(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中空チャンバは複数の係止点によって画定され、前記係止点は、前記表面または表面の一部分の相互に対する少なくとも幾つかの動きを制限して、前記ブームユニットを安定した状態に維持し、かつ/または前記中空チャンバが開口することあるいは形状もしくは角度を変えることを防止する、請求項1および2のいずれかに記載のブームユニット。
前記ブームユニットの水面下部分は、X字状の断面形状に配された1つ以上のバラスト区画を含み、かつ前記ブームユニットの水上部分は1つ以上の浮揚区画を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のブームユニット。
前記ブームユニットの区画間を接続するための少なくとも1つの接続要素を備え、前記接続要素は、ブームユニットの製造段階で挿置される要素を含み、かつブームユニットが展開されるときに係止されブームユニットを開いた状態に維持する機構を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のブームユニット。
前記ブームユニットは水中部分と水上部分とを備え、前記中空チャンバは前記水中部分および前記水上部分の一方または両方に構成され、前記水中部分は水面から20〜50cm下の距離まで延びる、請求項1〜23のいずれかに記載のブームユニット。
塩水を吸収したときに体積が少なくとも5倍に拡張する材料を含む少なくとも1つの充填可能な区画を備えたブームユニットであって、前記材料が、充填可能な区画内の材料の動きを防止する構造と共に前記充填可能な区画内に配された、請求項1〜29のいずれかに記載のブームユニット。
前記構造は、多孔質材料から形成されたインサートを含み、その中に前記材料が含まれ、それは水の浸入を許容すると共に吸水性材料の漏出を防止し、かつ材料が挿入される充填可能な区画のジオメトリに対応するジオメトリを有する、請求項30〜32のいずれかに記載のブームユニット。
前記材料は、充填可能な区画に整合するパターンで充填可能な区画の内壁の80%未満に接着剤を噴霧し次いで材料を追加するプロセスを用いて、前記充填可能な区画の壁に接着される、請求項30〜39のいずれかに記載のブームユニット。
前記吸水性材料と混合または隣接した発熱性材料を含み、それは塩水に接触したときに熱を発生し、前記発熱性材料は、吸水性材料および/または周囲水を加熱して吸水速度を少なくとも30%高めるのに充分な量で含有される、請求項30〜42のいずれかに記載のブームユニット。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一部の実施形態について、本発明の一部の実施形態には任意の数の例の特徴が含まれることに留意しながら、以下の例によって説明する。
【0007】
例1。軸線方向に延びる構成を持つ周囲水中展開用の流出封じ込めブームユニットであって、前記軸線に直角な平面でチャンバを実質的に包囲する壁を持つ少なくとも1つの中空チャンバを形成する1つ以上の表面を備え、前記中空チャンバの少なくとも1つの壁が少なくとも1つの充填可能な区画を含む、ブームユニット。
【0008】
例2。前記中空チャンバは、前記ブームユニットの構造が外部作用力に対して安定化するのを助けるように構成された、例1に記載のブームユニット。
【0009】
例3。前記中空チャンバは複数の係止点によって画定され、前記係止点は、前記表面または表面の一部分の相互に対する少なくとも幾つかの動きを制限して、前記ブームユニットの構造を安定した状態に維持し、かつ/または前記チャンバが開口することあるいは形状もしくは角度を変えることを防止する、例1および2のいずれかに記載のブームユニット。
【0010】
例4。前記中空チャンバは、曲がるように適応されたブーム構造の一部分であって前記ブームの充填可能部分または充填部分より薄肉である複数の曲げ領域によって画定される、例1ないし3のいずれかに記載のブームユニット。
【0011】
例5。前記ブームユニットを展開形状に折り畳むための力を提供するように配置されかつそうするのに充分な強さである少なくとも1つの弾性要素または形状記憶要素を備えた、例4に記載のブームユニット。
【0012】
例6。前記充填可能な区画には、ブームの一部であるガス放出または発生機構によって放出されたガスが充填され、前記機構は複数の溶接継ぎ目を含み、前記ユニットの破砕を可能にしてガス前駆体を混合させると共にブームからガスを放出させないように一部の継ぎ目は他の継ぎ目より弱い、例1ないし5のいずれかに記載のブームユニット。
【0013】
例7。前記充填可能な区画は、前記ブームユニットが展開されて体積が少なくとも5倍に拡張したときに、水を吸収する吸水性材料を含む、例1ないし6のいずれかに記載のブームユニット。
【0014】
例8。前記充填可能なチャンバは、少なくとも1つの多孔質壁または水の浸入を許容すると共に前記材料の漏出を防止する大きさの開口を持つ壁を含む、例7に記載のブームユニット。
【0015】
例9。前記開口の少なくとも一部は布に設けられる、例8に記載のブームユニット。
【0016】
例10。前記開口の少なくとも一部は、前記充填可能なチャンバが一杯になると自閉する開閉自在な弁の形を取る、例8に記載のブームユニット。
【0017】
例11。前記吸水性材料はバックボーンに取り付けられて提供される、例7ないし10のいずれかに記載のブームユニット。
【0018】
例12。前記吸水性材料は前記区画の壁に接着されて提供される、例7ないし11のいずれかに記載のブームユニット。
【0019】
例13。前記吸水性材料は多孔質パケットに入れて提供される、例7ないし12のいずれかに記載のブームユニット。
【0020】
例14。前記吸水性材料は吸収促進材と混合される、例7ないし13のいずれかに記載のブームユニット。
【0021】
例15。前記充填可能な区画は、前記チャンバを開いた状態に維持するためのビームとして働く、例1ないし14のいずれかに記載のブームユニット。
【0022】
例16。前記中空チャンバは三角形の断面形状を含む、例1に記載のブームユニット。
【0023】
例17。前記少なくとも1つの充填可能な区画は、前記中空チャンバの断面で見たとき、水面に対し略直角な前記ブームユニットの長軸および水面に対する斜辺である、例16に記載のブームユニット。
【0024】
例18。区画間を接続するための少なくとも1つの接続要素を備え、前記接続要素は、ブームの製造段階で挿置される要素を含み、かつブームが展開されるときに係止されブームを開いた状態に維持する機構を有する、例1ないし17のいずれかに記載のブームユニット。
【0025】
例19。前記ブームユニットが展開されたときに、前記ユニットの安定性が増大するように、前記中空チャンバは周囲流体の動きを少なくとも部分的に制限する、例1ないし18のいずれかに記載のブームユニット。
【0026】
例20。前記ブームユニットは水中部分と水上部分とを備え、前記中空チャンバは前記水中部分および前記水上部分の一方または両方に構成され、前記周囲流体は周囲水であり、前記水中部分は水面から20〜50cm下の距離まで延びる、例1ないし19のいずれかに記載のブームユニット。
【0027】
例21。区画の間に、または区画内もしくは区間間の剛性もしくは半剛性要素の間に、少なくとも1つの引張り要素を備え、それは前記チャンバを開いた状態に維持するのを助ける、例1ないし20のいずれかに記載のブームユニット。
【0028】
例22。前記中空チャンバは数学的表面を持つジオメトリを画定し、前記チャンバはチャンバの実際の内面を画定する壁によって包囲され、前記内面はチャンバの幾何学的表面の5%から50%の間の開口面積を含む、例1ないし21のいずれかに記載のブームユニット。
【0029】
例23。展開前に複数のガス充填封止部を含む浮揚チャンバを備えた、例1ないし22のいずれかに記載のブームユニット。
【0030】
例24。前記中空チャンバを形成しない1つ以上の追加の充填可能な区画をさらに備えた、例1ないし23のいずれかに記載のブームユニット。
【0031】
例25。前記ブームユニットの水面下部分は、X字状の断面形状に配された1つ以上のバラスト区画を含み、かつ前記ブームユニットの水上部分は1つ以上の浮揚区画を含む、例24に記載のブームユニット。
【0032】
例26。前記ブームユニットはA字状の断面形状を画定し、1つ以上のバラスト区画は前記Aの脚を形成し、かつ1つ以上の浮揚区画は、前記Aの水平に延びる線を形成する、例1ないし25のいずれかに記載のブームユニット。
【0033】
例27。前記ブームユニットは、水中のX字様の交差部および水上の逆V字状の部分を含む断面形状を画定する、例1ないし26のいずれかに記載のブームユニット。
【0034】
例28。塩水を吸収したときに体積が少なくとも5倍に拡張する材料を含む少なくとも1つの充填可能な区画を備えたブームユニットであって、前記材料が、区画内の材料の動きを防止する構造と共に前記区画内に配された、ブームユニット。
【0035】
例29。前記構造は、前記吸水性材料の粒子を付着させた前記区画の壁を含む、例28に記載のブームユニット。
【0036】
例30。前記構造は、前記吸水性材料を接着させたインサートを含む、例28および29のいずれかに記載のブームユニット。
【0037】
例31。前記構造は、多孔質材料から形成されたインサートを含み、その中に前記材料が含まれ、それは水の浸入を許容すると共に吸水性材料の漏出を防止し、かつ材料が挿入される区画のジオメトリに対応するジオメトリを有する、例28ないし30のいずれかに記載のブームユニット。
【0038】
例32。前記区画は少なくとも1つの剛性または半剛性の壁を含む、例28ないし31のいずれかに記載のブームユニット。
【0039】
例33。前記壁は、壁に形成された水浸入用のアパーチャを少なくとも1つ有する、例32に記載のブームユニット。
【0040】
例34。少なくとも1つの可撓性壁と、材料が充分な海水を吸収したときに前記壁の膨張を引き起こすのに充分な材料とを含む、例32または33に記載のブームユニット。
【0041】
例35。前記区画は、多孔質材料から形成された壁を少なくとも含む、例28ないし34のいずれかに記載のブームユニット。
【0042】
例36。前記ブームユニットはX字状の断面形状を含み、前記吸水性材料は超吸収性ポリマー(SAP)である、例28ないし35のいずれかに記載のブームユニット。
【0043】
例37。前記構造はインサートを含み、前記インサートは前記区画の容積と略同一またはそれより大きい体積を有する、例28ないし36のいずれかに記載のブームユニット。
【0044】
例38。前記材料は、区画に整合するパターンで区画の内壁の80%未満に接着剤を噴霧し次いで材料を追加するプロセスを用いて、前記区画の壁に接着される、例28ないし37のいずれかに記載のブームユニット。
【0045】
例39。前記吸水性材料は、接着剤を用いて付着される、例28ないし38のいずれかに記載のブームユニット。
【0046】
例40。前記構造はインサートを含み、前記インサートは、前記材料を付着かつ/または挿入させた圧縮可能な開放セル構造を含む、例28ないし36のいずれかに記載のブームユニット。
【0047】
例41。前記吸水性材料と混合または隣接した発熱性材料を含み、それは塩水に接触したときに熱を発生し、前記発熱性材料は、吸水性材料および/または周囲水を加熱して吸水速度を少なくとも30%高めるのに充分な量で含有される、例28ないし40のいずれかに記載のブームユニット。
【0048】
例42。前記ブームユニットの前記区画は実質的に吸水性材料および/または関連構造のみを含み、ブームユニットは追加の区画を含まない、例28ないし40のいずれかに記載のブームユニット。
【0049】
例43。前記ブームの前記水上部分はブームの前記水面下部分を水面に対して直角位置に維持する、例28ないし42のいずれかに記載のブームユニット。
【0050】
例44。前記区画の1つ以上が、水を吸収したときに凝固して前記区画の容積より少なくとも1%ないし5%大きい体積になって前記区画の内壁に圧力を加え、それにより前記区画の剛性を高める量のSAPを含有する、例36に記載のブームユニット。
【0051】
例45。SAPを含有した前記1つ以上の区画に複合材繊維を添加してブームの重量を増大させた、例36に記載のブームユニット。
【0052】
例46。ブームユニットの浮力の少なくとも50%を提供するのに充分な量のガスを含む少なくとも1つの事前充填されかつ封止されたチャンバを備えたブームユニット。
【0053】
例47。周囲水中でブームの展開中に流出封じ込めブームユニットの構造強度を高める方法であって、
前記ブームユニットの少なくとも1つの区画に、水を吸収したときに凝固して前記区画の容積より少なくとも5%大きい体積になって前記区画の内壁に圧力を加え、それにより前記区画の剛性を高める量の超吸収性ポリマー(SAP)を充填するステップと、
周囲水中で前記ブームユニットを展開して前記SAPに水を吸収させるステップと、
を含む方法。
【0054】
例48。
X字状の断面形状を画定する2つ以上の区画であって、前記区画の各々が水上浮遊部分および水面下バラスト部分を含む区画と、
前記区画間の交差部に構成された少なくとも1つの予め定められた回転点であって、区画が前記区画に働く外力に応答して前記ブームユニットの長手軸線に対し前記点位置で枢動して、前記ブームユニットの前記外力への抵抗を増大するように構成されて成る、回転点と、
を備えた、流出封じ込めブームユニット。
【0055】
例49。前記区画の浮遊部分に働く前記外力は前記区画を枢動させ、前記区画の前記水面下バラスト部分を水面に対する直角位置に近づけさせ、前記直角位置に近い位置で前記バラスト部分は水中により深く延びて前記ブームユニットを係留させる、例48に記載のブームユニット。
【0056】
例50。前記外力は風によって引き起こされる、例49に記載のブームユニット。
【0057】
例51。1つ以上のスリーブセグメントから形成されるブームユニットを準備する方法であって、前記スリーブセグメントは1つ以上の充填可能な区画を備えており、
前記スリーブセグメントを相互に少なくとも部分的に連結するステップと、
前記充填可能な区画の1つ以上を膨張させ、それにより前記スリーブセグメントを1つ以上の係止点で相互に係止し、前記膨張した区画によって開いた状態に維持される中空チャンバを画定するステップと、
を含む方法。
【0058】
例52。X字状の断面形状を画定する1つ以上の区画を備え、前記区画がガスおよび水の組合せを含有し、ブームユニットが中心軸線の周りを回転するときでも少なくとも部分的に水上に維持されかつ部分的に水面下に維持されるように適応された、多方向流出封じ込めブームユニット。
【0059】
一部の実施形態の一態様では、少なくとも1つの中空チャンバを形成する1つ以上の表面を含む、周囲水で展開するための流出封じ込めブームユニットであって、中空チャンバの少なくとも1つの壁は少なくとも1つの膨張可能な区画を含んで成る、ブームユニットを提供する。一部の実施形態では、中空チャンバは、外部作用力に対してブームユニットの構造を安定化させるように構成される。一部の実施形態では、中空チャンバは複数の係止点によって画定され、係止点は表面または表面の一部分の相互に対する少なくとも何らかの動きを制限して、ブームユニットの構造を安定した状態に維持する。
【0060】
一部の実施形態では、膨張可能な区画はガスにより膨張する。一部の実施形態では、膨張可能な区画は水により膨張する。一部の実施形態では、膨張可能な区画は、ブームユニットが展開されるときに水を吸収する吸水性材料を含む。一部の実施形態では、拡張可能な区画は、チャンバを開いた状態に維持するためのビームとして働く。一部の実施形態では、中空チャンバは三角形の断面形状を含む。
