特許第6667211号(P6667211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667211
(24)【登録日】2020年2月27日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20200309BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20200309BHJP
   A47L 15/48 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   A47L15/42 E
   A47L15/42 K
   A47L15/46 J
   A47L15/48
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-100308(P2015-100308)
(22)【出願日】2015年5月15日
(65)【公開番号】特開2016-214382(P2016-214382A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 光司
(72)【発明者】
【氏名】為石 芳正
(72)【発明者】
【氏名】津森 衛
(72)【発明者】
【氏名】武田 博充
(72)【発明者】
【氏名】基常 幹雄
【審査官】 岩谷 一臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−111085(JP,A)
【文献】 特開2004−082010(JP,A)
【文献】 特開平10−009735(JP,A)
【文献】 特開2007−117556(JP,A)
【文献】 特開2011−206111(JP,A)
【文献】 特開平06−046980(JP,A)
【文献】 特開平01−227732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L15/42−15/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、
前記洗浄室内の水蒸気を排気する排気部と、
前記排気部から排出される前記水蒸気を凝縮させる凝縮部を有する熱交換器と、
前記凝縮部による前記水蒸気の凝縮によって発生した前記熱交換器内の水を加熱する加熱部と、
前記被洗浄物の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する給水貯留部と、
前記給水貯留部に供給される給水を流通する供給部と、を備え、
前記凝縮部は、前記供給部の一部である、洗浄機。
【請求項2】
前記加熱部の作動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記洗浄室内の前記水蒸気を排気する工程が終了した場合に、前記加熱部を作動させる、請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記加熱部は、前記熱交換器の下部に配置されている、請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記加熱部は、前記熱交換器内に位置する前記供給部に設けられている、請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項5】
前記熱交換器から排出される前記水蒸気の包含量が減少した空気を前記洗浄室内に排出する排出部を備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の洗浄機。
【請求項6】
前記排気部には、前記洗浄室から前記水蒸気を排気する排気ファンが設けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
本体部の洗浄室に収容した食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄機が知られている。このような洗浄機では、被洗浄物の洗浄時及び被洗浄物の濯ぎ時に水蒸気が発生する。特許文献1に開示されている洗浄機は、洗浄室内で発生した水蒸気を吸引する吸引手段と、吸引された水蒸気を除湿冷却する熱交換器と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−227732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記熱交換器内では、水蒸気が凝縮されることによって、結露が発生する。結露により生じた水は、洗浄室に戻されている。