(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光の受光または発光を行う複数の受発光部を有する光電変換素子と、光ファイバと、表面の所定領域で光を内部反射して前記光ファイバのコアと前記複数の受発光部とを光学的に結合させる光透過樹脂と、を有する光モジュールの製造方法であって、
前記複数の受発光部におけるそれぞれの受発光面に沿って延在するように前記光ファイバの一方の端部を配置する配置工程と、
前記光透過樹脂を吐出するノズルを前記受発光面と平行な方向に沿って移動させ、それぞれの前記受発光面を覆うように、前記光透過樹脂を塗布する塗布工程と、
前記光透過樹脂がそれぞれの前記受発光面と前記光ファイバの前記一方の端部とに接した状態で前記光透過樹脂を硬化する硬化工程と、
を備え、
前記塗布工程では、前記ノズルの中心が移動した軌跡と前記配置工程で配置される前記光ファイバの中心を通る直線とが交差し、当該直線の一方側から他方側にかけて前記光透過樹脂が塗布される
ことを特徴とする光モジュールの製造方法。
前記塗布工程では、前記直線の一方側から他方側にかけて前記光透過樹脂を塗布する際に、前記直線の一方側における当該直線から最も離れる前記受発光部から、前記直線の他方側における当該直線から最も離れる前記受発光部までにわたって前記ノズルの中心が通過するように前記ノズルを移動させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の光モジュールにおいて、ESD耐性を向上させる観点から上記特許文献2に記載のマルチスポット型面発光半導体レーザを用いることが考えられる。これにより、光モジュールの光電変換素子に複数の発光部が設けられて発光部の電気的な容量を増大させることができ、光モジュールにおけるESD耐性を向上させ得る。また、光電変換素子に発光部が複数設けられることによって、いずれかの発光部が何らかの原因により機能しなくなる場合であっても、他の発光部が機能することで、光電変換素子の寿命が見かけ上長くされ得る。よって、このような光モジュールは、車載用途等のように長期信頼性が求められる場合に有用である。
【0007】
ところで、面発光半導体レーザと光ファイバとの結合は、面発光半導体レーザの発光部が面発光半導体レーザ上に映し出される光ファイバの光軸に近いほど結合効率が高まり、当該光軸から離れるほど結合効率が低下する傾向にある。そのため、複数の発光部を有するマルチスポット型面発光半導体レーザの発光部と光ファイバのコアとの光学的な結合では、複数ある発光点の重心を光ファイバのコアの光軸に一致させたときに光の結合効率が最も高まる。しかし、その場合においても、発光部の少なくとも一つは光ファイバの上記光軸から離れてしまうため、マルチスポット型面発光半導体レーザの光の結合効率はシングルスポット型面発光半導体レーザの光の結合効率に比べて必然的に低下する傾向にある。特に、マルチスポット型面発光半導体レーザの場合、互いに隣り合う発光部間には所定の間隔が必要となるため、発光部の数が増やされるほど光ファイバの上記光軸から発光部までの距離が長くなり、それぞれの発光部と光ファイバのコアとの光学的な結合が弱くなる傾向がある。しかし、このようにシングルスポット型面発光半導体レーザと比べると個々の発光部とコアとの光学的な結合が弱くなるとしても、上記の長期信頼性を確保したいとの要請がある。ところで、マルチスポット型面発光半導体レーザのうち特定の発光部とコアとの光学的な結合が強く、他の発光部とコアとの光学的な結合が弱い場合、コアとの光学的な結合が強い特定の発光部が何らかの原因で機能しなくなる場合、他の発光部だけでは光量不足となり、光モジュールの使用ができなくなる可能性がある。この場合、上記の光モジュールの長期信頼性を損なうという懸念がある。このため、上記特許文献1に記載されているような光結合部を用いて光電変換が行われる光モジュールに上記特許文献2に記載されているマルチスポット型面発光半導体レーザが適用された場合であっても、光ファイバのコアとそれぞれの発光部との光学的な結合ができるだけ同程度に近づけられることが好ましい。
【0008】
コアとそれぞれの発光部との光学的な結合を同程度に近づけることができれば、いずれかの発光部が損傷する場合であっても、他の発光部からの光がコアに入射することで、光電変換素子の寿命が見かけ上長くなり得るため、光モジュールが長寿命化され得ると考えられる。このようなことは、光電変換素子として受光素子が用いられる場合であっても同様であると考えられる。
【0009】
そこで、本発明は、長寿命化され得る光モジュール、及び、光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光モジュールは、光の受光または発光を行う複数の受発光部を有する光電変換素子と、一方の端部が前記複数の受発光部におけるそれぞれの受発光面に沿って延在して前記光電変換素子に固定される光ファイバと、それぞれの前記受発光面及び前記光ファイバの前記一方の端部を覆うと共に、表面の所定領域で光を内部反射して前記光ファイバのコアと前記複数の受発光部とを光学的に結合する光透過樹脂と、を備え、それぞれの前記受発光面に垂直な方向から見る場合に、前記光透過樹脂は、前記光ファイバの長手方向に沿った第1方向の最大幅よりも前記第1方向に垂直な第2方向の最大幅が大きい形状とされることを特徴とする。
【0011】
