特許第6667549号(P6667549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6667549青色発光層共通式画素配列方式及び有機EL装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667549
(24)【登録日】2020年2月27日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】青色発光層共通式画素配列方式及び有機EL装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20200309BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200309BHJP
   H05B 33/24 20060101ALI20200309BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20200309BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20200309BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20200309BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20200309BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   H05B33/12 B
   H05B33/14 A
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   H05B33/24
   H05B33/12 C
   H05B33/26 Z
   H05B33/28
   H05B33/12 E
   H01L27/32
   G02B5/20 101
   G09F9/30 365
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-551652(P2017-551652)
(86)(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公表番号】特表2018-510486(P2018-510486A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】CN2016076463
(87)【国際公開番号】WO2016155500
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】201510145077.2
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179314
【氏名又は名称】昆山工研院新型平板顕示技術中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN NEW FLAT PANEL DISPLAY TECHNOLOGY CENTER CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】504337718
【氏名又は名称】北京維信諾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 維維
(72)【発明者】
【氏名】対 嵩
(72)【発明者】
【氏名】黄 秀▲キ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ルオ▼ 志忠
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−058323(JP,A)
【文献】 特開2012−204165(JP,A)
【文献】 特開2014−186258(JP,A)
【文献】 特開2014−045166(JP,A)
【文献】 特開2013−065405(JP,A)
【文献】 特開2013−225436(JP,A)
【文献】 特開2012−182127(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0121983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、前記基板上に順に形成された第1の電極層(1)、複数の発光部層及び第2の電極層(12)を含み、前記発光部層は前記第1の電極層(1)の上に設けられた発光層を含む有機EL装置の画素配列構成であって、
前記発光層は、積層して設けられた青色発光層(7)、黄色発光層(9)及び両層の間に設けられた阻止層を含み、前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影面は、前記青色発光層(7)の前記基板上への投影面の範囲内にあり、前記青色発光層(7)の投影面の一部が前記黄色発光層の投影面を覆い、
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記発光層の間に設けられた光学補償層をさらに含み、前記光学補償層の前記基板上への投影面は、前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影面の範囲内にあり、前記黄色発光層(9)の投影面の一部が前記光学補償層の投影面を覆い、前記光学補償層は、並列に配置された黄色光学補償層と赤色光学補償層を含み、前記黄色光学補償層の厚さが前記赤色光学補償層の厚さより小さく、もしくは、
前記有機EL装置は、前記第1の電極層(1)の下方に設けられたカラーフィルタをさらに含み、前記カラーフィルタの前記基板上への投影面は、前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影面と互いに重なり、前記カラーフィルタは、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び黄色フィルタを含むことを特徴とする画素配列構成であって、
