(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667416
(24)【登録日】2020年2月27日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】突入電流抑制装置付開閉器
(51)【国際特許分類】
H01H 33/16 20060101AFI20200309BHJP
H01H 33/12 20060101ALI20200309BHJP
H01H 33/42 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
H01H33/16
H01H33/12
H01H33/42 P
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-208004(P2016-208004)
(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公開番号】特開2018-73482(P2018-73482A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593180402
【氏名又は名称】東洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】若林 哲史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳己
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 康和
【審査官】
北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−133263(JP,A)
【文献】
特開2009−026627(JP,A)
【文献】
特開昭56−096425(JP,A)
【文献】
米国特許第02840671(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/00−33/59
H01H 9/30− 9/56
H02B 5/02
H02H 7/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースの主面に取り付けられ、電源に電気的に接続される一次端子と、
負荷装置に電気的に接続される二次端子と、
前記一次端子と電気的に接続される主接点と、
消弧性および絶縁性を有する部材で構成される消弧室と、
前記一次端子と電気的に接続され、前記消弧室の内部に設けられる補助接点と、
鉛直方向上端が前記消弧室の鉛直方向上端より低い状態で、前記消弧室より前記主面に近い位置に設けられ、絶縁性を有するカバーで覆われ、一端が前記一次端子に電気的に接続される抵抗素子と、
前記抵抗素子の他端に電気的に接続される抵抗側接点と、
前記ベースに設けられた支点を中心に前記ベースに対して回動可能に支持されるアームと、
前記アームに取り付けられ、前記二次端子に電気的に接続され、前記アームの回動に従って動くことで、前記主接点、前記抵抗側接点、および前記補助接点に接触する可動接触子と、
を備え、
前記負荷装置を前記電源に投入する投入動作時に、前記アームの回動に従って動く前記可動接触子は、前記抵抗側接点に接触した後に、前記抵抗側接点に接触した状態で前記主接点および前記補助接点に接触し、前記負荷装置が前記電源に投入されている投入状態において、前記可動接触子は少なくとも前記主接点および前記補助接点のそれぞれと係合し、
前記負荷装置を前記電源から切り離す開放動作時に、前記アームの回動に従って動く前記可動接触子は、前記主接点および前記抵抗側接点から離脱した後に、前記補助接点から離脱し、
前記消弧室は、前記開放動作時において、前記可動接触子が前記補助接点から離脱する時に生じるアークを消弧する、
突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項2】
前記主接点および前記抵抗側接点は、前記消弧室の前記二次端子の側に設けられ、
前記アームは、一端が前記支点に固定されることで、他端が回動可能に支持され、
前記可動接触子は、
前記アームの回動する前記他端に取り付けられ、前記投入状態において、前記主接点と係合する主接触子と、
長手方向が前記アームの長手方向と一致する始点と前記始点から前記投入動作時に前記アームが回動する第1の方向に回動した位置である終点との間を回動可能に、前記アームに取り付けられ、前記投入状態において、前記抵抗側接点および前記補助接点のそれぞれと係合する板状の補助接触子と、
を有し、
一端が前記アームに取り付けられ、他端が前記補助接触子に取り付けられ、前記補助接触子を前記アームに対して前記第1の方向と反対方向に付勢するばねをさらに備え、