このように光透過樹脂における第1方向の最大幅よりも第2方向の最大幅が大きい場合、当該第1方向の最大幅と第2方向の最大幅とが同程度である場合に比べて、光透過樹脂のうち光が内部反射する所定領域を平面に近づけることができる。従って、光ファイバのコアに対して光学的に結合するそれぞれの受発光部の結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。また、上記のように光透過樹脂の所定領域が平面に近づくことで、複数の受発光部の位置がずれても、従来と比べてそれぞれの受発光部とコアとの光学的な結合が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。このような、本発明の光モジュールによれば、特定の受発光部が何らかの原因で機能しなくなる場合であっても、他の受発光部が機能することでトータルの光量低下を抑え、光電変換素子と光ファイバとの光学的な結合を維持して光モジュールを長寿命化することができる。
【0012】
また、前記光透過樹脂は、それぞれの前記受発光面に垂直な方向から見る場合に、前記光ファイバの中心を通る直線の一方側において当該直線から最も離れる前記受発光部の中心を基準とした前記直線側と反対側の部分である第1ブロックと、前記直線の他方側において当該直線から最も離れる前記受発光部の中心を基準とした前記直線側と反対側の部分である第2ブロックと、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間の第3ブロックとを有し、前記光透過樹脂のうち前記光ファイバの前記一方の端部よりも前記複数の受発光部側において、それぞれの前記受発光面に平行な断面における前記第3ブロックの曲率は、前記第1ブロックの曲率及び前記第2ブロックの曲率よりも小さいことが好ましい。
【0013】
このような構成とされることで、それぞれの受発光部の概ね直上となる第3ブロックの表面をより平面に近づけることができ、第3ブロックに覆われる複数の受発光部の配置関係によらず、コアに対するそれぞれの受発光部の結合効率のバランスを取ることができる。
【0014】
また、前記光透過樹脂は、前記第2方向に沿った前記光電変換素子の一方側の縁から他方側の縁までにわたって設けられることが好ましい。
【0015】
このような構成とされることで、光透過樹脂の表面のうち平面に近づく領域をより広げることができる。従って、光透過樹脂の表面で内部反射して光ファイバのコアと光学的に結合するそれぞれの受発光部の結合効率が偏ることをより抑制することができ、より多くの受発光部が配置される場合であっても、コアに対する当該受発光部の結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。
【0016】
また、本発明は、光の受光または発光を行う複数の受発光部を有する光電変換素子と、光ファイバと、表面の所定領域で光を内部反射して前記光ファイバのコアと前記複数の受発光部とを光学的に結合させる光透過樹脂と、を有する光モジュールの製造方法であって、前記複数の受発光部におけるそれぞれの受発光面に沿って延在するように前記光ファイバの一方の端部を配置する配置工程と、前記光透過樹脂を吐出するノズルを所定の方向に沿って移動させ、それぞれの前記受発光面を覆うように、前記光透過樹脂を塗布する塗布工程と、前記光透過樹脂がそれぞれの前記受発光面と前記光ファイバの前記一方の端部とに接した状態で前記光透過樹脂を硬化する硬化工程と、を備え、前記塗布工程では、前記ノズルの中心が移動した軌跡と前記配置工程で配置される前記光ファイバの中心を通る直線とが交差し、当該直線の一方側から他方側にかけて前記光透過樹脂が塗布されることを特徴とする。
【0017】
この光モジュールの製造方法では、塗布工程においてノズルの中心が移動する軌跡と配置工程で配置される光ファイバの中心を通る直線とが交差し、当該直線の一方側から他方側にかけて前記光透過樹脂が塗布される。つまり、ノズルから吐出する光透過樹脂を直線の一方側から他方側に延在させて塗布する。このため、塗布工程後の光透過樹脂は、光ファイバが配置された状態で、光ファイバの長手方向に沿った第1方向の最大幅よりもその第1方向に垂直な第2方向の最大幅が大きい形状とされ得る。従って、第1方向の最大幅と第2方向の最大幅とが同程度である場合に比べて、光透過樹脂の表面におけるそれぞれの受発光部の直上を含む所定領域を平面に近づけることができる。従って、平面に近づけられた所定領域で内部反射して光ファイバのコアと光学的に結合するそれぞれの受発光部の結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。また、上記のように光透過樹脂の所定領域が平面に近づくことで、複数の受発光部の位置がずれても、それぞれの受発光部とコアとの光学的な結合が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。こうして、この光モジュールの製造方法によれば、特定の受発光部が何らかの原因で機能しなくなる場合であっても、他の受発光部が機能することで、光電変換素子と光ファイバとの光学的な結合を維持して長寿命化することができる光モジュールを製造することができる。
【0018】
なお、本発明の光モジュールの製造方法では、硬化工程において光透過樹脂が受発光面と光ファイバの一方の端部とに接した状態とされれば、配置工程と塗布工程とはどちらが先に行われても良く、配置工程の少なくとも一部と塗布工程の少なくとも一部とが同時に行われても良い。従って、塗布工程前に光ファイバが配置されない場合、光ファイバが配置された後において、結果として、ノズルが移動する軌跡と光ファイバの中心を通る直線とが交差すれば良い。
【0019】
また、前記塗布工程では、前記ノズルを移動させながら前記光透過樹脂を連続的に吐出しても良く、前記光透過樹脂を断続的に吐出しても良い。
【0020】
