特許第6666971号(P6666971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6666971動的なトルク較正装置及び/又は力較正装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6666971
(24)【登録日】2020年2月26日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】動的なトルク較正装置及び/又は力較正装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 25/00 20060101AFI20200309BHJP
   G01L 1/04 20060101ALI20200309BHJP
   G01L 3/06 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   G01L25/00 C
   G01L1/04
   G01L3/06
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-170268(P2018-170268)
(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公開番号】特開2019-60863(P2019-60863A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】17192945.8
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・ガンギャン
(72)【発明者】
【氏名】ミュリエル・リシャール
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−045205(JP,A)
【文献】 特開2001−228041(JP,A)
【文献】 特開2001−033299(JP,A)
【文献】 特開2016−161335(JP,A)
【文献】 特開2013−117443(JP,A)
【文献】 特開平10−293070(JP,A)
【文献】 特開2003−149059(JP,A)
【文献】 特開2003−057140(JP,A)
【文献】 特開2011−158295(JP,A)
【文献】 特開平04−062454(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103528752(CN,A)
【文献】 特開2014−095671(JP,A)
【文献】 特開昭63−157026(JP,A)
【文献】 特開昭62−100632(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0323407(US,A1)
【文献】 実公昭42−013271(JP,Y1)
【文献】 実公昭37−005189(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/04,1/26,3/06,3/14,5/16,
G01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク若しくは力をそれぞれ測定すること、又は、トルク若しくは力をそれぞれ加えることが意図されたユニット(9)のためのトルク較正装置又は力較正装置(1)であって、
前記装置(1)は、第1の部分(3)と、第2の部分(2)と、前記第1の部分(3)を第2の部分(2)に連結する、少なくとも1つの可撓性要素(4)とを備え、前記第2の部分(2)は、前記固定された第1の部分(3)に対して、回転又は並進において可動であるべく取り付けられ、前記装置(1)は、前記第2の部分(2)の変位を制限する支台(7)を備え、前記変位の最大値とこの値に対応する最大トルク又は最大力とに基づいた線形の較正曲線が設定されることを特徴とする、トルク較正装置又は力較正装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、
前記第2の部分(2)は、各回転方向又は各並進方向のために、支台(7)に関して、回転の両方向において又は並進の両方向において、それぞれ可動であるべく取り付けられることを特徴とする、装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の装置(1)であって、
