特許第6667641号(P6667641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667641
(24)【登録日】2020年2月27日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】メッキ装置およびメッキ方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/26 20060101AFI20200309BHJP
   C23C 2/22 20060101ALI20200309BHJP
   C23C 2/40 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   C23C2/26
   C23C2/22
   C23C2/40
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-533132(P2018-533132)
(86)(22)【出願日】2016年12月23日
(65)【公表番号】特表2018-538448(P2018-538448A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】KR2016015153
(87)【国際公開番号】WO2017111523
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年6月22日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0186322
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ス ヨン
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−057267(JP,U)
【文献】 特開昭55−104468(JP,A)
【文献】 特開昭53−128536(JP,A)
【文献】 特開平04−235264(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0132442(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00− 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板を溶融メッキするメッキ浴槽;
前記鋼板進行方向に沿って前記メッキ浴槽後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ付着量を制御するワイピング部;および
前記鋼板進行方向に沿って前記ワイピング部後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板を冷却させるための冷却部を含み、
前記冷却部は、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ層を冷却する少なくとも一つ以上の冷却体、および前記冷却体に液体窒素や液体ヘリウムを含液体を供給して冷却体を冷却する冷媒供給部を含むメッキ装置。
【請求項2】
前記ワイピング部は、鋼板表面のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するナイフ、および前記ナイフに前記液体を供給してナイフを冷却する冷媒供給部を含む、請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項3】
前記ワイピング部は、鋼板進行方向に沿って前記ナイフ後端で鋼板幅方向に伸びて内部には前記液体が循環し、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ付着量を制御して鋼板を急冷させるチルロールをさらに含む、請求項2に記載のメッキ装置。
【請求項4】
鋼板を溶融メッキするメッキ浴槽;
前記鋼板進行方向に沿って前記メッキ浴槽後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ付着量を制御するワイピング部;および
前記鋼板進行方向に沿って前記ワイピング部後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板を冷却させるための冷却部を含み、
前記ワイピング部は、鋼板表面のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するナイフ、および前記ナイフに液体窒素や液体ヘリウムを含液体を供給してナイフを冷却する冷媒供給部を含むメッキ装置。
【請求項5】
前記ワイピング部は、鋼板進行方向に沿って前記ナイフ後端で鋼板幅方向に伸びて内部には前記液体が循環し、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ付着量を制御して鋼板を急冷させるチルロールをさらに含む、請求項4に記載のメッキ装置。
【請求項6】
前記ナイフは、鋼板幅方向に伸びて内部には前記液体が循環するボディー、および前記ボディー先端に設置され、鋼板のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するチップ部を含む、請求項2ないし5のいずれか一項に記載のメッキ装置。
【請求項7】
前記ナイフは、鋼板幅方向に伸びて回転可能に設置され、内部には前記液体が循環する回転体と、前記回転体外周面に円周方向に沿って間隔を置いて設置され、鋼板表面のメッキ層に接してメッキ付着量を制御するチップ部、および前記回転体に連結されて回転体を回転させて一側チップ部を鋼板表面に向かって配置させる回転駆動部を含む、請求項2ないし5のいずれか一項に記載のメッキ装置。
【請求項8】
前記ワイピング部は、前記ナイフに備えられて鋼板に対するチップ部の接触荷重を検出するロードセンサー、および前記ロードセンサーの検出信号により鋼板に対してナイフを移動して鋼板に対するチップ部の加圧力を制御する制御部をさらに含む、請求項6に記載のメッキ装置。
【請求項9】
前記ナイフは、チップ部が−250ないし5℃の温度に冷却される、請求項6に記載のメッキ装置。
【請求項10】
前記チップ部は、鋼板の幅方向に対して平行に配置された構造である、請求項6に記載のメッキ装置。
【請求項11】
前記チップ部は、鋼板の幅方向に対して傾斜して配置された構造である、請求項6に記載のメッキ装置。
【請求項12】
前記チップ部は、折れて形成されて、鋼板の移動方向に沿ってV字形態または逆V字形態に配置された構造である、請求項6に記載のメッキ装置。
【請求項13】
前記ワイピング部は、前記チルロールに備えられて鋼板に対するチルロールの接触荷重を検出するロードセンサー、および前記ロードセンサーの検出信号により鋼板に対してチルロールを移動して鋼板に対するチルロールの加圧力を制御する制御部をさらに含む、請求項3または5に記載のメッキ装置。
【請求項14】
前記チルロールは、−250ないし5℃の温度に冷却される、請求項3または5に記載のメッキ装置。
【請求項15】
前記冷却体は、鋼板幅方向に伸びて内部には前記液体が循環し、鋼板表面のメッキ層に加圧されて冷気を加える冷却ロールを含み、前記冷却ロールは、複数個が鋼板の進行方向に沿って間隔を置いて配置された構造である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のメッキ装置。
【請求項16】
前記冷却体は、少なくとも二つの冷却ロールの間に巻かれて設置され、鋼板表面のメッキ層に密着して冷気を加える冷却ベルトをさらに含む、請求項15に記載のメッキ装置。
