(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
包装袋内に収まりが悪い被包装物を投入するには被包装物を包装袋内に押し込むための押し込み装置を備えた包装装置
が必要となる。特許文献1は、撓み易く収まりの悪い複数の個包装袋を外包装袋に充填する場合に、押し込み装置を使って余裕の少ない外包装袋に容易、かつ、適正に充填することを目的とする包装装置の被包装物充填装置である。以下、特許文献1の被包装物充填装置を説明する。
【0003】
前記特許文献1は、
図9に示すように、ロータリー式包装
装置Mの外周部に第1の支持ポール1が立設し、この第1の支持ポール1の支持杆2に、ワニ口ホッパー3が、円形ロータ4の回転軌道上に、水平に取り付けられている。ワニ口ホッパー3は、その下部両側開口縁には、金属製板材などの剛体からなるシャベル状の可動案内板5が軸支され、この可動案内板5は可動リンクを介してエアシリンダ(図示せず)により左右方向に開閉する。
【0004】
前記ロータリー式包装
装置Mの円形ロータ4の上位に、アーム6が径外方向に水平に伸び、円形ロータ4の間欠回転とは関係なく保持されている。このアーム6の先端に、挟み付け機構7が備えられている。前記挟み付け機構7は、相対向して取り付けられた一対の長方形状の折り曲げられた挟み板8を備え、この挟み板8の開閉はアーム6に沿って設けられた作動ロッド9の押し引きによってなされるように構成されている。
【0005】
個包装袋10を外包装袋11内に押し込む押し込み装置12は、第2の支持ポール13の上端に水平に取り付けられたアーム14と、このアーム14の先端に鉛直に取り付けたエアシリンダ15と、このエアシリンダ15のロッドの先端に取り付け
られた鉛直下向きのフォーク16とを備えている。フォーク16は、直方体の基台17の両側に、弾発力のある合成樹脂製の補助板18を張り付けて構成されており、この補助板18により、撓み易い個包装袋10の上部が折れ曲がることなく、外包装袋11内に押し込むことができる。
【0006】
次に、前記被包装物充填装置19の動作について説明する。
図9に示す被包装物充填セクションへ、前記ロータリー式包装
装置Mのクランプ20に挟持された懸垂状態の外包装袋11が間欠搬送されてくると、第1の支持ポール1の中軸22が下降して、ワニ口ホッパー3が待機位置から下動して、その下部を外包装袋11の半開した袋口に挿入
し、可動案内板5が開いて外包装袋11の袋口を全開する。なお、押し込み装置12のエアシリンダ15及びフォーク16は、退避している。
【0007】
前記のようにワニ口ホッパー3により全開した外包装袋11の袋口に、2袋の個包装袋10が前後に重ね合わせた状態で、被包装物投入装置(図示せず)や作業者により挿入される。この場合、各個包装袋10は、上部域がワニ口ホッパー3の上位に露出した状態で仮保持される。
【0008】
各個包装袋10がワニ口ホッパー3に仮保持されると、作動ロッド9を作動して、挟み付け機構7の挟み板8が閉じて、ワニ口ホッパー3の上位に露出している各個包装袋10の上部域を相互に接近させるように挟み付ける。挟み付け機構7が作動している間に、第2の支持ポール13の中軸21が回転することによりアーム14が回転し、押し込み装置12のフォーク16をワニ口ホッパー3の上部に移動する。押し込み装置12のエアシリンダ15によりフォーク16が下動して、その補助板18で各個包装袋10における上部域上縁部およびその直下近傍を挟む。ここで、挟み付け機構7の挟み板8が開いてフォーク16の下動を許容する。
【0009】
フォーク16の下動により、押し込み装置12の基台17の下部を外包装袋11内まで挿入すると、各個包装袋10は押し下げられて、外包装袋11内に押し込まれて収容される。収容完了後、エアシリンダ15によりフォーク16が上動して挟み付け機構7のアーム6の上位まで上昇すると共に、アーム14が退避する。さらに、ワニ口ホッパー3が上動して待機位置に復帰する。2袋の個包装袋10を収容した外包装袋11は、次のセクションに搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記特許文献1では、被包装物充填セクションで、収まりの悪い被包装物(個包装袋10)を包装袋(外包装袋11)に収容する際、ワニ口ホッパー3に個包装袋10を投入後、すぐに押し込み装置12を使って押し込む動作を行うが、投入に時間がかかると押し込みに時間がとれなくなり、また、投入と押し込みに時間をかけると、包装能力を上げることが困難となるという課題を有していた。