ノズルが移動しながら、連続的に光透過樹脂が吐出することで、光透過樹脂の表面におけるそれぞれの受発光部の直上を含む所定領域を平面により近づけることができる。一方、光透過樹脂が断続的に吐出される場合には、断続的に塗布された光透過樹脂同士が一体となり、結果として、光ファイバの中心を通る直線の一方側から他方側にかけて光透過樹脂が塗布される。この場合であっても、ノズルを移動させることなく光透過樹脂を塗布する場合と比べて、光透過樹脂の表面におけるそれぞれの受発光部の直上を含む所定領域を平面に近づけることができる。
【0021】
また、前記塗布工程では、前記直線の一方側から他方側にかけて前記光透過樹脂を塗布する際に、前記直線の一方側における当該直線から最も離れる前記受発光部から、前記直線の他方側における当該直線から最も離れる前記受発光部までにわたって前記ノズルの中心が通過するように前記ノズルを移動させることが好ましい。
【0022】
このように塗布工程が行われることで、光透過樹脂におけるそれぞれの受発光部の直上の表面をより一段と平面に近づけることができる。従って、平面に近づけられた光透過樹脂の表面で内部反射して光ファイバのコアと光学的に結合するそれぞれの受発光部の結合効率が特定の受発光部に偏ることをより一段と抑制することができる。
【0023】
また、前記塗布工程では、前記所定の方向に沿った前記光電変換素子の一方側の縁から他方側の縁までにわたって前記光透過樹脂を塗布することが好ましい。
【0024】
このようにすれば、光透過樹脂の表面のうち平面に近づく領域をより広げることができる。従って、光透過樹脂の表面で内部反射して光ファイバのコアと光学的に結合するそれぞれの受発光部の結合効率が偏ることをより一段と抑制することができ、光電変換素子がより多くの受発光部を有する場合であっても、コアに対する当該受発光部の結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。
【0025】
また、前記所定の方向と前記光ファイバの長手方向とが垂直とされることが好ましい。
【0026】
このようなノズルの移動方向と光ファイバの長手方向との関係により、光透過樹脂を光ファイバの長手方向を基準とした対称の形状とし得る。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、長寿命化され得る光モジュール、及び、光モジュールの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る光モジュール、及び、その製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
まず、本実施形態の光モジュールについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光モジュールを示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の光モジュール1は、基板10と、光電変換素子20と、光ファイバ30と、光透過樹脂41と、固定樹脂45とを主な構成として備える。
【0031】
基板10は、本実施形態ではプリント配線板であり、基板本体11と、基板本体11上に形成される端子12及びランド13,14とを備える。基板本体11は、ガラスエポキシやセラミック等の絶縁体から成る板状の部材である。また、端子12及びランド13,14は、銅箔等の導電体から成る。ランド13は、光電変換素子20の信号用の端子と接続されるためのランドであり、ランド14は、光電変換素子20のグランド端子と接続されるためのランドであり、端子12は、外部の機器と接続される端子である。一方の端子12とランド13、及び他方の端子12とランド14とは、それぞれ図示しない配線や他の電子部品を介して互いに電気的に接続されている。
【0032】
図2は、
図1の光モジュールの要部を示す拡大平面図であり、
図3は、
図2のIII−III線に沿った光モジュールの断面図である。ただし、
図2、
図3では、基板10を省略している。
【0033】
図1から
図3に示すように、基板10上には光電変換素子20が固定されている。光電変換素子20は、GaAs(ガリウムヒ素)等から成る基体にInGaP(インジウムガリウムリン)等から成る複数の受発光部が設けられる素子で、光半導体素子と呼ばれる場合がある。本実施形態では、光電変換素子20は3つの受発光部25A,25B,25Cを有し、受発光部25A〜25Cはそれぞれ光の受光または発光を行い、光電変換素子20は、光信号から電気信号への変換を行う受光素子または電気信号から光信号への変換を行う発光素子とされる。光電変換素子20はこのように受光や発光を行うため、光電変換素子20の所定の面である素子面21からは、それぞれの受発光部25A〜25Cの受発光面26が露出している。それぞれの受発光面26は、互いに同じ方向を向いている。なお、ここでいう露出とは光学的に露出していることを指し、例えば、受発光部25A〜25C上に薄い透明な層が形成されていても良い。受発光面26の大きさは、例えば、直径5μm〜15μm程度の円形とされ、互いに隣り合う受発光部25A〜25Cの中心間距離は、例えば15μm〜25μm程度とすることができる。
【0034】
光電変換素子20が受光素子である例としては、フォトダイオード等を挙げることができる。この場合、それぞれの受発光部25A〜25Cは受光部とされ、素子面21は受光素子面とされ、受光部は受光素子面から露出する。また、光電変換素子20が発光素子である例としては、面発光レーザダイオード等を挙げることができる。この場合、それぞれの受発光部25A〜25Cは発光部とされ、素子面21は発光素子面とされ、発光部は発光素子面から露出する。
【0035】
光電変換素子20は、
図2、
図3に示すように、その表面に絶縁層27と配線層28とが積層されており、それぞれの受発光部25A〜25Cの受発光面26は、これら絶縁層27及び配線層28から露出している。それぞれの受発光部25A〜25Cは、配線層28を介して互いに並列に接続される。また、光電変換素子20の素子面21には配線層28を介してそれぞれの受発光部25A〜25Cと電気的に接続される信号用の端子23が形成されており、素子面21と反対側には図示せぬグランド端子が形成されている。