前記投入動作時に、前記補助接触子は前記アームと一体に前記第1の方向に回動し、前記補助接触子が前記抵抗側接点に接触した後に、前記主接触子が前記主接点に接触し、前記補助接触子の先端部分が前記補助接点に接触し、
前記開放動作時に、前記補助接触子の前記先端部分が前記補助接点に接触した状態で、前記アームが定められた位置まで回動することで、前記主接触子が前記主接点から離脱し、前記補助接触子が前記抵抗側接点から離脱し、前記アームが前記定められた位置まで回動した後に、前記補助接触子は前記アームに対して前記第1の方向と反対方向に回動し、前記補助接点から離脱する、
請求項1に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項3】
前記補助接触子は、前記アームに取り付けられる位置から前記アームの長手方向に延びた位置で、前記第1の方向と前記第1の方向の反対方向とに分岐し、前記第1の方向への分岐は、前記投入状態において、前記抵抗側接点と係合する突起を形成し、前記第1の方向の反対方向への分岐は、前記第1の方向の反対方向へ延びてから前記第1の方向に向かって湾曲した位置で、前記アームの長手方向に延びる、
請求項2に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項4】
前記消弧室は、前記負荷装置が前記電源から切り離されている開放状態において前記補助接触子と対向する面が開口であり、前記主接点および前記抵抗側接点と対向する面は閉じられている、
請求項2または3に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項5】
前記抵抗素子の電極が対向する方向は、前記一次端子と前記二次端子の間隔方向と直交し、かつ、前記主面に平行な方向である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項6】
前記抵抗素子の電極が対向する方向は、前記主面に直交する方向である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【請求項7】
前記抵抗素子の電極が対向する方向は、前記一次端子と前記二次端子の間隔方向および前記主面のそれぞれに平行な方向である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の突入電流抑制装置付開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁突入電流の発生を抑制する突入電流抑制装置付開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷装置を電力系統に投入する際には、突入電流が発生することがある。例えば変圧器を電力系統に投入する際に、一時的に変圧器の定格電流の数倍から数十倍の励磁突入電流が流れることがある。励磁突入電流により、該電力系統の電圧が一時的に低下し、該電力系統に接続されている精密機器の機能喪失、該電力系統の保護継電器の誤動作または該電力系統に接続されている近隣需要家における電圧変動などが生じる可能性がある。励磁突入電流の大きさおよび継続時間は、鉄心の飽和特性、鉄心の残留磁束、投入位相、または変圧器のインピーダンスなどに依存する。
【0003】
特許文献1に開示される開閉器は、消弧室内に配置される補助電極に接続される抵抗体を備える。該開閉器の投入時に可動電極が補助電極に接触することで、励磁突入電流の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−133263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開閉器は、高電圧受電設備キュービクルの内部または屋内電気室の内部の変圧器の上などに設置される。そのため、鉛直方向の寸法の縮小化が求められる。特許文献1に開示される開閉器においては、抵抗体が消弧室の異相間方向の側面に傾斜して設置されている。該開閉器において、抵抗体の先端部分は、電源側接続端子よりも鉛直方向の上側に位置する。このため、特許文献1に開示される開閉器は、鉛直方向の寸法に制約がある箇所に設置できない可能性がある。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、突入電流抑制装置付開閉器の小型化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る突入電流抑制装置付開閉器は、一次端子、二次端子、主接点、消弧室、補助接点、抵抗素子、抵抗側接点、アーム、および可動接触子を備える。一次端子は、ベースの主面に取り付けられ、電源に電気的に接続される。二次端子は、負荷装置に電気的に接続される。主接点は、一次端子と電気的に接続される。消弧室は、消弧性および絶縁性を有する部材で構成される。補助接点は、一次端子と電気的に接続され、消弧室の内部に設けられる。抵抗素子は、
