(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ワイドギャップ半導体材料は、ガリウム元素を含有する酸化物、および、アルミニウム元素を含有する材料の少なくともいずれかである、請求項1に記載の電力用半導体装置。
前記n型半導体層の前記ワイドギャップ半導体材料は酸化物および窒化物のいずれかであり、前記p型半導体層の前記材料は酸化物である、請求項1に記載の電力用半導体装置。
前記p型半導体層の微結晶構造が有する結晶粒は、前記p型半導体層の膜厚方向において、前記p型半導体層の平均膜厚の半分よりも小さい結晶サイズを有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
前記p型半導体層と前記n型半導体層との界面から距離200nmの範囲において、前記p型半導体層の微結晶構造が有する結晶粒は、前記p型半導体層の膜厚方向において、100nmよりも小さい結晶サイズを有している、請求項1から4のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0017】
<実施の形態1>
(構成)
図1は、本実施の形態1におけるショットキーバリアダイオード10(電力用半導体装置)の構成を概略的に示す断面図である。ショットキーバリアダイオード10は、n型酸化ガリウム基板1(単結晶基板)と、n型酸化ガリウム層1a(n型半導体層)と、カソード電極2と、アノード電極3(電極)と、p型Cu
2O層4A(p型半導体層)と、絶縁層5とを有している。
図2は、ショットキーバリアダイオード10において、n型酸化ガリウム層1a上でのp型Cu
2O層4Aの配置を概略的に示す平面図である。なおこの平面図においては、図を見やすくするために、p型Cu
2O層4Aにハッチングが付されている。
【0018】
n型酸化ガリウム基板1は半導体単結晶基板である。n型酸化ガリウム基板1は、第1の面(図中、上面)と、第2の面(図中、下面)とを有している。n型酸化ガリウム基板1は、より好ましくはβ−Ga
2O
3からなる。酸化ガリウム半導体は、結晶中の酸素欠損によりn型の伝導性を示す。このため、n型酸化ガリウムは、必ずしもn型不純物(ドナー)を含まなくてもよいが、シリコン(Si)または錫(Sn)などのn型不純物を含んでもよい。すなわち、n型酸化ガリウム基板1は、酸素欠損のみでn型の伝導性を示すもの、n型不純物のみでn型の伝導性を示すもの、あるいは酸素欠損とn型不純物との両方でn型の伝導性を示すもののいずれであってもよい。n型酸化ガリウム基板1のn型キャリア濃度は、酸素欠損の濃度とn型不純物の濃度との合計であり、例えば1×10
17cm
−3〜1×10
19cm
−3程度である。
【0019】
n型酸化ガリウム層1aは、n型酸化ガリウム基板1の上面上に設けられたエピタキシャル層である。n型半導体層1aは単結晶構造を有している。n型酸化ガリウム層1aの材料である酸化ガリウムは、ワイドギャップ半導体材料であり、特に、金属元素を含有するワイドギャップ半導体材料である。ここで「ワイドギャップ」とは、SiCのバンドギャップ以上のバンドギャップのことを意味する。なお、n型半導体層のバンドギャップは、好ましくはSiCのバンドギャップよりも大きく、より好ましくはGaNのバンドギャップよりも大きい。ショットキーバリアダイオード10の耐圧を高めるためには、n型酸化ガリウム層1aのn型キャリア濃度は、n型酸化ガリウム基板1のn型キャリア濃度よりも低いことが好ましく、例えば1×10
14cm
−3〜1×10
17cm
−3程度である。
【0020】
p型Cu
2O層4Aはn型酸化ガリウム層1a上に設けられている。p型Cu
2O層4Aの材料であるCu
2Oは、上記ワイドギャップ半導体材料とは異なる金属酸化物材料、特にCuまたはNiを含有する材料、として本実施の形態において用いられているものである。よってn型半導体層1aおよびp型Cu
2O層4Aはヘテロpn接合を形成している。p型Cu
2O層4Aとn型酸化ガリウム層1aとの間の障壁は、電子側からみて1.2eV以上である。
【0021】
p型Cu
2O層4Aにおいては、Cu原子の3d軌道が、ホール伝導を担う価電子帯上端を形成している。Cu欠損に起因して正孔が発現することによって、p型の伝導性が付与されている。また、窒素などの不純物を添加することによって、p型の伝導度が制御されてもよい。p型Cu
2O層4Aのキャリア濃度は、n型酸化ガリウム層1aのキャリア濃度よりも高いことが好ましく、例えば1×10
18cm
−3〜1×10
20cm
−3程度である。またp型Cu
2O層4Aの厚みは、例えば10nm〜500nm程度である。
【0022】
p型Cu