図1に示すように、端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続され、図示せぬグランド端子と基板10のランド14とが電気的に接続されている。ワイヤ配線15は、導電性の配線であり、例えば、金、アルミニウム、銅等の金属から成る。なお、本実施形態とは異なるが、グランド端子が素子面21に形成される場合もあり、この場合には当該グランド端子と電気的に接続されるランドがランド13とは別に設けられ、当該グランド端子と当該ランドとがワイヤ配線等で電気的に接続される。
【0036】
光ファイバ30は、コア31と、コア31の外周面を囲むクラッド32とクラッド32の外周面を被覆する保護層33とを有する。コア31の平均屈折率はクラッド32の屈折率よりも高くされる。このような光ファイバとしては、コア31及びクラッド32が石英から形成される石英系光ファイバや、コア31及びクラッド32がプラスチックから形成されるプラスチック光ファイバや、コアが石英から形成されクラッドがプラスチックから形成されるポリマークラッド光ファイバ等を挙げることができる。また、コア31の屈折率分布で分類すると、光ファイバ30としては、例えば、コア31の中央部の屈折率がコア31の外周部の屈折率よりも高くされるグレーデッドインデックスファイバや、コア31の径方向の屈折率が概ね一定であるステップインデックスファイバ等を挙げるとこができる。なお、保護層33は、例えば光硬化樹脂等から形成される。
【0037】
光ファイバ30は、コアを1つ有するシングルコアファイバであり、また、複数のモードの光を伝搬するマルチモードファイバとされる。クラッド32の外径は特に限定されないが、例えば125μmとされ、コア31の直径は、マルチモードファイバの場合、例えば50μmとされる。なお、光ファイバ30は、基本モードの光のみを伝搬するシングルモードファイバであっても良く、この場合、コア31の直径は、例えば10μmとされる。
【0038】
光ファイバ30は、光電変換素子20に固定される側の一方の端部において、保護層33からクラッド32が露出するように所定の長さ口出しされている。また、本実施形態では、光ファイバ30の端面は長手方向に垂直とされる。この口出しの長さは、例えば、10μm以上15mm以下とされることが好ましく、1.5mm以上5mm以下とされることがより好ましい。クラッド32が口出しされた光ファイバ30の一方の端部は、クラッド32の外周面が光電変換素子20の素子面21に接するように光電変換素子20上に配置されている。具体的には、光ファイバ30の口出しされた一方の端部は、それぞれの受発光面26に沿って延在し、素子面21を平面視する場合、すなわち、受発光面26に垂直な方向から見る場合に、光電変換素子20の素子面21と重なるように配置されている。また、光ファイバ30は、少なくともそれぞれの受発光部25A〜25Cの受発光面26の中心と重ならないように配置されており、本実施形態では、光ファイバ30は、それぞれの受発光面26の全体と重ならないように配置されている。さらに光ファイバ30は、コア31の中心を通る直線である中心線CLが、受発光面26に垂直な方向から見る場合に、受発光部25Aと重なるように配置されている。なお、この中心線CLに垂直な方向に沿って他の受発光部25B及び25Cが位置するように、光ファイバ30は配置されている。また、光ファイバ30は、受発光部25B及び25Cに比べて受発光部25Aが端部に近い位置となるように配置されている。
【0039】
光ファイバ30の一方の端部が光電変換素子20上に配置された状態において、光ファイバ30の保護層33と保護層33から露出したクラッド32の一部は、固定樹脂45により基板10に固定されている。固定樹脂45は、硬質な樹脂であり、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂またはこれらを混合または合成した樹脂等の光硬化樹脂とされる。この固定樹脂45により、光ファイバ30の位置が動くことが抑制される。
【0040】
また、光電変換素子20上に配置された光ファイバ30の一方の端部は、それぞれの受発光面26及び光ファイバ30の一方の端部を覆う光透過樹脂41によって光電変換素子20に固定される。光透過樹脂41は、光ファイバ30を伝搬する光を透過する樹脂から構成される。このような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂またはこれらを混合または合成した樹脂等の光硬化樹脂を挙げることができ、光透過樹脂41は、素子面21の一部の領域に塗布により配置された後に硬化されている。
【0041】
光透過樹脂41は、
図2に示すように、それぞれの受発光部25A〜25Cにおける受発光面26に垂直な方向から見る場合に、光ファイバ30の長手方向に沿った第1方向の最大幅W1よりもその第1方向に垂直な第2方向の最大幅W2が大きい形状とされる。また本実施形態の光透過樹脂41は、光電変換素子20における第2方向に沿った一方側の縁から他方側の縁までにわたって設けられている。なお、光透過樹脂41のうち光ファイバ30を覆っている部分は、光ファイバ30の一端側に覆うようにして形成されるため、本実施形態では、
図2に示すように、光透過樹脂41の第1方向の最大幅W1となる部位は、コア31の中心を通る直線である中心線CLよりも第2方向側にずれており、具体的にこの部位は光ファイバ30の脇辺りとなる。
【0042】
