特許第6666972号(P6666972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6666972自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6666972
(24)【登録日】2020年2月26日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20200309BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20200309BHJP
   F25B 41/00 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   B60H1/32 613Z
   F16L55/00 D
   F25B41/00 H
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-174145(P2018-174145)
(22)【出願日】2018年9月18日
(65)【公開番号】特開2019-55772(P2019-55772A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年9月18日
(31)【優先権主張番号】10 2017 121 639.1
(32)【優先日】2017年9月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2018 120 464.7
(32)【優先日】2018年8月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ケスター
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム ジャマラディン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク セルネッツ
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102007047807(DE,A1)
【文献】 特開2004−205041(JP,A)
【文献】 特開平10−073192(JP,A)
【文献】 実開昭49−015521(JP,U)
【文献】 特開2010−116975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/32
F25B41/00
F16L21/02−21/05
F16L23/02−23/036
F16L55/00
F16J15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ラインの端部部材と密接に連結された第1連結要素(2)及び第2ラインの端部部材と密接に連結された第2連結要素(3)を備えて、前記連結要素(2、3)はそれぞれ他方の連結要素(2、3)と整列された側に放射状に延びる密封面を備え、少なくとも一つの固定手段により互いに連結されて、
固定要素(5a)、前記固定要素(5a)の内にあり前記連結要素(2、3)の密封面の間に配置された第1密封要素(4)、及びストリップ形状の第2密封要素(5b)を備え、前記連結要素(2、3)の間に配置された中間要素(5)を備え、
前記固定要素(5a)は軸方向に整列された中空シリンダー形状の壁を備えて形成され、前記壁は第1エッジ(6)及び第2エッジ(7)、並びに内部面(8)及び外部面(9)を有し、前記第2密封要素(5b)は前記固定要素(5a)の前記第2エッジ(7)で前記固定要素(5a)と堅固に連結され、前記ライン、特に自動車空気調節システムの冷媒循環系の前記ラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント(1)において、
前記中間要素(5)がリセス(14)を備え、前記リセス(14)は切開部として、前記第2密封要素(5b)の外部面に形成された第1端部(15a)から前記第1密封要素(4)の領域で前記固定要素(5a)に形成された第2端部(15b)まで延長され、前記第1端部(15a)は円錐形状を有し、前記リセス(14)の対向して配置された側壁は前記第2密封要素(5b)の前記第1端部(15a)が形成された前記第2密封要素(5b)の前記外部面で互い接することを特徴とする自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項2】
前記リセス(14)の対向する前記側壁の間に形成される間隔が前記第2密封要素(5b)の前記外部面から出発して前記リセス(14)の方向に継続して増加することを特徴とする請求項1に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項3】
