(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態であるエアロゾル吸引器の電源ユニットについて説明するが、先ず、電源ユニットが装着されたエアロゾル吸引器について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0010】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味が付加されたエアロゾルを吸引するための器具であり、所定方向(以下、長手方向Xと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、長手方向Xに沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能である。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。
【0011】
(電源ユニット)
本実施形態の電源ユニット10は、
図3、
図4、
図5、及び
図6に示すように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に、電源12、充電IC55A、MCU(Micro Controller Unit)50、吸気センサ15等の各種センサ等を収容する。電源12は、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源12の電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0012】
図4に示すように、電源ユニットケース11の長手方向Xの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。
【0013】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。
【0014】
電源ユニットケース11の長手方向Xの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、電源12を充電可能な外部電源(図示省略)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、例えば、USB端子、microUSB端子、及びLightning(登録商標)端子の少なくとも1つが接続可能である。
【0015】
なお、充電端子43は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよい。また、充電端子43は、外部電源から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、microUSB端子、Lightning端子の少なくとも1つが接続可能であり、且つ上述した受電部を有していてもよい。
【0016】
電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。より詳述すると、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Xにおける電源ユニット10の中心線の交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成される。
図3に示すように、操作部14の近傍には、パフ動作を検出する吸気センサ15が設けられている。
【0017】
充電IC55Aは、充電端子43に近接して配置され、充電端子43から入力される電力の電源12への充電制御を行う。なお、充電IC55Aは、MCU50の近傍に配置されていてもよい。
【0018】
MCU50は、
図5に示すように、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15等の各種センサ装置、操作部14、後述の報知部45、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリー18に接続され、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う。MCU50は、具体的には後述のプロセッサ55(
図7参照)を主体に構成されており、プロセッサ55の動作に必要なRAM(Random Access Memory)と各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を更に含む。本明細書におけるプロセッサとは、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0019】
MCU50は、電源12の電源電圧を測定する電圧センサ16を有する。電圧センサ50は、後述するオペアンプ56とADC57によって構成されてもよい。MCU50の内部において、電圧センサ16の出力信号はプロセッサ55に入力される。本実施形態に代えて、電圧センサ16はMCU50の外部に設けられ、MCU50と接続されてもよい。
【0020】
また、電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む不図示の空気の取込口が設けられている。なお、空気取込口は、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0021】
(第1カートリッジ)
図3に示すように、第1カートリッジ20は、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0022】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿上の多孔質体が収容されず、エアロゾル源22のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、又は水などの液体を含む。
【0023】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材である。ウィック24は、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0024】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって、燃焼を伴わずにエアロゾル源22を加熱することで、エアロゾル源22を霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。
【0025】
なお、負荷21は、エアロゾル源22を加熱することで霧化してエアロゾルを生成可能な素子であればよい。負荷21は、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。以下では、負荷21の持つ電気抵抗値を電気抵抗値R
Hと記載する。
【0026】
負荷21は、温度と電気抵抗値が相関を持つものが用いられる。負荷21としては、温度の増加に伴って電気抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが用いられる。PTC特性は、正の抵抗温度係数特性とも呼ばれる。
【0027】
負荷21の温度の変化量に対する、負荷21の電気抵抗値の変化量の大きさを示す係数を、抵抗温度係数α[ppm(parts per million)/℃]という。抵抗温度係数αは、負荷21の温度をTとし、基準温度をT
REFとし、基準電気抵抗値をR
REFとして、以下の式(F0)によって表される。
【0029】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0030】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0031】
第2カートリッジ30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、又は、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0032】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源を構成している。
