(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光の受光または発光を行う受発光部を有し基板に互いに離間して固定される一対の光電変換素子と、それぞれの前記光電変換素子に一方の端部が配置される一対の光ファイバと、前記光ファイバのコアと前記受発光部とを光学的に結合するようにそれぞれの前記光電変換素子に配置される一対の光結合部材と、を備える光モジュールの製造方法であって、
一対の前記光電変換素子におけるそれぞれの前記受発光部に、一対の前記光ファイバの前記一方の端部を互いに並列させてそれぞれ配置する配置工程において、前記基板の側方から前記光電変換素子及び前記光ファイバを映すためのカメラが用いられ、前記カメラから遠い側の前記光電変換素子の少なくとも一部及び当該光電変換素子に配置する前記光ファイバの前記一方の端部と、前記カメラから近い側の前記光電変換素子の少なくとも一部及び当該光電変換素子に配置する前記光ファイバの前記一方の端部との間に仕切り部が配置される
ことを特徴とする光モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の光モジュールを製造する場合、半導体素子と光ファイバとの位置を合わせるために複数のカメラが用いられる。これらカメラの1つとして、半導体素子の側方及び光ファイバの側方を映すカメラが用いられる場合がある。
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の基板上に設けられる一対の半導体素子のそれぞれに光ファイバの一方の端部を配置し、当該光ファイバの一方の端部と光半導体素子の受発光部とを一対一で覆うように互いに離間する透明な樹脂を配置すれば、多チャンネルの光モジュールが構成され得る。
【0007】
このような多チャンネルの光モジュールを製造する場合、上記のように、半導体素子の側方及び光ファイバの側方を映すカメラから得られる画像を用いて、当該半導体素子と光ファイバとを認識しながら位置合わせすることが考えられる。しかしながら、この場合、カメラから近い側の半導体素子に配置する光ファイバと、当該カメラから遠い側の半導体素子に配置する光ファイバとが重なってカメラに映ることで、当該光ファイバと半導体素子との位置関係がカメラの画像に基づいて認識され難くなる。従って、半導体素子上の所望の位置に光ファイバの一方の端部を正確に位置合わせすることが困難となる。この位置合わせが不正確になると、光半導体素子の受発光部と光ファイバのコアとの光学的な結合効率が低下し、光の損失が大きくなることが懸念される。
【0008】
また、上記のように基板上に一対の半導体素子を設けた多チャンネルの光モジュールにする場合、当該光半導体素子における光結合部である透明な樹脂から漏えいする光によりクロストークが生じ、光の損失が大きくなることが懸念される。
【0009】
そこで、光の損失が抑制され得る光モジュールの製造方法、光モジュール、及び、光電変換部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、光の受光または発光を行う受発光部を有し基板に互いに離間して固定される一対の光電変換素子と、それぞれの前記光電変換素子に一方の端部が配置される一対の光ファイバと、前記光ファイバのコアと前記受発光部とを光学的に結合するようにそれぞれの前記光電変換素子に配置される一対の光結合部材と、を備える光モジュールの製造方法であって、一対の前記光電変換素子におけるそれぞれの前記受発光部に、一対の前記光ファイバの前記一方の端部を互いに並列させてそれぞれ配置する配置工程において、前記基板の側方から前記光電変換素子及び前記光ファイバを映すためのカメラが用いられ、前記カメラから遠い側の前記光電変換素子の少なくとも一部及び当該光電変換素子に配置する前記光ファイバの前記一方の端部と、前記カメラから近い側の前記光電変換素子の少なくとも一部及び当該光電変換素子に配置する前記光ファイバの前記一方の端部との間に仕切り部が配置されることを特徴とするものである。
【0011】
このような光モジュールの製造方法では、一対の光電変換素子のそれぞれに光ファイバを配置する際に、当該一対の光電変換素子の間に仕切り部が配置されている。この仕切り部によって、カメラから遠い側に位置する光電変換素子の少なくとも一部と、その光電変換素子に配置する光ファイバの一方の端部とがカメラから遮蔽される。このため、カメラから遠い側の光電変換素子の少なくとも一部と光ファイバの一方の端部とがカメラに映り込むことが防止される。従って、一対の光ファイバの一方の端部が並列されていても、カメラから近い側の光ファイバの一方の端部と光電変換素子との位置関係をカメラの画像に基づいて正確に認識し、当該光ファイバの一方の端部を所望の位置に正確に合わせることができる。この結果、光電変換素子の受発光部と光ファイバとの光学的な結合効率が低下することを抑制し得る。こうして、本発明の光モジュールの製造方法によれば、光の損失が抑制され得る光モジュールを製造することができる。
【0012】
また、前記仕切り部は、前記配置工程の後に取り外されることが好ましい。配置工程の後に仕切り部が取り外されることで、配置工程時に配置されていた仕切り部の配置スペースを、当該配置工程後に他の部品を配置するためのスペースにすることが可能となる。従って、仕切り部が取り外されない場合に比べて、光モジュールを小型化し得る。
【0013】
また、前記仕切り部は、前記基板を配置する治具に設けられ、前記基板には、前記仕切り部を挿通する開口が形成されることが好ましい。このようにした場合、基板に形成される開口によって仕切り部を位置決めすることができるため、当該仕切り部を正確に配置することができる。なお、開口は、孔により形成されても良く、切り欠きにより形成されても良い。
【0014】
また、一対の前記光ファイバは、複数の光ファイバが互いに並列されて纏められる多芯光ファイバの一部とされることが好ましい。このようにした場合、多芯光ファイバにおける複数の光ファイバの相対的な位置関係が概ね変わらないため、当該多芯光ファイバを移動させることで複数の光ファイバを一括してそれぞれ所望の位置に配置し得る。従って、それぞれの光電変換素子に配置される一対の光ファイバを個別に配置する場合に比べて、光電変換素子に対する光ファイバの配置位置のばらつきを低減し得る。この結果、一対の光電変換素子におけるそれぞれの所望の位置に光ファイバの一方の端部をより正確に位置合わせし得る。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明は、光モジュールであって、基板と、光の受光または発光を行う受発光部を有し前記基板に互いに離間して固定される一対の光電変換素子と、一対の前記光電変換素子のそれぞれに一方の端部が配置され、互いに並列する一対の光ファイバと、前記光ファイバのコアと前記受発光部とを光学的に結合するようにそれぞれの前記光電変換素子に配置される一対の光結合部材と、一対の前記光電変換素子間に配置される仕切り部と、を備え、前記仕切り部は、一方の前記光電変換素子に配置される前記光結合部材の少なくとも一部と、他方の前記光電変換素子に配置される前記光結合部材の少なくとも一部とを仕切ることを特徴とするものである。