【請求項17】
前記冷却ベルトは、−250ないし5℃の温度に冷却される、請求項16に記載のメッキ装置。
【請求項18】
前記冷却部は、前記冷却ロールに備えられて鋼板に対する冷却ベルトの接触荷重を検出するロードセンサー、および前記ロードセンサーの検出信号により鋼板に対して冷却ロールを移動して鋼板に対する冷却ベルトの加圧力を制御する制御部をさらに含む、請求項16に記載のメッキ装置。
【請求項19】
前記冷却ベルトは、表面にメッキ層に転写されるパターンが形成された、請求項16に記載のメッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板表面に溶融金属を連続してメッキするメッキ装置とメッキ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板の表面に亜鉛系の金属や金属合金をメッキすることによって耐食性を付与する技術が幅広く行われている。メッキ鋼板は、優れた耐食性を基に一般建築材料をはじめとして美麗な表面管理が求められる家電製品、自動車、造船などの外板材まで次第に使用範囲が拡大している実情である。
【0003】
溶融亜鉛メッキ設備(CGL;Continuous Galvanizing Line)は、鋼板表面に溶融亜鉛を付着してメッキ鋼板を生産する設備である。溶融亜鉛メッキ設備で鋼板は、メッキポット内に配置されたシンクロール(sink roll)を経ながら溶融亜鉛が収容されたメッキポットに浸されてメッキが行われる。
【0004】
溶融亜鉛付き鋼板は、シンクロールを通過して方向が転換されてメッキポット上部に出るようになる。亜鉛メッキポットから引き出された鋼板は、以降、鋼板表面でメッキ付着量を調節する工程を経た後、メッキ層を冷却する工程を経てメッキ鋼板として製造される。
【0005】
最近、多様な企業でメッキ鋼板を量産している実情で、製品競争力をより高めることができるように、メッキ工程を単純化しながらメッキ品質を高めることができる差別化された技術の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工程を単純化しながら生産性および製品の品質を高めることができるメッキ装置およびメッキ方法を提供する。
【0007】
メッキ付着量をより簡単に精密制御できるようになされたメッキ装置およびメッキ方法を提供する。
【0008】
メッキ付着量制御工程を単純化させ、メッキ付着量制御工程時に発生し得るメッキ欠陥発生を最小化することができるメッキ装置およびメッキ方法を提供する。
【0009】
鋼板冷却工程を単純化させ、より迅速に冷却を行うことができるようになされたメッキ装置およびメッキ方法を提供する。
【0010】
メッキ鋼板のメッキ付着量やメッキ層組織偏差を最小化してメッキ品質を高めることができるようになされたメッキ装置およびメッキ方法を提供する。
【0011】
多様な組成のメッキ鋼板製造が可能なメッキ装置およびメッキ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本実施形態のメッキ装置は、
鋼板を溶融メッキするメッキ浴槽、鋼板進行方向に沿って前記メッキ浴槽後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ付着量を制御するワイピング部、および鋼板進行方向に沿って前記ワイピング部後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板を冷却させるための冷却部を含み、前記ワイピング部は、鋼板表面のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するナイフ、および前記ナイフに液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給してナイフを冷却する冷媒供給部を含んでもよい。
【0013】
本実施形態のメッキ装置は、
鋼板を溶融メッキするメッキ浴槽、鋼板進行方向に沿って前記メッキ浴槽後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ付着量を制御するワイピング部、および鋼板進行方向に沿って前記ワイピング部後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板を冷却させるための冷却部を含み、前記冷却部は、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ層を冷却する少なくとも一つ以上の冷却体、および前記冷却体に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給して冷却体を冷却する冷媒供給部を含んでもよい。
【0014】
本実施形態のメッキ装置は、
鋼板を溶融メッキするメッキ浴槽、鋼板進行方向に沿って前記メッキ浴槽後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ付着量を制御するワイピング部、および鋼板進行方向に沿って前記ワイピング部後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板を冷却させるための冷却部を含み、前記ワイピング部は、鋼板表面のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するナイフ、および前記ナイフに液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給してナイフを冷却する冷媒供給部を含み、前記冷却部は、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ層を冷却する少なくとも一つ以上の冷却体、および前記冷却体に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給して冷却体を冷却する冷媒供給部を含んでもよい。
【0015】
前記ナイフは、鋼板幅方向に伸びて内部には極低温液体が循環するボディー、および前記ボディー先端に設置され、鋼板のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するチップ部を含んでもよい。
【0016】
前記ナイフは、チップ部が−250ないし5℃の温度に冷却されてもよい。
【0017】
前記ナイフは、鋼板幅方向に伸びて回転可能に設置され、内部には極低温液体が循環する回転体と、前記回転体外周面に円周方向に沿って間隔を置いて設置され、鋼板表面のメッキ層に接してメッキ付着量を制御するチップ部、および前記回転体に連結されて回転体を回転させて一側チップ部を鋼板表面に向かって配置させる回転駆動部を含んでもよい。
【0018】
前記チップ部は、ボディーまたは回転体に着脱可能なように設置されてもよい。
【0019】
前記ワイピング部は、前記ナイフに備えられて鋼板に対するチップ部の接触荷重を検出するロードセンサー、および前記ロードセンサーの検出信号により鋼板に対してナイフを移動して鋼板に対するチップ部の加圧力を制御する制御部をさらに含んでもよい。
【0020】
前記チップ部は、鋼板に幅方向に対して平行に配置された構造であってもよい。
【0021】
前記チップ部は、鋼板の幅方向に対して傾斜して配置された構造であってもよい。
【0022】
前記チップ部は、折れて形成されて、鋼板の移動方向に沿ってV字形態または逆V字形態に配置された構造であってもよい。
【0023】
前記ワイピング部は、鋼板進行方向に沿って前記ナイフ後端で鋼板幅方向に伸びて内部には極低温液体が循環し、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ付着量を制御して鋼板を急冷させるチルロールをさらに含んでもよい。