【0033】
エアロゾル吸引器1におけるエアロゾル生成源は、ユーザが交換して使用する部分である。この部分は、例えば、1つの第1カートリッジ20と、1つ又は複数(例えば5つ)の第2カートリッジ30とが1セットとしてユーザに提供される。
【0034】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0035】
エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されたエアロゾル生成源を含むエアロゾル吸引器1であれば、例えば1つ又は複数(例えば20個)のエアロゾル生成源が1セットとしてユーザに提供される。
【0036】
エアロゾル源22のみをエアロゾル生成源として含むエアロゾル吸引器1であれば、例えば1又は複数(例えば20個)のエアロゾル生成源が1セットとしてユーザに提供される。
【0037】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、
図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた不図示の取込口から流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0038】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部45が設けられている(
図5参照)。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。報知部45は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0039】
本形態のエアロゾル吸引器1は、その使用時の推奨温度(動作保証温度)として、エアロゾルを十分な量生成でき且つ電源12の安全性を担保できる温度域が予め定められている。この温度域は、例えば、常温(具体的には、日本工業規格で既定される5℃から35℃の範囲の温度)を含む−10℃以上45℃以下の範囲とされる。本形態のエアロゾル吸引器1においては、エアロゾル生成源からエアロゾルを生成可能な負荷21の温度(第一温度)が上記温度域よりも高い値(例えば約200℃)とされている。また、本形態のエアロゾル吸引器1においては、エアロゾル生成源が枯渇している状態において負荷21の加熱を継続した場合にのみ到達可能な負荷21の温度(第二温度)が、上記の第一温度よりも高い値(例えば約300℃)とされている。なお、エアロゾル生成源が枯渇している状態とは、エアロゾル生成源の残量がゼロ又はほぼゼロである状態を意味している。
【0040】
すなわち、エアロゾル吸引器1において、負荷21の温度は、温度域、温度域よりも高い第一温度、及び、第一温度よりも高い第二温度を含む範囲(具体例として、−10℃以上300℃以下の範囲)で変動し得るものとなっている。この範囲を以下では常用温度範囲という。なお、温度域、第一温度、第二温度の数値は一例であり、製品の特長等に応じた適切な値に設定される。また、温度域は、常温を含まなくてもよいし、常温そのものであってもよい。
【0041】
(電気回路)
電源ユニット10の電気回路の要部について
図6を参照しながら説明する。
電源ユニット10は、主要な回路構成として、電源12と、前述した負荷21を含む第1カートリッジ20が着脱自在に構成された放電端子41と、MCU50と、LDO(Low Drop Out)レギュレータ60と、開閉器61と、開閉器62と、第1電気抵抗値R
1を有する第1素子63と、第2電気抵抗値R
2を有する第2素子64と、第3電気抵抗値R
3を有する第3素子65と、を備える。
【0042】
第1素子63、第2素子64、及び第3素子65は、それぞれ、電気抵抗値を持つ素子であればよく、例えば抵抗器、ダイオード、又はトランジスタ等である。
図6の例では、第1素子63、第2素子64、及び第3素子65が、それぞれ抵抗器となっている。
【0043】
開閉器61、62は、配線路の遮断と導通を切り替えるトランジスタ等のスイッチング素子である。
図6の例では、開閉器61、62は、それぞれ、MCU50から供給されるハイレベルのオン指令信号を受けてオン(導通)し、MCU50から供給されるローレベルのオフ指令信号を受けてオフ(遮断)するノーマリーオフ型のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)となっている。
【0044】
LDOレギュレータ60とMCU50は、電源12に直列接続されている。LDOレギュレータ60は、電源12からの電圧を降圧して出力する。LDOレギュレータ60の出力電圧(以下、基準電圧V
REFと記載する)は、MCU50の動作電圧としてMCU50に供給される。LDOレギュレータ60は、例えば、電源12からの4.2Vの電圧を3.7Vに降圧して出力する。主正母線LUと主負母線LDのうち、主正母線LUは高電位側の線であり、主負母線LDは低電位側の線である。主正母線LUは、電源ユニット10の電気回路のうち最も高い電位となる線であってよい。主負母線LDは、電源ユニット10の電気回路のうち最も低い電位となる線であってもよい。
【0045】
MCU50は、LDOレギュレータ60と、電源12の負極に接続された主負母線LDとに接続されている。MCU50は、開閉器61と開閉器62にも接続されており、これらのオンオフ制御を行う。
【0046】
電源ユニット10に第1カートリッジ20が装着された状態において、第1素子63と負荷21は直列接続されて第1直列回路C1を構成している。第2素子64と第3素子65は直列接続されて第2直列回路C2を構成している。第1直列回路C1と第2直列回路C2は、主正母線LUと主負母線LDの間に並列接続されている。
【0047】
第1直列回路C1と第2直列回路C2は、それぞれ、主正母線LUと主負母線LDに接続されている。具体的には、主正母線LUに開閉器62のコレクタが接続され、開閉器62のエミッタに、第1素子63と第2素子64が並列接続されている。また、主負母線LDには、負荷21と第3素子65が並列接続されている。そして、負荷21は第1素子63に接続され、第3素子65は第2素子64に接続されている。
【0048】
このように、第1直列回路C1は、第1素子63が高電位側の素子となり、負荷21が低電位側の素子となる構成である。また、第2直列回路C2は、第2素子64が高電位側の素子となり、第3素子65が低電位側の素子となる構成である。
【0049】
第1直列回路C1は、MCU50と接続されている。具体的には、第1直列回路C1は、第1素子63と負荷21の間において、MCU50と接続されている。
【0050】
第2直列回路C2は、MCU50と接続されている。具体的には、第2直列回路C2は、第2素子64と第3素子65の間において、MCU50と接続されている。
【0051】
開閉器61は、主正母線LUと第1直列回路C1とに接続されている。具体的には、主正母線LUに開閉器61のコレクタが接続されている。そして、開閉器61のエミッタは、第1直列回路C1における第1素子63と負荷21の間のうち、MCU50と接続されるノードよりも低電位側の位置に接続されている。
【0052】
なお、開閉器61のエミッタは、
図6中の破線で示したように、第1直列回路C1におけるMCU50との接続ノードよりも高電位側の位置PS1に接続される構成であってもよい。また、開閉器61のエミッタは、
図6中の破線で示したように、第1直列回路C1における第1素子63よりも高電位側の位置PS2に接続される構成であってもよい。
【0053】
図6に示す電源ユニット10において、主正母線LUと第1直列回路C1の第1素子63及び負荷21の間とに接続された、開閉器61及び配線を含む回路のことを以下では加熱用回路と記載する。また、第1直列回路C1及び第2直列回路C2と主正母線LUとを接続している、開閉器62及び配線を含む回路のことを、以下では第1接続回路と記載する。また、第1直列回路C1及び第2直列回路C2と主負母線LDとを接続している配線を含む回路のことを、以下では第2接続回路と記載する。