【0016】
このような光モジュールでは、一対の光電変換素子のそれぞれに配置される光結合部材に仕切り部が介在する。光結合部材としては、例えば、光電変換素子の受発光面と光ファイバの一方の端部とに接する光透過樹脂や、レンズ等を挙げることができる。このような光結合部材からは光が漏えいする可能性がある。このように光結合部材から光が漏えいする場合であっても、仕切り部が配置されない場合に比べて、一対の光電変換素子間における光結合部材のクロストークを抑制し得る。また、本光モジュールの製造において、一対の光電変換素子のそれぞれに光ファイバが配置される際に、当該一対の光電変換素子の間にこの仕切り部が配置されていれば、光ファイバを配置する際に、基板の側方からカメラで映される場合であっても、光ファイバの配置方法によっては、この仕切り部によって、カメラから遠い側に位置する少なくとも光電変換素子の少なくとも一部、及び、その光電変換素子に配置される光ファイバの一方の端部とがカメラに映り込むことを防止し得る。従って、複数の光ファイバの一方の端部が並列されていても、カメラから近い側の光ファイバの一方の端部と光電変換素子との位置関係をカメラの画像に基づいて正確に認識し、当該光ファイバの一方の端部を所望の位置に正確に合わせることができる。このため、光電変換素子の受発光ブロックと光ファイバとの光学的な結合効率が低下することを抑制し得る。こうして、本発明の光電変換部品によれば、製造時においても製造後においても光の損失が抑制され得る。
【0017】
また、前記仕切り部は、一対の前記光電変換素子における一方の前記光電変換素子の全体と、他方の前記光電変換素子の全体とを更に仕切ることが好ましい。このようにした場合、仕切り部によって、一対の光電変換素子間における電磁的な影響をより抑制し得る。
【0018】
また本発明は、光電変換部品であって、基板と、光の受光または発光を行う受発光部を有し前記基板に互いに離間して固定される一対の光電変換素子と、一対の前記光電変換素子間に配置される仕切り部と、を備え、それぞれの前記光電変換素子は、当該光電変換素子に配置される光ファイバのコアと前記受発光部とを光学的に結合する光結合部材が配置される光結合部材配置領域を有し、前記仕切り部は、一方の前記光電変換素子における前記光結合部材配置領域よりも前記基板と反対側の空間の一部と、一対の前記光電変換素子における他方の前記光電変換素子における前記光結合部材配置領域よりも前記基板と反対側の空間の一部とを仕切ることを特徴とするものである。
【0019】
このような光電変換部品では、一対の光電変換素子のそれぞれに配置される一対の光ファイバと、それぞれの光ファイバのコアと受発光部とを光学的に結合する一対の光結合部材とを有することで、光モジュールとすることができる。このように光電変換部品が用いられて光モジュールが製造された場合に、仕切り部がそれぞれの光電変換素子における光結合部材配置領域よりも基板と反対側の空間の一部を仕切るため、当該空間に光結合部材の少なくとも一部が配置されることで、光結合部材から光が漏えいする場合であっても、仕切り部が配置されない場合に比べて、一対の光電変換素子間における光結合部材のクロストークが抑制され得る。また、光モジュールとして製造される場合、一対の光電変換素子のそれぞれに光ファイバが配置される際に、それぞれの光ファイバの端部の間に仕切り部が位置していれば、基板の側方からカメラで映される場合であっても、光ファイバの配置方法によっては、この仕切り部によって、カメラから遠い側に位置する光電変換素子に配置される光ファイバの一方の端部がカメラに映り込むことを防止し得る。従って、一対の光ファイバの一方の端部が並列されていても、カメラから近い側の光ファイバの一方の端部と光電変換素子との位置関係をカメラの画像に基づいて正確に認識し、当該光ファイバの一方の端部を所望の位置に正確に合わせることができる。このため、光電変換素子の受発光部と光ファイバとの光学的な結合効率が低下することを抑制し得る。こうして、本発明の光電変換部品によれば、製造時においても製造後においても光の損失が抑制され得る。また、光電変換部品が仕切り部を備えることで、カメラを用いて複数の光ファイバを配置する際に、治具等を用いて仕切り部を基板に設ける場合に比べて、製造装置や製造工程を簡易化することができる。
【0020】
また、上記の光モジュールの製造方法や、光モジュールにおいて、前記仕切り部は、一対の前記光電変換素子における一方の前記光電変換素子の全体と、他方の前記光電変換素子の全体とを更に仕切ることが好ましい。このようにした場合、上記のように、仕切り部によって一対の光電変換素子間における電磁的な結合をより抑制し得る。
【0021】
また、上記の光モジュールの製造方法、光モジュール、光電変換部品において、前記仕切り部は、電子部品であることが好ましい。このようにした場合、電子部品が上記のような仕切りとして共用されるため、小型化し得る。
【0022】
また、上記の電子部品は、キャパシタ又は抵抗であることが好ましい。このようにした場合、電子部品がインダクタである場合に比べて、電磁界の影響を受け難くし得る。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、光の損失が抑制され得る光モジュールの製造方法、光モジュール、及び、光電変換部品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る光モジュール、光モジュールの製造方法、及び、光電変換部品の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
まず、本実施形態の光モジュールについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光モジュールを示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の光モジュール1は、基板10と、一対の光電変換素子20A,20Bと、一対の光ファイバ30を有する多芯光ファイバ35と、複数の光透過樹脂41と、固定樹脂45とを主な構成として備える。また、上記の基板10と、当該基板10に固定される一対の光電変換素子20A,20Bとで光電変換部品が構成される。
【0027】
基板10は、本実施形態ではプリント配線板であり、基板本体11と、基板本体11上に形成される端子12及びランド13,14とを備える。基板本体11は、ガラスエポキシやセラミック等の絶縁体から成る板状の部材である。また、端子12及びランド13,14は、銅箔等の導電体から成る。ランド13は、光電変換素子20A,20Bの信号用の端子と接続されるためのランドであり、ランド14は、光電変換素子20A,20Bのグランド端子と接続されるためのランドであり、端子12は、外部の機器と接続される端子である。一方の端子12とランド13、及び他方の端子12とランド14とは、それぞれ図示しない配線や他の電子部品を介して互いに電気的に接続されている。
【0028】
図2は、
図1の光モジュールの要部を示す拡大平面図であり、
図3は、