前記第1の部分(3)及び前記第2の部分(2)は各々が、直立部(2b,3b)が上に載った平面基部(2a、3a)によって形成され、該直立部(2b,3b)上では前記可撓性要素(4)の端部が固定され、前記第1の部分(3)及び前記第2の部分(2)は、互いに対して逆方向に配置されることで、前記第1の部分(3)の前記基部(3a)は、前記装置(1)の支持部を形成し、且つ前記第2の部分(2)の前記基部(2a)は、前記ユニット(9)の較正の間、前記トルク又は前記力が加えられる部分を形成することを特徴とする、装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(1)であって、
前記トルク較正装置に対して、各直立部(2b,3b)は、その基部(2a,3a)の直角部分と一致する直角部分を備えた腕木状輪郭を有し、前記可撓性要素(4)の前記端部は、各直立部(2b,3b)の縁部上にそれぞれ固定されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の装置(1)であって、
前記トルク較正装置は、2つの支台(7)の範囲を定める円弧の形をした開口部(6)の中に打ち込まれたピン(5)を備え、前記ピン(5)は、前記第1の部分(3)の前記直立部(3b)にしっかり留められ、且つ前記開口部(6)は、前記第2の部分(2)の前記基部(2a)に形成され、又は、
前記ピン(5)は、前記第2の部分(2)の前記直立部(2b)にしっかり留められ、且つ前記開口部(6)は、前記第1の部分(3)の前記基部(3a)に形成されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項6】
請求項3に記載の装置(1)であって、
前記力較正装置に対して、前記第1の部分(3)及び前記第2の部分(2)は、L字型部分を有し、L字の一方の枝部は、前記基部(2a,3b)を形成し、且つ他方の枝部は、前記直立部(2b,3b)を形成し、前記可撓性要素(4)の前記端部は、各直立部(2b,3b)の厚み部分にそれぞれ固定されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項7】
請求項3又は請求項6に記載の装置(1)であって、
前記力較正装置は、2つの支台(7)の範囲を定める開口部(6)に配置された一方の端部を有する舌部(8)を備え、前記開口部(6)は、前記第2の部分(2)の前記直立部(2b)に形成され、且つ前記舌部(8)は、前記第1の部分(3)の前記直立部(3b)にしっかり留められた他方の端部を有し、又は、前記開口部(6)は、前記第1の部分(3)の前記直立部(3b)に形成され、且つ前記舌部(8)は、前記第2の部分(2)の前記直立部(2b)にしっかり留められた他方の端部を有することを特徴とする、装置(1)。
【請求項8】
請求項5又は請求項7に記載の装置(1)であって、
前記装置(1)の応力が存在しない場合、前記第1の部分(3)の前記直立部(3b)または前記第2の部分(2)の前記直立部(2b)に留められたピン(5)又は舌部(8)は、前記開口部(6)の移動途中箇所に位置することを特徴とする、装置(1)。
【請求項9】
請求項3又は請求項6に記載の装置(1)であって、
前記力較正装置は、前記直立部(2b,3b)の間で平行に延在する2つの可撓性要素(4)を備えることを特徴とする、装置(1)。
【請求項10】
請求項3又は請求項4に記載の装置(1)であって、
前記トルク較正装置は、前記直立部(2b,3b)に沿って、互いに対して直交して配置された2つ又は4つの可撓性要素(4)を備えることを特徴とする、装置(1)。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の装置(1)であって、
前記可撓性要素(4)は、ブレード又は部分バーによって形成されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の装置(1)であって、
前記ブレードは、長方形、台形の形をしている、又はその中心に横長の孔を有する長方形の形をしていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項13】
請求項11に記載の装置(1)であって、
前記可撓性要素(4)は、対向する一対の面が半円柱状にくぼんだ部分バーであるか、又は、中心部分とこの中心部分を挟むように形成された2つの可撓性部分とを有し前記2つの可撓性部分における対向する一対の面が角柱状又は半円柱状にくぼんだ部分バーであることを特徴とする、装置(1)。
【請求項14】
請求項3に記載の装置(1)であって、