鉛直方向上端が消弧室の鉛直方向上端より低い状態で、消弧室より主面に近い位置に設けられ、絶縁性を有するカバーで覆われ、一端が一次端子に電気的に接続される。抵抗側接点は、抵抗素子の他端に電気的に接続される。アームは、ベースに設けられた支点を中心にベースに対して回動可能に支持される。可動接触子は、アームに取り付けられ、二次端子に電気的に接続され、アームの回動に従って動くことで、主接点、抵抗側接点、および補助接点に接触する。負荷装置を電源に投入する投入動作時に、アームの回動に従って動く可動接触子は、抵抗側接点に接触した後に、抵抗側接点に接触した状態で主接点および補助接点に接触し、負荷装置が電源に投入されている投入状態において、可動接触子は少なくとも主接点および補助接点のそれぞれと係合する。負荷装置を電源から切り離す開放動作時に、アームの回動に従って動く可動接触子は、主接点および抵抗側接点から離脱した後に、補助接点から離脱する。消弧室は、開放動作時において、可動接触子が補助接点から離脱する時に生じるアークを消弧する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消弧室よりベースの主面に近い位置に絶縁性を有するカバーで覆われた抵抗素子を設けることで、突入電流抑制装置付開閉器の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】実施の形態に係る開閉器の開放状態における側面図
【
図6】実施の形態に係る開閉器の開放状態における側面図
【
図7】実施の形態に係る開閉器における抵抗素子の配置例を示す斜視図
【
図8】実施の形態に係る開閉器における抵抗素子の配置例を示す斜視図
【
図11】実施の形態に係る開閉器の投入動作時の動きを示す図
【
図12】実施の形態に係る開閉器の投入動作時の動きを示す図
【
図13】実施の形態に係る開閉器の投入動作時の動きを示す図
【
図14】実施の形態に係る開閉器の開放動作時の動きを示す図
【
図15】実施の形態に係る開閉器の開放動作時の動きを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る開閉器の正面図である。突入電流抑制装置付開閉器1(以下、開閉器1という)は、図示しない電源と負荷装置との間に設けられる。開閉器1は、電源と、例えば三相変圧器である負荷装置との間に設けられる。本実施の形態では、ベース10の主面10aに設けられる一次端子11が電源に電気的に接続され、二次端子12が負荷装置に電気的に接続される。
図1の例では、主面10aと直交する方向をY軸方向とする。また一次端子11と二次端子12との間隔方向をZ軸方向とする。Y軸方向およびZ軸方向と直交する方向をX軸方向とする。
図2および
図3は、実施の形態に係る開閉器の側面図である。
図2は、X軸正方向から見た側面図である。
図3は、X軸負方向から見た側面図である。
図4は、実施の形態に係る開閉器の上面図である。
【0012】
開閉器1が投入されることで、負荷装置が電源に投入される。開閉器1が開放されることで、負荷装置が電源から切り離される。
図1から
図4は、負荷装置が電源に投入されている投入状態における図である。
図5および
図6は、実施の形態に係る開閉器の開放状態における側面図である。
図5は、X軸正方向から見た側面図である。
図6は、X軸負方向から見た側面図である。
【0013】
開閉器1は、それぞれが一次端子11と電気的に接続される、主接点19、抵抗側接点20および補助接点21を備える。補助接点21は、消弧性および絶縁性を有する部材で構成される消弧室14の内部に設けられる。開閉器1は、絶縁性を有するカバー16で覆われ、消弧室14より主面10aに近い位置に設けられる抵抗素子17を備える。抵抗素子17の一端は一次端子11に電気的に接続され、他端は抵抗側接点20に電気的に接続される。開閉器1はさらに、ベース10に設けられた支点25を中心にベース10に対して回動可能に指示されるアーム24を備える。アーム24には、可動接触子15が取り付けられ、アーム24の回動に従って可動接触子15が動く。可動接触子15は、二次端子12に電気的に接続される。本実施の形態においては、可動接触子15は、ヒューズリンク13を介して二次端子12に電気的に接続される。ヒューズリンク13の代わりに、導体を用いてもよい。可動接触子15は、アーム24の回動に従って動くことで、主接点19、抵抗側接点20、および補助接点21に接触する。
【0014】