前記少なくとも一つの固定手段がねじ連結部として形成され、ねじは前記連結要素(2、3)の内部に形成された貫通開口(13)及び前記中間要素(5)の前記第2密封要素(5b)内に形成された前記貫通開口(13)を貫通した状態で配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項4】
前記リセス(14)が前記第1端部(15a)から前記第2密封要素(5b)内に形成された前記貫通開口(13)まで、そして前記貫通開口(13)から前記固定要素(5a)の前記第2エッジ(7)まで、そして前記固定要素(5a)の前記第2エッジ(7)から前記第2端部(15b)まで延長して形成されることを特徴とする請求項3に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項5】
前記リセス(14)が前記中間要素(5)の対称軸に沿って延長して形成されることを特徴とする請求項4に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項6】
前記リセス(14)の対向して配置された前記側壁の間に形成された間隔が前記第2密封要素(5b)の前記外部面(9)から出発して前記貫通開口(13)の方向に継続して増加することを特徴とする請求項4または5に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項7】
前記リセス(14)の対向して配置された前記側壁の間に形成された間隔が貫通開口(13)から出発して前記第2端部(15b)まで一定していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項8】
前記リセス(14)は、連続する切開部として形成され、前記切開部は上部面からストリップ形状の前記第2密封要素(5b)の下部面まで、そして前記外部面(9)から前記固定要素(5a)の前記壁の前記内部面(8)まで延長されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項9】
前記連結要素(2、3)と前記リセス(14)の前記側壁の間に流動チャンネルが形成され、前記流動チャンネルが互いに対向して配置され、前記第2端部(15b)から前記リセス(14)の前記第1端部(15a)への単一方向の流れのためにバルブの形状で前記第1端部(15a)に構成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項10】
前記リセス(14)の前記第1端部(15a)は、少なくとも3barの内部圧力に達するまで閉鎖されるように設計されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項11】
前記リセス(14)は、前記固定要素(5a)の軸方向において前記固定要素(5a)の前記壁を貫通して形成されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項12】
前記リセスの前記第2端部(15b)が前記固定要素(5a)の前記第1エッジ(6)の下に形成されることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項13】
前記第2密封要素(5b)が前記固定要素(5a)の長手方向の軸線に対して垂直に整列した平面に配置されることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項14】
前記中間要素(5)の前記第2密封要素(5b)が前記連結要素(2、3)の間に形成された中間空間(12)内に配置されることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項15】
前記第1密封要素(4)がディスク形状に形成されてることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項16】
前記第1エッジ(6)の領域で、前記固定要素(5a)の前記壁の前記内部面(8)に放射状に内部に突出する成形部(10)が形成されることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項17】
前記成形部(10)が円形断面を有するウェブとして形成されることを特徴とする請求項16に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項18】
前記固定要素(5a)の前記壁の前記内部面(8)に前記第1エッジ(6)の方向において、前記第2エッジ(7)から放射状に軸方向に先細となる中心設定要素(11)が形成されることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【請求項19】