【0012】
また、収まりの悪い包装物(個包装袋10)を投入コンベアを使ってワニ口ホッパー3に投入する場合、長い投入コンベアの先端が、被包装物充填セクションのワニ口ホッパー3に直近するような配置にする必要があるため、包装装置のレイアウトが限定されてしまうという課題もあった。さらに、計量機による計量により重量誤差があった場合や異物検知装置で異物を検知した場合に、被包装物を一度、包装装置側に落とし
た後、包装
装置側で異常な被包装物を排除処理する必要があった。即ち、包装装置側に移行する前に不良品の被包装物を早めに排除できれば、包装の効率を上げることができる。
【0013】
以上のようなことから、本発明は、収まりの悪い被包装物であっても包装能力を上げることが可能で、しかも、レイアウトの自由度が高く、不良品の被包装物を投入前段階で排除できる包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の被包装物充填装置は、包装装置に吊り下げられて間欠移動する包装袋に、間欠回転しながら被包装物を充填する被包装物充填装置であって、第1支持ポール90の回転支軸91に正三角形の取付板93が取り付けられ、前記取付板93の各辺の両端部に軸受94が嵌め込まれ、前記軸受94内に昇降軸95が昇降可能に嵌め込まれ、前記昇降軸95の下端部に、本体が下方に狭い函形をし、前記本体の下部両側開口縁に可動案内板104が軸支されたワニ口ホッパー56が取り付けられ、前記ワニ口ホッパー56は、前記昇降軸95に外嵌した圧縮バネ98により上方に常時、引き揚げられ、前記本体の下部両側開口縁の可動案内板104はバネ106により常時、下端が閉じるように付勢され、前記第1支持ポール90の上部に、前記昇降軸95に外嵌する圧縮バネ98の付勢力に抗して前記昇降軸95を押し下げて、ワニ口ホッパー56の下部を包装袋52の開口した袋口内に挿入するための押し下げ機構112が設けられ、ワニ口ホッパー56内の被包装物を包装袋内に押し込む押し込み機構62は、クランク機構により第2支持ポール117内の中軸118が昇降動し、前記中軸118にアーム119を介して押し込みロッド120が取り付けられ、前記クランク機構に前記中軸118に揺動運動を伝達したり遮断したりするクラッチ機構を備え、不良品の被包装物54を系外に排出する押し込み機構126は、前記第1支持ポール90に
取り付けられた取付ブラケット129に支柱130が立設し、この支柱130にアーム131が上下方向にスライド可能に設けられ、前記アーム131の先端に、排出用の押し込みロッド132が下方に垂下して取り付けられている、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明
の包装装置は、
包装装置が投入コンベア61を備えたロータリー式包装装置Mであって、前記ロータリー式包装装置Mは、間欠回転する円形ロータ50の周縁に2本を一体とするクランプアーム51が支持され、各クランプアーム51は、それぞれの先端に包装袋52の両側縁部を挟持するクランプ53を備え、前記投入コンベア61は、上流側のフラットから傾斜部を経由して被包装物54を下流側の先端部分からシューター87を介してワニ口ホッパー56に投入するように構成され、前記シューター87の下部に、前記下部の開口を開閉するシャッター88が設けられ、前記ロータリー式包装装置Mの被包装物充填セクション(4)では、前記投入コンベア61が前記円形ロータ50に近接し、投入コンベア61と円形ロータ50の間に、被包装物充填装置55が配置されている、ことを特徴とする。
【0016】
以上のような構成により、本発明は、複数の
ワニ口ホッパーが投入セクションと押し込みセクションとの間を
間欠回転して被包装物の充填動作を行う。前記充填動作は、被包装物の投入動作と被包装物の押し込み動作を分離して別々に行うので、被包装物充填セクションでは押し込み動作の時間だけですみ、被包装物の投入時間分だけ処理能力が向上する。
【0017】
また、本発明は、被包装物充填装置を投入コンベアと包装装置の間に配置することにより、投入コンベアと包装装置の連結可能な位置の選択が増え、包装装置全体のレイアウトがしやすくなる。
【0018】
さらに、本発明は、被包装物充填装置で重量不足や異物混入の不良品を排出できるので、包装
装置での排出処理をなくすことができ、包装
