(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の態様は、経口抗寄生虫薬として使用するための組成物に関し、その組成物は、ガンマ−テルピネン、および/もしくはカルバクロール、および/もしくはチモール、および/もしくはテルピネオール、および/もしくはユーカリプトール、および/もしくはオイゲノールを含有する精油、シナモマム属(Cinnamomum)、ユーゲニア属(Eugenia)、ユーカリ属(Eucalyptus)由来の精油、またはサポニン源のうちの1つ以上を含む。
【0012】
抗寄生虫薬としての使用は、寄生虫感染症の症状を処置するおよび/または予防することを含む。処置は、寄生虫感染症の症状を改善することを含む。
【0013】
本発明の組成物は、特にアピコンプレックス門に属する寄生虫に対して使用することができる。アピコンプレックスは、単細胞原生生物のうちの大きなグループである。原生生物のこのグループは、コクシジウム、ゾクチュウ、ピロプラズマ、ヘモグレガリナ(haemogregarine)、およびマラリア原虫として分類される生物を含む。好ましくは、寄生虫は、コノイダシダ(conoidasida)綱に由来する。
【0014】
本発明の組成物は、コノイダシダ綱由来の寄生虫に対して使用することができる。コノイダシダは、2つの亜綱コクシジウムまたはゲレガリナを含む。好ましくは、寄生虫は、コクシジウム亜綱に由来する。
【0015】
本発明の組成物は、コクシジウム症を処置するために使用することができる。好ましくは、組成物は、イソスポラ属(Isospora)、ネオスポラ属(Neospora)、またはトキソプラズマ属(Toxoplasma)由来の寄生虫に対して寄生虫感染を処置する。最も好ましくは、本発明の組成物は、寄生虫ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)種またはトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)種に対してコクシジウム症を処置することができる。本発明の組成物は、ガンマ−テルピネンを含有する精油のうちの1つ以上を含む。
【0016】
テルピネンは、植物および花において天然に見出されるテルペンとして分類される異性体炭化水素のグループである。テルピネンは、分子式C
10H
16を有し、炭素二重結合の位置が互いに異なる。テルピネンは、(α)アルファ−テルピネン、(β)ベータ−テルピネン、(γ)ガンマ−テルピネン、または(δ)デルタ−テルピネン、特にガンマ−テルピネンを含む。
【0017】
精油は、植物の部分のいずれかから調製することができるエステル、アルデヒド、アルコール、ケトン、テルペン、モノテルペン、セスキテルペン、フェノール、およびオキシドの揮発性混合物である。植物から精油を抽出する方法、例えば蒸留または溶媒抽出は、当技術分野において容易に分かる。
【0018】
精油は、葉、花、幹、樹皮、種子、または根からのように、植物の任意の部分から抽出することができる。好ましくは、精油は、葉から抽出される。
【0019】
ガンマ−テルピネン、および/またはカルバクロール、および/またはチモール、および/またはテルピネオール、および/またはユーカリプトール、および/またはオイゲノールを含有する精油は、キダチハッカ属(Satureja)、イブキジャコウソウ属(Thymus)、トラキスペルマム属(Trachyspermum)、オレガノ属(Origanum)、またはコバノブラシノキ属(Melaleuca)を含む。化合物はまた、合成することも、天然の供給源から単離することもできる。天然のまたは合成の供給源由来の化合物のミックスを使用することができる。
【0020】
特に、ウィンターセボリー油は、ヤマキダチハッカ(Satureja Montana)の葉から得ることができ、タイム油は、コモンタイム(Thymus vulgaris)またはタイム・ジギス(Thymus zygis)の葉から得ることができ、オレガノ油は、ハナハッカ(Origanum vulgare)の葉から得ることができる。
【0021】
ガンマ−テルピネンを含有する精油は、キダチハッカ属(Satureja)、イブキジャコウソウ属(Thymus)、トラキスペルマム属(Trachyspermum)、オレガノ属(Origanum)、またはコバノブラシノキ属(Melaleuca)のいずれかとすることができる。
【0022】
本発明の組成物は、シナモマム属(Cinnamomum)、ユーゲニア属(Eugenia)、ユーカリ属(Eucalyptus)の精油のうちの1つ以上を含む。
【0023】
シナモマム属(Cinnamomum)の精油は、シナモンとすることができる。ユーゲニア属(Eugenia)の精油は、クローブとすることができる。ユーカリ属(Eucalyptus)の精油は、ユーカリとすることができる。好ましくは、精油は、シナモンである。