【0054】
(MCU)
次にMCU50の構成について、より具体的に説明する。
MCU50は、
図5に示すように、ROMに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される機能ブロックとして、エアロゾル生成要求検出部51と、温度検出部52と、電力制御部53と、報知制御部54と、を備える。
【0055】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力(内圧)変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、不図示の取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する内圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォン等から構成されていてもよい。吸気センサ15は、アナログ値を出力してもよいし、アナログ値から変換したデジタル値を出力してもよい。
【0056】
温度検出部52は、詳細は後述するが、
図6に示した第1直列回路C1の出力信号と第2直列回路C2の出力信号に基づいて、負荷21の温度を検出する。温度検出部52は、開閉器62をオンし、開閉器61をオフすることで、第1直列回路C1と第2直列回路C2の各々に電流を流し、そのときの第1直列回路C1の出力信号と第2直列回路C2の出力信号に基づいて、負荷21の温度を検出する。
【0057】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの検出に応じて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリー18に記憶されたパフ動作の累積回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、第2カートリッジ30の交換タイミングを検出し、報知する。報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの報知に限らず、第1カートリッジ20の交換タイミング、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング等を報知してもよい。
【0058】
報知制御部54は、未使用の1つの第2カートリッジ30がセットされた状態にて、パフ動作が所定回数行われた場合、又は、パフ動作による負荷21への累積通電時間が所定値(例えば120秒)に達した場合に、この第2カートリッジ30を使用済み(即ち、残量がゼロ又は空である)と判定して、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するようにしている。
【0059】
また、報知制御部54は、上記の1セットに含まれる全ての第2カートリッジ30が使用済みとなったと判定した場合に、この1セットに含まれる1つの第1カートリッジ20を使用済み(即ち、残量がゼロ又は空である)と判定して、第1カートリッジ20の交換タイミングを報知するようにしてもよい。
【0060】
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に、放電端子41を介した電源12の放電を、開閉器61、62のオン/オフによって制御する。電力制御部53は、開閉器62をオフにし、開閉器61をオンにすることで、負荷21に多くの電流を流して、負荷21への放電を行う。このように負荷21への放電が行われる場合には、第1直列回路C1において、第1素子63よりも負荷21の方に多くの電流が流れる。後述するように、第1素子63と第2素子64と第3素子65は、負荷21に比べて十分に大きい電池抵抗値を有するため、第1素子63に流れる電流はゼロ又はほぼゼロとなり、負荷21にのみ電流が流れることになる。第1素子63に流れる電流がゼロ又はほぼゼロとなることで、電源12からより多くの電流を負荷21に流すことができるため、エアロゾルの生成効率が向上する。
【0061】
開閉器61のエミッタが、
図6中の位置PS1に接続される構成においても、負荷21への放電が行われる場合には、同様に、第1直列回路C1において、第1素子63よりも負荷21の方に多くの電流を流すことができる。開閉器61のエミッタが、
図6中の位置PS2に接続される構成においては、負荷21への放電が行われる場合には、第1直列回路C1において、第1素子63にも電流が流れる。しかし、後述するように、第2直列回路C2の電気抵抗値は負荷21の電気抵抗値よりも大きいため、負荷21の方により多くの電流を流すことができる。いずれの場合でも、負荷21への放電が行われる場合には、負荷21に大きな電流を流すことができ、負荷21の加熱を効率よく行うことができる。
【0062】
(負荷の温度検出のための構成)
図7は、
図6に示す電源ユニット10の回路構成における要部拡大図である。
図7に示すように、MCU50は、オペアンプ56と、ADC(アナログデジタル変換器)57と、プロセッサ55と、を備える。なお、全ての実施形態において、オペアンプ56やADC57は、MCU50の外部に設けられていてもよい。
【0063】
オペアンプ56は、非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)を有し、非反転入力端子に入力される電圧から反転入力端子に入力される電圧を減算した差分値を、所定の増幅率Aによって増幅して出力する。この差分値は、負荷21の電気抵抗値がその温度によって変化した場合に、変化する。同様に、オペアンプ56の出力信号は、負荷21の電気抵抗値がその温度によって変化した場合に、変化する。
【0064】
オペアンプ56は、一対の電源端子を有する。一例として、高電位側の電源端子は、基準電圧V
REFに接続されてもよい。低電位側の電源端子は、基準電圧V
REFより低い電圧に接続される。一例として、低電位側の電源端子は、グランドに接続されてもよい。このようにオペアンプ56の電源端子を接続した場合、差分値の上限値は高電位側の電源端子に接続される電圧(一例としてV
REF)となり、差分値の下限値は低電位側の電源端子に接続される電圧(一例として0)となる。従って、差分値が出力値V
REFを越えても、差分値はV
REFに固定されることになる。同様に、差分値が0を下回っても、差分値は0に固定されることになる。換言すれば、オペアンプ56の出力信号を用いて負荷21の電気抵抗値や温度を正確に取得するためには、差分値をV
REFと0の間に収める必要がある。
【0065】
オペアンプ56の非反転入力端子には、第1直列回路C1が接続されている。具体的には、第1直列回路C1における第1素子63と負荷21の間であって開閉器61との接続ノードよりも高電位側に、オペアンプ56の非反転入力端子が接続されている。オペアンプ56の反転入力端子には、第2直列回路C2が接続されている。具体的には、第2直列回路C2における第2素子64と第3素子65の間に、オペアンプ56の反転入力端子が接続されている。
【0066】
ADC57は、オペアンプ56の出力信号をデジタル信号に変換して出力する。ADC57は、基準電圧V
REFによって動作するNビットの分解能を有するものが用いられる。
【0067】
開閉器62がオフ且つ開閉器61がオンの状態における、オペアンプ56の非反転入力端子に入力される電圧V
+と、オペアンプ56の反転入力端子に入力される電圧V
−は、第1直列回路C1と第2直列回路C2とが構成する並列回路全体に印加される電圧(換言すれば、主正母線LUと主負母線LDの電位差)を“V”として、以下の式(F1)、(F2)によって表される。
【0069】
したがって、開閉器62がオフ且つ開閉器61がオンの状態における、オペアンプ56の出力信号は、増幅率Aと式(F1)、(F2)により、以下の式(F3)によって表される。式(F3)における増幅率Aを除く部分が、オペアンプ56の非反転入力端子に入力される信号と反転入力端子に入力される信号の差分値を示している。以下、この差分値をV