【0024】
前記ワイピング部は、前記チルロールに備えられて鋼板に対するチルロールの接触荷重を検出するロードセンサー、および前記ロードセンサーの検出信号により鋼板に対してチルロールを移動して鋼板に対するチルロールの加圧力を制御する制御部をさらに含んでもよい。
【0025】
前記ワイピング部は、チルロールに接してチルロール表面に付着された汚染物を除去するスクレーパーをさらに含んでもよい。
【0026】
前記冷却体は、鋼板幅方向に伸びて内部には極低温液体が循環し、鋼板表面のメッキ層に加圧されて冷気を加える冷却ロールを含み、前記冷却ロールは、複数個が鋼板の進行方向に沿って間隔を置いて配置された構造であってもよい。
【0027】
前記冷却体は、少なくとも二つの冷却ロールの間に巻かれて設置され、鋼板表面のメッキ層に密着して冷気を加える冷却ベルトをさらに含んでもよい。
【0028】
前記冷却ベルトは、表面にメッキ層に転写されるパターンが形成されてもよい。
【0029】
前記チルロールまたは冷却ロールは、−250ないし5℃の温度に冷却されてもよい。
【0030】
前記チルロールまたは冷却ロールは、表面粗さが平均0.1ないし3umであってもよい。
【0031】
前記冷却部は、前記冷却ロールに備えられて鋼板に対する冷却ベルトの接触荷重を検出するロードセンサー、および前記ロードセンサーの検出信号により鋼板に対して冷却ロールを移動して鋼板に対する冷却ベルトの加圧力を制御する制御部をさらに含んでもよい。
【0032】
前記鋼板の移動方向に沿って前記ナイフから冷却ロールに行くほど鋼板との間隔が減って鋼板のメッキ層の厚さを漸次に減らす構造であってもよい。
【0033】
本実施形態のメッキ方法は、鋼板をメッキするメッキ段階、鋼板のメッキ付着量を調節する調節段階、鋼板を冷却する冷却段階を含み、前記調節段階は、鋼板表面のメッキ層に接触するナイフでメッキ付着量を一次的に調節する段階、および前記ナイフに液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給してナイフを冷却する段階を含んでもよい。
【0034】
本実施形態のメッキ方法は、鋼板をメッキするメッキ段階、鋼板のメッキ付着量を調節する調節段階、鋼板を冷却する冷却段階を含み、前記冷却段階は、鋼板表面のメッキ層に接触する冷却体で鋼板に冷気を加えて鋼板を冷却する段階、および前記冷却体に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給して冷却体を冷却する段階を含んでもよい。
【0035】
本実施形態のメッキ方法は、鋼板をメッキするメッキ段階、鋼板のメッキ付着量を調節する調節段階、鋼板を冷却する冷却段階を含み、前記調節段階は、鋼板表面のメッキ層に接触するナイフでメッキ付着量を一次的に調節する段階、および前記ナイフに液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給してナイフを冷却する段階を含み、前記冷却段階は、鋼板表面のメッキ層に接触する冷却体で鋼板に冷気を加えて鋼板を冷却する段階、および前記冷却体に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給して冷却体を冷却する段階を含んでもよい。
【0036】
前記調節段階は、鋼板表面のメッキ層に密着するチルロールでメッキ付着量を2次調節しながら鋼板を冷却する段階、および前記チルロールに液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給してチルロールを冷却する段階をさらに含んでもよい。
【0037】
前記調節段階は、鋼板に対するナイフまたはチルロールの接触荷重を検出する段階、および検出された接触荷重により鋼板に対するナイフまたはチルロールの加圧力を制御する段階をさらに含んでもよい。
【0038】
前記冷却段階は、鋼板に対する冷却体の接触荷重を検出する段階、および検出された接触荷重により鋼板に対する冷却体の加圧力を制御する段階をさらに含んでもよい。
【0039】
前記調節段階と冷却段階は、鋼板の移動方向に沿って鋼板のメッキ層の厚さを漸次に減らす構造であってもよい。
【0040】
前記調節段階において、ナイフのチップ部は、−250ないし5℃の温度に維持されてもよい。
【0041】
前記調節段階において、チルロールは、−250ないし5℃の温度に維持されてもよい。
【0042】
前記冷却段階において、冷却体は、−250ないし5℃の温度に維持されてもよい。
【0043】
前記メッキ鋼板は、20℃/sec以上の冷却速度で急冷されてもよい。
【0044】
前記メッキ鋼板は、20℃/sec以上の冷却速度で250℃以下の温度まで急冷されてもよい。
【0045】
前記調節段階または冷却段階で使用された液体窒素による排出ガスを熱処理炉内の還元ガス、冷却工程の雰囲気維持用ガスとして使用する段階をさらに含んでもよい。
【0046】
前記冷却段階において、冷却体表面に形成されたパターンをメッキ層に転写してメッキ層表面にパターンを形成する段階をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、工程を単純化して品質管理要素を減らすことによって、管理が容易で生産性を高めることができるようになる。そこで、競争会社と比較して製品競争力を高め、収益性を改善できるようになる。
【0048】
また、冷却効率を高めてより効果的に鋼板を急冷させることによって、冷却のための設備の長さを減らすことができ、鋼板表面欠陥発生を低減して表面品質に優れたメッキ鋼板を製造できるようになる。
【0049】
また、鋼板に冷却用ガスが接触しないため、従来のガス噴射による亜鉛メッキ飛散やドロス、騒音の発生の問題を解消できるようになる。
【0050】
また、鋼板に直接接触するチルロールを利用して急速冷却が行われることによって、難メッキ性鋼種に対してもメッキ性改善の効果を得ることができる。
【0051】
また、メッキ付着量に対する精密制御が容易であり、鋼板の幅方向にメッキ付着量偏差やメッキ層組織偏差を最小化して高品質のメッキ鋼板を製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本実施例による溶融亜鉛メッキ装置を示した概略的な図面である。
図2】本実施例による溶融亜鉛メッキ装置のナイフ構造を示した概略的な図面である。
図3】本実施例による溶融亜鉛メッキ装置のナイフに対する他の実施例を示した概略的な図面である。
図4】本実施例によるナイフの鋼板に対する接触荷重制御構造を示した概略的な図面である。
図5】本実施例によるナイフのチップ部構造および鋼板に対する配置構造の多様な実施例を示した概略的な図面である。
図6】本実施例による溶融亜鉛メッキ装置のチルロールの構造を示した概略的な図面である。
図7】本実施例による溶融亜鉛メッキ装置の冷却部構造を示した概略的な図面である。
図8】本実施例による溶融亜鉛メッキ装置の冷却部構造を示した概略的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、添付した図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を説明する。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に理解できるように、後述する実施例は本発明の概念と範囲を逸脱しない限度内で多様な形態に変形可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0054】