前記ラインの端部部材が前記連結要素(2、3)内に形成されたそれぞれ一つの貫通開口を通じて互い連結されることを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載の自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメントに係り、より詳しくは、ライン、特に自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメントに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのラインを流体密封方式で連結するための従来の構成は、連結要素の間に配置され、複数の異なる機能を満たすように設計された個別の構成要素として、中間要素を有する2つの連結要素を備える。中間要素の主要機能は、ディスク形状の密封要素を第1連結要素に固定させて位置決めすることにある。第1連結要素及び第2連結要素の各々はパイプ又はライン、特に冷媒ラインの端部と流体密封方式で連結されている。
ディスク形状の密封要素を軸方向に固定させることは、一方では第1連結要素上への配置によって、そして、他方では中間要素による配置によって保障される。ディスク形状の密封要素は放射状に中間要素の内部面に形成された中心設定要素によって固定される。中間要素のもう一つの機能は、2つの連結要素の間に形成された中間空間への腐食性液体の流入を防止し、そしてアレンジメントを腐食から保護することにある。
【0003】
特許文献1には、冷媒ラインを連結するための密封アレンジメントが開示されている。このシーリング装置は、第1ラインの端部部材と密接に連結された第1連結要素と、第2ラインの端部部材と密接に連結された第2連結要素を備える。この場合、密封リングが貫通ボアを有するプラスチックキャップとして形成され、中間要素としての固定装置によって2つの連結部分のうちの1つの密封面に固定された状態で配置される。プラスチックキャップは、理論上の破損点としてこのプラスチックキャップの材料の厚さを減少させるための溝を有する。
特許文献2及び特許文献3には、液体媒質のための2つのライン、特に冷媒ラインを連結するための中間要素を有する密封部を固定させるシステムがそれぞれ開示されている。中間要素は外壁及び内壁、そして上部エッジ及び下部エッジを有する密封リングのための中空シリンダー形状の収容部を備える。下部エッジには、中間要素の外壁に対して垂直に進行して中間要素を解体するための平らな分離ラグが配置されている。特許文献4によれば、分離ラグは、この分離ラグの外部エッジから外壁に向かう方向に延長される狭いスロットを備えて形成される。
【0004】
従来技術として公知になっている分離ラグは、密封部として形成された連結要素の間に配置された中間要素の領域を備えて、この領域は中間要素の中空シリンダー形状の収容部の内部で欠損のある密封リングの配置と関係なく、約30barの内部圧力に達するまで密封される。それにより、組み立て工程の間又はライン及び連結要素の連結した状態で、起こりうる漏洩の堅実な検出の可能性が阻止されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許出願DE 10 2006 035 717 A1号公報
【特許文献2】ドイツ特許出願DE 10 2006 012 915 A1号公報
【特許文献3】ドイツ特許出願DE 10 2007 047 807 A1号公報
【特許文献4】ドイツ特許出願DE 10 2007 047 807 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラインからの漏洩を確実に検出し、また2つの連結要素の間に形成された中間空間を密封させて、腐食性の媒質が外部からアレンジメントの中間空間内に浸透することを防止し、液体媒質のためのライン、特に冷媒ラインをライン端部の部材から流体密封方式で連結することができるアレンジメントを提供することにある。
本発明では、アレンジメントの製造、管理及び組み立てのためのコスト及び複雑性が最小限にならなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明のアレンジメントは、第1ラインの端部部材と密接に連結された第1連結要素及び第2ラインの端部部材と密接に連結された第2連結要素を備え、連結要素はそれぞれ他方の連結要素と整列された側に放射状に延びる密封面を備え、少なくとも一つの固定手段により互いに連結されて、固定要素、固定要素の内にあり連結要素の密封面の間に配置された第1密封要素、及びストリップ形状の第2密封要素を備え、連結要素の間に配置された中間要素を備え、固定要素は軸方向に整列された中空シリンダー形状の壁を備えて形成され、壁は第1エッジ及び第2エッジ、並びに内部面及び外部面を有し、第2密封要素は固定要素の第2エッジで固定要素と堅固に連結され、ライン、特に自動車空気調節システムの冷媒循環系のラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメントにおいて、
中間要素がリセスを備え、リセスは切開部として、第2密封要素の外部面に形成された第1端部から第1密封要素の領域で固定要素に形成された第2端部まで延長され、第1端部は円錐形状を有し、リセスの対向して配置された側壁は密封要素の外部面で互い接することを特徴とする。
【0008】
