【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例の電磁波伝送ケーブル100の構成を模式的に示す図である。電磁波伝送ケーブル100は、導波路が筒状に形成された中空の誘電体層からなる中空導波管10と、中空導波管10の外側表面を被覆する発泡樹脂材20とを備える。中空導波管10の誘電体層と中空部分は、電磁波EWを伝送する導波路となっている。
【0012】
図2は、電磁波伝送ケーブル100の長手方向に沿った断面図である。中空導波管10は、誘電体層11及び中空領域12から構成されている。
【0013】
誘電体層11は、中心軸CAを中心として中空領域12を囲むように筒状に形成されている。すなわち、誘電体層11は、中心軸CAを中心とした回転対称の形状を有する。例えば、
図1では中心軸CAに垂直な方向における誘電体層11の断面の外縁が円形である場合を示しているが、長円形、楕円形、矩形等の形状であっても良い。また、誘電体層11は、例えばフッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から構成されている。従って、誘電体層11は約1.5の屈折率を有する。
【0014】
中空領域12は、中空導波管10の内径(すなわち、誘電体層11からなる誘電体チューブの内径)に沿って、中心軸CAを中心とした回転対称の形状に設けられている。但し、誘電体導波路は所望の性能が得られるのであれば、必ずしも回転対称形状である必要は無く、例えば、
図1では中心軸CAに垂直な方向における中空領域12の断面(すなわち、導波路の断面)が円形である場合を示しているが、長円形、楕円形、矩形等の形状であっても良い。
【0015】
中空導波管10を流れる電磁波EWの波長と最適なチューブ形状には密接な関係が存在する。例えば、中空導波管10の内径は、伝送損失の少ないHE11モードへの固定を強めるため、波長より小さく設定することが望ましい。また、一方、中空領域12が減少すると、電磁波の閉じ込め効果が弱くなってしまうため、中空導波管10の内径は半波長よりも長く設定することが望ましい。従って、本実施例における中空導波管10の内径は、半波長以上且つ波長以下となるように設定されている。
【0016】
また、中空導波管10の外径は、波長相当(波長×屈折率)よりも大きいことが望ましい。一方、HE11モードでの伝送を主とするためには、中空導波管の外径はあまり大きくないことが望ましく、具体的には波長相当の倍以下であることが望ましい。従って、本実施例における中空導波管10の外径は、波長相当以上且つ波長相当の倍以下となるように設定されている。
【0017】
中空導波管10の誘電体層11の厚みは、伝送損失の少ないHE11モードへの固定を強めるため、波長より小さく設定することが望ましい。しかし、誘電体層11が薄すぎると導波路に必要な強度が得られないため、誘電体層11の厚みは、波長の1/10より厚く設定することが望ましい。従って、本実施例における誘電体層11の厚みは、波長の1/10相当以上且つ波長以下となるように設定されている。
【0018】
発泡樹脂材20は、中空導波管10の長手方向(すなわち、導波路方向)に延在し、中空導波管10の中心軸CAを中心として中空導波管10の外周を囲むように誘電体層11の外側表面(すなわち、中空領域12とは反対側の表面)を被覆している。また、発泡樹脂材20は、最も単純な形状としては中空導波管10の中心軸CAを中心とした回転対称の断面形状を有する。但し、所望の性能が得られるのであれば、形状は任意である。例えば、
図1では中心軸CAに垂直な方向における発泡樹脂材20の断面の外縁が円形である場合を示しているが、長円、楕円、矩形等であっても良い。また、発泡樹脂材20の断面の外縁は、誘電体層11の断面の外縁と同様の形状であっても良く、異なる形状であっても良い。
【0019】
