【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的にいうと、本発明は先行技術の不利益を少なくとも部分的に克服するという課題に対処するものである。
【0008】
対処されるさらなる課題は、基体上の金粒子を低温で光沢のある層に転換することである。
【0009】
加えて対処される課題は、金層を含む層構造を生成するための効率的かつ安価なプロセスを提供することである。
【0010】
対処されるさらなる課題は、層構造を生成するための非常に環境に優しいプロセスを提供することである。
【0011】
加えて対処される課題は、広範囲に変動させ得る厚さを有する金層を有する層構造を提供可能にすることである。
【0012】
さらに対処される課題は、非常に固く接着する金コーティングを有する層構造を生成するためのプロセスを提供することである。
【0013】
対処されるさらなる課題は、非常に光沢のある表面を有する層構造を生成可能にすることである。
【0014】
加えて対処される課題は、溶媒中に金粒子を含有する組成物を提供することであり、この組成物から低温で金層を形成できる。
【0015】
本発明は最初に、層構造を生成するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
E1.i.0.1重量%から50重量%の範囲の量の金(Au)粒子、
ii.100重量%に対する残余量の極性プロトン性有機溶媒、
iii.5重量%未満の水
を含む組成物を提供するステップであって、各場合の重量%は組成物の総質量に基づくものであり、合計100重量%となる、提供するステップ;
E2.その組成物を基体に適用して前駆物質を与えるステップ;
E3.その前駆物質を25℃から300℃の範囲内、好ましくは25℃から250℃の範囲内、特に好ましくは25℃から200℃の範囲内の温度に加熱して、層構造を与えるステップ
を含む。
【0016】
ステップE1.における組成物の提供は、こうしたプロセスに対する組成物を提供するために当業者が選択する任意のやり方によって行われ得る。好ましくは、この組成物はステップE2.における組成物の適用のために好適な容器にて提供される。さらに、この容器は好ましくは組成物の計量放出のための弁を有する容器である。
【0017】
組成物は、組成物の総質量に基づいて0.1重量%から50重量%の範囲、好ましくは0.5重量%から40重量%の範囲、または好ましくは1重量%から20重量%の範囲の量の金(Au)粒子を含む。さらに組成物は、組成物の総質量に基づいて5重量%未満、好ましくは4重量%未満、または好ましくは3重量%未満の水を含む。組成物は、付加的に少なくとも1つのさらなる成分を含み得る。
【0018】
組成物は、組成物の総質量に基づいて100重量%に対する残余量として、極性プロトン性有機溶媒を含み、ここで各場合の重量%は組成物の総質量に基づくものであり、合計100重量%となる。極性プロトン性有機溶媒は、このプロセスに対して当業者が使用する任意の極性プロトン性有機溶媒であり得る。本発明の目的に対して、プロトン性溶媒は、より電気陰性度の高い元素に結合しているために容易に開裂し得る水素原子を含有する。極性プロトン性有機溶媒は、好ましくは2から20の炭素原子を有する。さらに、極性プロトン性有機溶媒は、たとえば−OH、−SH、−NH、−NH
2、−COOHなどの、少なくとも1つの極性プロトン性ラジカルを有する。極性プロトン性有機溶媒の典型的な例は、アルコール、アミン(本発明の目的に対して、アミンは脂肪族および脂環式アミンである)、酸アミド、およびカルボン酸である。ここでは特に、たとえばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールおよび2−メチル−2−プロパノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、またはそれらの少なくとも2つの混合物などの低級アルコールが好ましい。
【0019】
さらに、極性プロトン性有機溶媒は、グリコール、アミン、酸アミド、およびカルボン酸、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。グリコールは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロベンゼン、L−アドレナリン、単糖、二糖、液体ポリオールと混合された単糖または二糖、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、好ましくは3から500の繰り返し単位を有するポリエチレングリコール、たとえばモノ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコールなど、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。アミンは、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ジ(2−シアノエチル)アミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン、およびトリプロパノールアミン、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。酸アミドは、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ペンタンアミド、ヘキサンアミド、ヘプタンアミド、オクタンアミド、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。カルボン酸は、ギ酸、酢酸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、ニコチン酸、コハク酸、マレイン酸、サリチル酸、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。示されるアルコールが好ましい。