図面は、概略的であり、蓄積に合うように図示されていないことを知らせる。図面にある部分の相対的なサイズおよび比率は、図面における明確性および便宜のためにその大きさにおいて拡大したり縮小したりして図示されており、任意のサイズは単に例示的なものであり、限定的なものではない。
【0055】
以下、本実施例は、メッキ装置により鋼板表面に亜鉛系金属や金属合金をメッキする溶融亜鉛メッキ装置を例に挙げて説明する。本メッキ装置は、亜鉛系金属や金属合金のメッキに限定されず、多様な金属に対する溶融メッキ装置に全て適用可能である。
【0056】
図1は、本実施例による溶融亜鉛メッキ装置を概略的に示している。
【0057】
図1に示されているように、本実施例のメッキ装置は、鋼板Pを溶融メッキするメッキ浴槽10、鋼板進行方向に沿って前記メッキ浴槽10後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ付着量を制御するワイピング部、および鋼板進行方向に沿って前記ワイピング部後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板を冷却させるための冷却部を含む。
【0058】
メッキ浴槽10に案内された鋼板Pは、メッキ浴槽10内に配置されたシンクロール(sink roll)12を通過しながら溶融金属に浸されて溶融メッキ工程が進行される。鋼板Pは、シンクロール12により進行方向が転換されてメッキ浴槽10上部に移動するようになる。メッキ浴槽10内の溶融金属により表面がメッキされた鋼板Pは、メッキ浴槽10上部に引き出される。鋼板は進行方向に沿って順に配置されたワイピング部および冷却部を経てメッキ鋼板として製造される。冷却部を経て急冷された鋼板はテンションロール14を経て工程に進行される。
【0059】
本実施例で適用可能なメッキ溶液は、亜鉛および亜鉛合金とアルミニウムおよびアルミニウム合金など金属および合金溶融液は全て適用が可能であり、金属および合金のメッキであれば別途の制限なく適用可能である。
【0060】
本実施例において、前記ワイピング部は、鋼板表面に付着されたメッキ層に直接接触してメッキ付着量を調節する構造からなっている。
【0061】
そのために、前記ワイピング部は、鋼板P表面のメッキ層に接触してメッキ付着量を制御するナイフ20、および前記ナイフ20に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給してナイフ20を冷却する冷媒供給部50を含んでもよい。
【0062】
ナイフ20をメッキ層に直接接触することによって、メッキ浴面の酸化物混入を防止し、より容易に鋼板のメッキ付着量を制御することができる。前記冷媒供給部50は、ナイフ20を極低温液体で冷却させることによって、ナイフ20の温度を低めてナイフ20が高温のメッキ層に直接接触する状態でもメッキ溶液がナイフ20に融着されることを防止できるようになる。
【0063】
また、本実施例で前記冷却部は、鋼板表面のメッキ層に直接接触して鋼板を冷却する構造からなっている。
【0064】
そのために、前記冷却部は、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ層を冷却する少なくとも一つ以上の冷却体60、および前記冷却体60に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給して冷却体60を冷却する冷媒供給部50を含んでもよい。
【0065】
冷却体60をメッキ層に直接接触して鋼板のメッキ層を冷却させることによって、冷却能力を極大化してより迅速に鋼板メッキ層を急冷させることができるようになる。前記冷却部は、冷却体60を極低温液体に冷却させることによって、冷却体60の温度を低めて冷却体60が高温のメッキ層に直接接触する状態でもメッキ溶液が冷却体60に融着されることを防止できるようになる。
【0066】
前記冷媒供給部50は、ナイフ20または冷却体60に極低温液体を供給するためのものであって、例えば、極低温液体が収容されたタンク、極低温液体が移送される供給ライン、供給ライン上に設置される供給ポンプを含んでもよい。前記冷媒供給部50は、極低温液体を供給可能な構造であれば全て適用可能であり、多様に変形可能である。
【0067】
前記冷媒供給部50で使用される極低温液体は、液体窒素、液体ヘリウム以外に液体アルゴンなど多様な液体が用いられてもよい。液体窒素を使用する場合より経済性を高めることができる。
【0068】
このように、極低温液体を用いて冷却されたナイフ20と冷却体60が鋼板Pに直接接触して鋼板のメッキ量を制御し、急冷させることによって、本実施例を通じてメッキ鋼板のメッキ付着量を精密制御することができ、メッキ鋼板の冷却速度を20℃/sec以上に高めることができるようになる。したがって、鋼板冷却のための設備ラインの長さを画期的に短縮し、製品生産速度を高めることができるようになる。
【0069】
前記冷媒供給部50を通じてナイフ20または冷却体60に供給された極低温液体は、ナイフ20または冷却体60を通過しながらメッキ層と熱交換されて気体化され得る。ナイフ20または冷却体60で排出されるガスは、適切な濾過装置を経て製鉄工程の熱処理炉(furnace)内の還元ガスまたは冷却工程での非酸化性雰囲気維持のためのガスとして用いて再利用され得る。
【0070】
図2は、本実施例によるナイフの具体的な構造を例示している。
【0071】
本実施例において、前記ナイフ20は、鋼板の両面に対向配置されて鋼板P両面に対してメッキ液の付着量を調節する。鋼板P両面に配置されるナイフ20は、同一の構造からなり、以下の説明は鋼板の一面に対するナイフだけを例に挙げて説明する。
【0072】
図2に示されているように、前記ナイフ20は、鋼板P幅方向に伸びて内部には極低温液体が循環するボディー22、および前記ボディー22先端に設置され、鋼板のメッキ層に接するチップ部24を含み、鋼板表面のメッキ付着量を一次的に制御する構造であってもよい。
【0073】
前記ボディー22と前記チップ部24は、液体窒素使用による極低温環境で長時間安定的に使用可能なように、極低温耐久性に優れたステンレスなどの金属(metal)、セラミック(ceramic)またはセラミックコーティングされた金属材などで製造されてもよい。
【0074】
前記ボディー22は、内部に極低温液体が通過するように流路26が形成される。前記ボディー22に連結された冷媒供給部50は、流路26を通じて極低温液体を循環供給する。前記流路26は、ボディー22の先端に設置されたチップ部24を十分に冷却することができるようにチップ部24が位置した先端まで延長形成されて、チップ部24に極低温液体が接触され得るようにする。
【0075】
本実施例において、前記チップ部24は、ボディー22に対して着脱可能に設置されてもよい。
【0076】
前記チップ部24は、高温のメッキ層と継続して接触して摩耗する。そこで、消耗性であるチップ部24を交替可能な部品化して摩耗時にボディー22からチップ部24だけを交替してナイフ20を継続して使用することができる。前記チップ部24は、より精密なメッキ付着量制御のために先端に行くほど鋭く形成された構造であってもよい。
【0077】
前記ボディー22に供給された極低温液体は、流路26に沿って循環しながらチップ部24を冷却させ、チップ部24が低温状態を維持できるようにさせる。そこで、チップ部24は、メッキ層に接した状態でメッキ溶液がチップ部24に付着することを防止しながら、一次的にメッキ付着層をより正確に制御できるようになる。
【0078】
図3は、ナイフの他の実施例を例示している。図3の実施例によるナイフは、チップ部異常時に即時交換して使用できるように複数個のチップ部を備えた構造からなっている。
