本体キャビネットの庫内に複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路(商品コラムともいう)を備えた商品収納棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックを備え、この商品収納ラックが左右方向に複数列並設されている。前記商品収納ラックは、商品収納通路の商品搬出口が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して構築され、前記商品収納通路の商品搬出口には当該商品収納通路に横倒し姿勢で収容された商品を一個ずつ切り出す商品搬出装置が設けられている。このような商品収納ラックは、スラントラックとも称される。このようなスラントラックとして図15乃至図17に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図15は従来のスラントラックを備えた自動販売機の側面図、図16は商品収納庫内を示す斜視図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開口した断熱筐体としてなる本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面開口を閉塞する態様で開閉可能に支持された外扉2とからなる。前記本体キャビネット1の商品収納庫内は断熱仕切板100(図16参照)により左右方向に複数の商品収納室A1,A2に区画され、商品収納室A1には1個の商品収納ラック4が収納設置され、商品収納室A2には2個の商品収納ラック4が収納設置されている。商品収納ラック4の下部には、商品搬出シュート6と商品収納ラック4に収容した商品Gをコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット7が配設されている。さらに、本体キャビネット1の下部の機械室8には、冷却/加熱ユニット7の冷却ユニットと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット9が配設されている。
【0004】
前記商品収納ラック4は、前後に分離された前方側ラック側板41Fと後方側ラック側板41Rからなる左右一対のラック側板41、前方側ラック側板41Fに架設された前方側商品収納棚42Fと後方側ラック側板41Rに架設された後方側商品収納棚42Rからなる商品収納棚42(図17参照)、前記前方側商品収納棚42Fと後方側商品収納棚42Rに跨って配設されるとともに第1商品収納棚42Fおよび第2商品収納棚42Rに連結された左右一対のトップガイド40、商品収納棚42(後方側商品収納棚42R)の下面に配設された商品搬出装置5を備えてなる。
【0005】
前方側商品収納棚42Fと後方側商品収納棚42Rからなる商品収納棚42は、商品投入口44となる前方側が高く、商品搬出口45となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜する態様で第1ラック側板41Fおよび第2ラック側板41Rに架設されている。左右一対のトップガイド40は、前後の商品収納棚42に跨って配設される態様で前後方向に延在している。前後の商品収納棚42と左右一対のトップガイド40に囲まれた内部空間が複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収納通路43(商品コラム)として構成され、この商品収納通路43(商品コラム)が上下多段(この例では10個の商品コラム)に形成されている。このように構成された商品収納ラック4が商品収納庫内に左右方向に複数並設されている。前記各商品収納通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収納通路43の上部、この例においては上段側の商品収納棚42の下面に配設された商品搬出装置5は商品収納通路43に収容された商品Gを一個ずつ切り出して搬出通路46に搬出する。そして、各段における商品収納棚42の後端部には、搬出通路46に突出する突出位置と、落下する商品Gにより押し開かれて搬出通路46から退避する退避位置との間を回動する姿勢制御板47が配備されている。この姿勢制御板47はコイルばねにより搬出通路46に向けて突出するように付勢されており、搬出通路46を落下する商品Gにより押し開かれて搬出通路46から退避する際、当該商品Gの姿勢を横倒し姿勢に矯正するとともに当該商品Gの落下エネルギーを吸収してその落下速度を低減させる機能を有している。
【0006】
前記商品収納通路43を画成する前後の商品収納棚42に跨って前後方向に延在する左右一対のトップガイド40は図17に示すように構成されている。図17は、図16に示した商品収納室A2に収納設置された右側の商品収納ラック4における商品収納通路43を示し、この例ではロングサイズの商品および前記ロングサイズの商品の半分の長さのショートサイズ以下の商品(以下、単にショートサイズの商品という)の販売に共用されるものであり、図ではショートサイズの商品を左右に分離して収納して販売する例を示している。トップガイド40は、商品収納通路43にショートサイズの商品を左右に分離して収納することができるように、右コース用の固定トップガイド40RR、および前記固定トップガイド40RRと対をなす可動トップガイド40MR、左コース用の固定トップガイド40ML、および前記固定トップガイド40MLと対をなす可動トップガイド40LLからなる。トップガイド40の構成は略同一であり、固定トップガイド40RRを例にとると、L字状に折り曲げた商品載置部40RR1と側壁部40RR2とからなる薄板鋼板になる。固定トップガイド40RRは、商品載置部40RR1の前端に設けたカール状の嵌合部を前方側商品収納棚42Fの前端に設けたカール状の支持軸に遊嵌されて左右にスライド移動自在である。また、商品載置部40RR1の板面には背面側に向けて突出するV字状のフック片が切り起こしにより形成され、この係合爪を後方側商品収納棚42Rの板面に形成した設定溝に係合させることにより位置決めされるように構成されている。このトップガイド40と商品収納棚42との関係はサーペンタイン式商品収納ラック4の商品投入口と前後方向に蛇行した商品通路とを連係するトップトレーとトップガイドとして周知のものである。
【0007】
図17に示すようにトップガイド40をセットした状態で、固定トップガイド40RRと可動トップガイド40MRとの間、および固定トップガイド40MLと可動トップガイド40LLとの間にそれぞれショートサイズの商品の幅に対応する通路幅を有する商品収納通路43が2列前後方向に延在する態様で形成される。ショートサイズよりも短い商品を販売する場合には、可動トップガイド40MR若しくは可動トップガイド40LLを右方向にスライドさせて所定位置にセットする。そして、ロングサイズの商品を販売する際には、右コース用の可動トップガイド40MRを右方向にスライドさせて固定トップガイド40RRに近接させる一方、左コース用の固定トップガイド40MLを左方向にスライドさせて可動トップガイド40LLに近接させる。この場合、可動トップガイド40MRの商品載置部40MR1が固定トップガイド40RRの商品載置部40RR1に乗り上げて上下に重なり、固定トップガイド40MLの商品載置部40ML1が可動トップガイド40LLの商品載置部40LL1の下に潜り込んで上下に重なるようになる。これにより右コース用の可動トップガイド40MRと左コース用の固定トップガイド40MLとの間にロングサイズの商品の幅に対応する通路幅を有する商品収納通路43が前後方向に延在する態様で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5810567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種の自動販売機においては、一つの商品収納ラック4で長さの異なる複数種類の商品(左右一対のラック側板41の間の寸法以下の長さの商品)を販売可能とし、その際、商品収納通路43の通路幅を商品の長さに合わせて設定することにより商品の安定した転動を可能とすることが望まれている。かかる要求に対して前述した特許文献1に開示された発明においては、商品収納通路43を前後の商品収納棚42に跨って前後方向に延在する左右一対のトップガイド40により形成し、販売する商品の長さに合わせて左右一対のトップガイド40の一方を他方に接近・離隔させてセットすることにより通路幅を定めるとともに左右一対のトップガイド40が商品載置部と側壁部とからなるL字状をなすことから起立姿勢が維持されて傾倒することがないので、商品の安定した転動を可能とする点で優れている。ところで、特許文献1に開示された発明においては、トップガイド40がL字状に形成されていることから、販売する商品の長さに合わせて左右一対のトップガイド40を接近させる場合、一方のトップガイド40の商品載置部を他方のトップガイド40の商品載置部の上に乗り上げさせて(若しくは下に潜り込ませて)上下に重なるように構成されている。