【0024】
シナモンは、ニッケイ(Cinnamomum)の木の内部の樹皮から得られる香辛料である。シナモンは、セイロンニッケイ(cinnamomum verum)、ジャワニッケイ(cinnamomum burmanii)、ベトナムシナモン(cinnamomum loureuros)、またはシナニッケイ(cinnamomum cassia)を含む。好ましくは、肉桂油は、シナニッケイ(Cinnamomum cassia)(Chinese cassiaとも呼ばれる)から抽出される。最も好ましくは、肉桂油は、シナニッケイ(Cinnamomum cassi)の葉から抽出される。
【0025】
クローブは、フトモモ科(Myrtaceae)の木の花芽から得られる香辛料である。特に、クローブ油は、シジギウム・アロマティカム(Syzygium aromaticum)の花芽から抽出される。好ましくは、クローブは、ユーゲニア・カリオフィラス(Eugenia caryophyllus)である。
【0026】
ユーカリは、700を超える種を有するフトモモ科(Myrtaceae)の花樹であり低木である属である。特に、ユーカリ油は、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)から抽出される。好ましくは、ユーカリ油は、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)の葉から抽出される。
【0027】
サポニンは、様々な植物において天然に見出される化学化合物であり、海生生物において見出されてもよい。サポニンは、キラヤ、ナデシコ、ムクロジ、カエデ、トチノキ、ククルビタンカ(Cucurbitancae)、ウコギ、またはキジカクシの植物学の科において見出すことができる。
【0028】
好ましくは、サポニン源は、キジカクシ科に由来する。特に、サポニン源は、ユッカ属(Yucca)に由来する。最も好ましくは、サポニン源は、ユッカ・シジゲラ(Yucca schidigera)種に由来する。
【0029】
サポニン源は、葉、幹、根、球根、花、および果実のような植物の様々な部分において見出すことができる。植物からサポニン源を抽出する方法は、知られている。
【0030】
サポニンは、トリテルペン誘導体と組み合わせられた1つ以上の親水性グリコシド成分から構成される両親媒性グリコシドである。付加されるサッカリド鎖の数は、1〜11、好ましくは2〜5の長さで変動し得る。サッカリド鎖は、直鎖および/または分岐とすることができる。
【0031】
サポニン源は、ステロイド性とすることができる。
【0032】
好ましくは、サポニンは、ジオスゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン、チゴゲニン、ヘコゲニン、9−デヒドロヘコゲニン、ジギトゲニン、クロロゲニン、ユッカゲニン、サモゲニン、マノゲニン、9−デヒドロマノゲニン、またはカンモゲニンのようなステロイドサポゲニンである。
【0033】
好ましい組成物は、ガンマ−テルピネンを含有する精油のうちの1つ以上と、シナモン、クローブ、またはユーカリの精油のうちの1つ以上と、を含む。好ましくは、組成物は、ガンマ−テルピネンを含有する精油としてオレガノを含有する。最も好ましくは、組成物は、オレガノおよびシナモンまたはオレガノおよびクローブの精油を含む。
【0034】
本発明の組成物は、動物が摂取し得るまたは食餌の一部として摂取し得る任意の組成物である。
【0035】
組成物は、液体、タブレット、または食品(foodstuff)とすることができる。好ましくは、組成物は、食品とすることができる。それは、ドライ製品、セミモイスト製品、ウェット食料品、または液体のような任意の食品とすることができ、栄養補助食品、スナック、または菓子(treat)を含む。したがって、本発明は、液体を含む標準的な食料品、ならびにペットフードスナック(例えばスナックバー、ペット用チュー(pet chew)、カリカリとした歯応えの菓子(crunchy treat)、シリアルバー、スナック、ビスケット、および甘味製品)、ならびにサプリメントを包含する。
【0036】
組成物は、糊化デンプンマトリックス(gelatinised starch matrix)中にまたは任意のドライまたはウェット食品またはサプリメント中に組み込まれてもよい。組み込みの方法は、当技術分野において知られている。
【0037】
食品は、好ましくは、市販のペット製品である。そのような製品は、好ましくは、ペット動物、特にペットのネコまたはペットのイヌに給餌する/投与するための製品として販売されている。
【0038】