装置側での排出処理に比べて不良品の排出処理が容易になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の
被包装物充填装置は、包装袋への収まりが悪い被包装物であっても、被包装物の投入動作と押し込み動作を分離することにより、包装能力を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の包装
装置は、投入コンベアと包装
装置の連結可能な位置の選択が増え、包装
装置全体のレイアウトがしやすくなる。さらに、被包装物充填装置で重量不足や異物混入の不良品を排出でき、不良品の排出処理が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1)
図1は本発明の包装装置の平面図、
図2は同包装装置の正面図である。これらの
図1及び
図2を用いて包装装置の構成について説明する。包装装置は給袋式のロータリー式包装
装置Mを使用しているので、先ず、このロータリー式包装
装置Mについて説明する。ただし、本発明の包装装置はロータリー式包装
装置に限定されるものではなく、直線式の包装
装置であってもよい。また、前記背景技術に記載した従来技術と同様に、外包装袋11に2個の個包装袋10を包装する例を図示するが、包装の対象はこのような個包装袋10の場合に限定されるものではなく、包装袋内に収まりの悪い被包装物であればよく、以下では外包装袋11、個包装袋10ではなく包装袋、被包装物として説明する。
【0023】
実施例1のロータリー式包装
装置Mは、2連式の包装
装置であって、円形ロータ50の周縁に2本を一体とする2組のクランプアーム51が9組、支持され、各クランプアーム51は、それぞれの先端に包装袋52の両側縁部を挟持するクランプ53を備えている。図示していない駆動モータの動力を、間欠回転伝達機構を介して円形ロータ50の中心軸に伝えると、円形ロータ50は9組のクランプアーム51の円周方向間隔に相当する40度のピッチで反時計まわり(矢印R1)に間欠回転する。なお、この実施例1では2連式のロータリー式包装
装置Mで説明するが1連のロータリー式包装装置Mであってもよい。
【0024】
ロータリー式包装
装置Mは、円形ロータ50の外周部
が包装作業を行う9つのセクションに分け
られており、空の包装袋52を供給する包装袋供給セクション(1)、包装袋52に賞味期限等を印字する印字セクション(2)、前記印字セクション(2)での印字を検査すると共に、包装袋52の袋口を開口する印字検査・袋口開セクション(3)、収まりの悪い被包装物54を被包装物充填装置55の複数の充填ホッパー(実施例1ではワニ口ホッパーを使用するので、以下では図面の符号を「56」とするワニ口ホッパーとして説明する。)56内に投入、保持し、ワニ口ホッパー56内の被包装物54を包装袋52内に押し込む被包装物充填セクション(4)、包装袋52の底部に振動を与えて被包装物54を完全に包装袋52の底部に落とし込む振動セクション(5)、被包装物54の噛み込み検知と包装袋52内の空気を脱気する噛み込検知・脱気セクション(7)、包装袋52の袋口をシールするシールセクション(8)、包装袋52のシール部を冷却すると共に、包装が完了した包装袋52を搬出する冷却・搬出セクション(9)を備えている。なお、(6)は予備セクションである。
【0025】
包装袋供給セクション(1)には、袋供給装置57に多数の包装袋52が斜めに傾斜して2列に載置されており、載置されている多数の包装袋52は、紐ベルトで先端側に搬送され、先端部において、吸盤で上から順に1枚ずつ吸着されて前記クランプ53に供給され、その両側縁部をクランプ53で挟持して吊り下げる。なお、袋供給装置57は従来から知られている袋箱であってもよい。印字セクション(2)には、2台の印字装置(サーマルプリンタ)58が配置されており、例えば、賞味期限や製造年月日等が包装袋52の表面適所に印字される。印字検査・袋口開セクション(3)には、2枚の包装袋52を同時に開口できる袋口開装置59と、2台の印字検査用カメラ60が配置され、印字検査用カメラ60で包装袋52の印字を検査し、袋口開装置59の吸盤により包装袋52の前後面を吸引して袋口を半開きに開口する。
【0026】