このため、少なくとも両者の商品載置部が重なり合う寸法分だけ両者を接近させることができなくなる。例えば、図17に示したショートサイズの商品の販売にセットされた状態からロングサイズの商品の販売にセットする際には、左コース用の固定トップガイド40MLおよび右コースの可動トップガイド40MRを左コースの可動トップガイド40LLに向けて接近させて右コースの固定トップガイド40RRと左コース側に寄せた可動トップガイド40MRとの間にロングサイズの商品の通路幅が設定される。この場合、左コースの固定トップガイド40MLの商品載置部40ML1を可動トップガイド40LLの商品載置部40LL1と上下に重なり合わせて接近させるのであるが、固定トップガイド40MLの商品載置部40ML1を可動トップガイド40LLの商品載置部40LL1と上下に重なり合わせても可動トップガイド40LLの側壁部40LL2に対して固定トップガイド40MLの側壁部40MR2が、固定トップガイド40MLの商品載置部40ML1と可動トップガイド40LLの商品載置部40LL1とが上下に重なり合う寸法分だけ商品収納通路43内に位置してしまうこととなる(右コースの固定トップガイド40MLの側壁部40ML2は、その商品載置部40ML1が可動トップガイド40LLの商品載置部40LL1と上下に重なり合うことにより固定トップガイド40MLの側壁部40MR2に密着する)。このため、商品収納通路43の通路幅(固定トップガイド40MLの側壁部40MR2と、右コースの固定トップガイド40RRの側壁部40RR2との間の幅)は、左右一対のラック側板41の間の幅(最大通路幅)よりも短くなる。つまり、固定トップガイド40MRと可動トップガイド40LLとのそれぞれの商品載置部が上下に重なり合う分だけ左右一対のラック側板41の間に商品の収納を制限する空間が生じるので最大通路幅に対応する長さの商品を販売することができず、販売する商品が制限されてしまうという課題を有する。
【0010】
前記課題を解決するため、前後に分割された商品収納棚を一枚ものの棚として商品の転動路を形成し、商品の通路幅を定めるトップガイドの構成を、その商品載置部を除去した側壁部のみの構成として形成、言い換えれば、平板状からなる仕切部材として形成し、商品の通路幅に応じた位置に仕切部材をセット(商品収納棚に設けた設定溝にセット)するために仕切部材の下部に係合爪を設けることが考えられるが、仕切部材の下部に設けた係合爪を商品収納棚の設定溝に係合させるのみでは仕切部材が傾倒することは避けられず、ただ単にトップガイドを側壁部のみの平板状の仕切部材として形成しても課題の解決には至らないものである。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、販売する商品の収納を制限する空間が生じることのない平板状の仕切部材によっても商品を安定して転動させることが可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1にかかる発明は、左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口に対して商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納棚と、この商品収納棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収納棚に収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機において、前記商品収納棚は、左右一対のラック側板に跨る態様で架設された一枚の棚として形成され、かつ、その板面に設定溝を複数穿設してなり、平板状に形成され、下部を商品収納棚の板面の設定溝に係合させる一方、上部を上段の商品収納棚の係止部に係止させて商品収納棚に装着することにより商品投入口から投入された商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する仕切部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、商品収納棚の係止部は、前端に形成した複数の位置決め溝からなり、仕切部材は、その下部に商品収納棚の設定溝に係合する爪を有するととともに上部前端に商品収納棚の位置決め溝に係合する係止爪を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、商品収納棚の設定溝および係止部は、仕切部材の下部に形成した爪および上部前端に形成した係止爪を横並びに複数収納可能な大きさを有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかの項に記載の自動販売機において、仕切部材は、前後方向の略中央位置の上部側に、左右一対のラック側板に架設されたピンが挿通するガイド穴を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、左右一対のラック側板と、この左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設され、商品投入口に対して商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納棚と、この商品収納棚における商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置により当該商品収納棚に収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機において、前記商品収納棚は、左右一対のラック側板に跨る態様で架設された一枚の棚として形成され、かつ、その板面にスリット状の溝を複数穿設してなり、平板状に形成され、下部を商品収納棚の板面の溝に係合させる一方、上部を上段の商品収納棚の係止部に係合させて商品収納棚に装着することにより商品投入口から投入された商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する仕切部材を備えたことにより、平板状の仕切部材は上下の商品収納棚に係止固定されて起立姿勢が維持されるので商品を安定して転動させることができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機によれば、請求項1に記載の自動販売機において、商品収納棚の係止部は、前端に形成した複数の位置決め溝からなり、仕切部材は、その下部に商品収納棚の設定溝に係合する爪を有するととともに上部前端に商品収納棚の位置決め溝に係合する係止爪を有することにより、仕切部材の係止爪を上段の商品収納棚の位置決め溝に係合させる作業を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機によれば、請求項1に記載の自動販売機において、商品収納棚の設定溝および係止部は、仕切部材の下部に形成した爪および上部前端に形成した係止爪を横並びに複数収納可能な大きさを有することにより、商品コラム数の変更により余剰となった仕切部材を並置して商品収納棚に格納しておくことが可能であり、最大の商品コラムに対応する仕切部材を装着して出荷した場合にも商品コラムの数を減らした際に余剰となる仕切部材を取り外したり、取り外した仕切部材を自動販売機の内部に格納するスペースを確保する必要がないという効果を奏する。
【0019】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機によれば、請求項1から3のいずれかの項に記載の自動販売機において、仕切部材は、前後方向の略中央位置の上部側に、左右一対のラック側板に架設されたピンが遊びをもって挿通するガイド穴を有することにより、仕切部材を販売する商品の長さに応じて移動調整する際、ピンをガイドとして仕切部材を容易にスライド移動させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る自動販売機における商品収納ラックの要部を示し、(a)はその右斜め上方から見た斜視図、(b)はその右斜め下方から見た斜視図である。
図2図1の商品収納ラックの分解図である。
図3図1の商品収納棚を示し、(a)はその斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図4図1の仕切部材を示す斜視図である。
図5図1の係止部材を示す斜視図である。
図6図1の商品搬出装置の斜視図である。
図7図6の背中合わせに抱き合せて用いられる一方および他方の商品搬出装置の背面を示す斜視図である。
図8】一方の商品搬出装置の分解図である。
図9図8の商品搬出装置における基板を示す背面斜視図である。
図10図8の商品搬出装置における下ペダル部材の背面斜視図である。
図11図8の商品搬出装置における上ペダル部材の斜視図である。
図12図8の商品搬出装置におけるリンク機構を示す分解斜視図である。
図13】一方の商品搬出装置におけるモータ駆動ユニットの要部構成と動作を示し、(a)は待機時の要部平面図、(b)は販売時の要部平面図である。