2O層4Aは、微結晶構造(“microcrystalline structure”)およびアモルファス構造のいずれかを有している。ここで「微結晶構造」とは、数nm以上数μm以下程度のサイズの多数の結晶粒を有する構造のことである。これら結晶粒の間にアモルファス相が存在していてもよい。典型的には、結晶粒のサイズは膜厚方向において100nm程度以下である。微結晶構造またはアモルファス構造が用いられることによって、n型酸化ガリウム層1aの任意の結晶面に対して、安定的なpn接合特性を維持することができる。仮に、単結晶構造を有するn型半導体層であるn型酸化ガリウム層1aの結晶面上におけるエピタキシャル成長によって、p型半導体層として良質なp型単結晶層を得ようとしたとすると、格子整合への配慮が必要となる。このため、適用可能な材料および組成が限定される。よって、導電性に優れ、かつpn接合の障壁高さを適切なものとすることができる材料を適用することができるとは限らない。また、p型半導体層が形成されることになるn型単結晶層の表面の結晶方位は、求められるデバイス性能等によっては特定のものであることが求められる。よって、p型単結晶層のエピタキシャル成長に適した結晶方位を用いることができるとは限らない。また、n型半導体層上にトレンチ構造またはメサ構造などの凹凸形状が形成される場合、この凹凸形状に起因して、良好な単結晶を成長させることができないこともある。これに対し、p型半導体層が微結晶構造またはアモルファス構造を有していれば、任意の結晶方位および形状を有するn型半導体層上にp型半導体層を、安定的なpn接合特性が得られるように形成することができる。このpn接合を用いて電力用半導体装置中の電界を緩和する構造を設けることによって、高耐圧構造を得ることができる。
【0023】
好ましくは、p型Cu
2O層4Aが微結晶構造を有する場合においてその結晶粒の結晶サイズはp型Cu
2O層4Aの膜厚方向(
図1における縦方向)においてp型Cu
2O層4Aの平均膜厚よりも小さい。特にp型Cu
2O層4Aの成長においては、結晶核からの柱状成長が生じやすくなることから、膜厚方向における結晶サイズが過大にならないよう配慮されることが好ましい。結晶サイズが膜厚方向において平均膜厚以上であると、結晶粒がn型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間でp型Cu
2O層4Aを貫通しやすくなる。すなわち、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間をつなぐ、粒界に沿った電流経路が存在しやすくなる。よって、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間で、粒界に沿った電流が流れやすくなる。その結果、逆方向バイアス時においてリーク電流が増加してしまう。逆に、結晶サイズが膜厚方向において平均膜厚未満であると、結晶粒がn型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間でp型Cu
2O層4Aを貫通しにくくなる。すなわち、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間をつなぐ、粒界に沿った電流経路が存在しにくくなる。よって、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間で、粒界に沿った電流が流れにくくなる。その結果、逆方向バイアス時においてリーク電流が抑制される。これにより耐圧を高めることができる。
【0024】
より好ましくは、結晶サイズはp型Cu
2O層4Aの膜厚方向においてp型Cu
2O層4Aの平均膜厚の半分よりも小さいことが望ましい。結晶サイズが膜厚方向において平均膜厚の半分以上であると、p型Cu
2O層4A中において1対の結晶粒が膜厚方向に沿ってつながっている場合に、この1対の結晶粒がn型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間でp型Cu
2O層4Aを貫通しやすくなる。すなわち、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間をつなぐ、粒界に沿った電流経路が存在しやすくなる。よって、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間で、粒界に沿った電流が流れやすくなる。その結果、逆方向バイアス時においてリーク電流が増加してしまう。逆に、結晶サイズが膜厚方向において平均膜厚の半分未満であると、p型Cu
2O層4A中において1対の結晶粒が膜厚方向に沿ってつながっている場合においても、この1対の結晶粒がn型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間でp型Cu
2O層4Aを貫通しにくくなる。すなわち、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間をつなぐ、粒界に沿った電流経路が存在しにくくなる。よって、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3との間で、粒界に沿った電流が流れにくくなる。その結果、逆方向バイアス時においてリーク電流が抑制される。これにより耐圧を高めることができる。
【0025】
また好ましくは、p型Cu
2O層4Aとn型半導体層1aとの界面から距離200nmの範囲において、微結晶構造が有する結晶粒は、p型Cu