典型的なドライペット食品は、約10〜40%の粗タンパク質および約5〜40%の脂肪を含有し、残りは、食物繊維および灰分を含む炭水化物である。典型的なウェットまたはモイスト製品は、(乾燥材料ベースで)約40%の脂肪、50%のタンパク質を含有し、残りは、繊維および灰分である。本発明の食品は、ドライ(dry)製品(およそ5〜およそ15%の水分を有する)、セミモイスト(semi moist)製品(およそ15〜およそ70%の水分を有する)、またはウェット(wet)製品(およそ70〜およそ90%の水分を有する)であってもよい。本発明の食品は、好ましくは、およそ5%〜およそ15%の水分を含有するドライ製品として製造される。好ましいドライ食品は、より好ましくは、キブル(kibbles)のような小さなビスケットとして与えられる。
【0039】
食品の残りの構成成分は、本発明にとって本質的ではなく、典型的な標準的製品を含み得る。本発明による食品の組合せ材料は、論議されている特定の動物に対して、推奨されるビタミンおよびミネラルを全て提供することができる(完全バランスフード(complete and balanced food))。
【0040】
食品は、栄養補助食品として提供することができる。栄養補助食品は、別の食品(additional foodstuff)と共にまたはなしで投与することができるパウダー、ソース、トッピング、ビスケット、キブル、ポケット(pocket)、またはタブレットとすることができる。栄養補助食品が別の食品と共に投与される場合、栄養補助食品は、連続して、同時に、または別々に投与することができる。栄養補助食品は、食品と混合されても、食品に振りかけられても、または食品とは別に提供されてもよい。あるいは、栄養補助食品は、水またはミルクのような飲むために提供される液体に添加することができる。
【0041】
食品は、好ましくは、調理済み製品である。それは、肉または動物由来の材料(牛肉、鶏肉、七面鳥の肉、ラム、魚、血漿、髄骨、もしくはその1つ以上のような)を組み込んでもよい。あるいは、製品は、タンパク質源を提供するのに肉類を含まないもの(meat free)であってもよい(好ましくは、ダイズ、トウモロコシグルテン、またはダイズ製品のような肉代用品を含む)。食品は、ダイズタンパク質濃縮物、乳タンパク質、グルテンのような追加のタンパク質源を含有してもよい。食品はまた、1つ以上の穀粒(例えばコムギ、コーン、米、カラスムギ、オオムギなど)のようなデンプン源を含有してもよく、あるいはデンプンを含まなくてもよい。
【0042】
本発明の食品は、National Research Council, 1985, Nutritional Requirements for Dogs, National Academy Press, Washington DC (ISBN:0−309−03496−5)またはAssociation of American Feed Control Officials, Official Publication 1996において記載されるように、論議されているイヌに対して推奨されるビタミンおよびミネラルを全て提供する完全バランスフードであってもよく、あるいはそれらと組み合わせて使用されてもよい。
【0043】
これらの値は、動物、特に、イヌまたはネコのようなコンパニオンアニマルに給餌するための組成物に適用される。
【0044】
精油/サポニンの総量は、食品(固体または液体)の0.01〜1000mg/kg(ppm)である。
【0045】
精油/サポニンの量は、食品(固体または液体)の0.01〜500mg/kg(ppm)、0.01〜100mg/kg(ppm)、0.01〜50mg/kg(ppm)、0.01〜1mg/kg(ppm)、100〜1000mg/kg(ppm)、100〜500mg/kg(ppm)、50〜100mg/kg(ppm)、もしくは〜50mg/kg(ppm)またはその任意の組合せの範囲を有することができる。
【0046】
本発明の第2の態様は、動物において寄生虫感染症を予防または処置する方法に関する。
【0047】
本発明の組成物は、インビトロで、とりわけ寄生虫感染および増殖の減少をもたらすことを実証した。本発明の組成物は、人獣共通伝染病の予防、ならびに繁殖用ケンネル環境下(in a breeding kennel environment)における予防および/または処置を含めて、動物における寄生虫感染を予防および/または処置する。
【0048】
特に、コンパニオンアニマルの健康を支援するのに適したサプリメントを含む食品を提供することは、ペット食品およびコンパニオンアニマルの健康の分野において望ましい。特に、予防的食餌として、既に健康なコンパニオンアニマルの健康を促進または維持するのに適した食餌を提供することは望ましい。
【0049】
特に、本発明の第2の態様は、寄生虫感染の症状を改善することを含めて、動物において寄生虫感染症を予防および/または処置する方法を提供する。その方法は、ガンマ−テルピネン、ガンマ−テルピネン、および/もしくはカルバクロール、および/もしくはチモール、および/もしくはテルピネオール、および/もしくはユーカリプトール、および/もしくはオイゲノールを含有する精油、シナモマム属(Cinnamomum)、ユーゲニア属(Eugenia)、ユーカリ属(Eucalyptus)の精油、またはサポニン源のうちの1つ以上を含む組成物を前記動物に投与することを含む。動物は、そのような予防および/または処置を必要とするものであってよい。
