特許第6667654号(P6667654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667654
(24)【登録日】2020年2月27日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】光学測定機のための遠隔操作プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   G01B11/00 G
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-545943(P2018-545943)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公表番号】特表2019-515249(P2019-515249A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】US2017026193
(87)【国際公開番号】WO2017184345
(87)【国際公開日】20171026
【審査請求日】2018年10月26日
(31)【優先権主張番号】15/133,837
(32)【優先日】2016年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505377430
【氏名又は名称】クオリティー ヴィジョン インターナショナル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Quality Vision International, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】ケイ, デイビッド, ビー.
【審査官】 川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−052540(JP,A)
【文献】 特表2013−545613(JP,A)
【文献】 特開2004−341300(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/040530(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルモードファイバ伝送によって光源と検出器の両方に接続された干渉計プローブを有する光学測定システムにおいて干渉コントラストを強める方法であって、
瞬間的または逐次的に確立された帯域幅を有するコリメートされたソースビームを、シングルモードファイバを介して干渉計プローブ内のビームスプリッタに向ける工程と、
前記ビームスプリッタで前記コリメートされたソースビームを、(a)対象アームに沿
い前記干渉計プローブ内の対象側対物レンズを介してテスト対象物に近接した対象焦点に向けられる対象ビームと、(b)参照アームに沿い前記干渉計プローブ内の参照反射器に
向かう参照ビームと、に分割する工程と、
前記参照ビームを前記参照アームに沿って角度的に再分配する工程と、
(a)前記テスト対象物から反射された対象ビームを、(b)前記参照反射器から反射され角度的に再分配された前記参照ビームと、前記ビームスプリッタで結合して測定ビームとする工程と、
前記測定ビームを、アクセプタンスコーンを有する前記シングルモードファイバの端部に向けて収束させ、前記アクセプタンスコーンが前記測定ビームの角度的再分配を制限し、受け入れられた前記測定ビームがさらに前記シングルモードファイバに沿って前記検出器に向かって進む工程と、
を備え、
前記参照ビームを角度的に再分配する工程が、前記参照ビームの角度的な再分配を調節し、前記収束された測定ビームのうち、前記シングルモードファイバの前記アクセプタンスコーンを介して受け入れられさらに前記検出器に向かって進む参照ビームの部分を制限することを含む方法。
【請求項2】
前記測定ビーム内の前記反射された対象ビームと前記反射された参照ビームのそれぞれの強度を比較し、前記シングルモードファイバの前記アクセプタンスコーンを介して受け入れられる前記測定ビームの前記参照ビームの部分を制限し、前記シングルモードファイバに沿って進む前記測定ビームにおける前記反射された対象ビームの部分と前記参照ビームの部分の強度をより一層近づけるようにバランスさせる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分割する工程は、前記参照ビームを、前記参照アームに沿い前記干渉計プローブ内の参照側対物レンズを介して、前記参照反射器に近接する参照焦点に向けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記参照ビームを角度的に再分配する工程は、前記参照ビームを前記参照反射器上でデフォーカスさせることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記参照側対物レンズに対して前記参照反射器を共通の光軸に沿って平行移動させることによって、前記参照ビームをデフォーカスさせるとともに、前記参照ビームと前記対象アームとの間の相対的な光路長を維持するために光路長調節を行なう、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記光路長調節は、前記対象側対物レンズを前記ビームスプリッタに対して相対的に平行移動させることによって実行されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記参照ビームを角度的に再分配する工程は、前記参照焦点を通過する軸の周りで前記参照反射器を回すことを含む請求項記載の方法。
【請求項8】
シングルモードファイバ伝送によって光源と検出器の両方に接続された干渉計プローブを有する光学測定システムにおいて干渉コントラストを強める方法であって、
瞬間的または逐次的に確立された帯域幅を有するコリメートされたソースビームを、シングルモードファイバを介して干渉計プローブ内のビームスプリッタに向ける工程と、
前記ビームスプリッタでソースビームを、(a)対象アームに沿い前記干渉計プローブ内の対象側対物レンズを介してテスト対象物に近接した対象焦点に向けられる対象ビームと、(b)参照アームに沿い前記干渉計プローブ内の参照反射器に向かう参照ビームと、に分割する工程と、
(a)前記テスト対象物から反射された対象ビームを、(b)前記参照反射器から反射された参照ビームと、前記ビームスプリッタで結合して測定ビームとする工程と、
前記測定ビームを、前記シングルモードファイバのアクセプタンスコーン内で前記シングルモードファイバに収束させる工程と、
前記測定ビームを前記シングルモードファイバに沿い前記検出器に向けて伝送する工程と、