2O層4Aの膜厚方向において、100nmよりも小さい結晶サイズを有している。これにより、空乏層が特に広がりやすい範囲において結晶サイズが小さくされる。
【0026】
アノード電極3は、本実施の形態においては、n型酸化ガリウム層1aおよびp型Cu
2O層4Aの各々の上に設けられている。言い換えれば、アノード電極3は、n型酸化ガリウム層1aおよびp型Cu
2O層4Aの各々の上に接触している。アノード電極3はn型酸化ガリウム層1aにショットキー接合されている。アノード電極3をn型酸化ガリウム層1aにショットキー接合するため、アノード電極3の材料は、n型酸化ガリウム層1aの仕事関数よりも大きな仕事関数を有する金属材料である。さらに、アノード電極3の材料は、アノード電極3がp型Cu
2O層4Aにオーミック接合されるように選択されることが好ましい。金属材料としては、例えば、例えば、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、金(Au)、またはパラジウム(Pd)が用いられる。
【0027】
アノード電極3は積層構造を有していてもよい。例えば、p型Cu
2O層4Aとのオーミック接合に適した金属材料をp型Cu
2O層4A上に堆積することによって第1の層が形成された後に、n型酸化ガリウム層1aとのショットキー接合に適した金属材料を堆積することによって、第1の層とn型酸化ガリウム層1aとの各々に接触する第2の層が形成されてもよい。あるいは、n型酸化ガリウム基板1とp型Cu
2O層4Aとに接触する第1の層が酸化されやすい金属材料によって形成され、第1の層上に酸化されにくい金属材料からなる第2の層が形成されてもよい。例えば、n型酸化ガリウム基板1とp型Cu
2O層4Aとに接触する第1の層がNiで形成され、その上に第2の層がAuまたはAgで形成されてもよい。
【0028】
p型Cu
2O層4Aは、n型酸化ガリウム層1a上において開口を有するガードリング領域4gを構成している。ガードリング領域4gは、n型酸化ガリウム層1aとアノード電極3とのショットキー接合部に隣接してその周囲に配置されている。この構成によって、アノード電極3に高電圧がかかった際に、アノード電極3とn型酸化ガリウム層1aとのショットキー接合部の外周端からn型酸化ガリウム層1a中へ空乏層が広がる。これにより外周端近傍での電界が緩和される。よって、逆方向電圧バイアスに対する高耐圧化が実現される。
【0029】
絶縁層5は、p型Cu
2O層4Aが設けられたn型酸化ガリウム層1a上に配置されている。すなわち、絶縁層5は、p型Cu
2O層4A上の部分と、n型酸化ガリウム層1a上の部分とを有している。絶縁層5は、ガードリング領域4gの開口を包含する開口を有している。絶縁層5の開口端は、ガードリング領域4g上に配置されている。アノード電極3の一部、具体的には端部、は絶縁層5上に配置されている。アノード電極3の端部のうちガードリング領域4gよりも外側に位置する部分は、絶縁層5を介してn型酸化ガリウム層1a上に配置されることによって、フィールドプレート構造を構成している。フィールドプレート構造によって、ショットキーバリアダイオード10の逆方向耐圧が向上される。
【0030】
絶縁層5の材料は、n型半導体層としてのn型酸化ガリウム層1aの材料であるGa
2O
3のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有していることが好ましい。また絶縁層5の材料は、n型酸化ガリウム基板1の材料であるGa
2O
3の絶縁破壊限界よりも大きな絶縁破壊限界を有するものが好ましい。絶縁層5の材料は、例えば、二酸化ケイ素(SiO
2)、窒化シリコン(SiN)、または酸化アルミニウム(Al
2O
3)である。絶縁層5の厚みは数100nm程度であってよく、例えば200nm〜400nm程度である。
【0031】
カソード電極2は、n型酸化ガリウム基板1の下面上に全体的にまたは部分的に設けられている。カソード電極2はn型酸化ガリウム基板1にオーミック接合されている。これにより、カソード電極2は、電気的にみればn型酸化ガリウム層1aにオーミック接続されている。カソード電極2をn型酸化ガリウム基板1にオーミック接合するためには、カソード電極2の材料が、n型酸化ガリウム基板1の材料の仕事関数よりも小さい仕事関数を有する金属材料であることが好ましい。またカソード電極2の材料は、n型酸化ガリウム基板1の下面上にカソード電極2を堆積した後の熱処理によってn型酸化ガリウム基板1とカソード電極2との接触抵抗が小さくなる金属材料であることが好ましい。このような金属材料として、例えばチタン(Ti)が用いられる。また、カソード電極2は積層構造を有していてもよい。積層構造において、n型酸化ガリウム基板1の下面に接触する層が酸化されやすい材料からなる場合には、この層の上に酸化されにくい材料からなる層が配置されることが好ましい。例えば、積層構造は、n型酸化ガリウム基板1上に接触するTi層と、その上に配置された金(Au)層または銀(Ag)層とを有していてもよい。
【0032】
(製造方法)
