(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667036
(24)【登録日】2020年2月26日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G02B7/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-133199(P2019-133199)
(22)【出願日】2019年7月19日
(65)【公開番号】特開2020-27291(P2020-27291A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年8月14日
(31)【優先権主張番号】201821295777.5
(32)【優先日】2018年8月10日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515311349
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】韋伝冬
【審査官】
越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−145505(JP,A)
【文献】
特開昭58−195811(JP,A)
【文献】
特開2004−191948(JP,A)
【文献】
実開平02−001710(JP,U)
【文献】
特開2015−068842(JP,A)
【文献】
特開2008−070484(JP,A)
【文献】
実開平03−112712(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02−7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、前記レンズに係合して接続される受座とを備え、前記レンズが鏡筒を備え、前記鏡筒が、光通過孔が開設された第1筒壁と、前記第1筒壁から折り曲げて延伸する第2筒壁とを備えるレンズモジュールであって、
前記受座は、前記第2筒壁を取り囲んでいる囲壁を備え、
前記レンズは、前記受座に取り付けられ、
前記レンズと前記囲壁によって接着剤収納溝を形成し、
前記第2筒壁と前記囲壁は、前記接着剤収納溝を介して接着され、
前記第2筒壁は、前記第1筒壁に接続される外面と、前記外面から光軸より離れる方向へ折り曲げて延伸する第1外側表面と、前記第1外側表面から光軸より離れる方向へ傾斜して延伸する第2外側表面と、前記第2外側表面から前記第1筒壁より離れる方向へ延伸する第3外側表面と、を備え、
前記第3外側表面は、前記囲壁に対向して設置され、
前記鏡筒は、前記第3外側表面から光軸の方向へ凹むことによって、接着剤塗布溝が形成され、
前記接着剤塗布溝は、前記第2筒壁の周方向に沿って設置され、
前記接着剤塗布溝と前記囲壁によって、前記接着剤収納溝を形成することを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記接着剤塗布溝は、連続なリング状構造とされることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記受座は、前記囲壁に固定接続されるベースと、前記ベースに開設された透過孔とをさらに備え、
前記囲壁は、前記ベースから離れる第1表面と、前記第1表面から前記鏡筒の方向へ傾斜して延伸する第2表面と、前記第2表面から前記ベースへ延伸する第3表面とを備え、
前記接着剤塗布溝と前記第2表面によって、前記接着剤収納溝を形成することを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記第3表面は、前記第3外側表面と対向して間隔をあけて設置されることを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記第3表面の光軸への射影は、前記接着剤塗布溝の光軸への射影と重ならないことを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記囲壁は、円環状とされ、
前記透過孔の横断面は、矩形とされることを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズの技術分野に関し、特に一種のレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、電子機器は絶えずにスマート化へ発展しつつある。デジタルカメラの以外、タブレットPC、携帯電話などの携帯型の電子機器にもレンズモジュールが配置されている。人々の使用ニーズを満たすために、レンズモジュールの製造加工および組付けの利便性に対してより高い要求が求められている。
【0003】
従来技術におけるレンズモジュールは、鏡筒と、前記鏡筒を収納するための受座とを備え、前記鏡筒の外壁には雄ねじが設けられ、前記受座の内壁には雌ねじが設けられ、前記鏡筒は、前記雄ねじと前記雌ねじによって固定接続を実現する。
