特許第6667531号(P6667531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667531
(24)【登録日】2020年2月27日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】電子物品および電子物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20200309BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20200309BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   H05K1/02 L
   H01Q1/38
   H05K1/09 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-533875(P2017-533875)
(86)(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公表番号】特表2018-507537(P2018-507537A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】US2015067179
(87)【国際公開番号】WO2016106245
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年8月22日
(31)【優先権主張番号】14/581,707
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・フォスター・ビショップ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ポール・ショルツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・エル・ムーア
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エイ・オアー
(72)【発明者】
【氏名】レナード・ヘンリー・ラジロウスキー
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−016724(JP,A)
【文献】 特開2003−188497(JP,A)
【文献】 特開2009−094153(JP,A)
【文献】 特開2007−335558(JP,A)
【文献】 特開2010−165638(JP,A)
【文献】 特開2013−207624(JP,A)
【文献】 特開2007−061690(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0249660(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0238804(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0042125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/09
H05K 3/10
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子物品であって、
非平面領域を有するリジッド基板;および
非平面領域に位置付けられた焼結伝導性インク
を有して成り、
前記焼結導電性インクは、少なくとも80%の光透過率および6〜20マイクロメートルのトレース深さを有し、
前記電子部品は、アンテナである、電子物品。
【請求項2】
焼結伝導性インクは、30〜40マイクロメートルのトレース幅を有する、請求項1に記載の電子物品。
【請求項3】
焼結伝導性インクは、20〜30マイクロメートルのトレース幅を有する、請求項1に記載の電子物品。
【請求項4】
焼結伝導性インクは10マイクロメートル未満の平均表面粗さを有する、請求項1に記載の電子物品。
【請求項5】
焼結伝導性インクは、金属ナノ構造体を含んで成る、請求項1に記載の電子物品。
【請求項6】
焼結伝導性インクは3オーム/スクエア未満のシート抵抗を有する、請求項1に記載の電子物品。
【請求項7】
焼結伝導性インクは0.5オーム/スクエア未満のシート抵抗を有する、請求項1に記載の電子物品。
【請求項8】
リジッド基板に位置付けられる後めっき層、および後めっき層とリジッド基板との間に少なくとも部分的に位置付けられる焼結伝導性インクを更に有して成る、請求項1に記載の電子物品。
【請求項9】
アンテナであって、
基板;および
基板に位置付けられた伝導性インク
を有して成り、
伝導性インクは、金属ナノ構造体を有する伝導性インクから形成されており、
伝導性インクは、少なくとも80%の光透過率を有
伝導性インクは、6〜20マイクロメートルのトレース深さを有する、アンテナ。
【請求項10】
焼結伝導性インクを有する電子物品の製造方法であって、
非平面領域を有する基板を位置付けること;