図3は、ショットキーバリアダイオード10の製造方法を概略的に示すフロー図である。
図4〜
図6は、ショットキーバリアダイオード10の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【0033】
図4を参照して、まずn型酸化ガリウム基板1が準備される。n型酸化ガリウム基板1は、例えば、融液成長法で作製されたβ−Ga
2O
3の単結晶バルクから基板状に切り出されることによって得られる。次にn型酸化ガリウム基板1の上面上にn型酸化ガリウム層1aが形成される。このためのエピタキシャル成長は、例えば、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法またはハライド気相エピタキシー(HVPE:Halide Vapor Phase Epitaxy)法によって行われる。これによりn型酸化ガリウムのエピタキシャル基板が得られる。
【0034】
次に、ステップS100(
図3)にて、n型酸化ガリウム基板1の下面上にカソード電極2が形成される。このための金属材料の堆積は、蒸着法またはスパッタリング法によって行われてもよい。例えば、電子ビーム蒸着(EB蒸着)を用いて100nm厚のTi層と300nm厚のAg層とを順に堆積することによって、2層構造のカソード電極2が形成される。
【0035】
次に、ステップS101(
図3)にて、カソード電極2の熱処理が行われる。例えば、窒素雰囲気または酸素雰囲気中、550℃、5分間の熱処理が行われる。その結果、n型酸化ガリウム基板1とカソード電極2とがオーミック接合される。
【0036】
図5を参照して、次に、ステップS102にて、n型酸化ガリウム層1a上にp型Cu
2O層4Aが成膜される。この成膜は、例えば、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O
2)ガスと窒素(N
2)ガスとの混合ガス中でのCuターゲットを用いたスパッタリング法、または、ArガスとN
2との混合ガス中でのCu
2Oターゲットを用いたスパッタリング法により行われる。混合ガス中のN
2分圧が高くされると、p型Cu
2O層4Aのキャリア濃度が高くなることによってp型伝導性が高められる。逆に混合ガス中のN
2分圧が低くされると、p型Cu
2O層4Aのキャリア濃度が低くなることによってp型伝導性が小さくされる。なおスパッタ法に代わり、反応性プラズマ成膜(RPD:Reactive Plasma Deposition)法またはイオンプレーティング法など、他の方法が用いられてもよい。
【0037】
p型Cu
2O層4Aは、前述したように、微結晶構造またはアモルファス構造を有するように形成される。上記成膜時に基板温度を制御することによって、微結晶構造の結晶サイズを制御することができる。例えば600℃以上の基板温度を用いると、結晶サイズは0.8μm〜1μm程度となる。通常、より小さな結晶サイズを有する微結晶構造、またはアモルファス構造が望ましいことから、基板温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下とされる。なおp型半導体層の材料としてCu
2Oを用いる場合はアモルファス成分が明確に観測されないが、NiOなどの他の酸化物材料を用いる場合、基板温度を低くすることによって、アモルファス構造が観測される半導体層を形成することができる。
【0038】
上記成膜後、p型Cu
2O層4Aはフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程によってパターニングされ得る。エッチング工程としてウェットエッチング法が用いられる場合、エッチング液として例えばバッファードフッ酸を用いることができる。エッチング工程としてドライエッチング法が用いられる場合、例えばArまたはヘキサフルオロアセチルアセトンを含むガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法を用いることができる。
【0039】
なおp型半導体層としてCu
2O層に代わり他の金属酸化物層が用いられる場合は、上述したCuターゲットまたはCu
2Oターゲットに代わり、NiターゲットまたはNiOターゲットなど、他の金属ターゲットまたは金属酸化物ターゲットが用いられればよい。
【0040】
図6を参照して、次に、ステップS103にて、p型Cu
2O層4Aが部分的に設けられたn型酸化ガリウム基板1の上面上に、絶縁層5が成膜される。この成膜は、例えば、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などによって行われる。
【0041】
上記成膜後、絶縁層5はフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程によってパターニングされ得る。エッチング工程としてウェットエッチング法が用いられる場合、エッチング液として例えばバッファードフッ酸を用いることができる。エッチング工程としてドライエッチング法が用いられる場合、例えばCF
4および酸素の混合ガスを用いたRIE法を用いることができる。この混合ガスを用いたRIE法においては、p型Cu