本発明は、リセスの対向する側壁の間に形成される間隔が密封要素の外部面から出発してリセスの方向に継続して増加することができる。
少なくとも一つの固定手段がねじ連結部として形成され、ねじは連結要素の内部に形成された貫通開口及び中間要素の第2密封要素内に形成された貫通開口を貫通した状態で配置されていることが好ましい。
リセスが第1端部から第2密封要素内に形成された貫通開口まで、そして貫通開口から固定要素の第2エッジまで、そして固定要素の第2エッジから第2端部まで延長して形成されることがよい。
【0009】
リセスが中間要素の対称軸に沿って延長して形成されることがよい。
リセスの対向して配置された側壁の間に形成された間隔が第2密封要素の外部面から出発して貫通開口の方向に継続して増加することができる。
リセスの対向して配置された側壁の間に形成された間隔が貫通開口から出発して第2端部まで一定していることが好ましい。
リセスは、連続する切開部として形成され、切開部は上部面からストリップ形状の第2密封要素の下部面まで、そして外部面から固定要素の壁の内部面まで延長されることが好ましい。
【0010】
連結要素とリセスの側壁の間に流動チャンネルが形成され、流動チャンネルが互いに対向して配置され、第2端部からリセスの第1端部への単一方向の流れのためにバルブの形状で第1端部に構成されることがよい。
リセスの第1端部は、少なくとも3barの内部圧力に達するまで閉鎖されるように設計されていることが好ましい。
リセスは、固定要素の軸方向において中間要素の壁の内部に形成されることがよい。
リセスの第2端部が固定要素の第1エッジの下に形成されることができる。
【0011】
第2密封要素が固定要素の長手方向の軸線に対して垂直に整列した平面に配置されることが好ましい。
中間要素の第2密封要素が連結要素の間に形成された中間空間内に配置されることがよい。
第1密封要素がディスク形状に形成されることがよい。
第1エッジの領域で、固定要素の壁の内部面に放射状に内部に突出する成形部が形成されることができる。
【0012】
成形部が円形断面を有するウェブとして形成されることが好ましい。
固定要素の壁の内部面に第1エッジの方向において、第2エッジから放射状に軸方向に先細りとなる中心設定要素が形成されることができる。
ラインの端部部材が連結要素内に形成されたそれぞれ一つの貫通開口を通じて互い連結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、本発明のアレンジメントは多様な利点を有している。
本発明のアレンジメントは、漏洩の確実な検出及び個別構成要素の最適の組み立てを可能にすることができる。
本発明の目的のために提供された冷媒循環系のアレンジメントは、漏洩の迅速でかつ時間が節約された検出ができ、単純な判断が可能になり、それにより、冷媒の損失及び今後の後続作業、そしてこの目的のために必要なコストをセーブすることができる。
ライン内を循環する流体、特に冷媒の許されていない放出が防止でき、それにより環境を保護することができる。
連結要素の間に形成された中間空間が密封されて、腐食性の媒質が外部からアレンジメントの中間空間内に浸透することを防止することができる。
連結要素の間で、そしてそれぞれ第1密封要素に対する接触性の腐食から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態の他の詳細な事項、特徴及び利点は、関連する図面を参照した例示的な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
図1】ライン端部部分に冷媒ラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメントの断面図。
図2図1に示したアレンジメントの第1連結要素の断面図。
図3】第1密封要素及び第2密封要素のための固定要素を有する中間要素の斜視図。
図4】第1密封要素の斜視図。
図5】中間要素の固定要素内に挿入された第1密封要素を上から見た斜視図。
図6】中間要素の固定要素内に挿入された第1密封要素を下から見た斜視図。
図7】第1密封要素が設定挿入された第2連結要素の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、ライン端部部分に冷媒ラインを流体密封方式で連結するためのアレンジメントの断面図であり、第1連結要素(2)及び第2連結要素(3)、そしてこれら連結要素(2、3)の間に配置されて、第1密封要素(4)が挿入される固定要素(5a)及び第2密封要素(5b)を有する中間要素(5)を有するライン端部部分に冷媒ラインを流体密封方式で連結するための従来技術によるアレンジメント(1)の断面図を示した。
第1密封要素(4)は固定要素(5a)内部で中間要素(5)の部分として固定される。
図2は、図1に示したアレンジメントの第1連結要素の断面図であり、中間要素(5)及び固定要素(5a)内部に挿入された第1密封要素(4)を有するアレンジメント(1)の第1連結要素(2)を断面図で示した。
【0016】