前記画素配列構成は、m行、n列の第1の画素部を含み、前記第1の画素部が青色サブ画素であり、mが0以外の自然数であり、nが2以上の自然数であり、
複数の前記第1の画素部からなるいずれの隣り合う2列の間にも、複数の第2の画素部からなる2つの列が配置され、前記画素配列構成は、前記第1の画素部の1列と前記第2の画素部の2列からなる最小の繰り返し列群を行方向に有し、各前記第2の画素部は、並列に配置された赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素を含むことを特徴とする画素配列構成。
【請求項2】
前記第2の画素部において、前記赤色サブ画素、前記緑色サブ画素及び前記黄色サブ画素の方向における投影は、全部又は一部が重なることを特徴とする請求項1に記載の画素配列構成
【請求項3】
前記第2の画素部において、前記赤色サブ画素、前記緑色光ブ画素及び前記黄色サブ画素の行方向における投影は重ならないことを特徴とする請求項2に記載の画素配列構成
【請求項4】
複数の前記第2の画素部からなるいずれの隣り合う2行は、行方向に平行であり、複数の前記第2の画素部からなるいずれの隣り合う2行の間に位置した面に関して、鏡像配列を呈することを特徴とする請求項3に記載の画素配列構成。
【請求項5】
基板、前記基板上に順に形成された第1の電極層(1)、複数の発光部層及び第2の電極層(12)を含み、前記発光部層は、前記第1の電極層(1)の上に設けられた発光層を含む有機EL装置であって、
前記発光層は、積層して設けられた青色発光層(7)、黄色発光層(9)及び両層の間に設けられた阻止層を含み、前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影面は、前記青色発光層(7)の前記基板上への投影面の範囲内にあり、前記青色発光層(7)の投影面の一部が前記黄色発光層(9)の投影面を覆い、
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記発光層の間に設けられた光学補償層をさらに含み、前記光学補償層の前記基板上への投影面は、前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影面の範囲内にあり、前記黄色発光層(9)の投影面の一部が前記光学補償層の投影面を覆い、
前記光学補償層は、並列に配置された黄色光学補償層と赤色光学補償層を含み、前記黄色光学補償層の厚さが前記赤色光学補償層の厚さより小さく、
前記有機EL装置の画素配列構成は、m行、n列の第1の画素部を含み、前記第1の画素部が青色サブ画素であり、mが0以外の自然数であり、nが2以上の自然数であり、
複数の前記第1の画素部からなるいずれの隣り合う2列の間にも、複数の第2の画素部からなる2つの列が配置され、前記画素配列構成は、前記第1の画素部の1列と前記第2の画素部の2列からなる最小の繰り返し列群を行方向に有し、各前記第2の画素部は、並列に配置された赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素を含むことを特徴とする有機EL装置。
【請求項6】
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記発光層の間に設けられた正孔輸送層(6)をさらに含み、前記青色発光層(7)は前記正孔輸送層(6)を覆い、前記阻止層は前記青色発光層(7)の一部を覆い、前記黄色発光層(9)は前記阻止層を覆い、前記阻止層は電子阻止層(8)であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記発光層の間に設けられた正孔輸送層(6)をさらに含み、前記黄色発光層(9)は前記正孔輸送層(6)の一部を覆い、前記阻止層は前記黄色発光層(9)を覆い、前記青色発光層(7)の一部は前記阻止層を覆い、前記阻止層は正孔阻止層(14)であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記正孔輸送層(6)の間に設けられた正孔注入層(5)をさらに含み、前記光学補償層は、前記第1の電極層と前記正孔注入層(5)との間に位置し、前記第1の電極層の一部を覆い、かつ前記基板上への投影が前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影の範囲内にあることを特徴とする請求項6または7に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記第1の電極層は、積層して設けられた第1の導電層(1)と第2の導電層(2)を含み、前記光学補償層と前記第2の導電層(2)は同じ材料で製造されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記正孔輸送層(6)の間に設けられた正孔注入層(5)をさらに含み、前記光学補償層は、前記正孔注入層(5)と前記正孔輸送層(6)との間に位置し、前記正孔注入層(5)の一部を覆い、かつ前記基板上への投影が前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影の範囲内にあることを特徴とする請求項6または7に記載の有機EL装置。
【請求項11】
前記光学補償層と前記正孔注入層(5)は同じ材料で製造されることを特徴とする請求項10に記載の有機EL装置。
【請求項12】
前記青色発光層(7)と前記阻止層の厚さの合計は20〜50nmであり、前記黄色光学補償層の厚さは10〜30nmであり、前記赤色光学補償層の厚さは30〜60nmであることを特徴とする請求項5〜11のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項13】
基板、前記基板に順に形成された第1の電極層、複数の発光部層及び第2の電極層(12)を含み、前記発光部層は、前記第1の電極層の上に設けられた発光層、を含む、有機EL装置であって、
前記発光層は、積層して設けられた青色発光層(7)、黄色発光層(9)及び両層の間に設けられた阻止層を含み、前記黄色発光層(9)の基板上への投影面は、前記青色発光層(7)の基板上への投影面の範囲内にあり、かつ前記青色発光層(7)の投影面の一部が前記黄色発光層(9)の投影面を覆い、