【0020】
極性プロトン性有機溶媒とは別に、組成物は好ましくは少なくとも1つのさらなる非プロトン性溶媒を含む。非プロトン性溶媒は、ケトン、アルデヒド、およびスルホキシド、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。ケトンは、炭酸エチレン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、シクロヘキサノンからなる群より選択され得る。アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、カプリルアルデヒド、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。スルホキシドは、たとえばジメチルスルホキシドなどであり得る。好ましくは、組成物はその組成物の総質量に基づいて0.1重量%から10重量%、または好ましくは0.2重量%から9重量%、0.5重量%から5重量%の非プロトン性溶媒を含む。
【0021】
前駆物質を与えるために組成物を基体に適用することは、こうしたプロセスにおいて組成物を適用するために当業者が選択する任意のやり方で行われ得る。ここで、以後基体層とも呼ばれる基体は、好ましくは少なくとも部分的に組成物で覆われる。
【0022】
適用は好ましくは組成物の堆積、もしくは組成物への浸漬、またはそれら2つの組み合わせであり得る。組成物の堆積による適用は、たとえばスピンコーティング、含浸、注入、滴下、噴射、噴霧、ドクターブレードコーティング、塗布、または印刷、たとえば基体層への計量ポンプまたはインクジェット、スクリーン、グラビア、オフセットまたはパッド印刷などによるものなどによってもたらされ得る。組成物は、好ましくは計量ポンプ、インクジェット印刷、スクリーン印刷、またはグラビア印刷によって基体層に適用される。組成物は、好ましくは0.01μmから250μmの湿潤フィルム厚、好ましくは0.1μmから50μmの湿潤フィルム厚にて適用される。
【0023】
本発明の目的に対して、堆積とは、好ましくは液体または印刷組成物とも呼ばれる適用に用いられる組成物が、被覆されるべき表面にノズルの形の補助によって適用されることを意味する。堆積はさまざまな補助によってもたらされ得る。よって適用または被覆に用いられる印刷組成物は、基体層の上において/上に向けて、ノズルを通じて噴霧もしくは噴射されるか、またはスリットダイによって堆積されてもよい。さらなる方法は、カーテン鋳造およびスピンコーティングである。加えて、適用または被覆に用いられる印刷組成物は、たとえば基体の表面に対する/表面上へのロールまたはローラーなどによって適用または印刷され得る。公知の噴霧または噴射プロセスは、たとえばノズルによるマイクロ計量またはデジタル印刷などである。ここで、適用または被覆用印刷組成物はしぼり出されてもよいし、適用用印刷組成物は単にノズルを通じて表面上に滴下されることによって適用されてもよい。
【0024】
さらなる印刷プロセスとして、好ましくはスクリーン印刷プロセスが使用され得る。スクリーン印刷プロセスにおいては、寸法的に非常に安定した材料、たとえば木材、金属、好ましくは鋼、セラミックまたはポリマーなどからなり、かつ選択されたメッシュ開口部サイズを有するスクリーンが、被覆されるべき物体、この場合には基体の上または上方に配置される。適用または被覆用印刷組成物は、ノズルを介してこのスクリーンに適用され、ドクターブレードによってメッシュに押込まれる。ここでは、スクリーンのパターンの結果として、異なる場所に異なる量の適用または被覆用印刷組成物が適用され得る。よって、メッシュ開口部のジオメトリおよび配置によって、被覆用印刷組成物の均一なフィルムが適用され得るか、または適用用印刷組成物がまったくもしくはほとんどない領域と、大量の適用用印刷組成物を有する領域とが交互になるかが決まる。表面に被覆用印刷組成物の均一なフィルムを適用することが好ましい。たとえばパターンなどの規定された構造などを得るために、メッシュが開口している規定領域においてのみ印刷組成物が基体に移されるように、適切に適用された材料(複写層、スクリーン印刷テンプレート)によってスクリーンのメッシュ開口部が部分的に閉じられてもよい。さらに、印刷組成物による被覆のために、スクリーンの代わりに規定の開口部を有する薄膜(ステンシル)が用いられてもよい。
【0025】
ノズルまたはロールまたはローラーの構成、ならびに被覆用組成物の粘度および極性に依存して、基体層の所望の表面に異なる厚さを有する層を適用できる。適用または被覆において適用される層は、好ましくは0.5μmから100μmの範囲内、好ましくは1μmから50μmの範囲内、特に好ましくは2μmから30μmの範囲内の厚さにて適用される。適用される層の厚さは、以後湿潤層厚と呼ばれる。湿潤層厚は、被覆の際に適用されるそれぞれの材料に依存する。湿潤層厚は、被覆するステップの直後に測定される。
【0026】
浸漬において、コートされるべき表面は、たとえば適用用組成物を含む浴槽に通される。代替的には、浸漬コーティングで行われるのと同様に、その表面を適用用組成物に単純に浸漬して、再び引き出してもよい。適用の際の複数の浸漬によって、異なる厚さのコーティングが達成され得る。加えて上述のとおり、コーティングの厚さは適用用組成物の選択に依存する。このやり方で、適用の際にそれぞれのコーティングの0.5μmから100μmの範囲内、好ましくは1μmから50μmの範囲内、特に好ましくは2μmから30μmの範囲内の湿潤層厚が達成され得る。堆積および浸漬プロセスの組み合わせを使用することも想定され得る。
【0027】