前記検出器に向かって伝送される前記測定ビーム内での前記反射された対象ビームと前記反射された参照ビームの強度を、より一層近づけるようにバランスさせるために、前記参照ビームの部分を、前記シングルモードファイバの前記アクセプタンスコーン内への収束から除外する工程と、
を備え、
前記分割する工程は、前記参照ビームを、前記参照アームに沿い前記干渉計プローブ内の参照側対物レンズを介して、前記参照反射器に近接する参照焦点に向けることを含み、
前記除外する工程は、前記参照ビームの除外された部分が前記シングルモードファイバの前記アクセプタンスコーンの外側の経路に向けられるように、前記参照ビームの部分を角度的に再分配することを含み、
前記参照焦点を通過する軸の周りで前記参照反射器を回すことによって、前記参照ビームを角度的に再分配する、方法。
【請求項9】
前記比較する工程は、前記検出器内での異なる波長の位相変調間のコントラストを測定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記光源からの前記ソースビームを、前記シングルモードファイバに沿ってコリメートレンズに伝送し、コリメートされた前記ソースビームを前記干渉計プローブ内の前記ビームスプリッタに向ける、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記光源は、不可視光を発する第1の光源であり、
さらに、第2の光源からの可視光を前記シングルモードファイバに沿い前記コリメートレンズを介して前記ビームスプリッタに伝送し、前記可視光を前記ビームスプリッタから前記対象アームに沿い前記対象側対物レンズを介して前記テスト対象物において可視の焦点スポットへと向ける工程を備えた、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
光学測定システムのプローブであって、
テスト対象物を光学的に測定するために、測定機に調節可能に取り付けられるように構成されたプローブ本体と、
前記プローブ本体内に光学的に結合され、波長範囲にわたって瞬間的または逐次的に確立された帯域幅を有するソースビームを前記プローブ本体に伝送し、前記プローブ本体からの測定ビームを検出器に向けて伝送する少なくとも1つのシングルモードファイバと、
前記プローブ本体内に設けられた少なくとも1つのコリメータ/カプラと、ビームスプリッタと、対象側対物レンズと、参照反射器とを備え、
前記少なくとも1つのコリメータ/カプラは、前記少なくとも1つのシングルモードファイバから放射された前記ソースビームをコリメートするように構成され、
前記ビームスプリッタは、前記コリメートされたソースビームを、対象アームに沿い前記対象側対物レンズを介して前記テスト対象物に近接する対象焦点に向けられる対象ビームと、参照アームに沿い前記参照反射器に向けられる参照ビームとに分割するように構成され、
さらに前記参照アームに沿って前記参照ビームを角度的に再分配する調節可能なビームマニピュレータを備え、
前記ビームスプリッタは、前記テスト対象物から反射された前記対象ビームを、前記参照反射器から反射され角度的に再分配された前記参照ビームと結合して測定ビームにするように構成され、
前記少なくとも1つのコリメータ/カプラは、前記測定ビームをアクセプタンスコーンを有する前記少なくとも1つのシングルモードファイバの端部に向けて収束させ、前記アクセプタンスコーンが前記測定ビームの角度的分配を制限し、受け入れられた前記測定ビームがさらに前記シングルモードファイバに沿って前記検出器に向かって進むように構成され、
前記調節可能なビームマニピュレータは、前記シングルモードファイバの前記アクセプタンスコーンを介して受け入れられさらに前記検出器に向かって進む前記収束された測定ビームにおける前記参照ビームの部分を制限するために、前記参照ビームの角度的な再分配を調節するように構成される、プローブ。
【請求項13】
参照側対物レンズも前記プローブ本体内に設けられ、前記参照ビームが、前記参照アームに沿い前記参照側対物レンズを介して前記参照反射器に近接する参照焦点に向けられる、請求項12に記載のプローブ。
【請求項14】
前記調節可能なビームマニピュレータは、前記参照反射器において前記参照ビームを様々にデフォーカスすることを特徴とする請求項13に記載のプローブ。
【請求項15】
前記調節可能なビームマニピュレータが、前記参照反射器を前記参照側対物レンズに対して共通の光軸に沿って平行移動させる第1のリニア調節器と、前記参照反射器の平行移動に関連した光路長の変化を補償するために前記参照アームと前記対象アームの相対的光路長を相対的に調節する第2のリニア調節器とを有する請求項14に記載のプローブ。
【請求項16】
前記ビームマニピュレータが、前記参照反射器を前記参照焦点を通過する軸を中心に回動させる傾き調節器を含む、請求項13に記載のプローブ。
【請求項17】
光学測定システムのプローブであって、
テスト対象物を光学的に測定するために、測定機に調節可能に取り付けられるように構成されたプローブ本体と、
前記プローブ本体内に光学的に結合され、波長範囲にわたって瞬間的または逐次的に確立された帯域幅を有するソースビームを前記プローブ本体に伝送し、前記プローブ本体からの測定ビームを検出器に向けて伝送する少なくとも1つのシングルモードファイバと、
前記プローブ本体内に設けられた少なくとも1つのコリメータ/カプラと、ビームスプリッタと、対象側対物レンズと、参照反射器とを備え、
前記少なくとも1つのコリメータ/カプラは、(a)前記少なくとも1つのシングルモードファイバから放射された前記ソースビームをコリメートし、(b)前記測定ビームを前記少なくとも1つのシングルモードファイバのアクセプタンスコーン内で、前記少なくとも1つのシングルモードファイバに収束させ、
前記ビームスプリッタは、(a)前記コリメートされたソースビームを、対象アームに沿い前記対象側対物レンズを介して前記テスト対象物に近接する対象焦点に向けられる対象ビームと、参照アームに沿い前記参照反射器に向けられる参照ビームとに分割し、(b)前記テスト対象物から反射された前記対象ビームを、前記参照反射器から反射された前記参照ビームと結合して測定ビームにし、
さらに調節可能なビームマニピュレータを備え、このビームマニピュレータは、前記参照ビームの部分を、異なるサイズの部分にわたって、前記少なくとも1つのシングルモードファイバの前記アクセプタンスコーン内に収束することから空間的に除外し、前記反射された対象ビームの強度と前記反射された参照ビームの強度とを、より接近するようにバランスさせ、
参照側対物レンズが前記プローブ本体内に設けられ、前記参照ビームが、前記参照アームに沿い前記参照側対物レンズを介して前記参照反射器に近接する参照焦点に向けられ、
前記ビームマニピュレータが、前記参照ビームを角度的に再分配し、これにより前記参照ビームのある角度の部分が、前記シングルモードファイバの前記アクセプタンスコーンから除外され、
前記ビームマニピュレータが、前記参照反射器を前記参照焦点を通過する軸を中心に回動させる傾き調節器を含む、プローブ。