しかしながら、熱交換器内の水を完全に排出することは困難であり、熱交換器内に水が残留する場合がある。熱交換器内に残留した水は、カビや細菌を繁殖させる原因となり、衛生面を低下させるといった問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、衛生面に優れた洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄機は、洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、洗浄室内の水蒸気を排気する排気部と、排気部から排出される水蒸気を凝縮させる凝縮部を有する熱交換器と、熱交換器内を加熱する加熱部と、を備える。
【0007】
この構成の洗浄機は、熱交換器内を加熱する加熱部を備えているため、凝縮部による水蒸気の凝縮で発生した水を加熱して乾燥させることができる。これにより、洗浄機では、熱交換器内においてカビや細菌が繁殖することを抑制できる。その結果、衛生面に優れたものとすることができる。
【0008】
本発明の洗浄機では、加熱部の作動を制御する制御部を備え、制御部は、洗浄室内の水蒸気を排気する工程が終了した場合に、加熱部を作動させてもよい。
【0009】
このような構成の洗浄機では、凝縮部による水蒸気の凝縮が行われた後に熱交換器内が加熱されるため、水蒸気の凝縮により生じた水を効果的に乾燥させることができる。したがって、洗浄機では、熱交換器内においてカビや細菌が繁殖することをより効果的に抑制できる。
【0010】
本発明の洗浄機では、被洗浄物の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する給水貯留部と、給水貯留部に供給される給水を流通する供給部と、を備え、凝縮部は、供給部の一部であってもよい。
【0011】
このような構成の洗浄機では、熱交換器において、水蒸気と供給部を流通する給水との間で熱交換が行われるため、水蒸気を凝縮させることができる。また、熱交換器において供給部内を通る給水と水蒸気との間で熱交換を行うことにより、供給部を通る水は、流入時よりも温度が高くなった状態で流出される。給水貯留部では、給水が加熱される。そのため、給水貯留部に供給される給水の温度を予め高くすることにより、給水貯留部における加熱効率を高めることができる。
【0012】
本発明の洗浄機では、加熱部は、熱交換器の下部に配置されていてもよい。
【0013】
このような構成の洗浄機では、熱交換器内において熱が効果的に行き渡るため、熱交換器内の水を効果的に乾燥させることができる。
【0014】
本発明の洗浄機では、加熱部は、熱交換器内に位置する供給部に設けられていてもよい。
【0015】
このような構成の洗浄機では、供給部の外面に発生した結露による水を効果的に乾燥させることができる。また、供給部を流通する給水の温度を効果的に高めることができる。
【0016】
本発明の洗浄機は、熱交換器から排出される水蒸気の包含量が減少した空気を洗浄室内に排出する排出部を備えていてもよい。
【0017】
このような構成の洗浄機では、水蒸気の包含量が減少した空気が洗浄室内に排出されるため、洗浄室及び食器を当該空気によって乾燥させることができる。そのため、洗浄室内においてカビや細菌が繁殖することを抑制できる。
【0018】
本発明の洗浄機では、排気部には、洗浄室から水蒸気を排気する排気ファンが設けられていてもよい。
【0019】
このような構成の洗浄機では、洗浄室から水蒸気をより確実に排出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、衛生面に優れた洗浄機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図2図1の食器洗浄機の概略構成を示す図である。
図3図1の熱交換器を示した斜視図である。
図4図1の熱交換器を示した斜視図である。
図5】第2排気管の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、必ずしも一致していない。なお、説明の便宜のため、図1において、前後方向、左右方向、及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0023】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機1は、洗浄室2Aの前面にドア4が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。図1及び図2に示されるように、食器洗浄機1は、本体部2と、上側洗浄ノズル5と、上側濯ぎノズル6と、下側洗浄ノズル7と、下側濯ぎノズル8と、排気部61と、洗浄タンク9と、貯湯タンク(給水貯留部)18と、洗剤供給ポンプ32と、リンス剤供給ポンプ37と、熱交換器80と、ヒータ(加熱部)90と、を備えている。