INとも記載する。差分値V
INは、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化に応じて変化する。これ以降、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化量に対する差分値V
INの変化量を、以下ではΔV
INと記載する。なお、増幅率Aは1以上の自然数であればよい。
【0071】
プロセッサ55の機能ブロックである温度検出部52は、開閉器62がオフ且つ開閉器61がオンの状態において、オペアンプ56の出力信号を取得する。式(F3)において、負荷21の電気抵抗値R
H以外は既知の値である。したがって、温度検出部52は、取得したオペアンプ56の出力信号と式(F3)とから、負荷21の電気抵抗値R
Hを導出できる。温度検出部52は、このようにして導出した負荷21の電気抵抗値R
Hと、ROMに予め記憶されている負荷21のPTC特性の情報(例えば、基準温度T
REFと、この基準温度T
REFに対応する基準電気抵抗値R
REFと、抵抗温度係数α[ppm/℃]の情報)とに基づいて、負荷21の温度Tを検出する。
【0072】
ここで、温度検出部52による負荷21の温度Tの検出分解能について考察する。
【0073】
基準電圧V
REFが電源として入力されるNビットのADC57による分解能Res[V/bit]は、以下の式(F4)で表される。
【0075】
式(F4)を書き直すと、温度分解能Res[℃]は、以下の式(F5)で表される。式(F5)におけるΔT
H(ΔR
H)は、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化量に応じた、負荷21の温度Tの変化量を示す。したがって、式(F5)は、負荷21の抵抗温度係数α[%]を用いて式(F6)のように変形できる。なお、式(F6)の導出にあたっては、抵抗温度係数αの単位を[ppm/℃]から[%]に変換するために、抵抗温度係数α[ppm/℃]に10
2と10
−6を乗じている点に留意されたい。
【0078】
式(F6)から分かるように、温度検出部52による負荷21の温度Tの検出分解能を高めるためには、オペアンプ56の差分値V
INの変化量ΔV
IN、換言すると、増幅率Aと差分値V
INの乗算値を大きくすればよいことが分かる。
【0079】
本形態の電源ユニット10では、式(F3)から分かるように、オペアンプ56の非反転入力端子に入力される信号と反転入力端子に入力される信号の大きさが、反転入力端子をグランドに接続する場合と比べて、大幅に小さい。つまり、負荷21の電気抵抗値R
Hの変化量に対し、オペアンプ56の差分値V
INの変化量は小さくなる。一方、オペアンプ56の出力信号はADC57に入力され、ADC57は基準電圧V
REFによって動作する。このため、オペアンプ56の出力信号(ADC57の入力信号)は、基準電圧V
REF以下とすることが、ADC57を正常に動作させる上で好ましい。
【0080】
本形態の電源ユニット10では、オペアンプ56の差分値V
INを小さい値とすることができる。このため、オペアンプ56の出力信号が基準電圧V
REFを超えない範囲で、増幅率Aを大きな値に設定することができる。この結果、増幅率Aと差分値V
INの乗算値を大きな値とすることができ、温度Tの検出分解能を向上させることができる。
【0081】
(負荷、第1素子、第2素子、第3素子の電気抵抗値の好ましい条件)
負荷21の温度検出時には、第1直列回路C1と第2直列回路C2を含むブリッジ回路に電圧Vに基づく電流が流れることになり、このブリッジ回路自体が発熱源となる。したがって、第1直列回路C1と第2直列回路C2に電流が流れることによって生じるジュール熱が、負荷21の温度に影響を与えないようにするために、第1直列回路C1と第2直列回路C2を含むブリッジ回路全体の電気抵抗値(合成抵抗値)を十分に大きくすることが望ましい。
【0082】
一方、負荷21の電気抵抗値R
Hを大きな値にすると、負荷21の温度を所望の温度まで上昇させるために必要な電力量が増加したり、電力量を抑える場合には負荷21の温度を所望の温度まで上昇させるのに時間がかかったりすることになる。そのため、負荷21の電気抵抗値R
Hは、エアロゾル生成効率を高めるべく、できるだけ小さな値とすることが望ましい。
【0083】
エアロゾル生成効率を高めるべく、本形態の電源ユニット10では、第1素子63の第1電気抵抗値R
1、第2素子64の第2電気抵抗値R
2、及び第3素子65の第3電気抵抗値R
3が、それぞれ、負荷21の電気抵抗値R
Hよりも大きいという抵抗値条件が成り立つ構成となっている。
【0084】
ただし、電気抵抗値R
Hは、負荷21の温度によって変化する値である。そのため、負荷21が上記の常用温度範囲におけるどの温度にある状態であっても、上記の抵抗値条件が成り立つ構成となっている。別の実施形態として、電気抵抗値R
Hは、負荷21が上記の常用温度範囲における一部にある状態でのみ、上記の抵抗値条件が成り立つ構成となっていてもよい。具体的には、電気抵抗値R
Hは、前述した温度域、前述した温度域と前述した第1温度や、前述した温度域と前述した第2温度にある状態で、上記の抵抗値条件が成り立つ構成となっていてもよい。このような構成にすれば、負荷21や他の素子の選択肢の幅を広げることができる。
【0085】
前述した通り、負荷21の電気抵抗値や温度を正確に取得するために、オペアンプ56の非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くならないようにする必要がある。式(F3)において電気抵抗値R
Hが最小であることを考慮すると、第2電気抵抗値R
2を第3電気抵抗値R
3よりも大きくする必要がある。つまり、電源ユニット10では、第1電気抵抗値R
1が電気抵抗値R
Hよりも大きく、且つ、第2電気抵抗値R
2が第3電気抵抗値R
3よりも大きい構成となっている。
【0086】
ここで、第1直列回路C1における高電位側の素子である第1素子63の第1電気抵抗値R
1を、第1直列回路C1における低電位側の素子である負荷21の電気抵抗値R
Hで割った値を“n”とする。また、第2直列回路C2における高電位側の素子である第2素子64の第2電気抵抗値R
2を、第2直列回路C2における低電位側の素子である第3素子65の第3電気抵抗値R
3で割った値を“m”とする。電源ユニット10では、第1電気抵抗値R
1が電気抵抗値R
Hよりも大きく、且つ、第2電気抵抗値R
2が第3電気抵抗値R
3よりも大きい構成となっているため、nとmは、それぞれ1以上の実数となっている。本形態において、mは第1抵抗比を構成し、nは第2抵抗比を構成する。
【0087】
このようにnとmを定義すると、式(F3)における“R
1”は“n・R
H”となり、“R
2”は“m・R
3”となる。そのため、式(F3)は次のように変形できる。
【0089】
式(F7)では、分母におけるnとmの積が強いため、nとmが大きい程、換言すると、高電位側のR
1やR
2が、低電位側のR
HやR
3より大きい程、オペアンプ56の差分値V
INを小さくでき、その分、増幅率Aを大きくできることが分かる。
【0090】
また、式(F7)から、m>nの条件を満たす構成とすることで、非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くならず、オペアンプ56を安定して動作させて、負荷21の温度検出精度を担保できることが分かる。本形態の電源ユニット10では、負荷21が上記の常用温度範囲におけるどの温度にある状態であっても、m>nの条件を満たす構成となっている。この構成により、負荷21が取り得るどの温度にあっても、負荷21の温度を高精度に検出可能としている。別の実施形態として、電源ユニット10は、負荷21が上記の常用温度範囲における一部にある状態でのみ、m>nの条件が成り立つ構成となっていてもよい。具体的には、電源ユニット10は、前述した温度域、前述した温度域と前述した第1温度や、前述した温度域と前述した第2温度にある状態で、m>nの条件が成り立つ構成となっていてもよい。このような構成にすれば、負荷21や他の素子の選択肢の幅を広げることができる。