【請求項18】
前記プローブ本体内に光学的に結合された少なくとも1つのシングルモードファイバが、単一のファイバであり、この単一のファイバが前記ソースビームを前記プローブ本体に伝送するとともに、前記プローブ本体からの前記測定ビームを伝送する、請求項12に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光学計測の分野では一般に、座標測定機の光学プローブがテスト対象物上を移動し、テスト対象物の点毎の干渉測定値を取得する。 光学部品は、しばしばプローブとマシンの他の部分との間で分割される。
【背景技術】
【0002】
測定点毎の相対光路長の変位を、波数に伴う干渉位相変化率(rate of interferometric phase variation)を測定することにより、広い範囲にわたって測定することができる。例えば、複数の波長から構成される空間的コヒーレンスのソースビーム(すなわち時間的に低コヒーレントのビーム)は、ビームスプリッタによって、対象ビームと参照ビームに分割することができる。対象ビームはテスト対象物から反射される。参照ビームは参照反射器から反射される。テスト対象物と参照反射器からの反射光は、ビームスプリッタで再結合されて測定ビームとなり、分光計などの検出器内で再収束される。分光計は、戻ってきた測定ビームの異なるスペクトル成分の干渉強度を記録する。異なる測定点での相対的な光学変位を、下記(a),(b)間のリニアな関係に基づいて確認することができる。
(a)ビーム周波数の変化に対する干渉位相の変化率(変調周波数と呼ばれる)。
(b)対象ビームと参照ビームとの間の光路長差。
【0003】
情報は1点ごとに収集されるので、シングルモードファイバは、光源からの光を伝送し検出器への光を伝送することは勿論のこと、対象アームおよび参照アームの部分に沿って光を伝送するために用いることができる。しかし、曲げ動作および温度変動は、ファイバ内の光路長を変化させ、分散を生じて、測定精度を低下させる可能性がある。関節式光プローブへの光ファイバケーブルは、別々の送信および受信ファイバを使用する場合、特にそのような外乱の影響を受けやすい。
【0004】
さらに、対象ビームの強度は、測定されるテスト対象物の反射率特性(同じテスト対象物の異なる部分を含む)に応じて変化し得る。検出器に到達する対象ビームと参照ビームとの間の不均衡な強度変動は、干渉位相コントラスト(interference phase contrast)を減じる傾向があり、そのことは干渉計測に基づく測定の精度を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、シングルモードファイバ伝送によって光源と検出器の両方に接続された干渉計プローブを有する光学測定システムにおいて、干渉位相コントラストを高める。1つのアプローチによれば、波長範囲にわたって瞬間的または逐次的に(一連に)に確立された帯域幅(instantaneous or sequentially established bandwidth)を有するコリメートされたソースビームは干渉計プローブ内のビームスプリッタに向けられ、ここでソースビームは、(a)対象アームに沿い干渉計プローブ内の対象側対象レンズを介してテスト対象物上の対象焦点に向けられる対象ビームと、(b)参照アームに沿い干渉計プローブ内の参照反射器に向けられる参照ビームと、に分割される。テスト対象物から反射された対象ビームと、参照反射器から反射された参照ビームは、ビームスプリッタで再結合されて測定ビームとなる。測定ビームは、シングルモードファイバのアクセプタンスコーン(acceptance cone)内のシングルモードファイバに収束され、シングルモードファイバに沿って検出器に向けて伝送される。参照アームに沿った位置において、参照ビームの部分が異なるサイズの部分にわたって、シングルモードファイバのアクセプタンスコーン内での収束から調節可能に除外され、これにより、検出器に向かって伝送される測定ビームにおける反射された対象ビームと反射された参照ビームとの強度をより近づけて釣り合わせる(バランスさせる)ことができる。この調節は、テスト対象物からの予想される反射率に適応するように、またはテスト対象物からの反射率の変動に適応するように設定することができる。
【0006】
上記調節を行うために、測定ビーム内の反射された対象ビームと反射された参照ビームのそれぞれの強度を比較することができ、シングルモードファイバの角度的なアクセプタンスコーンから除外される参照ビームの部分を調節して、測定ビームにおける反射された対象ビームと反射された参照ビームの強度を近づけて釣り合わせる。例えば、上記比較は、検出器内で異なる波長の位相変調間のコントラストを測定することによって、実行することができる。除外された部分は、参照ビームの連続的または非連続的な部分を含むことができる。
【0007】
ビームスプリッタでは、参照ビームが、参照アームに沿い、干渉計プローブ内の参照側対物レンズを介して、参照反射器上の基準焦点に向けられる。参照ビームを参照反射器上でデフォーカスする(焦点をずらす)ことによって、参照ビームの部分を、可変的に除外することができる。参照ビームの除外された部分は、シングルモードファイバのアクセプタンスコーンの外側の経路に向けられる。参照ビームと対象ビームとの間の相対光路長を維持する光路長調節とともに、参照反射器を参照側対物レンズに対して共通の光軸に沿い平行移動することによって、参照ビームをデフォーカスすることができる。
【0008】
あるいは、参照ビームの部分を、参照ビームを角度的に再分配することによって、可変的に除外することができる。参照ビームの除外された部分は、シングルモードファイバのアクセプタンスコーンの外側の経路に向けられる。参照ビームは、参照焦点を通過する軸を中心に参照反射器を回動させることによって、角度的に再分配することができる。
【0009】
さらに、シングルモードファイバのアクセプタンスコーンに到達するであろう参照ビームの一部分を遮断することによって、参照ビームの部分を可変的に除外することもできる。参照ビームは、調節可能な開口絞りによって遮断することができる。
【0010】
好ましくは、ソースビームは、同じシングルモードファイバによってコリメートレンズに伝送され、コリメートされたソースビームは干渉計プローブ内のビームスプリッタに向けられる。現在の技術による好ましい複数波長の光源は、通常、不可視光を放射するので、第2の光源を用いて、テスト対象物で見ることができる可視光を放射してもよい。可視光は、シングルモードファイバに沿って伝送され、ビームスプリッタを通り、対象アームに沿い、対象側対物レンズを通って、テスト対象物上の焦点スポットに至る。このようにして、セットアップ及びモニタリングの目的のために、対象ビームの焦点位置をテスト対象物上に見ることができる。
【0011】