図14】仕切部材の操作説明図である。
図15】本発明が対象とする自動販売機の側面図である。
図16図15の商品収納ラックを示す斜視図である。
図17図15の商品収納棚を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明の実施の形態に係る自動販売機における商品収納ラックの要部斜視図とその分解斜視図である。なお、本発明の実施の形態に係る自動販売機が従来の自動販売機と相違する点は、左右一対のラック側板に上下方向に多段に架設された商品収納棚、前記商品収納棚に装着されて商品収納通路を画成する仕切部材、および係止部材であり、その他の構成は図15図16に示したものと同一であるので、従来装置と同一のものには同一の符号を付して適宜図15図16を参照しつつ重複する説明は省略する。また、左右とは、自動販売機の前面から見た場合の左右を指すものである。
【0022】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る自動販売機における商品収納ラックは、商品投入口44に対して商品搬出口45が低くなるように傾斜して配設された商品収納棚10と、この商品収納棚10に装着されて商品収納通路43を画成する仕切部材20とを備えている。
【0023】
図1および図2に示した2段の商品収納棚10は、図15に示した自動販売機の最上段とその下位の商品収納棚42に対応するものであり、従来と同様に左右一対のラック側板41,41に上下方向に架設される。前記商品収納棚10は、前方の商品投入口44から横倒し姿勢で投入された商品の転動面または滑動面となるものであり、左右一対のラック側板41,41に跨る態様で架設された一枚の厚板鋼板製になり、商品搬出口45となる後部側下面に商品搬出装置50が配設されるとともに後端部に姿勢制御板47が配備されている。なお、この実施の形態では商品コラムの最大数が6個であって、6個の商品コラムに対応して6個の商品搬出装置50が配設され、左右および中央の2個ずつの商品搬出装置50がそれぞれロングサイズの商品とショートサイズの商品に対応して同期若しくは個別に制御されて商品を一個ずつ切り出して搬出するように構成されているものである。
【0024】
前記商品収納棚10は、図3に示すように、矩形の板面の左右側縁から下方に折り曲げられたフランジ11を形成して補強が図られている。商品収納棚10の前端には中空円筒形状(カール状)に丸めて形成された支持軸12が形成され、支持軸12の左右両端はそれぞれフランジ11よりも外方に突出して左右一対のラック側板41,41に架設されるように構成されている。商品収納棚10の後端には折り曲げにより形成された溝状の保持部13が設けられ、保持部13の左右両端はそれぞれフランジ11よりも外方に突出して左右一対のラック側板41,41に架設されるように構成されている。商品収納棚10の背面側後端には商品搬出装置50が配設され、また、前記溝状の保持部13には姿勢制御板47が取付けられる。
【0025】
前記商品収納棚10の板面には前後一対のスリット状の設定溝14,14が左右方向に複数穿設されている。この前後一対のスリット状の設定溝14,14は、ロングサイズの商品を販売する商品コラムに対応する設定溝域14R,14C,14Lを有し、設定溝域14R,14Cの設定溝14は中央にショートサイズの商品用の1個と左端側にロングサイズの商品用の3個が形成され、設定溝域14Lの設定溝14は中央にショートサイズの商品用の1個が形成されている。また、商品収納棚10の前端のカール状部には、下段の商品収納棚10の複数の設定溝14に対応した位置決め溝15が複数形成されている。この位置決め溝15は、図3の(b)を参照すると理解できるように、カール状部の円周の一部を穿孔して形成されており、この実施の形態では前段の設定溝14に連通して形成されている。この位置決め溝15が仕切部材20を係止する係止部を構成する。なお、設定溝14および位置決め溝15の幅は、少なくとも仕切部材20の板厚の2倍より僅かに大きな幅に形成されている。
【0026】
また、前記商品収納棚10の後端寄りには3個の開口部16が形成され、これらの開口部16は商品搬出装置50の第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53(後述する図6図8参照)を商品収納通路43に出没させるものである。
【0027】
仕切部材20は、平板状の薄板鋼板製になり、前後方向に延在する態様で商品収納棚10に装着されて商品収納通路43を画成するとともに当該商品収納通路43の通路幅を定めるものである。仕切部材20は、図4に示すように、その下部に下方に突出する前後一対の爪21,21が形成され、前後一対の爪21,21は商品収納棚10の板面に形成した前後一対の設定溝14,14にそれぞれ係合可能に構成されている。仕切部材20の上部には係止爪22とガイド穴230が形成されている。係止爪22は、仕切部材20の上部前方に位置して上方に延在するとともに後方に向いたフックとして形成され、当該フックが上段の商品収納棚10の位置決め溝15に係合可能に構成されている。ガイド穴230は仕切部材20の上部の前後方向中間に上方に突出する突片23に穿孔された前後方向に延在する長穴として形成され、このガイド穴230に左右一対のラック側板41,41に架設されたピン40が遊嵌されるものである。前記係止爪22は、上段の商品収納棚10の位置決め溝15に係合させるために突片23の上端よりも一段高く形成されている。
【0028】
仕切部材20の幅、すなわち、爪21の下端から突片23の上端までの高さは、上下の商品収納棚10,10の間の間隔よりも小さく形成され、仕切部材20を起立姿勢に維持した状態で上下の商品収納棚10,10の間を左右方向にスライド移動自在に形成されている。また、仕切部材20の前後方向の長さは、商品収納棚10の前端から商品収納棚10に配設された商品搬出装置50の近傍(側方)に至る長さに形成されている。この場合、仕切部材20の上部後端側には商品搬出装置50の後述する第2ストッパ部材52(図6図8参照)との干渉を避ける切欠き24が形成されている。
【0029】
前記商品収納棚10と仕切部材20に加えて最上段の商品収納棚10の上方に係止部材30が敷設される。この係止部材30は、商品収納棚10を前後方向に縮めた形態をなし、図5に示すように、その前端に中空円筒形状(カール状)に丸めて形成されるとともに左右に突出した支持軸31が形成され、その後端には折り曲げにより形成されるとともに左右に突出した溝状の保持部32が形成されている。この係止部材30は、前記支持軸31および保持部32の左右両端を左右一対のラック側板41,41に係合させることによりラック側板41,41に架設されるように構成されている。また、係止部材30の前端のカール状部には複数の位置決め溝(係止部)33が形成されている、この位置決め溝33は、最上段の商品収納棚10の板面に形成した複数の設定溝14に対応して形成されている。
【0030】
前記商品収納棚10の商品搬出口45となる後部側背面に配設された商品搬出装置50は、薄い箱形の基板51(図7図9参照)に形成された矩形の開口部510(図8図9参照)から商品収納通路43に出没自在に軸支されるとともに販売順位一番の商品(最後端の商品であり、販売商品ともいう)を保持する態様で商品収納通路43に突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で商品収納通路43から退避する退避位置との間を移動可能に設けた第1ストッパ部材52と、基板51に形成された矩形の開口部510から商品収納通路43に出没自在に軸支されるとともに商品収納通路43から退避する退避位置と販売商品に続く販売順位二番の商品(最後端の商品に続く商品であり、次販売商品ともいう))を保持する態様で商品収納通路43に突出する突出位置との間を移動可能に設けた第2ストッパ部材53(図6図8参照)と、前記第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構54(図7図8参照)と、このリンク機構54を駆動するモータ駆動ユニット57(図7図8参照)とを有し、待機時に第1ストッパ部材52が商品収納通路43に突出して販売順位一番の商品を保持し、第2ストッパ部材53が商品収納通路43から退避した状態にあり、販売指令に基づいて前記モータ駆動ユニット57を駆動することによりリンク機構54を介して第2ストッパ部材53を商品収納通路43に突出させて販売順位二番の商品を保持したうえで第1ストッパ部材52を商品収納通路43から退避させて販売商品を払い出すように構成されたものである。
【0031】