一実施形態において、使用される組成物の適用は、たとえば基体などの被覆されるべき層のそれぞれの表面の上に設けられた適用オリフィスを通じてもたらされる。ここで適用オリフィスは、好ましくは適用用組成物を介してその表面に結合される。マイクロ計量としても公知であるこのプロセスは、ここでの基体表面などの物体に簡単なやり方で異なる厚さのコーティングを適用することを可能にするという特定の特性を有する。適用オリフィスはあらゆる想定可能な形状およびサイズを有し得る。たとえば適用オリフィスは、円形、楕円形、角のある形、および星形、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される形状を有し得る。適用オリフィスは、10nm
2から1mm
2、好ましくは100nm
2から0.5mm
2、特に好ましくは100nm
2から100μm
2の面積を有し得る。好ましくは、適用用組成物は2000mbarから10000mbarの範囲内、好ましくは2500mbarから5000mbarの範囲内、特に好ましくは3000mbarから4000mbarの範囲内の圧力によって、ノズルを通じて表面上に適用される。被覆用組成物を基体の表面に結合することによって、適用中に適用用組成物が表面から脱離することを防ぐことが可能になる。このやり方で、非常に均質なフィルムを表面に適用し得ることを確実にできる。
【0028】
組成物の適用は、好ましくはスクリーン印刷プロセスまたはグラビア印刷プロセスによって行われる。このプロセスの好ましい実施形態において、印刷の際に組成物はスクリーンを通じて適用されるか、または印刷シリンダによって適用される。スクリーンは、好ましくは鋼またはステンレス鋼で構成されたフレームを含む。同様に好ましくはステンレス鋼ワイヤまたは高強度合成繊維からなるメッシュまたはスクリーンが、好ましくはフレーム内に配置される。
【0029】
このプロセスの好ましい実施形態において、スクリーンは1μmから300μmの範囲内、好ましくは2μmから200μmの範囲内、または好ましくは3μmから90μmの範囲内のメッシュ開口部サイズを有する。これは各場合において、約70メッシュから635メッシュ、または約100メッシュから600メッシュ、または約200メッシュから500メッシュのメッシュ数に対応し、このメッシュの単位は、メッシュワイヤ/インチまたはメッシュワイヤ/2.54cmに対応する。スクリーン印刷による適用の場合、任意の市販ドクターブレードがドクターブレードとして用いられ得る。ドクターブレードは、好ましくはポリマーを含む。ドクターブレードは、好ましくは40ショアAから80ショアAの範囲内のドクターブレード硬度を有する。組成物は、好ましくは500mPa*sから100000mPa*sの範囲内、または好ましくは700mPa*sから50000mPa*sの範囲内の粘度を有する。
【0030】
基体は、基体への組成物の適用を可能にする任意の形状を有し得る。基体は、好ましくは少なくとも1つの連続した表面を有する。この少なくとも1つの連続した表面は、好ましくは1mm
2から10m
2の範囲内、または好ましくは10mm
2から5m
2の範囲内、または好ましくは100mm
2から1m
2の範囲内の面積を有する。基体は球形、円形、角のある形、円錐形、または楕円形の構成を有し得る。基体の形状は好ましくは、球形、円錐形、円形、多角形、たとえば三角形、正方形、矩形、台形、五角形、六角形、七角形、または八角形など、楕円形、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択される。基体は好ましくは、ステップE2.における適用の際に、基体の連続した表面の全面積に基づいて5%から100%の程度まで、または好ましくは10%から100%の程度まで、または好ましくは15%から100%の程度まで組成物によって被覆される。組成物は、基体の表面の全面積に適用されてもよいし、パターンで適用されてもよい。よって、基体上の組成物によって被覆された領域と、被覆されていない領域とが交互になってもよい。このパターンは、たとえばチェッカーボードパターン、ハニカムパターン、または菱形パターンなどの規則的構成を有し得る。代替的または付加的に、組成物は不規則的パターンで基体に適用されてもよい。
【0031】
前駆物質を与えるためのステップE2.における組成物の適用の後に、ステップE3.において前駆物質を25℃から200℃の範囲内、好ましくは40℃から180℃の範囲内、または好ましくは50℃から150℃の範囲内の温度に加熱するステップが続く。前駆物質の加熱は、この目的のために当業者が選択する任意のやり方で実行され得る。加熱は好ましくは、照射、オーブンにおける加熱、高温ガスによる加熱、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択される方法による加熱である。照射は、たとえばIR放射、レーザー放射、UV放射、またはそれらの組み合わせなどによってもたらされ得る。たとえば熱風オーブンなどのオーブンにおける加熱は、たとえば不連続的または連続的に実行され得る。高温ガスによる加熱は、たとえば適用される組成物の上にたとえば空気、窒素、酸素またはそれらの混合物などの高温ガス流を通すことなどによって行われ得る。ステップE3.における加熱の持続時間は、好ましくは0.5時間から10時間の範囲内、または好ましくは0.5時間から5時間の範囲内、または好ましくは0.5時間から3時間の範囲内である。この加熱によって、少なくとも基体と金含有層とを含む層構造が与えられ、この金含有層は以後金層とも呼ばれる。
【0032】
このプロセスの好ましい実施形態において、金粒子は2nmから25nmの範囲内、好ましくは3nmから20nmの範囲内、または好ましくは4nmから18nmの範囲内の直径を有する。本目的に対して、金粒子の直径は粒子の平均直径である。金粒子の直径は、混合物の顕微鏡検査によって定められ得る。サイズを正確に定めるために、粒子上の互いに最も遠い2点の周りに仮想円を描く。この仮想円の直径が粒子の直径に対応する。金粒子は好ましくは球から楕円の形状を有する。金(Au)粒子は、好ましくは20nm、または好ましくは15nm、または好ましくは12nmの粒径分布D