発泡樹脂材20は、例えば発泡ポリスチレンから構成されている。発泡ポリスチレンは、屈折率1.6のポリスチレンと、屈折率1の空気とが微細に入り組んだ構造をしており、誘電体であるポリスチレンと空気との微細な反射界面が大量に存在している。例えば、梱包材として使われていた発泡率が低い発泡ポリスチレンのバルク状態での平均屈折率(バルク材料が単一物質の均質媒体であると仮定した場合の屈折率)を測定すると、0.1〜0.5THzでの平均屈折率は約1.1であった。この結果から、発泡ポリスチレン中には空気が大量に混在していることが確認できる。
【0020】
このように、発泡樹脂材20には大量の空気が含まれており、中空導波管10の表面に接触しているポリスチレンの割合は非常に少ない。従って、金属や人体等が発泡樹脂材20の外側表面(すなわち中空導波管10と接する表面とは反対側の表面)に接触するような場合においても、電磁波の漏れ出しを大きく減らすことができる。
【0021】
なお、発泡樹脂材20の厚さがあまり薄いと、電磁波の閉じ込め効果が減少する。例えば、導波周波数300GHz、外径0.9mm、内径0.5mmのPTFEで構成された中空導波管を用いて行った実験では、発泡樹脂材20の厚さが1mm未満の場合には十分な効果が得られなかった。従って、発泡樹脂材20の厚さ(被覆部分の厚さ)は、伝送する電磁波の波長相当の厚さ(波長×平均屈折率)以上が望ましい。また、厚すぎると扱いづらくなるため、発泡樹脂材20の厚さ50mm以下、好ましくは10mm以下に設定されていることが望ましい。
【0022】
以上のように、本実施例の電磁波伝送ケーブル100では、中空導波管10の表面が発泡樹脂材20により被覆されている。発泡樹脂材20は空気を大量に含んでおり、平均屈折率が中空導波管10の誘電体層11の屈折率よりも小さい。
【0023】
この構成によれば、金属や人体等の他の物体が接触するような場合であっても、中空導波管10における電磁波の閉じ込め効果を維持することが可能となる。
【0024】
なお、本発明の実施形態は、上記実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、発泡樹脂材20が発泡ポリスチレンから構成されている例について説明した。しかし、発泡樹脂材20の材料はこれに限られず、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィン、発泡ポリオレフィン(発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等から構成されていても良い。
【0025】
なお、中空導波管10の外径が波長相当(波長×屈折率)よりも細い場合には、導波管の外周部を伝わる成分が発生するため、被覆している発泡樹脂が大気よりも減衰率が高いと悪影響となる可能性がある。この点、発泡樹脂材20の材料がポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、及びフッ素樹脂(PTFE)である場合には、発泡時の平均減衰率が0.1cm
-1以下であるため、問題は小さい。
【0026】
また、上記実施例では、発泡樹脂材20が発泡ポリスチレンから構成され、0.1〜0.5THzでの平均屈折率は約1.1である場合を例として説明した。しかし、発泡樹脂材20の平均屈折率はこれに限られない。屈折率が低いことにより電磁波の閉じ込め効果が生じるため、発泡樹脂材20の発泡率は高いことが望ましいが、発泡率が高すぎると軟らかくなりすぎて扱いづらくなる。このため、発泡樹脂材20は、バルク状態での伝送周波数帯における平均屈折率が1.4を下回る程度まで発泡していることが望ましい。
【0027】
また、上記実施例とは異なり、発泡樹脂材20の材料として発泡フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)(PTFE)のフォームを用いることにより、中空導波管10の誘電体層11と発泡樹脂材20とを同種材料とすることができる。すなわち、同じ材料の発泡率の違いにより中空導波管10及び発泡樹脂材20を構成することが可能となる。
【0028】
また、発泡樹脂材20の表面に立体構造を設けても良い。例えば、
