(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の液体漂白剤組成物(以下、漂白剤組成物ともいう)は、(A)過酸化水素、(B)フェノール系抗菌剤、及び(C)ノニオン界面活性剤を含有する液体組成物である。
本発明の漂白剤組成物は、さらに(D)アニオン界面活性剤、及び(E)半極性界面活性剤から選ばれる一種以上を含んでいてもよい。
【0008】
<(A)成分>
(A)成分は過酸化水素であり、漂白効果を有する。特に、水性の汚れに対して高い漂白効果を発揮する。
漂白剤組成物中、(A)成分の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.1〜7質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1.5〜4質量%であることがさらに好ましい。(A)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、より良好な漂白効果が得られやすい。前記範囲の上限値以下であれば、漂白剤組成物の安定性がより向上する。
【0009】
<(B)成分>
(B)成分はフェノール系抗菌剤である。(B)成分は、抗菌効果を有する。(B)成分を含むことにより、本発明の漂白剤組成物を用いる対象物(以下、単に「対象物」ともいう)、例えば衣類等に、抗菌性を付与することができる。(B)成分は、アニオン界面活性剤と複合体を形成しないため、アニオン界面活性剤と共に用いることができる。すなわち、(B)成分をアニオン界面活性剤と共に用いた場合においても、(B)成分は抗菌効果を有し、アニオン界面活性剤は洗浄力を有する。
なお、本明細書において、抗菌効果とは菌の増殖を抑える効果を意味する。
【0010】
フェノール系抗菌剤とは、フェノール構造を有する抗菌剤として用いられる化合物である。フェノール構造とは、芳香族炭化水素核の1以上の水素原子がヒドロキシ基で置換された構造である。
(B)成分としては、抗菌剤として公知である、フェノール誘導体又はジフェニル化合物を好適に用いることができる。具体的には、下記式(I)で表される2−ヒドロキシジフェニル化合物(以下、化合物(I)ともいう)、イソプロピルメチルフェノール及びパラクロロメタキシレノール等が挙げられる。(B)成分は、化合物(I)を含むことが好ましい。
なお、(B)成分は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0012】
式(I)において、Xは酸素原子又は炭素数1〜4のアルキレン基であり、Yはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO
2H、NO
2、又は炭素数1〜4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1〜3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。
なお、−(Y)
bは、ベンゼン環の水素原子中b個がYに置換されていることを意味する。−(Y)
c、−(Z)
d、−(OH)
m及び−(OH)
nについても同様である。
【0013】
化合物(I)としては、Xが酸素原子又はメチレン基であり、Yが塩素原子又は臭素原子であり、mが0であり、nが0又は1であり、aが1であり、bが0、1又は2であり、cが0、1又は2であり、かつdが0である化合物がより好ましい。
好ましい化合物(I)としては、例えば、モノクロロヒドロキシジフェニルエーテル(Xが酸素原子であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、b又はcの一方が1で他方が0であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物)、ジクロロヒドロキシジフェニルエーテル(Xが酸素原子であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、bが1であり、cが1であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物)、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(Xが酸素原子であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、b又はcの一方が1で他方が2であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物)、ベンジルクロロフェノール(Xがメチレン基であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、bが0であり、cが1であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物)が挙げられる。
特に好適な化合物(I)としては、5−クロロ−2−(2’,4’−ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、5−クロロ−2−(4’−クロロフェノキシ)フェノール(慣用名:ダイクロサン)、o−ベンジル−p−クロロフェノール(慣用名:クロロフェン)が挙げられる。
【0014】
漂白剤組成物中、(B)成分の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.005〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。(B)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、抗菌力がより高まる。前記範囲の上限値以下であれば、液の安定性に優れる。
【0015】
<(C)成分>
(C)成分はノニオン界面活性剤である。(C)成分は疎水性が高く、特に、油性の汚れに対して高い洗浄力を発揮する。また、(C)成分を含むことにより、(B)成分が漂白剤組成物中に溶解し、漂白剤組成物の製造を容易にすることができる。