2O層4Aのエッチングレートが絶縁層5のエッチングレートと比べて小さい。このため、絶縁層5の不要部分を除去しつつ、p型Cu
2O層4Aのうちこの不要部分の直下に位置する部分が残るようにエッチングを停止させることが容易に行える。
【0042】
再び
図1を参照して、最後に、ステップS104にて、アノード電極3が形成される。例えば、p型Cu
2O層4Aが設けられたn型酸化ガリウム層1a上に、蒸着法またはスパッタリング法によって金属材料が堆積される。アノード電極3は、前述したように、n型酸化ガリウム層1aにショットキー接合され、p型Cu
2O層4Aにオーミック接合される。アノード電極3となる金属材料は、n型酸化ガリウム層1aの仕事関数よりも大きな仕事関数を有するものである。例えば、EB蒸着を用いて100nm厚のPt層と300nm厚のAu層とを順に堆積することによって、2層構造のアノード電極3が形成される。アノード電極3のパターニングはリフトオフ法によって行われることが好ましい。すなわち、アノード電極3となる金属材料を堆積する前にあらかじめ、フォトリソグラフィーによってレジストパターンが形成され、金属材料の堆積後にレジストパターンの剥離によってパターニングが行われることが好ましい。以上により、ショットキーバリアダイオード10が得られる。
【0043】
(変形例)
以上の説明においてはn型半導体層としてn型酸化ガリウム層1aが用いられているが、酸化ガリウム以外のワイドギャップ半導体材料を用いることもできる。好ましくは、ワイドギャップ半導体材料として、ガリウム元素を含有する酸化物、および、アルミニウム元素を含有する材料の少なくともいずれかが用いられる。ワイドギャップ半導体材料としてAl
(1−x)Ga
XN(1>x≧0)などの窒化物を用いることもできる。この場合、Alと窒素との強い結合によって、例えば600℃以上程度の高温に加熱されることがなければ、酸化による劣化が進まない。このためn型半導体層が、酸化物からなるp型半導体層と良好なpn接合を形成することができる。
【0044】
また、p型半導体層としてp型Cu
2O層4Aが用いられているが、Cu
2O以外の金属酸化物半導体が用いられてもよく、例えばNiOが用いられてもよい。またp型半導体層には不純物が添加されていてもよい。特にn型半導体層が酸化物または窒化物からなる場合、p型半導体層が酸化物半導体からなることによって、良質で安定なpn接合を形成することができる。ただしp型半導体層の材料は、n型半導体層とアノード電極とで形成されるショットキー接合の障壁高さよりも高い障壁高さを有するpn接合が形成されるように選択されることが望ましい。具体的には、電子側から見て1.2eV以上の障壁高さを有するpn接合が形成されることが望ましい。
【0045】
また、n型半導体層が形成される基板としてn型酸化ガリウム基板1が用いられているが、酸化ガリウム以外の材料を用いることもできる。また、基板の材料は、その上に形成されるn型半導体層と必ずしも同じ材料である必要はない。例えば、n型半導体層としてのn型酸化ガリウム層1aが単結晶基板としてのサファイア基板上に形成されてもよく、この場合、n型半導体層と単結晶基板とはヘテロ接合をなす。なおサファイア基板が用いられる場合のように基板材料が絶縁体である場合は、カソード電極は、基板を介してではなく直接にn型半導体層に接続されればよい。
【0046】
(実施例)
本実施の形態が適用されたものである実施例のショットキーバリアダイオードの耐圧を測定したところ、1.2kV以上であった。一方、p型Cu
2O層4A、すなわちガードリング領域4g、を有しない比較例のショットキーバリアダイオードの耐圧を測定したところ、1.0kV程度であった。よって、p型半導体層としてのp型Cu
2O層4Aを用いてガードリング領域4gを設けることによって、ショットキーバリアダイオードの耐圧を高めることができることがわかった。
【0047】
(効果のまとめ)
本実施の形態またはその変形例によれば、p型半導体層の材料は、n型半導体層のワイドギャップ半導体材料とは異なっている。特に本実施の形態においては、n型半導体層としてn型酸化ガリウム層1aが設けられ、p型半導体層としてp型Cu
2O層4Aが設けられている。これにより、p型半導体層の材料として、n型半導体層の材料よりもp型を付与しやすい材料が選択されている。さらに、p型半導体層は、微結晶構造およびアモルファス構造のいずれかを有している。これにより、n型半導体層上にp型半導体層を、n型半導体層の表面の結晶構造および形状の影響を大きく受けることなく形成することができる。よってn型半導体層とp型半導体層とのヘテロ接合の特性が安定化される。以上から、ワイドギャップ半導体からなるn型半導体層上に、良好なpn接合を形成することができる。このpn接合を用いた構造を利用することによって、電力用半導体装置の耐圧を高めることができる。
【0048】
ワイドギャップ半導体材料としての、ガリウム元素を含有する酸化物(ガリウム系酸化物)材料は、典型的には、Al
2(1−x)Ga
2xO