図3(a)に示すように誘電体層11に接触する内側表面とは反対側の外側表面に凸形状の構造を設けることにより、電磁波伝送ケーブル100を曲げやすくすることができる。また、
図3(b)に示すように誘電体層に接触する内側表面に凸形状の構造を設けることにより、電磁波の閉じ込め効果を強化することができる。また、発泡樹脂材20の表面に設ける立体構造の形状は、切り欠き形状やその他の凹凸形状であっても良い。
【0029】
また、電磁波伝送ケーブル100を保護し、つぶれることを防止するため、
図3(c)に示すように、中空導波管10及び発泡樹脂材20の長手方向に沿って、発泡樹脂材20の外側表面を被覆する外部被膜30を設けても良い。
【0030】
また、
図4に示すように、中空導波管10の全体を発泡樹脂材20により被覆するのではなく、導波管同士を接続するためのコネクタ部や、導波管を所定の高さに保持するための支持部等、他の部材と接触する可能性のある部分だけを発泡樹脂材20により被覆する構成としても良い。すなわち、発泡樹脂材20は中空導波管の長手方向の所定の長さ(距離)に亘って設けられていれば良く、複数箇所に設けられていても良い。
【0031】
また、
図5に示すように、発泡樹脂材20の発泡率を誘電体層11と接触する接触面に近い領域(すなわち、内側)と接触面から遠い領域(すなわち、外側)とで段階的に変化させても良い。例えば、誘電体層11との接触面に近い内側領域では発泡率を上げて屈折率を小さくすることにより電磁波の閉じ込め効果を高め、誘電体層11との接触面から遠い外側領域では発泡率を下げることによりケーブルの剛性を高めることができる。これは、例えば発泡樹脂材20の誘電体導波路10との接触面に近い領域から遠い領域までを複数のエリアに分け、接触面に近いエリアから遠いエリアに向かうにつれて各エリアの発泡率を段階的に小さくすることにより実現することができる。
【0032】
また、
図6(a)及び(b)に示すように、導波管同士を接続するためのコネクタ部において、発泡樹脂材20をコネクタ40として利用することも可能である。例えば、発泡樹脂材20の変形しやすい性質を利用して、
図6(a)のように一対の保持部材41A及び41Bの内側にテーパー状の空洞ができるように発泡樹脂材20を設ける。これにより、
図6(b)のように中空導波管10をコネクタ40に挿入し、中空導波管を保持することができる。従って、保持部材41A及び41Bの接触により電磁波の閉じ込め効果が阻害されることを防止しつつ、ケーブルの位置決めを簡便且つ確実に行うことができる。
【0033】
また、本実施例の電磁波伝送ケーブル100は、誘電体層11をPTFEに延伸加工を施したe−PTFE(エキスパンデッドポリテトラフルオロエチレン)から構成することもできる。e−PTFEは、例えばPTFE材料を少なくとも一方向に延伸して連続気孔性(連続した多数の気孔を有する構造)を持たせた後、高温で焼結固定(焼成によって固定)することにより得られる。本実施例で用いられる延伸気孔性樹脂(e−PTFE)は、延伸方向に特徴的な微小結節と微細繊維構造を有するため、電磁波の伝送損失を上げることなく、低い平均屈折率媒体として機能することが出来る。
【0034】
延伸気孔性樹脂の気孔率(樹脂中の多孔部分の割合)は30〜90%の間で用途に応じて選択できるが、本実施例のように外部を発泡樹脂材20で被覆するためには、発泡樹脂材20との屈折率差が必要となる。電磁波の伝送損失を抑えるためには、最低でも0.01程度の屈折率差が必要であり、そこから求められる望ましい気孔率は70%以下となる。従って、本実施例の誘電体層11における延伸気孔性樹脂の気孔率の最適な範囲は30〜70%となる。
【実施例2】
【0035】
図7は、本実施例の電磁波伝送ケーブル200の構成を模式的に示す図である。電磁波伝送ケーブル200は、導波路が筒状に形成された中空の誘電体層からなる中空導波管10と、中空導波管10の外側表面を被覆する発泡樹脂材20と、発泡樹脂材20の外側表面を被覆する金属膜50と、を備える。