電動操作機構部18の操作に応じて、開閉器1は、負荷装置を電源に投入する投入動作および負荷装置を電源から切り離す開放動作を行う。投入動作時に、アーム24の回動に従って動く可動接触子15は、抵抗側接点20に接触した後に、抵抗側接点20に接触した状態で主接点19および補助接点21に接触する。負荷装置が電源に投入されている投入状態において、可動接触子15は、少なくとも主接点19および補助接点21のそれぞれと係合する。開放動作時に、アーム24の回動に従って動く可動接触子15は、主接点19および抵抗側接点20から離脱した後に、補助接点21から離脱する。消弧室14は、開放動作時において、可動接触子15が補助接点21から離脱する時に生じるアークを消弧する。
【0015】
図1から
図6の例では、主接点19および抵抗側接点20は、消弧室14の二次端子12の側に設けられる。アーム24は、一端が支点25に固定されることで、他端が回動可能に支持される。投入動作時において、アーム24は、支点25に固定された一端を中心に、他端が
図5および
図6において破線の矢印で示す第1の方向に回動する。可動接触子15は、アーム24の回動する他端に取り付けられ、投入状態において主接点19と係合する主接触子22と、投入状態において抵抗側接点20および補助接点21のそれぞれと係合する板状の補助接触子23とで構成される。補助接触子23は、長手方向がアーム24の長手方向と一致する始点と、始点から第1の方向に回動した位置である終点との間を回動可能に、アーム24に取り付けられる。
【0016】
開閉器1はさらに、一端がアーム24に取り付けられ、他端が補助接触子23に取り付けられ、補助接触子23をアーム24に対して第1の方向と反対方向に付勢するばね26を備える。ばね26は、例えばねじりコイルばねである。開閉器1は、補助接触子23が終点を超えて第1の方向へ回動することを規制する、アーム24に取り付けられた規制部を備えてもよい。投入動作時に、補助接触子23はアーム24と一体に第1の方向に回動し、補助接触子23が抵抗側接点20に接触した後に、補助接触子23の先端部分231が補助接点21に接触し、主接触子22が主接点19に接触する。開放動作時に、補助接触子23の先端部分231が補助接点21に接触した状態で、アーム24が第1の方向と反対方向に回動することで、主接触子22が主接点19から離脱し、補助接触子23が抵抗側接点20から離脱する。さらにアーム24が第1の方向と反対方向に回動し、アーム24が定められた位置まで回動する。アーム24が定められた位置まで回動した時点で、補助接触子23は終点に位置する。アーム24が定められた位置まで回動すると、ばね26によって付勢された、あるいは規制部によって第1の方向と反対方向に押し上げられた補助接触子23はアーム24に対して第1の方向と反対方向に回動し、補助接点21から急速に離脱する。
【0017】
本実施の形態では、補助接触子23は、アーム24に取り付けられた位置からアーム24の長手方向に延びた位置で、第1の方向と第1の方向の反対方向とに分岐する。第1の方向への分岐は、投入状態において、抵抗側接点20と係合する突起232を形成する。第1の方向の反対方向への分岐は、第1の方向の反対方向へ延びてから第1の方向に向かって湾曲した位置で、アーム24の長手方向に延びる。
【0018】
図7および
図8は、実施の形態に係る開閉器における抵抗素子の配置例を示す斜視図である。
図9および
図10は、実施の形態に係る開閉器の部分断面図である。
図9は、
図6におけるA−A線での断面の一部を示す図である。
図10は、
図9におけるB−B線での断面図である。
図7から
図10では、消弧室14および抵抗素子17の周辺のみ記載した。消弧室14は、プレート141を介して主面10aに取り付けられる。消弧室14の面の内、開放状態において補助接触子23と対向する面には開口142が形成される。消弧室14の主接点19および抵抗側接点20と対向する面は閉じられている。上述のように、補助接触子23が、第1の方向の反対方向へ延びてから、第1の方向に向かって湾曲する形状を有するため、消弧室14の主接点19および抵抗側接点20と対向する面に開口を設けなくとも、補助接触子23の先端部分231が補助接点21に接触することができる。これにより消弧室14の消弧性能を向上させることが可能である。抵抗側接点20は、図示しないZ軸方向に延びる締結部材によって、消弧室14に固定される。
【0019】
抵抗素子17は、例えばセラミック抵抗である。本実施の形態において、抵抗素子17の電極が対向する方向は、X軸方向である。抵抗素子17の電極はそれぞれ、金属蓋171a,171bで覆われている。抵抗素子17の電極間は、磁器または樹脂で構成される抵抗素子カバー172で覆われている。抵抗素子17の一方の電極は、取付板173aによって、抵抗側接点20と電気的に接続される。抵抗素子17の他方の電極は、取付板173bによって一次端子11と電気的に接続される。また抵抗素子17は、取付板173a,173bによってプレート141に固定される。取付板173a,173bの代わりに、導体を用いて抵抗素子17を抵抗側接点20および一次端子11のそれぞれと電気的に接続してもよい。その場合、導電性を有しない部材によって抵抗素子17がプレート141に固定される。抵抗素子17を、絶縁性を有するカバー16で覆い、消弧室14より主面10aに近い位置に設けることで、開閉器1のZ軸方向の寸法を低減することができ、開閉器1を小型化することが可能である。