【0079】
そのために、本実施例のナイフ21は、鋼板幅方向に伸びて回転可能に設置され、内部には極低温液体が循環する回転体23と、前記回転体23外周面に円周方向に沿って間隔を置いて設置され、鋼板P表面のメッキ層に接してメッキ付着量を制御するチップ部24、および前記回転体23に連結されて回転体23を回転させて一側チップ部24を鋼板表面に向かって配置させる回転駆動部を含んでもよい。
【0080】
そこで、チップ部24摩耗のような異常発生時に回転体23を回転させて使用中のチップ部24を鋼板から離隔させ、待機中の他のチップ部24を鋼板側に移動させることによって、即時チップ部24を交替して使用できるようになる。前記チップ部24は、図3に示されているように、4個が回転体23外周面に沿って90度角度に配置されてもよい。そこで、回転体23が90度角度に回転して各チップ部24を鋼板表面側に移動させることができるようになる。前記チップ部24の設置個数は多様に変形可能である。
【0081】
本実施例において、前記回転体23は、円筒形態からなってもよい。前記回転体23は、円筒形態に限定されず、例えば回転軸の外周面に沿って前記で説明したボディー22が角度を置いて連続的に配置された構造であってもよい。前記回転体23の両先端は、設備上に別途の支持台(図示せず)に回転可能に支持されてもよい。
【0082】
前記回転体23も液体窒素使用による極低温環境で長時間安定的に使用可能に、極低温耐久性に優れたステンレスなどの金属(metal)、セラミック(ceramic)またはセラミックコーティングされた金属材などから製造されてもよい。
【0083】
前記回転体23は、内部に極低温液体が通過するように流路(図示せず)が形成される。回転体23内部に形成される流路は、回転体23の回転軸両先端を通じて冷媒供給部50と連結されてもよい。冷媒供給部50から供給された極低温液体は、前記回転体23の先端を通じて回転体23内部の流路に循環供給される。前記流路は、回転体23外周面に設置されたチップ部24を十分に冷却可能にチップ部24が位置した表面から延長形成されて、チップ部24に極低温液体が接触可能にする。
【0084】
前記回転体23の表面に軸方向に沿ってチップ部24が設置される。前記チップ部24は回転体23表面に着脱可能に設置されてもよい。
【0085】
前記回転駆動部は、回転体23を設定された角度だけ回転させる構造であれば全て適用可能である。図3に示されているように、例えば、前記回転駆動部は回転体23と駆動ベルト25で連結されて動力を伝達するステップモータ27を含んでもよい。そこで、ステップモータ27が一定量回転駆動されると駆動ベルト25を通じて回転体23に動力が伝達されて回転体23がチップ部24の配置間隔だけ回転する。回転体23の回転により回転体23表面に設置されて待機中であった新しいチップ部24が鋼板側に移動して鋼板表面のメッキ層に接触する。そして回転体23回転により摩耗されたり異常が生じたりするチップ部24は、鋼板表面から外側に離隔して待機位置に移動する。摩耗されたチップ部24は待機位置で交替または表面研磨作業を通じて処理される。
【0086】
このように、本実施例の場合、回転体23を所定角度に回転させることで簡単にチップ部24を交替することによって、チップ部24交替による時間を減らし、連続的に作業を進行できるようになる。
【0087】
本実施例において、前記ナイフ20、21は、内部に極低温液体を循環させてチップ部24を−250ないし5℃に冷却させることができる。前記チップ部24の温度が5℃より高くなると高温のメッキ溶液がチップ部24に付着するという問題が発生する。前記チップ部24の温度が−250℃より低い場合には前記チップ部24の低温脆性破壊の問題が発生する。
【0088】
前記ナイフ20、21は、鋼板に対して移動されて鋼板との間隔を可変することによってチップ部24によるメッキ付着量を精密に調節するようになる。
【0089】
前記ナイフ20が鋼板のメッキ層にさらに接近したりメッキ層から外側に離隔したりすることによって、チップ部24と鋼板Pとの間隔が変わって鋼板のメッキ付着量が調節される。
【0090】
図4に示されているように、前記ナイフ20によるメッキ付着量の精密制御のために、前記ワイピング部は、前記ナイフ20に備えられて鋼板Pに対するチップ部24の接触荷重を検出するロードセンサー30、および前記ロードセンサー30の検出信号により鋼板に対してナイフ20を移動して鋼板に対するチップ部24の加圧力を制御する制御部32をさらに含んでもよい。
【0091】
チップ部24と鋼板Pの間の間隔は、ロードセンサー30を通じて検出されたチップ部の接触荷重を通じて確認できる。チップ部24と鋼板Pの間の間隔が狭くなるとチップ部24が鋼板のメッキ層に深く浸入してメッキ溶液との接触量が多くなりながら接触荷重が大きくなり、反対にチップ部24が鋼板Pから離隔するとメッキ溶液との接触量が減りながら接触荷重が小さくなる。
【0092】
前記制御部32は、ロードセンサー30の検出値を演算して一次的に設定されたメッキ付着量に合わせて鋼板Pに対してナイフ20を移動させてメッキ付着量を制御する。
【0093】
鋼板に対する前記ナイフ20の移動は、例えば、ナイフ20に結合された駆動シリンダーなどの駆動部34を通じて行われてもよい。前記駆動部34は、駆動シリンダーやモータなど多様な動力源が利用されてもよく、ナイフ20を鋼板に対して直線移動させ得る構造であれば全て適用可能である。
【0094】
また、前記制御部32は、ロードセンサー30の測定値変化を感知して、装置異常有無を確認できる。装置異常判別時、ナイフ20でチップ部24を交替するなど必要な措置を即時取ることができるようになる。
【0095】
図5は、鋼板に対するナイフのチップ部の形態および鋼板に対するチップ部の配置構造を例示している。
【0096】
本実施例において、前記ナイフ20、21に設置されるチップ部24は、直線形態であるか、中間が折れてV字形態をなす構造など多様な構造で形成されてもよい。前記チップ部24が設置されるナイフのボディー22または回転体23もチップ部24の形態と同一の構造からなってもよい。例えば、前記チップ部24がV字形態からなる場合、チップ部24が設置されるナイフ20のボディー22も先端部はチップ部24のような形態であるV字形態からなってもよい。
【0097】
図5に示されているように、前記チップ部24は、鋼板Pに幅方向に対して平行に配置されてもよい。また、前記チップ部24は、鋼板の幅方向に対して傾斜して配置されてもよい。
【0098】
また、前記チップ部24がV字形態に折れた構造の場合、折れた部分が鋼板の移動方向に向かったり鋼板の移動方向に反対方向に向かったりするように逆V字形態またはV字形態に配置されてもよい。
【0099】
このように、鋼板Pに対してメッキ層と接するチップ部24の配置を多様にすることによって、メッキ層接触時、チップ部24に加えられるメッキ溶液の荷重を減らしてより円滑にメッキ層の付着量を調節できるようになる。
【0100】
図1図6に示されているように、前記ワイピング部は、鋼板進行方向に沿って前記ナイフ20後端に配置されて鋼板のメッキ付着量をより精密に制御し、鋼板のメッキ層を急速冷却させるチルロール40をさらに含んでもよい。
【0101】
前記チルロール(chill roll)40は、鋼板の幅方向に配置され、メッキ層に加圧密着されるロール構造物である。前記チルロール40の両先端は、設備上に別途の支持台(図示せず)に回転可能に支持されてもよい。前記チルロール40は、自由に回転可能な構造で鋼板の移動により共に回転したり、別途の駆動源に連結されて設定された速度で回転したりする構造であってもよい。
【0102】
本実施例において、前記チルロール40は、表面粗さが平均0.1ないし3umであってもよい。