【0061】
一部の実施形態では、少なくとも1つの膨張可能な区画は、中空チャンバの断面で見たとき、水面に対し略直角なブームユニットの長軸および水面に対する斜辺である。一部の実施形態では、係止点の少なくとも1つは、チャンバが開くのを防止するように構成される。一部の実施形態では、表面は、膨張可能な区画の1つ以上と区画間の1つ以上の封止されたスリーブ領域とを含む、ブームスリーブセグメントである。一部の実施形態では、ブームユニットが展開されたときに、中空チャンバは少なくとも部分的に周囲流体の動きを制限する。一部の実施形態では、ブームユニットは水中部分と水上部分とを含み、中空チャンバは水中部分に構成され、周囲流体は周囲水である。一部の実施形態では、ブームユニットは水中部分と水上部分とを含み、中空チャンバはブームの水上部分に構成され、周囲流体は空気である。一部の実施形態では、ブームユニットは水中部分と水上部分とを含み、中空チャンバの一部は前記水上部分に構成され、中空チャンバの一部は水面下部分に構成される。
【0062】
一部の実施形態では、ブームユニットは水中部分と水上部分とを含み、水中部分は例えば水面から20〜50cm下の距離まで延びる。一部の実施形態では、中空チャンバの壁は、1つ以上の膨張可能な区画および区画間の1つ以上の接続要素の少なくとも1つによって画定される。一部の実施形態では、接続要素は2つの係止点の間に延びるストラップである。一部の実施形態では、中空チャンバは、ブームユニットを水面に対して安定化させる錘として機能するのに充分な量の水を含有する大きさに作られる。一部の実施形態では、少なくとも1つの膨張可能な区画は浮揚区画である。一部の実施形態では、膨張可能な区画は、水面に略直角なブームユニットの長軸に対し側方に延びる。一部の実施形態では、少なくとも1つの膨張可能な区画はバラスト区画である。一部の実施形態では、ブームユニットはさらに、中空チャンバを形成しない1つ以上の膨張可能な区画を含む。一部の実施形態では、ブームユニットの水面下部分は、X字状の断面形状に配された1つ以上のバラスト区画を含み、ブームユニットの水上部分は1つ以上の浮揚区画を含む。一部の実施形態では、水面下のX字状の構造は、ブームユニットの1つ以上の浮揚区画の上に錘として働くように水上に構成された延長部を含む。一部の実施形態では、浮揚区画はガスを含有し、バラスト区画は水を含有する。一部の実施形態では、ブームユニットはA字状の断面形状を画定し、1つ以上のバラスト区画はAの脚を形成し、1つ以上の浮揚区画はAの水平に延びる線を形成する。一部の実施形態では、表面を形成するブームスリーブセグメントは、ねじ結合によって相互連結される。
【0063】
一部の実施形態の一態様では、X字状の断面形状を画定する1つ以上の区画を備えた多方向流出封じ込めブームユニットであって、区画はガスおよび水の組合せを含有し、ブームユニットは中心軸線の周りを回転するときでも少なくとも部分的に水上に維持されかつ部分的に水面下に維持されるように適応されて成る、ブームユニットを提供する。
【0064】
一部の実施形態の一態様では、浮力および重力の正味の力によって少なくとも部分的に水面上にありかつ少なくとも部分的に水面下にあってバランスを保つように構成された流出封じ込めブームユニットであって、ブームユニットは吸水材料が充填された1つ以上の区画を備え、吸水性材料の比重は水を吸収したときに水の比重より小さくなる、ブームユニットを提供する。一部の実施形態では、ブームユニットはX字状の断面形状を含み、吸水性材料は超吸収性ポリマー(SAP)である。一部の実施形態では、ブームの区画は吸水性材料だけを含有し、ブームユニットは追加の区画を含まない。一部の実施形態では、ブームの水上部分はブームの水面下部分を水面に対して直角位置に維持する。一部の実施形態では、区画の1つ以上は、水を吸収したときに凝固して区画の容積より少なくとも1%ないし5%大きい体積になって区画の内壁に圧力を加え、それにより区画の剛性を高める量のSAPを含有する。一部の実施形態では、SAPを含有した区画の1つ以上に複合材料繊維が添加され、区画の重量を増大させる。
【0065】
一部の実施形態の一態様では、周囲水中でブームの展開中に流出封じ込めブームユニットの構造強度を高める方法であって、ブームユニットの少なくとも1つの区画に、水を吸収したときに凝固して区画の容積より少なくとも5%大きい体積になって区画の内壁に圧力を加え、それにより区画の剛性を高める量の超吸収性ポリマー(SAP)を充填するステップと、周囲水中でブームユニットを展開してSAPに水を吸収させるステップとを含む方法を提供する。
【0066】
一部の実施形態の一態様では、X字状の断面形状を画定する2つ以上の区画を備えた流出封じ込めブームユニットであって、区画の各々は水上浮遊部分と水面下バラスト部分とを含み、少なくとも1つの予め定められた回転点が区画間の交差部に構成され、区画は区画に働く外力に応答して点位置でブームユニットの長手軸線に対して枢動し、外力に対するブームユニットの抵抗を高めるように構成されて成る、ブームユニットを提供する。一部の実施形態では、区画の浮遊部分に働く外力は区画を枢動させ、区画の水面下バラスト部分を水面に対する直角位置に近づけさせ、直角位置に近い位置でバラスト部分は水中により深く延びてブームユニットを係留させる。一部の実施形態では、外力は風によって引き起こされる。
【0067】
一部の実施形態の一態様では、1つ以上のスリーブセグメントから形成されるブームユニットを準備する方法であって、スリーブセグメントは1つ以上の膨張可能な区画を含み、スリーブセグメントを相互に少なくとも部分的に連結するステップと、膨張可能な区画の1つ以上を膨張させ、それによってスリーブセグメントを1つ以上の係止点で相互に係止し、膨張した区画によって開いた状態に維持される中空チャンバを画定するステップとを含む方法を提供する。
【0068】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本発明は、その一部の実施形態では、油流出封じ込めブームに関し、さらに詳しくは、ブームを安定させるのに適したジオメトリを備えた軽量ブームに関するが、それに限定されない。
【0089】
本発明の一部の実施形態の広い態様は、油流出のような流出現場で迅速に展開するように適応されたブームに関する。任意選択的に、ブームは、任意選択的に比較的小さいチームによってボートのような比較的小型の展開船を使用して、流出の探知直後に展開可能である。
【0090】
本書で言及するブームスリーブは複数のセグメントの細長いチェーンを含んでよく、各セグメントは1つ以上の追加スリーブの1つ以上のセグメントに連結して、ブームユニットを画定するように構成される。代替的に、ブームは単一スリーブの連鎖セグメントから構成される。任意選択的に、浮揚区画を含む第1スリーブのセグメントは、バラスト区画を含む第2スリーブのセグメントに連結される。スリーブセグメントを相互に連結することによって得られる、本書で言及するブームユニットは、1つ以上のバラスト区画に連結された1つ以上の浮揚区画を含んでよい。明確を期すために、ブームユニットに沿った1つ以上の位置におけるブームユニットの断面形状が、本願全体を通してしばしば記載される。一部の実施形態では、完成したブームは、次々に連鎖結合された複数のブームユニットを含む。
【0091】
本発明の一部の実施形態は、1つ以上の浮揚区画と1つ以上のバラスト区画とを備えたブームユニットに関する。一部の実施形態では、浮揚区画は空気またはCO
2などのガスを含有する。一部の実施形態では、バラスト区画は水などの流体を含有する。一部の実施形態では、ブームユニットは全体で、水より重い材料を1%を超え、5%を超え、10%を超えて含まない。一部の実施形態では、展開前および/または展開後に、ブームユニット全体に水より軽い材料が充填される。
【0092】
一部の実施形態の一態様は、相互に連結されて少なくとも1つの中空チャンバを含む三次元構造を形成する、1つ以上のスリーブセグメントを備えたブームユニットに関する。一部の実施形態では、スリーブセグメントは1つ以上の膨張可能かつ/または拡張可能な区画を含み、区画の少なくとも1つは中空チャンバの壁を画定する。任意選択的に、少なくとも1つの膨張可能な区画は、前記中空チャンバを開いた状態に維持し、それが壊れるのを防止するビームとして働く。一部の実施形態では、中空チャンバの壁は、1つ以上の膨張可能な区画、および/または区画間に延びる1つ以上の接続要素(例えばストラップの形のバフルなど)から形成される。一部の実施形態では、膨張可能な区画にはガス、水、吸水性材料、および/またはそれらの組合せが充填される。本発明の一部の代替的実施形態はそのような中空チャンバを含まず、かつ/またはスリーブセグメントによって画定される壁を有することに注目されたい。本書に記載する他の特徴も、本発明の一部の実施形態に従って、そのようなブーム設計に適用されてよい。
【0093】
一部の実施形態では、中空チャンバは複数の係止点によって画定される。一部の実施形態では、係止点位置で、2つ以上のスリーブセグメント間の相互の動き、および/または単一のセグメントの部分間の相互の動きは、少なくとも部分的に制限される。一部の実施形態では、係止点によって画定される構造はブームユニットの構造強度を高める。任意選択的に、構造強度を高めることにより、展開されたブームユニットは、風、波、および/または水流によって生じ、ブームユニットを屈曲させ、折り畳ませ、あるいは損壊させることもある力のような外力に対する抵抗が増大する。任意選択的に、ブームユニットは、ブームの機能性に悪影響を及ぼさない方法で外力に応答するように構成される。
【0094】
本発明の一部の例示的実施形態では、チャンバは閉鎖型チャンバであり、その表面の例えば20%、40%、80%を超えて開口する側を含まない。任意選択的に、チャンバは下向きに開口しない。
【0095】
本書で言及する係止点は、例えば2つ以上の区画の間の接続点、区画間の交差部、単一の区画の部分間の接合部、区画の屈曲部を含んでよい。一部の実施形態では、係止点は取り付けられたセグメント間の相互連結を画定する。任意選択的に、係止点における連結は、1つのセグメントまたはその一部分と1つ以上のセグメントまたはその部分との締り嵌めを含む。そのような締り嵌めは、例えばセグメント部分を別のセグメントの開口に通すことによって得られ、第1セグメント部分は、その離脱を防止するために開口より大きい。係止点における他の連結機構は、例えばねじ結合、接着接合(例えば接着剤または溶接を使用)、結合要素の使用、および/または他の取付け機構を含んでよい。
【0096】
本発明の一部の例示的実施形態では、連結は、一方または両方の区画に比較的剛性の部分を設け、剛性セクションを別の剛性セクションと(例えば締り嵌めまたはスナップ結合により)相互連結させることによる。任意選択的に、または代替的に、剛性セクションは軟質セクション(例えば剛性セクションのスリットによって係合される一区画の軟質セクション)と圧縮係合する。任意選択的に、そのような剛性セクションは金属および/またはプラスチックである。本発明の一部の例示的実施形態では、相互連結は、例えば非可逆的な幾何学的相互連結を使用し、不可逆的である。任意選択的に、展開機構は、相互連結される部分を相互に相手方向に誘導する1つ以上のガイドを含み、例えば各部分が別個のガイド上に乗り、ガイドが相互に接近する。
【0097】
任意選択的に、相互連結される剛性セクションおよび/または他の部分は、製造(例えば成形または押出し)中に、より厚い部分および/またはより剛性の部分を含むように、かつ/またはインサートとして、ブームセクションを成形することによって提供される。任意選択的に、または代替的に、チャンバの壁を形成した後、かつ/またはチャンバを閉鎖した(例えば壁の溶接)後に、剛性インサートが追加される。例えば、壁は形成されるが、溶接されず、インサートを挿置してから溶接が実行されてよい。別の実施例では、インサートは準備されたチャンバ内に、例えば封止されていないその開口を介して配置され、開口は封止されないままであってよい。
【0098】
理解される通り、一部の実施形態では、係止点は領域であり、かつ/または直線状に延びる。ブームの断面を見たときに、係止領域は点または小さい面積であってよい。しかし、一部の実施形態では、係止点はブームセクションの長さの少なくとも一部分に沿って延び、かつ/またはセクションに沿って複数の係止点が設けられる。一部の実施形態では、剛性セクションはブームセクションの長さの30%から70%の間であり、例えば約50%であり、水流のような外力によって生じる力に抵抗する複合強度を生み出すように働く。
【0099】
係止点および相互連結方法は、例えばブームセクションが相互連結して開放構造を提供する場合、中空チャンバが画定されないブームの設計にも使用されてよいことを理解されたい。本発明の一部の例示的実施形態では、相互連結は、異なるブームセクションおよび/またはブームの長さに沿ったセクションを一体に係止するというよりむしろ(またはそれに加えて)、例えば展開中に、ブームの部分を相互連結するためにブームセクション内で使用される。
【0100】
本発明の一部の例示的実施形態では、相互連結は、ブームの一部分をブームの別の部分の開口またはスリットに通すことによって、ブームセクションを相互連結する。任意選択的に、または代替的に、本発明の一部の例示的実施形態では、相互連結は、ブームセクションの拡張可能なセクションというよりむしろ、またはそれに加えて、インサートおよび/またはブームセクションの延長部(例えばその半剛性または剛性成形部)の相互連結である。
【0101】
一部の実施形態では、中空チャンバの断面形状は三角形である。一部の実施形態では、その区画または部分は、ブームユニットの断面の長軸(すなわち水面に対し直角に延びる軸線)および水面に沿って延びる理論的軸線に対して斜辺を形成するように延びる。代替的に、中空チャンバは、例えば六角形または他の多角形の形状など、異なる断面形状を含む。代替的に、チャンバは円形の形状を含む。
【0102】
本発明の一部の例示的実施形態では、ブームは略軸方向に延び、チャンバは少なくとも横方向側面を壁および/または充填可能な区画によって包囲される。任意選択的に、壁の少なくとも幾つかはアパーチャを画定し、例えば限定された水の流入および/または流出を可能にする。任意選択的に、開口の少なくとも1つは弁として、例えばフラップ弁として働き、水の流出を妨げる。任意選択的に、壁によって画定される幾何学的形状としてのチャンバを考慮すると、幾何学的形状の表面積の最大で50%、40%、30%、20%、10%、または中間の割合は水が自由に流れることができる。場合によっては、壁は軸線方向に途中まで延び、次いでアパーチャを含み、次いで軸線方向にさらに延びる。
【0103】
本発明の一部の例示的実施形態では、細孔は、前記区画の容積の少なくとも50%を20分、10分、5分、3分、1分、30秒、10秒、および/または中間の時間内に充填することを可能にする大きさおよび形状である。
【0104】
本発明の一部の例示的実施形態では、チャンバの幾何学的形状の体積は、チャンバを包囲する充填可能チャンバおよび/または充填済みチャンバの体積の70%から3000%(またはそれ以上)の間であり、例えば100%から400%の間、または200%から1000%の間である。これは、より小さい拡張可能なチャンバおよび/またはその中のより少ない材料で、より大きい係留効果を達成することを可能にする。
【0105】