【0024】
本体部2は、ステンレス製のパネルにより形成されている。本体部2は、食器(被洗浄物)Dをセットしたラックを出し入れする開口部が前方に向かって開口している洗浄室2Aと、排水ポンプ52、貯湯タンク18、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)(制御部)55等が設けられている機械室2Bと、に区画されている。本体部2の底面の四隅には、脚部3が取り付けられている。
【0025】
本体部2には、洗浄室2A内に食器Dを出し入れするためのドア4が取り付けられている。洗浄室2A内には、ラックレール2Cが設けられ、このラックレール2C上に、食器Dが並べられた食器ラック(図示せず)が載置される。本体部2の前面におけるドア4の上部には、ユーザが運転モード及び各種設定を入力するための操作パネル2Dが設けられている。
【0026】
上側洗浄ノズル5及び上側濯ぎノズル6は、洗浄室2Aの上部に設けられている。上側洗浄ノズル5は、放射状に延びる3本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。上側濯ぎノズル6は、2本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。下側洗浄ノズル7及び下側濯ぎノズル8は、洗浄室2Aの下部に設けられている。下側洗浄ノズル7は、放射状に延びる3本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。下側濯ぎノズル8は、2本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。
【0027】
食器ラックに並べられた食器Dには、洗浄工程において上側洗浄ノズル5及び下側洗浄ノズル7によって上下から洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側濯ぎノズル6及び下側濯ぎノズル8によって上下から濯ぎ水が噴射される。
【0028】
洗浄室2Aには、排気部61が接続されている。排気部61は、例えば、洗浄室2Aにおける側面上方に接続されている。洗浄室2Aでは、後述する濯ぎ工程等において水蒸気(湯気を含む)が発生する。排気部61には、当該水蒸気を含む空気(以後、単に「水蒸気」とも称す。)を排出する排気ファン60が設けられている。排気ファン60は、マイコン55によって作動の制御がなされる。洗浄室2A内の水蒸気は、排気ファン60によって排気部61を介して第1排気管63内を押し上げられて、後述する熱交換器80に送り出される。
【0029】
洗浄タンク9は、洗浄室2Aの下方に配置されており、洗浄水を貯留する。洗浄タンク9には、洗浄水の水位を検知するための水位検知スイッチ10が設けられている。水位検知スイッチ10は、洗浄タンク9内の水位が所定水位Hを超えている場合にONとなり、所定水位H以下の場合にOFFとなるスイッチである。
【0030】
洗浄タンク9の側面には、洗浄水吸込管13を介して洗浄ポンプ14が接続されている。洗浄タンク9の洗浄水吸込管13が取り付けられた部分には、ポンプフィルタ12が設けられている。洗浄ポンプ14の吐出口には洗浄水吐出管15が接続されている。洗浄水吐出管15は、第1洗浄水吐出管16と第2洗浄水吐出管17とに分岐している。第1洗浄水吐出管16は、上側洗浄ノズル5に接続されている。第2洗浄水吐出管17は、下側洗浄ノズル7に接続されている。
【0031】
洗浄タンク9の底部9Aには、排水吸込管9Bを介して排水管50が接続されている。排水管50には、洗浄タンク9から排水を排出する排水ポンプ52が設けられている。排水ポンプ52は、マイコン55によって作動の制御がなされる。洗浄タンク9に貯留された水は、排水ポンプ52によって排水管50を介して外部に排出される。なお、排水管50が排水吸込管9Bよりも下方に排水を排出する場合には、排水ポンプ52が設けられていなくてもよい。
【0032】
図1に示されるように、熱交換器80は、洗浄室2A上方の本体部2における上部に配置されている。図3に示されるように、熱交換器80は、排気流路83と、給水流路(凝縮部、供給部)85と、排気流路83及び給水流路85を収容する筐体81と、を有している。なお、図3では、説明の便宜のため、蓋部81A(図2参照)を外した状態を示している。熱交換器80は、排気流路83を流通する水蒸気と給水流路85を流れる水との間で熱交換を行う装置である。
【0033】