【0004】
ところが、ねじで固定されるレンズモジュールは、比較的大きなスペースを占めることが多いので、電子製品のスクリーン対ボディー比率を下げてしまい、そして、ねじの製造は比較的煩雑で、比較的小さい体積を有するレンズモジュールにねじを設置することは比較的複雑である。加工の精度が高く要求されるため、加工の難しさは自然と高くなってしまう。
【0005】
このため、上記欠陥を解消するために、新規のレンズモジュールを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の技術問題を解決し、スペース占有率が小さく且つ製造難易度が低いレンズモジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は一種のレンズモジュールを提供し、レンズと、前記レンズに係合して接続される受座とを備え、前記レンズが鏡筒を備え、前記鏡筒が、光通過孔が開設された第1筒壁と、前記第1筒壁から折り曲げて延伸する第2筒壁とを備えるレンズモジュールであって、前記受座は、前記第2筒壁を取り囲んでいる囲壁を備え、前記レンズは、前記受座に取り付けられ、前記レンズと前記囲壁によって接着剤収納溝を形成し、前記第2筒壁と前記囲壁は、前記接着剤収納溝を介して接着される。
【0008】
好ましくは、前記第2筒壁は、前記第1筒壁に接続される外面と、前記外面から光軸より離れる方向へ折り曲げて延伸する第1外側表面と、前記第1外側表面から光軸より離れる方向へ傾斜して延伸する第2外側表面と、前記第2外側表面から前記第1筒壁より離れる方向へ延伸する第3外側表面と、を備え、前記第3外側表面は、前記囲壁に対向して設置され、前記第2外側表面と前記囲壁によって、前記接着剤収納溝を形成する。
【0009】
好ましくは、前記第2筒壁は、前記第1筒壁に接続される外面と、前記外面から光軸より離れる方向へ折り曲げて延伸する第1外側表面と、前記第1外側表面から光軸より離れる方向へ傾斜して延伸する第2外側表面と、前記第2外側表面から前記第1筒壁より離れる方向へ延伸する第3外側表面と、を備え、前記第3外側表面は、前記囲壁に対向して設置され、前記鏡筒は、前記第3外側表面から光軸の方向へ凹むことによって、接着剤塗布溝が形成され、前記接着剤塗布溝は、前記第2筒壁の周方向に沿って設置され、前記接着剤塗布溝と前記囲壁によって、前記接着剤収納溝を形成する。
【0010】
好ましくは、前記接着剤塗布溝は、連続なリング状構造とされる。
【0011】
好ましくは、前記受座は、前記囲壁に固定接続されるベースと、前記ベースに開設された透過孔とをさらに備え、前記囲壁は、前記ベースから離れる第1表面と、前記第1表面から前記鏡筒の方向へ傾斜して延伸する第2表面と、前記第2表面から前記ベースへ延伸する第3表面とを備え、前記接着剤塗布溝と前記第2表面によって、前記接着剤収納溝を形成する。
【0012】
好ましくは、前記第3表面は、前記第3外側表面と対向して間隔をあけて設置される。
【0013】
好ましくは、前記第3表面の光軸への射影は、前記接着剤塗布溝の光軸への射影と重ならない。
【0014】
好ましくは、前記囲壁は円環状とされ、前記透過孔の横断面は矩形とされる。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べて、本発明に係るレンズモジュールは、ねじレス設計を採用し、即ち、前記レンズと前記囲壁との間に前記接着剤収納溝が設置されることと、前記接着剤収納溝内に接着剤を塗布することによって、前記レンズと前記囲壁の固定接続を達成し、前記レンズモジュールの構造を簡素化させて、電子製品のスクリーン対ボディー比率を上げており、また、従来技術におけるねじによる接続に代わって、接着を採用することによって、前記レンズモジュールの加工難易度を下げて、生産性を向上した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術方案をより明確に説明するために、以下で実施例の説明に使用される図面について簡単に説明する。下記の図面は本発明の幾つかの実施例に過ぎないが、進歩性のある労働をせずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることは、当業者にとっては自明なことである。
【
図1】本発明に係るレンズモジュールの第1実施例の全体の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示すレンズモジュールのA-A線に沿った断面図である。
【
図3】本発明に係るレンズモジュールの第2実施例の断面図である。
【
図4】
図3に示すレンズモジュールのB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術方案を明確かつ完全に説明する。当然ながら、説明した実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎなく、すべての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて進歩性のある労働をしない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0018】