【0036】
図8は、電磁波伝送ケーブル200の長手方向に沿った断面図である。中空導波管10は、誘電体層11及び中空領域12から構成されている。
【0037】
誘電体層11は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPTFEを延伸して連続気孔性を持たせ、焼成により固定化したe−PTFE(エキスパンデッドポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)等、屈折率や複素屈折率の低い樹脂材料から構成されている。また、伝送損失を低下させるためには、チューブ(すなわち、誘電体層11)の厚さは小さい(薄い)方が良い。
【0038】
発泡樹脂材20は、中空導波管10の外周を囲むように配置されている。発泡樹脂材20は、中空導波管10の誘電体層11を構成する誘電体よりも屈折率が低い必要があり、屈折率が1に近いほど良い。
【0039】
発泡樹脂材20は、例えば中空の形状を有する発泡樹脂の内部に中空導波管10を挿入する方法や、発泡樹脂を中空導波管10の周囲に巻き付ける方法等により、中空導波管10の外周面に形成されている。
【0040】
金属膜50は、中空導波管10及び発泡樹脂材20と同様、中心軸CAを中心とした回転対称の形状を有する。金属膜50は、中空導波管10及び発泡樹脂材20の長手方向に延在し、中心軸CAを中心として発泡樹脂材20の外周を囲むように、中空導波管10を被覆する発泡樹脂材20の外側表面をさらに被覆している。但し、金属膜50は所望の性能が得られるのであれば、任意の形状でよく、
図7では中心軸CAに垂直な方向における金属膜50の断面の外縁が円形である場合を示しているが、長円、楕円、矩形等であっても良い。また、金属膜50の断面の外縁は、中空導波管10や発泡樹脂材20の断面の外縁と同様の形状であっても良く、異なる形状であっても良い。すなわち、金属膜50は発泡樹脂材20を覆うような形状を有していれば良い。
【0041】
金属膜50は、例えば金、銀、銅等の比較的導電率の高い金属から構成されている。また、金属膜50の厚さは、1μm程度以上であれば良い。金属膜50は、例えば発泡樹脂材20の表面に直接金属膜を成膜する方法や、予め誘電体シート表面に金属膜を成膜した金属膜付きシートを作製し、金属面が発泡樹脂材20の側を向くように巻き付ける方法等により作製されている。
【0042】
また、金属膜50の外周部分は、誘電体等からなる保護膜(図示せず)により被覆されている。この保護膜は保護の機能のみを有し、電磁波伝送には寄与しない。例えば、金属膜付きシートを発泡樹脂材20に巻き付ける方法で金属膜50を作製した場合には、誘電体シートを剥離せずにそのまま保護膜として用いることができる。
【0043】
このように、本実施例の電磁波伝送ケーブル200では、中空導波管10を被覆する発泡樹脂材20の外側表面をさらに被覆するように金属膜50が形成されている。この金属膜50の効果について、
図9及び
図10を参照して説明する。
【0044】
図9は、外部被覆の有無に応じた、e−PTFEからなる誘電体層11(誘電体チューブ)の厚さと伝送損失との関係を示すグラフである。
【0045】
中空導波管のみからなり、外部被覆を有しない場合、
図9に破線で示すように、誘電体層の厚さが小さくなる(誘電体チューブが薄くなる)にしたがって、伝送損失が低減する。
【0046】
中空導波管の誘電体層の外側表面を発泡倍率が約30倍の発泡ポリスチレン樹脂で被覆した場合、
図9に一点鎖線で示すように、誘電体層(誘電体チューブ)の厚さがある程度以上の範囲(
図10では、約0.2mm〜0.7mm)では、外部被覆を有しない場合と比べて伝送損失が低減し、且つ誘電体層の厚さが小さくなるにしたがって伝送損失が低減する。しかし、誘電体層の厚さがある値(0.2mm)よりも小さくなると、伝送が出来なくなる程度まで伝送損失が悪化する(
図9では、測定不能として示す)。
【0047】
これに対し、中空導波管を被覆する発泡樹脂の外側表面をさらに金属膜で被覆した場合、