他の実施形態は、光学測定システム用の干渉計プローブを特徴とする。干渉計プローブは、テスト対象物を光学的に測定するための測定機に調節可能に設けられたプローブ本体を有する。プローブ本体内に光学的に結合される少なくとも1つのシングルモードファイバは、波長範囲にわたる瞬間的または逐次的に確立された帯域幅を有するソースビームをプローブ本体に伝送し、プローブ本体からの測定ビームを検出器に向けて伝送する。少なくとも1つのコリメータ/カプラ、ビームスプリッタ、対象側対物レンズ、および参照反射器が、プローブ本体内に設けられている。
少なくとも1つのコリメータ/カプラは、(a)少なくとも1つのシングルモードファイバから放射されたソースビームをコリメートし、(b)測定ビームを、少なくとも1つのシングルモードファイバのアクセプタンスコーン内において、少なくとも1つのシングルモードファイバに収束させる。
ビームスプリッタは、(a)コリメートされたソースビームを、対象アームに沿い対象側対物レンズを介してテスト対象物に近接した対象焦点に向けられる対象ビームと、参照アームに沿い参照側対物レンズを介して参照反射器に近接した参照焦点に向けられる参照ビームと、に分割し、(b)テスト対象物から反射された対象ビームを、参照反射器から反射された参照ビームと結合して測定ビームとする。
調節可能なビームマニピュレータは、参照ビームの部分を、異なるサイズの部分にわたって、少なくとも1つのシングルモードファイバのアクセプタンスコーン内への収束から除外し、これにより測定ビームにおける反射された対象ビームと反射された参照ビームとの強度をより近づけて釣り合わせる。この工程は、名目上の対象物(nominal object;
ターゲット)に対してまたは2つの異なる対象物間に対して初期較正の過程だけで実行されるか、または対象物の測定中に実行される。
【0012】
参照側対物レンズをプローブ本体内に設けてもよい。参照ビームは参照アームに沿い、参照側対物レンズを通って参照反射器に近接する参照焦点まで伝送される。参照ビームの可変部分をシングルモードファイバへの入射から空間的に排除するために、ビームマニピュレータを、参照ビームを参照反射器上において可変的にデフォーカスするように、構成することができる。例えば、ビームマニピュレータは、参照反射器を参照側対物レンズに対して共通の光軸に沿って平行移動させる第1のリニア調節器と、参照アームと対象物アームとの間の相対的な光路長を相対的に調節し、参照反射器の平行移動に関連する光路長の変化を補償する第2のリニア調節器を含んでいてもよい。
【0013】
あるいは、ビームマニピュレータは、参照ビームの部分を角度的に再分配し、参照ビームの除外された部分がシングルモードファイバのアクセプタンスコーンの外側の経路に向けられるように構成してもよい。例えば、ビームマニピュレータは、参照焦点を通過する軸を中心に参照反射器を回動させる傾斜アクチュエータまたは他の傾き調節器を含むことができる。
【0014】
ビームマニピュレータは、シングルモードファイバのアクセプタンスコーンに到達するであろう参照ビームの部分を遮断するように構成することもできる。例えば、ビームマニピュレータは、調節可能な開口絞りを含むことができる。
【0015】
好ましくは、プローブ本体内に光学的に結合される少なくとも1つのシングルモードファイバは単一ファイバであり、この単一ファイバはソースビームをプローブ本体に伝送し、プローブ本体からの測定ビームを伝送する。参照ビームの除外される部分は、参照ビームの不連続部分を含む。検出器内の所望のレベルの干渉コントラストを維持するために、測定ビームの参照ビーム部分の相対強度は、測定ビームの対象ビーム部分の強度に対して、例えば下記の期間において調節することができる。すなわち、テスト対象物の予想される反射率に基づいて測定機の初期較正中、同じ目的または他の目的でその後の測定機の再較正中、テスト対象物の測定とテスト対象物の測定の間(異なる予想反射率を有するテスト対象物間を含む)、または、個々のテスト対象物の測定中である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】垂直方向に移動可能なスライド機構を有する多軸測定機の概略側面図である。
【0017】
図2図1の測定機のための光学測定システムを示す図であり、この光学測定システムでは、干渉計の対象アームと参照アームがプローブに設けられ、シングルモードファイバによって光源と検出器の両方に接続され、検出器に向かう対象ビームと参照ビームの強度をより近づけるようバランスさせるために、参照ビームマニピュレータが参照アームに結合されている。
【0018】
図3A】干渉計の2つの異なる測定出力のうちの1つをグラフで示す。ここでは、対象ビームと参照ビームの異なる光路長に関連する異なる変調周波数での周波数の関数として、強度が変化する。
図3B】干渉計の2つの異なる測定出力のうちの他の1つをグラフで示す。
【0019】
図4】検出器の出力に基づいて変調周波数を特定するための、プロセッサの演算出力を図示する。
【0020】
図5図1の構成によるビームマニピュレータの効果を示す。参照ビームの一部がシングルモードファイバのアクセプタンスコーンの外側に拡大される。
【0021】
図6】別のプローブの拡大図であり、このプローブでは、参照アームが折り畳まれ、検出器に向かう対象ビームと参照ビームをより近づけてバランスさせるために、異なるタイプのビームマニピュレータを備えている。
【0022】
図7図6の構成によるビームマニピュレータの効果を示す。参照ビームの一部がシングルモードファイバのアクセプタンスコーンから除外されている。
【0023】
図8】別の参照アームの拡大図であり、別の異なるタイプのビームマニピュレータを含んでいる。
【0024】
図9図8の構成によるビームマニピュレータの効果を示す。参照ビームの一部が遮断され、シングルモードファイバのアクセプタンスコーンへの到達から分散される。
【0025】
図10図8のビームマニピュレータと共に使用するために簡略化された別の参照アームの拡大図である。
【0026】
図11】テスト対象物上の焦点スポットを照明するために可視光源を組み込んだ類似の光学測定システムを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0027】
図1に示す多軸マシン10は、光学測定機の多くの可能な構成の1つであり、テスト対象物18をX座標軸とY座標軸に沿って水平に移動させるx−yステージ14と、干渉計プローブ20をZ座標軸に沿って垂直に移動させるスライド機構16を有している。x−yステージ14はマシンベース22に支持されている。スライド機構16は、支柱24に担持されたスライドサポート26に支持されている。干渉計プローブ20は関節アーム28に担持されている。関節アーム28は、水平軸を中心に旋回し、この旋回軸とともにZ座標軸を中心に回転可能であるが、Z座標軸に対しては固定的に設けられていてもよい。プローブ光学系の他の見えない部分(1つまたはそれ以上の光源および検出器を含む)、またはマシン10の計測機能をサポートする他の装置は、スライドサポート26に収容される。このスライドサポート26内でスライド機構16が移動可能である。干渉計プローブ20とテスト対象物18との間の相対移動は、共通座標系でのテスト対象物18に対する干渉計プローブ20の相対位置を監視するために、様々な軸に沿ってまたはその軸を中心として測定される。干渉計プローブ20の他に、多軸マシンは、Z座標軸に設けられた視覚システムおよび他のプローブも含むことができる。