(第1実施例)
図1及び
図2に示すように、レンズモジュール100は、レンズ11と、レンズ11に係合して接続される受座13とを備える。具体的には、レンズ11は受座13に取り付けられる。
【0019】
レンズ11は、鏡筒111と、鏡筒111内に設置されるレンズ群113とを備え、鏡筒111は、光通過孔101が開設された第1筒壁1111と、第1筒壁1111から折り曲げて延伸する第2筒壁1113とを備え、第1筒壁1111と第2筒壁1113は係り合ってレンズ群113を収納するために用いられる。
【0020】
第2筒壁1113は、第1筒壁1111に接続される外面1115と、外面1115から光軸より離れる方向へ折り曲げて延伸する第1外側表面1116と、第1外側表面1116から光軸より離れる方向へ傾斜して延伸する第2外側表面1117と、第2外側表面1117から第1筒壁1111より離れる方向へ延伸する第3外側表面1118と、を備える。
【0021】
受座13は、第2筒壁1113を取り囲んでいる囲壁131と、囲壁131に固定接続されるベース133と、ベース133に開設された透過孔135とを備える。
【0022】
囲壁131は、第2筒壁1113の形状に合わせて形成され、本実施例において、囲壁131は円環状とされ、且つ、囲壁131とレンズ11によって接着剤収納溝を形成し、囲壁131とレンズ11は、前記接着剤収納溝を介して接着される。
【0023】
具体的には、囲壁131は、第3外側表面1118に対向して設置され、前記接着剤収納溝は、囲壁131と第2外側表面1117によって取り囲まれて形成される。
【0024】
透過孔135の横断面積は、囲壁131で取り囲まれたパターンの横断面積より小さくなり、且つ、透過孔135の中軸線および囲壁131の中軸線は、レンズ11の光軸と同一の直線に位置され、レンズ11が受座13に取り付けられた際に、レンズ11における像側面の周縁は、ベース133に当接されている。
【0025】
本実施例において、透過孔135の横断面は、矩形とされる。好ましくは、前記透過孔の四隅は、丸角とされる。
【0026】
(第2実施例)
図3及び
図4に示すように、本実施例に係るレンズモジュールの構造は、第1実施例に係るレンズモジュールの構造とほぼ同じであり、異なるのは、鏡筒211及び囲壁231の構造にある。
【0027】
本実施例において、前記第2筒壁は、前記第1筒壁に接続される外面と、前記外面から光軸より離れる方向へ折り曲げて延伸する第1外側表面2116と、第1外側表面2116から光軸より離れる方向へ傾斜して延伸する第2外側表面2117と、第2外側表面2117から前記第1筒壁より離れる方向へ延伸する第3外側表面2118と、を備え、そのうち、第3外側表面2118は、囲壁231に対向して設置され、鏡筒211は、第3外側表面2118から光軸の方向へ凹むことによって、接着剤塗布溝2119が形成される。
【0028】
具体的には、接着剤塗布溝2119は、前記第2筒壁の周方向に沿って設置され、且つ、接着剤塗布溝2119と囲壁231によって前記接着剤収納溝を形成する。
【0029】
好ましくは、接着剤塗布溝2119は、連続なリング状構造とされる。
【0030】
これに応じて、囲壁231は、前記ベースから離れる第1表面2311と、第1表面2311から鏡筒211の方向へ傾斜して延伸する第2表面2313と、第2表面2313から前記ベースへ延伸する第3表面2315とを備え、第3表面2315は、第3外側表面2118と対向して間隔をあけて設置され、具体的には、第3表面2315の光軸への射影は、接着剤塗布溝2119の光軸への射影と重ならない。
【0031】
具体的には、第2表面2313と接着剤塗布溝2119によって、前記接着剤収納溝が取り囲まれて形成され、前記接着剤収納溝を設置するとともに、前記接着剤収納溝内に接着剤を塗布することによって、鏡筒211と囲壁231の固定接続を達成し、接着剤塗布の塗布量を増加して接着の強度を増やす。
【0032】
従来技術に比べて、本発明に係るレンズモジュールは、ねじレス設計を採用し、即ち、前記レンズと前記囲壁との間に前記接着剤収納溝が設置されることと、前記接着剤収納溝内に接着剤を塗布することによって、前記レンズと前記囲壁の固定接続を達成し、前記レンズモジュールの構造を簡素化させて、電子製品のスクリーン対ボディー比率を上げており、また、従来技術におけるねじによる接続に代わって、接着を採用することによって、前記レンズモジュールの加工難易度を下げて、生産性を向上した。
【0033】
以上に説明されたのは、本発明の実施例に過ぎなく、当業者にとっては、本発明の構想から逸脱しない限り、さらに改良することができ、これらの改良も本発明の保護範囲に含まれると理解できるはずである。