このように光透過樹脂41が配置され、上記のように光ファイバ30が配置された状態で、光ファイバ30のコア31を長手方向に沿って光透過樹脂41の表面の所定領域42に映し出して内部反射させ、光電変換素子20の素子面21に映し出される光ファイバ30のコア31の領域が射影領域ARとされる。なお、本実施形態では、
図2に示すように、複数の受発光部25A〜25Cの中心が射影領域AR内に位置するのみならず、当該受発光部25A〜25Cの全体が射影領域AR内に位置している。また本実施形態では、
図2、
図3に示すように、コア31の中心を通る直線が所定領域42で内部反射されて光電変換素子20に映し出される中心位置CPから互いに等しい距離に複数の受発光部25A〜25Cが位置する。つまり、光ファイバ30の一方の端部、及び、光透過樹脂41は、上記のように複数の受発光部25A〜25Cが位置するように光電変換素子20上に配置されるのである。このように配置されることで、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合をより均一に近づけ得る。
【0043】
このように光ファイバ30及び光透過樹脂41が配置され、光透過樹脂41は、表面の所定領域42で光を内部反射することにより、光ファイバ30のコア31と光電変換素子20のそれぞれの受発光部25A〜25Cとを光学的に結合する。
【0044】
図4は、
図2の光透過樹脂41を複数のブロックに分けた場合を示す拡大平面図である。ただし、
図4では、光電変換素子20、信号用の端子23、配線層28及びワイヤ配線15を省略している。
【0045】
図4に示すように、光透過樹脂41は、第1ブロックBL1と第2ブロックBL2と第3ブロックBL3とを有する。第1ブロックBL1は、それぞれの受発光面26に垂直な方向から見る場合に、光ファイバ30の中心を通る直線である中心線CLの一方側において当該中心線CLから最も離れる受発光部25Bの中心を基準とした中心線CL側と反対側の部分である。すなわち、受発光部25Bの中心を通り中心線CLと平行で受発光面26に垂直な平面を境界として、中心線CL側とは反対側の光透過樹脂41が第1ブロックBL1とされる。第2ブロックBL2は、それぞれの受発光面26に垂直な方向から見る場合に、中心線CLの他方側において当該中心線CLから最も離れる受発光部25Cの中心を基準とした中心線CL側と反対側の部分である。すなわち、受発光部25Cの中心を通り中心線CLと平行で受発光面26に垂直な平面を境界として、中心線CL側とは反対側の光透過樹脂41が第2ブロックBL2とされる。第3ブロックBL3は、第1ブロックBL1と第2ブロックBL2との間の部分とされる。
【0046】
この第3ブロックBL3の表面は、当該第1ブロックBL1の表面及び第2ブロックBL2の表面に比べて平面に近い状態で形成される。つまり、光ファイバ30の一方の端部よりも複数の受発光部25A〜25C側における第3ブロックBL3の表面は、受発光面26に平行な断面で見ると、
図4において破線で示すように、第1ブロックBL1及び第2ブロックBL2に比べて直線に近くなる。つまり、光ファイバ30の一方の端部よりも複数の受発光部25A〜25C側では、受発光面26に平行な断面における第3ブロックBL3の曲率は、第1ブロックBL1の曲率及び第2ブロックBL2の曲率よりも小さい関係とされる。また、
図3に示すように、光ファイバ30の一方の端部よりも複数の受発光部25A〜25C側における第3ブロックBL3の表面は、光ファイバ30から離れるにしたがって光電変換素子20側へと近付く傾斜面となる。本実施形態では、受発光面26に垂直な方向を高さ方向とすると、当該高さ方向から見る光透過樹脂41の表面の等高線は、受発光部25Aより光ファイバ30側の所定の点を基準とした概ねトラック形状の一部とされる。
【0047】
このような光透過樹脂41が上記のように形成されることによって、
図3において破線で示す光軸Cのように、光ファイバ30とそれぞれの受発光部25A〜25Cとの間を伝搬する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射して伝搬する。
図3、
図4から明らかなように本実施形態の光モジュール1では、光透過樹脂41の所定領域42が平面に近づけられた形状とされている。
【0048】
なお、光透過樹脂41は、固定樹脂45よりも軟質であることが好ましい。仮に、光透過樹脂41が固定樹脂45よりも硬質である場合、光モジュール1に振動等が加わり、固定樹脂45が変形して光ファイバ30の端部が動くと、当該端部の動きによる応力が光電変換素子20にかかり、光電変換素子20に損傷を与える懸念がある。しかし、上記のように光透過樹脂41が固定樹脂45よりも軟質であれば、固定樹脂45が変形する場合に、当該変形により光ファイバ30に過度の応力が加わって光ファイバ30が損傷することを抑制したり、当該変形による光ファイバ30の端部の動きを光透過樹脂41が吸収することで、光電変換素子20が損傷することを抑制したりすることができる。
【0049】
次に光モジュール1の動作について説明する。
【0050】
光モジュール1の光電変換素子20が発光素子である場合、光モジュール1の端子12に入力する電気信号に基づき、光電変換素子20の端子23に電気信号が入力し、発光部である受発光部25A〜25Cから光が出射する。受発光部25A〜25Cから出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、光ファイバ30のコア31に入射し、コア31を一方の端部から他方の端部に向かって伝搬する。
【0051】