【0091】
(エアロゾル吸引器の動作)
以上のように構成されたエアロゾル吸引器1の動作を、
図6を参照して説明する。MCU50のプロセッサ55は、エアロゾル生成要求を検出すると、開閉器61にオン指令を送り、開閉器62にオフ指令を送る。これらの指令に応じて開閉器61がオンし、開閉器62がオフした状態になることで、加熱用回路を経由して負荷21に多くの電流が流れ、第1素子63と第2素子64と第3素子65に流れる電流は、ゼロ又はほぼゼロになる。これにより、負荷21が加熱されてエアロゾルの生成が行われる。
【0092】
負荷21の加熱開始から所定時間経過すると、プロセッサ55は、開閉器61にオフ指令を送り、開閉器62にオン指令を送る。これらの指令に応じて開閉器61がオフし、開閉器62がオンした状態になることで、第1接続回路を経由して、第1直列回路C1と第2直列回路C2に電流が流れる。そして、第1直列回路C1と第2直列回路C2の各々の出力信号の差分値(V
IN)がオペアンプ56にて増幅され、ADC57にてデジタル変換されてプロセッサ55に入力される。プロセッサ55は、ADC57からの入力信号に基づいて、負荷21の温度を検出する。
【0093】
負荷21の温度を検出した後、プロセッサ55は、開閉器61にオン指令を送り、開閉器62にオフ指令を送って再びエアロゾルの生成を開始させる。以上の動作が繰り返されることで、エアロゾル生成要求に応じたエアロゾル生成期間中に、高頻度で負荷21の温度が検出される。
【0094】
(実施形態の効果)
以上のように、電源ユニット10によれば、常用温度範囲における負荷21の電気抵抗値R
Hが、第1電気抵抗値R
1、第2電気抵抗値R
2、及び第3電気抵抗値R
3よりも小さくなっている。このため、負荷21の温度を常用温度範囲において効率よく制御することができ、エアロゾルを効率的に生成することができる。
【0095】
また、電源ユニット10によれば、m>nの関係が常用温度範囲において成り立つ。このため、常用温度範囲において、オペアンプ56にて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができ、負荷21の温度を高精度に検出することが可能となる。
【0096】
また、電源ユニット10では、第1直列回路C1が、オペアンプ56の非反転入力端子に接続される構成である。この構成によれば、負荷21の温度が高温になるほど、オペアンプ56の非反転入力端子への入力電圧を大きくすることができる。このため、高温時において、オペアンプ56において非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぎやすくなる。また、高温時に非反転入力端子への入力電圧が大きくなることで、ノイズとの区別が容易となり、負荷21の高温時における温度の検出を高精度に行うことができる。
【0097】
また、電源ユニット10によれば、開閉器61と開閉器62のオンオフ制御によって、第1直列回路C1と第2直列回路C2に対する電力供給と、開閉器61を介した負荷21への電力供給との切り替えを行うことができ、エアロゾル生成と負荷21の温度検出とを適切に切り替えることができる。
【0098】
特に、エアロゾル生成時においては、主正母線LUから、加熱用回路によって、負荷21に多くの電流を流すことができる。このため、負荷21の温度制御を効率的に行うことができ、エアロゾル生成効率を向上させることができる。
【0099】
また、電源ユニット10では、加熱用回路が、第1直列回路C1におけるオペアンプ56との接続ノードよりも低電位側に接続されている。この構成によれば、負荷21にのみ電流を流す状態において、第1直列回路C1におけるオペアンプ56との接続ノードにおける電力損失をなくすことができる。このため、エアロゾル生成効率をより向上させることができる。
【0101】
負荷21の電気抵抗値には、負荷21そのものの製品誤差が含まれ得る。この製品誤差は、大きくても±10%程度である。そのため、このような製品誤差の存在を考慮して、mの値をnよりも大きくしておくことが望ましい。具体的には、負荷21が上記の常用温度範囲におけるどの温度にある状態であっても、mの値がnの1.2倍以上となるようにしておく。このようにすることで、製品誤差によって負荷21の抵抗温度係数αが10%程度下振れした場合であっても、常用温度範囲において、m>nの関係を維持することが可能となる。より製品誤差が小さい負荷21を用いる場合には、負荷21が上記の常用温度範囲におけるどの温度にある状態であっても、mの値がnの1.1倍以上又は1.05倍以上となるようにしておいてもよい。
【0102】
また、第1直列回路C1と第2直列回路C2を含むブリッジ回路において、第1電気抵抗値R
1、第2電気抵抗値R
2、及び第3電気抵抗値R
3のうちの少なくとも1つが、1kΩ以上となっていることが好ましい。1kΩ以上の電気抵抗値を持つ素子が1つでも含まれていれば、ブリッジ回路全体の電気抵抗値を十分に大きくできる。
【0103】
また、第1電気抵抗値R
1、第2電気抵抗値R
2、及び第3電気抵抗値R
3のうち、第2電気抵抗値R
2と第3電気抵抗値R
3の一方又は両方のみが1kΩ以上となっていることが更に好ましい。電気抵抗値R
Hを十分に小さくし且つm>nの条件を満たすことを考慮すると、第2電気抵抗値R
2と第3電気抵抗値R
3の一方又は両方のみを1kΩ以上とすることで、nやmの値が必要以上に大きくなってしまうのを防ぐことができる。
【0104】
エアロゾル吸引器1は、負荷21を加熱することでエアロゾルを生成するため、負荷21の温度が高くなった場合でも、負荷21に流れる電流量を十分に大きくできることがエアロゾル生成効率の観点で望ましい。このような観点や調達コストの安さ等から、負荷21の抵抗温度係数αは、約1000[ppm/℃]以下のものを用いることが好ましい。抵抗温度係数αが1000[ppm/℃]以下の負荷21の材料としては、抵抗温度係数αが約1000[ppm/℃]のSUS(ステンレス鋼)、抵抗温度係数αが約100[ppm/℃]のNiCr(ニクロム)等が挙げられる。負荷21の温度をより高精度に検出するため、抵抗温度係数αが約2000[ppm/℃]以下の負荷21を用いてもよい。
【0105】
このように、負荷21の抵抗温度係数αを低くすることで、負荷21の温度変化に対するオペアンプ56の入力信号の変化を小さくできる。このため、オペアンプ56において入力電圧を大きな増幅率で増幅することができ、負荷21の温度の検出分解能を高めることができる。特に、負荷21にNiCrを用いる構成は、コストが安いこと、オペアンプ56の入力信号V
INを極力小さくできること、高温時における電気抵抗値を小さくできること、等から、より好ましい構成である。
【0106】
(エアロゾル吸引器の第一変形例)
図8は、
図7に示した電源ユニット10の電気回路の要部の第一変形例を示す図である。
図8は、オペアンプ56の反転入力端子に第1直列回路C1が接続され、オペアンプ56の非反転入力端子に第2直列回路C2が接続された点を除いては、
図7と同じ構成である。
図8に示す構成であっても、負荷21の温度を高い分解能で検出することができる。
【0107】
なお、
図8の構成においては、前述したnとmの関係が逆になることに留意されたい。すなわち、
図8の構成においては、負荷21が上記の常用温度範囲におけるどの温度にある状態であっても、n>mの条件を満たす構成となっている。この構成により、負荷21が取り得るどの温度にあっても、負荷21の温度を高精度に検出可能としている。本変形例においては、nが第1抵抗比を構成し、mが第2抵抗比を構成する。別の実施形態として、電源ユニット10は、負荷21が上記の常用温度範囲における一部にある状態でのみ、n>mの条件が成り立つ構成となっていてもよい。具体的には、電源ユニット10は、前述した温度域、前述した温度域と前述した第1温度や、前述した温度域と前述した第2温度にある状態で、n>mの条件が成り立つ構成となっていてもよい。このような構成にすれば、負荷21や他の素子の選択肢の幅を広げることができる。