このアレンジメント(1)は、第1ラインの端部の部材と密接に連結された第1連結要素(2)及び第2ラインの端部の部材と密接に連結された第2連結要素(3)を備える。これらの連結要素(2、3)は各々他方の連結要素に整列された側に放射方向に進行する密封面を備えて形成され、一つ以上の固定手段により互い連結されている。
図示していない第1ラインは、端部部材によって第1連結要素(2)内に挿入され、図示していない第2ラインは、端部部材によって第2連結要素(3)内に挿入される。これらのラインは、それぞれ特定の連結要素(2、3)にしっかりと流体密封方式で接続される。連結要素(2、3)は、ラインが挿入された端部部分の領域で中間に支持された第1密封要素(4)を通じて流体密封方式で連結され、固定手段によって機械的に結合される。この場合、連結要素(2、3)は、他方の連結要素(2、3)に向かってに整列した側に放射状に延びる密封面を有する。
【0017】
連結要素(2、3)の機械的結合は、ねじ結合によって行うことができる。この場合、ねじは、固定要素として、連結要素(2、3)の内部に形成された貫通開口及び中間要素(5)の貫通開口を通って配置される。中間要素(5)の接続要素(2,3)及び貫通開口(13)の通過開口は、共通の中心軸上に整列され、連結要素(2,3)の密封面から横方向にずれて配置される。
【0018】
中間空間(12)は、連結要素(2、3)の貫通開口部の対向する端部の間に形成される。中間空間(12)の内部には中間要素(5)の部分、特に第2密封要素(5b)として構成された部分が配置されて、この部分は特別に腐食性の媒質が、例えば連結要素(2、3)の貫通開口を通じて中間空間(12)内に、そしてこれでまた第1密封要素(4)を有する固定要素(5a)側に浸透することを防止する。
【0019】
中間要素(5)は、ディスク形状の第1密封要素(4)を固定するために固定要素(5a)を備え、密封要素(4)は実質的に中空シリンダー形状の容器として構成された固定要素(5a)の内部に配置される。固定要素(5a)は軸方向に上部に第1エッジ(6)と、下部に第2エッジ(7)とを前面側に有し、固定要素の内部面(8)及び固定要素の外部面(9)を有するように構成された壁を備えている。中空シリンダーのジャケットの内部面(8)及び外部面(9)は、それぞれ第1エッジ(6)から第2エッジ(7)まで延びている。
【0020】
固定要素(5a)の壁は、好ましくプラスチックから形成され、ディスク形状の第1密封要素(4)が第1軸方向の第1エッジ(6)に軸方向に固定されている放射状の内部に突出する成形部(10)を含み、第1連結要素(2)の密封面は、円形断面を有するウェブとして構成された成形部(10)との間にアレンジメント(1)が組み立てられる。その結果、固定要素(5a)により受容された第1密封要素(4)の最初の位置の変更は、特に、結果的に対向して配置された2つ以上の成形部(10)によって防止される。
【0021】
さらに、円盤形状の第1密封要素(4)を第1エッジ(6)に固定するために、軸方向の下部の第2エッジ(7)から上部の第1エッジ(6)の方向に放射状に先細りになる中心設定要素(11)が放射状に延びており、固定要素(5a)の壁の内部面(8)には、放射状に配置されている。この場合は、対向して配置された中心設定要素(11)の間の放射状方向の間隔は、第2エッジ(7)から第1エッジ(6)までの導入プロセス中に密封要素(4)が固定要素(5a)に挿入されるように、段階的に小さくなる成形部(10)、及び成形部(10)の円形断面を有するウェブは、内部面(8)の周りに形成された中心設定要素(11)の間に固定される。
【0022】
固定要素(5a)は、第1密封要素(4)を固定要素(5a)の内部に固定するよう、第1密封要素(4)と組み合わせた形に形成される。さらに固定要素(5a)を有する中間要素(5)は、固定要素(5a)をこの固定要素(5a)内に固定された第1密封要素(4)と一緒に連結要素(2、3)の密封面の間に配置する方式で、連結要素(2、3)と組み合わせた形に形成される。この場合、固定要素(5a)は組み立ての前に、特に連結要素(2、3)のねじ結合の前に密封面の間に簡単に固定できる。固定要素(5a)を備えた中間要素(5)は、連結要素(2、3)のうちの一つに接続される。
【0023】
固定要素(5a)の壁に対して垂直に整列された第2密封要素(5b)は、固定要素(5a)の下部の第2エッジ(7)に配置される。従って、特に弾性重合体で形成された第2密封要素(5b)は、固定要素(5a)の長手方向の軸に対して垂直に整列した平面内に形成され、ほぼ全周に渡って固定要素(5a)と十分堅固に接続される。第2密封要素(5b)は、外周に沿って延び周辺を囲むカラーと、放射方向に一定の間隔をおいて固定要素(5a)の周辺を囲むカラー、及び固定要素(5a)の周りを一定の距離で放射方向に走るカラーとを含み、固定手段のための円形の貫通開口(13)を囲むカラーを備える。
【0024】