前記有機EL装置は、前記第1の電極層の下方に設けられたカラーフィルタをさらに含み、前記カラーフィルタの前記基板上への投影面は、前記黄色発光層(9)の前記基板上への投影面と互いに重なり、前記カラーフィルタは、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び黄色フィルタを含み、
前記有機EL装置の画素配列構成は、m行、n列の第1の画素部を含み、前記第1の画素部が青色サブ画素であり、mが0以外の自然数であり、nが2以上の自然数であり、
複数の前記第1の画素部からなるいずれの隣り合う2列の間にも、複数の第2の画素部からなる2つの列が配置され、前記画素配列構成は、前記第1の画素部の1列と前記第2の画素部の2列からなる最小の繰り返し列群を行方向に有し、各前記第2の画素部は、並列に配置された赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素を含むことを特徴とする有機EL装置。
【請求項14】
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記発光層の間に設けられた正孔輸送層(6)をさらに含み、前記青色発光層(7)は前記正孔輸送層(6)を覆い、前記阻止層は前記青色発光層(7)の一部を覆い、前記黄色発光層(9)は前記阻止層を覆い、前記阻止層は電子阻止層(8)であることを特徴とする請求項13に記載の有機EL装置。
【請求項15】
前記発光部層は、前記第1の電極層(1)と前記発光層の間に設けられた正孔輸送層(6)をさらに含み、前記黄色発光層(9)は前記正孔輸送層(6)の一部を覆い、前記阻止層は前記黄色発光層(9)を覆い、前記青色発光層(7)の一部は前記阻止層を覆い、前記阻止層は正孔阻止層(14)であることを特徴とする請求項13に記載の有機EL装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置の技術分野に関し、特に青色発光層共通式画素配列方式及びこのような画素配列方式を用いた有機EL装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置OLEDは、一般的に複数の発光領域からなる複数の画素を含む。現在、中小サイズ装置において広く応用されている手段の一つとして、赤、緑、青の三種類の画素で一つの画素を構成する。高い画素解像度を得るために、赤、緑、青の三種類の発光領域層は、製造過程において、それぞれ高精密マスク蒸着を用いる必要があり、すなわち三組の精密なメタルマスクが必要である。しかし、精密なメタルマスクの最高精度が技術レベルにより制限されているので、有機EL表示装置の解像度が向上しにくい。一方、高精密マスクの精度が高いため、各々の発光領域はいずれも位置合わせして調整する必要があるが、調整するたびに表示装置の製造の歩留まりを低下させるので、デバイスのコストを高め、より高い解像度の実現を制限する。
【0003】
現在、業界でデバイス構造について、青色発光層共通式構造を採用することは、好適なソリューションであり、図1に示すようなOLEDデバイスの発光層は、赤、緑、青の三種類の発光領域を含み、赤色発光領域16と緑色発光領域15が正孔輸送層に並設され、青色発光層7の一部が正孔輸送層に設けられ、その上部が前記赤色発光領域16と緑色発光領域15を被覆する。製造時、二組の精密マスクを用いてそれぞれ赤色発光領域16と緑色発光領域15を実現し、次に普通マスクであるオープンマスクを用いて青色発光層7を蒸着する。この解決手段は、3回蒸着する(すなわちマスクを3回取り替える)必要があり、かつ赤色発光層、緑色発光層の製造に必要なマスクの精度が高い。該解決手段は、一組の精密マスクを減少させるが、独立したサブ画素を用いる二組の精密マスクが必要であり、かつ3回位置合わせする必要があり、表示装置の解像度を低下させる。
【0004】
現在、業界で好適な配列方式はIGNIS方式であり、図2に示すように、各画素は赤、緑、青(RGB)サブ画素からなり、かつサブ画素が「品」字形を呈する。この配列方式は、分解度の向上の面で大きな進歩を遂げたが、400画素/インチ(PPI)以上の解像度に達することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明は、従来の画素配列が高いPPIに達しにくく、かつデバイスの製造に精密マスクを必要とし、製造プロセスが複雑であるという技術課題を解決するために、デバイスの構造配置方式を変更することにより、製造過程において多くとも二組の精密マスクだけで四色で発光して、解像度を高めコストを低減する青色発光層共通式画素配列方式及びこのような画素配列方式を有する有機EL装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、青色発光層共通式有機EL装置の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術課題を解決するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
【0008】
青色発光層共通式画素配列方式は、m行、n列の第1の画素部を含み、前記第1の画素部が青色サブ画素であり、mが0以外の自然数であり、nが2以上の自然数であり、隣接した前記第1の画素部同士の間に2列の第2の画素部が設けられ、各第2の画素部は、並設された赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素を含む。
【0009】
前記画素部において、前記赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素の行方向における投影は、全部又は一部が重なる。
【0010】
前記第2の画素部において、前記赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素の青色サブ画素における投影は重ならない。
【0011】
隣接した2行の第2の画素部は、鏡像配列を呈する。