3(1≧x>0)である。またワイドギャップ半導体材料としての、アルミニウム元素を含有する材料は、典型的には、Al
(1−x)Ga
XN(1>x≧0)およびAl
2(1−x)Ga
2xO
3(1>x>0)である。一般にこのような材料には、p型を付与することが非常に困難である。本実施の形態によれば、このような半導体材料からなるn型半導体層を用いた場合であっても、良好なpn接合を形成することができる。なおここで、「ガリウム元素を含有する」とは、半導体材料の母材自体がガリウム元素を含有することを意味し、言い換えれば、ガリウム元素を主成分の一部として含有することを意味する。同様に、「アルミニウム元素を含有する」とは、半導体材料の母材自体がアルミニウム元素を含有することを意味し、言い換えれば、アルミニウム元素を主成分の一部として含有することを意味する。
【0049】
また本実施の形態のようにp型半導体層の材料としてCu
2O、すなわち酸化物、が用いられる場合、n型半導体層のワイドギャップ半導体材料は酸化物であることが好ましい。これにより、酸化物間で良好なヘテロ接合を形成することができる。この理由は、n型半導体層上にp型半導体層としての酸化物層が形成される場合に、n型半導体層も酸化物であれば、p型半導体層からn型半導体層中への酸化の発生によってn型半導体層の半導体特性が劣化することが避けられるためである。
【0050】
好ましくは、微結晶構造が有する結晶粒は、p型半導体層の膜厚方向において、p型半導体層の平均膜厚よりも小さい結晶サイズを有している。これにより、単独の結晶粒がp型半導体層を貫通することが避けられる。よって、粒界を経路とする、望ましくないリーク電流が抑制される。これにより、例えば、ショットキーバリアダイオード10に対して逆方向バイアスが印加された際のリーク電流を低減することができる。
【0051】
好ましくは、微結晶構造が有する結晶粒は、p型半導体層の膜厚方向において、p型半導体層の平均膜厚の半分よりも小さい結晶サイズを有している。これにより、厚み方向に積み重なった2つの結晶粒がp型半導体層を貫通することが避けられる。よって、粒界を経路とする、望ましくないリーク電流が抑制される。これにより、例えば、ショットキーバリアダイオード10に対して逆方向バイアスが印加された際のリーク電流を低減することができる。
【0052】
好ましくは、p型半導体層とn型半導体層との界面から距離200nmの範囲において、p型半導体層の微結晶構造が有する結晶粒は、p型半導体層の膜厚方向において、100nmよりも小さい結晶サイズを有している。pn接合の界面近傍、特に距離200nm程度の範囲、は、電界が印加されやすい範囲である。よってこの範囲中で、結晶粒がp型半導体層の膜厚方向において、200nmの半分である100nmよりも小さい結晶サイズを有することが好ましい。これにより、厚み方向に積み重なった2つの結晶粒が当該範囲を貫通することが避けられる。よって、粒界を経路とする、望ましくないリーク電流が抑制される。これにより、例えば、ショットキーバリアダイオード10に対して逆方向バイアスが印加された際のリーク電流を低減することができる。より好ましくは、p型半導体層とn型半導体層との界面から距離100nmの範囲において、微結晶構造が有する結晶粒は、p型半導体層の膜厚方向において、50nmよりも小さい結晶サイズを有している。pn接合の界面近傍、特に距離100nm程度の範囲、は、電界が特に印加されやすい範囲である。よってこの範囲中で、結晶粒がp型半導体層の膜厚方向において、100nmの半分である50nmよりも小さい結晶サイズを有することが好ましい。これにより、厚み方向に積み重なった2つの結晶粒が当該範囲を貫通することが避けられる。よって、粒界を経路とする、望ましくないリーク電流が抑制される。これにより、例えば、ショットキーバリアダイオード10に対して逆方向バイアスが印加された際のリーク電流を低減することができる。
【0053】
好ましくは、p型半導体層は、CuまたはNiを含有しており、例えばCu
2OまたはNiOである。これにより、電気的特性に優れたpn接合を形成することができる。
【0054】
好ましくは、p型半導体とn型半導体層との間の障壁は、電子側からみて1.2eV以上である。このことについて、以下に説明する。
【0055】
Ptは一般的に最も大きな仕事関数を有している。よって電極材料としてPtを用いることによって、ショットキー電極の電子障壁高さを高くすることができる。特にPt/Ga
2O
3の電子障壁高さは1.15eV程度である。一方、ワイドギャップ半導体を用いた電力用半導体装置は、室温から200℃程度の高温までの温度範囲で動作されることが期待されている。言い換えれば、絶対温度300K〜500K程度の温度範囲での動作が期待されている。この温度範囲は、0.025〜0.043eV程度のエネルギーに対応する。よって、p型半導体とn型半導体層との間の電子障壁が、1.15+0.043=1.19eVよりも大きければ(すなわち1.2eV以上であれば)、電極によるショットキー障壁を利用した場合よりも効果的にリーク電流を抑制することができる。
【0056】
<実施の形態2>
(構成)