従って、連結要素(2、3)は、密封面上で、中間要素と固定要素(5b)の下部の第2エッジ(7)の領域と、周囲の領域に配置されて支持された第1密封要素(4)とで、互いに対して密封される。第1密封要素(4)は、特に連結要素(2、3)に接続されたラインを通って流れる流体を封止するために、特にラインを通じて流れる流体の漏洩を防止するために利用される。中間要素(5)の第2密封要素(5b)は、主に連結要素(2、3)の間、特に中間空間(12)内に腐食性の媒質が外部から浸透することを防止するよう機能する。
【0025】
第2密封要素(5b)には、この密封要素(5b)の外部面にある第1端部(15a)から固定手段を収容するための貫通開口(13)まで、そして貫通開口(13)から固定要素(5a)の第2エッジ(7)まで延長されるスロット形状のリセス(14)が形成されており、貫通開口(13)を固定要素(5a)の第2エッジ(7)に接続する。固定要素(5a)の壁の内部で、リセス(14)は、第2密封要素(5b)内に形成されたスロットの拡張部として連続し、固定要素(5a)の第1エッジ(6)の下から第2端部(15b)まで延長される。
【0026】
従来技術から公知であり、図示されていない、前述のリセス(14)なしで構成された第2密封要素(5b)は、内部に欠陥のある第1密封要素(4)とは関係なく、独立して連結要素(2、3)に接続されたラインを密封中空シリンダー形状の固定要素(5a)である。この場合、第2密封要素(5b)は、ラインを約30barの内部圧力まで密封させることができる。
【0027】
しかし、図面に示されていない従来技術の第2密封要素(5b)の配置によっては、例えば、第1密封要素(4)が欠損があるか損傷されていても、ラインを通じて流れる流体の漏出の可能性を検出することを妨げる。アレンジメント(1)内部の締結手段の2つの不完全な接続、例えば組み立て過程の途中またはラインと連結要素との連結過程で起こる。
【0028】
図3及び図5乃至図7では、第1密封要素(4)のための固定要素(5a)と、本発明によるアレンジメント(1)の第2密封要素(5b)を有する中間要素を示した。図3は第1密封要素及び第2密封要素のための固定要素を有する中間要素の斜視図を、図4は第1密封要素の斜視図を示した。図5及び図6は中間要素の固定要素内に挿入された第1密封要素をそれぞれ上から、そして下から見た状態を斜視図で示した。そして図7は第1密封要素が設定挿入された第2連結要素の斜視図で示した。
【0029】
図3乃至図7に示したアレンジメント(1)の同一な構成要素及び実施例は同じ符号で示した。個別の構成要素に対しては、図1、2についての説明が参考となる。図1、2に示したアレンジメント(1)と比較する時、図3乃至図7に示したアレンジメント(1)の重要な差は、固定要素(5a)及び第2密封要素(5b)を有する中間要素(5)の形成にある。
第2密封要素(5b)には、平坦で帯状の第2密封要素(5b)の上側から下側に連続して延びるスロットとして構成されたリセス(14)が設けられている。一方、リセス(14)は、第2密封要素(5b)の外側の第1端部(15a)から貫通開口(13)まで、貫通開口(13)から固定要素(5a)の第2エッジ(7)まで、そして壁の内側に延びている固定要素(5a)の軸方向における第1密封要素(4)のレセプタクルの領域内へと延びている。固定要素(5a)の壁の内側においても、リセス(14)は、壁を貫通するスロットとして構成されている。リセス(14)は、好ましくは、中間要素(5)の対称軸に沿って延びている。
【0030】
第2密封要素(5b)には、平らなストリップ形状の密封要素(5b)の上部面から下部面まで連続に延長されるスロットとして形成されたリセス(14)が設けられている。一方、リセス(14)は密封要素(5b)の外部面にある第1端部(15a)から固定手段を収容するための貫通開口(13)まで、そして貫通開口(13)から固定要素(5a)の第2エッジ(7)まで延長される。固定要素(5a)の壁の内部では、リセス(14)が第2密封要素(5b)内に形成されたスロットの拡張部内に継続して案内され、固定要素(5a)の軸方向に第1密封要素(4)の収容部領域の内部まで延長される。リセス(14)は、固定要素(5a)の第1エッジ(6)の内部から第2端部(15b)まで延長される。また、固定要素(5a)の壁内部でも、リセス(14)は壁を貫通するスロットとして形成されている。この際、リセス(14)は好ましくは中間要素(5)の対称軸に沿って延びている。
【0031】
連結要素(2、3)、及び中間要素(5)が中間的に支持され、固定要素(5a)が第1密封要素(4)及び第2密封要素(5b)を有するアレンジメント(1)が組み立てられた状態では、中間要素(5)の内側のリセス(14)は、第1密封要素(4)の領域から中間要素(5)の外部面まで延長され、そしてこれでアレンジメント(1)の周辺に延びるラインを形成する。
【0032】
第2密封要素(5b)の内部に形成されたリセス(14)の第1端部(15a)は、円錐形状を有し、この場合リセス(14)の対向する側壁は、外部エッジで互いに接して、リセス(14)は、連続している貫通開口(13)の方向に継続して延長して、貫通開口(13)に到達する時まで継続して拡張される。リセス(14)の向き合うように配されている側壁の間隔は貫通開口(13)の方向に継続して増加する。リセス(14)の貫通開口(13)と第2端部(15b)の間でリセス(14)の対向する側壁の間隔は実質的に一定である。