排気流路83は、洗浄室2Aから排気される水蒸気が流通する流路である。排気流路83の一端83Bは、第1排気管63が接続されており、排気流路83の他端83Cは、第2排気管(排出部)65が接続されている。また、排気流路83には、給水流路85における他端85Bから給水流路の一端85Aに沿って、排気流路83の一端83Bから排気流路83の他端83Cまでの流路を形成する仕切板83Aが設けられている。すなわち、排気流路83の一端83Bから流入する水蒸気は、給水流路85における他端85Bから給水流路の一端85Aまでの管路に沿って、排気流路83の他端83Cまで流れる。排気流路83を流れる水蒸気を含む空気は、その水蒸気の一部が結露して水となり、水蒸気の包含量が減少した空気となる。
【0034】
第2排気管65は、流路方向に直交する断面形状が円形状である管路部材であり、その中空部には、水蒸気の包含量が減少した空気が流通する。図5に示されるように、第2排気管65は、その一部が洗浄室2Aの内部に配置されている。具体的には、第2排気管65は、例えば、洗浄室2Aの上部に配置され、本体部2の左右方向に沿って延在している。洗浄室2A内の第2排気管65には、延在方向において所定の間隔をあけて孔(図示せず)が複数設けられている。孔は、第2排気管65の下部に設けられている。これにより、第2排気管65は、水蒸気の包含量が減少した空気を下方に向けて洗浄室2A内に排出する。第2排気管65から排出された水蒸気の包含量が減少した空気は、洗浄室2A及び食器Dを乾燥させ得る。
【0035】
給水流路85は、流路方向に直交する断面形状が円形状である管路部材であり、その中空部には、貯湯タンク18に供給する濯ぎ水が流通する。給水流路85は、貯湯タンク18に供給される水を流通する供給部の一部を構成している。給水流路85は、排気流路83を流通する水蒸気を凝縮させる凝縮部としての機能を有している。給水流路85の例には、銅からなり耐腐食塗装がなれたフレキシブル管、ステンレス鋼からなるフレキシブル管、管の外周に設けられたフィンを有するフィンチューブ、及び管の外周にスパイラル状に巻き付けられたフィンを有するフィンチューブ等が含まれる。給水流路85の一端85Aは、後述する給水管(供給部)21Cが接続されており、給水流路85の他端85Bは、後述する給水管(供給部)21Dが接続されている。
【0036】
熱交換器80の筐体81の底部81Bには、底部81Bを厚み方向に貫通する穴81Cが設けられている。穴81Cは、底部81Bの一隅部に形成されている。穴81Cは、本体部2の洗浄室2Aに連通している。具体的には、穴81Cは、本体部2の上部において角部に設けられた排水部(図示せず)に連通している。熱交換器80の底部81Bは、穴81Cが設けられている位置を最下位置として、図3において一点鎖線の矢印で示す方向に向かって下り勾配で傾斜している。これにより、熱交換器80内の水は、穴81Cに向かって流れ、穴81C及び排水部を介して洗浄室2A内に排出される。
【0037】
図4に示されるように、熱交換器80には、ヒータ90が設けられている。図4では、説明の便宜のため、給水流路85及び仕切板83Aを外した状態を示している。ヒータ90は、熱交換器80内を加熱する。ヒータ90は、例えば、電熱線である。ヒータ90は、電源91に接続されている。ヒータ90は、マイコン55によって作動(電源91からの電力の供給)が制御されている。ヒータ90の温度は、熱交換器80内の水を乾燥(蒸発)させ得る温度に設定されている。ヒータ90は、熱交換器80の底部81Bに、例えば、蛇行して配設されている。ヒータ90は、アルミシート92により覆われている。アルミシート92は、底部81Bの略全面を覆っている。
【0038】
図2に示されるように、貯湯タンク18は、食器Dを濯ぐ水が貯留されるタンクである。貯湯タンク18には、外部の給湯器(図示せず)から給水管21Aを介して水が供給される。給水管21Aには、ストレーナ19が設けられている。給水管21Aにおけるストレーナ19の下流側には、分岐部21Bが設けられている。分岐部21Bの一方は、ウォータバルブ20Aを介して貯湯タンク18に接続されている。ウォータバルブ20Aは、マイコン55によって制御されている。分岐部21Bの他方は、給水管21Cを介して前述した熱交換器80における給水流路85の一端85A(図3参照)に接続されている。給水管21Cから流通する水は、熱交換器80の給水流路85を通過して、給水管21Dを介して貯湯タンク18に供給される。
【0039】