【0028】
測定機10は、テスト対象物18と干渉計プローブ20の一方または他方を相対的に移動させるための回転軸および移動軸の他の組み合わせで構成することができる。好ましくは、テスト対象物のプロファイルの実測的記述等、テスト対象物18に関する情報を収集するために、相対運動は、テスト対象物18に近接したプローブ20の光学要素を通って照射される光の光学焦点30を維持する。テスト対象物18上の異なる位置の範囲にわたって、テスト対象物18からの光の鏡面反射または拡散反射をプローブ20の同じ光学要素を通って集めるのに有効な向きで、光学焦点30を維持する。
【0029】
測定機10のための光学測定システムを用いてテスト対象物18の測定を行うための光学的配置が図2に示されている。スライドサポート26等のマシン囲いに収容されたスーパールミネッセントダイオード等の光源32は、空間的に高コヒーレントであるが時間的に低コヒーレントな光(すなわち連続した波長にわたる範囲の波長を含む光)を、シングルモードファイバ34(単一モードファイバ)を介して干渉計プローブ20に届ける。好ましくは、スライドサポート26のような同じ囲い内に、干渉計プローブ20から戻ってくる光をシングルモードファイバ38を介して受光するための検出器36が配置されている。検出器36からの情報を処理するためのプロセッサ40は、ユーザインターフェース(図示せず)と通信するために、好ましくは上記囲いの外側に配置されている。
【0030】
ファイバカプラ42(50%/ 50%カプラとすることができる)は、シングルモードファイバ34,38を共通のシングルモードファイバ44に接続し、空間的に高コヒーレントで時間的に低コヒーレントの光を、干渉計プローブ20へ伝送し干渉計プローブ20から伝送する。概略的に示されているように、シングルモードファイバ44は、スライドサポート26に対する干渉計プローブ20の動きに適応するために、余分な長さを有する。
【0031】
プローブ本体20a(破線で示す干渉計プローブ20の輪郭とほぼ一致する)を有する干渉計プローブ20内では、光はLinnik型干渉計(他の干渉計の構成を使用することもできる)に向けられる。図示の構成では、シングルモードファイバ44の端部46から放射された光が、;破線で示すソースビーム48(source beam;光源ビーム)として、ビームスプリッタ52と整列しているコリメータ/コンデンサレンズ50(コリメートと集光を行うレンズ;collimator/condenser lens)によって、集光されコリメート(平行化)される。ビームスプリッタ52の部分反射面54において、ソースビーム48は、部分反射面54を透過する対象ビーム56(object beam;点線で示される)と、部分反射面54で反射される参照ビーム58(reference beam;点線で示される)とに分割される。対象ビーム56は、プローブ本体20a内の対象物側の対物レンズ62を通り対象アーム60(object arm; 対象経路)に沿い、プローブ本体20aを超えてテスト対象物18に近接した対象焦点64(object focus)まで進む。参照ビーム58は、プローブ本体20a内の参照側の対物レンズ72を通り、参照アーム70(reference arm;参照経路)に沿って、参照反射器76に近傍した参照焦点74(reference focus)まで進む。参照反射器76は、プローブ本体20a内の平面鏡の形態とすることができる。好ましくは、3つのレンズ50,62、72はすべて、無色(アクロマティック)で低分散のレンズとし、ソースビーム48、対象ビーム56、参照ビーム58および測定ビーム80における異なる波長の収束効果に適合させる。
【0032】
テスト対象物18からの対象ビーム56の鏡面反射または拡散反射が、ビームスプリッタ52に戻る経路において対象側の対物レンズ62によって集められ再度コリメートされる。同様に、参照反射器76からの反射光は、ビームスプリッタ52に戻る経路において参照側の対物レンズ72によって集められ再度コリメートされる。ビームスプリッタ52において、戻り対象ビーム56の少なくとも一部は、部分反射面54を透過し、部分反射面54で反射する戻り参照ビーム58の少なくとも一部と再結合され、コリメータ/コンデンサレンズ50への戻り経路において共通測定ビーム80(ソースビーム48と重ねて図示されている)となる。テスト対象物18の反射率は、一般に参照反射器76の反射率よりも小さいので、好ましくは、ビームスプリッタ52は、部分反射面54で光をより高い効率で透過させ、部分反射面54で光をより低い効率で反射させるのが好ましい。コリメータ/コンデンサレンズ50は、対象ビーム56と参照ビーム58の一部を含む測定ビーム80を収束させてシングルモードファイバ44に戻し、検出器36に伝送する。シングルモードファイバ44の端部46は、アクセプタンスコーン(acceptance cone;受光コーン)の体積を介して測定ビーム80を受ける。このアクセプタンスコーンの体積は、一般的にファイバのコアとクラッドの屈折率に関係する。
【0033】
分光計として構成された検出器36内で、測定ビーム80は再コリメートされ、回折格子から、スペクトル的に分散された方向の範囲にわたって反射される。拡散された測定ビーム80は、フォトダイオードまたは電荷結合素子(CCD)のリニアアレイに沿って収束することができる。測定ビーム80の対象ビーム56部分からの異なる周波数(波長の逆数)の各々は、上記アレイに沿う異なる焦点位置で、測定ビーム80の参照ビーム58部分の対応する周波数と干渉する。アレイに沿って収束された光の強度は、modulo2π位相差(測定ビーム80の対象ビーム56部分と参照ビーム58部分との間の位相差)を表し、検出可能な周波数で変調し変調周波数と呼ばれる。変調周波数は、ナイキスト間隔(ピクセルサンプリングに起因する)内で、測定ビーム80における対象ビーム56部分と参照ビーム58部分との間の光路長差に比例して変化する。この強度情報は、分離したピクセルによって収集されるので、識別可能な周波数の範囲は、一般に、ゼロから測定に関与するピクセル数の1/2までである。
【0034】