前記トルク較正装置に対して、各基部(2a,3a)は、前記装置(1)を、前記トルクを測定する、又は前記トルクを加えることが意図された前記ユニット(9)に結合することを可能にする穴(12a)を備えることを特徴とする、装置(1)。
【請求項15】
請求項1に記載の装置(1)であって、
前記トルク較正装置は、前記トルクを測定する、又は前記トルクを加えることが意図された前記ユニット(9)の動的較正を可能とするために、以前に標準規格に合わせられており、このことは、前記ユニットが動力化されている場合にあてはまることを特徴とする、装置(1)。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の装置(1)であって、
可撓性要素(4)の幾何形状及び数は、それぞれ、0.015Nmm、1.5Nmm、50Nmm、及び500Nmmにわたるトルクの4つの範囲、及び10N及び50Nの2つの力範囲を扱うべく、決定されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の装置(1)であって、
その包絡線は、5cmを超えない寸法を有する正方形又は長方形の基部を有する角柱を呈していることを特徴とする、装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力測定又はトルク測定のための較正装置、及び、一定の力若しくは一定のトルクを加えることが意図された固定ユニットのための較正装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
組み立てプロセス(セクタT0)の状況では、トルク、力を観察する、又は、更には力及びトルクの両方を観察する必要がある。これらのトルク及び力の特性では、特定の測定装置が要求されるが、該測定装置は、定期的に較正される必要がある。
【0003】
較正は、センサによって行うことが可能であるが、センサは高価であるという不利さを有し、又は、更には基準分銅による不利さを有する。後者の場合、トルク測定ユニットの較正は、質量mの基準分銅を用いて実施されるが、ここで該基準分銅は、長さlが完全に既知であるレバーアームを通してトルクM(M=m*l)を創り出す。この較正手続きでは、ユニットがその作業場を離れること、及び、おそらくは供給者に送られることが要求される。ユニットは、その後、1日から3日の間サービスを停止するが、このことは、製造制御において不便さをもたらす。更に、現場から離れた較正と、作業場への戻りとの間に、測定ユニットは、その較正に影響を与える衝撃を受けたかもしれない。その上、基準分銅による測定ユニットの較正は、静的な測定条件を表し、その結果として、ユニットの機械的設計の全てには関与しない。今は、トルク、そして特に摩擦トルクを測定するユニットでは、それぞれの与えられた角度でトルクを動的に測定すること、即ち、該トルクを保証することが想定されている。実際には、図10に示されるように、測定曲線には、ある一定のドリフトを観察することができる。基準分銅による静的な較正では、トルク/角度関数の線形性におけるこのエラーの観測、又はこのエラーの訂正を、可能にすることはないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の不利さを改善するために、本発明の目的は、センサ無しの較正装置を提案することである。該較正装置によって、その動作原理が簡単且つ安価のものになり、センサの正しい動作に必要な定期的な較正を回避することが可能になる。本発明の別の目的は、任意の測定装置において互換性のある較正装置を提案することである。任意の測定装置に対しては、較正を保証しなければならないが、該較正装置では、任意の測定装置の即時の較正が可能になる。本発明の別の目的は、動力化されたユニット及び動力化されていないユニットの両方で動的な較正を可能にする、較正装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目標を達成するために、本発明は、変位の両方向(圧縮力及び引っ張り力の測定に対応する)において働くことが可能である新規な力較正装置を提案すると共に、回転の両方向において動作する新規なトルク較正装置を提案する。トルク較正装置及び力較正装置は、固定部分に対して、回転又は並進においてそれぞれ可動であるべく取り付けられている、1つの部分を備え付けている。2つの部分は、1つ以上の可撓性要素によって連結されており、ここで該可撓性要素は、可動部分が応力を受ける場合、弾性的に変形するように、寸法が決められている。本発明によれば、可動部分の移動は、較正装置の最大トルク又は最大力を決定する支台によって制限される。