【0012】
前記青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置は、基板、前記基板に順に形成された第1の電極層、複数の発光部層及び第2の電極層を含み、前記発光部層は、前記第1の電極層に順に設けられた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、前記発光層は、積層して設けられた青色発光層、黄色発光層及び両者の間に設けられた阻止層を含み、前記青色発光層は、前記正孔輸送層又は電子輸送層と物理的に接触し、前記黄色発光層の基板における投影は、前記青色発光層の基板における投影の範囲内にあり、かつ青色発光層の投影の一部が前記黄色発光層の投影に被覆され、
前記有機EL装置は、前記正孔注入層に隣接して設けられた光学補償層をさらに含み、前記光学補償層の基板における投影は、前記黄色発光層の基板における投影の範囲内にあり、かつ黄色発光層の投影の一部が前記光学補償層の投影に被覆され、
前記光学補償層は、並設された黄色光学補償層と赤色光学補償層を含み、前記黄色光学補償層の厚さが前記赤色光学補償層の厚さより小さい。
【0013】
前記青色発光層は前記正孔輸送層を被覆し、前記阻止層は前記青色発光層の一部を被覆し、前記黄色発光層は前記阻止層を被覆し、前記阻止層は電子阻止層である。
【0014】
前記青色発光層のホスト材料は正孔型ホスト材料であり、ここで、正孔型ホスト材料とは、青色光共通層のホスト材料の正孔輸送能力が電子輸送能力より強く、すなわち正孔の移動度が電子の移動度より大きい、例えばNPB又はTCTAを指し、ここで、正孔輸送材料を青色光共通層のホスト材料として用いることができる。
【0015】
前記黄色発光層は前記正孔輸送層の一部を被覆し、前記阻止層は前記黄色発光層を被覆し、前記青色発光層の一部は前記阻止層を被覆し、前記阻止層は正孔阻止層である。
【0016】
前記青色発光層のホスト材料は電子型ホスト材料であり、電子型ホスト材料とは、青色光共通層のホスト材料の電子輸送能力が正孔輸送能力より強く、すなわち電子の移動度が正孔の移動度より大きいものを指し、ここで、電子輸送材料を青色光共通層のホスト材料として用いることができる。
【0017】
前記青色発光層のホスト材料は、式(1)又は式(2)に示す構造を有する。
【0018】
式(1)において、Rは、H、C−C20のフェニル誘導体、ナフチル誘導体又はアリール誘導体の置換物から選択され、Xは、ナフチル誘導体、フェニル誘導体、フェニルナフタレン誘導体又はフェニルアントラセン誘導体のモノマーから選択され、
式(2)において、R1−R6は同一でも異なってもよく、それぞれ独立してH、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアン基、ニトロ基、又は20個以下の炭素原子を有するカルボニル基を含むグループ、エステルカルボニル基を含むグループ、アルキレン基、アルケニル基、アルコキシ基、30個以下の炭素原子を有するチルシリル基を含むグループ、アリール基を含むグループ、複素環基を含むグループ、又はアミノ基を含むグループ又はその誘導体から選択される。
【0019】
前記青色発光層のホスト材料は、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、アントラセンナフタレンビフェニル及びジフェニルアントラセンのうちの一つまたは複数の混合物である。
【0020】
前記青色発光層のホスト材料は、式(3)〜式(11)に示す化合物から選択される。
【0021】
前記光学補償層は、前記第1の電極層と前記正孔注入層との間に位置し、前記第1の電極層の一部を被覆し、かつその基板における投影が前記黄色発光層の基板における投影の範囲内にある。
【0022】
前記第1の電極層は、積層して設けられた第1の導電層と第2の導電層を含み、前記光学補償層と前記第2の導電層は同じ材料で製造される。
【0023】
前記光学補償層は、前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に位置し、前記正孔注入層の一部を被覆し、かつその基板における投影が前記黄色発光層の基板における投影の範囲内にある。
【0024】
前記光学補償層と前記正孔注入層は同じ材料で製造される。
【0025】
前記青色発光層と阻止層の厚さの合計は20〜50nmであり、前記黄色光学補償層の厚さは10〜30nmであり、前記赤色光学補償層の厚さは30〜60nmである。
【0026】
前記青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置は、基板、前記基板に順に形成された第1の電極層、複数の発光部層及び第2の電極層を含み、前記発光部層は、前記第1の電極層に順に設けられた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を含み、前記発光層は、積層して設けられた青色発光層、黄色発光層及び両者の間に設けられた阻止層を含み、前記青色発光層は、前記正孔輸送層又は電子輸送層と物理的に接触し、前記黄色発光層の基板における投影は、前記青色発光層の基板における投影の範囲内にあり、かつ青色発光層の投影の一部が前記黄色発光層の投影に被覆され、
前記有機EL装置は、前記第1の電極層の下方に設けられたカラーフィルタをさらに含み、前記カラーフィルタの基板における投影は、前記黄色発光層の基板における投影と互いに重なり、前記カラーフィルタは、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び黄色フィルタを含む。
【0027】
前記青色発光層は前記正孔輸送層を被覆し、前記阻止層は前記青色発光層の一部を被覆し、前記黄色発光層は前記阻止層を被覆し、前記阻止層は電子阻止層である。
【0028】
前記黄色発光層は前記正孔輸送層の一部を被覆し、前記阻止層は前記黄色発光層を被覆し、前記青色発光層の一部は前記阻止層を被覆し、前記阻止層は正孔阻止層である。
【0029】
青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層と第2の導電層を順に蒸着するステップS1と、