貯湯タンク18内には、食器Dを濯ぐ水を所定温度に維持するための濯ぎ水ヒータ22と、この濯ぎ水の温度を検知するための水温センサ23とが設置されている。貯湯タンク18には、濯ぎ水吸込管24を介して濯ぎポンプ25が接続されている。この濯ぎポンプ25の吐出口には濯ぎ水吐出管26が接続されている。濯ぎ水吐出管26は、第1濯ぎ水吐出管27と第2濯ぎ水吐出管28とに分岐している。第1濯ぎ水吐出管27は、上側濯ぎノズル6に接続されている。第2濯ぎ水吐出管28は、下側濯ぎノズル8に接続されている。
【0040】
洗剤供給ポンプ32は、食器洗浄機1の外側、すなわち、本体部2の外側に配置されている。洗剤供給ポンプ32は、洗剤タンク33内に貯留された洗剤を洗浄室2Aに供給するためのベローズポンプである。洗剤供給ポンプ32は、洗浄室2Aの側壁に接続された洗剤吐出管34と接続され、信号線によりマイコン55に接続されている。洗剤供給ポンプ32は、マイコン55から出力される信号に応じて作動し、接続された洗剤吸込管35から洗剤タンク33内の洗剤を吸い込み、洗剤吐出管34へ所定量の洗剤を吐出する。この洗剤は、洗剤吐出管34の先端に設けられ、洗浄室2Aと洗剤吐出管34とを接続する洗剤吐出口36から洗浄室2A内に吐出される。洗浄室2A内に吐出された洗剤は、洗浄室2Aの下方の洗浄タンク9内に流れ込み洗浄水に混入される。
【0041】
リンス剤供給ポンプ37は、食器洗浄機1の外側、すなわち、本体部2の外側に配置されている。リンス剤供給ポンプ37は、リンス剤タンク38内に貯留されたリンス剤を濯ぎ水路に供給するためのものである。リンス剤供給ポンプ37は、第1濯ぎ水吐出管27と連通するリンス剤吐出管39に接続され、信号線によりマイコン55に接続されている。リンス剤供給ポンプ37は、マイコン55から出力される信号に応じて作動し、接続されたリンス剤吸込管40からリンス剤タンク38内の洗剤を吸い込み、リンス剤吐出管39へリンス剤を吐出する。リンス剤は、リンス剤供給ポンプ37によってリンス剤吐出管39から濯ぎ水吐出管26内の濯ぎ水路へ吐出され、濯ぎ水に混入される。
【0042】
マイコン55は、機械室2Bに配置されている。マイコン55は、食器洗浄機1における動作全般を制御する。マイコン55は、電装ボックス55Aに内蔵されている。マイコン55は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。マイコン55は、食器洗浄機1における各種動作を制御する部分であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)等、相互に接続されている。
【0043】
次に、上述した食器洗浄機1の動作について説明する。食器洗浄機1は、電源スイッチがONされると、貯湯タンク18内の水を濯ぎポンプ25によって洗浄室2Aへ噴射することにより、洗浄タンク9内へ水が供給される。これにより初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が洗浄タンク9内へ供給されて、洗浄タンク9内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0044】
初期給湯後、ユーザが食器Dをラッキングしてドア4を閉めると、ドアスイッチ(図示せず)によってドア4が閉められたことが検知されると共に、運転開始信号がマイコン55へ入力される。運転開始信号がマイコン55へ入力されると、マイコン55は、洗浄ポンプを作動させ、食器Dの洗浄(洗浄工程)を開始させる。食器Dの洗浄は、洗浄タンク9内の洗浄水を洗浄室2A内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。
【0045】
洗浄ポンプ14が始動することにより、洗浄タンク9内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管15等を介して上側及び下側洗浄ノズル5,7に圧送されて、上側及び下側洗浄ノズル5,7から洗浄室2A内の食器Dに向けて噴射される。この洗浄室2A内に噴射された洗浄水は、食器Dから洗い落とされた残菜等が図示しないフィルタによって取り除かれつつ洗浄タンク9内に回収される。さらに、ポンプフィルタ12等を介して洗浄ポンプ14によって洗浄タンク9内の水が取り込まれ、再び洗浄室2A内に供給される。
【0046】
洗浄工程が終了すると、マイコン55は、排水ポンプ52を作動させ、洗浄タンク9に貯留された洗浄水の排出(排水工程)を開始させる。本実施形態の食器洗浄機1では、洗浄ポンプ14が作動することにより、後述する濯ぎ工程によって洗浄室2Aに供給される濯ぎ水と同じ量の洗浄水が洗浄タンク9から排出される。
【0047】
排水工程が終了すると、マイコン55は、濯ぎポンプ25を作動させ、食器Dの濯ぎ(濯ぎ工程)を開始させる。食器Dの濯ぎは、貯湯タンク18内の濯ぎ水を洗浄室2A内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。