一方、光モジュール1の光電変換素子20が受光素子の場合、光ファイバ30の一方の端部から光が出射すると、コア31から出射する光は、光透過樹脂41の表面の所定領域42で内部反射し、受光部である受発光部25A〜25Cで受光される。受発光部25A〜25Cで光が受光されると、光電変換素子20の端子23から電気信号が出力し、当該電気信号に基づく電気信号が光モジュール1の端子12から出力する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の光モジュール1は、光電変換素子20における受発光部25A〜25Cの受発光面26と、当該受発光面26に沿って延在して光電変換素子20に固定される光ファイバ30の一方の端部とを覆う光透過樹脂41を有する。この光透過樹脂41は、所定領域42で光を内部反射して光ファイバ30のコア31と複数の受発光部25A〜25Cとを光学的に結合する。また、それぞれの受発光部25A〜25Cにおける受発光面26に垂直な方向から見る場合、光透過樹脂41は、光ファイバ30の長手方向に沿った第1方向の最大幅W1よりもその第1方向に垂直な第2方向の最大幅W2が大きい形状とされる。
【0053】
従って、光が内部反射する所定領域42は、第1方向の最大幅W1と第2方向の最大幅W2とが同程度である光透過樹脂の所定領域と比べて平面に近づけられる。従って、光ファイバ30のコア31に対して光学的に結合するそれぞれの受発光部25A〜25Cの結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。また、上記のように光透過樹脂41の所定領域42が平面に近づけられることで、複数の受発光部25A〜25Cの位置がずれても、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合が偏ることを抑制することができる。このような、本実施形態の光モジュール1によれば、複数の受発光部25A〜25Cのうち特定の受発光部が何らかの原因で機能しなくなる場合であっても、他の受発光部が機能することで、光電変換素子20と光ファイバ30との光学的な結合を維持して光モジュール1を長寿命化することができる。
【0054】
また、本実施形態では、光ファイバ30の一方の端部よりも複数の受発光部25A〜25C側では、受発光面26に平行な断面における第3ブロックBL3の曲率は、第1ブロックBL1の曲率及び第2ブロックBL2の曲率よりも小さい。このため、第3ブロックBL3の表面をより平面に近づけることができ、第3ブロックBL3に覆われる複数の受発光部25A〜25Cの配置関係によらず、コア31に対するそれぞれの受発光部25A〜25Cの結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。
【0055】
なお、第1ブロックBL1及び第2ブロックBL2のうち第3ブロックBL3に近い部分における上記曲率が第3ブロックBL3の曲率と同程度とされる場合、光が内部反射する所定領域42を光透過樹脂41の第2方向に広げることが可能となる。従って、光透過樹脂41内により多くの受発光部を配置しても、コア31に対する当該受発光部の結合効率が偏ることを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、光透過樹脂41は、第2方向に沿った光電変換素子20の一方側の縁から他方側の縁までにわたって設けられる。このため、光が内部反射する所定領域42を光透過樹脂41の第2方向に広く確保し易くなる。従って、光透過樹脂41内により多くの受発光部を配置しても、コア31に対する当該受発光部の結合効率が偏ることを抑制することができる。
【0057】
次に、本実施形態の光モジュールの製造方法について説明する。
【0058】
図5は、
図1に示す光モジュール1を製造する工程手順の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように本実施形態の光モジュール1の製造方法は、配置工程P1と、塗布工程P2と、硬化工程P3とを主な工程として備える。
【0059】
<配置工程P1>
まず、
図1に示すような、予め光電変換素子20が実装された基板10、及び、光ファイバ30を準備する。準備された光電変換素子20が実装された基板10において、端子23と基板10のランド13とは、ワイヤ配線15を介して電気的に接続されている。
【0060】
このように光電変換素子20が実装された基板10と光ファイバ30とが準備された後、配置工程P1を行う。本工程は、複数の受発光部25A〜25Cにおけるそれぞれの受発光面26に沿って延在するように光ファイバ30の一方の端部を配置する工程である。本実施形態では、光ファイバ30の長手方向が受発光面26に沿って延在するように光ファイバ30の一方の端部を配置する。また本実施形態では、光ファイバ30のコア31の中心を通る直線である中心線CLが、
図2に示すように、受発光面26に垂直な方向から見る場合に、受発光部25Aの中心を通るようにする。そして、光ファイバ30の一方の端部を素子面21に接触するように素子面21上に配置する。こうして、
図6に示すように光ファイバ30が配置された状態とされる。
【0061】
<塗布工程P2>
次に、塗布工程P2を行う。本工程は、所定の方向に沿ってノズル50を移動させ、複数の受発光部25A〜25Cにおけるそれぞれの受発光面26を覆うように、光透過樹脂41を塗布する工程である。本工程の結果、本工程においてノズル50の中心50Cが移動した軌跡と配置工程P1で配置される光ファイバ30の中心線CLとが交差し、中心線CLの一方側から他方側にかけて光透過樹脂41が塗布される。従って、配置工程P1で配置される光ファイバ30の中心線CLと交差するようにノズル50を所定の方向に移動させながら、複数の受発光部25A〜25Cそれぞれの受発光面26を覆うように、光透過樹脂41を塗布する。このノズル50の先端は円形とされる。本実施形態では、