被包装物充填セクション(4)では、投入コンベア61が円形ロータ50に近接し、投入コンベア61と円形ロータ50の間に、被包装物充填装置55が配置されている。前記被包装物充填装置55は、2体を一組とする正三角形に配置されたワニ口ホッパー56に被包装物54が投入コンベア61から投入され、ワニ口ホッパー56が被包装物充填セクション(4)まで回転して、被包装物54が押し込み機構62でクランプ53に挟持された包装袋52に押し込まれる。前記投入コンベア61及び被包装物充填装置55の詳細は後述する。前記のように、被包装物充填装置55を投入コンベア61と円形ロータ50の間に配置することにより、
図1に示すように投入コンベア61とロータリー式包装
装置Mの連結可能な位置の選択が増え、包装装置全体のレイアウトがしやすくなるというメリットがある。
【0027】
例えば、
図1及び
図5に示すように、ワニ口ホッパー56が、120度の間隔で配置され、投入コンベア61のセンターラインS1と、被包装物充填セクション(4)に停止するワニ口ホッパー56のセンターラインS2の角度が120度である。前記センターラインS2は、投入コンベア61のセンターラインS1の直角に交差する垂線に対して30度ロータリー式包装
装置Mの中心点P側に傾いている。これに対して、9セクションのロータリー式包装
装置Mにおける被包装物充填セクション(4)のセンターラインS3は、ロータリー式包装
装置Mの中心点Pを通る垂線Vに対して30度傾いている。
【0028】
従がって、
図1に示すように、被包装物充填セクション(4)に停止するワニ口ホッパー56のセンターラインS2と、被包装物充填セクション(4)のセンターラインS3とが重なり合い、ワニ口ホッパー56と被包装物充填セクション(4)とを対応させることができる。しかも、投入コンベア61のセンターラインS1とロータリー式包装
装置Mの中心点Pを通る水平な線Hとは平行になり、取りも直さず包装袋供給セクション(1)のセンターラインと平行になると共に、袋供給装置57のセンターラインと平行になり、
図1に示すような収まりの良い配置にすることができる。
【0029】
その他にも、後述する系外排出ポジション(C)のワニ口ホッパー56に接するように投入コンベア61を配置して投入ポジション(A)とし、
図5に示す投入ポジション(A)を系外排出ポジション(C)としてもよい。このようなレイアウトであれば、工場の角部に包装装置を設置することができる。
【0030】
振動セクション(5)では、クランプ53に挟持された包装袋52の下部に、振動装置63の振動板が配置され、この振動板による底部からの振動により、被包装物54を完全に包装袋52の底部に落とし込む。噛み込検知・脱気セクション(7)には、脱気装置64が備えられ、包装袋52の前後面に対向する厚手のスポンジ板体からなる一対の可動ブロックが、包装袋52の前後面に接近・離反可能に設置されている。この一対の可動ブロックを相互に接近させて、包装袋52を挟圧することで、包装袋52内の空気を排除して脱気する。なお、この噛み込検知・脱気セクション(7)には、前記のように噛み込み検出装置65が設けられており、噛み込みが検出されると、次のシールセクション(8)で不良袋系外排出シューター66から搬出される。
【0031】
シールセクション(8)では、シール装置67が設けられており、前記噛み込検知・脱気セクション(7)で空気が抜かれて平たくなった包装袋52の開口端をシーラでシールする。なお、前記するように、このシールセクション(8)では、不良包装袋を排出する不良袋系外排出シューター66がシール装置67の下部に設けられている。また、冷却・搬出セクション(9)は、加熱シールにより温度の上がったシール部を冷却する冷却装置68が設けられており、この冷却装置68の下部に正常にシールされた包装袋52を搬出する搬出コンベア69が設けられ、さらに前記搬出コンベア69の後端部には、整列コンベア70が配置されている。前記冷却装置68で包装袋52のシール部を冷却した後、クランプ53による包装袋52の両側縁部の挟持を解除して搬出コンベア69上に落下させ、搬出コンベア69で搬出し、整列コンベア70上に乗り移らせて梱包される。以上の包装作業は制御装置71のコンピュータによって制御されている。
【0032】
次に、被包装物充填セクション(4)の投入コンベア61と被包装物充填装置55について詳細に説明する。投入コンベア61は、
図2に示すように、フレーム80上に、多数の合成樹脂板を連結したコンベアベルト81が駆動ローラ82と複数の従動ローラ83とにより全長に亘って張り渡されている。この投入コンベア61は、コンベアベルト81上に2列の被包装物54を載置するために、コンベアベルト81の上面、幅方向に2枚のクリート84が取り付けられ、長手方向上部中央に仕切り壁85が設けられている。なお、この投入コンベア61は、上流側のフラットな部分で作業員86が被包装物54の載置作業を行い、傾斜部を経由して被包装物54を下流側の先端部分からシューター87を介してワニ口ホッパー56に投入するように構成されている。