図3Aおよび図3Bは、リニアアレイのピクセルに沿って捕捉された強度変動の2つの異なる例をグラフで示している。このリニアアレイに沿って異なる周波数(波数)の焦点位置が分散される。干渉位相の変化に対応する強度の変化は、測定可能な周波数において実質的に周期的であり、変調周波数と呼ばれる。測定ビーム80の対象ビーム56部分と参照ビーム58部分との間の光路長差がゼロ(すなわちゼロ位置;null position)から増加すると、変調周波数は測定のナイキスト間隔内で比例的に増加する。例えば、図3Aに示す変調周波数は図3Bに示す変調の周波数よりも高い。このことは、図3Aに示すようにして検出器36によって捕捉された測定ビーム80の対象ビーム56部分と参照ビーム58部分との間の光路長差の測定値が、図3Bに示すようにして検出器36によって捕捉された光路長差の測定値に対して、より大きいことを証明している。図4は、図示された測定範囲内の周波数スパイク86としての演算された変調周波数を示し、プロセッサ40からグラフィカルに出力することができる。
【0035】
プロセッサ40内で、計算された変調周波数は、テスト対象物18の表面の高さに変換することもできる。共通の座標系内でのテスト対象物18上の点のある範囲にわたるデータを収集するために、プローブ20とテスト対象物18との間の相対運動を監視して、空間内のプローブ20の焦点64の位置を追跡する。セットアップ中、理想的な焦点位置で考慮される対象ビーム56と参照ビーム58との間の光路長差は、所与の変調周波数に設定される。測定中に、表面高さの変化として解釈される所与の変調周波数からのずれ量を、プローブ焦点64の測定された相対位置に加算または減算することができ、これにより、対物レンズ62の焦点深度内においてテスト対象物18上の測定点の位置をより高精度に測定する。
【0036】
所与の変調周波数からのずれは、理想的な焦点位置からのずれの尺度でもあるので、所与の変調周波数からのずれを用いて、使用可能な範囲内にフォーカスを維持することもできる。言い換えれば、プローブ20の相対位置をプローブ20をZ軸に沿って変位させることにより、理想的な焦点がテスト対象物18の表面に近づく位置に修正し、変調周波数を所与の変調周波数に近づけることができる。上記焦点補正は、意図されたナイキスト間隔測定内で、かつ対物レンズ62の焦点深度内で、プローブを維持する。
【0037】
変調周波数を決定することができる精度は、部分的には干渉位相変調が表れるコントラストに基づいている。強度は波形の振幅の2乗に関係するので、干渉位相変調の最大のコントラストは、測定ビーム80における対象ビーム56部分と参照ビーム58部分の相対強度が等しい場合に生じる。測定ビーム80の戻り対象ビーム56の成分の強度は、測定点でのテスト対象物18の反射率に依存し、この反射率はテスト対象物間または同一テスト対象物の異なる部分間でかなり変化し得る。
【0038】
反射された対象ビーム56と反射された参照ビーム58との強度をより近づけてバランスさせる(釣り合わせる)ために、様々な実施形態は、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン内での収束から参照ビーム58の一部分を、異なるサイズの部分にわたって調節可能に除外する。異なるサイズの参照ビーム58の一部分は、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーンに到達するのを阻止されるか、さもなければ到達から除外され、これにより参照ビーム58の強度をテスト対象物18からの公称反射率(名目反射率;nominal reflectivity)に従って調節することができる。
【0039】
例えば、図2に示されるように、参照反射器76は、調節ねじ駆動機構のようなリニア調節器82の形態をなす調節可能なビームマニピュレータに接続することができ、対物レンズ72の光軸に沿って参照反射器76を変位させ、対物レンズ72を可変的にデフォーカスさせる(焦点をずらす)。マニピュレータのさらなる部品として、第2のリニアアジャスタ84(ねじ付きバレルの形態をとることができる)が、対物レンズ62を、対象アーム60と参照アーム70との間の光路長差を補償するために関連する量だけ変位させる。これは上記参照反射器76の平行移動に関連している。対象焦点64の変位は、他のマシン軸によって定義された座標位置に対して対象焦点位置を再較正することによって、適応させることができる。あるいは、参照アーム70の対物レンズ72を参照反射器76と一緒に同様に平行移動させて、参照反射器76の移動によって与えられる光路長差を補償することができる。対物レンズ72と参照反射器76の移動の組み合わせは、対象焦点64の位置の変化を再較正する必要性を無くす。参照反射器76を移動させる代わりに、対物レンズ72をその光軸に沿って同様に移動させて、参照アーム70の光路長を変更することなく、参照反射器76上の参照ビーム58を可変的にデフォーカスすることができる。例えば、対物レンズ72は、戻り参照ビーム58の強度を戻り対象ビーム56の名目上の強度に一層近づけるために、同様のリニア調節器の一部としてのねじ付きバレルに取り付けることができる。
【0040】
参照アーム70の対物レンズ72をデフォーカスすると、反射された参照ビーム58に波面曲率の偏差量が導入され、測定ビームの収束された体積がシングルモードファイバ44のアクセプタンスコーンを超えて広げられる。デフォーカスの増加は、反射参照ビーム58のより大きな部分を除外する。この調節は、反射参照ビーム58の強度を調節する簡単で対称的な方法を提供し、熱移動などの外乱による不安定化の影響に抵抗することができる。所望のデフォーカス量を決定するために、測定された強度変動の全ておよび戻り対象ビーム56の強度によって、干渉コントラストを検出器36内で測定することができ、デフォーカス量の調節は、測定された強度変動をより良好に最適化することができる。
【0041】
図5に示すように、コリメータ/コンデンサレンズ50によって再フォーカスされたとき、測定ビーム80の参照ビーム58部分は、光軸98の周りで(デフォーカスの方向に応じて)より大きい角度範囲111又はより小さな角度範囲106を含み、その結果、シングルモードファイバ44の端部46で、大きなスポットサイズとなり、これにより、測定ビーム80の参照ビーム58部分の収束成分の少なくとも一部が、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーンの外側を向く。
【0042】
例えば、図5に示すように、シングルモードファイバ44に入射可能な光の量は、仮想線で示すアクセプタンスコーン100に含まれる。シングルモードファイバ44の断面は、周囲のクラッド104で覆われたシングルモードファイバ44のコア102を示す。実線で示された別のコーン106は、シングルモードファイバ44の端部46の前に収束する測定ビーム80の参照ビーム58部分を表す。この参照ビーム58は、経路上で参照反射器76によってデフォーカスされている。コーン106は、コリメータ/コンデンサーレンズ50の光軸98を中心にして依然として対称的に収束しているが、コーン106は、アクセプタンスコーン100の外側に分布する角度要素を有する。その結果、測定ビーム80の参照ビーム58部分の相対強度は、測定ビーム80の対象ビーム56部分に対して低減される。