前記商品搬出装置50は、この実施の形態では、図6に示すように、2個の商品搬出装置50を背中合わせに抱き合せた状態(図7では背中合わせに抱き合せる前の状態)で取付けられるものを示し、背中合わせに抱き合せた一方(上部側)の商品搬出装置50の第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53が商品収納棚10の開口部16から商品搬出通路43に出没し、背中合わせに抱き合せた他方(下部側)の商品搬出装置50の第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53が下段の商品収納棚10における商品搬出通路43に出没するように構成されている。これらの商品搬出装置50は、商品収納棚10の左右のフランジ11に架設される前後のピン部材P,P(図1の(b)も参照)に基板51に形成した後述する上下の係合部を係合させることにより商品収納棚10に取付けられている。この商品搬出装置50の商品収納棚10への取付けは、前後のピン部材P,Pに係合させて取付けることに限らず、特許文献1に記載された方法によって商品収納棚10に直接取付けることができるものである。
【0032】
商品搬出装置50は、図8に示すように、薄板鋼板製の薄い箱形になる基板51を備えている。この基板51の背面側には第1ストッパ部材52,第2ストッパ部材53,リンク機構54,モータ駆動ユニット57,売切検出スイッチ58,配線カバー59などが配設されている。図8は、背中合わせに抱き合せて配設される一方の商品搬出装置50を示し、背中合わせに抱き合せて配設される他方の商品搬出装置50はモータ駆動ユニット57を除いて同一の構成をなしているものである。つまり、モータ駆動ユニット57は背中合わせに抱き合せて配設される他方の商品搬出装置50の駆動源としても用いられるものである。
【0033】
前記基板51は、図9に示すように、その周縁に背面側に向けて延在する前後左右のフランジ51c,51d,51a,51bを形成して薄い箱形に形成されている。基板51における矩形平板の後半領域には比較的大きな開口部510を設け、前記開口部510が第1ストッパ部材52,第2ストッパ部材53の配設位置として構成され、基板51の前半領域がモータ駆動ユニット57の配設位置として構成されている。基板51の左右フランジ51a,51bの前部には、商品収納棚10のフランジ11に架設された前部側のピン部材Pと係合する係合部51a1,51b1を設けるとともに左右フランジ51a,51bの後部には後部側のピン部材Pと係合する半円状の係合溝51a2,51b2を設けている。また、基板51の前フランジ51cに前部側のピン部材Pに係合するフック状の係合部51c1を設ける一方、基板51の開口部510の後縁を形成する開口フランジ511に、後部側のピン部材Pに係合する下向きフック状の係合部512および後述する復帰ばね540の下端が係止される係止片513を設けている。
【0034】
前記基板51の開口部510に臨んで軸受部514が設けられている。この軸受部514は、開口部510の左右方向の略中央部に位置している。前記軸受部514は、リンク機構54に支持された後部リンクピン55および前部リンクピン56の一端を支持するとともに第1ストッパ部材52,第2ストッパ部材53に関わる共通の回動軸520(後述)の中央域を支持するものである。後部リンクピン55および前部リンクピン56の他端は、基板51の開口部510の左縁に基板51の背面側に突出して形成された開口フランジ515により支持されている。回動軸520の両端は、前記開口部510の右縁に基板51の背面側に突出して形成された開口フランジ516と前記開口フランジ515により支持されている。なお、軸受部514と開口フランジ515とにおける上記後部リンクピン55および前部リンクピン56を支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部514について説明した後に開口フランジ515に係る構成について説明する。
【0035】
前記軸受部514は、基板51に形成された開口部510における前縁と後縁とに一体的に連結されるとともに基板51の平板面により背面側に浮き上がるように形成され、開口部510を左右に二等分している。この軸受部514は、基板51における開口部510を形成する際に、その開口部510を左右に分断するように基板51の板面の一部を残して基板51に一体に形成されたものであり、背面側への折り曲げにより上半部が横断面コ字状に形成され、下半部がコ字状の左方の脚片を除去した形状になる。前記軸受部514(左方の脚片)には、前後方向に延在する前後一対の長穴517,517を設けている。
【0036】
前記開口部510の右縁に形成された開口フランジ515には、前記軸受部514の前後一対の長穴517,517に対応する長穴518,518を設けている。また、前記開口フランジ515における前後一対の長穴518,518のほぼ中間位置には支軸穴519が設けられ、前記開口部510の右縁に形成された開口フランジ516にも、前記開口フランジ515に設けた支軸穴519と同一線上に支軸穴519が設けられている。
【0037】
前記開口フランジ516に設けた支軸穴519と前記開口フランジ515に設けた支軸穴519は、第1ストッパ部材52と第2ストッパ部材53に共通の回動軸520を支持するものである。また、前記軸受部514に設けた後方の長穴517と前記開口部510の右縁に形成された開口フランジ515に設けた後方の長穴518は、リンク機構54に支持された後部リンクピン55をそれぞれ前後方向にスライド移動可能に支持する一方、前記前記軸受部514に設けた前方の長穴517と前記開口フランジ515に設けた前方の長穴518は、リンク機構54に支持された前部リンクピン56をそれぞれ前後方向にスライド移動可能に支持するものである。なお、前記支軸穴519、長穴517,518の穴周縁はヘミング加工若しくはバーリング加工を施して回動軸520、後部リンクピン55,前部リンクピン56との摩擦を低減するように構成されている。
【0038】
また、基板51の上半領域にはモータ駆動ユニット57(図7図8参照)を保持する穴51eが穿設されるとともに左フランジ51aの近傍に前記モータ駆動ユニット57の回り止め用の突部51fが設けられている。また、前記モータ駆動ユニット57の取付けのために前フランジ51cにはモータ駆動ユニット57の爪部57a,57a(図8参照)が係合する穴51g,51gが設けられている。
【0039】
前記第1ストッパ部材52は、基板51の開口部510を閉塞する態様で回動軸520に回動可能に支持されている。第1ストッパ部材52は、回動軸520を中心として回動して、基板51の開口部510から商品収納通路43に突出する突出位置と、開口部510を閉塞する態様で商品収納通路43から退く退避位置との間に移動可能であり、退避位置に退避した際に基板51の開口部510を閉塞する。回動軸520には、図8に示した捻りコイルばね527が巻装してある。第1ストッパ部材52は、捻りコイルばね527の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置において商品(販売商品)を保持する。
【0040】
前記第1ストッパ部材52は、図10に示すように、平板状の保持部521の背面に2個の軸受部522を一体に形成した合成樹脂(たとえば、ポリアセタール)製になる。前記保持部521の基端側の左右両端には軸挿通穴525aを有する左右一対の軸支部525が突出形成されるとともに左右一対の軸支部525の周縁部に売切れ突起526が突出形成されている。この軸支部525の軸挿通穴525aは、回動軸520を挿通するためのものである。また、軸支部525は基板51の開口部510の左右両側に穿設した長穴501,502(図9参照)に差し込んだうえで軸挿通穴525aに回動軸520を挿通させるように構成されている。
【0041】
前記2個の軸受部522は、平板状の保持部521の左右方向の一方に片寄せて配設されている。この2個の軸受部522の左右方向の幅は、基板51の開口部510における軸受部514により二等分された開口(空間)幅よりも小さく当該空間を通過可能な寸法に定められ、保持部521の中央より左右のいずれか一方に片寄せて配設(図9では、開口部510における軸受部514と開口部510の開口フランジ515との間の開口(空間)に対応して配設)している。これは、2個の商品搬出装置50,50を背中合わせに抱き合せた場合に、一方の商品搬出装置50の第1ストッパ部材52と他方の商品搬出装置50の第1ストッパ部材52が互いに干渉することがないようにするためである。2個の軸受部522の基端部側にはそれぞれ軸挿通穴522aが設けられている。これらの軸挿通穴522aは、回動軸520を挿通するためのものであり、保持部521の左右両端に形成した軸支部525の軸挿通穴525aと同一軸線上に位置している。2個の軸受部522の基端部からは円弧状の係止突起523がそれぞれ突出して形成されている。また、2個の軸受部522の基端部からは円弧状のガイド突起524が形成されている。この円弧状のガイド突起524は、円弧状の係止突起523との間に、後部リンクピン55を案内する湾曲状のガイド溝524aを形成するように構成されている。
【0042】