【0006】
有利なことに、トルク較正装置は、以前に較正されているが、これは、動力化された測定ユニットのトルク/角度関数の、この最大トルクまでの線形性を検査することを可能とするためである。
【0007】
測定ユニットの較正の間、(引っ張り力測定ユニットの場合に対する)トルク較正装置又は力較正装置は、測定ユニットに容易に結合させることが可能である。この目標を達成するために、装置には、その可動部分及びその固定部分において、穴が備え付けられているが、該穴は、測定ユニットの部品をしっかり留めることを可能にする。圧縮力測定ユニットに対して較正装置を使用する場合、測定ユニットに結合する手段は、全く必要ない。
【0008】
他の利点は、特許請求の範囲において提示された特徴から、及び、非制限的な例として与えられた添付図面を使用した、以下に与えられた本発明の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるトルク較正装置の2つの変形例の内の1つを、斜視図を通して表したものである。
図2】本発明によるトルク較正装置の2つの変形例の内の1つを、斜視図を通して表したものである。
図3図1の別の角度からの図を表したものであり、支台ピン及びブレードが透けて見えている。
図4】本発明による、較正装置の可撓性要素の変形例の斜視図を表したものである(図は、Simon Heneinによる論文番号2194(2000)、EPFLから取られたものである)。
図5】本発明による、較正装置の可撓性要素の別の変形例の斜視図を表したものであり、該可撓性要素では、その中心で、補強された部分が、円形ネックを形成する可撓性部分によって挟まれている。
図6図5の可撓性要素の可撓性部分の異なる幾何形状の、部分的な平面図を表したものである(図は、Simon Heneinによる論文番号2194(2000)、EPFLから取られたものである)。
図7】ピンと反対ピンとの間に位置決めされた、本発明による較正装置を有するトルク測定ユニットを模式的に表したものである。
図8a】本発明による力較正装置の斜視図を表したものである。
図8b】本発明による力較正装置の側面図を表したものである。
図9】本発明によるトルク較正装置を標準規格に合わせるべく履行される設備を模式的に表したものである。
図10】本発明によるトルク較正装置の直線較正曲線とトルク測定ユニットの不規則な測定曲線とを、対比して表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、力若しくはトルクを測定することが意図されたユニットのための較正装置に関し、又は、更には電動ねじ回しなど、ある与えられた力若しくはトルクを加えることが意図されたユニットのための較正装置に関する。
【0011】
本発明によるトルク較正装置1は、図1から図3に表され、且つ力較正装置1は、図8a及び図8bに表されている。それらは、互いに対して可動であるべく取り付けられた2つの部分2、3を備える。実施例では、部分2は可動部分と呼ばれ、且つ部分3は固定部分呼ばれるが、しかし装置は、可動部分として作用する部分3、及び固定部として作用する部分2によって、動作するように構成してもよい。トルク較正装置に対しては、部分2は、固定部分3に対して、両方向での回転において可動であるべく取り付けられている。力較正装置に対しては、部分2は、固定部分3に対して、並進において可動であるべく取り付けられている。図8bに例示されるように、装置は、可動部分2に加えられた力Fに関して、変位の両方向で使用することが可能である。
【0012】
2つの部分2、3は、可変部分のブレード又は部分バーを形成する、1つ以上の可撓性要素4によって連結される。可撓性要素は、塑性変形すること無く、著しい変形に耐える材料から成る要素であると理解されるべきである。この点で、可撓性要素は、ばねステンレス鋼、焼結鋼、焼入れ焼戻し鋼、アルミニウム、チタン、銅、真鍮合金において、又は、更には塑性材料において、作り出すことが可能である。
【0013】
各可撓性要素4は、一方の端部で可動部分2上に固定され、且つ他方の端部で固定部分3上に固定される。可撓性要素は、ねじによって追加することが可能である。例えば、ワイヤ電食によって、一体化した標準品を作成することを考えることも可能である。
【0014】