【0048】
濯ぎポンプ25を始動することにより、貯湯タンク18内に貯留された濯ぎ水は、濯ぎ水吐出管26などを介して上側及び下側濯ぎノズル6,8に圧送されて、各濯ぎノズル6,8から食器Dに向けて噴射される。食器Dに噴射された濯ぎ水は、図示しないフィルタを介して洗浄タンク9内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。
【0049】
上側及び下側濯ぎノズル6,8から食器Dに濯ぎ水が噴射されると、洗浄室2A内に水蒸気が発生する。本実施形態の食器洗浄機1では、濯ぎ工程が開始されると排気ファン60が作動を開始し、洗浄室2A内で発生した水蒸気が排気ファン60によって排出される(排気工程)。なお、排気ファン60の作動開始タイミングは、このタイミングに限定されず、上側及び下側洗浄ノズル5,7から水が噴射される洗浄工程から開始されてもよい。
【0050】
排気ファン60によって洗浄室2Aから水蒸気が排出されると、水蒸気は、排気部61を介して第1排気管63内を押し上げられて、熱交換器80に送り出される。水蒸気は、熱交換器80の排気流路83を流通する。水蒸気が流通する排気流路83に、当該水蒸気と比較して冷たい水が給水流路85を流れると、排気流路83を流通する「水蒸気」と、給水流路85を流通する「水」との間で熱交換が行われる。
【0051】
これにより、給水流路85の一端85Aから流入された水は、流入時よりも温度が高くなった状態で給水流路85の他端85Bから流出される。また、排気流路83を流れる水蒸気を含む空気は、水蒸気の包含量が減少した空気となって第2排気管65を介して洗浄室2Aに排出される。洗浄室2Aに排出された水蒸気の包含量が減少した空気は、当該空気に含まれる水蒸気及び洗浄室2A内の水蒸気を含む空気と一緒に排気ファン60によって洗浄室2Aから排出され、洗浄室2A及び熱交換器80において循環する。
【0052】
なお、給水流路85の他端85Bに接続される給水管21D上には、ウォータバルブ20Bが設けられているので、ウォータバルブ20Bの開閉状態によっては給水流路85に水が滞留している場合がある。この場合には、排気流路83を流通する「水蒸気」と、給水流路85に滞留している「水」との間で熱交換が行われる。
【0053】
排気ファン60の作動により洗浄室2A内の水蒸気の回収が所定の時間行われると、排気ファン60の作動が停止される。排気ファン60の作動が停止されると、熱交換器80の排気流路83における水蒸気の流通が停止する。これにより、第2排気管65から洗浄室2A内への水蒸気の包含量が減少した空気の排出が停止される。このとき、洗浄室2A内には、水蒸気(湯気)がほとんど存在していない。
【0054】
排気ファン60の作動が停止されると、ヒータ90の作動が開始される。これにより、熱交換器80の筐体81内が加熱され、水蒸気の結露により生じた水が乾燥される。ヒータ90の作動が開始されて所定の時間が経過すると、ヒータ90の作動が停止される。
【0055】
また、本実施形態の食器洗浄機1では、積算運転回数(本実施形態における運転回数とは、食器Dの洗浄工程及び濯ぎ工程を1サイクルとしたときのサイクルの回数をいう。)が規定回数に到達すると、洗浄タンク9に貯留された排水を全て排出する機能(全排水機能)を備えている。当該全排水機能は、運転が繰り返し行われることにより次第に汚れていく洗浄タンク9内の洗浄水を清浄な洗浄水に置き換えることを目的として搭載されている。
【0056】
次に、上記実施形態の食器洗浄機1の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機1では、熱交換器80内を加熱するヒータ90を備えているため、給水流路85による水蒸気の凝縮で発生した水を加熱して乾燥させることができる。これにより、食器洗浄機1では、熱交換器80内においてカビや細菌が繁殖することを抑制できる。その結果、衛生面に優れた食器洗浄機1とすることができる。
【0057】
また、上記実施形態の食器洗浄機1は、ヒータ90の作動を制御するマイコン55を備え、マイコン55は、洗浄室2A内の水蒸気を排気する工程が終了した場合に、ヒータ90を作動させる。これにより、水蒸気の凝縮が行われた後に熱交換器80内が加熱されるため、水蒸気の凝縮により生じた水を効果的に乾燥させることができる。したがって、食器洗浄機1では、熱交換器80内においてカビや細菌が繁殖することをより効果的に抑制できる。
【0058】