【0108】
(エアロゾル吸引器の第二変形例)
図9は、
図7に示した電源ユニット10の電気回路の要部の第二変形例を示す図である。
図9は、第1接続回路に含まれる開閉器62がダイオード62Aに置換された点を除いては、
図7と同じ構成である。ダイオード62Aは、高電位側から低電位側を順方向とするものであり、具体的には、主正母線LUにアノードが接続され、第1直列回路C1及び第2直列回路C2にカソードが接続された構成である。ダイオード62Aは、主に加熱用回路から主正母線LUに電流が流れ込むことを防止するために用いられる。
【0109】
本変形例では、MCU50のプロセッサ55は、エアロゾル生成要求を検出すると、開閉器61にオン指令を送る。この指令に応じて開閉器61がオンすることで、加熱用回路を経由して負荷21に電流が流れ、負荷21が加熱されてエアロゾルの生成が行われる。この時、第1接続回路と第1直列回路C1と第2直列回路C2とが接続されるノードと、加熱用回路と第1直列回路C1とが接続されるノードは、電位が等しい。つまり、第1素子63の両端の電位が等しいため、第1素子63には電流が流れない。このため、開閉器61がオンの状態では、加熱用回路にのみ電流が流れる。したがって、負荷21を効率よく加熱することができる。一方、温度検出時には、プロセッサ55は、開閉器61にオフ指令を送る。この指令に応じて開閉器61がオフすることで、ダイオード62Aを経由してブリッジ回路に電流が流れる。このため、プロセッサ55は、負荷21の温度を検出可能となる。
【0110】
本変形例によれば、開閉器62をダイオード62Aに置換できるため、電源ユニット10の製造コスト削減、サイズ縮小が可能になる。また、プロセッサ55がオンオフ制御する開閉器が開閉器61のみになるため、プロセッサ55の計算資源を節約することができる。なお、ブリッジ回路の合成抵抗値は、負荷21の電気抵抗値よりも十分に大きいため、ダイオード62Aは省略することも可能である。ダイオード62Aを省略することで、更なるコスト削減とサイズ縮小が可能となる。一方で、ダイオード62Aがある場合には、ブリッジ回路側から主正母線LUへの電流の逆流を防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【0111】
(エアロゾル吸引器の第三変形例)
図10は、
図7に示した電源ユニット10の電気回路の要部の第三変形例を示す図である。
図10は、第1直列回路C1において負荷21と第1素子63の位置が逆になっている点、第2直列回路C2において第2素子64と第3素子65の位置が逆になっている点、開閉器61を含む加熱用回路の接続位置が変更された点、を除いては、
図7と同じ構成である。
【0112】
加熱用回路に含まれる開閉器61のエミッタは、第1直列回路C1におけるオペアンプ56との接続ノードよりも高電位側に接続され、この開閉器61のコレクタは主負母線LDに接続されている。
【0113】
本変形例においては、第1直列回路C1は、第1素子63が低電位側の素子となり、負荷21が高電位側の素子となる構成である。また、第2直列回路C2は、第2素子64が低電位側の素子となり、第3素子65が高電位側の素子となる構成である。本変形例では、このように、第1直列回路C1及び第2直列回路C2における素子の配置が
図7と逆となっている。そのため、前述したnとmの関係も逆となり、負荷21の温度が常用温度範囲にある状態にて、n>mの関係が成り立つ構成となっている。別の実施形態として、電源ユニット10は、負荷21が上記の常用温度範囲における一部にある状態でのみ、n>mの条件が成り立つ構成となっていてもよい。具体的には、電源ユニット10は、前述した温度域、前述した温度域と前述した第1温度や、前述した温度域と前述した第2温度にある状態で、n>mの条件が成り立つ構成となっていてもよい。このような構成にすれば、負荷21や他の素子の選択肢の幅を広げることができる。
【0114】
ここで、第1直列回路C1における高電位側の負荷21の電気抵抗値R
Hを低電位側の第1素子63の第1電気抵抗値R
1で割った値は1/nであり、第2直列回路C2における高電位側の第3素子65の第3電気抵抗値R
3を低電位側の第2素子64の第2電気抵抗値R
2で割った値は1/mである。(1/n)は第2抵抗比を構成し、(1/m)は第1抵抗比を構成する。本変形例では、n>mの関係が成り立つため、(1/n)<(1/m)の関係が成り立つ。
【0115】
つまり、オペアンプ56の反転入力端子に接続される直列回路の抵抗比(高電位側の抵抗値を低電位側の抵抗値で割った値)が、オペアンプ56の非反転入力端子に接続される直列回路の抵抗比(高電位側の抵抗値を低電位側の抵抗値で割った値)よりも大きいという関係は、
図7と同様に成り立つ点には留意されたい。
【0116】
本変形例では、MCU50のプロセッサ55は、エアロゾル生成要求を検出すると、開閉器61、62にオン指令を送る。この指令に応じて開閉器61、62がオンすることで、第1接続回路、負荷21、加熱用回路の直列回路によって、負荷21に電流が流れ、負荷21が加熱されてエアロゾルの生成が行われる。負荷21の電気抵抗値R
Hは、第2直列回路C2の合成抵抗値より十分に小さい。このため、開閉器61、62がオンの状態では、負荷21に大きな電流を流すことができる。したがって、負荷21を効率よく加熱することができる。
【0117】
一方、温度検出時には、プロセッサ55は、開閉器61にオフ指令を送る。この指令に応じて開閉器61がオフすることで、第1接続回路を経由してブリッジ回路に電流が流れる。このため、プロセッサ55は、負荷21の温度を検出可能となる。
【0118】
本変形例によれば、加熱用回路の開閉器61をオンすることによって主正母線LUから負荷21に多くの電流を流すことが可能なため、エアロゾル生成効率を向上させることができる。また、負荷21をマイナスコントロールにて制御するため、配線の省線化が図れる。
【0119】
また、本変形例では、加熱用回路は、第1直列回路C1におけるオペアンプ56との接続ノードよりも高電位側に接続されている。この構成によれば、負荷21にのみ電流を流す場合に、第1直列回路C1のオペアンプ56との接続ノードにおける電力損失がない。このため、エアロゾル生成効率をより向上させることができる。
【0120】
なお、
図10において、開閉器61のコレクタと第1直列回路C1との接続位置は、第1直列回路C1におけるオペアンプ56との接続ノードより低電位側とすることも可能である。
【0121】
また、
図10において、開閉器62を高電位側から低電位側を順方向とするダイオードに置換することも可能である。この場合には、開閉器61がオフの状態であれば第1直列回路C1と第2直列回路C2に電流を流すことができる。一方、開閉器61がオンの状態であれば、第2直列回路C2よりも充分に電気抵抗値の小さい負荷21に優先的に電流を流すことができる。また、ダイオードによって回路の保護を図ることもできる。
【0122】
(エアロゾル吸引器の第四変形例)
図11は、
図7又は
図8に示す要部構成の電源ユニット10を有するエアロゾル吸引器1の動作の変形例を説明するためのタイミングチャートを示す図である。
図11は、エアロゾル生成要求に応じてエアロゾル生成を開始してから負荷21の温度検出を終了するまでの期間のタイミングチャートを示している。
図11には、この期間における開閉器61、62の指令信号が示されている。また、
図11において、開閉器61の指令信号の波形の上には、開閉器61のコレクタ電流I1の波形とコレッタ−エミッタ間電圧V
IGBTの波形が示されている。また、
図11において、開閉器62の指令信号の波形の下には、開閉器62のコレクタ電流I2の波形コレッタ−エミッタ間電圧V
IGBTの波形が示されている。
【0123】
MCU50のプロセッサ55は、エアロゾル生成要求を検出すると、タイミングt1において開閉器61にオン指令(H)を送る。なお、タイミングt1においては、開閉器62にはオフ指令(L)が送られている。タイミングt1のオン指令に応じて開閉器61がオンすることで、加熱用回路を経由して負荷21に電流I1が流れ始め、負荷21が加熱されてエアロゾルの生成が開始される。電流I1は、