【0103】
前記チルロール40の表面粗さが3umより高くなると劣位な表面品質による不均一な後処理の問題が発生する。前記チルロール40の表面粗さが0.1umより低い場合には化成処理のような後処理特性が低下するという問題が発生する。
【0104】
前記チルロール40は、内部に極低温液体が循環して低温に冷却される構造からなっている。前記チルロール40は、液体窒素使用による極低温環境で長時間安定的に使用可能に、極低温耐久性に優れたステンレスなどの金属(metal)、セラミック(ceramic)またはセラミックコーティングされた金属材などから製造されてもよい。
【0105】
図6に示されているように、前記チルロール40内部には極低温液体が通過するように流路が形成される。チルロール40内部に形成される流路は、チルロール40の回転軸両先端を通じて冷媒供給部(図1の50参照)と連結されてもよい。冷媒供給部50から供給された極低温液体は、前記チルロール40の先端を通じてチルロール40内部の流路に循環供給される。チルロール40内部に供給された極低温液体によりチルロール40表面は低温の冷却状態を維持する。そこで、チルロール40は、鋼板Pのメッキ層に接した状態でメッキ溶液がチルロール40表面に付着することを防止し、メッキ層を急速冷却させることができるようになる。
【0106】
前記チルロール40は、鋼板P表面のメッキ層に加圧密着してナイフ20を経ながら一次的にメッキ付着量が制御された鋼板のメッキ付着量を二次的に精密に制御する。また、前記チルロール40は、鋼板メッキ層に加圧密着した状態で鋼板との直接的な熱交換を通じてメッキ層を急速冷却時させることができるようになる。
【0107】
本実施例において、前記チルロール40は、内部に極低温液体を循環させて温度を−250ないし5℃に冷却させることができる。前記チルロール40の温度が5℃より高くなるとメッキ鋼板の冷却性能および表面品質改善効率が低下するという問題が発生する。前記チルロール40の温度が−250℃より低い場合には前記チルロール40の低温脆性破壊の問題が発生する。
【0108】
このように、本実施例のメッキ装置は、鋼板表面のメッキ溶液に接触する低温のナイフ20とチルロール40を通じてメッキ付着量をより精密に制御し、メッキ層の厚さを調節できるようになる。また、低温に冷却されたチルロール40がメッキ層を加圧して急速冷却させることによって、メッキ層の組織を微細化させ、小さくて均一な表面凝固組織を得ることができ、幅方向へのメッキ付着量偏差やメッキ層組織偏差を効果的に減らすようになる。
【0109】
チルロール40がメッキ層に接触してより速い時間内にメッキ溶液を凝固させることによって、前記メッキ装置は、鋼板を20℃/secの冷却速度で急冷させることができるようになる。また、前記チルロール40は、所定の圧力下でメッキ層を加圧しながら冷却が行われるため、難メッキ性鋼種に対してもメッキ性能を改善できるようになる。
【0110】
また、本実施例の場合、メッキ浴槽10のシンクロール12とチルロール40が連動して鋼板Pを支持している状態になって鋼板が接触式ナイフ20を通過する過程で幅方向に曲がる反曲現象が全く発生しない。つまり、鋼板移動方向に沿ってナイフ20の前端と後端で鋼板はそれぞれシンクロール12とチルロール40を通過するようになる。そこで、鋼板Pは、シンクロール12とチルロール40により平らに繰り広げた状態で反曲現状の発生なくナイフ20を通過するようになる。
【0111】
鋼板が反曲される場合、幅方向へのメッキ付着量偏差が発生し、側面過メッキによる櫛形欠陥などのメッキ表面欠陥が発生する。従来の構造の場合、このような鋼板反曲現象によるメッキ表面欠陥が頻繁に発生するが、本実施例の場合、鋼板の反曲発生を防止することによって、幅方向のメッキ付着量およびメッキ層組織偏差が殆どないメッキ鋼板の製造が可能である。
【0112】
本実施例のワイピング部は、前記チルロール40によるメッキ付着量の精密制御のために、ナイフと同様に、前記チルロール40に備えられて鋼板に対するチルロール40の接触荷重を検出するロードセンサー30、および前記ロードセンサーの検出信号により駆動部34を作動して鋼板に対してチルロール40を移動して鋼板に対するチルロール40の加圧力を制御する制御部32をさらに含んでもよい。
【0113】
前記チルロール40が鋼板Pのメッキ層に接近したりメッキ層から外側に離隔したりすることによって、チルロール40と鋼板との間隔が変わって鋼板のメッキ付着量とメッキ層の厚さが精密に調節される。
【0114】
チルロール40に対するロードセンサーと制御部の構造は、前記で説明したナイフ20に対するロードセンサー30と制御部32および駆動部34の構造と同一であるため、同一の符号を使用し、その構造と作用はナイフ20に対するロードセンサー30と制御部32の説明を参照し、以下で詳細な説明は省略する。そこで、前記制御部32は、ロードセンサー30の検出値を演算して鋼板に対してチルロール40を移動させてメッキ層を加圧することによって、メッキ付着量とこれによるメッキ層の厚さをより精密に制御することができる。また、チルロールによりメッキ層が加圧されて20℃/sec以上の冷却速度で急冷されることによって、幅方向のメッキ付着量偏差を最小化してより微細な組織のメッキ層を得ることができる。
【0115】
また、前記ワイピング部は、チルロール40表面が汚染された場合に備えてチルロール40表面の汚染物を除去する構造からなっている。そのために、図7に示されているように、前記ワイピング部は、チルロール40に接してチルロール40表面に付着された汚染物を除去するためのスクレーパー44をさらに含んでもよい。前記スクレーパー44は、チルロール40の軸方向に伸びてチルロール40表面に接触するように設置されてもよい。そこで、前記チルロール40が回転されながらチルロール40表面に付着された汚染物がスクレーパー44にかかってチルロール40表面から除去される。
【0116】
前記ワイピング部を経てメッキ付着量が精密調節され、急冷が行われる。鋼板は、ワイピング部後端に配置された冷却部を経ながら設定温度以下に急速冷却され、メッキ層の厚さが精密に制御される。
【0117】
図7図8は、本実施例による冷却部の構造を例示している。
【0118】
前記冷却部は、鋼板表面のメッキ層に密着してメッキ層を冷却する少なくとも一つ以上の冷却体60、および前記冷却体60に液体窒素や液体ヘリウムを含む極低温液体を供給して冷却体60を冷却する冷媒供給部50を含んでもよい。
【0119】
本実施例において、前記冷却体60は、鋼板幅方向に伸びて内部には極低温液体が循環し、鋼板P表面のメッキ層に加圧されて冷気を加える冷却ロール62を含んでもよい。前記冷却ロール62は、複数個が鋼板の進行方向に沿って間隔を置いて多段に配置された構造であってもよい。
【0120】
前記冷却ロール62は、前記チルロール40と同様に、鋼板の幅方向に配置されるロール構造物である。前記冷却ロール62の両先端は、設備上に別途の支持台(図示せず)に回転可能に支持されてもよい。前記冷却ロール62は、自由に回転可能な構造で鋼板の移動により共に回転したり、別途の駆動源に連結されて設定された速度で回転したりする構造であってもよい。
【0121】
前記冷却ロール62は、内部に極低温液体が循環して低温に冷却される構造からなっている。
【0122】
チルロール40と同様に、前記冷却ロール62内部には極低温液体が通過するように流路64が形成される。冷却ロール62内部に形成される流路64は、冷却ロール62の回転軸両先端を通じて冷媒供給部(図1の50参照)と連結されてもよい。冷媒供給部50から供給された極低温液体は、前記冷却ロール62の先端を通じて冷却ロール62内部の流路64に循環供給される。冷却ロール62内部に供給された極低温液体により冷却ロール62表面は低温の冷却状態を維持する。