また、上記実施形態に食器洗浄機1では、食器Dの濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する貯湯タンク18と、貯湯タンク18に供給される水を流通する給水管21C、給水管21D及び給水流路85と、を備えている。給水流路85は、排気部61から排出される水蒸気を凝縮させる凝縮部として機能する。このような構成の食器洗浄機1では、熱交換器80において、水蒸気と給水流路85を流通する給水との間で熱交換が行われるため、水蒸気を凝縮させることができる。また、熱交換器80において給水流路85内を通る給水と水蒸気との間で熱交換を行うことにより、給水流路85を通る水は、流入時よりも温度が高くなった状態で流出される。貯湯タンク18では、水が加熱される。そのため、貯湯タンク18に供給される水の温度を予め高くすることにより、貯湯タンク18における加熱効率を高めることができる。
【0059】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、ヒータ90は、熱交換器80の下部に配置されている。このような構成の食器洗浄機1では、熱交換器80内において熱が効果的に行き渡るため、熱交換器80内の水を効果的に乾燥させることができる。
【0060】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、ヒータ90は、アルミシート92により覆われている。これにより、ヒータ90の熱をアルミシート92により熱交換器80内の全体に効果的に放散させることができる。したがって、熱交換器80内の水を効果的に乾燥させることができる。
【0061】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、第2排気管65は、洗浄室2A内に水蒸気の包含量が減少した空気を排出する。第2排気管65から排出された水蒸気の包含量が減少した空気は、洗浄室2A及び食器Dを乾燥させることができる。その結果、食器洗浄機1では、洗浄室2A内にカビや細菌が繁殖することを抑制できる。
【0062】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、熱交換器80の筐体81の底部81Bに設けられた穴81Cは、本体部2の上部において角部に設けられた排出部を介して、熱交換器80内の水を洗浄室2Aに排出する。このように、熱交換器80内の水が本体部2の角部から洗浄室2Aに排出されるため、食器Dに水が付着することを抑制できる。
【0063】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0064】
<変形例1>
上記実施形態の食器洗浄機1では、ヒータ90が熱交換器80の底部81Bに配置される形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、加熱部は、給水流路85に設けられていてもよい。具体的には、加熱部は、給水流路85に巻き付けられていてもよい。この構成では、結露が生じる給水流路85にヒータが巻き付けられているため、結露による水を効果的に乾燥させることができると共に、給水流路85を流通する水の温度を高めることができる。
【0065】
<変形例2>
上記実施形態の食器洗浄機1では、洗浄室2A内の水蒸気を排気する工程が終了した場合に、ヒータ90により熱交換器80内を加熱させる形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。ヒータ90の作動が開始及び停止されるタイミングは、任意に設定することが可能であり、所望するタイミングに適宜設定されればよい。例えば、ヒータ90は、食器洗浄機の電源スイッチがOFFとされてから一定時間作動されてもよいし、洗浄タンク9から洗浄水が全て排出されているときに作動されてもよい。また、ヒータ90をON/OFFを作業者が操作できるスイッチが設けられていてもよい。
【0066】
また、食器洗浄機1では、連続して洗浄(洗浄工程から排気工程(濯ぎ工程)まで)が行われる場合には、全ての洗浄が終了した後に、ヒータ90の作動が開始されてもよい。この形態においては、マイコン55は、排気工程の終了後に時間をカウントし、所定時間内に洗浄を開始させるスイッチがONとされた場合には、連続して洗浄が行われると判断して、ヒータ90を作動させない。一方、マイコン55は、所定時間内に洗浄を開始させるスイッチがONとされない場合には、ヒータ90を作動させる。
【0067】
<変形例3>
上記実施形態の食器洗浄機1では、加熱部として電熱線のヒータ90を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、加熱部は、熱交換器80内に乾燥した熱風を送風する装置等であってもよく、熱交換器80内を加熱する(乾燥させる)ものであれば如何なる形態であってもよい。