【0033】
前記のように、この投入コンベア61の先端部には、被包装物54を被包装物充填装置55のワニ口ホッパー56に投入するためのシュ―ター87が取り付けられている。このシュ―ター87は、台形柱状の函体であって、上側部が前記投入コンベア61の先端部と連通し、下方がワニ口ホッパー56側に傾斜して狭くなって下部が開口している。前記シューター87の下部に、前記下部の開口を開閉するシャッター88が設けられている。このシャッター88は、投入コンベア61の先端下部に設けられたエアシリンダ89により前記シューター87下部開口を開閉し、被包装物54を遮断したり、通過させてワニ口ホッパー56側への被包装物54の投入タイミングを調整する。
【0034】
次に、被包装物充填装置55について説明する。被包装物充填装置55は、投入コンベア61とロータリー式包装
装置Mの間に設けられて、シューター87からワニ口ホッパー56内に投入された被包装物54を保持したまま回転して包装袋52に押し込む作用をはたす。前記被包装物充填装置55は、ロータリー式包装
装置Mの外周部に、メインの第1支持ポール90が立設し、この第1支持ポール90の回転支軸91に、
図5に示すように、2体を一組とするワニ口ホッパー56が正三角形状に取り付けられている。
図5の(A)のポジションは、シューター87から被包装物54をワニ口ホッパー56内に投入する投入ポジションである。(B)のポジションはワニ口ホッパー56に投入された被包装物54を包装袋52内に押し込む、押し込みポジションである。(C)のポジションは重量不足や異物が検知された不良品の被包装物54を排出シューター92を使って系外に排出する系外排出ポジションである。前記複数のワニ口ホッパー56は第1支持ポール90を中心にして前記3つのポジションを回転しながら投入・押し込み・排出作業を行う。
【0035】
前記第1支持ポール90の回転支軸91には、面取りされた正三角形の取付板93が取り付けられ、この取付板93の各辺の両端部に貫通孔が穿設され、この各貫通孔に円筒形の軸受94が垂直に嵌め込まれている。これらの軸受94内に円柱状の昇降軸95が昇降可能に嵌め込まれ、下部は前記取付板93から下方に突出している。前記一対の昇降軸95の上端部と下端部間は連結板96、97で連結されている。昇降軸95に圧縮バネ98が外嵌して昇降軸95が上方に付勢され、昇降軸95の下端に取り付けられたワニ口ホッパー56を上方に常時、引き揚げている。なお、下端の連結板97は、圧縮バネ98により昇降軸95が抜けないようにストッパーの役割をはたしている。
【0036】
前記昇降軸95の下端部に取り付けられた取付金具99に、ワニ口ホッパー56の背面に溶接されたブラケット100がクランプレバー101により取り付けられている。ワニ口ホッパー56の本体は、ステンレスにより製作されており、下方が狭くなった略四角錐台の函形をしている。この実施例ではワニ口ホッパー56の本体の上部に、後述する押し込み機構62の当板102が入り込みやすいように上が広く下方が狭まっている補助ホッパー103が嵌め込まれている。なお、ワニ口ホッパー56は、
図6、
図7に示すように、その下部両側開口縁に、金属製板材などの剛体からなるシャベル状の可動案内板104が軸支され、この両側の可動案内板104は上方に折れ曲がるリンク機構105で連結されている。このリンク機構105にはバネ106が掛け渡され、常時は可動案内板104の下端が閉じるように付勢されている。
【0037】
さらに、前記リンク機構105の端部には両可動案内板104、104を開閉するための合成樹脂製の開閉突起107が取り付けられており、この開閉突起107を
図4に示すエアシリンダ108のロッドに取り付けられたL字形の金具109で突き上げることにより両可動案内板104、104を開くことができる。前記エアシリンダ108は、第1支持ポール90に固定金具110により取り付けられている。また、
図7に示すように、ワニ口ホッパー56の下部、前後開口縁には、弾発力のある合成樹脂性の薄板体からなる固定案内板111が取り付けられている。
【0038】