非平面領域に金属ナノ構造体、有機溶媒、およびキャッピング剤を含んで成る伝導性インクを適用すること;および
非平面領域にて伝導性インクを焼結させ、それによって電子物品に焼結伝導性インクを生じさせること
を含み、
前記焼結導電性インクは、少なくとも80%の光透過率および6〜20マイクロメートルのトレース深さを有し、
前記電子部品は、アンテナである、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子物品および伝導性インクを用いた電子物品の製造方法に関する。より具体的には、本発明は当該電子物品における伝導性インクに関する。
【背景技術】
【0002】
全てのコンポーネント(又は構成要素;component)の厚さを減じて、家電デバイスの全体寸法を減じるという傾向が家電デバイスにて強くなっている。アンテナ(antenna)のための基板も例外ではない。しかしながら、薄い基板は特定の方法および材料と不適合である。例えば、薄い基板の使用希望は、そのような基板によるアンテナの伝導性維持又は増大の困難性に起因して薄れてしまう。
【0003】
デバイス中のアンテナの数、アンテナ内のトレース(又は形跡又は軌跡又は痕跡又は掃引線;trace)の数、および/またはアンテナの複雑性を増加させるという傾向がコンシューマ(又は民生又は消費者;consumer)デバイスにもある。そのような希望はアンテナの厚さ低減を更に困難にする。
【0004】
アンテナの厚さ低減および伝導性の維持又は向上に加えて、アンテナを透明にする又は目立ちにくくするという継続した希望もある。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンを含むウェアラブル電子部品およびデバイス、例えば時計、テレビ/モニター、携帯電話およびタブレット等は、LCDスクリーンを囲み、アンテナが含まれ得るベゼル領域を有する。そのようなベゼル領域はサイズが減じられ又は除去され、それによってアンテナがより小さくおよび/または透明であることが要求される。
【0005】
透明性の増大は、光の透過率が材料の伝導性および厚さのレベルに概して反比例するため特に困難である。そのため、高い光透過率(例えば、80%超)を有する伝導性トレース、(例えば、0.1オーム/スクエア(□)のシート抵抗基準で)高レベルの伝導率を有する伝導性トレース、および厚みの小さい(例えば、300マイクロメートル未満)デバイスを用いた材料(又はマテリアル;material)の手配(又は準備又は取り決め;arrangement)を行うことが継続した希望である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの希望する特徴を達成するための既知の試みは、インジウムスズ酸化物(ITO)の使用による。ITOは、伝導性を高める一方、所望のレベルの伝導率を達成するためには厚みを増大させる必要があるため光透過率を低減する。所望の光透過率のために厚みの小さいITOの維持は過度な低伝導性をもたらす。
【0007】
従来技術と比べて1つ以上の改善点を示す電子物品および電子物品の製造方法がこの技術分野で望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、電子物品(electronic article)は、非平面領域を有するリジッド基板および非平面領域に位置付けられた(又は非平面領域上に位置付けられた;positioned on the non-planar region)焼結伝導性インク(又は焼結された伝導性インク;sintered conductive ink)を有して成る。
【0009】
別態様では、アンテナは、基板および基板に位置付けられた(又は基板上に位置付けられた;positioned on the substrate)伝導性インクを有して成り、伝導性インクは、金属ナノ構造体、有機溶媒およびキャッピング剤を有する伝導性インクから形成されている。伝導性インクは、少なくとも80%の光透過率を有する。
【0010】
別態様では、焼結伝導性インクを有する電子物品の製造方法は、非平面領域を有する基板を位置付けること、非平面領域に伝導性インクを適用する(又は塗布する又は塗工する;apply)こと、および非平面領域にて(又は非平面領域上にて;on the non-planar region)伝導性インクを焼結させ、それによって電子物品に焼結伝導性インクを生じさせること
を含む。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、例示により本発明の原理を示す添付図面と共に下記のより詳細な説明から自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の開示に従った焼結伝導性インクを有する湾曲状のアンテナの斜視図である。
図2図2は、本発明の開示に従った焼結伝導性インクおよび追加のインクを有する立方体状のアンテナの斜視図である。
図3図3は、本発明の開示に従った焼結伝導性インクを有する尖状(又は先がとがった;pointed)アンテナの斜視図である。