図2のIII−III線に沿った光モジュールの断面図である。ただし、
図2では、一対の光電変換素子20A,20Bのうち一方の光電変換素子20Aの一部を示している。
【0029】
図1から
図3に示すように、基板10の一方の面10f上には、互いに離間して一対の光電変換素子20A,20Bが固定されている。一対の光電変換素子20A,20Bは互いに同じ構成とされる。
【0030】
光電変換素子20Aは、GaAs(ガリウムヒ素)等から成る基体にInGaP(インジウムガリウムリン)等から成る受発光部が設けられる素子で、光半導体素子と呼ばれる場合がある。光電変換素子20Aは受発光ブロック20Xを少なくとも1ブロック有する。受発光ブロック20Xは、1本の光ファイバ30と光学的に結合する少なくとも1つの受発光部25を含むブロックである。本実施形態の光電変換素子20Aでは、受発光ブロック20Xは1ブロックとされ、当該受発光ブロック20Xに含まれる受発光部25は1つとされる。受発光部25はそれぞれ光の受光または発光を行い、光電変換素子20Aは、光信号から電気信号への変換を行う受光素子または電気信号から光信号への変換を行う発光素子とされる。光電変換素子20Aはこのように受光や発光を行うため、光電変換素子20Aの所定の面である素子面21からは、受発光部25の受発光面26が露出している。なお、ここでいう露出とは光学的に露出していることを指し、例えば、受発光部25上に薄い透明な層が形成されていても良い。受発光面26の大きさは、例えば、直径5μm〜15μm程度の円形とされる。
【0031】
光電変換素子20Aが受光素子である例としては、フォトダイオード等を挙げることができる。この場合、光電変換素子20Aの受発光部25は受光部とされ、光電変換素子20Aの素子面21は受光素子面とされ、受光部は受光素子面から露出する。また、光電変換素子20Aが発光素子である例としては、面発光レーザダイオード等を挙げることができる。この場合、光電変換素子20Aの受発光部25は発光部とされ、光電変換素子20Aの素子面21は発光素子面とされ、発光部は発光素子面から露出する。
【0032】
光電変換素子20Aは、
図2、
図3に示すように、その表面に絶縁層27と配線層28とが積層されており、受発光部25の受発光面26は、これら絶縁層27及び配線層28から露出している。なお、本実施形態と異なり受発光ブロック20Xに含まれる受発光部25が複数である場合には、1つの受発光ブロック20X内のそれぞれの受発光部25は配線層28を介して並列に接続される。また、光電変換素子20Aの素子面21には配線層28を介して受発光部25と電気的に接続される信号用の端子23が形成されており、素子面21と反対側には図示せぬグランド端子が形成されている。
図1に示すように、端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続され、図示せぬグランド端子と基板10のランド14とが電気的に接続されている。ワイヤ配線15は、導電性の配線であり、例えば、金、アルミニウム、銅等の金属から成る。なお、本実施形態とは異なるが、グランド端子が素子面21に形成される場合もあり、この場合には当該グランド端子と電気的に接続されるランドがランド13とは別に設けられ、当該グランド端子と当該ランドとがワイヤ配線等で電気的に接続される。
【0033】
本実施形態では、光電変換素子20Bが上記のように光電変換素子20Aと同じ構成であるため、光電変換素子20Bの説明は省略する。なお、光電変換素子20Bが有する受発光ブロック20Xのブロック数や、当該受発光ブロック20Xに含まれる受発光部25の数は、光電変換素子20Aと異なっていても良い。
【0034】
多芯光ファイバ35は、上記のように一対の光ファイバ30を有し、それぞれの光ファイバ30は、平面状に並列されて被覆樹脂36で一体に纏められている。つまり、一対の光ファイバ30は、複数の光ファイバ30が互いに並列されて纏められる多芯光ファイバ35の一部とされる。また、それぞれの光ファイバ30は、コア31を1つ有するシングルコアファイバであり、当該コア31と、コア31の外周面を囲むクラッド32とクラッド32の外周面を被覆する保護層33とを有し、複数のモードの光を伝搬するマルチモードファイバとされる。コア31の平均屈折率はクラッド32の屈折率よりも高くされる。このような光ファイバとしては、コア31及びクラッド32が石英から形成される石英系光ファイバや、コア31及びクラッド32がプラスチックから形成されるプラスチック光ファイバや、コアが石英から形成されクラッドがプラスチックから形成されるポリマークラッド光ファイバ等を挙げることができる。また、コア31の屈折率分布で分類すると、光ファイバ30としては、例えば、コア31の中央部の屈折率がコア31の外周部の屈折率よりも高くされるグレーデッドインデックスファイバや、コア31の径方向の屈折率が概ね一定であるステップインデックスファイバ等を挙げるとこができる。なお、保護層33及び被覆樹脂36は、例えば光硬化樹脂等から形成される。クラッド32の外径は特に限定されないが、例えば125μmとされ、コア31の直径は、マルチモードファイバの場合、例えば50μmとされる。なお、光ファイバ30は、基本モードの光のみを伝搬するシングルモードファイバであっても良く、この場合、コア31の直径は、例えば10μmとされる。
【0035】
多芯光ファイバ35の一方の端部において、それぞれの光ファイバ30は、被覆樹脂36及び保護層33からクラッド32が露出するように所定の長さ口出しされている。また、本実施形態では、光ファイバ30の端面は長手方向に垂直とされる。この口出しの長さは、例えば、10μm以上15mm以下とされることが好ましく、1.5mm以上5mm以下とされることがより好ましい。
【0036】
一対の光電変換素子20A,20Bのそれぞれの素子面21上には、多芯光ファイバ35における一対の光ファイバ30の一方の端部がそれぞれ固定されている。上記のように光ファイバ30の一方の端部は口出しされており、クラッド32が露出している。それぞれの光ファイバ30の一方の端部は、クラッド32の外周面が素子面21に接するように配置され、それぞれの受発光ブロック20Xと一対一に対応している。こうして、これら一対の光ファイバ30の一方の端部は、互いに並列されて、それぞれの受発光面26に沿って延在するように配置されている。また、それぞれの光ファイバ30は、各光ファイバ30のそれぞれのコア31の中心線が、対応する受発光ブロック20Xの受発光部25の中心と重なるように配置されている。なお、この中心線に垂直な方向に沿って並ぶように、光電変換素子20Aの受発光部25と、光電変換素子20Bの受発光部25とが位置している。また、受発光面26に垂直な方向から見る場合に、それぞれの光ファイバ30は、対応する受発光面26の少なくとも中心と重ならないように配置されており、本実施形態では、対応する受発光面26の全体と重ならないように配置されている。
【0037】
