特許第6667024号(P6667024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日インテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6667024-カテーテル 図000002
  • 特許6667024-カテーテル 図000003
  • 特許6667024-カテーテル 図000004
  • 特許6667024-カテーテル 図000005
  • 特許6667024-カテーテル 図000006
  • 特許6667024-カテーテル 図000007
  • 特許6667024-カテーテル 図000008
  • 特許6667024-カテーテル 図000009
  • 特許6667024-カテーテル 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667024
(24)【登録日】2020年2月26日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   A61M25/00 624
   A61M25/00 610
   A61M25/00 630
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-67998(P2019-67998)
(22)【出願日】2019年3月29日
(62)【分割の表示】特願2015-212370(P2015-212370)の分割
【原出願日】2015年10月28日
(65)【公開番号】特開2019-122819(P2019-122819A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】津村 南帆
【審査官】 北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−520347(JP,A)
【文献】 特開2010−42115(JP,A)
【文献】 特表2007−502663(JP,A)
【文献】 特表2003−501197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂から成る内層と、
前記内層の外周に設けられ、線状体から成る補強体と、
前記補強体の外周に設けられた、樹脂から成る外層と、を有するカテーテルにおいて、
前記補強体は、前記補強体の内、前記補強体の先端から基端側に向かって離間した位置であって、且つ、前記補強体の基端から先端側に向かって離間した位置に、前記補強体の長手方向に沿って前記線状体の断面積が減少する小断面積部を有しており、
前記小断面積部における前記断面積は、前記補強体の長手方向に沿って、前記小断面積部の中央に向かうほど、当該中央に到るまで傾斜的に、徐々に小さくなっている、ことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記外層は、前記小断面積部を覆う第1の樹脂層と、前記小断面積部の基端から基端側の前記補強体を覆う第2の樹脂層と、前記小断面積部の先端から先端側の前記補強体を覆う第3の樹脂層とから構成されており、前記第1の樹脂層を形成する樹脂は、前記第2の樹脂層を形成する樹脂よりも柔軟である、カテーテル。
【請求項3】
求項2に記載のカテーテルにおいて、
前記第1の樹脂層を形成する樹脂は、前記第3の樹脂層を形成する樹脂よりも柔軟である、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管等に挿入される医療用のカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、網状の編組体で構成された補強体部と、隣り合う2つの前記補強体部を互いに連結する連結部とを有し、前記連結部が節となって容易に湾曲する湾曲容易部を構成するカテーテルが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、金属素線からなる編組構造を備えた医療用カテーテルチューブであって、補強材層である金属素線が基端部から先端部にかけて細径化されて柔軟性を確保している構成も既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−72562号公報
【特許文献2】特開2007−319594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成にあっては、隣り合う補強体部が、連結部の線状体で繋ながれて連結されているため、前記補強体部と前記連結部とのつなぎ目で急激な剛性の変化が発生し、そこに応力が集中してカテーテルの破断やキンクが生じやすいという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2の構成にあっては、補強材層である金属素線が基端部から先端部にかけて一定の割合で細径化されているため、血管等に挿入される際に、任意の箇所を容易に湾曲させることができないという