【0068】
<変形例4>
上記実施形態の食器洗浄機1では、第2排気管65が水蒸気の包含量が減少した空気を下方に向けて洗浄室2A内に排出する形態と一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2排気管65は、洗浄室2Aの内面に水蒸気の包含量が減少した空気が吹き付けられるように、水蒸気の包含量が減少した空気を排出する形態であってもよい。この構成では、洗浄室2Aを効果的に乾燥させることができる。また、第2排気管65は、本体部において食器Dを出し入れする開口部の上方から水蒸気の包含量が減少した空気を排出する形態であってもよい。この構成では、開口部にエアカーテンを形成することができ、ドア4を開けたときに、水蒸気が開口部から放出することを抑制できる。また、第2排気管65は、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出してもよい。
【0069】
<変形例5>
上記実施形態の食器洗浄機1では、排気部61が洗浄室2Aにおける側面上方に接続されている形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、排気部61は、洗浄室2Aにおける上面に接続されていてもよい。また、排気部61が第1排気管63に接続されており、第1排気管63を介して熱交換器80に水蒸気が送り出される形態を一例に説明したが、第1排気管63は設けられていなくてもよい。この場合、排気部61が熱交換器80に直接接続されていてもよい。
【0070】
<変形例6>
上記実施形態の食器洗浄機1では、貯湯タンク18に供給される水を流通する給水管21C、給水管21D及び給水流路85のうち、給水流路85を熱交換器80の凝縮部として用いる形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、凝縮部は、他の水が流通する流路であってもよいし、電気的に冷却される装置であってもよい。
【0071】
<変形例7>
上記実施形態の食器洗浄機1では、排気部61に排気ファン60が設けられている形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。排気ファン60は、第2排気管65に設けられていてもよい。
【0072】
<その他の変形例>
上記実施形態及び上記変形例では、管路部材の中を給水が流通し、その周りを水蒸気が流通する構成の熱交換器80を例に挙げ説明したが、管路部材の中を水蒸気が流通し、その周りを給水が流通する構成の熱交換器であってもよい。
【0073】
上記実施形態及び上記変形例では、洗浄室2Aの前面にドア4が設けられたアンダーカウンタ式の食器洗浄機を例に挙げて説明したが、本願発明は、ドアが上下に開閉するタイプの食器洗浄機、又は、食器Dを収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行うコンベアタイプの食器洗浄機に適用することも可能である。
【0074】
上記実施形態及び上記変形例では、熱交換器80が、本体部2の上方に配置されている例を挙げて説明したが、例えば、本体部2における機械室2Bに配置されてもよいし、食器洗浄機1の外側に配置されてもよい。また、貯湯タンク18は、本体部2における機械室2Bに配置されている例を挙げて説明したが、本体部2の外部に配置されていてもよい。すなわち、外付け用の貯湯タンク18が設けられる構成の食器洗浄機であってもよい。
【0075】
上記実施形態及び上記変形例において熱交換器を備える場合には、外部の給湯器からの水を熱交換器80を経由して貯湯タンク18に供給する経路と、外部の給湯器からの水を直接貯湯タンク18に供給する経路とが形成されている構成を例に挙げて説明したが、熱交換器80を経由して貯湯タンク18に供給する経路のみが形成される構成としてもよい。
【0076】
上記実施形態では洗浄室2Aから水蒸気を排出する手段として排気ファン60を例に挙げたが、洗浄室2Aから排気部61に水蒸気を送り出せる手段であれば、これに限定されない。
【0077】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、上記変形例及びその他の変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…食器洗浄機、2A…洗浄室、18…貯湯タンク(給水貯留部)、21C,21D…給水管(供給部)、60…排気ファン、61…排気部、65…第2排気管(排出部)、80…熱交換器、85…給水流路(凝縮部、供給部)、90…ヒータ(加熱部)。
図1
図2
図3
図4
図5