50を有し、これは示される直径よりも大きい粒子が50%以下であることを意味する。粒径は、さまざまな方法を用いて定められ得る。粒径は、好ましくはレーザー光散乱、光学顕微鏡法、個々の粒子の光学的計数、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせによって定められる。さらに、粒径および粒径分布の決定は、好ましくは透過型電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)によって記録される画像の光学的個別評価の助けによって行われる。
【0033】
このプロセスの好ましい実施形態において、組成物の粘度は1mPasから100000mPasの範囲内、好ましくは10mPasから90000mPasの範囲内、または好ましくは20mPasから50000mPasの範囲内で選択される。粘度は1/500sのずり範囲で定めた。
【0034】
このプロセスの好ましい実施形態において、極性プロトン性有機溶媒は、少なくとも20重量%のポリアルコールを含む。ポリアルコールとは、少なくとも2のアルコールラジカルを有する有機化合物である。ポリアルコールは、好ましくは2から10のアルコールラジカルを有する。ポリアルコールはさらなる官能基を有し得る。この少なくとも1つのさらなる官能基は、−S−、−SH、−O−、−OOH、=O、−N−、−NH、−NH
2、−P、−P(OH)
3、−Cl、−F、−Br、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0035】
このプロセスの好ましい実施形態において、ポリアルコールは2から20の炭素原子を有する。
【0036】
このプロセスの好ましい実施形態において、ポリアルコールは1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロベンゼン、L−アドレナリン、単糖、二糖、液体ポリオールと混合された単糖または二糖、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、好ましくは3から500の繰り返し単位を有するポリエチレングリコール、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0037】
このプロセスの好ましい実施形態において、組成物はさらに、一般式(I)のメルカプト−カルボキシル化合物であって、
SH−R
1−COOH (I)
ここで
R
1は、置換、未置換、分岐鎖または非分岐鎖、環式または多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカルである、メルカプト−カルボキシル化合物、
またはこのメルカプト−カルボキシル化合物の少なくとも1つの塩を含む。
【0038】
このプロセスの好ましい実施形態において、置換、未置換、分岐鎖または非分岐鎖、環式または多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、以下の特性のうち少なくとも1つ、好ましくは2つまたはすべてを有する。
e1.C
1−C
20−炭化水素ラジカルの炭素原子の少なくとも1つが、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン化物、アミン、アミド、リン酸基、硫酸基、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせによって置換されていること、または
e2.C
1−C
20−炭化水素ラジカルが、さらなる置換、未置換、分岐鎖もしくは非分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカルによって置換され得るか、または分岐され得ること、あるいは
e3.C
1−C
20−炭化水素ラジカルの炭素原子の少なくとも1つが、芳香族ラジカル、または5−、6−もしくは7−員芳香族複素環の場合には1、2、3もしくは4の窒素、酸素および硫黄原子によって置換されており、ここで芳香族複素ラジカルはハロゲン原子、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ基、保護されたアミノラジカル、シアノ、トリフルオロメチル基、1から4の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、1から4の炭素原子を有するアルコキシラジカルによって置換され得ること。
【0039】
本発明の目的に対して、未置換C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、1から20の−CH
2−または−CH−基からなる炭化水素ラジカルである。本発明の目的に対して、置換C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、1から20の−CH
2−基からなる炭化水素ラジカルであって、少なくとも1つの−CH
2−または−CH−基のH原子が別の原子または別の原子の基によって置換されたものである。他の原子は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン化物、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択され得る。他の原子基は、置換炭化水素ラジカル、未置換炭化水素ラジカル、分岐鎖炭化水素ラジカル、非分岐鎖炭化水素ラジカル、飽和炭化水素ラジカル、不飽和炭化水素ラジカル、環式炭化水素ラジカル、多環式炭化水素ラジカル、芳香族炭化水素ラジカル、非芳香族炭化水素ラジカル、アシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、一級アミン、二級アミン、三級アミン、アミド、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、チオール基、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0040】