【0043】
図6は、よりコンパクトな構成をなす他の干渉計プローブ90を示す。ほとんどの構成要素は同じであり、同じ参照番号が付されている。しかしながら、平面鏡のような反射器92が参照アーム94に加えられて、参照アーム94を折り畳んでよりコンパクトな構成にしている。参照反射器76は、よりコンパクトな構成で平行移動のために配置することができるが、図6に示すように、参照反射器76が傾き調節器96に設けられている。この傾き調節器96は、参照焦点74を通過する軸を中心に参照反射器76を回動させる。 例えば、参照反射器76は、平面鏡の形態で構成することができ、鏡の反射面上にある固定軸を中心に傾動可能である。鏡は、例えば、ジンバルや、半円筒形ベアリングや、たわみジョイントに支持され、ねじ式傾き調節器などによって手動で傾斜させることができ、または圧電アクチュエータなどによって自動的に傾斜させることができる。
【0044】
参照反射器76を焦点74を中心に傾けることは、対象アーム60の光路長に対する参照アーム94の名目光路長を変更せず、対象焦点64の位置の変位に関連する如何なる再較正も必要としない。対物レンズ72は、横方向にオフセットされた(もはや光軸98を中心としない)位置に、傾斜した反射参照ビーム58を再コリメートする。コリメータ/コンデンサレンズ50によって再フォーカスされた時、測定ビーム80の参照ビーム58部分は、光軸98の周りに非対称な角度分布を含む。これにより、測定ビーム80の参照ビーム58部分の少なくともいくらかの角度成分が、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーンから除去される。
【0045】
例えば、図7には、アクセプタンスコーン100が仮想線で示され、測定ビーム80の参照ビーム58部分を表すコーン112が実線で示されている。この対象ビーム部分は、参照反射器76によって経路上の焦点74を中心に傾斜され、シングルモードファイバ44の端部46に向かって収束する。測定ビーム80の参照ビーム58部分が、経路上の焦点74を通過する。コーン112は、コリメータ/コンデンサレンズ50の光軸98に沿い、シングルモードファイバ44のコア102に向かって収束するが、コーン112は、光軸98の周りに非対称に分布する角度成分を有する。したがって、本来であればシングルモードファイバ44のコーン100内で受け入れられたであろうコーン112の角度成分が除去される。その結果、測定ビーム80の対象ビーム56部分に対する測定ビーム80の参照ビーム58部分の相対的強度が、低減される。
【0046】
測定ビーム80の対象ビーム56部分は、テスト対象物18の形状及び拡散特性に基づいて同様の除外を受ける可能性がある。しかし、リニア調節器82や傾き調節器96のような調節可能なビームマニピュレータは、測定ビーム80の参照ビーム58部分の強度を、独立して調節することができ、測定ビーム80の対象ビーム56部分の名目強度により一層近づけるように適合することができる。
【0047】
参照ビーム58の非対称の成分または他の方向にそれた成分は、シングルモードファイバ44の限定されたアクセプタンスコーン100によって物理的に除外されるが、除外は、光学部品の他の制限開口により、アクセプタンスコーン100に先立って行われてもよい。例えば、参照ビーム58の成分は、対物レンズ72の収束範囲を超えて傾斜させてもよいし、またはコリメータ/コンデンサレンズ50によってコリメートされた形態をくずしてもよい。いずれの場合でも、排除は、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100を越えて到達するであろう参照ビーム58の成分に関連する。
【0048】
シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100内に到着するであろう参照ビーム58の伝搬成分は、例えば図8の実施形態でも排除することができる。図8は、図6の折り畳まれた参照アームと同様の参照アーム116を拡大して示す。対応する構成要素には同じ参照番号を付す。しかしながら、参照反射器76を直線的または角度的に調節することにより、測定ビーム80の参照ビーム58部分の容積の一部分をシングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100の体積を超えて方向付けする代わりに、参照アーム1 16は調節可能なアイリス等の調節可能な開口絞り118を含む。これにより、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100に到達するであろう参照ビーム58の一部分を遮断する。ここで、参照ビーム58の一部分は、参照反射器76に到達するのを妨げられ、分散(回折;diffraction)がシングルモードファイバの入力端46でスポットサイズを拡大する。参照ビーム58の生き残った部分112は、点線で示す元の参照ビーム58と比較するために破線で示されている。例えば、傾き調節器96に関して説明したように、調節可能な開口絞り118は、手動または自動で調節することにより、連続的または不連続的な領域にわたって参照ビーム58の異なるサイズの部分を遮断することができる。同じ有用情報(すなわち各波長の位相)が参照ビーム58を横切って延びる波面に含まれているので、参照ビーム58の強度と対象ビーム56部分の強度とのバランスをとり、それによって干渉コントラストを高めるために、参照ビーム58のいかなる部分を阻止してもよい。
【0049】
図9に示すように、シングルモードファイバ44から最初に出射されたサイズで、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100を満たす代わりに、調節可能な開口絞り118によって切り取られた測定ビーム80の残存参照ビーム120部分がコーン122の形態で収束する。このコーン122は、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100を満たさずそれより小さく、端部46で大きなスポットに分散する(回折する;diffract)。したがって、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100内に適合したであろう測定ビーム80の初期参照ビーム58の一部は、失われる。調節可能な開口絞り118によって制御される開口サイズは、シングルモードファイバ44に入射する測定ビーム80の参照ビーム58部分の強度を相対的に調節するために、調節することができる。
【0050】