図9に実線で示すように、誘電体層の厚さに比例して伝送損失が低減し、誘電体層の厚さがある値(0.2mm)よりも小さい範囲においても、伝送損失の悪化が生じない。
【0048】
図10は、外部被覆の有無に応じた、誘電体層の厚さと有効屈折率との関係を示すグラフである。有効屈折率は、電磁波伝送に寄与する媒質の平均屈折率を示すものであり、電磁波の伝送状態を特徴づけるパラメータである。
【0049】
中空導波管の誘電体層の外側表面を発泡樹脂で被覆した場合、
図10に一点鎖線で示すように、誘電体層の厚さが小さくなる(誘電体チューブが薄くなる)にしたがって、有効屈折率が発泡樹脂の屈折率(1.016)(発泡倍率が約30倍の発泡ポリスチレンの場合)に漸近する。これは、誘電体層の厚さが小さくなるにしたがって、電磁波の伝播媒質が誘電体から発泡樹脂に変化していることを示している。発泡樹脂を伝播媒質とする伝送は、電磁波の閉じ込めが不安定であり、最終的に伝送ができなくなってしまう。
【0050】
これに対し、金属膜で発泡樹脂の外側表面を被覆した場合には、
図10に実線で示すように、有効屈折率は発泡樹脂の屈折率に漸近せず、誘電体層の厚さが小さくなるにしたがって有効屈折率も小さくなる。これは、電磁波の伝播媒質が発泡樹脂に変化せず、電磁波が誘電体層(誘電体チューブ)を導波路として安定して伝送されることを示している。
【0051】
このように、本実施例の電磁波伝送ケーブル200では、中空導波管10の外部被覆を発泡樹脂材20及び金属膜50の2重構造とすることにより、発泡樹脂のみで被覆した場合に生じる伝送損失の低下を抑制することができる。すなわち、中空導波管の誘電体層を発泡樹脂のみで被覆すると、誘電体導波路と発泡樹脂の物性値によって決まる伝送損失の下限値を下回る(例えば、有効屈折率が発泡樹脂の屈折率を下回る)と電磁波の伝送ができなくなる。しかし、本実施例のように発泡樹脂(発泡樹脂材20)を金属膜でさらに被覆することにより、その下限値(発泡樹脂のみで被覆した場合における伝送損失の下限値)以下の伝送損失を実現することができる。
【0052】
また、本実施例の電磁波伝送ケーブル200では、金属膜50が外部からの電磁波(ノイズ)に対するシールドとして機能する。従って、中空導波管10が外部から遮蔽されるため、安定した電磁波の伝送が可能となる。
【0053】
また、発泡樹脂のみで中空導波管を被覆する場合と比べて、被覆部分全体の厚みを薄くすることができるため、小型化が可能となる。
【0054】
なお、金属膜50は、必ずしも発泡樹脂材20の外側表面全体を被覆していなくても良い。例えば、金属膜50は、電磁波EWの波長以下の間隔であれば、パターニングされて部分的に発泡樹脂材20の外側表面を被覆するものであっても良い。金属膜のパターニングは、例えば金属細線を巻き付ける方法や、網組シールドのように網をかぶせる方法により構成されていても良い。また、金属膜のパターニングは、成膜時にマスクを用いてワイヤーグリッドやメタマテリアル構造を作り込むことにより構成されていても良い。
【0055】
また、誘電体導波路10と金属膜50の構造と材質を調整することにより、必要な発泡樹脂材20の厚みを薄くすることができる。
【0056】
また、金属膜50が金、銀、銅等の金属から構成されている場合を例として説明したが、アルミや合金により構成されていても良い。金属膜50を構成する金属は導電率が高いものが望ましいが、導電率が低くても伝送特性を向上させる効果はあるため、ある程度の導電率があればどのような金属でも用いることができる。
【0057】
また、発泡樹脂材20を被覆する外部被膜として、金属膜50の代わりに誘電体膜を用いても良い。例えば、屈折率が1.4程度以上の誘電体膜であれば、界面での屈折率差を十分に確保することができる。
【0058】
また、本実施例の電磁波伝送ケーブルは、例えば自動車等の車用情報ハーネスの代わりとなる車内用の大容量高速情報通信用のケーブルや、大容量通信が必要なデータセンターや動画伝送用等のケーブルとして用いることが可能である。