(C)成分としては、従来、液体洗浄剤に用いられているものであればよい。(C)成分としては、例えば、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
これらの(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0016】
上記のなかでも、漂白剤組成物の安定性、溶存気体量のコントロールのしやすさ等の点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましく、中でも下記式(II)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(以下、化合物(II)ともいう)が好ましく、式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下、化合物(III)ともいう)がより好ましい。
R
1−X−[(EO)
s/(PO)
t]−R
2 ・・・(II)
R
1−O−(EO)
s−H ・・・(III)
式(II)、(III)中、R
1は炭素数が6〜22の炭化水素基であり、−X−は2価の連結基であり、R
2は水素原子、炭素数が1〜3のアルキル基又はアルケニル基である。EOはオキシエチレン基であり、sはEOの平均繰り返し数を表す数である。POはオキシプロピレン基であり、tはPOの平均繰り返し数を表す数である。
式(II)、(III)中、R
1は炭素数が9〜21であることが好ましく、炭素数が11〜21であることがより好ましい。R
2は炭素数が1〜2であることが好ましい。Xは酸素原子又は−COO−であることが好ましい。
[(EO)
s/(PO)
t]は、EOとPOとの配列順序を問わず、EOとPOとが混在して結合していてもよい。sは6〜20であることが好ましい。tは0〜6であることが好ましい。また、sとtの合計は6〜20であることが好ましい。
tが0でない場合、つまり化合物(II)がEOとPOとの両方を有する場合、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法が挙げられる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
【0017】
(C)成分のHLB値は、10〜14が好ましく、10.5〜14がより好ましく、11〜13がさらに好ましい。HLB値が上記の好ましい範囲内であると、より高い洗浄力を発揮する漂白剤組成物が得られやすく、また漂白剤組成物の製造が容易となりやすい。
なお、HLB値とは界面活性剤の水と油への親和性のバランスを表すものである。本発明においてHLBは、W.C.Griffinによる方法(詳細は1949年のJ.Soc.Cosmetic Chemists,1,311頁を参照)を用いた値を示す。すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいては、下記式によりHLBが算出される。
HLB=オキシエチレン基の質量分率(%)/5
なお、上記のオキシエチレン基の質量分率とは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの総質量に対するオキシエチレン基の質量の割合を表す。
【0018】
例えば、式(III)においてR
1が炭素数12のアルキル基である化合物(C12)と、式(III)においてR
1が炭素数14のアルキル基である化合物(C14)とが、質量比でC12:C14=7:3で混合された混合物である場合、その混合物のHLB値は表1に示す通りである。表1中、sは式(III)中のsを表す。
【0020】
漂白剤組成物中、(C)成分の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。(C)成分の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、漂白剤組成物がより高い洗浄力を有し、また適度な粘度を持ち使用性が向上する。一方上限値以下であれば本発明の効果が現れやすくなる。
【0021】
<(D)成分>
本発明の漂白剤組成物は、任意に(D)成分を含む。(D)成分はアニオン界面活性剤である。(D)成分を配合することで、洗濯中の再汚染を軽減することが可能である。
(D)成分としては、特に限定されず、繊維製品用の洗浄剤に通常用いられているアニオン界面活性剤が挙げられる。例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩;アルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩;脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型のアニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型のアニオン界面活性剤等が挙げられる。
塩形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0022】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものが特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシドを付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、好ましくは炭素数10〜20、より好ましくは炭素数14〜17のアルキル基を有する2級アルカンスルホン酸塩が好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩が好ましい。
脂肪酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
(D)成分は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0023】