図7は、本実施の形態2におけるショットキーバリアダイオード20(電力用半導体装置)の構成を概略的に示す断面図である。
図8は、ショットキーバリアダイオード20において、n型酸化ガリウム層1a上でのp型Cu
2O層4B(p型半導体層)の配置を概略的に示す平面図である。なおこの平面図においては、図を見やすくするために、p型Cu
2O層4Bにハッチングが付されている。ショットキーバリアダイオード20は、実施の形態1におけるp型Cu
2O層4A(
図1および
図2)に代わり、p型Cu
2O層4Bを有している。p型Cu
2O層4Bは、実施の形態1で説明したガードリング領域4g(
図1および
図2)に加えて、MPS(Merged pn Schottky)領域4mを有している。MPS領域4mはガードリング領域4gの内側にガードリング領域4gから離れて配置されている。MPS領域4mとガードリング領域とは同心円状に配置されていてよい。図中では1つのMPS領域4mが示されているが、複数のMPS領域が設けられてもよい。各MPS領域の幅、MPS領域間の幅、MPS領域が配置されるピッチは、所望の耐圧および抵抗損失に応じて適宜決められてよい。なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0057】
本実施の形態によれば、p型Cu
2O層4BはMPS領域4mを含む。これにより、ショットキーバリアダイオード20はMPSダイオードとしての構造を有している。この構造は、MPS領域4mおよびn型酸化ガリウム層1aによるpnダイオード構造と、アノード電極3およびn型酸化ガリウム層1aによるショットキーダイオード構造とを有している。順方向バイアス電圧が高められていくと、ショットキーダイオード構造の電流が先に立ち上がる。このため抵抗損失が抑制される。また両方の構造を利用することによって大電流を流すことも可能である。逆方向バイアス電圧が印加されると、p型Cu
2O層4Bとn型酸化ガリウム層1aとの界面から広がる空乏層が、アノード電極3とn型酸化ガリウム層1aとのショットキー接合部の下方まで広がることによって、アノード電極3とn型酸化ガリウム層1aとの界面にかかる電界が緩和される。これにより、リーク電流を低減し耐圧をさらに向上させることができる。
【0058】
(製造方法)
図9および
図10の各々は、ショットキーバリアダイオード20の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。本実施の形態2のショットキーバリアダイオード20も、実施の形態1の
図3とほぼ同様のフローによって製造することができる。
【0059】
図9を参照して、実施の形態1の製造方法と異なる点は、ステップ102(
図3)において形成されるp型Cu
2O層4Bが、ガードリング領域4gだけでなくMPS領域4mを有することである。ガードリング領域4gおよびMPS領域4mは同時に形成されてもよく、その場合、実施の形態1との差異はパターンの形状のみである。あるいはガードリング領域4gおよびMPS領域4mは個別に形成されてもよい。すなわち、ガードリング領域4gおよびMPS領域4mの一方が成膜およびパターニングによって形成された後に他方が再度の成膜およびパターニングによって形成されてもよい。この場合、ガードリング領域4gの成膜条件と、MPS領域4mの成膜条件とを相違させることができる。これにより、ガードリング領域4gおよびMPS領域4mの各々の物性を個別に最適化することができる。
【0060】
図10を参照して、次に、実施の形態1の
図6の工程とほぼ同様の方法によって、絶縁層5が形成される。その後の工程は実施の形態1と同様である。
【0061】
<実施の形態3>
(構成)
図11は、本実施の形態3におけるショットキーバリアダイオード30(電力用半導体装置)の構成を概略的に示す断面図である。
図12は、ショットキーバリアダイオード30において、n型酸化ガリウム層1a上でのp型Cu
2O層4C(p型半導体層)の配置を概略的に示す平面図である。なおこの平面図においては、図を見やすくするために、p型Cu
2O層4Cにハッチングが付されている。ショットキーバリアダイオード30は、実施の形態1におけるp型Cu
2O層4A(
図1および
図2)に代わり、p型Cu
2O層4Cを有している。
【0062】
ショットキーバリアダイオード30において、アノード電極3のうち絶縁層5上に位置する端部は、絶縁層5を介してn型酸化ガリウム層1a上に配置されることによって、フィールドプレート構造を構成している。フィールドプレート構造によってショットキーバリアダイオード10の逆方向耐圧が向上される。
【0063】
p型Cu
2O層4CはFLR領域4fを有している。FLR領域4fはフィールドプレート構造の外周に配置されている。FLR領域4fは、アノード電極3から離れており、フローティング状態とされている。FLR領域4fによる電界緩和によって、ショットキーバリアダイオード30の高耐圧化を実現することができる。
【0064】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0065】
(製造方法)