図4図4は、本発明の開示に従った後めっき層により少なくとも部分的に囲まれた焼結伝導性インクを有するアンテナの斜視図である。
【0013】
可能な限り、同じ部分を示すために図面を通じて同じ参照番号を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
電子物品(例えば、アンテナ)および電子物品の製造方法が供される。例えば、本開示の態様は、本明細書に開示された1つ以上の特徴を含まない概念と比べて、伝導性を犠牲にすることなく電子物品の厚みを低減可能であり、伝導性を犠牲にすることなく電子物品は透明又は半透明部分を有することが可能であり、伝導性インクの適用範囲を拡げることが可能であり、特定の電子コンポーネントのベゼル領域を低減又は除去可能であり、電子物品およびコンポーネントをより小さくすることが可能であり、又はこれらの任意の適当な組み合わせを可能とする。
【0015】
図1〜3は電子物品を示す。具体的には、図1〜3は、非平面領域103を有するリジッド基板101を含むアンテナ100を示す。リジッド基板101は、ポリマー材(例えば、ポリカーボネート材、ポリアミド材)、フィルム(例えば、透明ポリマーフィルム、ポリイミド材、又はポリエチレンテレフタラート材)又は伝導性インク(又は導電性インク;conductive ink)を受容可能な任意の他の適当な材料である、又はこれらを含む。
【0016】
伝導性インク、例えば、非焼結の伝導性インク又は焼結伝導性インク105が、伝導性インクから非平面領域103上に生成される。電子物品は、基板(例えば、リジッド基板101又は可撓性基板)を供し、基板の(例えばインクジェット印刷による)非平面領域103上に伝導性インクを適用し(又は塗布し又は塗工し;apply)、および(例えば120℃〜180℃、130℃〜150℃、および/または140℃〜150℃の温度で)伝導性インクを焼結させ、それによってアンテナ100又は他の適当な電子物品上に焼結伝導性インク105を生じさせることによって、電子物品が製造される。
【0017】
電子物品は、図1に示す立方体状又は略立方体状、図2に示す湾曲状、図3に示す尖状、又は所望の用途に対応する任意の他の適当な幾何学的形状であることが可能である。例えば、アンテナ100に加えて、電子物品は、センサ、ウェアラブル電子デバイス、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン(例えば、時計、テレビ/モニター、携帯電話、競技用バンド、および/またはタブレット)、若しくは任意の他の適当な電子デバイス等であることが可能である、又はこれらの範囲内であることが可能である。
【0018】
焼結させた伝導性インク105は、任意の適当な伝導性トレース材料である。ある適当な材料としては、金属ナノ構造体、有機溶媒、およびキャッピング剤が挙げられる。別の適当な材料としては、有機金属で粒子のないインク、例えば溶媒蒸発に反応する核金属ナノクラスターが挙げられる。
【0019】
金属ナノ構造体は、例えば、銅、銀、焼鈍し(annealed)銀、金、アルミニウム、スズ、ニッケル、その合金、およびこれらの組み合わせである、又はを含む。ナノ構造体の適当な形態は、限定されるものではないが、薄片(又はフレーク;flake)、樹状突起(又はデンドライト;dendrite)、球体(sphere)、顆粒(又はグラニュール;granule)又はこれらの組み合わせを含む。
【0020】
有機溶媒は、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、金属ナノ構造体と適合する任意の他の溶媒、又はこれらの組み合わせである、又は含む。
【0021】
キャッピング剤は、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアニリン(PAN)、L−システイン(L−cys)、オレイン酸(OA)、溶媒と適合する任意の他のキャッピング剤、又はこれらの組み合わせである、又はこれらを含む。
【0022】
特定の使用用途のため所望の伝導性を供する焼結伝導性インク105は、リジッド基板101から所定深さ延在する非平面領域103上に位置付けられる。特に限定されるものではないが、適当な深さは、6〜100マイクロメートル、6〜20マイクロメートル、8〜10マイクロメートル、10〜20マイクロメートル、20〜60マイクロメートル、60〜100マイクロメートル、又はこれらの任意の適当な組み合わせ、これらのサブコンビネーション、これらに含まれる範囲又はサブ範囲(or any suitable combination, sub-combination, range, or sub range therein)を含む。
【0023】
一態様では、焼結伝導性インク105のトレース深さ405は、特定の態様の焼結伝導性インク105の構成(又は組成;composition)の表皮(又はスキン;skin)深さより大きい又は等しい。ある態様では、トレース深さ405は、少なくとも3倍、4倍、又は5倍分表皮深さより大きい。概して、材料の表皮深さは、高伝導性材料のためより小さく、低伝導性材料のためより大きい。表皮深さは、下記の式により決定可能である。