図7に示すように、受発光面26に垂直な方向から見る場合に、光ファイバ30のコア31の中心を通る直線である中心線CLに垂直な方向に沿って、当該中心線CLとノズル50の中心50Cとが交差するようにノズル50を移動させる。従って、本実施形態では、中心線CLに垂直な方向が所定の方向とされる。
【0062】
なお、本実施形態では、この所定の方向と、受発光部25Bと受発光部25Cとが並ぶ方向とは一致している。また、上記のように、ノズル50の中心50Cが移動した軌跡と配置工程P1で配置される光ファイバ30の中心線CLとが交差するため、ノズル50の中心50Cの移動開始位置は中心線CLの一方側であり、ノズル50の中心の50C移動終了位置は中心線CLの他方側とされる。本実施形態では、ノズル50の移動開始位置は、中心線CLの一方側において当該中心線CLから最も離れる受発光部25Bよりも中心線CLとは反対側の所定位置とされる。また、ノズル50の移動終了位置は、中心線CLの他方側において当該中心線CLから最も離れる受発光部25Cよりも中心線CLとは反対側の所定位置とされる。従って、本実施形態では、受発光部25Bから受発光部25Cまでにわたってノズル50の中心50Cが通過するようにノズル50を移動させる。
【0063】
このようにノズル50が移動開始位置から移動終了位置まで移動する間において、複数の受発光部25A〜25Cの受発光面26を含む領域に未硬化の光透過樹脂41を
図8の矢印に示す方向にノズル50から連続的に吐出させる。吐出された光透過樹脂41は、移動するノズル50によって中心線CLに垂直な方向に伸ばすように光ファイバ30の一方の端部及び樹脂配置領域40内に濡れ広がりながら、光ファイバ30の一方の端部と樹脂配置領域40との間に充填される。そして、中心線CLに垂直な方向における光電変換素子20の一方側の縁から他方側の縁までにわたって光透過樹脂41が塗布される。その結果、本実施形態では、
図4に示すように、受発光面26に垂直な方向から見る光透過樹脂41の表面の等高線は、受発光部25Aより光ファイバ30側の所定の点を基準として概ねトラック形状となる。
【0064】
<硬化工程P3>
次に、硬化工程P3を行う。本工程は、光透過樹脂41が受発光面26と光ファイバ30の一方の端部とに接した状態で、光透過樹脂41を硬化する工程である。本工程では、素子面21上に配置された光透過樹脂41の種類に応じて、未硬化の光透過樹脂41を硬化させる。例えば、光透過樹脂41が紫外線硬化樹脂である場合には紫外線の照射を行い、光透過樹脂41が熱硬化樹脂である場合には加熱を行い、光透過樹脂41を硬化させる。これにより、光透過樹脂41は、光電変換素子20のそれぞれの受発光部25A〜25Cと光ファイバ30のコア31とを光学的に結合する光結合部とされる。
【0065】
また、硬化工程P3の後、或いは、配置工程P1と塗布工程P2との間において、固定樹脂45により光ファイバ30を基板10に固定する基板固定工程を行う。この工程は、配置された光ファイバ30と基板10との間に固定樹脂45を塗布して、硬化することにより行う。固定樹脂45が紫外線硬化樹脂である場合には紫外線の照射により硬化を行い、固定樹脂45が熱硬化樹脂である場合には加熱により硬化を行う。
【0066】
こうして、
図1に示す光モジュール1が製造される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の光モジュール1の製造方法は、上記のように配置工程P1と塗布工程P2と硬化工程P3とを備える。塗布工程P2では所定の方向に沿ってノズル50を移動させ、複数の受発光部25A〜25Cにおけるそれぞれの受発光面26を覆うように、光透過樹脂41を塗布し、その結果、塗布工程P2においてノズル50の中心50Cが移動した軌跡と配置工程P1で配置される光ファイバの中心線CLとが交差し、中心線CLの一方側から他方側にかけて光透過樹脂41が塗布される。
【0068】
このような光モジュール1の製造方法によれば、光ファイバ30の中心線CLとノズル50の中心50Cとが交差するようにノズル50を所定の方向に移動させ、中心線CLの一方側から他方側にかけて光透過樹脂41が塗布される。つまり、光透過樹脂41を直線の一方側から他方側に延在させて塗布する。このため、塗布工程P2後の光透過樹脂41は、光ファイバ30の長手方向に沿った第1方向の最大幅W1よりもその第1方向に垂直な第2方向の最大幅W2が大きい形状となる。従って、第1方向の最大幅W1と第2方向の最大幅W2とが同程度である場合に比べて、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31とを光学的に結合させるための光透過樹脂41の所定領域を平面に近づけることができる。従って、当該所定領域で内部反射して光ファイバ30のコア31と光学的に結合されるそれぞれの受発光部25A〜25Cの結合効率が特定の受発光部に偏ることを抑制することができる。また、当該所定領域が平面に近づくことで、複数の受発光部25A〜25Cの位置がずれても、それぞれの受発光部25A〜25Cとコア31との光学的な結合のバランスが崩れることを抑制することができる。こうして製造された光モジュール1は、各受発光部25A〜25Cのうちいずれかが機能しなくなる場合であっても、他の受発光部がコア31と光学的に結合することで、光電変換素子20と光ファイバ30との光学的な結合を維持して光モジュール1を長寿命化することができる。
【0069】