上記の中でも、本発明の効果が得られやすいことから、(D)成分としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩、及びアルカンスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも一種以上であることが好ましい。
また、(D)成分としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含むことが好ましい。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が含まれることにより、漂白剤組成物の粘度を高めることができ、漂白剤組成物を対象物に直接塗布するのに好適な粘度にすることができる。
(D)成分としては、アルカンスルホン酸塩を含むことが好ましい。アルカンスルホン酸塩が含まれることにより、漂白剤組成物の外観を無色透明に維持する等、漂白剤組成物の保存安定性を高めることができる。
(D)成分としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と、アルカンスルホン酸塩との両方を含むことがより好ましい。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と、アルカンスルホン酸塩との両方を含むことにより、対象物に直接塗布するのに適した粘度及び良好な保存安定性を有する漂白剤組成物を得ることができる。
【0024】
漂白剤組成物中、(D)成分の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.2〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。(C)成分の含有量が前記範囲内であれば、対象物に直接塗布するのに適した粘度及びより良好な保存安定性を有する漂白剤組成物を得ることができる。
【0025】
<(E)成分>
本発明の漂白剤組成物は、任意に(E)成分を含む。(E)成分は半極性界面活性剤である。半極性界面活性剤は、洗浄力を高める効果を有するものである。
本発明において、半極性界面活性剤とは、半極性結合、すなわち無極性結合と極性結合との中間の性質を有する結合を有する界面活性剤である。半極性界面活性剤は、カチオン性、アニオン性及び両極性のいずれを示すかが、溶解する溶液又は分散する分散液のpHによって異なる化合物である。
半極性界面活性剤としては、例えばアミンオキシド型界面活性剤が挙げられる。
アミンオキシド型界面活性剤である半極性界面活性剤としては、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
【化2】
[式中、R
3は、炭素数8〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R
4及びR
5は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基である。]
【0027】
前記式(IV)中、R
3は、炭素数8〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数10〜14の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
前記式(IV)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。中でも、R
4及びR
5は、いずれもメチル基であることがより好ましい。
前記式(IV)で表される化合物としては、例えば、カプリルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、オレイルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド等が挙げられる。
前記式(IV)で表される化合物の中でも、下記式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0028】
【化3】
[式中、R
6は、炭素数7〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数7〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R
7及びR
8は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基である。qは、1〜5の整数である。]
【0029】
前記式(V)中、R
6は、炭素数7〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
前記式(V)中、R
7及びR
8は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。中でも、R
7及びR
8は、いずれもメチル基であることがより好ましい。
前記式(V)中、qは、1〜3の整数が好ましく、3がより好ましい。
前記式(V)で表される化合物としては、例えば、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ベヘニン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0030】
(E)成分は、いずれか1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の中でも、(E)成分としては、本発明の効果が得られやすいことから、一般式(V)で表される化合物が特に好ましい。
【0031】
漂白剤組成物中、半極性界面活性剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.1〜8質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜3質量%であることがさらに好ましく、0.5〜2.5質量%であることがさらにより好ましい。半極性界面活性剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、より洗浄力の高い漂白剤組成物が得られる。半極性界面活性剤の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、漂白剤組成物の安定性をより高められる。