第1支持ポール90の上部には、ワニ口ホッパー56を押し下げるための押し下げ機構112が設けられている。即ち、押し下げ機構112は、押し込みポジション(B)に位置している昇降軸95を押し下げて、ワニ口ホッパー56の下部を包装袋52の開口した袋口内に挿入するために、ワニ口ホッパー56を圧縮バネ98の付勢力に抗して押し下げる。
図6に示すように、押し下げ機構112は、第1支持ポール90の中軸113の上部に、水平に伸びる支持ロッド114が水平に取り付けられ、この支持ロッド114の先端に、前記上部の連結板96と平行に押え板115がT字形に取り付けられ、この押え板115の両端に連結板96を押える押圧突起116が取り付けられている。
【0039】
押し込みポジション(B)には、押し込み機構62を配備している。押し込み機構62は、
図3に示すように、第2支持ポール117の中軸118の上端に水平に取り付けられたアーム119の先端に鉛直下向に押し込みロッド120が備えられている。前記中軸118は、図示しないクランク機構により昇降動して押し込みロッド120が昇降動する。なお、前記クランク機構は前記中軸118に揺動運動を伝達したり遮断したりするクラッチ機構を備え、後述するように重量不足等で包装袋52内に被包装物を押し込まない場合は揺動運動を遮断する。
【0040】
図8に示すように、前記押し込みロッド120は、長いロッド121の下端に、門型の取付台122が取り付けられ、この取付台122に軸123が軸支し、この軸123に2枚の合成樹脂製の当板102が取り付けられ、前記取付台122の上面がカバー124で覆われている。前記軸123の中央部に巻回したねじりばね125により、前記当板102が下方に拡開するように構成されている。2枚の当板102は被包装物54を一度に挟み込める寸法とし、この下方に開いた当板102がワニ口ホッパー56の補助ホッパー103に入り込むと、補助ホッパー103の内壁に沿って当板102が閉じながらワニ口ホッパー56内を押し進むと共に、包装袋52内に入り込んで被包装物54を包装袋52内に押し込むことができる。
【0041】
系外排出ポジション(C)にも、前記と同様な排出用の押し込み機構126が設けられている。この押し込み機構126は、いったん、投入コンベア61からワニ口ホッパー56に投入された重量不足や異物が混入した被包装物54をワニ口ホッパー56内から押し出して排出シューター92により排出すためのものである。排出用の押し込み機構126は、第1支持ポール90に固定した固定金具128により取り付けられた取付ブラケット129に支柱130が立設し、この支柱130に、水平に伸びるアーム131が上下方向にスライド可能に設けられ、前記アーム131の先端に、排出用の押し込みロッド132が下方に垂下して取り付けられている。押し込みロッド132は、前記押し込みポジション(B)の押し込みロッド120と同様であるので、詳細は省略する。なお、被包装物54をワニ口ホッパー56から押し出す際に、可動案内板104を開くために、
図4に示すエアシリンダ133が設けられている。このエアシリンダ133は固定金具134により第1支持ポール90に取り付けられている。
【0042】
つぎに、被包装物充填装置55の作動を時経列に詳しく説明する。
図1に示すように、作業員86が作業台135に乗せられている被包装物54を投入コンベア61の上流側に載置する。投入コンベア61上に載置された被包装物54はコンベアベルト81により搬送されて先端部からシューター87に投入される。被包装物54の投入時にはシャッター88が閉じられており、被包装物54はシューター87内に留まる。被包装物充填装置55の投入ポジション(A)にワニ口ホッパー56が間欠停止すると、エアシリンダ89が作動してシャッター88が開いて被包装物54がワニ口ホッパー56内に落下する。重量計や異物検知センサーにより異常が検知された被包装物54もそのままワニ口ホッパー56内に投入する。ワニ口ホッパー56の可動案内板104はバネ106により閉じられているので、被包装物54はワニ口ホッパー56内に保持された状態で、第1支持ポール90の回転支軸91が間欠回転して被包装物54が保持されたワニ口ホッパー56が押し込みポジション(B)に停止する。
【0043】
被包装物54が保持されたワニ口ホッパー56が押し込みポジション(B)に停止すると、クランク機構136が作動して中軸113を下方に引き下げられる。中軸113が下降すると、支持ロッド114を介して押え板115の押圧突起116が上部の連結板96及び昇降軸95を押し下げ、圧縮バネ98により上方に付勢されたワニ口ホッパー56を圧縮バネ98の付勢力に抗して押し下げる。押し下げられたワニ口ホッパー56の可動案内板104と固定案内板111の下部がロータリー式包装