【0033】
アレンジメント(1)が組み立てられた状態でリセス(14)により形成された流動チャンネルは、第1端部(15a)の領域でリセス(14)の円錐形状のバルブの機能を満たし、第1端部(15a)から一方向の流通を可能にする第2端部(15b)への流れを可能にし、そしてこれでアレンジメント(1)から周辺へと伸びている。従って、例えば密封されていないか、または、欠陥のある第1密封要素(4)により発生する、連結要素(2、3)により互い結合されたラインを通じて流れる流体の漏洩流れが外部に導くことができる。ラインの連結部を通過する流体の漏洩による流れを検出することができる。
【0034】
リセス(14)の第1端部(15a)の円錐形の形成は、外部への流体の圧力の緩和を可能にする。この場合は、このようにして設計されたバルブは、少なくとも3barの内部圧力の値に達するまで閉鎖されるか、流体密封されることで、結果的に一方では連結要素(2)により互い結合されたラインを通じて流れる流体の漏洩流れが外部に流出されず、他方では水、特に海水のような腐食性の媒質がアレンジメント(1)内に、特にアレンジメント(1)の中間空間(12)内に全く流入しない。リセス(14)の第1端部(15a)は、圧力維持バルブに類似した形状に形成される。
【0035】
バルブは、約6バールの内圧の値で開き、これは、第1密封要素(4)の非締め付けまたは不足、またはフローダクト内の連結要素(2、3)の非締め付け接続の結果として生じる したがって、リセス(14)によって形成されたバルブは、流動チャンネルの第1端部(15a)としてバルブに作用し、一方では、互いに結合された連結要素(2、3)により互い結合されたラインを通じて流れる流体の漏洩流れが外部に流出される。従って、特に冷媒は圧力値が相対的に小さな場合も冷媒循環系から周辺に漏洩されて検出されることができる。他方では、また腐食性の媒質が反対方向のアレンジメント(1)内に同時に浸透する状況も防止される。中間要素(5)の第2密封要素(5b)の全体面に渡る圧搾により、アレンジメント(1)の腐食保護が常になされる。
【0036】
アレンジメント(1)は図3乃至図7に図示した順序で組み立てられる。この場合、ディスク形状の第1密封要素(4)は、下部の第2エッジ(7)から出発して固定要素(5a)の中空シリンダー形状の収容部内部に挿入されて、上部の第1エッジ(6)から放射方向内部に突出する。そして円形断面を有するウェブとして形成された成形部(10)まで軸方向に移動される。この場合、第1密封要素(4)は固定要素(5a)の壁の内部面(8)に形成された、軸方向に下部第2エッジ(7)から上部第1エッジ(6)の方向に放射方向に細くなる中心設定要素(11)の間に固定されて、このような固定状況は、特に図5及び図6に示した。
【0037】
続いて、固定要素(5a)を有する中間要素(5)及びこの固定要素(5a)内に固定された第1密封要素(4)が連結要素(2、3)の密封面の間に配置され、固定要素(5a)は、取り付けの前に、配置される連結要素(2、3)の密封面に連結要素(2、3)のねじ結合の前に固定要素(5a)と第1密封要素(4)との間に配置される第1密封要素(4)を有する中間要素(5)は、固定要素(5a)を備え、固定要素(5a)内に固定された第1密封要素(4)を有する中間要素(5)は、第1連結要素(2)の上に予め取り付けられる。
【0038】
その次に、連結要素(2、3)が固定手段により、特にねじ結合によって、互い連結される。この場合、第1連結要素(2)は、貫通開口(13)及び、連結要素(2、3)の密封面から離れて向いている側の貫通開口(13)を通り、支持面(16)を通って、ねじから間隔をおいて形成されている。支持面(16)は、連結要素(2、3)のねじ結合の際、レバー作用が発生するように配置され、このレバー作用は連結要素(2、3)の密封面の間に配置された密封要素(14)の均一な圧縮を誘導する。また、この成形要素は第1連結要素(2)の支持面(16)から突出して整列し、第2連結要素(3)を案内するためのアレンジメント(1)の組み立ての際役立つ、ピン形状の成形要素(17)が設けられる。
【符号の説明】
【0039】
1: アレンジメント
2: 第1連結要素
3: 第2連結要素
4: 第1密封要素
5: 中間要素
5a: (第1密封要素の)固定要素
5b: 第2密封要素
6: (固定要素の)第1エッジ
7: (固定要素の)第2エッジ
8: (固定要素の)内部面
9: (固定要素の)外部面
10: 成形部
11: 中心設定要素
12: 中間空間
13: 貫通開口
14: リセス
15a: (リセスの)第1端部
15b: (リセスの)第2端部
16: 支持面
17: 成形要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7