【0050】
本発明は、全ての態様で、ヒトを含む任意の動物に関する。特に、本発明は、イヌ、ネコ、または寄生虫感染に罹患しているまたは罹患しがちである任意の他の動物のような、コンパニオンアニマルに関する。かなりの数のイヌおよび/またはネコが寄生虫の宿主であるため、寄生虫感染症に容易に罹患しがちである。
【0051】
特定の実施形態では、方法が、ガンマ−テルピネン、および/もしくはカルバクロール、および/もしくはチモール、および/もしくはテルピネオール、および/もしくはユーカリプトール、および/もしくはオイゲノールを含有する精油、シナモマム属(Cinnamomum)、ユーゲニア属(Eugenia)、ユーカリ属(Eucalyptus)の精油、またはサポニン源のうちの1つ以上を含む組成物を前記動物に投与することを含む。組成物は、ガンマ−テルピネン、および/またはカルバクロール、および/またはチモール、および/またはテルピネオール、および/またはユーカリプトール、および/またはオイゲノールを含有する精油のうちの1つ以上を含むことができ、キダチハッカ属(Satureja)、イブキジャコウソウ属(Thymus)、トラキスペルマム属(Trachyspermum)、オレガノ属(Origanum)、またはコバノブラシノキ属(Melaleuca)およびシナモン、クローブ、またはユーカリの精油のうちの1つ以上を含むことができる。好ましくは、組成物は、ガンマ−テルピネンおよびカルバクロールを含有する精油としてオレガノを含有する。最も好ましくは、この組成物は、オレガノおよびシナモンまたはオレガノおよびクローブの精油を含む。
【0052】
さらに、方法は、好ましくは、寄生虫感染に罹患し、および寄生虫感染の症状を改善する必要があるまたは寄生虫感染のさらなる症状を予防する必要がある動物、特に、イヌおよび/またはネコのようなコンパニオンアニマルに、投与される。例えば、子犬のような若いペット動物または高齢のコンパニオンアニマルであってもよい。組成物が食品である場合、その食品は、コンパニオンアニマルの通常の食餌管理(dietary regime)に従って、食餌管理において投与されてもよい。食品は、要求される予防または処置のレベルに依存して、コンパニオンアニマルの食餌の100%またはより少ない割合を構成してもよい。食品は、その組成物が容易に投与されるのを可能にし、したがって、コンパニオンアニマルの食べ物を補足する必要性を回避することができる。そのうえ、食品は、動物の所有者によって投与することができ、したがって、常時の獣医の監視を回避することができる。食品は、ペットフード製品を販売している任意の販路で入手可能であっても、または獣医もしくは飼育者から入手可能であってもよい。
【0053】
本明細書において、「投与」の語は、給餌または経口投与の任意の他の方法を含む。他の投与手段は、タブレット、カプセル、注入液、坐剤、または任意の他の適した手段を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の第1の態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて本発明の第2の態様に適用される。
【0055】
本発明の第3の態様では、シナモマム属(Cinnamomum)、ユーゲニア属(Eugenia)、キダチハッカ属(Satureja)、イブキジャコウソウ属(Thymus)、トラキスペルマム属(Trachyspermum)、オレガノ属(origanum)、ユーカリ属(Eucalyptus)、またはコバノブラシノキ属(Melaleuca)由来の精油のうちの2つ以上を含む組成物が提供される。
【0056】
好ましくは、組成物は、ウィンターセボリー、タイム、オレガノ、またはチャノキ油から選ばれる精油と、シナモン、クローブ、またはユーカリから選ばれる精油とを含む。好ましくは、組成物は、オレガノを含有する。最も好ましくは、組成物は、オレガノおよびシナモンまたはオレガノおよびクローブの精油を含む。
【0057】
本発明の第1および第2の態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて本発明の第3の態様に適用される。
【0058】
本発明の第4の態様では、サポニン源と、ガンマ−テルピネン、および/もしくはカルバクロール、および/もしくはチモール、および/もしくはテルピネオール、および/もしくはユーカリプトール、および/もしくはオイゲノールを含有する精油、またはシナモマム属(Cinnamomum)、ユーゲニア属(Eugenia)、もしくはユーカリ属(Eucalyptus)の精油のうちの1つ以上と、を含む組成物が提供される。