装置Mのクランプ53に挟持された包装袋52の開口した袋口内に挿入される。可動案内板104と固定案内板111が袋口内に挿入された後、エアシリンダ108が作動して、ワニ口ホッパー56のリンク機構105の開閉突起107を上方に押し上げて、可動案内板104を左右に開いて袋口を全開する。ただし、可動案内板104が開いても被包装物54はワニ口ホッパー56内にタイトな状態で留まっている。
【0044】
前記のようにして袋口が可動案内板104で全開した状態で、第2支持ポール117の中軸118が下降すると、押し込みロッド120が下降してワニ口ホッパー56の補助ホッパー103内に挿入される。上が広く下方が狭まっている補助ホッパー103により、下方に開いていた当板102がワニ口ホッパー56内の被包装物54を押え込みながら当板102で挟み込むようになる。さらに、押し込みロッド120をワニ口ホッパー56内に押し込んでいくと、当板102が包装袋52内に入り込んで開くと共に、被包装物54が包装袋52内に押し込まれる。
【0045】
被包装物54の押し込みが完了したタイミングで中軸118がクランク機構により上昇すると、押し込みロッド120がワニ口ホッパー56内から抜け出してワニ口ホッパー56上方に退避する。退避は上方に退避するだけなので、前記従来技術と異なり横方向への退避がないので、退避の時間が短くてすむ。押し込みロッド120がワニ口ホッパー56から抜け出すタイミングで、エアシリンダ108が作動して金具109がリンク機構56の開閉突起107の押し上げを解除すると、バネ106の付勢により可動案内板104が閉じる。可動案内板104が閉じるタイミングでクランク機構136により中軸113が上昇して、押え板115の押圧突起116が上部の連結板96及び昇降軸95の押し下げを解除する。このため、圧縮バネ98により昇降軸95が上方に押し上げられ、包装袋52内に挿入されていたワニ口ホッパー56の下部を包装袋52の袋口内から引き抜く。ワニ口ホッパー56が包装袋52と干渉しない位置まで上昇すると、円形ロータ50が回転して包装袋52が次の振動セクション(5)、噛み込検知・脱気セクション(7)と順次搬送される。
【0046】
押し込みポジション(B)で被包装物54を押し込んでいる間に、投入ポジション(A)では、次の被包装物54が投入コンベア61からシューター87に投入され、いったんシャッター88で受けた後、ワニ口ホッパー56内に投入されて保持されている。上記のように、被包装物充填装置55により、投入ポジション(A)と押し込みポジション(B)の間を回転移動するワニ口ホッパー56を設け、投入動作と押し込み動作を分離することにより、包装能力を向上させることができる。即ち、一般的には、投入動作の時間よりも押し込み動作の時間の方が時間を要するため、被包装物54の押し込み動作の時間を考
慮しつつ、ロータリー式包装
装置Mを稼動することが可能となり、前記背景技術の従来技術で説明したロータリー式包装
装置Mよりも、被包装物54の投入時間分だけ処理能力が向上する。
【0047】
押し込みポジション(B)での作業が完了すると、回転支軸91が回転して押し込みポジション(B)に位置するワニ口ホッパー56は系外排出ポジション(C)に回転移動する。押し込みポジション(B)で正常に被包装物54が包装袋52内に充填されたワニ口ホッパー56は、この系外排出ポジション(C)では何もせず後続の押し込みポジション(B)の押し込み作業が完了するまでそのままの状態で待機した後、投入ポジション(A)に回転移動する。しかし、包装袋52内に投入された被包装物54が重量不足や異物混入が検知された被包装物54の場合、押し込みポジション(B)では、押し込み機構62を作動させず包装袋52内に被包装物54を押し込むことなく、そのまま系外排出ポジション(C)までワニ口ホッパー56内に保持したまま回転移動する。系外排出ポジション(C)で停止すると、排出用のエアシリンダ133が作動してワニ口ホッパー56の可動案内板104を開いて被包装物54を排出できる状態にした後、押し込み機構126を作動させて被包装物54をワニ口ホッパー56内から押し出して排出シューター92に落下させ早期に排除する。これにより、ロータリー式包装
装置Mでの排出処理をなくすことができ、ロータリー式包装
装置M側での処理に比べて不良品の簡単な排出処理が可能となる。