それぞれの光ファイバ30の一方の端部が上記のように素子面21上に配置された状態において、多芯光ファイバ35の被覆樹脂36は、固定樹脂45により基板10に固定されている。固定樹脂45は、硬質な樹脂であり、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂またはこれらを混合または合成した樹脂等の光硬化樹脂とされる。この固定樹脂45により、多芯光ファイバ35の位置が動くことが抑制される。
【0038】
また、素子面21上に配置されたそれぞれの光ファイバ30の一方の端部は、当該光ファイバ30と一対一に配置され互いに離間する複数の光透過樹脂41によって光電変換素子20A,20Bに固定されている。それぞれの光透過樹脂41は、光ファイバ30を伝搬する光を透過する樹脂から構成される。このような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂またはこれらを混合または合成した樹脂等の光硬化樹脂を挙げることができ、光透過樹脂41は、素子面21の一部の領域に塗布により配置された後に硬化されている。
【0039】
このような複数の光透過樹脂41は、それぞれの光電変換素子20A,20Bにおける受発光部25の受発光面26及び光ファイバ30の一方の端部を覆うように配置されている。
図2に示すように、光電変換素子20Aにおける光透過樹脂41が配置される素子面21の領域が樹脂配置領域40とされ、樹脂配置領域40には受発光面26が含まれる。樹脂配置領域40に配置された光透過樹脂41は、表面の所定領域42で光を内部反射することにより、当該受発光面26と光ファイバ30のコア31とを光学的に結合する。つまり、本実施形態の光透過樹脂41は、光ファイバ30のコア31と受発光部25とを光学的に結合する光結合部材と理解できる。また、光結合部材である光透過樹脂41が配置される樹脂配置領域40は、光結合部材配置領域と理解できる。本実施形態では、
図3において破線で示す光軸Cのように、光ファイバ30と受発光部25との間を伝搬する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射して伝搬する。なお、光ファイバ30のコア31を光透過樹脂41の表面の所定領域42に映し出して内部反射させ、素子面21に映し出される光ファイバ30のコア31の領域が射影領域ARとされる。本実施形態では、受発光部25の全体が射影領域AR内に位置している。また、本実施形態では、コア31の中心を通る直線が所定領域42で内部反射されて素子面21に映し出される中心位置CPと受発光面26の中心とが一致するように受発光部25が配置されている。
【0040】
なお、光透過樹脂41は、固定樹脂45よりも軟質であることが好ましい。仮に、光透過樹脂41が固定樹脂45よりも硬質である場合、光モジュール1に振動等が加わり、固定樹脂45が変形して光ファイバ30の端部が動くと、当該端部の動きによる応力が光電変換素子20A,20Bにかかって損傷を与える懸念がある。しかし、上記のように光透過樹脂41が固定樹脂45よりも軟質であれば、固定樹脂45が変形する場合に、当該変形により光ファイバ30に過度の応力が加わって光ファイバ30が損傷することを抑制したり、当該変形による光ファイバ30の端部の動きを光透過樹脂41が吸収することで、光電変換素子20A,20Bが損傷することを抑制したりすることができる。
【0041】
また、本実施形態の光モジュール1は、上記のような構成に加えて、
図1、
図3に示す光の透過を抑制する仕切り部50を備えている。なお、
図3では、仕切り部50を破線で示している。仕切り部50は、例えば板状の部材とされ、一対の光電変換素子20A,20Bの間に配置され、基板10の一方の面10f上に固定される。
図3に示すように、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aにおける樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部と、他方の光電変換素子20Bにおける樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部とを仕切っている。それぞれの樹脂配置領域40に配置された光透過樹脂41の少なくとも一部は、この空間に位置している。このため、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aの樹脂配置領域40に配置された光透過樹脂41の少なくとも一部と、他方の光電変換素子20Bの樹脂配置領域40に配置された光透過樹脂41の少なくとも一部とを仕切っている。なお、本実施形態では、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aの全体と、他方の光電変換素子20Bの全体とを仕切っている。また、本実施形態では、一方の面10fからの仕切り部50の高さは、当該一方の面10fからの光電変換素子20A,20Bの高さと、その光電変換素子20A,20Bの素子面21上に配置される光ファイバ30の一方の端部の外径との合計よりも大きくされる。そして、本実施形態では、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aに配置された光透過樹脂41全体と、他方の光電変換素子20Bに配置された光透過樹脂41全体とを仕切っている。
【0042】
このような仕切り部50は、基板10と一体に成形していても良く、基板10とは別の部材により形成しても良い。基板10とは別の部材により形成する場合、仕切り部50の材料としては、例えば、光の透過が抑制されたプラスチックなどの絶縁材、金属材及びこれらの複合材などが挙げられる。これらの材料からなる仕切り部50を設けることよって、一対の光電変換素子20A,20B間のクロストークを低減することもできる。
【0043】
また、仕切り部50は、電子部品から構成されても良い。電子部品としては、例えば、IC(Integrated Circuit)等の能動部品や、インダクタ、キャパシタ又は抵抗等の受動部品が挙げられる。この場合、光電変換素子20A,20Bから発生する電磁界の影響を受け難くする観点では、能動部品やインダクタよりもキャパシタ又は抵抗が好ましい。
【0044】
次に光モジュール1の動作について説明する。
【0045】
光モジュール1における一対の光電変換素子20A,20Bが発光素子である場合、光モジュール1の端子12に入力する電気信号に基づき、光電変換素子20A,20Bの端子23に電気信号が入力し、発光部である受発光部25から光が出射する。一対の光電変換素子20A,20Bのそれぞれの受発光部25から出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、光ファイバ30のコア31に入射し、コア31を一方の端部から他方の端部に向かって伝搬する。
【0046】
一方、光モジュール1における一対の光電変換素子20A,20Bが受光素子の場合、光ファイバ30の一方の端部から光が出射すると、コア31から出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、受光部である受発光部25で受光される。一対の光電変換素子20A,20Bのそれぞれの受発光部25で光が受光されると、端子23から電気信号が出力し、当該電気信号に基づく電気信号が光モジュール1の端子12から出力する。