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、途中部分でカテーテルを容易に湾曲させることができ、またカテーテルの破断やキンクが発生することを抑制することができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<1>本願請求項1に係る発明は、樹脂から成る内層と、前記内層の外周に設けられ、線状体から成る補強体と、前記補強体の外周に設けられた、樹脂から成る外層と、を有するカテーテルにおいて、前記補強体は、前記補強体の内、前記補強体の先端から基端側に向かって離間した位置であって、且つ、前記補強体の基端から先端側に向かって離間した位置に、前記補強体の長手方向に沿って前記線状体の断面積が減少する小断面積部を有している、ことを特徴とする。
【0009】
<2>本願請求項2に係る発明は、請求項1に記載のカテーテルにおいて、前記小断面積部における前記断面積は、前記小断面積部の中央に向かうほど徐々に小さくなっている、カテーテルを特徴とする。
【0010】
<3>本願請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のカテーテルにおいて、前記外層は、前記小断面積部を覆う第1の樹脂層と、前記小断面積部の基端から基端側の前記補強体を覆う第2の樹脂層と、前記小断面積部の先端から先端側の前記補強体を覆う第3の樹脂層とから構成されており、前記第1の樹脂層を形成する樹脂は、前記第2の樹脂層を形成する樹脂よりも柔軟である、カテーテルを特徴とする。
【0011】
<4>本願請求項4に係る発明は、請求項3に記載のカテーテルにおいて、前記第1の樹脂層を形成する樹脂は、前記第3の樹脂層を形成する樹脂よりも柔軟である、カテーテルを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
<1>請求項1に記載のカテーテルは、樹脂から成る内層と、前記内層の外周に設けられ、線状体から成る補強体と、前記補強体の外周に設けられた、樹脂から成る外層と、を有するカテーテルにおいて、前記補強体は、前記補強体の内、前記補強体の先端から基端側に向かって離間した位置であって、且つ、前記補強体の基端から先端側に向かって離間した位置に、前記補強体の長手方向に沿って前記線状体の断面積が減少する小断面積部を有していることから、カテーテルの途中部分である前記小断面積部においてカテーテルを容易に湾曲させることができ、且つ、小断面積部において著しい剛性の差が生じないので小断面積部での応力が集中し難くなり、カテーテルの破断やキンクが発生することを抑制できるカテーテルを提供することができる。
【0013】
<2>請求項2に記載のカテーテルは、請求項1に記載のカテーテルにおいて、前記小断面積部における前記断面積は、前記小断面積部の中央に向かうほど徐々に小さくなっていることから、小断面積部の中央部分に、さらに容易に湾曲可能となる部分を形成することができ、また、剛性差もより緩やかになり、小断面積部での応力の集中を分散させることができるので、カテーテルの破断やキンクをさらに抑制できる。
【0014】
<3>請求項3に記載のカテーテルは、請求項1又は請求項2に記載のカテーテルにおいて、前記外層は、前記小断面積部を覆う第1の樹脂層と、前記小断面積部の基端から基端側の前記補強体を覆う第2の樹脂層と、前記小断面積部の先端から先端側の前記補強体を覆う第3の樹脂層とから構成されており、前記第1の樹脂層を形成する樹脂は、前記第2の樹脂層を形成する樹脂よりも柔軟であることから、小断面積部においてカテーテルをさらに曲げ易くすることができる。
【0015】
<4>請求項4に記載のカテーテルは、請求項3に記載のカテーテルにおいて、前記第1の樹脂層を形成する樹脂は、前記第3の樹脂層を形成する樹脂よりも柔軟であることから、小断面積部においてカテーテルをより確実に曲げやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1にかかるカテーテルを示す平面図である。
図2】実施例1にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図3】実施例2にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図4】実施例3にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図5】実施例4にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図6】実施例5にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図7】実施例6にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図8】実施例7にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