本発明の目的に対して、非分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、1から20の−CH
2−または−CH−基からなる直鎖炭化水素ラジカルである。分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、1から20の−CH
2−または−CH−基からなる炭化水素ラジカルであって、少なくとも1つの−CH
2−または−CH−基のH原子がさらなる炭化水素ラジカルによって置換されたものである。このさらなる炭化水素ラジカルは、同様に置換または未置換、分岐鎖または非分岐鎖、または環式もしくは多環式であり得る。
【0041】
本発明の目的に対して、環式C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、1から20の−CH
2−または−CH−基からなる炭化水素ラジカルであって、炭素原子が環に配置されているものである。多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、1から20の−CH
2−または−CH−基からなる炭化水素ラジカルであって、炭素原子が2つまたはそれ以上の環に環状に配置されているものである。環式および多環式炭化水素ラジカルは、芳香族環も有し得る。
【0042】
置換、未置換、分岐鎖または非分岐鎖、環式または多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカルは、以下の組み合わせの1つに示された特性を有し得る。
L1. 置換C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L2. 未置換C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L3. 置換、分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L4. 置換、非分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L5. 未置換、分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L6. 未置換、非分岐鎖C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L7. 置換、分岐鎖、環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L8. 置換、非分岐鎖、環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L9. 未置換、分岐鎖、環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L10. 未置換、非分岐鎖、環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L11. 置換、分岐鎖、多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L12. 置換、非分岐鎖、多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L13. 未置換、分岐鎖、多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル、
L14. 未置換、非分岐鎖、多環式C
1−C
20−炭化水素ラジカル。
【0043】
上述のとおり、置換炭化水素ラジカルも上記の特性または特性の組み合わせを有し得る。
【0044】
このプロセスの好ましい実施形態において、組成物は、組成物の総質量に基づいて0.1重量%から4重量%、好ましくは0.5重量%から3.5重量%、または好ましくは0.3重量%から3.0重量%のメルカプト−カルボキシル化合物を含む。
【0045】
このプロセスの好ましい実施形態において、メルカプト−カルボキシル化合物は、L−システイン、D−システイン、γ−L−グルタミル−L−システイニルグリシン(グルタチオン)、(RS)−N−(2−メルカプト−1−オキソプロピル)グリシン(チオプロニン)、メルカプトコハク酸、N−アセチルシステイン、チオサリチル酸、ジメルカプトコハク酸、L−メチオニン、D−メチオニン、チオ尿素、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリセロール、チオジプロピオン酸、シスチン、メチル3−メルカプトプロピオネート、Naチオグリコレート、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0046】
このプロセスの好ましい実施形態において、組成物は、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる金属を含む。この少なくとも1つのさらなる金属は、金属粒子またはさらなる金属−有機錯体として存在し得る。組成物は、組成物の総質量に基づいて好ましくは0.1重量%から5重量%、または好ましくは0.2重量%から4.5重量%、または好ましくは0.5重量%から4重量%のさらなる金属を含む。
【0047】