【0047】
なお、一対の光電変換素子20A,20Bの一方が発光素子とされ、当該一対の光電変換素子20A,20Bの他方が受光素子とされていても良い。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の光モジュール1は、
図1、
図3に示すように、仕切り部50を備えている。この仕切り部50は、一対の光電変換素子20A,20Bの間に配置され、一方の光電変換素子20Aに配置される光透過樹脂41の少なくとも一部と、他方の光電変換素子20Bに配置される光透過樹脂41の少なくとも一部とを仕切っている。
【0049】
このような光モジュール1では、それぞれの光透過樹脂41間に仕切り部50が介在するため、光透過樹脂41から光が漏えいする場合であっても、仕切り部50が配置されない場合に比べて、一対の光電変換素子20A,20B間における光透過樹脂41のクロストークを抑制し得る。こうして、本発明の光モジュール1によれば、光の損失が抑制され得る。
【0050】
また、本実施形態の仕切り部50は、一対の光電変換素子20A,20Bにおける一方の光電変換素子20Aの全体と、他方の光電変換素子20Bの全体とを仕切っている。このため、仕切り部50によって、一対の光電変換素子20A,20B間における電磁的な影響をより抑制し得る。
【0051】
なお、上記のように仕切り部50が電子部品であれば、電子部品が上記のような仕切りとして共用されるため、小型化し得るので好ましい。さらにこの電子部品がキャパシタ又は抵抗であれば、電子部品がインダクタである場合に比べて、電磁界の影響を受け難くすることができるため好ましい。
【0052】
次に、本実施形態の光モジュールの製造方法について説明する。
【0053】
図4は、
図1に示す光モジュール1を製造する工程手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように本実施形態の光モジュール1の製造方法は、配置工程P1と、塗布工程P2と、硬化工程P3とを主な工程として備える。
【0054】
<配置工程P1>
まず、光電変換部品及び多芯光ファイバ35を予め準備する。光電変換部品は、上記のように、基板10と、当該基板10に固定された一対の光電変換素子20A,20Bと、光電変換素子20A,20B間に配置される仕切り部50とを備える部品である。本実施形態の光電変換部品では、それぞれの光電変換素子20A,20Bが樹脂配置領域40を有する。ただし、樹脂配置領域40が印等で示されている必要はなく、結果として光透過樹脂41が配置される領域であればよい。また、上記のように、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aにおける樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部と、他方の光電変換素子20Bにおける樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部とを仕切っている。この仕切り部50で仕切られるそれぞれの空間は、光透過樹脂41の配置が予定される空間である。
【0055】
準備された光電変換部品の基板10において、光電変換素子20A,20Bの端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続されており、図示せぬ光電変換素子20A,20Bグランド端子と基板10のランド14とが電気的に接続されている。
【0056】
このような光電変換部品及び多芯光ファイバ35が準備された後、配置工程P1を行う。本工程は、一対の光電変換素子20A,20Bにおけるそれぞれの受発光面26に沿って延在するように、一対の光ファイバ30の一方の端部を互いに並列させてそれぞれの光電変換素子20A,20Bに配置する工程である。
【0057】
本工程では、
図5、
図6に示すように、カメラCM1,CM2を用いて、光ファイバ30の一方の端部を配置する。カメラCM1は基板10の側方から光電変換素子20A,20B及び光ファイバ30を映すためのカメラであり、カメラCM2は基板10に垂直な方向から光電変換素子20A,20B及び光ファイバ30を映すためのカメラである。
【0058】
本実施形態では、多芯光ファイバ35における一対の光ファイバ30の一方の光ファイバ30の端部を光電変換素子20Aに配置し、他方の光ファイバ30の端部を光電変換素子20Bに配置する。また本実施形態では、光ファイバ30の長手方向が受発光面26に沿って延在するように、それぞれの光ファイバ30の一方の端部を配置する。また本実施形態では、
図2に示すように、光ファイバ30のコア31の中心を通る直線である中心線CLが、受発光面26に垂直な方向から見る場合に、受発光部25の中心を通るようにする。そして、光ファイバ30の一方の端部が素子面21に接触するように、それぞれの光ファイバ30を素子面21上に配置する。
【0059】
上記のように、準備された光電変換部品の基板10には、一対の光電変換素子20A,20Bの間に仕切り部50が配置されている。この仕切り部50は、一対の光電変換素子20A,20Bにおけるそれぞれの受発光ブロック20Xよりも、当該光電変換素子20A,20Bに配置される光ファイバ30側に向かって延在している。本実施形態では、仕切り部50は、一対の光電変換素子20A,20Bの一方の光電変換素子20A全体と他方の光電変換素子20B全体とに延在している。また、上記のように、一方の面10fからの仕切り部50の高さは、一方の面10fからの光電変換素子20A,20Bの高さと、光ファイバ30の一方の端部において口出しされたクラッド32の外径との合計よりも大きくされている。
【0060】
従って、一対の光電変換素子20A,20Bにおけるそれぞれの素子面21上に光ファイバ30を配置するとき、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Bの少なくとも一部及び光電変換素子20Bに配置される光ファイバ30の一方の端部と、カメラCM1から近い側の光電変換素子20Aの少なくとも一部及び光電変換素子20Aに配置される光ファイバ30の一方の端部との間に仕切り部50が位置している。このため、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Bの少なくとも一部がカメラCM1から遮蔽され、さらに、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Bに配置する光ファイバ30の一方の端部がカメラCM1にから遮蔽される。
【0061】
このため、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Bの少なくとも一部及び光電変換素子20Bに配置される光ファイバ30の一方の端部がカメラCM1に映り込むことが防止される。従って、一対の光ファイバ30の一方の端部が並列されていても、カメラCM1から近い側の光ファイバ30の一方の端部と受発光ブロック20Xとの位置関係を正確に認識し、当該端部を所望の位置に正確に合わせることができる。こうして、