【0059】
好ましくは、組成物は、ガンマ−テルピネンを含有する精油のうちの1つ以上と、シナモン、クローブ、またはユーカリの精油のうちの1つ以上と、を含み得る。好ましくは、組成物は、ガンマ−テルピネンを含有する精油としてオレガノを含有する。最も好ましくは、この組成物は、オレガノおよびシナモンまたはオレガノおよびクローブの精油を含む。
【0060】
本発明の第1、第2、および第3の態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて本発明の第4の態様に適用される。
【0061】
本発明の記載は、本発明の組成物を調製するための方法を含む。
【0062】
組成物は、当技術分野において知られている適切なキャリヤ、例えば二酸化ケイ素、マルトデキストリン、アラビアゴム、またはアルミノケイ酸鉱物を含み得る。組成物は、糊化デンプンマトリックス中に組み込んでもよい。
【0063】
組成物は、食品上に噴霧する、食品と混合する、あるいは糊化デンプンマトリックス中において食品に組み込むことができる。組成物の包含の方法は、当技術分野において知られている。
【0064】
本発明の記載は、本発明の食品を調製するための方法を含む。
【0065】
食品は、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition,Ed.ATB Edney、57〜74頁の「A Balanced Diet」と題するA.Rainbirdによる章、Pergamon Press Oxfordのような、当技術分野において知られている任意の方法によって作製することができる。
【0066】
例えば、本明細書において特定される食品の製造プロセスは、材料を、ガンマ−テルピネンを含有する精油、シナモン、クローブ、ユーカリの精油、またはサポニン源のうちの1つ以上を含む組成物と一緒に混合し、さらに食品、特にペット用食品を形成することを含む。加熱/調理は、混合の前に、混合の間に、または混合の後に、任意の1つ以上の材料に適用してもよい。
【0067】
本発明の重要性は、1つ以上の精油および/またはサポニン源の有益な特性である。特に、累積効果(cumulative effect)を越える効果が見られ得る。
【0068】
本発明の組成物における精油および/またはサポニン源の組合せは、寄生虫感染および/または増殖を低減させること、寄生虫感染および/または増殖を予防すること、人獣共通伝染病のリスクを減らすこと、ならびに寄生虫感染、特にコクシジウム症を処置することのうちの1つ以上に関して、相乗効果をもたらすことができる。
【0069】
さらなる有益性は、ガンマ−テルピネンを含有する精油と、シナモン、クローブ、またはユーカリの精油とが、組成物において組み合わせられている場合に見られる。特に、ガンマ−テルピネンを含有する精油が、ウィンターセボリー、タイム、オレガノ、またはチャノキ油であり、第2の精油が、シナモン、クローブ、またはユーカリである場合である。好ましくは、組成物は、オレガノを含有する。最も好ましくは、組成物は、オレガノおよびシナモンまたはオレガノおよびクローブの精油を含む。
【0070】
本発明は、ここで、以下の実施例および図面を参照してさらに説明されるが、これらは、単に例示の目的で提供されたものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0071】
本研究は、細胞内微生物ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)に対する7つの精油の抗寄生虫活性、さらに、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)に対するこれらの薬剤の組合せからの抗寄生虫活性を決定することを目的とした。本作業は、精油を含有するこれらの溶液の存在下での寄生虫の増殖能力、および前処置後の侵入に焦点を置いた。
【0072】
精油の7つの溶液、ならびにサポニン源を有する1つの溶液を試験した(
図1:A〜Hを参照されたい)。
【0073】
精油を可溶化するために、精油をジメチルスルホキシド(DMSO)中で希釈し、次いで、10%ウシ胎仔血清(D10)を補足した細胞培地(DMEM)中に広げた。DMSOも、0.1%を超えない最終濃度で使用した。
【0074】
両方の寄生虫、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)およびネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)の別々の培養物を、ヒト細胞型HFF(ヒト包皮線維芽細胞)においてインビトロで調製し、D10培地中、5%CO