精密マスクを用いて、第2の導電層に厚さが30〜60nmの赤色光学補償層と厚さが10〜30nmの黄色光学補償層をスパッタリングするステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔注入層、正孔輸送層及び青色発光層を順に蒸着するステップS3と、
低精度マスクを用いて、青色発光層の上方に前記青色発光層の一部を被覆する電子阻止層と、黄色発光層を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、黄色発光層に電子輸送層、電子注入層、第2の電極層及び光学結合層を蒸着するステップS5とを含む。
【0030】
別の実施形態として、前記ステップS3〜S5は、
オープンマスクを用いて、正孔注入層と正孔輸送層を順に蒸着し、低精度マスクを用いて、正孔輸送層の一部を被覆する黄色発光層と、正孔阻止層を順に蒸着するステップS3、
オープンマスクを用いて、正孔阻止層の上方に前記青色発光層を順に蒸着するステップS4、
オープンマスクを用いて、青色発光層に電子輸送層、電子注入層、第2の電極層及び光学結合層を蒸着するステップS5である。
【0031】
青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層、第2の導電層及び正孔注入層を順に蒸着するステップS1と、
精密マスクを用いて、正孔注入層に厚さが30〜70nmの赤色光学補償層と厚さが15〜45nmの黄色光学補償層をスパッタリングするステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔輸送層と青色発光層を順に蒸着するステップS3と、
低精度マスクを用いて、青色発光層の上方に、前記青色発光層の一部を被覆する電子阻止層と、黄色発光層を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、黄色発光層に電子輸送層、電子注入層、第2の電極層及び光学結合層を蒸着するステップS5とを含む。
【0032】
別の実施形態として、前記ステップS3〜S5は、
オープンマスクを用いて、正孔注入層と正孔輸送層を順に蒸着して、低精度マスクを用いて、正孔輸送層の一部を被覆する黄色発光層と、正孔阻止層を順に蒸着するステップS3、
オープンマスクを用いて、正孔阻止層の上方に前記青色発光層を順に蒸着するステップS4、
オープンマスクを用いて、青色発光層に電子輸送層、電子注入層、第2の電極層及び光学結合層を蒸着するステップS5である。
【発明の効果】
【0033】
本発明の上記技術手段は、従来の技術に比べて、以下の利点を有する。
【0034】
(1)本発明の発光層は、積層して設けられた青色発光層、黄色発光層及び両者の間に設けられた阻止層を含み、前記青色発光層の横断面積は、正孔輸送層又は電子輸送層と同じであり、黄色発光層の基板における投影は、前記青色発光層の基板における投影の範囲内にあり、かつ青色発光層の投影の一部が前記黄色発光層の投影に被覆され、また、黄色発光層の下方に黄色光学補償層及び赤色光学補償層を設けることにより、デバイスの赤、緑、青、黄の四色の発光を実現する。黄色光と赤色光は、図4図5に示すITOの厚さによりY(黄)とR(赤)の微小光共振器の厚さを補償しても、図6図7に示すHILの厚さによりY(黄)とR(赤)の微小光共振器の厚さを補償してもよい。このような構造の発光層の製造過程において、青色発光層は、前記正孔輸送層又は電子輸送層と同じ普通マスクを用いればよく、黄色発光層と阻止層は低精度マスクを用いる。従来の技術における発光層は、三組の精密マスクを必要としたが、本発明では二組の精密マスクを節約し、精密マスクの位置合わせ回数を減少させ、ある程度でプロセスの精度を向上させ、毎度のマスクの位置合わせに一定の誤差が生じるので、位置合わせの回数が少なければ少ないほど、誤差が少なくなり、製品の良品率が高くなり、コストを大幅に低減する。
【0035】
(2)本発明は、ITO又はHILを用いて発光層と共振器効果を形成し、ITO又はHILの厚さを調節することによりデバイスが四色の光を発光することを実現し、製造過程において、2組の精密マスクだけを用いて赤色光又は黄色光のサブ画素の対応位置に所定厚さのITO又はHILをスパッタリングすれば、RGBYの四色の発光を実現でき、このように、第2の手段では、二つの精密マスクを用いて四色の発光を達成し、画素の開口率を高め、コスコを節約し、視覚識別での欠点を回避することができる。
【0036】
(3)本発明のRGBY(赤緑青黄)の画素の配列組合せの形態において、図8図9に示すデバイス構造を採用し、このような画素配列方式は、高精度マスクの使用を回避でき、青色光と黄色光を共通させる構成の底面発光型デバイスに用いられると、精密マスクを必要とせず、一つのストリップ状のマスクのみで四色の発光を達成でき、この画素配列方式が青色光と黄色光を共通させる構成の上面発光型デバイスに用いられても、二つの低精度マスクのみで四色の発光を達成できる。精密マスクの使用を回避しながら画素開口率を向上させ、PPIを高め、従来の配列方式に比べて、この配列方式と設計したデバイスの構造とを組み合わせると、画素解像度が2倍に向上して600PPIに達することができ、RGBY画素は、パネルの色の範囲を拡大し、RGBYの四色画素の配列は、色の範囲を豊にし、視覚での欠点を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の内容をより明瞭に理解しやすくするために、以下、本発明の具体的な実施形態および図面を組み合わせて、本発明をさらに詳細に説明する。
図1図1は従来技術の発光デバイスの概略構造図である。
図2図2は従来技術の画素配列の概略図である。
図3図3は本発明の画素配列の概略図である。
図4図4は本発明の有機EL装置の第1の実施形態の概略構造図である。
図5図5は本発明の有機EL装置の第2の実施形態の概略構造図である。
図6図6は本発明の有機EL装置の第3の実施形態の概略構造図である。
図7図7は本発明の有機EL装置の第4の実施形態の概略構造図である。
図8図8は本発明の有機EL装置の第5の実施形態の概略構造図である。