図5、
図6に示すように光ファイバ30が配置された状態とされる。
【0062】
<塗布工程P2>
次に、塗布工程P2を行う。本工程は、それぞれの光電変換素子20A,20Bにおける受発光面26を覆うように、それぞれの光結合部材である光透過樹脂41を塗布する工程である。本工程では、
図5に示すように、上記のカメラCM1と、当該カメラCM1におけるカメラレンズに直交する方向から光電変換素子20A,20B及び光ファイバ30を映すためのカメラCM3とを用いて、未硬化の光透過樹脂41を滴下するノズル60の位置を決定する。本実施形態では、
図7に示すように、それぞれの受発光部25の上方に、所定の順序でノズル60を静止させ、当該静止時に、ノズル60から矢印に示す方向に未硬化の光透過樹脂41を滴下する。このとき、ノズル60から射出される光透過樹脂が配置される光結合部材配置領域である樹脂配置領域40は、光ファイバ30の先端の一部及び受発光面26を含んでおり、光透過樹脂41は光ファイバ30の側面にも塗布される。すると、滴下された光透過樹脂41は、光ファイバ30の一方の端部及び受発光部25の受発光面26を覆うように濡れ広がる。その結果、本実施形態では、樹脂は全体として概ね円錐形状となり、その傾斜面が曲面形状とされる。なお、本工程では、配置工程P1で用いられるカメラCM2が退避されていても良い。
【0063】
<硬化工程P3>
次に、硬化工程P3を行う。本工程は、それぞれの光透過樹脂41が受発光ブロック20Xの受発光面26と光ファイバ30の一方の端部とに接した状態で、それぞれの光透過樹脂41を硬化する工程である。本工程では、素子面21上に配置された光透過樹脂41の種類に応じて、未硬化の光透過樹脂41を硬化させる。例えば、光透過樹脂41が紫外線硬化樹脂である場合には紫外線の照射を行い、光透過樹脂41が熱硬化樹脂である場合には加熱を行い、光透過樹脂41を硬化させる。本実施形態では、受発光ブロック20Xの受発光面26と光ファイバ30の一方の端部とに光透過樹脂41が接した状態で、それぞれの光透過樹脂41を硬化させる。これにより、それぞれの光透過樹脂41は、受発光ブロック20Xの受発光部25と光ファイバ30のコア31とを光学的に結合する光結合部とされる。
【0064】
また、硬化工程P3の後、或いは、配置工程P1と塗布工程P2との間において、固定樹脂45により光ファイバ30を基板10に固定する基板固定工程を行う。この工程は、配置された光ファイバ30と基板10との間に固定樹脂45を塗布して、硬化することにより行う。固定樹脂45が紫外線硬化樹脂である場合には紫外線の照射により硬化を行い、固定樹脂45が熱硬化樹脂である場合には加熱により硬化を行う。なお、本実施形態の上記製造方法では、配置工程P1の後に塗布工程P2が行われたが、硬化工程P3において光透過樹脂41が受発光ブロック20Xと光ファイバ30の一方の端部とに接した状態とされれば、配置工程P1と塗布工程P2とはどちらが先に行われても良く、配置工程P1の少なくとも一部と塗布工程P2の少なくとも一部とが同時に行われても良い。
【0065】
こうして、
図1に示す光モジュール1が製造される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の光モジュール1の製造方法は、配置工程P1において、基板10の側方から光電変換素子20A,20B及び光ファイバ30を映すためのカメラCM1が用いられる。このカメラCM1から遠い側に位置する光電変換素子20Bの少なくとも一部、その光電変換素子20Bに配置する光ファイバ30の一方の端部とがカメラCM1から遮蔽されるように、一対の光電変換素子20A,20Bの間に仕切り部50が配置される。
【0067】
このため、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Bの少なくとも一部と光ファイバ30の一方の端部とがカメラCM1に映り込むことが防止される。従って、複数の光ファイバ30の一方の端部が並列されていても、カメラCM1から近い側の受発光ブロック20Xと光ファイバ30の一方の端部との位置関係をカメラCM1の画像に基づいて正確に認識し、当該端部を所望の位置に正確に合わせることができる。この結果、受発光ブロック20Xの受発光部25と光ファイバ30との光学的な結合効率が低下することを抑制し得る。こうして、本実施形態の光モジュールの製造方法によれば、光の損失が抑制され得る光モジュール1を製造することができる。
【0068】
また本実施形態では、一対の光ファイバ30は、複数の光ファイバ30が互いに並列されて纏められる多芯光ファイバ35の一部とされる。このため、多芯光ファイバ35において複数の光ファイバ30の相対的な位置関係は概ね変わらない。従って、多芯光ファイバ35を移動させることでそれぞれの光ファイバ30を一括してそれぞれ所望の位置に配置し得る。従って、一対の光ファイバ30を個別に配置する場合に比べて、光電変換素子20A,20Bに対する光ファイバ30の配置位置のばらつきを低減し得る。この結果、一対の光電変換素子20A,20Bにおけるそれぞれの所望の位置に光ファイバ30の一方の端部をより正確に位置合わせし得る。
【0069】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0070】
図8は、本発明の第2実施形態に係る光モジュールを示す平面図である。なお、
図8では、見易さの観点から、同一の構成要素に付される参照符号の一部は省略している。
図8に示すように、本実施形態の光モジュール2は、第1実施形態の一対の光電変換素子20A,20Bの代わりに一対の光電変換素子20C,20Dが用いられる点において、第1実施形態の光モジュール1と異なる。また、第1実施形態の光モジュール1では、それぞれの光電変換素子20A,20Bに配置される光ファイバ30が、互いに纏められて一つの多芯光ファイバ35とされたのに対し、本実施形態の光モジュール2は、一対の光電変換素子20C,20Dのそれぞれに多芯光ファイバ35が用いられる点において、第1実施形態の光モジュール1と異なる。
【0071】
一対の光電変換素子20C,20Dは、それぞれ、受発光ブロック20Xを4ブロック有している点において第1実施形態の光電変換素子20A,20Bと異なる。なお、受発光ブロック20Xのブロック数は、光電変換素子20Cと光電変換素子20Dとで異なっていても良い。本実施形態では、受発光ブロック20Xに含まれる受発光部25が1つとされるが、複数とされても良く、当該受発光部25の数は光電変換素子20Cと光電変換素子20Dとで異なっていても良い。
【0072】
また、一対の光電変換素子20C,20Dは、それぞれ、受発光ブロック20Xのブロック数に基づいた数の端子23を備える点において第1実施形態の光電変換素子20A,20Bと異なる。なお、本実施形態の基板10には、ランド13に対応した数の端子12が設けられている。
【0073】
このような本実施形態の光モジュール2では、一対の光電変換素子20C,20Dの間のうち、少なくとも一方の光電変換素子20Cの受発光ブロック20Xと、他方の光電変換素子20Dの受発光ブロック20Xとの間に配置される。