【0032】
<その他の成分>
本発明の漂白剤組成物は、上記(A)〜(E)成分以外に、漂白剤組成物に通常用いられるその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えばpH調整剤、キレート剤、ラジカルトラップ剤、芳香族化合物、緩衝剤、香料、溶媒、ハイドロトロープ剤、漂白活性化剤が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸系キレート剤が挙げられる。漂白剤組成物中、キレート剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.1〜2質量%であることが好ましい。
ラジカルトラップ剤としては、例えばp−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。漂白剤組成物中、ラジカルトラップ剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.01〜1質量%であることが好ましい。
溶剤としては、例えば芳香族化合物が挙げられ、例えばフェニルジグリコールが挙げられる。漂白剤組成物中、溶剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.1〜3質量%であることが好ましい。
緩衝剤としては、例えばクエン酸が挙げられる。漂白剤組成物中、緩衝剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.01〜1質量%であることが好ましい。
香料としては、香料原料単体、又は、香料原料と香料用溶剤と香料安定化剤等とからなる香料組成物を含むものであり、衣料用などの液体洗浄剤、液体漂白洗浄剤、液体漂白剤等に通常用いられる香料を配合することができる。漂白剤組成物中、香料の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
溶媒としては、水を用いることが好ましい。漂白剤組成物中、水の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、60〜95質量%であることが好ましい。
漂白剤組成物の総質量に対する(A)〜(E)成分、及びその他の成分の含有量の合計は100質量%を超えない。
ハイドロトロープ剤としては、例えば炭素数2〜4のアルコール類、グリコール類、ポリグリコール類、アルキルエーテル類などの水混和性有機溶剤;トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、安息香酸塩、尿素などが挙げられる。
漂白剤組成物中、緩衝剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.01〜15質量%であることが好ましい。
漂白活性化剤は、それ自体は漂白効果を持たないが、液体漂白剤組成物中で過酸化水素と反応して酸化力の高い有機過酸に変わる物質である。
漂白活性化剤としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、テトラアセチルエチレンジアミン;炭素数1〜18、好ましくは炭素数8〜12のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩;炭素数1〜18、好ましくは炭素数8〜12のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシ安息香酸又はその塩が挙げられる。このうち、4−デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(DOBS)、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)が好ましい。
これら漂白活性化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
漂白活性化剤の含有量は、漂白剤組成物の総質量に対して、0.1〜2質量%が好ましく、0.2〜1.5質量%がより好ましく、0.4〜1質量%がさらに好ましい。漂白活性化剤の含有量が上記下限値以上であると、液体漂白剤組成物における黄ばみに対する漂白力が高まり、上記上限値以下であると、液外観安定性の向上が図れる。
【0033】
<漂白剤組成物の組成>
本発明の漂白剤組成物は、以下の組成であることが好ましい。
漂白剤組成物中、(C)成分の質量に対する(B)成分の質量の比((B)フェノール系抗菌剤/(C)ノニオン界面活性剤、又は(B)/(C)ともいう)は、0.0005〜0.3であることが好ましく、0.001〜0.2であることがより好ましく、0.005〜0.1であることがさらに好ましい。(B)/(C)が前記範囲内であれば、抗菌性及び製造性をより高めやすい。
漂白剤組成物中、(A)成分の質量に対する(C)成分の質量の比((C)ノニオン界面活性剤/(A)過酸化水素、又は(C)/(A)ともいう)は、0.1〜20であることが好ましく、0.3〜15であることがより好ましく、0.5〜10であることがさらに好ましい。(C)/(A)が前記範囲内であれば、漂白剤組成物の洗浄力をより高められる。
漂白剤組成物中、界面活性剤の総質量は、漂白剤組成物の総質量に対して1〜40質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。界面活性剤の総質量が前記範囲内であれば、漂白剤組成物の洗浄力、安定性をより高め、製造性をより高めやすい。
漂白剤組成物中、界面活性剤の総質量に対する(C)成分の質量の比((C)ノニオン界面活性剤/総界面活性剤、又は(C)/界面活性剤の総量ともいう)は、0.05〜1であることが好ましく、0.2〜0.95であることがより好ましく、0.3〜0.9であることがさらに好ましい。(C)/界面活性剤の総量が前記下限値以上であれば、洗浄力をより高めることができる。界面活性剤の総量が前記上限値以下であれば、漂白剤組成物の安定性がより向上する。