前記第1ストッパ部材52の軸受部522における係止突起523の先端は、後方に移動(以下、下降ともいう)した後部リンクピン55と当接して第1ストッパ部材52を商品収納通路43に突出した突出位置にロックするものであり、後部リンクピン55が前方へ移動(以下、上昇ともいう)すると前記ロックを解除して第1ストッパ部材52の退避位置へ向けての回動を許容するものである。この退避位置への移動の際に、後部リンクピン55が前記ガイド溝524aに沿って摺動する。
【0043】
第2ストッパ部材53は、基板51の開口部510の左右側縁に形成した開口フランジ515,516の間に介在してあり、回動軸520に回動可能に支持してある。第2ストッパ部材53は、回動軸520を中心として回動して、基板51の開口部510から商品収納通路43に突出する突出位置と、開口部510を閉塞する態様で商品収納通路43から退く退避位置との間に移動可能である。
【0044】
前記第2ストッパ部材53は、図11に示すように、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、基端部側に形成された軸挿通穴531aを備えた3個の軸支部531と、左右方向のいずれか一方に片寄せて配設(図11では左側に配設)されるとともに背面側に突出した2個のストッパ壁532と、先端側に形成されるとともに背面側に突出する2個の舌片533aを有する商品の保持部533が一体成形されている。
【0045】
前記軸支部531の軸挿通穴531aは、回動軸520を挿通するためのものである。この軸挿通穴531aを備えた3個の軸支部531は、第1ストッパ部材52における2個の軸受部522と位置をずらして分散して設けられている。
【0046】
前記第2ストッパ部材53の2個のストッパ壁532は、左右方向の一方に片寄せて配設(図11では左側に配設)され、第1ストッパ部材52における2個の軸受部522と位置をずらして分散して設けられている。この2個のストッパ壁532の左右方向の幅は、基板51の開口部510における軸受部514により二等分された開口(空間)幅よりも小さく当該空間を通過可能な寸法に定められ、図9では、基板51の開口部510における軸受部514と開口部510の開口フランジ515との間の開口(空間)を通過するように構成されている。これは、2個の商品搬出装置50,50を背中合わせに抱き合せた場合に、一方の商品搬出装50置の第2ストッパ部材53と他方の商品搬出装置50の第2ストッパ部材53が互いに干渉することがないようにするためである。
【0047】
前記2個のストッパ壁532は、基端部側に設けた軸挿通穴532aおよび凹状の摺動溝535と、この凹状の摺動溝535の溝壁に沿って形成されたストッパ面534を備えている。凹状の摺動溝535は、前部リンクピン56が摺動可能であり、第2ストッパ部材53が退避位置に退避した状態では前部リンクピン56を受容するように構成されている。前記ストッパ壁532のストッパ面534は、前部リンクピン56の上昇により前部リンクピン56が凹状の摺動溝535の溝壁に当接して第2ストッパ部材53が商品収納通路43に突出した際(前部リンクピン56が摺動溝535から抜け出した際)に前部リンクピン56と当接して第2ストッパ部材53を突出位置でロックするものである。
【0048】
前記第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53を軸支する回動軸520の基板51への組付けは、第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53を基板51の開口部510の所定位置に配設する。次いで、基板51の左フランジ51aの外側から当該左フランジ51aに形成した丸穴51a3(図9参照)に回動軸520の先端を差し込む。そして、開口部510の開口フランジ515に形成した支軸穴519、開口部510の開口フランジ516に形成した支軸穴519の順に挿通させる。この場合、第1ストッパ部材52の設けた左右一対の軸支部525の軸挿通穴525a,第1ストッパ部材52の軸受部522に設けた軸挿通穴522a、第2ストッパ部材53の軸挿通穴531a,532aが開口フランジ515,516に形成した支軸穴519,519と一直線上に位置するように所定位置に配置されているので、第1ストッパ部材52と第2ストッパ部材53が回動軸520に軸支される。回動軸520の頭部には径外方向に張り出したストッパが設けられており、このストッパが開口フランジ515に当接するまで回動軸520は差し込まれる。なお、回動軸520は、基板51の左フランジ51aと開口フランジ515との間に装着される配線カバー59(図7図8参照)に頭部が当接することにより抜け止めが施される。
【0049】
前記リンク機構54は、モータ駆動ユニット57(図7図8参照)により駆動され、第1ストッパ部材52を商品収納通路43に突出した突出位置と商品収納通路43から退避した退避位置とに移動させる後部リンクピン55と、第2ストッパ部材53を商品収納通路43に突出した突出位置と商品収納通路43から退避した退避位置とに移動させる前部リンクピン56とを支持する態様で基板51に組み込まれたものである。
【0050】
前記リンク機構54は、図12に示すように、鋼板製のリンク部材541を備えている。リンク部材541は、短冊状の鋼板をコ字状に折り曲げて形成されている。リンク部材541のコ字状の一方の脚片の上端には、モータ駆動ユニット57のリンクレバー577に係合する係合片542aを有する係合部542が形成されている。また、リンク部材541のコ字状両脚片の下端には、後部リンクピン55が貫通する係合穴543aを有する支持部543が形成されている。さらに、リンク部材541の前記支持部543の上方には、前部リンクピン56が貫通する係合穴544aを有する支持部544が形成されている。前記支持部543は、後部リンクピン55を支持してリンク部材541の上下動作に連動して当該後部リンクピン55を前後方向に移動させるものである。前記支持部544は、前部リンクピン56を支持してリンク部材541の前後動作に連動して当該前部リンクピン56を前後方向に移動させるものである。また、前記リンク部材541の下方には、図8に示した捻りコイルばねからなる復帰ばね540が配設されている。この復帰ばね540の一端(前端)は、リンク部材541の支持部543に支持された後部リンクピン55に係止され、復帰ばね540の他端(後端)は、開口部510の後縁を形成する開口フランジ511に設けた係止片513(図9参照)に係止されている。
【0051】
前記後部リンクピン55および前部リンクピン56の基板51への組付けは、リンク部材541を基板51の開口部510の所定位置、すなわち、図9に示した基板51の開口部510における軸受部514と開口フランジ515との間の開口位置であって、開口部510の所定位置に配設された第1ストッパ部材52における2個の軸受部522および第2ストッパ部材53における2個のストッパ壁532の間に配設(図7に配設状態を示す)したうえで、後部リンクピン55および前部リンクピン56を基板51に装着する。この場合、後部リンクピン55,前部リンクピン56は、基板51の左フランジ51aに穿孔した丸穴51a4,51a5の外側から開口フランジ515に形成した長穴518,518を介して軸受部514に形成した長穴517,517の順に挿通させる。そして、後部リンクピン55,前部リンクピン56に設けた頭部のストッパ551,561(図12参照)が基板51の開口フランジ515に当接するまで差し込むことにより、後部リンクピン55,前部リンクピン56がリンク部材541に形成した支持部543,544に支持された状態で基板51に組付けられる。なお、後部リンクピン55および前部リンクピン56は、基板51に装着される配線カバー59(図6図7参照)により抜け止めが施される。
【0052】
前記モータ駆動ユニット57は、商品選択ボタンの操作に基づく販売指令によりユニットケース570(図8参照)に内蔵したモータ571(図13参照)が正転若しくは逆転駆動され、このモータ571の回転によりリンクレバー577,577Aを介してリンク部材541を前方へ移動上昇させるものである(以下、前方への移動を上昇ともいう)。なお、リンクレバー577Aは、他方の商品搬出装置50のリンク部材541を上昇させるものであり、モータ571の回転方向によりリンクレバー577,577Aが選択的に駆動される。ユニットケース570はベース部材とカバー部材とからなり、その内部に、図13に示すような、モータ571、歯車伝達機構574、出力歯車575、キャリアスイッチ576、リンクレバー577,577Aなどを内蔵している。このモータ駆動ユニット57は、ユニットケース570におけるベース部材の頭部に設けた爪片57a,57aを基板51のフランジ1cに形成した係止穴1gに係止する一方、ユニットケース570におけるベース部材の背面および上面後端に突出形成した複数の係止突起(不図示)を基板51の平板面に穿設した穴51eなどに嵌合させることにより基板51に組付けられる。
【0053】
モータ駆動ユニット57のユニットケース570に内蔵したモータ571は、販売指令に応じて正転若しくは逆転する正逆回転可能な直流モータであり、ユニットケース570のベース部材に保持されている。