【0074】
このような光モジュール2よれば、光結合部材である光透過樹脂41から光が漏えいする場合であっても、上記第1実施形態と同様に、仕切り部50が配置されない場合に比べて、一対の光電変換素子20A,20B間における光透過樹脂41のクロストークを抑制し得る。
【0075】
本実施形態では、仕切り部50は、一対の光電変換素子20C,20Dにおける一方の光電変換素子20Cの全体と、他方の光電変換素子20Dの全体との間に配置される。このため、上記第1実施形態と同様に、仕切り部50によって、一対の光電変換素子20C,20D間における電磁的な影響をより抑制し得る。
【0076】
次に、本実施形態の光モジュール2の製造方法について説明する。
【0077】
本実施形態の光モジュール2の製造方法では、第1実施形態の配置工程P1と異なる配置工程を行う。まず、光電変換部品及び多芯光ファイバ35を予め準備する。光電変換部品は、基板10と、当該基板10に固定された一対の光電変換素子20C,20Dと、仕切り部50で構成される部品である。
【0078】
準備された光電変換部品の基板10において、端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続されている。また、準備された光電変換部品の基板10には、一対の光電変換素子20C,20Dの間に仕切り部50が配置され、当該仕切り部50は、一方の面10f上に固定されており、一方の光電変換素子20Cにおける光結合部材配置領域である樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部と、他方の光電変換素子20Dにおける樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部とを仕切っている。
【0079】
このような光電変換部品及び多芯光ファイバ35が準備された後、本実施形態の配置工程を行う。
図9は、実施形態に係る配置工程の様子を示す図であり、
図10は、
図9のX−X線に沿った光モジュールの断面図である。本実施形態の配置工程では、
図9、
図10に示すように、光電変換素子20Cにおけるそれぞれの受発光ブロック20Xに対して多芯光ファイバ35における複数の光ファイバ30のそれぞれの一方の端部を配置する。また本実施形態の配置工程では、光電変換素子20Dにおけるそれぞれの受発光ブロック20Xに対して他の多芯光ファイバ35における複数の光ファイバ30の一方の端部を配置する。
【0080】
上記のように、準備された光電変換部品の基板10には、一対の光電変換素子20C,20Dの間に仕切り部50が配置されている。この仕切り部50は、一対の光電変換素子20C,20Dにおけるそれぞれの受発光ブロック20Xよりも、当該光電変換素子20C,20Dにおいて配置される光ファイバ30の一方の端部側に向かって少なくとも延在している。本実施形態では、仕切り部50は、一対の光電変換素子20C,20Dの一方の光電変換素子20C全体と他方の光電変換素子20D全体とに延在している。また、第1実施形態と同様に、一方の面10fからの仕切り部50の高さは、一方の面10fからの光電変換素子20C,20Dの高さと、光ファイバ30の一方の端部において口出しされたクラッド32の外径との合計よりも少なくとも大きくされている。
【0081】
従って、一対の光電変換素子20C,20Dにおけるそれぞれの素子面21上に多芯光ファイバ35を配置するとき、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Dの受発光ブロック20XがカメラCM1から遮蔽されるように仕切り部50が位置している。また、このとき、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Dに配置する多芯光ファイバ35におけるそれぞれの光ファイバ30の一方の端部の先端がカメラCM1から遮蔽されるように仕切り部50が位置している。
【0082】
このため、第1実施形態と同様に、カメラCM1から遠い側の受発光ブロック20Xと光ファイバ30の一方の端部とがカメラCM1に映り込むことが防止される。従って、複数の光ファイバ30の一方の端部が並列されていても、カメラCM1から近い側の受発光ブロック20Xと光ファイバ30の一方の端部との位置関係をカメラCM1の画像に基づいて正確に認識し、当該端部を正確に所望の位置に合わせることができる。
【0083】
なお、本実施形態では、カメラCM1から近い側の光電変換素子20C上に光ファイバ30が並列して配置されている。しかし、これら光電変換素子20C上配置される複数の光ファイバ30の間隔は、仕切り部50を挟んで並べられる多芯光ファイバ35の間隔に比べて狭い。このため、カメラCM1から近い側の光ファイバ30が並列されていても、当該光ファイバ30の外形は概ね一致した状態でカメラCM1に認識される。この結果、第1実施形態と同様に、一対の光電変換素子20A,20Bにおけるそれぞれの素子面21の所望の位置に光ファイバ30の一方の端部が正確に位置合わせされ得る。
【0084】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0085】
図11は、本発明の第3実施形態に係る光モジュールを示す平面図である。
図11に示すように、本実施形態の光モジュール3は、仕切り部50を備えない点において、第1実施形態の光モジュール1と異なる。また、本実施形態の光モジュール3の基板10は、基板10の一端から一対の光電変換素子20A,20Bの間にまで切り欠かれた切り欠き10cが形成されている点において、第1実施形態の基板10と異なる。
【0086】
次に、本実施形態の光モジュール3の製造方法について説明する。
【0087】
本実施形態の光モジュール3の製造方法では、第1実施形態の配置工程P1と異なる配置工程を行う。まず、光電変換部品及び第1実施形態の多芯光ファイバ35と同様の多芯光ファイバ35を予め準備する。光電変換部品は、上記のように、基板10と、当該基板10に固定された一対の光電変換素子20A,20Bとで構成される部品である。
【0088】
準備された光電変換部品の基板10には、上記のように、仕切り部50が備えられておらず、当該基板10の一端から一対の光電変換素子20A,20Bの間にまで切り欠き10cが形成されている。
【0089】
このような光電変換部品及び多芯光ファイバ35が準備された後、本実施形態の配置工程を行う。
図12は、本工程の様子を示す平面図であり、
図13は、
図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。本実施形態の配置工程では、
図12、13に示すように、準備された光電変換部品の基板10を配置する治具70が用いられる。この治具70には仕切り部50が設けられており、当該仕切り部50を基板10の切り欠き10cに挿通することで、治具70に基板10が配置される。なお、本実施形態では、基板10に切り欠き10cが形成されているが、仕切り部50を挿通する開口であれば切欠きであっても孔であっても良い。例えば、切り欠き10cに代えて貫通孔が形成されていても良い。