図9】実施例8にかかるカテーテルを示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のカテーテルを具体化した実施例を詳細に説明する。ただし、本発明は下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。なお、図1から図9において、左側が体内に挿入される先端側(遠位側)であり、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側、基端側)である。
【0018】
〔実施例1〕
例えば血管内に挿入されるカテーテル11は、図1に示すように、チューブ状の中空シャフト21と、前記中空シャフト21の基端側に接合されたコネクタ30とを備えている。なお、図1では、カテーテル11の中空シャフト21の形状は直線形状であるが、中空シャフト21の先端側に湾曲形状を有していてもよく、直線形状に限定されるものではない。また、前記中空シャフト21の先端側に、後述する補強体を有していない柔軟な中空のチップ部を設けてもよい。
【0019】
前記中空シャフト21は、図2に示すように、樹脂から成る中空状の内層40と、前記内層40の外周に設けられた補強体50Aと、前記補強体50Aを被覆するように前記補強体50Aの外周に設けられた樹脂から成る外層60と、を有している。
【0020】
前記内層40は、内層40の内周面にガイドワイヤ等の医療機器が挿入されるため、滑り性に優れた樹脂材料で形成されることが好ましい。例えば、そのような樹脂材料としては、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)又はFEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)といったフッ素系の樹脂やポリエチレン等がある。
【0021】
また、前記外層60は、特に限定されるものではないが、エラストマー系の樹脂材料で形成されることが好ましく、例えばポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー又はポリエステルエラストマー等で形成することができる。
【0022】
また、前記補強体50Aは、前記内層40の外周に巻回された断面円形状の線状体51Aから成る。なお、前記線状体51Aは、前記中空シャフト21の剛性を向上させるために金属製の線材であることが望ましい。
【0023】
さらに、図2に示すように、前記補強体50Aの内、前記補強体50Aの先端から基端側に向かって離間した位置であって、且つ、前記補強体50Aの基端から先端側に向かって離間した位置には、小断面積部71が形成されている。
【0024】
前記小断面積部71についてさらに詳述すると、図2に示すように、前記補強体50Aの途中部分(すなわち、カテーテル11の途中部分)に形成された前記小断面積部71の線状体51Aと、小断面積部71以外の部分の線状体51Aとの境界には、テーパ部53が形成されており、小断面積部71以外の線状体51Aの断面積に比べて前記小断面積部71の線状体51Aの断面積は前記補強体50Aの長手方向に沿って減少している。
【0025】
なお、前記小断面積部71においてテーパ部53を複数設けて、小断面積部71の線状体51Aの断面積を段階的に減少させた構成としてもよい。また、小断面積部71の線状体51Aの断面積を減少させる形状は、応力の集中を防ぐ点でテーパ形状が好ましいが、段差形状も採用することができる。
【0026】
かかる構成とすることにより、カテーテル11の途中部分である前記小断面積部71においてカテーテル11を容易に湾曲させることができ、且つ、小断面積部71において著しい剛性の差が生じないので、小断面積部71での応力が集中し難くなり、カテーテル11の破断やキンクが発生することを抑制できるカテーテル11を提供することができる。
【0027】
なお、本実施形態のカテーテル11は、以下の方法で作製することができる。
まず、押し出し成形等によって内層40を形成する。その後、内層40に線状体51Aを捲回させて補強体50Aを形成した後、リューター等によって補強体50Aの外周を削ったり、または、内層40に捲回する前の線状体51Aの任意の箇所を予め研磨し、研磨した線状体51Aを内層40に捲回したりして、小断面積部71を形成する。その後、内層40及び、内層40の外周を覆う、小断面積部71を有する補強体50Aの外周に押し出し成形等によって外層60を形成する。なお、カテーテル11の製造方法は、この方法に限定されることはなく、例えば、線状体51Aは、電解研磨等によって研磨されてもよく、公知の方法を種々採用することができる。
【0028】
〔実施例2〕
実施例2のカテーテル12を、図3に従って説明する。なお、実施例1と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0029】
前記カテーテル12の中空シャフト22における補強体50Bは、前記内層40の外周に巻回された断面円形状の線状体51Bから成る。
【0030】
さらに、前記補強体50Bの内、前記補強体50Bの先端から基端側に向かって離間した位置であって、且つ、前記補強体50Bの基端から先端側に向かって離間した位置には、小断面積部72が形成されている。