本発明の一部の実施形態の一態様は、再び内方へ延びる前に側方および下方に延びる2つ以上のバラストセクションがブームに含まれて成る、ブームユニットのジオメトリに関する。任意選択的に、該セクションは合流点で接続される。任意選択的に、中空チャンバは延長セクションの間に形成される。
【0106】
代替的に、一般的形状のチャンバが形成される場合、その表面積の大きい割合が流入を可能にする。代替的に、チャンバの形状は、チャンバの容積へ/からの(例えば海水の)体積流入出を(例えばチャンバまたは何らかの妨害要素が無い場合の流量と比較して)、例えば2分の1、5分の1、10分の1、50分の1、100分の1、または中間の率、またはそれ以下に遅らせる。
【0107】
本発明の一部の実施形態の一態様は、折畳みによるブームの展開に関する。本発明の一部の例示的実施形態では、ブームの一部分は何らかの相互連結の代わりに、またはそれに加えて、溶接される。任意選択的に、折り畳める部分は、少なくともそれらの周縁が溶接された2つの層を含む。
【0108】
任意選択的に、折畳みセクションは、ブームが展開するときに、拡張するセクションおよび/または拡張されるセクションが相互に当接するように選択される。本発明の一部の例示的実施形態では、インサートおよび/または引張り要素のような構造要素が、展開されたブームを所望の形状に保持するのを助ける。例えば、そのような構造要素は三角形の一辺を形成し、他の二辺は拡張するブームセクションによって形成される。拡張したときに、そのようなブームセクションは構造的に堅牢である。
【0109】
本発明の一部の実施形態によれば、半剛性フィルムは、様々な方法によって三次元構造に成形することのできるフィルムである。1つの方法は可撓性スリーブの内圧であり、別の方法は(通常、熱可塑プロセスを使用して)直角リブを形成することによる。本発明の一部の例示的実施形態では、このようにして成形されたフィルムは、外力に抵抗する能力を持つ壁として機能する。半剛性壁は、依然として外力による損壊に抵抗しながら、多少の可撓性を維持する。
【0110】
本発明の一部の例示的実施形態では、展開は、形状記憶物質、または弾性材およびスポンジ材のような他のエネルギー貯蔵材を使用することによって補助される。例えば、区画内および/または区画間に(任意選択的に、例えば必要な材料の量を低減するため、折畳み位置の近くに)発泡材を提供してよい。保存時に、他の形状記憶物質のこの発泡材(例えばNiTi合金および/またはポリマー)は圧縮され、ブームが解放されると、発泡材はその元の形状に戻り、それによって展開したブームの形状を補助または設定する。本発明の一部の例示的実施形態では、このプロセス中に放出されるエネルギーは、扁平ブーム位置を所望の三次元構造に変化させるのに使用される。
【0111】
本書に記載する通り、比較的剛性の構造は、剛性要素から形成された1つ以上の構造構成部品、引張り要素(例えば可撓性要素)によって形成された1つ以上の構造構成部品、拡張可能な要素によって形成された1つ以上の構造構成部品、および/または事前拡張要素によって形成された1つ以上の構造構成部品を含んでよい。本発明の一部の例示的実施形態では、そのような構成部品(例えば任意選択的に区画)は、溶接、相互連結、コネクタ、および/または接着の1つ以上によって取り付けられ、かつ/または相互接続される。
【0112】
一部の実施形態の一態様は、ブームユニットを安定化させるために周囲流体の動きを妨害することに関する。一部の実施形態では、ブームが展開されるときに、中空チャンバは、周囲水および/または周囲空気のような周囲流体の少なくとも一部の動きを制限する。一部の実施形態では、チャンバは1つ以上の開口を含み、そこを介して流体は流動することができる。任意選択的に、開口の総面積はチャンバの総内面の20%、30%、40%、または中間か、より大きいか、より小さい割合を超えない。一部の実施形態では、チャンバは、ブームユニットを安定化させるのに充分な量の周囲水のような周囲流体の動きを妨害する大きさに作られる。一部の実施形態では、周囲流体の動きに対するチャンバの抵抗は、例えばブームユニットの質量および/またはブームユニットの重量を効果的に増大させることによって、ブームユニットの物理的および/または機械的特性に影響を及ぼす。任意選択的に、チャンバは、流体の少なくとも一部の体積の動きを妨害することによって、ブームユニットに働く浮力の大きさおよび/または方向に影響を及ぼす。
【0113】
重み付け要素として有効に機能するチャンバを含むブーム構造の潜在的利点は、金属鎖のような外部錘の必要性が軽減されることを含む。
【0114】
一部の実施形態では、ブームを傾斜させかつ/またはそれ以外の方法で不安定化させるおそれのある、水中の水流によって生じる力および/または水上の風によって生じる力のような、ブームに働く外力は、係留要素として機能する水中チャンバを有することによって、少なくとも部分的に抵抗される。加えて、または代替的に、ブームは、ブームユニットの水上部分に構成されたチャンバを含む。
【0115】
任意選択的に、水上チャンバは空気の少なくとも一部の動きを妨害する。
【0116】
一部の実施形態では、ブームユニットの安定化は、ブームの水中部分を水面に対し略直角の整列状態に維持することを含む。一部の実施形態では、水上浮揚部分の位置は、例えば、ブームユニットの重心を通るブームユニットの断面の長軸から離れるように延びる側方延長部を含む浮遊部分によって、水中部分の直角整列状態を達成かつ/または維持するように選択される。一部の実施形態では、ブームユニットの水上部分は、例えば、強風がブームユニットを水から上昇させるのではなく、ブームユニットを水中により深く押し込ませるように、ブームが展開されるときに延長部の遠位先端を水位よりわずかに下に配置させることによって、揚力を妨げかつ/または水の抗力を増大させるように空気力学的に形成される。浮揚区画の「偏心」構造の潜在的利点は、浮力を利用してブームの水中部分を安定化させかつ/または整列させることを含む。
【0117】
一部の実施形態では、ブームユニットの安定化は、幾つかの部分(例えば膨張可能な区画)が他の部分(例えば区画間の封止スリーブ領域)より剛性である半剛性スリーブセグメントの使用を含む。一部の実施形態では、封止スリーブ領域は、例えば剛性部分が相互に相対的にある程度屈曲するなどの動きに備えて、可撓性をもたらす形状および/または大きさに作られる。一部の実施形態では、封止スリーブ領域には1つ以上の湾曲部が形成され、それは区画の膨張および/または充填時に生じる変形による破損のリスクを低減する。
【0118】
一部の実施形態の一態様は、浮力および重力の正味の力のため、少なくとも部分的に水面上にありかつ少なくとも部分的に水面下にあってバランスを保つブームユニットに関する。一部の実施形態では、ブームユニットは、超吸収性ポリマー(SAP)のような水を吸収する材料を含む。
【0119】
一部の実施形態では、吸水した材料は水より小さい比重を含む。一実施形態では、ブームユニットはガス膨張可能な区画を含まず、充填可能な区画は吸収性材料充填区画である。任意選択的に、1つ以上のガス事前充填(および/または封止空気)区画が設けられる。任意選択的に、そのような構成部品はブーム(または塩水用の他の物体)の浮力の少なくとも30%、50%、70%、80%、または中間の割合を提供する。
【0120】
一部の実施形態では、区画内の事前吸収されたSAPの量は、例えば水を吸収したときに閉鎖区画の容積より少し大きい、例えば2%、4%、5%大きい容積を占める量のSAPを区画に充填することによって、ブームの少なくとも幾つかの部分の剛性を高めるように選択される。任意選択的に、吸水して凝固したSAPは区画の内壁に圧力を加え、潜在的に区画の剛性を高める。
【0121】
一部の実施形態では、区画の重量を増大し、かつ/または区画を強化し、かつその構造強度を高めるために、金属繊維および/またはプラスチックインサートおよび/または複合材繊維のような繊維(ワイヤおよび/または他の形状、任意選択的に扁平かつ薄いもの、任意選択的に狭幅かつ/または細長いものを含む)が、吸収性材料充填区画内に組み込まれる。一実施形態では、1つ以上の吸収性材料充填区画から形成されるブームユニットは、X字状の断面形状を含む。
【0122】
本発明の一部の実施形態の広い態様は、水中で使用するように意図された装置と共にSAPまたは他の吸水性材料を使用することに関する。本発明の一部の例示的実施形態では、SAPは装置に剛性をもたらすために使用される。任意選択的に、または代替的に、SAPは装置に浮力または追加重量(または質量)をもたらすために使用される。任意選択的に、または代替的に、装置は充填可能な部分を含み、そのような充填可能な部分には全て、SAPが事前充填される。
【0123】
一部の実施形態の一態様は、水浸装置においてSAP粒子(吸水性材料の例として)を安定化させる構造に関する。本発明の一部の例示的実施形態では、装置は、汚染された水および/または油がブームを超えて広がるのを防止するためのブームである。
【0124】
本発明の一部の例示的実施形態では、構造は区画のジオメトリに対して相対的なSAP粒子の動きを防止するように選択される。そのような動きは、例えば区画の歪みを引き起こし、かつ/または水の入口における集積および/または目詰まりを引き起こすおそれがあり、そうした集積は水の浸入を妨げるおそれがある。
【0125】
本発明の一部の例示的実施形態では、構造は、SAP粒子の動きを低減するために接着剤を含む。任意選択的に、接着剤は装置の区画内壁に層として設けられる。任意選択的に、接着剤は、装置の区画のレイアウトパターンに整合するように、例えばパターン形成された噴霧器を使用して噴霧することによって塗布される。任意選択的に、区画の内面の5%から95%の間に接着剤が噴霧され、例えば1つの壁の10%から100%の間、および/または全ての壁の20%から70%の間にSAPが取り付けられる。
【0126】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAPを所定の位置に保持するために使用される接着剤は任意選択的に、数秒(例えば1〜72秒)後または数分(例えば1〜10分)後に例えばその少なくとも30%または50%の吸水が起きた後、SAPが解放されるのを助けるため、水溶性である。
【0127】
区画の形状との整合は、例えばSAPを適切な形状のインサートに付着し、かつ/またはSAPを適切な形状の袋に入れるなど、他の方法を使用してもよい。
【0128】
本発明の一部の例示的実施形態では、構造は、例えば接着剤によりSAPが付着されるバックボーンを含む。任意選択的に、このバックボーンは製造中に装置の区画内に挿置される。本発明の一部の例示的実施形態では、バックボーンは基本的に、SAP粒子が付着される片面または両面テープを含み、直線状に、湾曲して、または折り畳まれた形状で区画内に挿置される。
【0129】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAP粒子は任意選択的に1つ以上の多孔質部分を含む袋に入れて提供される。この袋は装置の区画内に挿置されてよい。そのような袋を使用する潜在的な利点は、製造中に、SAP粒子が逃散して区画の形成を妨げるのを防止することである。任意選択的に、または代替的に、そのような袋(および接着剤)は、水を区画内に流入させるために使用される穴からSAPが逃散するのを防止するのに有用である。
【0130】
任意選択的に、または代替的に、SAP粒子はスポンジまたは他の開放セル発泡体内または上に提供される。任意選択的に、スポンジはまた、区画および/またはブームユニットを拡張させる形状記憶/エネルギー貯蔵物質としても働く。
【0131】
任意選択的に、または代替的に、スポンジはそれ自体、SAPの代わりに、またはそれに加えて使用される吸水性材料である。
【0132】
一部の実施形態では、開放セル材料(例えばスポンジ)が使用される場合、スポンジまたは他の構造はセルに挿入され、製造時に真空を使用して圧縮され、任意選択的に、水中で溶解するプラスチック、例えばPoly Venil Ethylinで封止される。任意選択的に、水の浸入は構造を拡張させ、かつ水を構造内に吸引するのを助けることもできる。
【0133】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAP袋またはバックボーンはそれ自体が「区画」であり、別個の区画壁は設けられず、あるいはそのような区画は少なくとも面積の50%が開口している。
【0134】
本発明の一部の例示的実施形態では、区画の少なくとも1つの壁は半剛性であり、かつ/または補剛要素を含み、それは区画の形状の維持を助け、かつ/またはSAPの吸水中にその所望の配置を確保する。
【0135】
本発明の一部の実施形態では、区画の剛性は、少なくとも一部では、適量のSAPが充填されるセルを画定する半剛性プラスチック部品を使用することによって(例えば熱成形部品、真空成型部品、射出成形部品、またはいずれかの他の製造機構を使用して)達成される。任意選択的に、セル壁には、水を流入させるがSAPゲルがセルから流出することを防止する大きさの穴があけられる。一部の実施形態では、SAPは、水の流入が可能であるがSAPゲルの流出には抵抗するのに充分な多孔性の材料、例えば不織布の内部に包装される。任意選択的に、この材料はライナーとして役立ち、半剛性プラスチックはシェルとして役立つ。一部の実施形態では、半剛性シェルは、内部のライナーを迅速に水に曝露させることを可能にする、大きい穴を有する。任意選択的に、細孔の少なくとも50%および/または細孔面積の50%は、100から300ミクロンまでの最大範囲を有する細孔に該当する。
【0136】
本発明の一部の実施形態の一態様は、SAPを含む区画への水の浸入に関する。本発明の一部の例示的実施形態では、浸入は穴を介して行われ、穴は、SAPゲルの流入を防止するように充分小さいが、充分に急速な水の浸入を助けるように充分大きくかつ/または充分多数であるように選択される。任意選択的に、細孔の少なくとも50%および/または細孔面積の50%は、100から300ミクロンの最大範囲を有する細孔に該当する。
【0137】
本発明の一部の例示的実施形態では、穴は一方向弁、例えばフラップ弁および/またはピンチ弁を画定する。任意選択的に、弁は区画内部のSAPの膨張によって閉じられる。
【0138】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAPは多孔質層を有するユニットの内部に担持される。任意選択的に、このユニットは区画と共有しない少なくとも1つの壁を有する。任意選択的に、または代替的に、この層は布であり、例えば織布または不織布である。任意選択的に、または代替的に、層は疎油性であり(かつ/または別個の疎油層が追加され)、油がSAPの吸水および膨張を妨害するのを防止する。
【0139】
一部の実施形態では、SAPは、水は容易に浸入するがSAPゲルは流出しないように穿孔された材料から作られたポケット内に保持される。任意選択的に、この材料は、(例えばタイヤの内側チューブと同様に)SAPをブーム区画内に保持するライナーとして役立つ。
【0140】
一部の実施形態では、チャンバの貫通可能な壁は有孔フィルムから作られたセクションから作られ、あるいはそれを含む。任意選択的に、穴は、水を迅速に流入させる一方で、より大きい分子サイズを有する活性化されたSAPゲルの流出を依然として防止する範囲で、できるだけ大きくする。例えば、穴は最大範囲で100から300ミクロンの間とすることができ、任意選択的に略方形または円形である。
【0141】