【0054】
歯車伝達機構574は、ウオーム572aとウオームホイール572bからなるウオーム歯車572および中間歯車573を備えて構成されている。ウオーム歯車572のウオーム572aは、モータ571の出力軸に取り付けられている。ウオームホイール572bは、ウオーム572aに噛み合う第1ホイールと、中間歯車573に噛み合う第2ホイールとが前後方向に段違いに設けられている。中間歯車573は、前記ウオームホイール572bの第2ホイールと噛み合う第1中間歯車と、出力歯車575に噛み合う第2中間歯車とが前後方向に段違いに設けられている。ウオーム歯車572および中間歯車573は、ユニットケース570のベース部材とカバーカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
【0055】
前記出力歯車575は、中間歯車573の第2中間歯車と噛み合うホイールとして形成され、その一方の板面(上面)にカム突起5751が形成され、他方の板面(背面)にキャリアスイッチ576を制御する押圧片(図8では見えない)が形成されている。カム突起5751は、出力歯車575の板面から離隔する方向に突出する態様で円弧状に形成されている。このカム突起5751は、その円弧状の長さがリンク部材541を上昇させた後に所定時間の間その状態を保持するのに十分な長さとなるように形成されている。キャリアスイッチ576を制御する押圧片は、カム突起5751の反対側の板面に位置して板面から離隔する方向に突出する態様で略V字状に形成されており、図13の(a)の状態でキャリアスイッチ576の接触子を押圧するように形成されている。この出力歯車575は、ユニットケース570のベース部材とカバー部材の軸受部により回転可能に配設される。
【0056】
キャリアスイッチ576は、いわゆる押しボタンスイッチであり、接触子(不図示)を備えている。このキャリアスイッチ576は、出力歯車575よりも僅かに上方域にユニットケース570のベース部材に保持された状態で配設されている。このキャリアスイッチ576は、接触子が出力歯車575の押圧片に押圧されるとオン状態となる一方、出力歯車575の押圧片が離れて接触子が押圧されない場合にはオフ状態となるものであり、販売指令により駆動されたモータ571を、出力歯車575が一回転するように制御するためのものである。
【0057】
リンクレバー577,577Aは樹脂成型品になる。なお、リンクレバー577Aはリンクレバー577と同一の部品からなり、リンクレバー577を反転させたものであり、以下ではリンクレバー577について説明し、リンクレバー577Aの説明は割愛する。リンクレバー577は、基部577aを貫通するユニットケース570のカバー部材に設けたレバー軸700に回転可能に軸支されている。リンクレバー577の先端部577bは、ユニットケース570のベース部材とカバー部材を切り欠いて形成した開口(不図示)から外部に突出する態様で上方に湾曲したフック状を成している。リンクレバー577の基部577aに設けられた係止片577cは、基部577aの後方側より後方に向けて延在する弾性変形可能な板状の弾性部材である。係止片577cは、その自由端がカバー部材に設けた突出片(不図示)に当接することにより常態におけるリンクレバー577の待機姿勢を、図13の(a)に示す位置に決めている。
【0058】
このような構成のモータ駆動ユニット57を備えた商品搬出装置50は、本件出願人から特願2013−236105号(特開2015−95235号公報)として出願されている。このモータ駆動ユニット57を用いることにより背中合わせに抱き合せて用いられる2個の商品搬出装置50,50の一方に駆動手段としてのモータ駆動ユニット57を組み込むことにより、他方の商品搬出装置50から駆動手段を削除することができるものである。このモータ駆動ユニット57による商品搬出動作は、商品選択ボタンの操作に基づく販売指令によりモータ571を正転若しくは逆転駆動し、このモータ571の回転により歯車伝達機構574,出力歯車575を介してリンクレバー577,577Aを揺動させて一方または他方の商品搬出装置50のリンク部材541を選択的に移動させて第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53を商品収納通路43に交互に出没させるものである。
【0059】
図8に示した売切検出スイッチ58は、基板51に装着される配線カバー59(図7図8参照)に係止固定されたマイクロスイッチからなる。この売切検出スイッチ58は第1ストッパ部材52に設けた売切れ突起526にマイクロスイッチの接触子(図8では下方に突出したものであり、一方または他方の商品搬出装置50に対応して2個の接触子を備えている)が当接するように配設され、第1ストッパ部材52が商品収納通路43に最大開度に突出した状態を検知するように構成されている。すなわち、第1ストッパ部材52は捻りコイルばね527の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、商品を保持していない状態で商品収納通路43に突出した際に最大開度となり、最大開度に突出した第1ストッパ部材52に商品が落下すると商品収納通路43から退避する方向に僅かに回動した後、第1ストッパ部材52の軸受部522における係止突起523の先端が、下降した後部リンクピン55と当接して第1ストッパ部材52を商品収納通路43に突出した突出位置にロックし、ロック状態における第1ストッパ部材52の開度が最大開度よりも小さくなるように構成されている。そこで、売切検出スイッチ58は、第1ストッパ部材52が最大開度に突出した際、第1ストッパ部材52に設けた売切れ突起526がマイクロスイッチの接触子に当接してオン状態となり、最大開度に突出した第1ストッパ部材52に商品が落下して当該第1ストッパ部材52が商品収納通路43から退避する方向に僅かに回動した後ロックされるまでの間に第1ストッパ部材52に設けた売切れ突起526がマイクロスイッチの接触子から離隔してオフ状態となるように構成されている。なお、売切検出スイッチ58からの信号を処理する制御部では、売切検出スイッチ58からのオン信号が所定時間継続した場合に「売切れ」として判断する処理が行われる。
【0060】
配線カバー59は合成樹脂製になり、売切検出スイッチ58を係止するとともに基板51の左右方向の一方(図7の場合には左側)に片寄せて配設され、モータ駆動ユニット57のモータ571,キャリアスイッチ576、売切検出スイッチ58の配線Wを保護するものである。また、配線カバー59には、背面側に突出する位置決め突片591,592(図8参照)が立設されている。
【0061】
一方の商品搬出装置50と背中合わせに抱き合せて配設される他方の商品搬出装置50の構成は、図7に示すように、一方の商品搬出装置50からモータ駆動ユニット57および売切検出スイッチ58を除去したものに相当し、基板51,第1ストッパ部材52,第2ストッパ部材53,下部リンクピン55および上部リンクピン56を支持するリンク機構54,配線カバー59を備えている。なお、他方の商品搬出装置50は一方の商品搬出装置50に背中合わせに抱き合せられるので、左右が逆になる。一方の商品搬出装置50と他方の商品搬出装置50とを背中合わせに抱き合せた際、他方の商品搬出装置50におけるリンク部材541の係合片542aがモータ駆動ユニット57のリンクレバー577Aに係合するようになる。また、一方の商品搬出装置50の配線カバー59に背面側に突出して設けた位置決め突片591,592が、他方の商品搬出装置50の基板51の左フランジ51aと開口部510の開口フランジ516との間に嵌まり込む一方、他方の商品搬出装置50の配線カバー59に背面側に突出して設けた位置決め突片591,592が、一方の商品搬出装置50の基板51の右フランジ51bと開口部510の開口フランジ516との間に嵌まり込むことにより左右方向へのずれを防止するように構成されている。
【0062】
図6に示すように、一方および他方の商品搬出装置50を背中合わせに抱き合せた場合、それぞれの基板51の左右フランジ51a,51bが対峙し、その前部および後部に設けた係合部51a1,51b1および係合溝51a2,51b2が対峙してU字状の隙間GPが形成される一方、それぞれの基板51の前フランジ51c設けたフック状の係合部51c1と、それぞれの基板51の開口部510の後縁を形成する開口フランジ511に設けたフック状の係合部512とが互い違いに噛み合って、左右フランジ51a,51b側から見ると、それぞれのフックの間に前記隙間GPに対応する隙間が形成される。これらの隙間GPは、前後のピン部材P,Pを挿通することが可能な大きさとなるように定められている。したがって、一方および他方の商品搬出装置50を背中合わせ抱き合せた状態で商品収納棚10の背面側の所定位置に組み込んだうえで、商品収納棚10のフランジ11の外側からピン部材P,Pを差し込むことにより商品搬出装置50,50を商品収納棚10に装着することができる。
【0063】