【0020】
図11から
図13は、実施の形態に係る開閉器の投入動作時の動きを示す図である。
図11から
図13においては、主接触子22および補助接触子23で構成される可動接触子15および主接点19、抵抗側接点20、および補助接点21の周辺についてのみ記載した。消弧室ベース部143に消弧室14が取り付けられる。なお
図11から
図13において、消弧室14の記載を省略した。投入動作時に、補助接触子23はアーム24と一体に第1の方向に回動する。
図11に示すように、補助接触子23の突起232が抵抗側接点20に接触する。その後に、
図12に示すように、補助接触子23の先端部分231が補助接点21に接触する。そして、
図13に示すように、主接触子22が主接点19に接触する。主接点19および抵抗側接点20はX軸方向に押圧するクリップ形状である。この形状により、投入状態において、主接触子22が主接点19と係合し、補助接触子23の突起232が抵抗側接点20と係合する。補助接点21の先端部分には、Y軸方向に対して傾斜した平板が設けられている。投入状態において、補助接触子23の先端部分231が、平板に係止することで、補助接触子23の先端部分231が補助接点21と係合する。
【0021】
図14および
図15は、実施の形態に係る開閉器の開放動作時の動きを示す図である。図の見方は、
図11から
図13と同様である。開放動作時に、補助接触子23の先端部分231が補助接点21に接触した状態で、アーム24が第1の方向と反対方向に回動することで、
図14に示すように、主接触子22が主接点19から離脱する。ここで、補助接点21に先端部分231が係合しているので、アーム24の回動によって、ばね26の付勢力に抗して補助接触子23がアーム24に対して第1の方向に回動する。その結果、先端部分231が補助接点21と接触した状態で、突起232が抵抗側接点20から離脱する。さらにアーム24が第1の方向と反対方向に回動し、アーム24が定められた位置まで回動すると、ばね26の付勢力が、先端部分231と補助接点21との係合力に打ち勝って、あるいは、アーム24の規制部が補助接触子23に当接して補助接触子23を第1の方向と反対方向に押し上げるので、先端部分231が補助接点21から離脱する。先端部分231が補助接点21から離脱すると、ばね26によって付勢された補助接触子23はアーム24に対して第1の方向と反対方向に回動する。ばね26の付勢力によって補助接触子23がアーム24に対して第1の方向と反対方向に回動することで、補助接触子23の先端部分231が補助接点21から急速に離脱する。消弧室14は、ばね26によって付勢された補助接触子23が補助接点21から離脱する際に生じるアークを消弧する。
【0022】
図16から
図19は、実施の形態に係る開閉器の部分断面図である。図の見方は、
図9および
図10と同様である。
図17は、
図16におけるC−C線での断面図である。
図19は、
図18におけるD−D線での断面図である。
図16および
図17の例では、上述の実施の形態とは異なり、抵抗素子17の電極方向がY軸方向である。
図18および
図19の例では、上述の実施の形態とは異なり、抵抗素子17の電極方向がZ軸方向である。いずれの場合においても、抵抗素子17が絶縁性を有するカバー16に覆われ、消弧室14より主面10aに近い位置に設けられるため、開閉器1の小型化が可能である。
【0023】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態に係る開閉器1によれば、抵抗素子17を絶縁性を有するカバー16で覆い、消弧室14より主面10aに近い位置に設けることで、開閉器1の小型化が可能である。
【0024】
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。可動接触子15の形状は、上述の実施の形態に限られない。また補助接触子23の形状は、上述の実施の形態に限られない。
【符号の説明】
【0025】
1 開閉器、10 ベース、10a 主面、11 一次端子、12 二次端子、13 ヒューズリンク、14 消弧室、15 可動接触子、16 カバー、17 抵抗素子、18 電動操作機構部、19 主接点、20 抵抗側接点、21 補助接点、22 主接触子、23 補助接触子、24 アーム、25 支点、26 ばね、141 プレート、142 開口、143 消弧室ベース部、171a,171b 金属蓋、172 抵抗素子カバー、173a,173b 取付板、231 先端部分、232 突起。