SAPを含有する内部袋または不織チューブまたは他の構造を使用する実施形態では、より大きい穴(例えば0.5〜2または5mm)を設けてよい。
【0142】
一部の実施形態では、ユニットおよび/またはチャンバ壁および/またはチャンバ全体のかなりの部分または大部分が、例えば面積の少なくとも25%、40%、50%、70%、80%、90%、または中間の割合が多孔質である。
【0143】
本発明の一部の実施形態の一態様は、チャンバ内に配されるSAPの量に関する。任意選択的に、量はチャンバの用途(例えば塩水または淡水)に応じて選択される。任意選択的に、または代替的に、量はチャンバの容積に応じて選択される。任意選択的に、チャンバは1つの体積を持つ静止形状を有するが、チャンバ(例えば角度および/または表面)の変形の結果、体積が大きくなることがあり得る。任意選択的に、拡張されたときに、チャンバの形状が変形し、例えば少なくとも10%、20%、30%、または中間の割合だけ体積が増大するように、充分なSAPが提供される。この増大は、折り畳まれた状態から充填された状態へのチャンバの拡張を超えることが注目される。
【0144】
本発明の一部の実施形態の一態様は、SAPによる急速かつ/または均一な吸水を補助し、かつ/または充填区画に他の望ましい特性を提供することに関する。本発明の一部の例示的実施形態では、これは、SAPと混合して、SAP上に、かつ/またはSAP粒子の形で、提供される材料に関する。
【0145】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAPへの油の付着を低減するために、撥油性の表面および/または粒子が提供される。
【0146】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAP含有区画の(最も大きい)2つの壁は、少なくとも1つの壁が油に対する障壁として機能し、かつ少なくとも1つの壁が水を透過可能であるように製造される。一部の実施形態では、区画の外側は、油を遠ざけ、水の容易なアクセスを維持するように疎油性材料から作られる。
【0147】
本発明の一部の例示的実施形態では、吸水は、SAPおよび/または区画もしくはユニットにに加熱材料を添加することによって補助される。本発明の一部の例示的実施形態では、この材料は海水および/または水との発熱反応を呈し、それは吸水プロセスを補助する。
【0148】
本発明の一部の例示的実施形態では、他のかつ/または追加の材料がSAPと関連付けられる。一実施例では、水と反応して水素を放出するマグネシウム、カルシウム、またはバリウムのようなガス形成材料がSAPと混合され、ガス泡を発生し(任意選択的にSAP粒子によって捕獲される)、かつ/またはそれは浮力を高めることができる。
【0149】
本発明の一部の例示的実施形態では、撥油性材料および/または被覆がSAPに追加される。
【0150】
本発明の一部の実施形態では、浮遊物をレーダーにより捕捉され易くするために、反射性材料、例えば金属粒子または繊維が添加される。任意選択的に、またはさらに、ソナーの視認性を向上するために、コーナーリフレクタまたは他の幾何学的形状(例えば適切な大きさのガス泡)が追加される。
【0151】
本発明の一部の例示的実施形態では、例えば長さが1mmから30mmの間または300mmの繊維がSAPに添加され、例えば補剛を行いかつ/または動きを低減することによって機械的特性を高めるのに役立つ。任意選択的に、繊維は接着性である(例えば接着性コーティング)。任意選択的に、または代替的に、SAP粒子はそのような繊維に挿通される。
【0152】
本発明の一部の実施形態の一態様は、吸水を補助するように構成されたSAP粒子形状に関する。任意選択的に、より大きい水浸入穴を使用することができるように、粒子はより大きく作られる。任意選択的に、または代替的に、粒子はより扁平に作られる(例えば厚さと表面積の平方根の比は0.5、0.3、0.1、または中間比より小さい)。任意選択的に、または代替的に、粒子はその相対表面積を増大させるために、より小さくかつ/または非平滑に作られる。任意選択的に、または代替的に、比較的大きい粒径を維持しながら、表面積を増大し、かつ/または有効粒子厚さを低減する(例えば吸水速度を増大する)ために、粒子には1つ以上のアパーチャ、例えば貫通穴が形成される。
【0153】
そのようなジオメトリの潜在的利点は、ある量のSAPが水を吸収して、非活性化SAPの他の領域への水の自由な流入を停止するゲルに変化した後に形成される「コルク」によって時々生じる、閉塞現象を防止かつ/または低減することである。
【0154】
一部の実施形態の一態様は、1つ以上の予め定められた回転点を含むブームユニットに関する。一部の実施形態では、回転点は、ブームが外部から加えられる力に対し、ブームの機能性を妨げないように応答することを可能にする。一部の実施形態では、ブームユニットの区画またはその一部分は、第2区画に対して枢動可能である。一実施例では、例えば風によって生じる外力は区画の浮遊部分に作用し、同じ区画のバラスト部分(水中に構成される)が回転して水面に対し直角位置に近づくように、区画を例えばブームの長手軸線に対して枢動させる。
【0155】
任意選択的に、バラスト部分は水中により深く係留し、持上げおよび/または風による動きに対するブームの抵抗を増大させる。
【0156】
本発明の一部の実施形態の一態様は、事前膨張されるブームセクションに関する。本発明の一部の例示的実施形態では、ブームの浮揚部は1つ以上の封止され事前充填されたガス区画を含む。任意選択的に、区画は溶接されたポリマーフィルムの間に形成される。任意選択的に、区画は、ブームに必要な浮力の全部、または少なくとも50%、70%、90%、もしくはそれ以上に対し充分である。任意選択的に、ブームは事前充填された区画を伴って保管される。
【0157】
事前充填された区画を使用する潜在的利点は、展開が簡素化されることである。少量の空気または他のガスで充分にブームに浮力を与えることができるように、ブームの大部分は任意選択的に、浮力中立または近中立の材料から形成される(例えば0.9〜1.4g/cm
3の密度)ことが注目される。
【0158】
本発明の一部の例示的実施形態では、ガスの体積の少なくとも50%は、少なくとも0.1cm
3、1cm
3、5cm
3、および/または10cm
3の内部容積を有する区画内に存在する。任意選択的に、これは、開放セルまたは閉鎖セル発泡体が事前充填ガス貯蔵要素として作用できなくする。しかし、一部の実施形態では、封止ガス区画は、例えば本書に記載するように、例えば形状記憶物質として、発泡体、例えばスポンジを含んでよい。
【0159】
本発明の一部の例示的実施形態では、ブームの事前充填された区画の厚さは0.5から30cmの間であり、例えば2から10cmの間である。そのような区画は単層または2層以上のガス充填部分を含んでよい。
【0160】
任意選択的に、ブームセクションの壁はそれ自体相互に封止され、例えばガス貯蔵要素壁としてかつ外面として働くのと同じフィルムにより、ガス保持領域を形成する。
【0161】
本発明の一部の実施形態の一態様は、少量の材料を用いて油遮断ブームに充填することに関する。本発明の一部の例示的実施形態では、ガス量は、ブーム1メートル当たり0.5から5リットルの間であり、例えば1メートル当たり1から2リットルの間である。
【0162】
本発明の一部の例示的実施形態では、SAPは吸水のために使用される。任意選択的に、SAPは、SAPの重量とSAPゲルによって吸水される所望の体積の海水の重量との間の比率を1:10から1:30の間で、例えば約1:20またはそれ以上の比率(例えば、ブームを淡水で使用する場合、1:50、1:100、またはそれ以上、例えば1:500未満)で提供される。
【0163】
本発明の一部の例示的実施形態では、30から300グラム/メートルの間のSAP、例えば80から200の間、例えば約100グラム/メートルのSAPが提供される。
【0164】
本発明の一部の実施形態の一態様は、油動き防止のためのブームにおける現場ガス発生に関する。本発明の一部の例示的実施形態では、ブームの一部分は、封止合体されたポリマーシートから形成される(それは任意選択的にブームの外面としても働く)。本発明の一部の例示的実施形態では、部分内に異なる溶接強度が提供される。例えばガスがブームの外に逃散するのを防止するため、強い溶接部が提供され、ガス前駆体を保持する区間間には弱い溶接部が提供される。展開中に、その部分に掛かる圧力は弱い溶接部を破断させ、前駆体が混合してガスを発生し、そのセクションを拡張させることができる。任意選択的に、中程度の強度の溶接部は弁として提供され、ブームの他の部分にガスを退避させることができる。任意選択的に、これは充分なガスが生成した後でだけ開き、反応可能な前駆体の漏れを防止することができる。
【0165】
任意選択的に、または弱い溶接および強い溶接を使用する代わりに、本発明の一部の例示的実施形態では、1つの前駆体の流路は、別の前駆体を保持する区画を通過する。任意選択的に、他の前駆体の区画またはそのセクションの異なるジオメトリ(例えば半閉鎖セクション)は、2つの前駆体のための混合チャンバとして働く。
【0166】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0167】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明の一部の実施形態に係る、油流出の拡散を制限するためのブームを準備しかつ展開する方法のフローチャートである。
【0168】
一部の実施形態では、例えば本書に記載する方法は、流出の現場で、任意選択的に流出の探知直後に実行される。一部の実施形態では、展開船は、ブームを現場で迅速に製造しかつ展開するのに適した機械類および/または他の設備を運搬し、例えばブームスリーブの1つ以上のリール、およびモータ、コントローラ、リールハンドラー、荷積みおよび荷降ろし装置、センサ、膨張モジュール、および/もしくは流体充填モジュールのような機械類、ならびに/またはブームの製造および/または展開に適した他の設備を運搬する。
【0169】
一部の実施形態では、少なくとも1つの未膨張ブームスリーブが提供される(100)。一部の実施形態では、スリーブは複数のセグメントに分割され、各セグメントは1つ以上の事前形成された区画を含む。一部の実施形態では、1つ以上の区画は浮揚区画として機能するように意図され、かつ1つ以上の区画はバラスト区画として機能するように意図される。本書に記載する通り、スリーブセグメントは、複数のブームユニットが連鎖結合されてブームを形成するように、1つ以上の追加スリーブの1つ以上のセグメントに結合されたときに、ブームユニットを画定する1つ以上の区画を含んでよい。代替的に、第1スリーブのセグメントは単独で、1つ以上の浮揚区画および1つ以上のバラスト区画を含むブームユニットとして機能する。また本書で記載する通り、ブームスリーブは自己充填セクションおよび/または事前充填セクションを使用してよく、かつ/または膨張可能なセクションを持たないでもよい。
【0170】
一部の実施形態では、ブームスリーブは、横方向に閉鎖された細長いフィルム、任意選択的に多層フィルムを含む。一実施例では、2つの細長いフィルムがそれらの縁部で一体に溶接され、かつさらに1つ以上の長さ方向および/または幅方向の位置で溶接されて、区画を画定する。一部の実施形態では、スリーブは、様々な形状および大きさの複数の封止領域を含み、膨張可能な区画間を分離する。別の実施例では、単一のフィルムが長さ方向に折り重ねられてスリーブを形成し、かつ任意選択的にもう1つの追加位置で溶接されて、区画を画定する。
【0171】
一部の実施形態では、ブームユニットの製作は、第1スリーブのセグメントを1つ以上の他のスリーブの1つ以上のセグメントと相互連結することを含む(102)。任意選択的に、相互連結は、区画の膨張および/または充填中に、区画を膨張かつ/または充填する前(すなわち膨張の完了前)に、かつ/または区画を膨張かつ/または充填した後に、実行される。一部の実施形態では、相互連結は、区画またはその一部分をねじ結合によって、例えば第1区画またはその一部分を別の区画の指定された開口に挿通することによって、1つ以上の他の区画に連結することを含む。一部の実施形態では、区画の膨張が完了すると、ねじ結合された区画の相互離脱を防止するように、それらの間の連結が係止される。一部の実施形態では、スリーブセグメントは、例えば封止フィルム領域である1つ以上のタブを含み、これらのタブは、1つ以上の追加スリーブセグメントのそれぞれのスロットまたは開口に、それらを一体に連結するために挿置可能である。
【0172】
加えて、または代替的に、区画は他の手段によって連結され、例えば溶接され(例えばブームスリーブの工場での製造中に)、接着され、ピン、クリップ、もしくは帯状体のような固定手段、および/または区画を取り付けた状態に維持するのに適する他の手段によって取り付けられる。
【0173】
一部の実施形態では、相互連結区画間を連結するために、1つ以上の接続要素、例えば区画の間に延びるストラップまたは帯状体が使用される。任意選択的に、接続要素は区画の相対的動きを制限する。任意選択的に、接続要素はバフルとして機能する。
【0174】
一部の実施形態では、展開の現場で、1つ以上のブームスリーブの区画は、能動的にかつ/または受動的に膨張されかつ/または充填される(104)。他の実施形態では、例えば、本書に記載する通り、1つ以上の区画(例えばガス区画および/または水区画)には膨張材が事前充填かつ/または充填される。
【0175】
任意選択的に、事前充填は製造中に、包装(例えば保管のために折り畳む)前に行われる。
【0176】
一部の実施形態では、浮揚区画として機能する1つ以上の区画は、空気などのガスにより膨張される。任意選択的に、区画は例えばエアブロワを使用することによって能動的に膨張する。加えて、または代替的に、区画は、例えば化学的および/または機械的反応を作動させることにより、それが次に区画を満たすガスを発生させることで、受動的に膨張(または自己膨張)する。一部の実施形態では、化学反応は、カプセルを破損することによって、または袋を圧搾することによって、2つ以上の物質が混合することで開始する。例えば酢酸、クエン酸、または他の弱酸と、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)または他の塩または塩基との反応を引き起こして、浮揚区画を充填するのに充分な量のCO
2を発生させる。一実施例では、どちらも希釈水溶液(25〜50%)の10ccの酢酸と16ccの重炭酸ナトリウムで、例えば単一の区画を充填するのに充分な約1〜2リットルの量のCO
2が発生する。一部の実施形態では、任意の大きさおよび/または形状の区画を充填するために、例えば記載した化学反応を使用することができ、特定の膨張圧力を得るために、特定量の化学反応体が選択される。一部の実施形態では、CO
2のような液化ガスが加圧キャニスタからガスの形で放出され、区画を充填する。
【0177】
充填は緊張するまで充填する必要はないことに留意されたい。むしろ、一部の実施形態では、浮揚のためにちょうど充分なガスを提供するだけでよく、区画の壁が充填によって顕著に補剛される必要はない。
【0178】
一部の実施形態では、ある量のガスを生成するための化学的プロセスの始動は、加熱することを含む。一部の実施形態では、化学的プロセスの始動は、電磁場を印加することを含む。
【0179】