前記商品収納棚10、仕切部材20、係止部材30の左右一対のラック側板41への組付けは、左右一対のラック側板41の一方、例えば、左側のラック側板41を組立台の水平面に沿わせて載置した状態(横に倒した状態)で、各段の商品収納棚10の前端および後端から左方に突出した支持軸12および保持部13をラック側板41の所定位置に係合させ、また、係止部材30の前端および後端から左方に突出した支持軸31および保持部32をラック側板41の所定位置に係合させ、さらに、複数のピン40の左端をラック側板41の所定位置に係合させて直立させた後、それらのピン40に仕切部材20のガイド穴230を差し込む態様で仕切部材20を組み込む。この場合、仕切部材20の上部前端に形成した係止爪22の高さが、ガイド穴230が穿設された突片23の上端よりも一段高く形成されて上下に隣接する商品収納棚10,10の間に収まらないことから、前後方向の長穴として形成されたガイド穴230の後縁側にピン40が当接するように、仕切部材20を前方に引き出した状態で仕切部材20は組み込まれる。かかる態様で、各段に複数枚の仕切部材20を組み込む。この実施の形態では各段に5枚の仕切部材20を組み込む。次いで、他方のラック側板41を被せる態様で組み付け、各段の商品収納棚10の前端および後端から右方に突出した支持軸12および保持部13、係止部材30の前端および後端から右方に突出した支持軸31および保持部32、複数のピン40の左端をそれぞれ他方のラック側板41の所定位置に係合させる。これにより各段の商品収納棚10、係止部材30、ピン40が左右一対のラック側板41に架設される。なお、左右一対のラック側板41にはディスタンスピースが組み付けられており、左右一対のラック側板41の間の間隔が保たれるように構成されている。
【0064】
かかる構成の商品収納ラックにおいて、仕切部材20による商品収納通路43の通路幅の設定を、図14を参照して説明する。図14は、図1と同様に、最上段の商品収納棚10に6個の商品コラムを形成する態様で仕切部材20が次のように装着された状態を示している。なお、図14では5個の仕切部材20について、参照符号の後にアルファベットa〜eを付して区別するものとする。すなわち、仕切部材20aは、設定溝域14R(図3参照)における中央のショートサイズの商品用の設定溝14に前後一対の爪21が係合し、かつ、係止爪22が係止部材30の対応する位置決め溝33に係合して係止され、仕切部材20bは、設定溝域14R(図3参照)におけるロングサイズの商品用の3個の設定溝14のうちの左端の設定溝14に前後一対の爪21が係合し、かつ、係止爪22が係止部材30の対応する位置決め溝33に係合して係止され、仕切部材20cは、設定溝域14C(図3参照)における中央のショートサイズの商品用の設定溝14に前後一対の爪21が係合し、かつ、係止爪22が係止部材30の対応する位置決め溝33に係合して係止され、仕切部材20dは、設定溝域14C(図3参照)におけるロングサイズの商品用の3個の設定溝14のうちの中央の設定溝14に前後一対の爪21が係合し、かつ、係止爪22が係止部材30の対応する位置決め溝33に係合して係止され、仕切部材20eは、設定溝域14L(図3参照)における中央のショートサイズの商品用の設定溝14に前後一対の爪21が係合し、かつ、係止爪22が係止部材30の対応する位置決め溝33に係合して係止されている。これにより商品収納棚10上には5個の仕切部材20a〜20eによってショートサイズの商品に対応する6個の商品収納通路43が画成されている。
【0065】
斯様な状態から、設定溝域14Rに対応する右端側の2列のショートサイズの商品用の商品収納通路43をロングサイズの商品用の一列の商品収納通路43に変更する場合には仕切部材20aを次のように操作する。すなわち、仕切部材20aの前端を手で摘んで前方に引き出して仕切部材20aの上部前端に形成した係止爪22を係止部材30の位置決め溝33から引き外す。この場合、仕切部材20aの上部に形成したガイド穴230にはピン40が貫通しているが、ガイド穴230が前後方向の長穴として形成され、仕切部材20aを商品収納棚10に装着した状態でガイドの穴230の前方寄りにピン40が位置しているので、ピン40によって仕切部材20aの前方への引き出しが邪魔されることはない。また、商品収納棚10に形成した設定溝14の前後方向の長さは、仕切部材20の下部に形成した前後一対の爪21の前後方向長さに対して比較的大きく、仕切部材20を商品収納棚10に装着した状態で設定溝14の後端寄りに爪21が位置するように構成されているので、設定溝14により爪21の前方への移動、つまり、仕切部材20aの前方への引き出しが阻止されることはない。
【0066】
仕切部材20aの前方への引き出しにより係止爪22を係止部材30の位置決め溝33から引き外した後、仕切部材20aを上方に持ち上げて仕切部材20aの下部に形成した前後一対の爪21を前後一対の設定溝14から引き抜く。この場合、仕切部材20aの上部に形成したガイド穴230にはピン40が貫通しているが、ピン40が遊嵌されるようにガイド穴230の幅がピン40の径よりも大きく形成され、仕切部材20aを商品収納棚10に装着した状態(爪21が設定溝14に係合した状態)でガイド穴230の上縁にピン40が当接するように構成されているので、ガイド穴230を貫通するピン40により前記爪21を設定溝14から引き抜くのが阻止されることはない。仕切部材20aの下部に形成した前後一対の爪21を前後一対の設定溝14から引き抜いた後、仕切部材20aを左側の仕切部材20bに向けて移動させる。この場合、ガイド穴230の下縁にピン40が当接するように仕切部材20aを持ち上げておけばガイド穴230とピン40により仕切部材20の移動をスムーズに行うことができる。
【0067】
仕切部材20aを左側の仕切部材20bにまで移動させた後、仕切部材20aを下降させる。仕切部材20aを下降させると仕切部材20aの下部に形成した前後一対の爪21のうちの後方側の爪21の下端が商品収納棚10の板面に接触する。この状態で仕切部材20aを後方側に押し込むと、仕切部材20aの下部に形成した前後一対の爪21のうちの後方側の爪21が仕切部材20bの前後一対の爪21のうちの後方側の爪21が係合している商品収納棚10の設定溝14に落ち込んで仕切部材20の下部が商品収納棚20の板面に当接した状態となる。この状態では、仕切部材20aの係止爪22が、仕切部材20bの係止爪22が係合した係止部材30の位置決め溝33に対峙し、仕切部材20aの前後一対の爪21のうちの前方側の爪21が、仕切部材20bの前後一対の爪21のうちの前方側の爪21が係合している商品収納棚10の設定溝14に対峙しているので、さらに仕切部材20aを押し込むと、仕切部材20aの係止爪22が、仕切部材20bの係止爪22が係合した係止部材30の位置決め溝33に係合し、仕切部材20aの前方側の爪21が、仕切部材20bの前後一対の爪21のうちの前方側の爪21が係合している商品収納棚10の設定溝14に嵌まり込む。これにより、仕切部材20aは、仕切部材20bに沿う態様で格納され、右端側の2列のショートサイズの商品用の商品収納通路43がロングサイズの商品用の一列の商品収納通路43に設定される。
【0068】
ここで、一列に設定された商品収納通路43に収納可能なロングサイズの商品の長さは、右側のラック側板41と仕切部材20bに沿って格納された仕切部材20aとの間の長さとなる。この場合、設定溝域14Rにおける左端側のロングサイズの商品用の3個の設定溝14のうちの左端の設定溝14に仕切部材20a,20bをセットした状態でロングサイズの商品の長さが最大となり、設定溝域14Rにおける左端側のロングサイズの商品用の3個の設定溝14のうちの中央側、右側に仕切部材20aをセットすると、最大の長さよりも短いロングサイズの商品を販売することが可能となる。最大の長さよりも短いロングサイズの商品を販売する場合、仕切部材20bのセット位置を変更することがないので、設定溝域14Rに隣接する設定溝域14Cの通路幅に悪影響を及ぼすことなく設定溝域14Rの通路幅を適宜変更することができる。
【0069】
設定溝域14Cおよび設定溝域14Lに対応する仕切部材20c,20d、および設定溝域14Lに対応する仕切部材20eも同様の手順でセット位置を変更して商品収納通路43の通路幅を設定することができる。
【0070】
図1のように仕切部材20がセットされた状態(待機状態)で、商品搬出装置50は、第1ストッパ部材52が商品収納通路43に突出し、第2ストッパ部材53が商品収納通路43から退避している。この場合、モータ駆動ユニット57の出力歯車575のカム突起5751が最も上方に位置している(図13の(a)参照)。また、出力歯車575の背面に設けたキャリアスイッチ576用の押圧片が最も前方に位置してキャリアスイッチ576がオン状態にある。これにより、モータ571が停止しており、リンクレバー577(577A)の先端部577bがリンク部材541の係合片542aから後方に離隔した位置にある。このため、リンク部材541は復帰ばね540の付勢力により後方に移動した状態にある。また、第1ストッパ部材52は、捻りコイルばね527の付勢力によって最大開度に開いた突出位置にある。そして、リンク部材541に支持された後部リンクピン55が第1ストッパ部材52における係止突起523の先端に対峙している。また、第2ストッパ部材53は、リンク部材541に支持された前部リンクピン56が第2ストッパ部材53の摺動溝535に入り込んでいることにより退避位置に維持されるものである。