漂白剤組成物の25℃でのpHは、pH2〜7が好ましく、pH2.5〜6がより好ましい。液体洗浄剤のpHが前記下限値以上であると、液体洗浄剤の外観安定性が高められやすくなり、また、適度な粘度の液体洗浄剤が得られやすくなる。液体洗浄剤のpHが前記上限値以下であると、漂白剤中の過酸化水素の安定性に優れる。なお、本発明における液体洗浄剤の25℃でのpHは、試料を25℃に調整し、pHメーター(例えば、東亜ディーケーケー株式会社製の製品名「HM−30G」を使用)等により測定される値を示す。
【0034】
<漂白剤組成物の製造方法>
漂白剤組成物は、例えば以下のようにして製造することができる。
精製水、(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、並びにpH調整剤及び香料以外の任意成分を混合する。得られた混合液にpH調整剤を添加し、混合液のpHを目標のpHから0.2程度低く調整する。混合液に、(B)成分を添加し、溶解させたあと、混合液に、さらに香料を添加し、pH調整剤を添加し目標のpHに調整し、さらに精製水を加えて得たい総量とする。
なお、上記において(B)成分を添加する際、(B)成分及び香料を混合した混合液を添加してもよい。
【0035】
<漂白剤組成物の使用方法>
本発明の漂白剤組成物の使用方法は、例えば、漂白剤組成物を対象物の汚れている部分に塗布し、すぐに洗浄剤を添加した水で対象物を洗浄する方法が挙げられる。
本発明の漂白剤組成物の使用方法は、例えば漂白剤組成物及び液体洗浄剤を対象物と共に水に投入して対象物を洗浄する方法、漂白剤組成物及び液体洗浄剤を溶解した水溶液に対象物を浸潤して対象物を洗浄する方法等が挙げられる。漂白剤組成物を水に溶解して用いる場合、水30Lに対して漂白剤組成物を15〜25mL添加する。
【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0037】
(A)成分:過酸化水素
過酸化水素:35質量%工業用過酸化水素、三菱ガス化学株式会社製。
(B)成分:フェノール系抗菌剤
チノサン:4,4’−ジクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、商品名「Tinosan HP100」、BASF社製。
(B)成分比較品1:カチオン界面活性剤
カチオン:ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ライオン・スペシャリティケミカルズ株式会社製、商品名「アーカード12−37W」;下記式(VI)の化合物。
【0038】
【化4】
[式中、R
9はドデシル基、R
10はメチル基、R
11はメチル基、R
12はメチル基である。Z
1−は、塩素イオンである。]
【0039】
(B)成分比較品2:ビグアニド化合物
ProxelIB:ポリヘキサメチレンビグアニド、ロンザジャパン株式会社製、商品名「Proxel IB」;下記式(VII)の化合物。
【0040】
【化5】
【0041】
(C)成分:ノニオン界面活性剤
AE6:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL−60」;下記式(III)において、R
1が炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、sが6である化合物。HLBは11.5であった。
R
1−O−(EO)s−H ・・・(III)
AE7:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、日本触媒社製、商品名「ソフタノール7」 アルキル基炭素数12〜14の直鎖型第2級アルコールに酸化エチレンを付加した化合物。HLBは12.1であった。
AE9:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL−90」;下記式(III)において、R
1が炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、sが9である化合物。HLBは13.4であった。
R
1−O−(EO)s−H ・・・(III)
AE15:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基を有する天然アルコール(第1級アルコール)に15モル相当のエチレンオキシドを付加した化合物;下記式(III)において、R
1が炭素数12、sが15の化合物、及び炭素数14、sが15の化合物の混合物。HLBは15.4であった。
R
1−O−(EO)s−H ・・・(III)
【0042】
(AE15合成方法)
プロクター・アンド・ギャンブル社製のCO−1214(商品名、炭素数12及び14の天然アルコール)861.2gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器内に仕込み、その反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、AE15を得た。
【0043】
(D)成分:アニオン界面活性剤
SAS:アルカンスルホン酸塩、炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム、クラリアントジャパン社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」。
石鹸:日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」。
【0044】
(E)成分:半極性界面活性剤
APAX:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、クラリアント社製、商品名「GENAMINOX AP」;下記式(V)において、R
6が炭素数11の直鎖状アルキル基であり、R
7及びR
8がメチル基であり、qが3である化合物。
【0045】
【化6】
【0046】
その他の成分:
キレート剤:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ローディア社製、商品名「BRIQUEST ADPA」。
ラジカルトラップ剤:p−メトキシフェノール、川口化学工業社製、商品名「MQ−F」。
粘度抑制剤:ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、日本乳化剤株式会社製、商品名「PhDG(90)」。
緩衝剤:クエン酸、関東化学株式会社製、試薬「クエン酸」。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
pH調整剤:水酸化ナトリウム:鶴見曹達(株)製。硫酸:東邦亜鉛(株)製。
水:精製水
ハイドロトロープ剤:パラトルエンスルホン酸、関東化学社製。
溶剤:ブチルカルビトール、日本乳化剤株式会社製、商品名「ブチルジグリコール」。
漂白活性化剤:4−ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS)、日東化成株式会社製。
【0047】
<実施例1〜16、比較例1〜5>
[漂白剤組成物の製造]
表2、表3に記載の組成に従い、各成分を以下のように混合して漂白剤組成物100gを作成した。漂白剤組成物を作成する際に、下記[製造性の評価]に記載のようにして漂白剤組成物の製造性を評価した。
室温(25±3℃)において、漂白剤組成物の総量の70質量%の精製水、(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、及び表4に記載の共通成分α、β(pH調整剤並びに香料以外)を混合した。得られた混合液にpH調整剤を添加し、混合液のpHを目標のpHよりも0.2程度低く調整した。混合液に、さらに(B)成分及び香料を添加し、精製水とpH調整剤を加えて目標pHの混合液100gとした。各漂白剤組成物の目標pHを表2、3に示す。
混合は、溶液中のマグネチックスターラーを200rpmにて回転させ、溶液を撹拌することによって行った。
共通成分α、βは、全ての実施例、比較例において表4に示す組成で用いた。水は漂白剤組成物が100gとなるように、バランスとして用いた。
なお、表2〜4中の組成は漂白剤組成物の総質量に対する質量%で表されたものである。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
作成した実施例1〜16、比較例1〜5の漂白剤組成物の抗菌力、洗浄力、及び製造性を、以下の方法に従って評価した。結果は表2〜4に記載のとおりである。
[抗菌力の評価]
SCD寒天培地(日本製薬株式会社製)上で37℃3日間培養した黄色ブドウ球菌を、U−2800(日立社製)で測定したOD値が0.1となるように滅菌水で希釈し試験菌液とした。各実施例及び比較例の漂白剤組成物を100倍に希釈して漂白液を得た。試験管に入れたSCD培地(日本製薬株式会社製社製)10mlに、漂白液0.33gを添加し、よく撹拌した。さらに、試験菌液を0.1ml添加し、よく撹拌した。試験官に蓋をして37℃で18時間培養した。
得られた液体のにごりを目視で確認し、抗菌力を評価した。評価は下記の基準に従って行った。
(評価基準)
A: にごりがなく、透明である
B: ややにごりがある(裏が透けて見える)
C: 強いにごりがある(裏が透けて見えない)
【0052】
[洗浄力の評価]
(1)紅茶汚れ汚垢布の作製
沸騰させた水道水(3°DH硬水)1Lに、ティーバッグ(三井農林社製、「日東紅茶アールグレイ」)5個を投入し、5分間軽く撹拌した後ティーバッグを取り出し、そこに30cm角の大きさの布(綿ブロード#100)を1枚浸漬させ、30分間放置した。次いで、布を取り出し、吊るし干しで風乾させた後、2cm角の大きさに切り出し、汚染布として用いた。
(2)洗浄試験
実施例1〜16及び比較例1〜5の漂白剤組成物を、それぞれ5枚の紅茶汚れ汚垢布に0.12mLずつ塗布し、5分間静置した。
次いで、15℃の水道水900mLに浴比20倍となるようにTerg−O−Tometer(UNITED STATES TESTING社製)を添加し、紅茶汚れ汚垢布5枚を入れ、120rpmで10分間洗浄した。
その後、洗浄後の紅茶汚れ汚垢布5枚を取り出し、紅茶汚れ汚垢布に対して、2槽式洗濯機(三菱電機株式会社製、CW−C30A1型)を用いて流水すすぎ3分間を行い、次いで脱水1分間を行った後、風乾した。
【0053】
(3)洗浄力の評価
測色色差計(日本電色社製、商品名SE2000)を用い、汚れ付着前の原布(綿布)、及び、洗浄試験前後の紅茶汚れ汚垢布についてのZ値をそれぞれ測定し、下式より洗浄率を算出した。この洗浄率の値が大きいほど、洗浄力が高いことを意味する。
洗浄率(%)=(洗浄後の紅茶汚れ汚垢布のZ値−洗浄前の紅茶汚れ汚垢布のZ値)/(原布のZ値−洗浄前の紅茶汚れ汚垢布のZ値)×100
5枚の紅茶汚れ汚垢布について算出した洗浄率の平均値を指標として、下記の評価基準に従い、洗浄力の評価を行った。評価は下記の基準に従って行った。
≪評価基準≫
A:洗浄率の平均値が35%以上。
B:洗浄率の平均値が30%以上35%未満。
C:洗浄率の平均値が30%未満。
【0054】
[製造性の評価]
漂白剤組成物の製造において、(B)成分を添加後の溶液の均一性を目視で評価した。評価は下記の基準に従って行った。
≪評価基準≫
A:撹拌5分未満で均一な溶液となった。
B:撹拌5分以上20分未満で均一な溶液となった。
C:撹拌20分以上45分未満で均一な溶液となった。
D:撹拌45分でも溶け残りや浮遊物が確認された。
【0055】
<結果>
本願の漂白剤組成物である実施例1〜16は、いずれも抗菌力及び洗浄力の評価がB以上であり、製造性の評価がC以上であった。
(A)成分を含まない比較例1は、優れた洗浄力が得られなかった。
(B)成分を含まない比較例2は、優れた抗菌力が得られなかった。
抗菌剤としてカチオン界面活性剤を用いた比較例3は、優れた抗菌力と製造性が得られなかった。
(C)成分を含まない比較例4は、優れた洗浄力が得られなかった。
抗菌剤としてビグアニド化合物を用いた比較例5は、優れた抗菌力が得られなかった。