一部の実施形態では、ブームを安定化させるために水中に配されるように意図された、バラスト区画として機能する1つ以上の区画は、水のような流体が能動的に、かつ/または受動的に充填される。一部の実施形態では、ポンプが区画に水を充填する。加えて、または代替的に、区画は少なくとも部分的に周囲水で(例えば海中、海洋で)展開されて水を自己充填する。加えて、または代替的に、区画はスポンジまたはSAP(超吸収性ポリマー)のような吸収性材料を包含し、それは水を吸収し、それにより区画の重量を増大し、それがバラストとして機能し、かつ/または構造上の理由から補剛し、かつ/またはアンカーとして働くことを可能にする。本書で使用する場合、SAPはとりわけポリアクリル酸ナトリウム、および/または水を吸収して元の材料体積の少なくとも5倍の体積を持つゲルまたは他の複合体を形成する、ポリアクリルアミドコポリマーなどの他の物質を含む。
【0180】
任意選択的に、水は、周囲水におけるブームの展開中に、吸水性充填材によって吸収される。加えて、または代替的に、機械的反応が実行されて区画に水を自己充填させる。例えば扁平状態の区画内でばねが解放されて、区画を拡張させ、その容積を増大させ、それに水が充填することを可能にする。一部の実施形態では、セル内のSAPの量は吸収される水の量を制御することができる。セル内の水の量は、区画の壁またはSAPを閉じ込める他の構造の可撓性によって制御されてもよい。
【0181】
本発明の一部の例示的実施形態では、これらの壁は細孔、および/または水の浸入に適する一方でSAP粒子および/または吸水によって形成されるSAP‐水複合体の逃散を防止する他の構造を含む。
【0182】
一部の実施形態では、1つ以上の追加区画に水などの流体が充填され、例えば後で示すように周囲水の水面上に配される。これは安定性の向上をもたらす。
【0183】
一部の実施形態では、浮揚区画および/またはバラスト区画の膨張は、区画間の封止スリーブ領域が構造に柔軟性をもたらすブームユニットを生成する。任意選択的に、封止領域は、膨張した区画がその周囲を動きすることを可能にする軸として機能する。例えば区画相互の相対的な屈曲を可能にする。一部の実施形態では、スリーブフィルムを形成する材料は少なくとも多少剛性であるので、折畳および/またはそれ以外の撓曲の程度は制限される。
【0184】
一部の実施形態では、膨張しかつ/または充填した区画はブームユニットに剛性をもたらす。任意選択的に、膨張圧力(区画毎に異なり、あるいは単一区画のサブ区画内でも異なることがある)および/またはSAPなどの充填材が水を吸収した結果生じる機械的圧力は、ブームユニットの少なくとも幾つかの部分に剛性をもたらすように選択される。一部の実施形態では、膨張しかつ/または充填した区画は、ブームユニットのための剛性枠体を画定するビームとして働く。一部の実施形態では、区画および/または別のSAP封入構造は少なくとも1つの半剛性壁(例えば熱可塑プロセスを用いて、かつ/またはセル構造内に挿置されるビーム、スナップ、ヒンジ等のような半剛性要素を用いて製造される)を含む。そのような要素は剛性を増大させることができる。
【0185】
一部の実施形態では、浮揚区画および/またはバラスト区画の膨張圧力は環境条件に応じて選択される。例えば、圧力は、ブームが展開される周囲の気温および/または周囲水の温度に応じて選択される。一部の実施形態では、膨張圧力を選択するときに、例えば1日の水温および/または気温のゆらぎが考慮される。任意選択的に、ブームは、例えば本書に記載する通り、自動的に膨張かつ/または自己膨張し、膨張圧力は、環境条件に基づいて、展開船に搭載された膨張モジュールなどの膨張モジュールと通信するコントローラによって自動的に選択される。任意選択的に、環境条件は使用者によって挿入される。加えて、または代替的に、環境条件は、温度センサなど、1つ以上のセンサを用いて自動的に測定される。製造中にブームのパラメータを選択するときに考慮される他の環境条件は、例えば波の状態(例えば高さ、パターン、頻度)、水流の状態、および/または他の天候状態、ブームが展開される地理的位置(例えば遠い沖合の海または沿岸領域)、および/または他の状態を含んでよい。
【0186】
一部の実施形態では、作製されたブームは、流出を封じ込め、その拡散を制限するために、油流出などの流出の周りに展開される(106)。ブームを現場で迅速に作製する潜在的利点は、それがより大きい領域に拡散する前に、流出を封じ込めることを含む。現場で作製するのではなく、リールに巻き取られたブームスリーブにすでに事前形成された区画を膨張かつ/または充填させることによって、例えばロール状に巻かれたフィルムまたはシートから現場でブームを作製する場合と比較して、現場での製作時間を削減することができる。
【0187】
一部の実施形態では、作製されたブームは水より重い材料を全く含まず、あるいは水より重い材料を1%、2%、5%のようなごくわずかな割合、または中間か、より大きいか、より小さい割合だけ含む。製作前のみならず製作後も軽量のブームを使用する潜在的利点は、ブームを現場で準備しかつ展開するのに必要なのは少人数のチーム(例えば2名)だけであり、流出の探知後すぐにブームを展開することができることである。
【0188】
一部の実施形態では、例えば単独でまたは例えば2つのセグメントなどの追加セグメントと共に三次元ブームを形成する連鎖結合された3つのセグメントを含む、長さが約1メートルのブームの重量は、例えば300〜900グラムの範囲、例えば350グラム、500グラム、650グラム、750グラム、または中間か、より大きいか、より小さい範囲である。
【0189】
一部の実施形態では、展開されたブームは、展開船または係留要素などの外部支持構造に対し非接触状態を維持し、自由に流動することができる。任意選択的に、流出の周囲に展開されるブームリングは、流出が風、水流、および/または波のような環境条件に曝されるのと同様に、これらの条件に曝され、ブームは依然として流出を封じ込めながらも、それと共に漂流することがある。一部の実施形態では、ブーム寸法は小さく、例えば当業界で公知のブーム寸法より小さい。任意選択的に、ブーム寸法は、流出と共に流動するなど、ブームの自由な流動が可能になるほど充分に小さい。比較的小さい寸法のブームユニットの潜在的利点は、例えば当業界で公知のものと比較して、(例えば水上に約1メートル、かつ水面下に約2メートル延びる)ブームの展開が容易かつ迅速になることである。別の潜在的利点は、ブームが周囲の条件に迅速に適応すること、および突然の強風など条件の突然に変化に即座に対応するように構成できることであろう。比較的小さい寸法のブームの別の潜在的利点は、非常に長いブームの保管および/または流出現場での取扱い、および/または小型の展開船上の複数のブームの事前積込みが容易になることであろう。ブームの大きさは取扱いおよび/または展開を容易にし、例示的な長さが30、50、100メートル、または中間か、より長いか、より短い長さのブームは、少人数のチーム(例えば2〜3名)によって取り扱うことができ、かつクレーン、フォークリフト、または他の操縦用機械類などの重機類を使用する必要性を低減することができる。
【0190】
図2A〜2Bは、本発明の一部の実施形態に係る、閉鎖型三角形構成の形の安定化ジオメトリを含むブームユニットの断面図、およびブームユニットに働く外力の略図である。
【0191】
図に示す例示的構造では、ブームユニット200は、任意選択的に屈曲部を含む水上浮揚区画202と、水を包含する2つの水面下バラスト区画204とを備え、各バラスト区画は周囲水の水面より上に位置する延長部206を含む。浮揚区画202はバラスト区画204に近接して構成され、主として水上に配置される。一部の実施形態では、帯状体またはストラップの形の要素224などの接続要素は2つ以上の区画の間に延び、かつ/または区画の間を接合して、それらの相対的動きを抑制する。この実施例では、要素224は浮揚区画202と水区画204との接合部の間に延びる。
【0192】
代替的に、一部の実施形態では、ブームユニットは異なる数の浮揚区画および/または異なる数のバラスト区画を備え、例えば任意選択的に屈曲部を形成する、相互に連結された2つの浮揚区画を備える。
【0193】
一部の実施形態では、ブームユニットは、この図に示す断面で、有界領域220として示される中空チャンバを備える。ここに示す実施例では、中空チャンバの閉鎖断面形状は、3つの係止点によって画定され、1つの係止点214は水区画204間の交差点に位置し、2つの係止点216、218は水区画204と浮揚区画202との間のねじ結合部に位置する。本書に記載する通り、係止点は2つ以上の結合された区画間の交差点、区画の屈曲部、2つ以上の相互連結された区画間のねじ結合部、接着および/または溶接結合部、および/または1つ以上の追加の幾何学的接合部と共に枠組構造を画定する他の幾何学的接合部を含んでよい。一部の実施形態では、係止点は区画の相互に相対的な角度位置を設定する。一部の実施形態では、係止点は、相互連結された区画の相互に相対的な動きを制限する。
【0194】
一部の実施形態では、係止点は、等角多角形、任意選択的に等辺多角形の形の閉鎖形状を画定するように配置される。この図では、閉鎖形状は、係止点の間に延びる軸線間の角度が60度の等辺三角形である。等辺形状構成の潜在的利点は、例えばバラスト区画204によって画定される三角形の脚の間に流出物質を効果的に封じ込めることを含む。任意選択的に、バラスト区画204は対角線上に延びて、断面の長軸210が三角形の一辺を成しかつ水平軸212(実質的に水面に延びる)が第2の辺を成す三角形の斜辺を成す。
【0195】
代替的に、係止点は四辺形構成、六角形構成、および/または他の多角形構成を画定する。一部の実施形態では、閉鎖形状は、円形などの丸みを帯びた形状構成を含む。少なくとも1つの閉鎖形状を含むブームユニット構造の潜在的利点は、風、水流、および/または波から生じる力など、ブームユニットをひっくり返し、反転かつ/または回転させるおそれのある力に対するブームユニットの抵抗を高めることを含む。有界領域220の壁を画定する係止点に従って区画を配することにより、ブームユニットは、「W」字状の区画構成などの「開放」配置の区画と比較して、安定性の向上をもたらすことができる。
【0196】
本発明の一部の例示的実施形態では、スカートに使用される形状は、流体がスカートの下からスカートの反対側に逃散することを防止するように選択される。
【0197】
任意選択的に、これは、スカートの下端に(例えば垂線に対し鋭角の)外向きのセクションを持つ形状を含み、それは流体の緩徐な動きを防止する。任意選択的に、そのようなセクションはスカートの両側に設けられる。
【0198】
代替的に、片側だけがそのように設けられる。
【0199】
任意選択的に、いかなる瞬間でも、閉鎖領域220に界接する区画は、有界領域220および/または周囲領域220の範囲内で、周囲水の自然流を少なくとも部分的に妨害する。区画間に領域220などの有界領域を画定するブームユニットの潜在的利点は、水より重い金属鎖および/もしくは他の種類のアンカーなどの外部錘またはバラストを使用する必要なく、ブームユニットを安定化させること、および流出の拡散を制限するのに効果的な直立位置にブームユニットを維持することを含む。一部の実施形態では、有界領域220の断面の大きさは、充分な量の周囲水を「捕獲」して、ブームユニットの長手軸線が水面に対し略直角になり油の通過を防止する、安定化効果を得るのに有効である。
【0200】
一部の実施形態では、有界領域220を通過する軸流(すなわちブームユニットの長手軸線210に対し略直角の流れ)は貫流し続ける。一部の実施形態では、閉鎖形状は、水がそこを通流することのできる、区画204内に画定された開口240のような1つ以上の開口付きで形成される。
【0201】
一部の実施形態では、閉鎖形状は、ブームユニットの長手軸線210に対して、かつ/または水平軸線212に対して、対称的に配置される。
【0202】
代替的に、一部の実施形態では、閉鎖形状は軸線に対して非対称的構成に配置され、例えば第1係止点は、軸線210からの距離が反対側の係止点の場合より大きくなるように配される。
【0203】
閉鎖形状を含むブームユニットの別の潜在的利点は、ブームを形成する材料の量を増やすことなく(例えばフィルムの厚さを増大することなく),かつ/または金属ケーブルなどの外部剛性要素を必要とすることなく、ブームユニットの剛性が高くなることを含む。
【0204】
一部の実施形態では、例えば1つの屈曲区画を含み、あるいは一部の実施形態では、相互に斜めに配設された2つの区画を含む浮揚区画202は、長手軸線210に対して側方に延びる。任意選択的に、例えばここに示すように、軸線210はブームユニットの重心を(係止点214の位置で)通過し、かつ軸線210から遠ざかるように延びることによって、浮揚区画202は、長手軸線210を周囲水の水面に対して略直角位置に維持し、軸線210に対してブームのバランスを保つのに有効である。浮揚区画202の潜在的利点は、水区画204などのブームユニットのバラスト区画の位置を水面に対して安定化させることを含む。ブームユニットが、浮揚区画または他の浮揚要素無しで、水充填バラスト区画だけで構成された場合、本発明の一部の実施形態に従ってブームユニットが流出の拡散を制限するのに有効な位置である、水面に対し略直角位置のブームの長軸を有する代わりに、水充填バラスト区画は水充填袋と同様に周囲水によって動き、周囲水と共に漂流するであろうということに、発明者らは注目した。
【0205】
一部の実施形態では、浮揚区画202の延長先端228と長手軸線210との間の距離226は、破損することなく波および/または風などの力に耐えるように、充分短く選択される。一部の実施形態では、距離226は、ブームユニットを安定化させるために、水面に働くより大きい浮力を利用するように、充分長く選択される。一部の実施形態では、距離226は例えば10cmから30cmの範囲であり、例えば12.5cm、20cm、25cm、または中間か、より長いか、より短い距離である。任意選択的に、延長部を形成するフィルム材の厚さは、破損を低減するように充分厚く選択される。
【0206】
一部の実施形態では、浮揚区画202の先端228は周囲水中に、水面から例えば1〜10cmの範囲の距離に、例えば1.5cm、5cm、7cm、または中間か、より長いか、より短い距離に位置する。周囲水中に位置する先端228を有することの潜在的利点は、ブームが風で水面から浮き上がるリスクを低減することを含む。
【0207】
一部の実施形態では、浮揚区画202と、この実施例では実質的に水面に沿って延びる水平軸線212との間の最大高さ222は、一方では、流出物質が(例えば風のため)ブームユニット上に飛散するのを防止するように充分高く、かつ他方では、抗力(風によって生じる抗力など)の影響を低減するように充分低く選択される。
【0208】
任意選択的に、高さ222は例えば7〜40cmの範囲であり、例えば10cm、20cm、25cm、または中間か、より長いか、より短い高さである。
【0209】
一部の実施形態では、角度βは2つの浮揚区画の間の接合部で、かつ/または単一の浮揚区画202の屈曲部で画定される。任意選択的に、角度βは例えば60〜150度の範囲であり、例えば70度、95度、120度、または中間か、より大きいか、より小さい角度である。一部の実施形態では、浮揚区画202の膨張圧力は、特定の角度βが生じるように選択される。
【0210】
任意選択的に、屈曲部を含む単一の浮揚区画では、膨張圧力が増大すると、より鋭角の、より小さい角度βが生じる。一部の実施形態では、区画の曲げ角度は屈曲部の周りの封止スリーブ領域の形状および/または大きさによって設定される。
【0211】