金属−有機錯体の有機成分は、好ましくは少なくとも1、少なくとも2またはそれ以上の炭素原子、好ましくは2から100、または好ましくは4から50、または好ましくは5から20の炭素原子を有する分子を含む。有機成分は、好ましくは1または2またはそれ以上の炭素以外の非金属原子を含む。加えて、好ましくはその少なくとも1つの非金属原子の少なくとも1つが、有機化合物の金属成分と少なくとも配位的に、好ましくはイオン的に相互作用する。加えて、少なくとも1つの非金属原子と金属成分との間に共有結合が形成されることも可能である。非金属原子は、好ましくは酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素、ハロゲン、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。好ましくは、金属−有機化合物の有機成分中の少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの非金属原子とがともに有機化合物を形成する。
【0048】
このプロセスの好ましい実施形態において、金属−有機化合物は、炭酸塩、シュウ酸塩、エステル、カルボン酸塩、ハロカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、アセトネート、ケトネート、リン酸塩、亜リン酸塩、リン化物、ホスファン、スルホネート、およびスルホレジネート、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される有機成分を有する。有機成分は、好ましくはアセテート、プロピオネート、ブタノエート、イソブタノエート、エチルブチレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、イソオクタノエート、ノナノエート、デカノエート、イソノネート、ピバレート、シクロヘキサンブチレート、アセチルアセトネート、エチルヘキサノエート、ヒドロキシプロピオネート、トリフルオロアセテート、ヘキサフルオロ−2,4−ペンタジオネート、ネオデカノエート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、プロパンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、硫黄含有不飽和天然および/または合成樹脂、たとえばテレピン、ロジンおよびコパイババルサムなど、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0049】
上述のとおり、組成物は上述の成分に加えて少なくとも1つのさらなる成分を含み得る。この少なくとも1つのさらなる成分は、好ましくは結合剤、さらなる溶媒、架橋剤、別の添加剤、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。結合剤としては、たとえばポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、およびそれらの少なくとも2つの混合物などを使用できる。さらなる溶媒は、好ましくはジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)、エチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone:NMP)、アンモニア、アルコール、たとえばエタノール、イソプロパノールまたはヘキサノールなど、エトキシエタノール、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシエタノール、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。架橋剤は、たとえばシランなどであり得る。さらなる添加剤は、たとえばポリアルキレングリコールエーテルまたはアルキルポリグルコシドなどの非イオン性界面活性剤、たとえばアルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホネートまたはアルカンスルホネートなどのイオン性界面活性剤、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。組成物は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.1重量%から5重量%、好ましくは0.5重量%から4.5重量%、または好ましくは1重量%から4重量%の、少なくとも1つのさらなる成分を含む。
【0050】
このプロセスの好ましい実施形態において、組成物は3から8の範囲内、または好ましくは4から7の範囲内のpHを有する。
【0051】
このプロセスの好ましい実施形態において、組成物はさらに界面活性物質を含む。組成物は、好ましくは0.001重量%から5重量%、好ましくは0.005重量%から4重量%、または好ましくは0.01重量%から3重量%の界面活性物質を含む。界面活性物質は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤、ならびにそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。述べられたすべての界面活性剤は、非極性部分と極性部分とを含む。非極性部分は、アルキル基、アルキルベンゼン基、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。非イオン性界面活性剤の極性部分は、アルコール基、エーテル基、アクリレート基、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択され得る。アニオン性界面活性剤の極性部分は、カルボン酸塩、スルホネート、硫酸、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。