例示された実施例では、可動部分2及び固定部分3は、直立部2b、3bが上に載った平面基部2a、3aを備えた実質的に等価な形を有し、直立部2b、3b上には、可撓性要素4の端部が固定される。固定部分3及び可動部分2は、互いに対して逆方向に(いわゆるヘッド・トゥ・テールの位置に)位置決めされ、その場合、固定部分3の基部3aは、装置の支持部を形成し、且つ可動部分2の基部2aは、トルク又は力が加えられる部分を形成する。好ましくは、装置の包絡線は、正方形の基部(図1及び図2)又は長方形の基部(図8a及び図8b)を備えた真直ぐなプリズム形を有する。全体は、小型装置を形成し、そこでの寸法は、数センチメートルを超えない(5cm未満)。
【0015】
トルク較正装置(図1から図3)に対しては、可動部分2及び固定部分3は、基部2a、3aを備え、その場合、垂直な直立部2b、3bは、基部2a、3aの角部にしっかり留められる。好ましくは、直立部2b、3bは、基部2a、3aの直角部分に一致する直角部分を備えた腕木状輪郭を有する。可動部分2及び固定部分3のそれぞれの基部2a、3aは、2つの間の直立部2b、3bに関して、互いに向き合うように配置される。これらの直立部2b、3bは、それぞれの基部2a、3aの反対側の角部に配置され、その場合、可撓性要素4の端部は、各直立部2b、3bの縁部の上にねじ留めされている。
【0016】
力較正装置(図8aから図8b)に対しては、可動部分2及び固定部分3はまた、互いに対して逆の位置を有する。可動部分2及び固定部分3は、一般にL字型部分を有し、その場合、L字の一方の枝部は、基部2a、3aを形成し、且つL字の他方の枝部は、直立部2b、3bを形成する。基部2a、3aは、図8a及び図8bに示されるように、いくぶん長く、且つ、変形例によれば、装置のほぼ中間の幅まで延在するか、又は、描かれていない別の変形例によれば、装置の中間の幅より短いか、若しくは中間の幅を超えて、おそらくは装置の幅全部にわたって延在することが可能である。直立部2b、3bは、互いに向き合って垂直に配置されるが、その場合、可撓性要素4は、各端部で、直立部2b、3bの厚み部分にねじ留めされる。
【0017】
両方の較正装置に対して、可動部分2の角度変位又は並進変位は、装置の最大トルク又は最大力をそれぞれ決定する支台7によって制限される。図3は、トルク較正装置に対して、円弧の形をした開口部6の中に打ち込まれるピン5を示している。ピン5は、固定部分3の直立部3bと可動部分2の基部2aとの間に位置決めされる。例示された実施例では、ピン5は、固定部分3にしっかり留められ、且つ開口部6は、可動部分2の基部2aに形成される。その逆もまた可能である。可動部分2は、円弧の中央に静止時に位置決めされたピン5によって、回転の両方向おいて可動であるべく取り付けられるが、その場合、円弧の各端部は、支台7を形成する。力較正装置に対して、開口部6は、可動部分2の直立部2bに形成されるか、又は、描かれていない変形例によれば、固定部分3の直立部3bに形成され、その場合、反対側の直立部にしっかり留められた舌部8の端部が、開口部内で変位する。静止時には、舌部の端部は、移動途中箇所に配置される。一方の方向の変位、又は他方の方向の変位において装置の応力を受けるに際して、舌部の端部は、開口部6の範囲を定める支台7の1つに接触して位置決めされる。
【0018】
較正装置によって扱われるべきトルク又は力の範囲に依存して、可撓性要素の幾何形状及び数は可変的である。その上、較正装置内では、可撓性要素の幾つかの変形例配置が存在することも可能である。
【0019】
図1及び図8aに例示された実施例におけるように、可撓性要素は全長にわたって一定幅のブレードを形成することが可能である。例えば、その中心に横長の孔を有する、台形又は、更には長方形の形をした、可変幅を有するブレード幾何形状を有することも可能である。他の設計も可能であり、そこでの他の設計とは、図4におけるような、2つのくぼんだ半円を描く部分バーを有するものである。中心で補強された可撓性要素4を構想することも可能であり、その場合、プリズム状の又は円形の可撓性部分が、補強された部分を挟んでいる(図5及び図6)。
【0020】
トルク較正装置又は力較正装置の中の可撓性要素の数は、1つ、2つ、3つ、4つであり、更にはそれよりも多いことも可能である。トルク較正装置については、2つの直交するブレードを有する設計が最適である(図1)。2つのブレードは、直立部上の異なる高さに配置されるか、又は、描かれていない変形例によれば、2つのブレードが、それらの中心で交差することも可能である。2つのブレードは、動きを正確に案内することを可能にし、且つ直交配置は、装置の横方向における剛性を最大にする。1つのブレードを有する装置では、装置は、その較正機能を果たすことが可能であろう。しかしながら、回転軸は、あまりうまく制御されないであろう。2つ以上のブレードによって、動きは、非常に良く案内され、それ故に、機械加工及び組み立ての機械的公差に対して、より厳密且つより敏感となる。力較正装置に対して、2つのブレードを有する構造はまた、系の過度の剛性が無い状態での、特定の直線的変位に対しては好ましい。有利なことに、2つの可撓性要素4は、各基部2a、3aに対して平行に、且つ、開口部6のいずれかの側に配置される(図8a及び図8b)。