2下、37℃で成長させた。両方の培養物は同様とし、様々な試験に使用した接種物は同じウェル当たり105寄生虫とした。ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)の成長は、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)よりも遅いことが観察された。
【0075】
実施例1:精油の存在下におけるネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)寄生虫の増殖アッセイ
細胞における寄生虫の増殖は、組み込まれたトリチウム化ウラシルの比放射能を計数することによって測定し、精油なしのコントロール(100%の増殖)と比較した。試験は24ウェルプレートで行い、試験全体は約24時間続く。ポジティブコントロールは、ピリメタミン(IC50:0.1μg/mL)を用いて行った。
図3は、ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)の存在下、様々な濃度で試験した各精油溶液のIC50を示す。
【0076】
表1(下記)は、
図3における実施例1からの結果を要約する。値は増殖阻害を示す。ドット模様の結果は、試験した各精油のIC50を示す。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例2
【0079】
図4は、各精油について、80%近くのHFFの細胞生存率を維持しながら、寄生虫のそれぞれに対して増殖阻害特性の濃度を有することを示す。
【0080】
トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)から得られた殺虫活性、IC50濃度を有する精油は、ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)に対しても同様であることが観察できる。しかしながら、FおよびGの精油は、ネオスポラ・カニナム(Neospora caninum)の増殖阻害に対してほとんどまたは全く作用を有していない。
【0081】
実施例3:精油の組合せのセットの存在下におけるトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)の増殖アッセイ
精油の組合せのセットは、AB、AE、AD、およびBEである。
【0082】
それぞれの組合せについて、3×3の階乗デザインを描いた。理論的なIC50を、測定した阻害増殖率に適合させ、次いで希釈液を作成し、カクテルにおいて組み合わせた2つの精油の続く9つの異なる比率を作るためのベースとして使用する。
【0083】
それぞれの関連性について、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)の増殖阻害の9つの試験を実施した(全データ示さず)。さらに、増殖阻害を、トリチウム化ウラシルの組み込みによって測定した。
【0084】
カクテルBE(
図5を参照)は、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma Gondii)増殖に対するカクテルBEの相乗効果を示す。
【0085】
100ppmの精油Bのみは、IC58(58%の増殖阻害)に相当する。75ppmの精油Eのみは、IC88(88%の増殖阻害)に相当する。増殖阻害に対する2つの精油の間の独立した関係を仮定すると、IC58/2=IC29の精油Bの、IC88/4=IC22の精油Eとのカクテルは、IC22+IC29=IC51(51%の増殖阻害)の期待される付加効果を導く。そのようなカクテル(IC29のEと組み合わせたIC22のB)について測定された増殖阻害は、87%(IC87)の驚くべき大きな増殖阻害を示した。この非常に有意な差異は、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma Gondii)増殖に対するカクテルBEの相乗効果を明らかに強調する。
【0086】
Bilanカクテル
表2(下記)は、36バッチの精油の存在下におけるトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)の増殖阻害についての結果を全て含む。
【0087】
【表2】
【0088】
値は増殖阻害を示す。ドット模様のエリアは、寄生虫の50〜90%の増殖を阻害する組合せを示す。縞模様のエリアは、90%を超えて増殖を阻害する組合せを示す。
【0089】
結論
2つの寄生虫に対する様々な試験は、非常に類似する結果をもたらした。精油の組合せは、ある場合には増殖を阻害する化合物の能力を高めた。これは、精油が、相乗的に作用し得ることを示唆する。これは、カクテルの測定された効果が単独で得られた両方の精油の期待される付加効果よりも有意に高い、組合せAE(データ示さず)およびBEについて特に真実である。試験した全ての要素が、HFF細胞に対して細胞傷害作用を全く有していなかった(単層の完全性)ことに注目することもまた重要である。