(式1)
δは表皮深さであり、fは周波数であり、μは透過率であり、およびσは伝導率である。これに基づき、銀含有インクを含む焼結伝導性インク105を用いる一態様では、焼結伝導性インク105は0.0001オーム・cm、0.00001オーム・cm又は0.0000017オーム・cmの抵抗率を有する。0.0001オーム・cmの抵抗率を有する焼結伝導性インク105の表皮深さは、1000MHzで23マイクロメートルから3000MHzで10マイクロメートル未満まで、6000MHzで7マイクロメートルまで延在する。0.00001オーム・cmの抵抗率を有する焼結伝導性インク105の表皮深さは、1000MHzで7マイクロメートルから3000MHzで4マイクロメートル未満まで、6000MHzで3マイクロメートルまで延在する。0.0000017オーム・cmの抵抗率を有する焼結伝導性インク105の表皮深さは、1000MHzで3マイクロメートルから3000MHzで2マイクロメートル未満まで、6000MHzで2マイクロメートルまで延在する。
【0024】
同様に、焼結伝導性インク105のトレース幅403(図4参照)は、特定の使用用途のため所望の伝導率を供する任意の幅である。限定されるものではないが、適当な幅は、20〜30マイクロメートル、30〜40マイクロメートル、0.5〜1ミリメートル、0.5〜2ミリメートル、又はこれらの任意の適当な組み合わせ、これらのサブコンビネーション、これらに含まれる範囲又はサブ範囲を含む。
【0025】
焼結伝導性インク105の平面表面粗さは、特定の使用用途のため十分に低い任意の適当な値である。限定されるものではないが、適当な平面表面粗さ値は、10マイクロメートル未満、10マイクロメートル未満、7マイクロメートル未満、5マイクロメートル未満、3マイクロメートル未満、1マイクロメートル未満、0.6マイクロメートル未満、0.1〜1マイクロメートル、又はこれらの任意の適当な組み合わせ、これらのサブコンビネーション、これらに含まれる範囲又はサブ範囲を含む。一態様では、焼結伝導性インク105の平均表面粗さは下記の式の補正率の算出を可能とする。
(式2)
R’は単位長さ当たりの抵抗であり、wはトレース幅であり、μは透過率であり、fは周波数であり、σは導体の伝導率であり、Rは単位長さ当たりの表面粗さ抵抗であり、cは補正係数であり、Δは平均表面粗さであり、δは表皮深さである。更なる態様では、補正係数cは、0.9〜1.1、0.8〜1.2、又はこれらの任意の適当な組み合わせ、これらのサブコンビネーション、これらに含まれる範囲又はサブ範囲である。
【0026】
焼結伝導性インク105の抵抗は、特定の使用用途のため十分に低い任意の適当な値である。限定されるものではないが、適当な抵抗値は3オーム/スクエア(□)未満、1オーム/スクエア(□)未満、0.5オーム/スクエア(□)未満、0.02オーム/スクエア(□)未満、又はこれらの任意の適当な組み合わせ、これらのサブコンビネーション、これらに含まれる範囲又はサブ範囲を含む。
【0027】
焼結伝導性インク105の光透過率/透明率は特定の使用用途のため十分に高い。限定されるものではないが、適当な光透過率は、66%〜67%、67%〜70%、少なくとも66%、少なくとも84%、少なくとも88%、80%〜95%、88%〜90%、
84%〜86%、又はこれらの任意の適当な組み合わせ、これらのサブコンビネーション、これらに含まれる範囲又はサブ範囲を含む。
【0028】
更なる態様では、電子物品は追加の材料および/または層を有して成る。例えば、一態様では、図2に示すように、電子物品は追加のインク201を含む。追加のインク201は、焼結伝導性インク105と比べて同じ又は異なる材料であることが可能である。例えば、一態様では、追加のインク201は、焼結伝導性インク105と同じ組成物、および(例えば、同じ焼結条件に付すことにより)同じミクロ構造又は(例えば、焼結伝導性インク105と比べて異なる条件に付すことにより)異なるミクロ構造を有する。
【0029】
一態様では、追加のインク201は、焼結伝導性インク105と比べて異なる組成物を有する。この態様では、ミクロ構造は、焼結伝導性インク105のミクロ構造と異なる又は類似する。更なる態様では、追加のインク201は硬化可能であり、例えば硬化条件(露光から紫外線光、電子ビーム照射、触媒、任意の他の適当な硬化技術、又はこれらの組み合わせ等)から生じる増大した架橋密度を有する。
【0030】
一態様では、伝導材が、焼結伝導性インク105および/または追加のインク201を形成するために例えば電気めっきを通じて構成される。例えば、銅のメッシュ金属構造は、銀等の低抵抗の伝導材を用いて電気めっきされる。低抵抗の伝導材で構成されたメッシュ金属粒子により、伝導性インクの抵抗が電気めっきの始めに対して(例えば、180秒の間に6.3オーム/スクエア(□)から2.5オーム/スクエア(□)未満へと又は0.5オーム/スクエア(□)未満へと)著しく減じられ、更なる電気めっきの間に(例えば、追加の60秒で1オーム/スクエア(□)へと又は0.4オーム/スクエア(□)未満へと)より著しく減じられる。