【0090】
このように基板10が治具70に配置された状態において、仕切り部50は、上記第1実施形態と同様に延在する。従って、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aにおける光結合部材配置領域である樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部と、他方の光電変換素子20Bにおける樹脂配置領域40よりも基板10と反対側の空間の一部とを仕切る。また、本実施形態では、仕切り部50は、一対の光電変換素子20A,20Bの一方の光電変換素子20Aの全体と他方の光電変換素子20Bの全体とに延在する。また、第1実施形態と同様に、一方の面10fからの仕切り部50の高さは、一方の面10fからの光電変換素子20A,20Bの高さと、光ファイバ30の一方の端部において口出しされたクラッド32の外径との合計よりも少なくとも大きくされる。
【0091】
従って、一対の光電変換素子20A,20Bにおけるそれぞれの素子面21上に光ファイバ30を配置するとき、カメラCM1から遠い側に配置する光ファイバ30の少なくとも一方の端部がカメラCM1から遮蔽されるように、仕切り部50が配置される。
【0092】
このため、第1実施形態と同様に、カメラCM1から遠い側の受発光ブロック20Xと光ファイバ30の一方の端部とがカメラCM1に映り込むことが防止される。従って、複数の光ファイバ30の一方の端部が並列されていても、カメラCM1から近い側の受発光ブロック20Xと光ファイバ30の一方の端部との位置関係をカメラCM1の画像に基づいて正確に認識し、当該端部を正確に所望の位置に合わせることができる。こうして、
図12、13に示すように光ファイバ30が配置された状態とされる。
【0093】
光ファイバ30が配置されると、治具70が所定の退避位置に退避され、基板10の切り欠き10cに挿通されていた仕切り部50が取り外される。その後、上記第1実施形態と同様に、塗布工程P2、硬化工程P3が行われる。なお、本実施形態の光モジュール3の製造方法により製造される光モジュール3に仕切り部50が未配置とされる限り、配置工程P1よりも後の工程の中間時期や終了時期に、基板10の切り欠き10cに挿通されていた仕切り部50が取り外されても良い。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の光モジュール1の製造方法では、仕切り部50は、配置工程P1の後に取り外される。このため、配置工程P1において配置されていた仕切り部50の配置スペースを、当該配置工程P1の後に他の部品を配置するためのスペースにすることが可能となる。従って、仕切り部50が取り外されない場合に比べて、光モジュール3を小型化し得る。
【0095】
また本実施形態では、仕切り部50は、基板10を配置する治具70に設けられ、当該基板10には、仕切り部50を挿通する切り欠き10cが形成される。このため、基板10に形成される切り欠き10cによって仕切り部50を位置決めすることができる。従って、仕切り部50を正確に配置することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、仕切り部50が切り欠き10cに挿通されたが、切り欠き10cは必須ではない。例えば、基板10に切り欠き10cが形成されておらず、配置工程P1時に仕切り部50が基板10の上方から配置され、その後、仕切り部50が取り外されても良い。この場合には、仕切り部50が取り外されることにより基板10上のスペースが空きことになり、上記のように基板10上に部品を配置することができ、仕切り部50が取り外されない場合に比べて、光モジュール3を小型化し得る。
【0097】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、上記実施形態では、受発光ブロック20Xが1つの受発光部25を有していたが複数の受発光部25を有していても良い。なお、複数の受発光部25とコア31との結合効率の低下を抑制する観点では、それぞれの受発光部25の中心、或いは、当該受発光部25の全体が射影領域AR内に位置していることが好ましい。また、コア31の中心を通る直線が所定領域42で内部反射されて素子面21に映し出される中心位置CPから互いに等しい距離に複数の受発光部が位置することが好ましい。
【0099】
また、上記実施形態では、光電変換素子に固定される光ファイバ30の一方の端部のクラッド32の外周面が素子面21に接触しているが、光ファイバ30の一方の端部のクラッド32の外周面が素子面21と離間している構成であっても良い。この場合、上記の仕切り部50の一方の面10fからの高さは、少なくとも、当該一方の面10fからの光電変換素子の高さと、素子面21からクラッド32の外周面までの高さと、当該クラッド32の外径とを合計した値よりも大きくされる。
【0100】
また、上記実施形態では、仕切り部50が1つの板状の部材により連続的に構成されていたが、例えば複数の板状の部材により仕切り部が断続的に構成されていても良い。また、カメラCM1により認識され易くするために、仕切り部50のうち、カメラCM1から近い側の光ファイバ30の一方の端部の背景となる領域と、カメラCM1から近い側の受発光ブロック20Xの背景となる領域とが互いに異なる色とされていても良い。
【0101】
また、上記実施形態では、仕切り部50は、一対の光電変換素子20A,20Bの一方の光電変換素子20A全体と他方の光電変換素子20B全体とを仕切り、さらに、一方の面10fからの仕切り部50の高さは、一方の面10fからの光電変換素子20A,20Bの高さと、光ファイバ30の一方の端部において口出しされたクラッド32の外径との合計よりも少なくとも大きくされた。このため、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aに配置された光透過樹脂41全体と、他方の光電変換素子20Bに配置された光透過樹脂41全体とを仕切る物とされた。しかし、本発明は、これに限らず、仕切り部50は、一方の光電変換素子20Aに配置される光透過樹脂41の少なくとも一部と他方の前記光電変換素子20Bに配置される光透過樹脂41の少なくとも一部とを仕切ればよく、この場合であっての、クロストークを抑制することができる。また、光モジュール1を製造する観点から、仕切り部50は、カメラCM1から遠い側の光電変換素子20Bの少なくとも一部及び光電変換素子20Bに配置される光ファイバ30の一方の端部と、カメラCM1から近い側の光電変換素子20Aの少なくとも一部及び光電変換素子20Aに配置される光ファイバ30の一方の端部との間に配置されれば良い。
【0102】
また、上記実施形態では、光結合部材として光透過樹脂41を例に説明したが、光結合部材は、受発光部25と光ファイバ30のコア31とを光学的に結合するものであれば特に限定されない。光結合部材として光透過樹脂41の他にレンズやプリズムを挙げることができ、これらは特に樹脂に限定されない。