図11の上段に示すように、開閉器61がオンしてから所定のターンオン時間T
ON1を経過した後に所望の値で安定する。
【0124】
タイミングt1からターンオン時間T
ON1が経過した後のタイミングであって開閉器61がオン期間中のタイミングt2になると、プロセッサ55は開閉器62にオン指令(H)を送る。この指令に応じて開閉器62がオンすることで、第1接続回路を経由して、第1直列回路C1と第2直列回路C2に電流I2が流れ始める。この電流I2は、
図11の下段に示すように、開閉器62がオンしてから所定のターンオン時間T
ON2を経過した後に所望の値で安定する。
【0125】
タイミングt2の後、ターンオン時間T
ON2が経過するよりも充分前のタイミングt3において、プロセッサ55は開閉器61にオフ指令(L)を送る。この指令に応じて開閉器61がオフすることで、加熱用回路を介した負荷21への電流I1の供給が停止される。このときの電流I1は、所定のターンオフ時間T
OFF1をかけて低下する。
【0126】
プロセッサ55は、開閉器62のオン期間中のタイミングであって、タイミングt2からターンオン時間T
ON2が経過し且つタイミングt3からターンオフ時間T
OFF1が経過した時点以降のタイミングt4になると、ADC57の出力信号を取り込み、この出力信号に基づいて、負荷21の温度を検出する。プロセッサ55は、温度の検出後、開閉器62にオフ指令を送る。この指令に応じて開閉器62がオフし、タイミングチャートの最初の状態に戻る。なお、開閉器62のオン期間中にプロセッサ55が負荷21の温度を検出する回数は1回よりも多くてもよい。このような場合には、負荷21の温度を、複数のADC57の出力信号や複数の検出した温度の平均値や中央値から求めてもよい。
【0127】
以上のように、本変形例では、プロセッサ55が、開閉器61がオン中に開閉器62にオン指令を送る構成である。この構成によれば、第1直列回路C1と第2直列回路C2に対する電力供給と、加熱用回路を介した負荷21への電力供給との切り替えを効率的に行うことができる。この結果、エアロゾル生成を行う期間であっても高頻度に負荷21の温度を検出することができる。
【0128】
また、本変形例では、プロセッサ55が、タイミングt2からターンオン時間T
ON2が経過し且つタイミングt3からターンオフ時間T
OFF1が経過した時点以降のタイミングt4においてオペアンプ56の出力に基づいた負荷21の温度検出処理を実行する。この構成によれば、加熱用回路を介した負荷への電流の供給がほぼなくなった状態にて負荷21の温度検出処理を行うことができる。このため、この処理の精度を高めることができる。
【0129】
ここまでの実施形態と変形例においては、負荷21を含む第1カートリッジ20が電源ユニット10に着脱自在な構成とされているが、負荷21を含む第1カートリッジ20は電源ユニット10と一体化された構成であってもよい。
【0130】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0131】
(1)
エアロゾル生成源を加熱し且つ温度と電気抵抗値(電気抵抗値R
H)が相関を持つ負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)を有するエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)の電源ユニット(電源ユニット10)であって、
上記負荷に対して直列接続される第1電気抵抗値(第1電気抵抗値R
1)を有する第1素子(第1素子63)と、
第2電気抵抗値(第2電気抵抗値R
2)を有する第2素子(第2素子64)及び上記第2素子に対して直列接続された第3電気抵抗値(第3電気抵抗値R
3)を有する第3素子(第3素子65)を含み、上記負荷及び上記第1素子の第1直列回路(第1直列回路C1)と並列接続された第2直列回路(第2直列回路C2)と、
非反転入力端子と反転入力端子の一方が上記第1直列回路に接続され、且つ、非反転入力端子と反転入力端子の他方が上記第2直列回路に接続されたオペアンプ(オペアンプ56)と、を備え、
上記第1電気抵抗値、上記第2電気抵抗値、及び上記第3電気抵抗値は、それぞれ、常温又は予め決められた温度域の温度における上記負荷の電気抵抗値よりも大きいエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0132】
(1)によれば、常温又は温度域の温度における負荷の電気抵抗値が、第1電気抵抗値、第2電気抵抗値、及び第3電気抵抗値よりも小さいため、常温又は温度域において放電時に、負荷の温度を効率よく制御することができ、エアロゾルを効率的に生成することができる。また、オペアンプに入力される電圧を低ノイズで小さくできるため、オペアンプにおける増幅率を大きくして増幅された信号を用いることで、負荷の温度を高分解能で検出することが可能となる。
【0133】
(2)
(1)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記第1電気抵抗値、上記第2電気抵抗値、及び上記第3電気抵抗値は、それぞれ、上記エアロゾル生成源からエアロゾルを生成可能な温度における上記負荷の電気抵抗値よりも大きいエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0134】
(2)によれば、エアロゾル生成のために負荷の温度が上昇した場合でも、負荷の電気抵抗値が、第1電気抵抗値、第2電気抵抗値、及び第3電気抵抗値よりも小さい関係が成り立つ。このため、エアロゾル生成効率を高めつつ、高温時においても負荷の温度を高精度に検出することができる。
【0135】
(3)
(1)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記第1電気抵抗値、上記第2電気抵抗値、及び上記第3電気抵抗値は、それぞれ、上記エアロゾル生成源が枯渇した場合にのみ到達可能な温度における上記負荷の電気抵抗値よりも大きいエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0136】
(3)によれば、エアロゾル生成源が枯渇して負荷の温度が上昇した場合でも、負荷の電気抵抗値が、第1電気抵抗値、第2電気抵抗値、及び第3電気抵抗値よりも小さい関係が成り立つ。このため、高温時においても負荷の温度を高精度に検出することができる。
【0137】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記第1電気抵抗値、上記第2電気抵抗値、及び上記第3電気抵抗値のうちの少なくとも1つは、1kΩ以上となっているエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0138】
(4)によれば、第1直列回路と第2直列回路に電流が流れる場合に、第1直列回路と第2直列回路を含む回路における発熱量を減らすことができる。この結果、この電流によって負荷の温度が影響を受けるのを回避することができ、負荷の温度の検出を高精度に行うことが可能になる。併せて、負荷の温度を検出する時の消費電力を低減することができる。
【0139】
(5)
(4)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記第1電気抵抗値、上記第2電気抵抗値、及び上記第3電気抵抗値のうち、上記第2電気抵抗値と上記第3電気抵抗値の一方又は両方のみが1kΩ以上となっているエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0140】
(5)によれば、第1直列回路と第2直列回路を含む回路全体の電気抵抗値を適切な値に設定することができ、製造コストの低減、設計自由度の向上が可能となる。
【0141】
(6)