【0071】
斯様な待機状態において、最初にローディングされた商品は、商品収納通路43を転動または滑動して突出位置にある第1ストッパ部材52に当接する。この場合、第1ストッパ部材52は、捻りコイルばね527の付勢力によって最大開度に開いた状態から後方に移動し、係止突起523の先端が後部リンクピン55に当接することにより商品を保持した状態でロックされる。このようにして最初にローディングされた商品は、第1ストッパ部材52に保持されて販売順位一番の商品(販売商品)となる。引き続いてローディングされる商品が販売商品の上に順次積み重ねられる。
【0072】
商品選択スイッチの操作に基づく販売指令が一方の商品搬出装置50に与えられた場合、モータ571が正転駆動され、歯車伝達機構574を介して出力歯車575が、図13の(a)において、反時計回りの方向に回転する。出力歯車575が回転すると、出力歯車575の背面に設けた押圧片がキャリアスイッチ576の接触子から離脱してキャリアスイッチ576がオフ状態となり、次にキャリアスイッチ576がオン状態となるまで(すなわち、出力歯車575が一回転するまでの期間)モータ571を正転駆動させる。出力歯車575の回転によりカム突起5751がリンクレバー577の基端部577aに前方より当接すると、リンクレバー577は、図13の(a)において時計回りの方向に回転する。このリンクレバー577の時計回りの方向への回転により、その先端部577bがリンク部材541の係合片542aに当接して復帰ばね540の付勢力に抗してリンク部材541が前方へ移動する。そして、カム突起5751がリンクレバー577の基端部577aに摺接している間(図13の(b)参照)は、リンク部材541が前方に移動した状態に保持される。
【0073】
このリンク部材541の前方への移動に伴ってリンク部材541に支持された後部リンクピン55も前方へ移動し、当該後部リンクピン55により突出位置にロックされた第1ストッパ部材52のロックが解除される。これにより、第1ストッパ部材52が商品の荷重によって捻りコイルばね527の付勢力に抗して退避位置に向けて移動する。第1ストッパ部材52の退避位置への移動により販売商品は、第1ストッパ部材52をすり抜けて後方に搬出される。販売商品が第1ストッパ部材52をすり抜けると、第1ストッパ部材52は捻りコイルばね527の付勢力によって最大開度に開いた突出位置に復帰する。
【0074】
一方、待機状態でリンク部材541に結合された前部リンクピン56により退避位置に維持された第2ストッパ部材53は、リンク部材541に支持された前方へ移動する前部リンクピン56が摺動溝535の上方の壁面と当接することにより突出位置へ向けて押し出される。そして、前部リンクピン56が第2ストッパ部材53におけるストッパ壁532のストッパ面534に対峙する位置まで前方に移動することによりストッパ面534と当接して第2ストッパ部材53の退避位置への移動が規制される。そして、突出位置に移動した第2ストッパ部材53は、販売商品が搬出されることにより後方に移動する販売順位二番目の商品(次販売商品)に当接して保持し、次販売商品が後方に向けて移動するのを規制する。
【0075】
前記第1ストッパ部材52を退避位置に退避させて販売商品を払い出す一方、第2ストッパ部材53を退避位置から突出位置に移動させて次販売商品を保持する動作は、出力歯車575のカム突起5751がリンクレバー577の基端部577aに摺接している所定時間の間に実行される。
【0076】
そして、出力歯車575の回転によりカム突起5751とリンクレバー577の基端部577aとの当接が解除されると、復帰ばね540の付勢力によりリンク部材541は後方に移動する。このリンク部材541の後方への移動によってリンク部材541に支持された後部リンクピン55が、突出位置に復帰した第1ストッパ部材52の係止突起523の先端の移動軌跡上にまで移動する。また、リンク部材541の下降によってリンク部材541に支持された前部リンクピン56が、第2ストッパ部材53におけるストッパ壁532の摺動溝535に入り込んで下方の壁面と当接することにより第2ストッパ部材53を退避位置に向けて移動させる。この第2ストッパ部材53の退避位置への移動により第2ストッパ部材53に保持された次販売商品が下方に移動して最大開度に開いた第1ストッパ部材52に当接する。これにより、第1ストッパ部材52は最大開度に開いた状態から後方に移動して係止突起523の先端が後部リンクピン55に当接すると次販売商品を販売商品として保持した状態でロックされて待機状態となる。その後、出力歯車575の回転によりカム突起5751が待機状態の位置に戻ると、キャリアスイッチ576の接触子が押圧片により押圧されてキャリアスイッチ576がオン状態となる。これによりモータ571の駆動が停止されて待機状態に復帰する。
【0077】
なお、出力歯車575の反時計回りの方向への回転によりカム突起5751とリンクレバー577の基端部577aとの当接が解除された後、出力歯車575のカム突起5751が待機状態の位置に戻る途中において、カム突起5751が他方の商品搬出装置50用のリンクレバー577Aの基端部577aに当接するが、弾性部材からなる係止片577cが弾性変形してリンクレバー577Aの回動を許容することによりカム突起5751は移動を阻止されることなく復帰位置に復帰する。リンクレバー577Aはカム突起5751が通過することにより係止片577cの作用により図13の(a)の待機姿勢に復帰する。
【0078】
他方の商品搬出装置50に対応する商品選択スイッチが操作された場合には、モータ571を逆転駆動してリンクレバー577Aを介して他方の商品搬出装置50のリンク部材541を駆動することにより第1ストッパ部材52および第2ストッパ部材53を下方の商品収納通路43に交互に出没させる。
【0079】
また、図1に示すように、仕切部材20により商品収納通路43がショートサイズの商品に対応してセットされている場合には、左右方向に並設した商品搬出装置50をそれぞれ個別に駆動制御してショートサイズの商品を搬出し、仕切部材20により商品収納通路43がロングサイズの商品に対応してセットされている場合には、隣接する商品搬出装置50を同期駆動してロングサイズの商品を搬出する。
【0080】
前述したように、この実施の形態に係る自動販売機によれば、左右一対のラック側板41,41と、この左右一対のラック側板41,41に上下方向に多段に架設され、商品投入口44に対して商品搬出口45が低くなるように傾斜して配設された商品収納棚10と、この商品収納棚10における商品搬出口45の近傍に配設した商品搬出装置50とを有する商品収納ラックを備え、前記商品搬出装置50により当該商品収納棚10に収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機において、前記商品収納棚10は、左右一対のラック側板41,41に跨る態様で架設された一枚の棚として形成され、かつ、その板面にスリット状の設定溝14を複数穿設してなり、平板状に形成され、下部を商品収納棚10の板面の溝(設定溝14)に係合させる一方、上部を上段の商品収納棚10の係止部(位置決め溝15、位置決め溝33)に係合させて商品収納棚10に装着することにより商品投入口44から投入された商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路43を画成する仕切部材20を備えたことにより、平板状の仕切部材20は上下の商品収納棚10に係止固定されて起立姿勢が維持されるので商品を安定して転動させることができるという効果を奏する。
【0081】
なお、前述した実施の形態では、商品収納棚10の板面に形成した設定溝14の溝幅を、仕切部材20の板厚の2倍に略一致する大きさとし、2枚の仕切部材20を並べて格納するものついて説明したが、設定溝14の溝幅を仕切部材20の板厚に略一致する大きさとし、商品収納棚10の左右端部(設定溝14に対応する位置)に仕切部材20複数倍の溝幅を有する格納溝を設け、商品コラムの変更により余剰となった仕切部材20を商品収納棚10の左右端部に格納しておくこともできるものであり、実施の形態の自動販売機の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
4…商品収納ラック、10…商品収納棚、14…設定溝、15,33…位置決め溝(係止部)、20…仕切部材、21…爪、22…係止爪、30…係止部材、43…商品収納通路、44…商品投入口、45…商品搬出口、50…商品搬出装置、230…ガイド穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
図16
図17