【0031】
図3に示すように、前記補強体50Bの途中部分(すなわち、カテーテル12の途中部分)に形成された前記小断面積部72の線状体51Bは、前記小断面積部72以外の部分の線状体51Bに比べて、断面積が前記小断面積部72の中央Cに向かう程、前記補強体50Bの長手方向に沿って徐々に減少している。すなわち、前記小断面積部72においては、線状体51Bが小断面積部72の中央Cに向かって傾斜的に細径化されている。
【0032】
かかる構成とすることにより、小断面積部72の中央部分に、さらに容易に湾曲可能となる部分を形成することができ、また、剛性差もより緩やかになり、小断面積部72での応力の集中を分散させることができるので、カテーテル12の破断やキンクをさらに抑制できる。
【0033】
〔実施例3〕
実施例3のカテーテル13を、図4に従って説明する。なお、上記実施例1,2と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0034】
前記カテーテル13の中空シャフト23においては、補強体50Bの外周に設けられた外層61が、小断面積部72を覆う第1の樹脂層62と、前記小断面積部72の基端から基端側の前記補強体50Bの部分を覆う第2の樹脂層63と、前記小断面積部72の先端から先端側の前記補強体50Bの部分を覆う第3の樹脂層64と、から構成されている。
【0035】
そして、前記第1の樹脂層62を形成する樹脂は、少なくとも前記第2の樹脂層63を形成する樹脂よりも柔軟な材料が使用されている。なお、前記第3の樹脂層64は、前記第1の樹脂層62と同じ柔軟性を有する材料で構成されていてもよいし、前記第1の樹脂層62よりもさらに柔軟な材料で構成されていてもよい。
【0036】
かかる構成にあっては、前記小断面積部72を覆う第1の樹脂層62が前記第2の樹脂層63よりも柔軟であるため、小断面積部72においてカテーテル13をさらに曲げ易くすることができる。
【0037】
ここで、柔軟な樹脂材料とは、例えば、樹脂の硬さを示すショア硬度等を比較した場合、硬度のより低い柔軟な樹脂材料を指すが、これに限定されることはなく、縦弾性係数や曲げ弾性率の低い樹脂も柔軟な樹脂材料である。具体的な例としては、同じポリアミドエラストマーであっても、ハードセグメントよりもソフトセグメントの割合を増加させることによって、柔軟な樹脂材料を形成することができ、このような柔軟な樹脂材料を第1の樹脂層62に適用すればよい。
【0038】
なお、本実施形態のカテーテル13は、以下の方法で作製することができる。
まず、内層40と、内層40の外周を捲回する、小断面積部72を有した補強体50Bとを準備する。また、押し出し成形によって、第1の樹脂層62、第2の樹脂層63及び第3の樹脂層64をそれぞれ予め形成しておき、準備した内層40と補強体50Bとの外周に前記第1の樹脂層62、前記第2の樹脂層63そして、前記第3の樹脂層64を被せる。その後、各樹脂層62,63,64の外周を覆うように、熱収縮チューブを被せて、熱収縮チューブを加熱することによって、各樹脂層62,63,64を、準備した内層40及び補強体50Bの外周に各々密着させて、カテーテル13を作製する。また、この方法に限定されることはなく、公知の種々の方法を採用することができる。
【0039】
〔実施例4〕
実施例4のカテーテル14を、図5に従って説明する。なお、上記実施例1〜3と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0040】
前記カテーテル14の中空シャフト24においては、補強体50Bの外周に設けられた外層65が、小断面積部72を覆う第1の樹脂層62と、前記小断面積部72の基端から基端側の前記補強体50Bの部分を覆う第2の樹脂層63と、前記小断面積部72の先端から先端側の前記補強体50Bの部分を覆う第3の樹脂層66と、から構成されている。
【0041】
そして、前記第1の樹脂層62を形成する樹脂は、前記第2の樹脂層63を形成する樹脂よりも柔軟な材料が使用され、かつ、前記第3の樹脂層66を形成する樹脂よりも柔軟な材料が使用されている。
【0042】
かかる構成にあっては、前記小断面積部72を覆う第1の樹脂層62が、前記第2の樹脂層63及び前記第3の樹脂層66よりも柔軟であるため、前記小断面積部72において前記カテーテル14をより確実に曲げ易くすることができる。
【0043】
〔実施例5〕
実施例5のカテーテル15を、図6に従って説明する。なお、上記実施例1〜4と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
前記カテーテル15の中空シャフト25には、前記小断面積部72が長軸方向に2箇所配置されている。すなわち、前記カテーテル15は、先端側に配置されている先端側小断面積部72aと、後端側に配置されている後端側小断面積部72bとを具備している。そして、前記先端側小断面積部72aにおける断面積と、前記後端側小断面積部72bにおける断面積とが同一となっている。なお、前記先端側小断面積部72aと前記後端側小断面積部72bとの間には、共通の樹脂層が位置することになる場合があるが、当該樹脂層は、先端側小断面積部72aにおける第1の樹脂層62を基準とすると第2の樹脂層63に対応し、後端側小断面積部72bにおける第1の樹脂層62を基準とすると第3の樹脂層66に対応する。