(1)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記第1直列回路と上記第2直列回路のうちの上記オペアンプの反転入力端子に接続される回路における高電位側の素子の電気抵抗値を低電位側の素子の電気抵抗値で割った値である第1抵抗比(m、n、又は、1/m)は、上記第1直列回路と上記第2直列回路のうちの上記オペアンプの非反転入力端子に接続される回路における高電位側の素子の電気抵抗値を低電位側の素子の電気抵抗値で割った値である第2抵抗比(n、m、又は、1/n)より大きいという条件が、上記負荷の温度が上記温度域にある状態にて成り立つエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0142】
(6)によれば、オペアンプにおいて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができるため、オペアンプを保護しつつ、負荷の温度を高精度に検出することが可能となる。
【0143】
(7)
(6)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記負荷が上記エアロゾル生成源からエアロゾルを生成可能な温度にある状態にて、上記条件が成り立つエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0144】
(7)によれば、エアロゾル生成時においても、オペアンプにおいて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができる。このため、高温時においても、オペアンプを保護しつつ、負荷の温度を高精度に検出することが可能となる。
【0145】
(8)
(6)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記負荷が上記エアロゾル生成源が枯渇した場合にのみ到達可能な温度にある状態にて、上記条件が成り立つエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0146】
(8)によれば、エアロゾル生成源の枯渇時においても、オペアンプにおいて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができる。このため、高温時においても、オペアンプを保護しつつ、負荷の温度を高精度に検出することが可能となる。
【0147】
(9)
(6)記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記負荷の温度が上記温度域にある状態にて、上記第1抵抗比は、上記第2抵抗比の1.2倍以上であるエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0148】
(9)によれば、負荷の製品誤差によって電気抵抗値が10%下振れしている場合であっても、オペアンプにおいて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができる。
【0149】
(10)
(1)から(9)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記第1直列回路は、上記オペアンプの非反転入力端子に接続されるエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0150】
(10)によれば、負荷の温度が高温になるほどオペアンプの非反転入力端子への入力電圧を大きくできる。このため、高温時においても、オペアンプにおいて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができ、高温時においても、オペアンプを保護しつつ、負荷の温度を高精度に検出することが可能となる。また、高温時に非反転入力端子への入力電圧が大きくなることで、ノイズとの区別が容易となり、負荷の高温時における温度の検出を高精度行うことができる。
【0151】
(11)
(1)から(9)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記負荷は、1000[ppm/℃]以下の抵抗温度係数を有するエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0152】
(11)によれば、負荷の抵抗温度係数が低いため、負荷の抵抗変化に対するオペアンプの入力電圧の変化が小さくなる。このため、オペアンプにおいて入力電圧を大きな増幅率で増幅することができ、負荷の温度の検出分解能を高めることができる。
【0153】
(12)
(1)から(9)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器の電源ユニットであって、
上記負荷は、NiCrを含むエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0154】
(12)によれば、負荷の抵抗温度係数が低いため、負荷の抵抗変化に対するオペアンプの入力電圧の変化が小さくなる。このため、オペアンプにおいて入力電圧を大きな増幅率で増幅することができ、負荷の温度の検出分解能を高めることができる。また、エアロゾル生成時においても負荷の電気抵抗値が高くなりすぎないことで、エアロゾル生成効率を維持することができる。
【0155】
(13)
エアロゾル生成源を加熱し且つ温度と電気抵抗値(温度抵抗値R
H)が相関を持つ負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)を有するエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)の電源ユニット(電源ユニット10)であって、
上記負荷に対して直列接続される第1電気抵抗値(第1電気抵抗値R
1)を有する第1素子(第1素子63)と、
第2電気抵抗値(第2電気抵抗値R
2)を有する第2素子(第2素子64)及び上記第2素子に対して直列接続された第3電気抵抗値(第3電気抵抗値R
3)を有する第3素子(第3素子65)を含み、上記負荷及び上記第1素子の第1直列回路(第1直列回路C1)と並列接続された第2直列回路(第2直列回路C2)と、
非反転入力端子と反転入力端子の一方が上記第1直列回路に接続され、且つ、非反転入力端子と反転入力端子の他方が上記第2直列回路に接続されたオペアンプ(オペアンプ56)と、を備え、
上記負荷が、常温又は予め決められた温度域の温度、エアロゾル生成可能な第一温度、及び、エアロゾル生成源の枯渇時にのみ到達可能な第二温度の少なくとも1つとなる状態において、上記第1直列回路と上記第2直列回路のうちの上記オペアンプの反転入力端子に接続される回路における高電位側の素子の電気抵抗値を低電位側の素子の電気抵抗値で割った値である第1抵抗比(m、n、又は、1/m)は、上記第1直列回路と上記第2直列回路のうちの上記オペアンプの非反転入力端子に接続される回路における高電位側の素子の電気抵抗値を低電位側の素子の電気抵抗値で割った値である第2抵抗比(n、m、又は、1/n)より大きいエアロゾル吸引器の電源ユニット。
【0156】
(13)によれば、オペアンプに入力される電圧を低ノイズで小さくできるため、オペアンプにおける増幅率を大きくすることができ、増幅された信号を用いることで、負荷の温度を高分解能で検出することが可能となる。また、オペアンプにおいて非反転入力端子に入力される電圧V
+が、反転入力端子に入力される電圧V
−より低くなるのを防ぐことができるため、負荷の温度を高精度に検出することが可能となる。
【解決手段】電源ユニット10は、負荷21に対して直列接続される第1電気抵抗値R1を有する第1素子63と、第2電気抵抗値R2を有する第2素子64及び第2素子64に対して直列接続された第3電気抵抗値R3を有する第3素子65を含み、負荷21及び第1素子63の第1直列回路C1と並列に接続された第2直列回路C2と、非反転入力端子が第1直列回路C1に接続され、且つ、反転入力端子が第2直列回路C2に接続されたオペアンプ56と、を備え、第1電気抵抗値R1、第2電気抵抗値R2、及び第3電気抵抗値R3は、それぞれ、予め決められた温度域の温度における負荷21の電気抵抗値RHよりも大きい。