【0123】
また、前記冷却体60は、少なくとも二つの冷却ロール62の間に巻かれて設置され、鋼板P表面のメッキ層に加圧密着して冷気を加える冷却ベルト66をさらに含んでもよい。このような構造の場合、冷却ロール62でなく冷却ベルト66が鋼板のメッキ層に直接接するようになる。
【0124】
前記冷却ロール62と前記冷却ベルト66は、液体窒素使用による極低温環境で長時間安定的に使用可能に、極低温耐久性に優れたステンレスなどの金属(metal)、セラミック(ceramic)またはセラミックコーティングされた金属材などで製造されてもよい。
【0125】
本実施例において、前記鋼板表面に接する冷却ロール62または冷却ベルト66は、表面粗さが平均0.1ないし3umであってもよい。前記冷却ロール62または冷却ベルト66の表面粗さが3umより高くなると劣位な表面品質による不均一な後処理の問題が発生し、表面粗さが0.1umより低い場合には化成処理のような後処理特性が低下するという問題が発生する。
【0126】
本実施例において、二つの冷却ロール62に冷却ベルト66が巻かれて一つの冷却体60をなし、このような冷却体60一つまたは複数個が鋼板の進行方向に沿って間隔を置いて配置された構造からなっている。各冷却体60の設置間隔や個数などは設備や工程条件により多様に変形可能である。
【0127】
各冷却体60は、同一の構造からなってもよく、以下、一側冷却体に対する構造を例に挙げて説明する。
【0128】
離隔した二つの冷却ロール62の間に冷却ベルト66が巻かれて設置され、冷却ベルト66は鋼板表面のメッキ層に面接触する。前記冷却ベルト66は、例えば、鋼板に接した状態で冷却ロール62の回転駆動により鋼板の移動速度に合わせて回転することができる。鋼板の移動速度に合わせて冷却ベルト66が回転することによって、鋼板と冷却ベルト66の間の摩擦を最小化し、摩擦によるメッキ層損傷を防止することができる。
【0129】
冷却ロール62は、外側に具備された冷却ベルト66を低温に冷却させるようになる。冷却ベルト66は、冷却ロール62により低温に冷却された状態でメッキ層に面接触しているため、メッキ層を急速冷却させることができるようになる。つまり、前記冷却ベルト66は、二つの冷却ロール62の間で鋼板表面のメッキ層に面接触している。そこで、鋼板のメッキ層に対する冷却面積は、冷却ベルト66による接触面積だけ大きくなるようになる。したがって、本実施例の冷却部は、冷却ベルト66を通じて鋼板メッキ層に対する冷却面積を増やして冷却速度を高めることができるようになる。
【0130】
本実施例において、前記冷却ロール62は、内部に極低温液体を循環させてメッキ層と接する冷却ベルト66の温度を−250ないし5℃に冷却させることができる。前記冷却ベルト66の温度が5℃より高くなるとメッキ鋼板の冷却性能および表面品質改善効率が低下するという問題が発生する。前記冷却ベルト66の温度が−250℃より低い場合には前記冷却ベルト66の低温脆性破壊の問題が発生する。
【0131】
このように、冷却ロール62に設置された冷却ベルト66がメッキ層に接触してより速い時間内にメッキ溶液を急速凝固させることによって、本実施例のメッキ装置は冷却部を通じて鋼板を20℃/secの冷却速度で250℃以下の温度まで急冷させることができるようになる。
【0132】
前記冷却部は、ユニットを構成する二つの冷却ロール62の間の間隔を調節して冷却ベルト66をぴんと緊張させることができる。冷却ベルト66が緊張してぴんと繰り広げられることによって鋼板表面のメッキ層と冷却ベルト66の接触および加圧力が均一に行われ、メッキ層をより均一に加圧冷却させることができるようになる。
【0133】
図8に示されているように、そのために前記冷却部は、冷却ベルト66が巻かれた二つの冷却ロール62の間に冷却ロール62の間を伸縮させる駆動シリンダー68が設置されてもよい。前記駆動シリンダー68は、制御部32の信号により駆動されて冷却ロール62の間を広げるようになる。冷却ロール62間が広がることによって冷却ベルト66がぴんと繰り広げられるようになる。
【0134】
また、前記冷却ロール62は、鋼板のメッキ層に対する加圧力を精密に調節することができる。そのために、前記冷却ロール62は、図示していないが、チルロール40と同一にロードセンサーと制御部および駆動部を備えてもよい。冷却ロールの加圧力調節構造は、前記で説明したチルロール40に対するロードセンサー30と制御部32および駆動部34の構造と同一であるため、その構造と作用についての詳細な説明は省略する。そこで、冷却ロールは、設定された圧力で冷却ベルトを鋼板に加圧密着させて鋼板のメッキ層の厚さを精密に制御するようになる。
【0135】
つまり、前記冷却ロール62が鋼板のメッキ層に接近したりメッキ層から外側に離隔したりすることによって、冷却ロール62に巻かれた冷却ベルト66と鋼板との間隔が変わって鋼板のメッキ層に対する加圧力が調節される。このように、前記冷却部は、ロードセンサーの検出値を演算して鋼板に対して冷却ロール62を移動させて冷却ベルト66によるメッキ層加圧力を精密に調節することによって、メッキ層の厚さを精密に制御できるようになる。
【0136】
ここで、前記冷却ロール62の移動による冷却ベルト66の加圧力は、鋼板の移動方向に沿って配置された複数個の冷却体60それぞれに対して同一または異なっていてもよい。つまり、鋼板の移動方向に沿って配置された各冷却体60は、同一の加圧力で鋼板に密着されてもよい。または前記各冷却体60は、鋼板の移動方向に沿って漸次に加圧力を高めて鋼板に密着されてもよい。このような構造の場合、鋼板は、各冷却体60を通過しながら漸次に高い加圧力を受けてメッキ層の厚さを漸次に減らすことができるようになる。
【0137】
そこで、前記鋼板の移動方向に沿って前記ナイフ20から冷却部へ行くほど漸次にメッキ層の厚さを減らしてより精密にメッキ層の厚さを制御できるようになる。
【0138】
また、前記冷却部は、所定の圧力下でメッキ層を加圧しながらメッキ層を急冷させることによって、難メッキ性鋼種に対してもメッキ性能を改善できるようになる。また、前記冷却部は、鋼板の進行方向に沿って後端側最後に配置された冷却ロールまたは冷却ベルトを通じて最終的に鋼板メッキ層の表面粗さを制御することができる。したがって、より高品質の製品を生産できるようになる。
【0139】
このように、本実施例のメッキ装置は、極低温液体により冷却された冷却ベルトをメッキ層に密着させて冷却させることによって、従来と比較してメッキ層を急速冷却させることができるようになる。メッキ鋼板冷却は、製品の表面品質に直接的な影響を与える。もし未凝固メッキ層が汚染されたガスまたは設備後端のロールに接触される場合、直接的な表面欠陥発生の原因になるため、メッキ層は設備後端に進入する前に完全に凝固されなければならない。従来の構造の場合、ガスや水冷方式を利用することによって熱容量が低くて冷却能力が落ち、そこで、メッキ鋼板を一定の温度以下に冷却させてメッキ層を完全に凝固させるためには非常に長い多段階の冷却ラインを必要とした。したがって、従来は冷却ラインが相当に複雑で、設備規模が膨大であるため、設備を効果的に管理しにくくて表面欠陥の発生が頻繁であった。特に、Znメッキ溶液にAl、Mgが多量添加された合金メッキ鋼板のように、メッキ層の凝固開始温度と凝固完了温度の差が大きい場合には、従来のガスを利用した方式では十分な冷却効果を得にくい。そこで、メッキ層の冷却が良好に行われないため、強酸化成金属であるAl、Mg含有の粗大で脆弱なメッキ層組織が生成され、このような領域で黒点、黒変のようなメッキ層表面結合が発生し、メッキ層クラック発生および耐食性低下の問題を誘発するようになる。