半径方向に開口サイズを縮小することによって光を遮断し、分散(回折)する代わりに、参照ビーム58の横断領域における1つまたはそれ以上の部分を、遮断することができる。例えば、調節可能な開口絞り118は、光をより多く又はより少なく遮断するために、1つまたはそれ以上のベーンが角度的に変位するルーバーの形態で、構成することができる。さらに、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100に到達するであろう参照ビーム58の一部を阻止する手段(部分)と分散する手段(部分)の組み合わせにより、又は参照ビーム58の一部をアクセプタンスコーン100を越えるように方向付けする手段(部分)により、参照ビーム58の一部分を、異なるサイズの部分にわたって、シングルモードファイバ100のアクセプタンスコーン100への収束から排除することができる。測定ビームの参照ビーム58部分の強度が、測定ビーム80の対象ビーム56部分の所与の強度と最初に一致すると仮定すると、反射された対象ビーム56の相対強度を測定期間において監視し、測定ビーム80の対象ビーム56と参照ビーム58の強度を再びバランス(平衡)させるために、より多くまたはより少なくデフォーカスしたり、傾斜させたり、開口サイズを増加または減少させることが必要か否かを決定することができる。
【0051】
図10は、干渉計プローブ20に用いられる、図8の折り畳まれた参照アーム116と同様の参照アーム124を拡大して示す。対応する光学部品には同じ参照番号を付している。図8の参照アーム116とは異なり、参照アーム124は、参照ビーム58を収束するための参照側対物レンズを含まない。その代わりに参照反射器126は、コーナーキューブのようなリトロリフレクタ(再帰反射器)の形態で示され、コリメートされた参照ビーム58を再帰反射する。ただし、図8の実施形態と同様に、調節可能な開口絞り118は、シングルモードファイバ44のアクセプタンスコーン100に到達するであろう参照ビーム58の一部を阻止し、分散(回折)する。
【0052】
図10の実施形態は、対物レンズを省略し、対象アーム60及び参照アーム124の相対的光路長を再調節する必要がなく、変位した対象焦点64に対して再較正する必要がない。調節可能な開口絞り118は、ビームスプリッタ52とリフレクタ92との間に示されているが、参照ビーム124に沿う任意の箇所に配置してもよい。この任意の箇所には、参照反射器126又はその近傍を含む。開口絞り118は、参照ビーム58の一つの部分またはそれ以上の部分を阻止し、分散(回折)することができる。
【0053】
光学プロフィルメータ(粗面計)の光源32は、典型的には赤外線スペクトル内にある連続した波長にわたって光を発生するスーパールミネッセントダイオードとすることができる。好ましくは、動作スペクトル上の利得リップルは低く、帯域幅は検出器36の動作帯域幅と一致する。赤外線スペクトル内の光を使用することの欠点は、光が不可視であることであり、それ故に可視の焦点スポットを生成しないことである。可視の焦点スポットは、オペレータがセットアップおよび使用中において、測定がどこで行われているか、測定点がフォーカス位置にあるか否かをオペレータが確認するために有用である。
【0054】
図11は、同様の光学測定システムを示しているが、ここでは、通常のレーザダイオードのような可視光源130が、測定システムの不可視光源と光学的に結合されている。この不可視光源は、他の実施形態との比較し易いように参照番号32で示されている。 シングルモードファイバ132によって伝送される可視光源130からの光出力は、シングルモードファイバ134によって伝送される不可視光源32から出力された光出力と、ファイバカプラ136で結合され、さらにシングルモードファイバ138に沿って一緒に伝送される。ファイバカプラ136は、2つの光源間のパワー差を補償するように構成することができ、特に、測定のための不可視光をより多く保存し、所望の可視焦点スポットを生成するのに必要な量だけの可視光を伝送する。例えば、ファイバカプラ136は、90%/ 10%カプラとして構成することができる。その後、組み合わされた可視光と不可視光は、シングルモードファイバ138に沿い、ファイバカプラ142を介してシングルモードファイバ144に伝えられる。このシングルモードファイバ144は、干渉計プローブ20へ光を伝送したり干渉計プローブ20からの光を伝送するためのシングルモードファイバ44に相当する。干渉計の波長に対してシングルモードであるように選択されるファイバは、可視光においてはシングルモードではないことがある。このことは、ファイバが干渉計の波長でシングルモードである限り、問題とはならない。ファイバカプラ142はまた、シングルモードファイバ144をシングルモードファイバ140に結合して、干渉計プローブ20の光を検出器36に伝送する。
【0055】
干渉計プローブ20内では、可視光線が伝送経路をたどり、テスト対象物18に可視焦点スポット146を形成する。すなわち、可視光源130からの可視光は、シングルモードファイバ144に沿いコリメート/コンデンサレンズ50を介してビームスプリッタ52に送られ、ビームスプリッタ52から対象アーム60に沿い対物レンズ62を通り、可視焦点スポット146を形成する。
【0056】
接続を簡略化するために、干渉計プローブ20は、好ましくはシングルモードファイバ144を介して、光源、例えば可視光源130および不可視光源32と、検出器36の両方に接続されるが、光源130,32および検出器36は、別々の光路に沿って干渉計プローブ20に接続することができる。すなわち、ソースビーム48の形態の光は、1つの光路に沿って干渉計プローブ20に供給され、測定ビーム80の形態の光は、異なる光路に沿って伝送される。光路は、ビームスプリッタ52の第4サイドを利用するなどして、干渉計プローブ20内で分離することができる。したがって、1つのシングルモードファイバを用いて干渉計プローブ20に光を伝送し、別のシングルモードファイバを用いて干渉計プローブ20から光を伝送することができるが、これは、単一のシングルモードファイバを用いた最も堅牢な構成ではない。
【0057】
瞬時帯域幅(instantaneous bandwidth)を生成する代わりに、光源32は、意図された帯域幅にわたって一連の逐次的な異なる波長を生成することによって、同様の帯域幅を確立することができる。テスト対象物18上の所与の測定点に対して、各波長によって生成される単一の干渉位相を用いて、検出器36を簡略化することができ、単純な光検出器の形態にすることができる。
【0058】
言及したアクセプタンスコーンおよび収束ビームコーンは理想化された形態であり、シングルモードファイバ端部の実際の寸法および光自体の波の性質を、議論された全体的な光相互作用の近似値として円錐(コーン)で表していることは、当業者であれば理解するであろう。さらに、例示的な実施形態に開示された要素の代替、変更、修正、追加、および異なる組み合わせを、本発明の全体的な教示に従って行うことができ、これらが、以下の請求項に包含されることを、当業者であれば理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11