カチオン性界面活性剤の極性部分は、たとえば四級アンモニウム基などであり得る。両性界面活性剤の極性部分は、カチオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の少なくとも1つの極性部分の組み合わせから選択され得る。ケイ素含有化合物を含む界面活性物質が好ましい。こうした化合物の例は、400g/molから10000g/molの範囲内、好ましくは500g/molから9000g/molの範囲内、または好ましくは600g/molから8000g/molの範囲内のモル質量を有するジメチルポリシロキサンである。商業的に入手可能な界面活性製品の例は、ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサン、たとえばBYK−333(登録商標)など、ポリアクリレート、たとえばBYK−381(登録商標)など、およびポリプロピレングリコール、たとえばDISPERBYK−193(登録商標)などであり、これらはすべてヴェーゼル(Wesel)のBykケミー社(Byk−Chemie GmbH)より得ることができる。
【0052】
このプロセスの好ましい実施形態においては、さらなるステップE4.において、層構造の少なくとも一部に保護層が適用される。好ましくは保護層は、物理的に乾燥させる表面コーティング、酸化的に架橋する表面コーティング、熱的に架橋する表面コーティング(例、自動車用の市販の透明コーティング)、および照射架橋する表面コーティングからなる群より選択される。
【0053】
上述のとおりに組成物が適用される基体は、層構造を生成するために当業者が使用する任意の材料であり得る。このプロセスの好ましい実施形態において、基体は紙、木材、テキスタイル、ガラス、ポリマー、金属、セラミック、角質化層、特に手指爪または足指爪、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択される。紙は、このプロセスにおける基体に対して当業者が選択する任意のタイプの紙であり得る。紙は、好ましくは10g/m
2から500g/m
2の範囲内、または好ましくは20g/m
2から400g/m
2の範囲内、または好ましくは50g/m
2から350g/m
2の範囲内の単位面積当り重量を有する。木材は、このプロセスにおける基体に対して当業者が選択する任意のタイプおよび形状の木材であり得る。
【0054】
テキスタイルは、層構造の基体に対して当業者が選択する任意のテキスタイルであり得る。テキスタイルは繊維、織布または不織布の形であり得る。テキスタイルは織られるか、組まれるか、輪にされるか、編まれるか、または織られなくてもよい。テキスタイルは、たとえばウール、綿、絹、セルロース、またはその他の天然繊維などの天然材料を含んでもよく、好ましくはこうした天然材料からなっていてもよい。加えてテキスタイルは、たとえばナイロン、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアラミドもしくはその他のポリマー、または炭素、ガラスもしくは金属繊維(ワイヤ)などの合成材料の繊維を含んでもよく、好ましくはこうした合成材料の繊維からなっていてもよい。加えてテキスタイルは、前述の材料の少なくとも2つの混合物を含んでもよく、好ましくはこうした混合物からなっていてもよい。
【0055】
ガラスは、層構造の基体に対して当業者が選択する任意のガラスであり得る。ガラスは、好ましくはアルカリガラス、無アルカリガラス、ケイ酸塩ガラス、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。ガラスは、好ましくはソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、石英ガラス、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0056】
ポリマーは、層構造の基体に対して当業者が選択する任意のポリマーであり得る。ポリマーは、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチレート、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリル酸エステルコポリマー、酢酸ビニル/アクリル酸エステルコポリマーおよびエチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0057】
金属は、層構造の基体に対して当業者が選択する任意の金属であり得る。金属は、好ましくは鉄、鋼、アルミニウム、銀、チタン、銅、金、スズ、亜鉛、鉛、ケイ素、およびそれらの少なくとも2つの混合物または組み合わせからなる群より選択される。
【0058】
セラミックは、層構造の基体に対して当業者が選択する任意のセラミック材料であり得る。セラミックは、好ましくは酸化物セラミック、ケイ酸塩セラミック、非酸化物セラミック、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0059】
酸化物セラミックは、好ましくは金属酸化物、半金属酸化物、およびそれらの混合物からなる群より選択される。金属酸化物の金属は、アルミニウム、ベリリウム、バリウム、ホウ素、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ジルコニウム、チタン、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。金属酸化物は、好ましくは酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、チタン酸アルミニウム(Al
2TiO