図13および
図14の各々は、ショットキーバリアダイオード30の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。本実施の形態3のショットキーバリアダイオード30も、実施の形態1の
図3とほぼ同様のフローによって製造することができる。
【0066】
図13を参照して、実施の形態1の製造方法と異なる点は、ステップ102(
図3)において形成されるp型Cu
2O層4Cが、ガードリング領域4gに代わりFLR領域4fを有することである。
図14を参照して、次に、絶縁層5がFLR領域4fを覆うように形成される。その後の工程は実施の形態1と同様である。
【0067】
(変形例)
ショットキーバリアダイオード30へ、実施の形態1のショットキーバリアダイオード10(
図1)が有するガードリング領域4gが付加されてもよい。あるいは、ショットキーバリアダイオード30へ、実施の形態2のショットキーバリアダイオード20(
図7)が有するガードリング領域4gおよびMPS領域4mが付加されてもよい。
【0068】
<実施の形態4>
(構成)
図15は、本実施の形態4におけるpnダイオード40(電力用半導体装置)の構成を概略的に示す断面図である。
図16は、pnダイオード40において、n型酸化ガリウム層1a上でのp型Cu
2O層4D(p型半導体層)の配置を概略的に示す平面図である。なおこの平面図においては、図を見やすくするために、p型Cu
2O層4Dにハッチングが付されている。pnダイオード40は、p型Cu
2O層4C(
図11および
図12)に代わりp型Cu
2O層4Dを有している。p型Cu
2O層4Dは、実施の形態3で説明したFLR領域4f(
図11および
図12)に加えて、アノード領域4jを有している。
【0069】
本実施の形態においては、アノード電極3はp型Cu
2O層4Dのアノード領域4jにオーミック接続されている。またアノード電極3は、n型酸化ガリウム層1aとのショットキー接合を有していない。すなわちpnダイオード40は、pnダイオード構造を有する一方で、ショットキーバリアダイオード構造を有しない。ダイオード構造としてpnダイオード構造のみを用いることによって、順方向バイアス時に、単位面積当たり、より大きな電流を流すことができる。また逆方向バイアス時にリーク電流を抑えることができる。よってダイオードの耐圧を高めることができる。
【0070】
pnダイオード40の電流はアノード領域4jを通過する必要がある。このため、アノード領域4jの膜厚および導電率は、pnダイオード40の抵抗損失特性およびリーク電流特性に大きく関わってくる。この観点で、好ましくは、アノード領域4jのキャリア濃度は18乗台以上であり、厚みは10nm以上500nm以下である。膜厚が小さ過ぎるかまたはキャリア濃度が低過ぎると、アノード領域4jが完全空乏化するため、リーク電流を抑制することができない。膜厚が大き過ぎると、抵抗損失が過度に大きくなる。アノード領域4jは、微結晶構造またはアモルファス構造を有する領域であることから、単結晶構造の場合に比して、低いキャリア移動度を有している。このため、アノード領域4jの膜厚の増加にともなって、pnダイオード40の抵抗損失が増大しやすい。キャリア移動度の低さを補うために、アノード領域4jは18乗台以上のキャリア濃度を有することが好ましい。微結晶構造またはアモルファス構造を有するCu
2O層(またはNiO層)が用いられる場合、19乗台以上のキャリア濃度を容易に得ることができる。よって抵抗損失を容易に抑えることができる。
【0071】
一方で、アノード領域4jの外周に配置されたFLR領域4fは、電気的にフローティング状態にあり、pnダイオード40の電流経路ではない。よってFLR領域4fはpnダイオード40の抵抗損失に直接は関わらない。このため、FLR領域4fのキャリア濃度をアノード領域4jのキャリア濃度とは異なるものとすることによって、電界緩和が最適に行われるようにしてもよい。また複数のFLR領域4f間でキャリア濃度が異なっていてもよい。例えば、より外側に配置されたFLR領域4fほど低いキャリア濃度を有してもよい。
【0072】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0073】
(製造方法)
図17および
図18の各々は、pnダイオード40の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。本実施の形態4のpnダイオード40も、実施の形態1の
図3とほぼ同様のフローによって製造することができる。
【0074】
図17を参照して、実施の形態3の製造方法と異なる点は、ステップ102(
図3)において形成されるp型Cu
2O層4Dが、FLR領域4fに加えてアノード領域4jを有することである。
図18を参照して、次に、絶縁層5が、FLR領域4fの全体と、アノード領域4jの外周部とを覆うように形成される。その後の工程は実施の形態1とほぼ同様である。
【0075】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。