一部の実施形態では、相互連結された区画が相互に係止される程度は、膨張圧力によって決定される。任意選択的に、膨張圧力が低下すると、連結された区画間に少なくともある程度の自由度が得られ、それらの相対的な動きが可能になり、例えば区画が屈曲し、かつ/または回転し、かつ/または別の区画に対して軸線方向にわずかに摺動することが可能になる。
【0212】
一部の実施形態では、水が入っている区画204などのブームユニットのバラスト区画は、逆V字状構成228を画定する。逆V字状構成の潜在的利点は、例えば浮揚区画に働く風のため、かつ/または水流のため、ブームユニットが水から引き出されることに対するブームユニットの抵抗が高まることを含む。一部の実施形態では、係止点214など区画204間の交差部で画定される角度は略直角であり、例えば85〜95度の範囲である。一実施形態では、角度は90度である。
【0213】
一部の実施形態では、水平軸線212とバラスト区画204の遠位端との間で例えば軸線210に沿って測定される、ブームユニットの水中部分のバラストの長さ230は、ブームユニットが水から引き出されるリスクを低減し、かつ/または流出物質がブームの下側(すなわち遠位側)を通過する(巻込み現象)のを阻止するように充分長く、かつ他方では、流出物質が屈曲部でブームの向こう側に通り抜ける危険性のある、ブームを(例えば長手軸線に対して)屈曲させる力にあまり曝されないように充分短く選択される。任意選択的に、長さ230は例えば30〜70cmの範囲であり、例えば35cm、50cm、65cm、または中間か、より長いか、より短い長さである。任意選択的に、より高い剛性のバラストは曲げ力に対する抵抗がより優れているので、バラスト区画の剛性を高めることによって、例えばより高い剛性のフィルムを使用して区画壁を形成することによって、かつ/または区画壁の厚さを増大することによって、より長いバラスト部分を使用することができる。一部の実施形態では、ブームの水面下バラスト部分に使用される材料の寸法および/または種類を選択するときに、トレードオフが行われる。長ければ長いほど、より高い剛性のバラスト部分は、一方では、外力(風および/または水流など)により効果的に抵抗し、ブームの安定性を増大させるが、他方では、展開されずリールに巻き取られた状態のときにより大きい容積を占め、かつ展開するのにより長い時間がかかる。
【0214】
図2Bは、本発明の一部の実施形態に係るブームユニット200に働く力を示す略図である。
【0215】
ここに示す実施例では、浮力Fbは、対向する重力Fgと符合してブームユニットを押し上げる。ブームユニット200は、油流出242が水面上をさらに拡散することを阻止するのに有効な位置で、少なくとも部分的に水面上にあり(浮揚区画202)かつ少なくとも部分的に水面下(バラスト区画204)にあってバランスを保つ。一部の実施形態では、油流出242は、長手軸線210に沿って2つの高さの間に、すなわち水面のバラスト区画204および浮揚区画202の間の((例えば係止点216および218の間の)相互連結の高さである第1高さと、バラスト区画204の交差点214における第2高さとの間に、封じ込められる。
【0216】
一部の実施形態では、Fwなど風によって生じる力は、ブームの水上部分に対し1つ以上の方向に作用し、ブームを側方に傾斜させ、反転させ、かつ/または水上に持ち上げるおそれがある。一部の実施形態では、水面下の水流によって生じる力Fcは、ブームの水面下の部分に対し1つ以上の方向に作用し、ブームを回転させ、傾斜させ、かつ/または水上に高く押し上げるおそれがある。
【0217】
一部の実施形態では、ブーム構造は、上述の力の少なくとも一部に対するブームユニットの抵抗を増大させるように構成される。浮揚区画202の構成について述べると、例えば側方に延びる区画は浮揚力に抵抗し、水面に対し略直角の位置で長手軸線210のバランスを保つ。バラスト区画204および接続要素224によって画定される閉鎖形状について述べると、例えば閉鎖形状は、浮揚区画202に働く風に対抗する錘として作用し、風によるブームユニットの傾斜および/または上昇に抵抗する。バラスト区画204の遠位部分によって画定される逆V字形状228について述べると、例えば逆V字形状はアンカーに作用し、上昇水流および/または上昇風に抵抗する。
【0218】
一部の実施形態では、ブームユニットは、波に対し、例えば波高および/またはパターンの変化に対し即座に反応し、たとえ流出(およびブーム)が波によって動く場合でも、ブームが流出の辺縁部と並ぶ位置を維持するように構成される。一部の実施形態では、浮力Fbが重力Fgに対抗してブームが水面でバランスを保つ場合、ブームは最小の遅延で波と共に上下動する。流出が水面に浮遊し、波と共に動くときに、ブームは波によって動く流出に「粘着」し、流出物と同様に波によって動き、流出物質がブームの下および/または上から逃散するリスクを低減する。
【0219】
一部の実施形態では、(単独でまたは1つ以上のセグメントと連結することによって)1つ以上の「鉛直」(例えば水面に対し略直角)のブームユニットを画定する、水面と略平行に延びるブームセグメントの長さは、波の曲率に適合するように充分短く選択される。
【0220】
各セグメントが波の曲率に適応するように充分に短い場合、セグメント間の少なくとも多少の相対的運動を可能にする可撓接続によって相互に連結された複数の連鎖結合ブームセグメントを含むブームの潜在的利点は、セグメントの比較的短い長さのため、セグメントができるだけ湾曲水面の近くに維持されるので、流出物質がブームの上および/または下を通過するリスクが軽減されることを含む。
【0221】
図2C〜2Eは、本発明の一部の実施形態に係る任意選択的な水上の水保持区画を有するブームセクションの折畳みを示す。
【0222】
ブームは充填可能なセグメントの相互連結に基づくことができるが、一部の実施形態では、セグメントは一体に溶接され、かつ/または折り目を含む。
【0223】
図2Cは、ブームセクション250の断面図の半分(左側)を示す。頂部セグメント252は浮揚のために使用され、かつ例えばガスを充填可能であり、あるいは例えば1つ以上の封止区画を含み、ガスを事前充填することができる。頂部ヒンジ262は、頂部セグメント252を右側の頂部セグメントと相互接続する(展開されたセグメントについては
図2Eを参照されたい)。
【0224】
水充填バラストセグメント254はヒンジ264によってセグメント252に取り付けられる。
【0225】
任意選択的に、ヒンジ264は、セグメントの筐体の単層の材料、および/または任意選択的に一体に溶接された2つのそのような層から形成されたリビングヒンジである。
【0226】
任意選択的に、ヒンジ264は、セクション250が展開されたときにセグメント252がセグメント254に寄り掛かるように捕捉される(
図2E)。
【0227】
任意選択的な水上の水充填セグメント260もまた任意選択的に、例えばここに記載するように提供され、かつヒンジ264に取り付けることもできる。
【0228】
任意選択的に、2つのセグメント254は、結合部/ヒンジ256(
図2E)で(例えば中空チャンバがセグメントの間に形成される実施形態で)交わる。
【0229】
任意選択的に、2つのセグメントは、例えば溶接、接着剤、および/またはコネクタによって事前に取り付けられる。
【0230】
最下部のスカートセグメント258は任意選択的にヒンジ256に取り付けられた状態で提供され、バランスを保つように提供される。本発明の一部の実施形態では、装置の左側のセグメント258は、右側のセグメント254の延長部であり、その逆も同様であることに留意されたい。図示する実施形態でも、これが当てはまる。しかし、任意選択的に、左側のセグメント258は、(例えば連続シートから形成された)左側のセグメント25
4に隣接している。
【0231】
セグメント260、254、および258は任意選択的にSAPまたは他の吸水性材料を含み、かつSAPによって吸収される水の流入を可能にする1つ以上のアパーチャを含む。
【0232】
この吸収はセグメントの変形および/または充填を引き起こす。一部の実施形態では、セグメント252もSAPを含む。
【0233】
図2Dは折畳み中のセクション250を示し、
図2Eは展開された状態のセクション250(左側および右側)を示し、また水位270をも示している。
【0234】
本発明の一部の実施形態では、セクション250を構築するために使用されるフィルムは、半剛性の例えば熱成形プラスチックフィルム(厚さ150〜450ミクロン)であり、それらは図示するようにX字状のブームを提供するために製造される。記載する通り、セグメント252は任意選択的に空気または封止エアユニット(気泡またはPET、PP、HDPE等泡のような個々の成形プラスチックフィルムの2Dアレイ)を事前充填され、かつ(必要ならば)封止される。セグメント260、254、258は任意選択的にSAPが事前充填され、1つ以上のアパーチャを含むか、あるいは多孔質壁材を有する。本発明の一部の実施形態では、セクションは扁平状態で保管され、展開は、ブームの折畳みを徐々に広げる外楔272(例えば、展開される間、セクション258およびそれらのヒンジ256がその上に乗る)(またはセクション252およびそれらのヒンジ262が乗る楔)によって補助される。任意選択的に、ブームユニットの展開が進むにつれて、楔の形状は平板から三角形に徐々に変化し(例えば尖角が増大し)、2つのセクション258間の角度を増大させ、例えば90度近くになるまで増大させる。
【0235】
任意選択的に、ブームの形状は、少なくとも一部には、プロセスの逆行を防止するプラスチックまたは金属製の機構を使用して維持される(例えば
図2F〜2G)。本発明の一部の実施形態では、展開されたセクションの幅は100から300mmの間、例えば240から280mmの間である。任意選択的に、ヒンジ264から上の高さは10から60mmの間、例えば30から45mmの間である。任意選択的に、ヒンジ264から下の高さは150から300mmの間、例えば180から230mmの間である。
【0236】
任意選択的に、ブームの最下部の幅は20から100mmの間、例えば35から75mmの間である。任意選択的に、セクションの厚さは充填後は10から40mmの間である。
【0237】
本発明の一部の実施形態では、折畳みは、セグメント254、258の拡張によって、かつ/または任意選択的に弾性の引張り要素(図示せず)を例えば262と256との間に設けることによって達成される。任意選択的に、非弾性引張り部材が設けられる場合、セグメント254は折り畳まれて提供される。それが拡張するとき、それは折畳みを広げ、したがって、折畳みを広げることによって引張り要素が伸長するので、セクション250全体の変形が生じる。
【0238】
本発明の一部の実施形態では、1つ以上のセグメントは、セグメントの外面に取り付けられるのではなく、任意選択的に所望の形状に曲げるように配置されたヒンジ領域をまたいで、任意選択的にセグメント内に、(例えば形状記憶または弾性材料の)インサートを含む。
【0239】
本発明の一部の実施形態では、形状記憶物質は、展開のために例えば2つのセグメントを押し離すかあるいはそれらを接合させるように、2つのセグメントの間に設けられる。
【0240】
図2F〜2Hは、本発明の一部の実施形態に係る、形状記憶物質または他の弾性機構(一般的に「エネルギー貯蔵」)を用いた、ブームセクション280の例示的折畳みを示す。図示する通り、(任意選択的に)セクション250と同様の設計を有するブームセクションでは、形状記憶物質282および/または284は、セクション254および254の間、かつ/またはセクション258および258の間に設けられる。2F〜2Hの進行から分かるように、この材料がその静止状態に戻ると、セクション間の角度が増大し、セクション280の折畳みを引き起こし、補助し、かつ/または誘導する。
【0241】
本発明の一部の例示的実施形態では、材料282および/または284は、展開を補助しかつ/またはリフォールディングを防止する機構、例えばばね(例えば金属またはプラスチック)とラチェット、および/またはラチェットだけ、および/またはばねだけに置換される。
【0242】
図3は、本発明の一部の実施形態に係る、多方向X字状ブームユニットの断面図である。
【0243】
一部の実施形態では、ブームユニット300は、ブームユニットの中心302を通るブームの中心軸線(例えば複数の連鎖結合されたブームユニットに沿って延びる軸線)に対してブームユニットが回転する場合でも、ブームユニットが流出の拡散を制限するのに効果的である、多方向構成を含む。
【0244】
ここに示す実施例では、ブームユニット300は、2つの相互連結された区画304を含むX字状構造を含む(代替的に、X字状構造は、異なる数の区画、例えば4つの区画を相互連結することによって得ることができる。代替的に、単一のX字状区画が使用される)。
【0245】
一部の実施形態では、区画304はガス306、例えば空気、および水308の両方を含有する。任意選択的に、ガスは水より軽いので、それは中心軸線に対するブームの現在の向きに関係なく近位方向に浮遊し、よって浮揚要素として機能し、水位より上に上昇する。
【0246】
一部の実施形態では、ガス(例えば空気)の体積と区画304内に封じ込められる水の体積との間の比は、選択された浮揚の程度(例えばX字状構造の浮遊先端と水面との間の距離)によって安定化する、水を包含するバラスト部分の特定の深さ(例えば水面に対する深さ)が得られるように選択される。
【0247】
一部の実施形態では、接続要素310は2つ以上の区画またはその部分を結合する。任意選択的に、この例示的X字状構成では、X字状構成のセグメント対の間を結合するために、追加の接続要素、例えば接続要素310’、310’’、310’’’の1つ以上も提供される。理解される通り、結合は全ての側に、またはその幾つかにだけ、例えば左右両側および/または上側および/または下側にあってよい。任意選択的に、または区画の縁部に近い接続要素の代わりに、接続要素、例えば312を設けることができ、あるいは追加的に、ブームの中心のより近くに、区画縁部とブームの断面の幾何学的中心との間の距離の例えば70%内、50%内、30%内、または中間の割合内に設けることができる。展開プロセスは、
図2C〜2Eで述べたように形状記憶物質または楔を含むことができる。
【0248】
本発明の一部の実施形態では、接続要素310(および/または312)はブームユニット300の損壊を防止し、かつ垂直方向および/または水平方向に配設することができる(例えば他のブーム設計と同様に)。本発明の一部の実施形態では、接続要素は、ブームユニットに沿って離間した位置に見られるリボンまたは剛性もしくは半剛性のビームの形を取る。例えばそのようなリボンは、ブームユニットのシェルに使用されるのと同じフィルムから形成されてよく、例えば1から15cmの間の幅を有し、隣接する接続要素の間に例えば5から50cmの間隔を置いて配置される。
【0249】
図4は、本発明の一部の実施形態に係るA字状のブームユニットの断面図である。
【0250】
一部の実施形態では、ブームユニット400のジオメトリは、例えば水上に構成される1つ以上の閉鎖形状を含む。ここに示す実施例では、1つ以上の浮揚区画402および1つ以上のバラスト区画404は、A字状の形状を形成し、ブームユニットの水上部分に閉じた三角形を画定するように配設される。
【0251】
一部の実施形態では、バラスト区画404は、バラスト区画をA字状に屈曲させる構成(例えばねじ結合)で浮揚区画402と相互連結され、バラスト区画404の部分406が浮揚区画402に近接して(かつそれによって、展開されたときに水面より上に)配置され、かつ部分408が浮揚区画402の遠位に(かつそれによって、展開されたときに水面より下に)配置される。