図9図9は本発明の有機EL装置の第6の実施形態の概略構造図である。
【符号の説明】
【0038】
1−第1の導電層、2−第2の導電層、21−ITO黄色光補償層、22−ITO赤色光補償層、5−正孔注入層、51−HIL黄色光補償層、52−HIL赤色光補償層、6−正孔輸送層、7−青色発光層、8−電子阻止層、9−黄色発光層、10−電子輸送層、11−電子注入層、12−第2の電極層、13−光学結合層、14−正孔阻止層
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の目的、技術手段および利点をより明らかにするために、以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0040】
本発明は、ここで記載される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実施することが可能であると理解すべきである。逆に、これらの実施形態を提供することにより、本開示が徹底し完全になり、かつ、当業者に本発明の思想を十分に伝達し、本発明は特許請求の範囲にのみ限定される。図面において、明瞭化のために、層及び領域のサイズおよび相対的サイズを誇張している場合がある。素子、例えば層、領域または基板が別の素子「の上」に「形成される」または「設けられる」と記載される場合、該素子は前記別の素子に直接設けられても、それらの間に介在している素子が存在してもよいと理解すべきである。逆に、素子が別の素子に「直接形成される」または「直接設けられる」と記載される場合、それらの間に介在している素子が存在しない。
【実施例1】
【0041】
図3に示すように、青色発光層共通式画素配列方式は、m行、n列の第1の画素部を含み、前記第1の画素部が青色サブ画素であり、mが0以外の自然数であり、nが2以上の自然数であり、隣接した前記第1の画素部同士の間に2列の第2の画素部が設けられ、各第2の画素部は、並設された赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素を含み、図3における各点線枠内に2行2列の第2の画素部を含む。
【0042】
前記第2画素部において、前記赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素の行方向における投影は全部又は一部が重なる。
【0043】
前記第2の画素部において、前記赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素の青色サブ画素における投影は重ならない。隣接した2行の第2の画素部は鏡像配列され、例えば、第1の行の第2の画素は上から下へ赤色サブ画素、緑色サブ画素及び黄色サブ画素であれば、それに対応する第2の行の第2の画素部は上から下へ黄色サブ画素、緑色サブ画素及び赤色サブ画素である。このような青色発光層共通式配列方式を採用し、隣接した2行の第2の画素部を鏡像配列し、このような配列方式は、従来の3つのサブ画素の配列を、12個の画素を含むように拡張することにより、画素のPPIを向上させる。
【実施例2】
【0044】
図4に示すように、本発明の実施例1の画素配列構造を有する有機EL装置は、基板(図示せず)、前記基板に順に形成された第1の電極層、複数の発光部層、第2の電極層12及び前記第2の電極層12の上方に設けられた光学結合層13を含み、前記第1の電極層は、前記基板に順に形成された第1の電極層1及び第2の導電層2を含み、前記発光部層は、前記第2の電極層2に順に設けられた正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層、電子輸送層10及び電子注入層11を含む。
【0045】
前記発光層は、積層して設けられた青色発光層7、黄色発光層9及び両者の間に設けられた阻止層を含み、前記青色発光層7は前記正孔輸送層6を被覆し、前記阻止層は前記青色発光層7の一部を被覆し、前記黄色発光層9は前記阻止層を被覆し、前記阻止層は電子阻止層8であり、前記黄色発光層9の基板における投影は、前記青色発光層7の基板における投影の範囲内にあり、かつ青色発光層7の投影の一部が前記黄色発光層9の投影に被覆され、
前記有機EL装置は、前記正孔注入層5に隣接して設けられた光学補償層をさらに含み、本実施例における光学補償層は、前記第2の導電層2と前記正孔注入層5との間に位置し、前記光学補償層は、並設されたITO黄色光学補償層21とITO赤色光学補償層22を含み、前記ITO黄色光学補償層21の厚さが前記ITO赤色光学補償層22の厚さより小さい。
【0046】
本実施例の発光層は、青色発光層7と黄色発光層9からなり、青色光微小共振器を基準とすると、緑色光の補償長さは発光層の電子阻止層8(EBL層)及び青色発光層の厚さにより補償され、両者の厚さは20〜50nmであり、好ましくは40nmである。黄色光と赤色光の光学補償は、緑色光を基に、ITOの厚さにより微小共振器補償を行い、ITO黄色光補償層21の厚さは10〜30nmであり、好ましくは20nmであり、ITO赤色光補償層22の厚さは30〜60nmであり、好ましくは45nmである。このように、有機層の蒸着過程において、精密マスクの使用を回避し、ITOのスパッタリングに用いられるマスクは、有機蒸着マスクにより、精度が高く、PPIを向上させることができる。
【0047】
前記光学補償層の基板における投影は、前記黄色発光層9の基板における投影の範囲内にあり、かつ黄色発光層9の投影の一部が前記光学補償層の投影に被覆され、光学補償層は前記第1の電極層の一部を被覆し、かつ基板における投影が前記黄色発光層9の基板における投影の範囲内にある。前記光学補償層と前記第2の導電層2は、同じ材料で製造される。
【0048】
前記青色発光層7のホスト材料は、正孔型ホスト材料、例えばNPB又はTCTAである。
【0049】
前記第1の導電層はAgで、第2の導電層はITOで、前記第2の電極層はAgである。
【0050】
