(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、操作部が押しボタンスイッチの場合、押しボタンスイッチが操作パネルよりも前方に突出する。また、操作パネルが暖房装置の前面と面一であると、押しボタンスイッチが暖房装置の前面よりも前方に突出する。このため、押しボタンスイッチに引っ掛かり、誤操作されるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、前記する背景に鑑みて創案された発明であって、押しボタンスイッチの誤操作を招き難い暖房装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る暖房装置は、前壁と、前記前壁の下部に配置され、前記前壁の前面よりも後方に凹む凹面と、前記凹面内に配置された表示部と、前記凹面内に配置された押しボタンスイッチと、を備え、前記凹面は、下部から上部に向って次第に後方に傾斜する傾斜面であり、前記表示部と前記押しボタンスイッチは、前記傾斜面上に配置されて傾斜していることを特徴とする。
【0007】
前記発明によれば、前壁の前面から押しボタンスイッチが突出する突出量は、凹面の凹み量の分だけ低減する。このため、押しボタンスイッチに引っ掛かり難くなり、誤操作の可能性が低減する。
また、傾斜面内に配置された表示部は、前方(水平方向)ではなく、斜め上方を向く。このため、前面の下部に配置されたとしても、表示部が見易くなる。
同様に、押しボタンスイッチが斜め上方を向くため、押しボタンスイッチの押圧方向が斜め下方となる。このため、操作者は、上方から押しボタンスイッチを押圧し易くなり、操作性が向上する。
【0008】
また、前記発明において、前記押しボタンスイッチの被押圧面は、下部から上部に向って次第に後方に傾斜し、前記被押圧面と前記前面とが成す角度は、前記傾斜面と前記前面とが成す角度よりも大きいことが好ましい。
【0009】
前記構成によれば、被押圧面が傾斜面よりも上側を向くため、操作者は上方から押しボタンスイッチを押圧し易くなり、操作性がより向上する。
【0010】
また、前記発明において、前記押しボタンスイッチの被押圧面には、前記押しボタンスイッチを識別するための識別情報が示されていることが好ましい。
【0011】
前記構成によれば、凹面(傾斜面)よりも傾斜している被押圧面に識別情報が示されているため、識別情報を傾斜面に示した場合よりも、操作者が識別情報を認識し易く、誤操作を回避できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、押しボタンスイッチの誤操作を招き難い暖房装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
実施形態の暖房装置1は、灯油を燃焼し、その熱を室内に輻射させる輻射式の石油ストーブである。
図1に示すように、暖房装置1は、板状の下皿2と、下皿2の上面に取り付けられ灯油を燃焼する本体装置3と、を備える。
下皿2は、暖房装置1を床面に設置した場合、本体装置3を安定させるとともに、本体装置3から灯油が漏れたときに灯油を受けるための置台である。
【0016】
本体装置3は、内部に輻射室4を有する箱状の外装パネル5と、輻射室4内に配置された赤熱体(不図示)と、灯油を燃焼して赤熱体を加熱する燃焼部(不図示)と、燃焼部に空気を送る送気装置(不図示)と、各装置の駆動を制御するための制御部と、を備える。
【0017】
外装パネル5は、前後左右の側壁および上板が形成された金属製の箱体である。
外装パネル5内であって高さ方向の中央部には、上下左右後の金属板により区画された輻射室4が設けられている。
外装パネル5の前壁6の高さ方向の中央部には、輻射室4の前方を解放するための開口部6aが形成されている。
以上から、赤熱体の熱は、開口部6aを介して前方に輻射されて室内が温められる。
【0018】
外装パネル5の前壁6の下部左側には、四角形状の孔部6bが形成されている。そして、孔部6b内に操作パネル7が設けられている。