【0045】
かかる構成にあっては、カテーテル15を、小断面積部72が配置されている2箇所において、互いに同じような曲げ易さでより確実に曲げ易くすることができる。なお、本実施形態では、小断面積部72が、カテーテル15の長軸方向に対して2箇所設けられているが、これに限定されることなく、2箇所以上設けられていてもよい。また、前記先端側小断面積部72aの断面積と、前記後端側小断面積部72bの断面積とが、互いに異なっていても構わない。
【0046】
〔実施例6〕
実施例6のカテーテル16を、図7に従って説明する。なお、上記実施例1〜5と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0047】
前記カテーテル16の中空シャフト26における外層67にあっては、小断面積部73に対応する第1の樹脂層68の外径が、中央Cに向かって細径化されている。
【0048】
かかる構成とすることにより、小断面積部73の中央部分に、さらに容易に湾曲可能となる部分を形成することができるため、前記小断面積部73において前記カテーテル16をより確実に曲げ易くすることができる。
【0049】
〔実施例7〕
実施例7のカテーテル17を、図8に従って説明する。なお、上記実施例1〜6と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0050】
前記カテーテル17の中空シャフト27においては、内層40を被覆する補強体50Cが、第1線状体51Cと第2線状体51Dの2本の金属素線を編み込んだ網状体で構成されている。
【0051】
そして、前記補強体50Cの途中部分には、前記第1線状体51Cと前記第2線状体51Dの各断面積が、他の部位の断面積よりも減少している小断面積部74が形成されている。
【0052】
上述のように、網状体の補強体50Cを有するカテーテル17とすることにより、カテーテル17の強度が向上し、潰れにくい利点を有しつつ、前記小断面積部74においてカテーテル17を容易に湾曲させることができ、また、前記小断面積部74においては応力が集中せず、結果としてカテーテル17の破断やキンクが発生することを抑制することができる。
〔実施例8〕
実施例8のカテーテル18を、図9に従って説明する。なお、上記実施例1〜7と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0053】
前記カテーテル18の中空シャフト28においては、補強体50Cの外周に設けられた外層61が、小断面積部74を覆う第1の樹脂層62と、前記小断面積部74の基端から基端側の前記補強体50Cの部分を覆う第2の樹脂層63と、前記小断面積部74の先端から先端側の前記補強体50Cの部分を覆う第3の樹脂層64と、から構成されている。
【0054】
そして、前記第1の樹脂層62を形成する樹脂は、少なくとも前記第2の樹脂層63を形成する樹脂よりも柔軟な材料が使用されている。
【0055】
かかる構成にあっては、編組体からなる補強体50Cを有する場合にも、前記小断面積部74を覆う第1の樹脂層62が、前記第2の樹脂層63よりも柔軟であるため、前記小断面積部74において前記カテーテル18をより確実に曲げ易くすることができる。
【0056】
なお、本実施形態において、前記第3の樹脂層64は、前記第1の樹脂層62と同じ柔軟性を有する材料で構成されていてもよいし、前記第1の樹脂層62よりもさらに柔軟な材料で構成されていてもよい。勿論、実施例4と同様に、前記第1の樹脂層62を、前記第2の樹脂層63よりも柔軟な材料で形成し、かつ、第3の樹脂層66よりも柔軟な材料で形成してもよい。
【0057】
本発明は、上記した実施例1〜8に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変形は可能である。
【0058】
例えば、補強体50A又は50Bは、1本の線状体51A,51Bで構成されている必要はなく、2本以上の多条コイル体で構成されていても構わない。また、線状体が複数の素線で形成された撚線であってもよい。
【0059】
また、前記線状体51A,51B,51C,51Dの断面形状は、実施例1〜8に示されるような円形状に限定されず、楕円形状や平板形状のような多角形状等であっても勿論よい。
【0060】
また、実施例6に示されるような、小断面積部73に対応する第1の樹脂層68の外径が中央Cに向かって細径化されている構成は、他の実施形態に適用しても勿論よい。
【符号の説明】
【0061】
11,12,13,14,15、16,17,18 カテーテル
40 内層
50A,50B,50C 補強体
51A,51B,51C,51D 線状体
60,61,65,67 外層
62,68 第1の樹脂層
63 第2の樹脂層
64,66 第3の樹脂層
71,72,73,74 小断面積部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9