【0252】
一部の実施形態では、バラスト区画404の水上部分406は、ブーム構造を押し下げるのに充分な重さを含み、ブームが上昇し、傾斜し、回転し、かつ/またはそれ以外の方法で不安定化するリスクを軽減する。任意選択的に、水上部分406は、流出物質が水上部分406と浮揚区画402との間を通過するのを阻止しかつ/または流出物質が水上部分の頂部に飛散するのを阻止するのに適した高さ410(すなわち水面に対する高さ)まで延びる。
【0253】
一部の実施形態では、閉じた三角形の領域414は、三角形の脚を形成するバラスト区画の水上部分406と、三角形の底辺を形成する浮揚区画402との間に画定される。代替的に、一部の実施形態では、閉じた領域は円形などの異なる形状を含む。
【0254】
一部の実施形態では、バラスト区画404の水面下部分408は、上述した逆V字状構成と同様に、水から持ち上げられることに対するブームの抵抗を高めるように形作られる。任意選択的に、水面下部分408は、巻込みを低減するのに適した長さ412まで遠位方向に延びる。
【0255】
任意選択的に、1つ以上の補剛要素、例えば可撓性緊張要素および/または剛性要素、例えばワイヤ、リボン、またはロッドが設けられる。これらの要素は、
図3の要素310〜312と同様であってよい。任意選択的に、例えば図示する通り、コネクタ418および/または416がスカートと浮体との間に設けられ、かつ/またはコネクタ420がスカートの部分間に設けられる。展開プロセスは、
図2C〜2Eに描かれたように、形状記憶物質または楔を含んでよい。
【0256】
図5A〜5Dは、本発明の一部の実施形態に係る、少なくとも1つの閉鎖形状を含むジオメトリを備えた、様々なブームユニットの構成である。
【0257】
一部の実施形態では、例えば
図5A〜5Cに示すように、閉鎖形状500は、ブームが展開されたときに水上に配されるように、ブームユニットの近位部分に構成される。加えて、または代替的に、例えば
図5Cおよび5Dに示すように、閉鎖形状は、ブームが展開されたときに水面下に配されるように、ブームユニットの遠位部分に構成される。
図5Cは、第1閉鎖形状が水上に構成され、かつ第2閉鎖形状が水面下に構成される形状構成を示す。
【0258】
一部の実施形態では、例えば
図5A、5Dに示すように、閉鎖形状はブームユニットの1つ以上の区画502によって界接される。加えて、または代替的に、例えば
図5B、5Cに示すように、閉鎖形状は1つ以上の区画および/またはストラップ504など区画間の1つ以上の接続要素によって界接される。
【0259】
一部の実施形態では、例えば
図5A、5B、および5Cに示すように、閉鎖形状500は三角形構成などの多角形構成を含む。代替的に、一部の実施形態は、台形などの他の多角形構成の閉鎖形状、および/または他の閉鎖形状を含んでよい。一部の実施形態では、例えば
図5Dに示すように、閉鎖形状は円または楕円などの円形構成を含む。
【0260】
図6は、本発明の一部の実施形態に係る、ジグザグ形状構成を含むブームの例示的バラスト部分の上面図である。
【0261】
一部の実施形態では、一緒に水面下カーテン600を形成する、複数のブームユニットの連鎖結合されたバラスト部分は、油が通過するのを防止するために、例えばここに示すようにジグザグ形状構成に配設され、単一ブームユニット602のバラスト部分は、隣接するブームユニットのバラスト部分604に対して角度γに配置される。任意選択的に、角度γは例えば90〜170度の範囲であり、例えば100度、120度、150度、または中間か、より大きいか、より小さい角度である。任意選択的に、角度はスリーブのフィルムの材料特性に基づいて選択される。一部の実施形態では、角度γは小さい方が、バラスト区画に働く横力への抵抗が高くなる。
【0262】
任意選択的に、より小さい角度γを形成しかつ/または維持することは、剛性の高いスリーブ材料を使用すること、および/またはこのアラインメントを維持する固定要素(例えばストラップ、クリップ)を使用することに関係する。
【0263】
水中で展開するときにジグザグ形状構成を形成するバラスト部分の潜在的利点は、浮揚部分における支持が増大すること、ブームの浮揚部分とバラスト部分との間の略直角のアラインメント(およびそれによって水面に対するバラスト部分のアラインメント)の維持に寄与することを含む。
【0264】
一部の実施形態では、隣接する2つの区画間の角度アラインメントは、油流出の実質的に湾曲した輪郭に対して有意の大きさではないので、ブームの遮断能力はジグザグ形状構成によって影響されない。
【0265】
図7はm、本発明の一部の実施形態に係る、超吸収性ポリマーを包含するブームを準備しかつ展開する方法のフローチャートである。
【0266】
一部の実施形態では、超吸収性ポリマー(SAP)および/またはスポンジおよび/または発泡体および/または水など大量の液体を吸収するのに適した、例えば非吸収性材料の重量の少なくとも10倍、50倍、100倍、500倍、または中間か、より大きいか、より小さい倍数の量を吸収するのに適した他の材料を包含する、1つ以上の区画を含むブームスリーブが設けられる(700)。実施例では、1グラムのSAPが20〜60グラムの水を吸収するように構成される。一部の実施形態では、事前吸収されたSAPは、粉末、織り繊維、および/または不織繊維の形を取る。一部の実施形態では、SAPは、区画の壁を形成するスリーブフィルムの内部に包含される。任意選択的に、スリーブフィルムは、SAPを湿気への望ましくない曝露および/または展開中の水への早期曝露から守る。
【0267】
任意選択的に、区画内のSAPの量は、できるだけ軽量にかつ低い体積になるように、しかも吸水したときにブームの少なくとも幾つかの区画またはその部分がバラストとして機能するのに充分となるように選択される。
【0268】
さらなる可能なSAPの構成を、例えば
図15〜16に関連して本書に記載する。
【0269】
一部の実施形態では、水が充填材によって吸収されるように、区画は穿孔される。加えて、または代替的に、区画は、水の流入を可能にする1つ以上の弁、任意選択的に一方向弁を含む。加えて、または代替的に、区画は例えばポリマー材を含む透水性の膜によって被覆される。任意選択的に、膜は、SAP(例えば300ミクロン以下)のような大きい分子または物質を通さない。任意選択的に、膜は水の通過を著しく妨げず、水が膜を横切るのに顕著な圧力差は不要である。
【0270】
一部の実施形態では、ブームスリーブのセグメントは、例えば本書で上述したように、1つ以上の他のスリーブの1つ以上のセグメントと相互連結され、かつ/または(例えば溶接継手、接着剤、固定手段、および/またはセグメントを合体させるのに適した他の手段によって)接合される(702)。任意選択的に、ガス膨張可能な区画のような1つ以上の浮揚区画を含むセグメントは、SAPを含有する区画のような1つ以上のバラスト区画を含むセグメントと相互連結される。代替的に、ブームユニットを形成するように意図された全ての区画はSAP(または他の吸収性材料)を包含し、ガス膨張可能な区画は使用されない。
【0271】
一部の実施形態では、形成されたブームは周囲水で少なくとも部分的に展開され、SAPが水を吸収することを可能にする(704)。任意選択的に、SAP包含部分だけがブームの残部に先立って水中に浸漬される。溶接された区画内に流体が蓄積されるにつれて、SAPは凝固し、区画を硬化させる。任意選択的に、吸収後に区画の剛性は、吸収前の区画の剛性と比較して増大し、ブームの機械的強度を潜在的に高める。場合によっては、剛性の増大は、吸水したSAPが区画の内壁に圧力を加えるように、SAPが完全に吸水したときに、溶接された区画の容積より大きい体積にまで体積を増大させるはずのSAPの量を選択することによって達成される。任意選択的に、SAP(または他の吸収性材料)の吸水後の体積は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも7%、または中間か、より大きいか、より小さい割合だけ区画の容積より大きくなる。
【0272】
一部の実施形態では、ブームユニットがガス膨張可能な浮揚区画を含む場合、区画は(例えばブロワを用いることによって)能動的に膨張し、かつ/または(例えば化学反応を始動させることによって)自己膨張する(706)。任意選択的に、展開中に膨張した区画がSAP充填区画の水への曝露を遅らせることがないように、膨張は、SAP充填区画が少なくとも部分的に水に曝された後でしか行われない。
【0273】
本発明の一部の実施形態では、ガス充填セクションは製造中に事前膨張され、かつ/または封止され(例えば膨張した状態で保管され)、かつ例えば1つ以上のプラスチック封止ガス泡を含み、かつ/またはガス泡自体として働くように封止される。
【0274】
任意選択的に、ブームユニットは、ガスが充満した気泡を含み、折り畳まれた状態で包装して保管される。任意選択的に、または代替的に、区画は1から1000のガス泡、例えば2から40、例えば2から10のガス泡を含む。
【0275】
しかし、例えば気泡が小さくかつ/または区画が大きい場合、より大きい数を使用することができる。
【0276】
(708)において、準備されたブームは水中で完全に展開される。任意選択的に、完全展開は、浮揚区画および/または吸水可能な区画を膨張させるために、(例えば記憶形状要素またはばねで区画を拡張させる)機械的プロセスおよび/または(例えばカプセルを破り、化学反応を始動させる)化学的プロセスが行われた後でだけ実行される。
【0277】
図8は、本発明の一部の実施形態に係るSAP充填ブームユニットの断面図である。
【0278】
一部の実施形態では、ブームユニット800はSAP802を含有する1つ以上の区画を備える。本書に記載する実施例では、ブームユニットの容積の少なくとも95%、90%、80%、または中間か、より大きいか、もしくはより小さい割合がSAPを含む。
【0279】
一部の実施形態では、ブームの浮揚はガス膨張可能な区画を必要とせずに達成される。本書に記載する実施例では、SAP充填ブームは、水を吸収したときでも、吸水した材料内のキャビティおよび/またはガス泡の存在などのため、水より軽いままである。SAP充填ブーム800は浮力によって、部分的に水上に維持され(X字状ブームユニットの部分804参照)、かつ部分的に水面下に維持される(X字状ブームユニットの部分806参照)。この概念は、氷は水より密度が低く、比重が水より小さいことから、水面下部分と水上部分とを含む氷山の浮揚に類似している。同様に、吸水したSAPは、同じ体積の水より低い吸水したSAPの重量に対して働く、吸水したSAPによって押し退けられた水の体積の重量に等しい浮力によってスラストされ、それを部分的に水面上に浮揚させる。
【0280】
一部の実施形態では、例えば水面に対する水上部分804の最大高さ808によって示される浮揚の程度は、吸水したSAPの比重およびブームの形状および/または大きさによって決定される。
【0281】
一部の実施形態では、ブームユニットの様々な部分は様々な密度のSAP材を含む。任意選択的に、ブームユニットの幾つかの部分、例えば水面下に配するように意図された部分806は、より高い密度のSAPを含み、幾つかの部分、例えば水上に浮遊するように意図された部分804は、より低い密度のSAPを含む。一部の実施形態では、様々なブームユニット部分のSAP密度は、異なるブーム部分に様々なレベルの剛性を提供するように選択される。
【0282】
例えばバラスト区画は、水によって膨張されたときに高い剛性が得られるように、比較的高い密度のSAPを含む。別の実施例では、係止点に近接するブームユニット部分は、より低い密度のSAPを含む他のブーム部分と比較して、より高い剛性になるようにより高密度のSAPを含んでよい。
【0283】
一実施形態では、完全なブームユニットは、材料が水中で吸収されたときに、水より小さい比重を持つ吸収性材料から形成される。
【0284】
図9は、本発明の一部の実施形態に係る、1つ以上の回転軸を含むブームユニットの断面図である。
【0285】
一部の実施形態では、ブームユニット900は、例えばヒンジ902および/または1つ以上の区画またはその一部分の、他の区画またはその一部分に対する回転をもたらすのに適した他の種類の軸受によって提供される、1つ以上の回転軸を含む。
【0286】
ここに示す実施例では、X字状のブームユニットは、ヒンジ902で枢動することによって相互に対して斜めに動くことのできる2つの区画904、906を備える。一部の実施形態では、区画は、強風908によって生じるような外力に反応して動く。一部の実施形態では、風908は区画904の浮遊部分910に対して働き、矢印912によって示される方向に区画を回転させ、区画904の水中部分914であるバラストは前進して水面に対する直角位置に接近し、水中のより深くに係留して、風908によって持ち上げられることに対するブームの抵抗を増大させる。
【0287】
一部の実施形態では、ヒンジ902は、例えば1つ以上のピンおよび/または他の停止要素を含むことによって、区画904の回転の範囲を制限するように構成される。任意選択的に、回転の範囲の制限は、区画904が区画906と平行になる位置のように、区画904および906間のアラインメントが流出を効果的に遮断しかつ/または水中で安定化させるのにもはや適さなくなる位置まで、区画904が枢動する状況を防止する。
【0288】
任意選択的に、回転の範囲は、区画のバラスト部分間の逆V字状構成が維持されるように選択される。
【0289】
図10は、本発明の一部の実施形態に係る、繊維強化構造を含むブームユニットの断面図である。
【0290】
一部の実施形態では、ブームユニット1000は1つ以上の繊維1002を含む。一部の実施形態では、繊維はブーム材料に添加され、例えばバラスト区画として機能するSAP区画に添加される(例えば該区画の重量を増大し、かつ/またはその形状を維持するために)。
【0291】
繊維1002を作る例示的材料は、金属、Kevlarのような複合材、ガラス、または炭素繊維、および/またはプラスチック材料を含んでよい。本発明の一部の実施形態では、複合材は形状記憶物質であり、かつ/または(例えば、ばねもしくはスポンジの形の)弾性複合材である。任意選択的に、これは2つの状態を支持する。第1は、ブームを作動させるまで保管されている間、扁平状態に保たれることであり、かつ第2は、所望の機能形状である。任意選択的に、繊維は、ブームを第1状態から第2状態に展開させる力の少なくとも一部を加える。
【0292】
一部の実施形態では、繊維1002はブームユニットの構造強度を高めるように配設される。一部の実施形態では、繊維または補強材は、ブームの充填材内に含まれ、材料内に含まれる繊維の断片として例えば長手方向、横方向、かつ/または任意の平面状に延びる。加えて、または代替的に、繊維は、充填材を包囲するスリーブのフィルム内に含まれる。他の実施形態では、区画の安定性および/または剛性度(例えば部分的剛性度)を補助するように、異なる種類のプラスチックから作られた繊維および/または補強材は区画の内腔に挿置され、かつ/またはその壁に付着される。任意選択的に、繊維は、本書に記載した緊張要素のような他の要素と共に構造的安定性をもたらす。
【0293】
一部の実施形態では、金属繊維のような繊維は、展開されたブームを例えばレーダーによって探知するために使用される。任意選択的に、そのような材料、例えば繊維または粒子はSAPに混合される。任意選択的に、または追加的に、そのような材料はブームの水上セクションのみに提供される。任意選択的に、または追加的に、ブームの水面下セクションに提供することによって、ブームの転覆を遠隔的に、例えばレーダーによって探知することができる。