【0019】
図2に示すように、操作パネル7は、孔部6bの縁に沿って延在する環状の枠体10と、枠体10内の上側に位置する表示部20と、枠体10内であって表示部20の下方に位置する4つの基本操作部30と、枠体10内であって基本操作部30の下方に設けられた回動基材40と、回動基材40上に設けられた応用操作部50と、を備える。
【0020】
なお、説明の都合上、4つの基本操作部30に関し、左側から右側に向って順に第1基本操作部31、第2基本操作部32、第3基本操作部33、第4基本操作部34と称する。以下、操作パネル7の各構成の基本構成を説明する。
【0021】
図2、
図3に示すように、枠体10は、四角枠状を呈している。枠体10は、外周端から内周端に向って後方に延在し、外周端よりも内周端の方が後方に位置している。
このため、枠体10内に位置する表示部20と基本操作部30と回動基材40のそれぞれは、前壁6の前面6cよりも後方に位置している(
図3の矢印Sを参照)。言い換えると、操作パネル7が前壁6の前面6cよりも後方に窪む凹面になっている。
【0022】
図2に示すように、枠体10は、上側で左右に延在する上枠部10aと、上枠部10aの左端から下方に延びる左枠部10dと、左枠部10dの下端から右方に延びる下枠部10cと、下枠部10cの右端と上枠部10aの右端とに接続する右枠部10bと、を備える。
【0023】
図3に示すように、上枠部10aは、外周端から内周端に向って後側下方に延びて傾斜している。このため、枠体10の上部に配置された表示部20を上方から視認しても(
図3の矢印A参照)、上枠部10aが遮らないようになっている。
同様に、右枠部10b、左枠部10dも傾斜しており、表示部20を左右方向から視認し易くなっている。
なお、上枠部10aは、上下方向に比較的長く形成されている。そして、上枠部10aの後面にボス部10eが形成されている。
【0024】
図2に示すように、枠体10には、右枠部10bと左枠部10dとの間であって高さ方向中間部で左右方向に延在し、基本操作部30を支持する中間支持部11が設けられている。
図3に示すように、中間支持部11には、基本操作部30を収容するため、前後方向に貫通する貫通孔11aが形成されている。また、貫通孔11aは、基本操作部30の数に対応して4つ形成されている(
図2参照)。さらに、中間支持部11の前面には、装飾パネル11bが設けられている。
そのほか、枠体10には、中間支持部11の下方で前方に開口し、回動基材40を収容可能な収容部12が設けられている。
【0025】
表示部20は、情報を表示する液晶パネル21と、液晶パネル21の前方に配置され、液晶パネル21を保護する保護ガラス22と、を備える。
【0026】
液晶パネル21は、上枠部10aのボス部10eと中間支持部11の後面とにねじNで固定されている。そして、液晶パネル21の表示部分は、上枠部10aの後面と中間支持部との間に形成された上部開口部13を介して前方から視認可能になっている。
【0027】
保護ガラス22は、接着剤等により、上部開口部13の縁に固定されている。このため、保護ガラス22が上部開口部13を閉じ、液晶パネル21に埃、水等が付着しないようになっている。
また、保護ガラス22の前面と装飾パネル11bの前面とは、面一に形成されている。
【0028】
第1基本操作部31〜第4基本操作部34のそれぞれは、押しボタンスイッチ式の操作部材であり、貫通孔11a内に配置された基体35と、基体35の前部に装着された被覆部材36と、基体35を常時前方に付勢する圧縮コイルばね(不図示)と、を備える。
基体35は、貫通孔11aの内周面に支持され、前後方向に摺動自在になっている。
被覆部材36の前面は、操作者の手指が接触して押圧される操作面36aになっている。そして、押圧されていない場合、操作面36aが装飾パネル11bよりも前方に突出するようになっている。