【0031】
又、電気めっきは、焼結伝導性インク105および/または追加のインク201のトレース深さ405およびトレース幅403を、例えば、2.5マイクロメートルの深さおよび12マイクロメートルの幅から180秒後に4マイクロメートルの深さおよび17マイクロメートルの厚みへと、別の60秒後に5マイクロメートルの深さおよび18マイクロメートルの幅へと、更に別の60秒後に6.5マイクロメートルの深さおよび19マイクロメートルの幅へと増大させる。
【0032】
図4を参照すると、一態様では、電子物品がリジッド基板101上に位置付けられた後めっき層401を含む。後めっき層401は、後めっき層401とリジッド基板101との間に少なくとも部分的に位置付けられる焼結伝導性インク105および/または追加のインク201を少なくとも部分的に囲む。更なる態様では、焼結伝導性インク105および追加のインク201は、後めっき層401と接触し、リジッド基板101に接触し、リジッド基板101および後めっき層401により包囲され、および/またはリジッド基板101および/または後めっき層401の除去なしでアクセス可能である。
【実施例】
【0033】
第1の例では、比較例として、銅ラインを触媒シード層で被覆されたポリイミドフィルムにめっきし、次いで正方格子(square grid)状にリソグラフィ技術でパターン化した。ライン間隔は1ミリメートルであり、トレース幅は15マイクロメートルであり、およびトレース深さは2.8マイクロメートルであった。シート抵抗は1.0オーム/スクエア(□)であり、光透過率は88%であった。そのようなシート抵抗および光透過率の達成は、トレース深さの低減可能性を制限した。
【0034】
第2の例では、比較例として、銅ラインを触媒シード層で被覆されたポリイミドフィルムにめっきし、次いで正方格子状にリソグラフィ技術でパターン化した。次いで、当該ラインを銀インクでめっきした。銀インクでめっきする前、ライン間隔は、1ミリメートルであり、トレース幅は15マイクロメートルであり、およびトレース深さは2.8マイクロメートルであった。銀めっき後には、トレース幅は25マイクロメートルであり、およびトレース深さは5.8マイクロメートルであった。破砕および剥離の可能性により(likely due to fracture and delamination)シート抵抗は1.0オーム/スクエア(□)のままである一方、光透過率は87%にまで減じた。光透過率の減少に加えてのシート抵抗の減少不足は、そのようなインクおよび方法のため、トレース深さの増大が弊害であるということを示している。
【0035】
第3の例では、インクジェット印刷を通じてナノ粒子銀インクを適用し、140℃で焼結することでポリエチレンテレフタレート上に伝導性グリッドを生成した。ライン間隔は0.5ミリメートルであり、トレース幅は25マイクロメートルであり、およびトレース深さは0.2マイクロメートルであった。シート抵抗は1.0メガオーム/スクエア(□)を超え、光透過率は89%であった。高シート抵抗はトレース深さが極度に小さいことを示している。
【0036】
第4の例では、インクジェット印刷を通じてナノ粒子銀インクを適用し、140℃で焼結し、次いで銀で電気めっきすることでポリエチレンテレフタレート上に伝導性グリッドを生成した。ライン間隔は0.5ミリメートルから開始し、トレース幅は35マイクロメートルであり、およびトレース深さは2.5マイクロメートルであった。シート抵抗は3オーム/スクエア(□)であり、光透過率は85%であり、インクジェット印刷工程からの不完全なトレースにより低くなっていると考えられる。従って、第4の例は、低トレース深さが本開示に対応して達成可能であると共に、追加の電気めっきを通じて高レベルの光透過率を供することが可能であることを示している。又、第4の例は、電気めっきの際のトレース深さの増加により、小さいシート抵抗が生成されることを示している。
【0037】
第5の例では、インクジェット印刷を通じてナノ粒子銀インクを適用し、120℃で焼結し、次いで銀で電気めっきすることで、湾曲した基板上に伝導性インクを生成した。トレース深さは19マイクロメートルであり、シート抵抗は4オーム/スクエア(□)であった。
【0038】
1つ以上の態様を示して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ、同等物が本発明の要素と置換されてよいことは当業者により理解されよう。更に、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく本発明の教示に特定の状況又は材料を適合させるために、多くの修正がなされてよい。その結果、本発明を実行するために考慮されたベストモードとして開示された特定の態様に本発明は限定されることなく、本発明はクレームの範囲にある全ての態様を含むことが意図される。更に、詳細な説明に示される全ての数値は、正確な値およびおおまかな値の両方が明示されているものとして解釈される必要がある。
図1
図2
図3
図4