【0021】
具体的な用語において、3つのトルク類型論が見分けられる、即ち、
・摩擦トルク(0.09〜1.0Nmm)
・抵抗トルク(1.0〜50.0Nmm)
・破壊トルク(>50.0Nmm)
そして4つの異なるトルク較正装置が、これらの範囲を扱うべく作り出される。
【0022】
例として、表1は、扱われるトルク範囲と、ばねステンレス鋼でできたブレードのための、対応する較正装置の幾何形状と、を含む。
【0023】
【表1】
【0024】
基準番号1から3は、2つの直交するブレードを備えた、図1による構成を有し、そして基準番号4は、図2の幾何形状による4つの直交するブレードを備える。全てのブレードは、幅b及び厚さhを備えた一定の長方形部分を有する。例では、ブレードの長さlは一定に保たれ(10mm)、且つ装置の剛性は、ブレードの厚さh及び幅bを変化させることによって、調節されている。その結果として、規準番号4は、剛性の必須のレベルを達成するべく、4つのブレードを備える。しかしながら、ブレードの長さもまた調節することによって、構造は、1つの、しかも同じ最大トルクに対して、2つのブレードに限定されてきた。
【0025】
力に関しては、3つの力類型論が見分けられる、即ち、
・ばねの圧縮力
・抵抗力
・駆動力/牽引力
そして2つの基準が、それに従って設計された。表2は、ばねステンレス鋼ブレードのための、10Nから50Nの基準に対する寸法を含む。
【0026】
【表2】
【0027】
トルク較正装置については、1つの、しかも同じ移動を有する基準の、同じ最大力を達成するために、幾つかの寸法が可能である。例では、長方形部分のブレードの、1つの、しかも同じ長さl(40mm)及び1つの、しかも同じ幅b(20mm)を保つと共に、ブレードの厚さhだけを変更するべく、選択がなされた。
【0028】
図7は、トルク測定ユニット9上に位置決めされた、本発明によるトルク較正装置1を表し、そこでは、装置の可動部分2がピン10上に取り付けられ、且つ固定部分3が反対ピン11上に取り付けられる。固定のために、各基部2a、3aには、ピン及び反対ピン、又は中間部分を直接受け入れるべく、図1から図3に見られる中央穴12aが備え付けられると共に、基部上に配置された横ねじ13が備え付けられる。測定ユニットの較正の間、基準の最大トルクに対応する、ある与えられた角度変位の後に、ピンによって回転させられる可動部分は、支台の中に入る。図10では、移動の最後に到達する最大トルクを、回転の両方向に対して見ることができる。本発明による較正装置によって、更に、動力化された測定ユニットのための、支台に対する角度変位の関数としての動的較正が可能になる。
【0029】
動的較正では、較正装置に、それ自体が以前に較正されていることが要求される。較正は、規準分銅を使用して、従来の方法で実施される。図9は、この目的のために使用されるユニットを表す。較正装置1の可動部分は、中央滑車15と共に、基部の横穴12bの中に打ち込まれた2つの打ち込みピン14によって、しっかり留められるが、ここで中央滑車15は、その端部に基準分銅17を備え付けたケーブル16を受け入れる。異なる基準分銅を使用することによって、回転のトルク/角度の直線が確立される(図10)。較正装置の較正によって、このように、線形性及び目標値(即ち、最大値)の点から、規準の動作範囲を特徴付けることが可能となる。望ましい最大トルクは、その後、支台によって、較正装置上で設定される。
【符号の説明】
【0030】
(1)トルク較正装置又は力較正装置
(2)可動部分
a.基部
b.直立部
(3)固定部分
a.基部
b.直立部
(4)可撓性要素(従順要素とも呼ばれる)
(5)支台ピン
(6)開口部
(7)支台
(8)舌部
(9)トルク測定ユニット
(10)ピン
(11)反対ピン
(12)穴
a.中央
b.横
(13)固定ねじ
(14)打ち込みピン
(15)中央滑車
(16)ケーブル
(17)基準分銅
(18)戻り滑車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10