ここで、図4におけるITO黄色光学補償層21に対応する領域、すなわち図4における最左側の点線枠で示す領域は、黄色サブ画素であり、ITO赤色光補償層22に対応する領域、すなわち図4における左側から2番目の点線枠で示す領域は、赤色サブ画素であり、黄色発光層と青色発光層が重なる領域であってITO黄色光学補償層及びITO赤色光学補償層22とは重ならない領域、すなわち図4における左側から3番目の点線枠で示す領域は、緑色サブ画素である。青色発光層7と黄色発光層が重ならない領域、すなわち図4における最右側の点線枠で示す領域は、青色サブ画素である。
【0051】
本実施例の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
オープンマスクを用いて基板に第1の導電層1と第2の導電層2を順に蒸着するステップS1と、
精密マスクを用いて、第2の導電層2に厚さが30〜60nmの赤色光学補償層と厚さが10〜30nmの黄色光学補償層をスパッタリングするステップS2と、
オープンマスクを用いて正孔注入層5、正孔輸送層6及び青色発光層7を順に蒸着するステップS3と、
低精度マスクを用いて、青色発光層7の上方に、前記青色発光層7の一部を被覆する電子阻止層8と、黄色発光層9を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、黄色発光層9に電子輸送層10、電子注入層11、第2の電極層12及び光学結合層13を蒸着するステップS5とを含む。
【実施例3】
【0052】
図5に示すように、本発明の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の構造は、実施例1と同じであり、前記発光層において、青色発光層7と黄色発光層9の位置が取り替えられ、阻止層は正孔阻止層14を採用する。すなわち、前記黄色発光層9は前記正孔輸送層6の一部を被覆し、前記阻止層は前記黄色発光層9を被覆し、前記青色発光層7の一部は前記阻止層を被覆し、前記阻止層は正孔阻止層14である。
【0053】
本実施例の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層1と第2の導電層2を順に蒸着するステップS1と、
精密マスクを用いて、第2の導電層2に厚さが30〜60nmの赤色光学補償層と厚さが10〜30nmの黄色光学補償層をスパッタリングするステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔注入層5と正孔輸送層6を順に蒸着し、低精度マスクを用いて、正孔輸送層6の一部を被覆する黄色発光層9と、正孔阻止層14を順に蒸着するステップS3と、
オープンマスクを用いて、正孔阻止層14の上方に前記青色発光層7を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、青色発光層7に電子輸送層10、電子注入層11、第2の電極層12及び光学結合層13を蒸着するステップS5とを含む。
【実施例4】
【0054】
図6に示すように、本発明の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の構造は、実施例1と同じであり、本実施例における光学補償層は、前記正孔注入層5と前記正孔輸送層6との間に位置し、前記正孔注入層5の一部を被覆し、かつその基板における投影が前記黄色発光層9の基板における投影の範囲内にある。前記光学補償層と前記正孔注入層5は、同じ材料で製造される。前記光学補償層は、並設されたHIL黄色光学補償層51とHIL赤色光学補償層52を含み、前記IHIL黄色光学補償層51の厚さが前記HIL赤色光学補償層52の厚さより小さい。
【0055】
前記青色発光層7のホスト材料は、式(3)〜式(11)に示す化合物から選択される。
【0056】
本実施例の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層1、第2の導電層2及び正孔注入層5を順に蒸着するステップS1と、
精密マスクを用いて、正孔注入層5に厚さが30〜70nmの赤色光学補償層と厚さが15〜45nmの黄色光学補償層をスパッタリングするステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔輸送層6と青色発光層7を順に蒸着するステップS3と、
低精度マスクを用いて、青色発光層7の上方に、前記青色発光層7の一部を被覆する電子阻止層8と、黄色発光層9を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、黄色発光層9に電子輸送層10、電子注入層11、第2の電極層12及び光学結合層13を蒸着するステップS5とを含む。
【実施例5】
【0057】
図7に示すように、本発明の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の構造は、実施例2と同じであり、本実施例における光学補償層は、前記正孔注入層5と前記正孔輸送層6との間に位置し、前記正孔注入層5の一部を被覆し、かつその基板における投影が前記黄色発光層9の基板における投影の範囲内にある。前記光学補償層と前記正孔注入層5は、同じ材料で製造される。前記光学補償層は、並設されたHIL黄色光学補償層51とHIL赤色光学補償層52を含み、前記IHIL黄色光学補償層51の厚さが前記HIL赤色光学補償層52の厚さより小さい。
【0058】
本実施例の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層1、第2の導電層2及び正孔注入層5を順に蒸着するステップS1と、
精密マスクを用いて、正孔注入層5に厚さが30〜70nmの赤色光学補償層と厚さが15〜45nmの黄色光学補償層をスパッタリングするステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔注入層5と正孔輸送層6を順に蒸着し、低精度マスクを用いて、正孔輸送層6の一部を被覆する黄色発光層9と、正孔阻止層14を順に蒸着するステップS3と、
オープンマスクを用いて、正孔阻止層14の上方に前記青色発光層7を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、青色発光層7に電子輸送層10、電子注入層11、第2の電極層12及び光学結合層13を蒸着するステップS5とを含む。