一方で、前記したように操作パネル7が前壁6の前面6cよりも後方に窪む凹面になっていることから、操作面36aは前壁6の前面6cよりも後方に位置している。このため、操作面36aに引っ掛かり難くなっており、誤操作の可能性の低減化を図れる。
【0029】
図2に示すように、操作面36aは、制御部に対する指示内容(識別情報)が印字されており、操作者は、各ボタンの識別ができるようになっている。
具体的に、第1基本操作部31は、暖房装置1の運転開始又は運転停止を制御部に指示するための操作部であり、操作面36aに「ON/OFF」と印字されている。
第2基本操作部32は、所定時間経過後に暖房装置1の運転が開始されること又は運転が停止することを予め制御部に指示するための操作部であり、操作面36aに「タイマー」と印字されている。
第3基本操作部33は、運転時の目標温度を上げたり、又はタイマーの所定時間を増やしたりすることを制御部に指示するための操作部であり、操作面36aに「▲」と印字されている。
第4基本操作部34は、運転時の目標温度を下げたり、又はタイマーの所定時間を減らしたりすることを制御部に指示するための操作部であり、操作面36aに「▼」と印字されている。
【0030】
図2に示すように、回動基材40は、装飾パネル11bの下端近傍から前側下方に延びるとともに応用操作部50が設けられた第1斜面41と、第1斜面41の前端から後側下方に延びる第2斜面42と、を備える。
また、回動基材40は、収容部12の底面に設けられたヒンジ部43により回動自在に支持されている。そして、回動基材40を後方へ回動することで(
図3の矢印B参照)、回動基材40が収容部12内に収容され、第2斜面42が表示部20、装飾パネル11bと面一になる(
図3の破線L42参照)。
以下、表示部20の前面、装飾パネル11bの前面、第2斜面42とから成る平面を操作パネル7のパネル面7Aと称する。
つぎに、操作パネル7の詳細な構成を説明する。
【0031】
図3に示すように、枠体10内のパネル面7Aは、下部(回動基板40が収容部12内に収容された際の第2斜面42(
図3の破線L42を参照))から上部(保護ガラス22)に向って次第に後方に傾斜する傾斜面になっている。
言い換えると、パネル面7A上に配置された表示部20及び基本操作部30は、傾斜して前側斜め上方を向いている。パネル面7Aと垂線L1とが成す角度θ1は、2°〜8°程度の範囲内が好ましく、本実施形態では3°としている。これによれば、表示部20の視野角が上側にシフトし、操作者は、目の高さを下げることなく、表示部20の表示内容を認識することができるようなる。この結果、操作者は、腰を屈めて視線を下げるという動作が不要となり、労力が低減される。
なお、角度θ1を10°程度まで大きくすると、操作者が、遠くの低い位置から表示部20を見た場合に、表示内容が認識しづらくなるため、角度θ1は最大でも8°程度に留めることが好ましい。
同様に、各基本操作部30が斜め上方を向くため、基本操作部30の移動方向が斜め下方となる。このため、操作者は、上方から基本操作部30を押圧し易くなり、操作性が向上する。
【0032】
基本操作部30の操作面(被押圧面)36aは、下部から上部に向って次第に後方に傾斜している。
また、操作面36aと垂線L1とが成す角度θ2は、パネル面7Aと垂線L1とが成す角度θ1よりも大きく、角度θ2は10°〜20°程度が好ましく、本実施形態では16°としている。
これにより、操作面36aは、パネル面7Aよりもさらに上側を向くため、表示部20の認識のし易さを変えることなく、操作者は上方から基本操作部30を押圧し易くなり、操作性がより向上する。
また、操作面36a上の識別情報は、パネル面7Aに印字された場合よりもさらに上側を向くため、操作者が識別情報を認識し易くなり、誤操作を回避できる。
【0033】
以上、実施形態について説明したが、本発明は実施形態で説明した例に限定されない。
例えば、実施形態では、パネル面7A上に基本操作部30のみが形成されているが、さらに応用操作部50をパネル面7A上に形成してもよい。
また、識別情報が操作面36a上に示されているが、パネル面7A上に示してもよい。