【0140】
これに反し、本実施例の場合、鋼板のメッキ層に直接冷却ベルト66が接触して極低温液体による冷却能をメッキ層に加えることによって、冷却効率をより高めることができるようになる。そこで、メッキ層冷却にかかる時間を大きく短縮させることができるようになる。したがって、本実施例によりメッキ鋼板の冷却速度が20℃/sec以上に高くなって冷却部の設備ラインをより減らすことができるようになる。また、鋼板にガスが直接的に接触せず、表面欠陥の発生を最小化することができ、より小さくて均一な表面組織を得て高品質のメッキ鋼板の製造が可能である。また、冷却用ガスを使用せず、環境に有害な粉塵発生を防止できるようになる。
【0141】
また、本実施例において、前記冷却ベルト66は、メッキ鋼板のメッキ層を加圧して冷却する過程でメッキ層にパターンを刻印して形成する構造であってもよい。ここでパターンとは、反復的な模様や柄を意味し得る。
【0142】
メッキ鋼板のメッキ層は、冷却のためにメッキ層と接触している冷却ベルトの表面形状に影響を受けるため、冷却ベルトに多様なパターンを形成させて転写させる構造を通じてメッキ層表面を加工することができる。そのために、前記冷却ベルト66は、表面にメッキ層に転写されるパターンが形成されてもよい。そこで、冷却ベルトがメッキ層に加圧密着されてメッキ層を冷却する過程で、冷却ベルト表面に形成されたパターンがメッキ層に押さえられて転写されながらメッキ層に冷却ベルトのパターンと同一の形態のパターンが形成される。
【0143】
このように、メッキ鋼板のメッキ層に冷却ベルトを接触させて急速冷却させることによって、別途のパターン形成のための装置を経ずにメッキ層にパターンを容易に形成できるようになる。
【0144】
以下、本実施例によるメッキ工程について説明する。
【0145】
本実施例によりメッキ浴槽を経て溶融亜鉛がメッキされた鋼板は、メッキ浴槽上部に移動されて鋼板のメッキ付着量を調節する工程と鋼板を冷却する工程を経てメッキ鋼板として製造される。
【0146】
鋼板のメッキ付着量を調節するために、メッキ浴槽から出た鋼板は一次的に鋼板表面のメッキ層に接触する低温のナイフにより一次的にメッキ付着量が制御される。そしてナイフの後端で鋼板表面メッキ層に接触する低温のチルロールにより二次的にメッキ付着量が制御される。
【0147】
前記ナイフとチルロールによるメッキ付着量の調節は、鋼板に対するナイフとチルロールの接触荷重を検出し、検出された接触荷重により鋼板に対してナイフとチルロールを移動させて加圧力を制御することによって、精密に調節することができる。
【0148】
前記ナイフとチルロールは、内部に液体窒素などの極低温液体が供給されて低温に冷却される。ナイフに供給された極低温液体によりナイフに設置されたチップ部は5℃以下の温度に冷却される。そこで、チップ部がメッキ層に接触してメッキ付着量を調節する状態でメッキ溶液が低温に冷却されたチップ部に融着されない。したがって、ナイフは、チップ部を物理的にメッキ層に接触した状態でメッキ層のメッキ付着量を正確に制御できるようになる。このようにメッキ浴槽から出た鋼板は、ナイフにより一次的にメッキ層のメッキ付着量が制御される。
【0149】
チルロールは、一次的にナイフにより付着量が制御された鋼板のメッキ層に接触してメッキ層を物理的に加圧することによって、メッキ付着量を二次的により精密に制御する。
【0150】
チルロールも内部に供給された極低温液体により低温に冷却されており、メッキ層に接触されるチルロールの表面は5℃以下に冷却される。そこで、チルロールがメッキ層に密着して加圧する状態でメッキ溶液がチルロール表面に付着しない。したがって、チルロールをメッキ層に加圧してメッキ層のメッキ付着量を精密に制御し、鋼板のメッキ層の厚さを調節できるようになる。
【0151】
チルロールにより鋼板が加圧されてメッキ付着量が制御される過程で低温のチルロールにより鋼板のメッキ層が急速に冷却される。チルロールは、言及したとおり、極低温液体により冷却された状態でチルロールと接触しているメッキ層がチルロールと熱交換されながら急速に冷却される。このように、チルロールがメッキ層と接してメッキ層を冷却させることによって、前記メッキ鋼板は20℃/sec以上の冷却速度で急冷されてもよい。
【0152】
チルロールを通過しながら急速冷却された鋼板は、チルロール後端に配置された冷却区間を通過しながら設定温度以下に急冷される。
【0153】
冷却区間には、冷却体として冷却ロールと冷却ベルトを含んで構成された複数個のユニットが連続的に配置され、各ユニットの冷却ベルトが鋼板表面のメッキ層に加圧密着されている。
【0154】
冷却ロールは、チルロールのように、内部に液体窒素などの極低温液体が供給されて低温に冷却される。冷却ロールの冷気は冷却ベルトを通じてメッキ層に加わってメッキ層を急冷させるようになる。
【0155】
冷却ベルトは、極低温液体により低温に冷却されて冷却ベルトがメッキ層に加圧された状態でメッキ層が冷却ベルトに付着しない。
【0156】
前記冷却ベルトは、鋼板のメッキ層を適正圧力に加圧した状態でメッキ層を冷却させるようになる。鋼板に対する冷却ベルトの加圧力調節は、鋼板に対する冷却ベルトの接触荷重を検出し、検出された接触荷重により鋼板に対して冷却ベルトを移動させて加圧力を精密に制御することができる。
【0157】
そこで、チルロールを経たメッキ鋼板は、冷却区間を通過しながら冷却ベルトにより冷却されて20℃/sec以上の冷却速度で250℃以下の温度まで急冷されてもよい。
【0158】
メッキ付着量調節過程とメッキ層冷却過程を経ながらチルロールと冷却ベルトがメッキ層を直接接して加圧することによって、鋼板の移動方向に沿って鋼板のメッキ層の厚さを漸次に減らして、鋼板のメッキ層の厚さをより精密に制御できるようになる。
【0159】
また、チルロールと冷却ベルトによる圧力下でメッキ層の冷却が行われるため、溶融亜鉛メッキだけでなく、難メッキ性鋼種のメッキ性を改善することができる。
【0160】
メッキ付着量調節過程とメッキ層冷却過程で液体窒素が気体化され得るため、この過程で発生した排出ガスは濾過過程を経た後に熱処理炉(Furnace)内の還元ガスまたはメッキ鋼板冷却工程の雰囲気維持用ガスとして再利用することができる。
【0161】
ここで、前記冷却ベルトによる鋼板のメッキ層冷却過程において、メッキ鋼板のメッキ層表面にパターンを形成してもよい。
【0162】
冷却ベルトがメッキ層を加圧して冷却しながら、冷却ベルト表面に形成されたパターンがメッキ層を押して加圧するようになる。そこで、冷却ベルト表面に形成されたパターンがそのままメッキ層に転写されてメッキ層表面に冷却ベルト表面に形成されたパターンと同一の形態のパターンが形成される。
【0163】
このように、簡単にメッキ層を冷却する過程でメッキ鋼板表面に所望の形態のパターンを形成できるようになる。
【0164】
以上で説明したとおり、本発明の例示的な実施例が図示されて説明されたが、多様な変形と他の実施例が本分野における熟練した技術者により行われ得る。このような変形と他の実施例は、添付した特許請求の範囲に全て考慮され、含まれて、本発明の真正な趣旨および範囲を逸脱しないと言える。
【符号の説明】
【0165】
10:メッキ浴槽
12:シンクロール
20、21:ナイフ
22:ボディー
23:回転体
24:チップ部
25:駆動ベルト
26、42、64:流路
27:ステップモータ
30:ロードセンサー
32:制御部
34:駆動部
40:チルロール
50:冷媒供給部
60:冷却体
64:冷却ロール
66:冷却ベルト
68:駆動シリンダー
図1
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図8