なお、本実施形態の上記製造方法では、配置工程P1の後に塗布工程P2が行われたが、硬化工程P3において光透過樹脂41がそれぞれの受発光部25A〜25Cと光ファイバ30の一方の端部とに接した状態とされれば、配置工程P1と塗布工程P2とはどちらが先に行われても良く、配置工程P1の少なくとも一部と塗布工程P2の少なくとも一部とが同時に行われても良い。従って、塗布工程P2前に光ファイバ30が配置されていない場合、光ファイバ30が配置された後において、結果として、塗布工程P2においてノズル50が移動した軌跡と配置工程P1で配置される光ファイバの中心線CLとが交差すれば良い。この場合、塗布工程P2より後または塗布工程P2と同時に行われる配置工程P1で配置される光ファイバ30の中心線CLとノズル50の中心50Cとが交差するようにノズル50が移動することになる。つまり、光ファイバ30がどのように配置されるかが予定されており、その配置が予定された光ファイバ30の中心線CLとノズル50の中心50Cとが交差するようにノズル50を移動させる。
【0070】
また、本実施形態の塗布工程P2では、ノズル50を移動させながら光透過樹脂41を連続的に吐出するものとした。つまり、本実施形態の塗布工程P2では、ノズル50を移動させながら、複数の受発光部25A〜25Cにおけるそれぞれの受発光面26を覆うように、光透過樹脂41を吐出させるものとした。このようにノズル50が移動しながら、連続的に光透過樹脂41が吐出することで、光透過樹脂41の表面におけるそれぞれの受発光部25A〜25Cの直上を含む所定領域42を平面により近づけることができる。
【0071】
ただし、本実施形態の塗布工程P2において、光透過樹脂41は断続的に吐出されても良い。具体的には、中心線CLの一方側と他方側とに光透過樹脂41がノズル50から断続的に吐出されることで塗布され、塗布された光透過樹脂41同士が合体して一体とされてもよい。つまり、光透過樹脂41が断続的に吐出される場合には、吐出後に上記のように一体となる程度の間隔で断続的に吐出される。その結果、光ファイバ30の中心線CLの一方側から他方側にかけて光透過樹脂41が塗布される。なお、塗布された光透過樹脂41同士の合体は、光透過樹脂41が濡れ広がることにより合体しても良い。或いは、光透過樹脂41が少なくとも1回吐出されることで光電変換素子20上に塗布された状態で、次にノズル50から光透過樹脂41を吐出する際、既に光電変換素子20上に塗布された光透過樹脂41と一部重なるように、光透過樹脂41を吐出することで、光透過樹脂41同士が合体しても良い。また、ノズル50から光透過樹脂41が吐出する際にノズル50が一次的に停止しても良く、ノズル50が移動しながら光透過樹脂41が断続的に吐出されても良い。このように光透過樹脂41が断続的に吐出される場合であっても、ノズル50を移動させることなく光透過樹脂41が塗布される場合と比べて、光透過樹脂41の表面におけるそれぞれの受発光部25A〜25Cの直上を含む所定領域42を平面に近づけることができる。
【0072】
また、本実施形態の塗布工程P2では、光ファイバ30の中心を通る直線である中心線CLの一方側から他方側にかけて光透過樹脂41を塗布する際に、中心線CLの一方側において当該中心線CLから最も離れる受発光部25Bから、当該中心線CLの他方側において当該中心線CLから最も離れる受発光部25Cまでにわたってノズル50の中心50Cが通過するようにノズル50を移動させる。このため、光透過樹脂41のうちそれぞれの受発光部25A〜25Cの受発光面26の直上における表面をより平面に近づけることができる。従って、光透過樹脂41の表面で内部反射して光ファイバ30のコア31と光学的に結合するそれぞれの受発光部25A〜25Cの結合効率が特定の受発光部に偏ることをより抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態の塗布工程P2では、所定の方向に沿った光電変換素子20の一方側の縁から他方側の縁までにわたって光透過樹脂41を塗布する。このため、光透過樹脂41の表面のうち平面に近づく領域を広げることができる。従って、光透過樹脂41の表面で内部反射して光ファイバ30のコア31と光学的に結合するそれぞれの受発光部25A〜25Cの結合効率が特定の受発光部に偏ることをより一段と抑制することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、配置工程P1で配置される光ファイバ30の長手方向に対して垂直な方向が所定の方向とされ、当該所定の方向に沿った光電変換素子20の一方側の縁から他方側の縁までにわたって光透過樹脂41を塗布するとされた。しかし、配置工程P1で配置される光ファイバ30の中心線CLとノズル50の中心50Cとが交差するようにノズル50を移動させる限りにおいて、ノズル50の移動距離は限定されない。
【0075】
また、本実施形態では、光ファイバ30の長手方向と所定の方向とが互いに垂直とされたが、光ファイバ30の中心線CLとノズル50の中心50Cとが交差するようにノズル50を移動させる限りにおいて、上記実施形態のように垂直とされなくても良い。
【0076】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
例えば、上記実施形態では、複数の受発光部25A〜25Cは、射影領域AR内に位置したが、複数の受発光部25A〜25Cが射影領域AR内に位置しなくても良い。ただし、複数の受発光部25A〜25Cとコア31との結合効率の低下を抑制する観点から、複数の受発光部25A〜25Cの中心が射影領域AR内に位置することが好ましく、上記実施形態のように、複数の受発光部25A〜25Cの全体が射影領域AR内に位置することがより好ましい。
【0078】
また、上記実施形態では3つの受発光部25A〜25Cとされたが、当該受発光部の数は複数である限り3つに限定されない。また、複数の受発光部の配置についても上記実施形態に限定されない。
【0079】
また、上記実施形態においては光電変換素子20に固定される光ファイバ30の一方の端部のクラッド32の外周面が素子面21に接触しているが、光ファイバ30の一方の端部のクラッド32の外周面が素子面21と離間している構成であっても良い。