【実施例6】
【0059】
図8に示すように、本発明の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の構造は、実施例1と同じであるが、本実施例では、実施例1における光学補償層が設けられていない。前記有機EL装置は、前記第1の電極層の下方に設けられたカラーフィルタをさらに含み、前記カラーフィルタの基板における投影は、前記黄色発光層9の基板における投影と互いに重なり、前記カラーフィルタは、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び黄色フィルタを含む。
【0060】
図8における黄色フィルタに対応する領域、すなわち図8における最左側の点線枠で示す領域は、黄色サブ画素であり、赤色フィルタに対応する領域、すなわち図8における左側から2番目の点線枠で示す領域は、赤色サブ画素であり、緑色フィルタに対応する領域、すなわち図8における左側から3番目の点線枠で示す領域は、緑色サブ画素であり、フィルタがない領域、すなわち図8における最右側の点線枠で示す領域は、青色サブ画素である。
【0061】
本実施例の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の製造方法は、
基板にCFをコーティングし、フォトリソグラフィでパターン化して赤色光、黄色光、緑色光のCFを形成するステップS1と、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層1と第2の導電層2を順に蒸着するステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔注入層5、正孔輸送層6及び青色発光層7を順に蒸着するステップS3と、
低精度マスクを用いて、青色発光層7の上方に、前記青色発光層7の一部を被覆する電子阻止層8と、黄色発光層9を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、黄色発光層9に電子輸送層10、電子注入層11、第2の電極層12を蒸着するステップS5とを含む。
【実施例7】
【0062】
図9に示すように、本発明の青色発光層共通式画素配列方式を有する有機EL装置の構造は、実施例2と同じであるが、本実施例では、実施例2における光学補償層が設けられていない。前記有機EL装置は、前記第1の電極層の下方に設けられたカラーフィルタをさらに含み、前記カラーフィルタの基板における投影は、前記黄色発光層9の基板における投影と互いに重なり、前記カラーフィルタは、赤色フィルタ、緑色フィルタ及び黄色フィルタを含む。
【0063】
その製造方法は、
基板にCFをコーティングし、フォトリソグラフィでパターン化して赤色フィルタ、緑色フィルタ、黄色フィルタを形成するステップS1と、
オープンマスクを用いて、基板に第1の導電層1と第2の導電層2を順に蒸着するステップS2と、
オープンマスクを用いて、正孔注入層5、正孔輸送層6を順に蒸着するステップS3と、
低精度マスクを用いて、正孔輸送層6の上方に、前記黄色発光層9を被覆する黄色発光層9と、正孔阻止層14を順に蒸着するステップS4と、
オープンマスクを用いて、正孔阻止層14に青色発光層7、電子輸送層10、電子注入層11、第2の電極層12を蒸着するステップS5とを含む。
【0064】
前記第1の電極層(陽極層)の第1の導電層1は、無機材料又は有機導電性ポリマーを用い、無機材料が一般的に酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化物、又は金、銅、銀等の仕事関数が高い金属であり、好ましくは酸化インジウムスズ(ITO)であり、有機導電性ポリマーは、好ましくはポリチオフェン/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(以下、PEDOT:PSSと略記する)、ポリアニリン(以下、PANIと略記する)のうちの1種の材料である。第2の導電層2は金、銅、銀で製造される。
【0065】
前記第2の電極層12(陰極層)、第1の導電層10及び第2の導電層11は、一般的に、銀、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、インジウム等の仕事関数が低い金属、金属化合物又は合金を用い、本発明では、好ましくは電子輸送層にLi、K、Cs等の活性金属をドープし、該活性金属は、好ましくはアルカリ金属化合物を蒸着する方法で得られる。
【0066】
光学結合層13は、通常のOLEDの一部であり、出光を増加させる效果を有し、厚さが一般的に50〜80nmである。一般的に用いられる有機材料は、バソクプロイン材料層、Alq等の高屈折率で低吸収速度の材料であり、或いは、高屈折率の誘電体ZnS等を結合層としたが、これらの材料に限定されない。
【0067】
前記正孔注入層5(HIL)の基質材料は、好ましくはHAT又は4,4',4''−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4',4''−トリス[2−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミンである。
【0068】
前記正孔輸送層6(HTL)の基質材料は、芳香族アミン系及びグラフトポリマー系の低分子材料を用い、好ましくはN,N’−ジ−(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジンである。
【0069】
前記電子輸送層10は、Alq、CBP、Bphen、BAlqから選択されたが、以下の材料から選択されてもよい。
本発明の主な科学物質の構造式を以下のとおり説明する。
【0070】
明らかに、上記実施例は、実施形態を限定するものではなく、明確に説明するために例示したものに過ぎない。当業者であれば、上記説明を基に種々の変形または変更を行うことができる。ここで、全ての実施形態を列挙する可能性も必要性もない。これから導出した明らかな変形または変更は本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9