5)、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。半金属酸化物の半金属は、好ましくはホウ素、ケイ素、ヒ素、テルル、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0060】
ケイ酸塩セラミックは、好ましくはステアタイト(Mg
3[Si
4O
10(OH)
2])、菫青石(Mg,Fe
2+)
2(Al
2Si)[Al
2Si
4O
18])、ムライト(Al
2Al
2+2xSi
2−2xO
10−x、ここでx=単位格子当りの酸素空格子点)、長石(Ba,Ca,Na,K,NH
4)(Al,B,Si)
4O
8)、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。ケイ酸塩セラミックは、好ましくは磁器である。
【0061】
非酸化物セラミックは炭化物、窒化物、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。炭化物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(B
4C)、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン、セメンタイト(Fe
3C)からなる群より選択され得る。窒化物は、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンアルミニウムオキシニトリド(silicon aluminum oxynitride:SIALON)、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択され得る。
【0062】
このプロセスの好ましい実施形態において、基体は10
13S/cm未満の伝導率を有する。基体は好ましくは10
3S/cmから10
−13S/cmの範囲内、または好ましくは10
2S/cmから10
−10S/cmの範囲内、または10
1S/cmから10
−8S/cmの範囲内の導電率を有する。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、ステップE2.における組成物の適用は、ブラシ、スクリーン、フェルトペン、万年筆、またはノズルによって行われる。この目的のために当業者が選択する任意の従来のブラシをブラシとして用いることが可能である。スクリーンおよびノズルの選択および寸法は、上に示されている。
【0064】
本発明はさらに、上述のプロセスのプロセスステップE1およびE2によって得ることのできる層構造の前駆物質を提供する。
【0065】
前駆物質の好ましい実施形態において、前駆物質は以下の特性の少なくとも1つを有する。
V1.基体の厚さは0.1mmから5cmの範囲内であること、
V2.ステップE2.において適用される組成物の厚さは0.1μmから70μmの範囲内、好ましくは0.1μmから10μmの範囲内、または好ましくは0.1μmから1μmの範囲内であること、
V3.基体の伝導率は10
13S/cm未満であること、
V4.ステップE2.において適用される組成物の伝導率は10
−1S/cmから10
−8S/cmの範囲内であること。
【0066】
本発明はさらに、上述のプロセスによって得ることのできる層構造を提供する。
【0067】
層構造の好ましい実施形態において、層構造は以下の特性の少なくとも1つを有する。
S1.層構造は少なくとも70重量%の金を含み、かつ0.05μmから1μmの範囲内の厚さを有する金属層であること、
S2.伝導率は10
13S/cm未満であること、
S3.光沢は500GUから1300GUの範囲内であること、
S4.密度は10kg/lから20kg/lの範囲内、好ましくは12kg/lから19.6kg/lの範囲内、または好ましくは15kg/lから19.4kg/lの範囲内であること。
【0068】
本発明はさらに、以下を含む組成物を提供する。
z1.0.1重量%から50重量%の範囲の量の金(Au)粒子、
z2.0重量%から5重量%の範囲内の水、
z3.100重量%に対する残余量の極性プロトン性有機溶媒、
ここで各場合の重量%は組成物の総質量に基づくものであり、合計100重量%となる。
【0069】
組成物の好ましい実施形態において、組成物は以下から選択される少なくとも1つのさらなる成分、好ましくは2つのさらなる成分、または好ましくはすべてのさらなる成分を含む。
z4.組成物の総質量に基づいて0重量%から10重量%の範囲の量のポリビニルピロリドン、
z5.組成物の総質量に基づいて0重量%から90重量%の範囲の量のポリアルコール。
【0070】
組成物の好ましい実施形態において、ポリアルコールは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジニトロベンゼン、L−アドレナリン、単糖、二糖、液体ポリオールと混合された単糖または二糖、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、好ましくは3から500の繰り返し単位を有するポリエチレングリコール、およびそれらの少なくとも2つの混合物からなる群より選択される。
【0071】
組成物の好ましい実施形態において、金(Au)粒子は、20nm以下、好ましくは17nm以下、または好ましくは15nm以下の粒径D
50を有する。
【0072】
本発明はさらに、上述の層構造または上述のプロセスによって得ることのできる層構造を含む物体を提供する。この物体は、この目的のために当業者が選択する任意の物体であり得る。この物体は、ガラスプレート、円筒形のガラス本体、不規則な形状のガラス本体、タイル、石プレート、金属プレート、木材プレート、ポリマープレートまたはフィルム、花瓶、食事用プレート、カップ、ビーカー、およびそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択され得る。