【0294】
図11は、本発明の一部の実施形態に係る、膨張可能な部分および封止部分を含むブームスリーブセグメントの上面図である。
【0295】
一部の実施形態では、スリーブセグメント1100は、1つ以上の膨張可能な部分1102および1つ以上の封止領域1104を含む。一部の実施形態では、膨張可能な部分1102は、膨張しかつ/または吸水したときに(すなわち区画に吸収性材料が含まれる場合)、封止領域1104より高い剛性になり、枠体を画定するビームとして機能する。一部の実施形態では、スリーブフィルムの非膨張層を含む封止領域1104は柔軟である。任意選択的に、封止領域1104は、膨張可能な区画を折り畳み、捻じり、わずかに伸長させ、かつ/または相互に接近させることを可能にする。
【0296】
一部の実施形態では、膨張可能な部分の幾つかは、他の膨張可能な部分より低い圧力に膨張される。任意選択的に、低圧部分は高圧部分より剛性が低く、例えば区画をわずかに屈曲させることが可能になる。
【0297】
一部の実施形態では、封止領域1104は、膨張中にかつ/または膨張のため生じる、膨張可能な部分の変形が可能になる形状および/または大きさに作られる。
【0298】
任意選択的に、封止領域1104は湾曲した縁部1106を含む。湾曲した縁部の潜在的利点は、例えば直線縁角部と比較して、ブームスリーブが引き裂かれ、破損し、かつ/またはその他望ましくないやり方で変形する位置のような潜在的故障点の量が低減されることを含む。
【0299】
代替的に、ブームは直線縁角部を含む。
【0300】
一部の実施形態では、スリーブセグメント1100は1つ以上のスリーブセグメントに連結されて、例えば本書に記載するように、1つ以上の三次元ブームユニットを形成する。任意選択的に、各セグメントは、組み立てられた三次元ブーム構造の1つの面を形成する。一部の実施形態では、2つ以上のセグメントが、それぞれのスロット1108およびタブ1110の1つ以上、ストラップのような接続要素、接着剤のような接着手段、プラスチック溶接のような溶接、例えば第1セグメントの一部分が第2セグメントの凹部に嵌合かつ/または貫通するねじ結合、ならびに/またはいずれかの他の取付け手段によって相互に連結される。
【0301】
一部の実施形態では、スリーブセグメント1100は1つ以上の弁1112を含み、それを介して膨張可能な部分は膨張することができる。任意選択的に、弁1112は一方向弁であり、膨張だけを可能にし、ガスおよび/または流体が膨張可能な区画から流出することを防止する。
【0302】
ブームスリーブセグメント1100の例示的寸法は、例えば10〜50cmの範囲の長さ1114、例えば20cm、30cm、40cm、または中間か、より長いか、より短い長さ、例えば10〜50cmの範囲の幅1116、例えば10cm、20cm、35cm、または中間か、より長いか、より短い幅を含むことができる。
【0303】
一部の実施形態では、ブームは1つ以上の事前膨張または封止されたチャンバを有する。任意選択的に、チャンバの形は、溶接された2つのプラスチックフィルムの間に形成された気泡である。任意選択的に、または追加的に、複数の独立して封止されたチャンバがブームセクションに提供される。任意選択的に、または追加的に、浮揚チャンバは、任意選択的に気泡フォームファクタまたはいずれかの他の形状で(例えば)長方形、円形、または六角形の空気充填チャンバを(例えばバブルラップに使用される設計と同様の)アレイ状に、またはグリッド状に配設した、複数のプラスチック封止ガスユニットの形のインサートを含む。
【0304】
セクション1120は空気入口が無い状態で図示され、任意選択的に事前充填ガス浮揚チャンバとして働く。
【0305】
図12は、本発明の一部の実施形態に係る、(例えば水の浸入を可能にし、かつSAPの流出を防止するために)そこに一方向弁を形成するように形作られたチャンバ壁の断面図である。
【0306】
図示する通り、チャンバ1200の壁は複数の開口を含み、各開口は、両方合わせて弁1206を画定する2つのリップ1202および1204を含む。任意選択的に、リップは壁の材料の一部である(例えば壁材を伸長させ、引っ張り、かつ/または加熱することによって、かつ/またはそれの成形によって形成される)。任意選択的に、または追加的に、リップは、例えば少なくとも部分的に溶接することによって、取り付けられる。任意選択的に、リップは別々のリップである。
【0307】
1つの弁につき3つ以上のリップを設けてよい。代替的に、リップは漏斗の形であってよい。任意選択的に、または追加的に、(任意選択的に、例えばフラップ弁のように、壁に対して閉じる、)単一のリップが設けられる。リップは任意選択的に柔軟である。弾力性がある場合、リップは任意選択的に弁の開位置に事前配置される。
【0308】
例えば水の充分な浸入のため、かつ/またはSAPの拡張のため、チャンバの内圧が大きくなると、リップ1202、1204に掛かる内圧Pintは増大し、かつ少なくとも部分的に弁1206の閉鎖を引き起こす。任意選択的に、これはSAP粒子がチャンバ1200から流出するのを防止する。SAPの充分な拡張は、Pintを外圧Pextより高く増大させることさえある。
【0309】
任意選択的に、そのような弁は、SAPのような吸水性材料を含まないチャンバ、および/または弁を直接閉じるだけの充分な材料を含まないチャンバに使用される。
【0310】
図13A〜13Cは、本発明の一部の実施形態に係る、ガス形成材料(例えば液体および/または粉末)を分離格納するための複数の構成を示す。
【0311】
図13Aは、壁1310を有するユニットが、酸(または他の第1前駆体)が入ったパケット1301、および塩基もしくは塩(または他の適切な前駆体)が入ったパケット1302の2つを含む設計を示す。パケットは圧縮されると破裂し、任意の壁1304またはユニットの他の構造によって案内される経路を通って混合チャンバ1303に流れる。混合後、放出されたガスは流出して、ユニットを満たすことができ、かつ/または開口1305から流出して、ユニットが結合されたチャンバの別の部分を満たすことができる。
【0312】
図13Bは、1つの前駆体が粉末状1308であり、かつ混合チャンバ1303内に任意選択的にその壁に付着した状態でかつ/または多孔質袋に入れた状態で配置される、代替設計を示す。
【0313】
図13Cは、混合チャンバ1303がユニットの壁1310を共有する代替設計を示す。
【0314】
本発明の一部の実施形態では、ガス生成プロセスは、内部パケットを破砕し、化学物質を反応させることによって始動する。図示する通り、ユニットの設計は、両方の化学物質がそれらのパケットから流出する前および/または流出中に、それらを混合させる。本発明の一部の実施形態では、破砕機構(例えばプロセスを開始させるロールまたはプレス)は、所望の領域でプロセスを始動させるように配される(例えば、パケット(パケット自体がジオメトリによって送達システムと整列する)の既知の位置と垂直方向および/または水平方向および/または軸線方向および/または横断方向に整列する)。任意選択的に、破砕方向は、所望の方向の流れを促進するように選択される(例えば図では下方に進む)。
【0315】
図14は、本発明の一部の実施形態に係る、ガス形成材料を別々に保管するための代替的構成1400を示す。
【0316】
構成1400は様々な強度および/または信頼性の溶接(または接着)を利用し、本発明の例示的実施形態に従って、ガスの貯蔵および制御された放出の両方をもたらす。
【0317】
図示する実施形態では、第1前駆体、例えばNaHCO
3の粉末、ペースト、または溶液が第1区画1402に提供され、比較的弱い溶接(または接着もしくは他の封止)1406によって、第2前駆体(および第3前駆体が使用される場合には第3前駆体)が入った第2区画1404から分離される。区画自体は比較的強い材料によって界接され、溶接される場合、強い溶接1410が使用される。
【0318】
構成1400が破砕されると、溶接部1410ではなく弱い溶接部1406が破損し、2つの前駆体が混合することが可能になる。形成されたガスは、溶接部1406を破断する力に抵抗するが内部ガス圧が充分に高い場合には破損する、中間的強度1408の任意の溶接部(または他の結合部)から任意選択的に流出する。次いでガスは通路1412を通って、区画の残部に流入し、それを拡張させる。
【0319】
図15A〜15Dおよび15Gは、本発明の一部の実施形態に係る、超吸収性ポリマー(SAP)を使用するブームセクションの拡張を示す。
【0320】
図15Aは、ユニット1500を断面図で示す。ユニット1500は例えばブームセクションであってよく、あるいはブームセクション内に配されてよい。ユニット1500内に複数のSAP粒子1501が見られる。それらの間の空間のため、セクション1500は圧縮可能である。複数の細孔または他の開口1502がユニット1500の壁に示されている。任意選択的に、または追加的に、ユニット1500の壁1504は、織布または不織布などの多孔質材料から形成される(
図15G)。
【0321】
本発明の一部の実施形態では、少なくとも1つの壁は耐油性である。
【0322】
任意選択的に、両方の壁が水の浸入のために細孔を含む。
【0323】
図15Bは、多少の水の浸入後のユニット1500を示す。SAP粒子1501は吸水によって大きくなったことが示される。
【0324】
図15Cおよび次いで
図15Dでは、さらに多くの水が吸収され、ユニット1500の変形および/または他の拡張を潜在的に引き起こす。任意選択的に、壁1504は可撓性であり、かつ/または拡張できるように事前に折り畳まれる。いずれの場合も、最終結果は膨出した1つ以上の壁を含む。任意選択的に、反対側の壁はより剛性であるので、膨出および/または他の変形は所望の壁および/またはそのセクションにほぼ限定される。
【0325】
図15Gは、ユニット1500の1つの壁として働く布/多孔質層1504およびユニット内のSAP粒子1501を示す側面斜視図である。
【0326】
本発明の一部の実施形態では、半剛性プラスチック材料、例えばPVC、PET、PP、または他のプラスチックは、熱成形または他のプロセスを用いてセル形状を生成するように形成される。任意選択的に、これは少なくとも1つの壁を半剛性または剛性にすることができる。
【0327】
任意選択的に、セル壁は、任意選択的に比較的均等な水の浸入を可能にするパターンに開口1502を形成するように穿設または穿孔される。任意選択的に、穴径は、水を流入させるが、SAPゲルを流出させないように選択される。次いで、セルに乾燥SAP顆粒が充填され(1501)、それは任意選択的にセルの内部空間に均一に散布される。
【0328】
任意選択的に、SAPの配布は、セルの壁に接着剤を噴霧するかまたは塗布し、次いでそれをSAP顆粒で被覆することによって行われる。任意選択的に、接着されなかったSAPは次いで除去される。
【0329】
図15Eは、SAPが剛性または可撓性のバックボーン、例えば両面テープ1503に付着される代替設計を示す。このバックボーンは次いでセル1500内に挿置することができる。
【0330】
図15Fは、SAPが袋1526内に保持される代替設計を示し、例えば袋は織布および/または不織布から形成され、かつ少なくとも1つの多孔質領域および/または穿孔領域を有し、かつ/または多孔質布を使用する。
【0331】
任意選択的に、壁1504はユニット1500を、その製造および/または充填後に封止するために使用される。任意選択的に、封止は接着剤および/または溶接を使用して、可撓性シート1504をユニット1500の半剛性セクションに封止する。
【0332】
図16A〜16Bは、本発明の一部の実施形態に係る、さらなる代替的構成を持つブームセクションを示す。
【0333】
図16Aは、内部容積1626を持ち、半剛性または剛性のシェル1605を有するブームセクション1600の断面図である。SAP1601は、体積1612のインサート1603として、例えば袋として提供される。セクション160は、可撓性フィルム1614および/または多孔質(例えば布)層1614を用いて閉鎖される。任意選択的に、1604および1614の一方または両方が耐油性である。任意選択的に、水の浸入を可能にする(かつ次いで袋1603の壁に到達しかつそれを通過して、SAP1601に吸収され、それを変形させる)ように、半剛性シェルセクション1605に複数のアパーチャ1602が形成される。任意選択的に、または追加的に、水は層1614を通過する。任意選択的に、ひとたびSAP1601が充分に拡張すると、層1604は変形する。
【0334】
図16Bは、SAP1601が二層テープ1613の両面または他のバックボーンに付着される、代替設計のブームセクション1620を示す。任意選択的に、または追加的に、SAP1601は、例えば接着剤層1628を使用して、壁1605に接着した状態で提供される。
【0335】
本願から成熟した特許の寿命の間、多くの関連吸水性材料が開発されることが期待される。この用語の範囲は、かかる新しい技術を先験的に含むことを意図される。
【0336】
本明細書中で量又は値に関して使用される用語「約」は、その±10%以内を示す。
【0337】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(has、having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0338】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0339】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0340】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0341】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、「1〜6」などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、「1〜3」、「1〜4」、「1〜5」、「2〜4」、「2〜6」、「3〜6」など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0342】
数値範囲が本明細書中で示される場合(例えば、「10〜15」、「10から15」、又はこれらの別のかかる範囲表示によって連結されるいずれかの対の数)には常に、他に内容を明確に特記しない限り、範囲限界を含む示された範囲限界内の任意の数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲(又は別のかかる範囲を示す用語)」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0343】
特記しない限り、本明細書で使用される数字、及びそれに基づく数値範囲は、当業者によって理解される合理的な測定の精度及び丸め誤差内の概算である。
【0344】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0345】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0346】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。