(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667906
(24)【登録日】2020年2月28日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】足袋スリッパ
(51)【国際特許分類】
A43B 3/10 20060101AFI20200309BHJP
A43B 7/00 20060101ALI20200309BHJP
A43B 13/14 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
A43B3/10 H
A43B7/00
A43B13/14 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-27200(P2018-27200)
(22)【出願日】2018年2月19日
(65)【公開番号】特開2019-141251(P2019-141251A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211569
【氏名又は名称】中松 義郎
(72)【発明者】
【氏名】中松 義郎
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−066607(JP,U)
【文献】
実公昭12−005909(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3199282(JP,U)
【文献】
特開2005−144016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/10
A43B 7/00
A43B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に親指に対応した第1アッパー部と他の指に対応した第2アッパー部を有し、前記第1アッパー部と前記第2アッパー部は、つま先に向けて両者間の間隔が広くなる二股状の二股部が形成されたカカトが高い足袋スリッパであって、一の足袋スリッパ(右用)の履き口に他の足袋スリッパ(同じく右用)の前部を挿入したときに、一の足袋スリッパの二股部の内側に他の足袋スリッパの二股部が入れ子状に重なるように前記二股部が形成されカカトが高いことを特徴とする足袋スリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリッパに関し、特に、足袋のように前部を二股とした足袋スリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
簡易な履物としてスリッパが知られている。
公知のスリッパは、
図1に示すように、足指の全部を一体カバーするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、公知のスリッパは、以下のような問題があった。
公知のスリッパは足指がくっついているのでムレやすいという欠点があった。また公知のスリッパは、歩いているときなどに
図1の矢印のように脱げやすいという問題があった。
これは公知のスリッパは、足指自体の外側のみの摩擦で支えている事によるものであり、更にこの外側のサイズがフリーサイズであることにも起因する。
つまり、サイズが統一的であるため、そのサイズが利用者によっては大きすぎる場合があるからである。
特に、公知のスリッパは、多くの利用者が履けるよう、平均的サイズよりもやや大きめに作られていることが多い。
このため、公知のスリッパは、歩行中に脱げ易く、歩きづらく、従って歩行の際には疲れ易い問題もあった。
また、公知のスリッパは、足指が冷えやすいなどの問題もあった。
【0004】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、前部を二股にした足袋スリッパの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の足袋スリッパは、前部を二股とする事により解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ムレ無い事、歩行中に脱げ易く、歩き易く、暖かく、外反母趾にならない事、外反母趾になった人も痛くなく楽に歩ける事。足裏のツボを押せる、など健康増進に役立ち、又、格納性にも優れ、且つコストアップしない履物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の足袋スリッパを示す図面であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
【
図5】本願発明の他の実施例 足裏ツボ押しの側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の足袋スリッパの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図2は、本発明の足袋スリッパの六面図である。
図2に示すように本発明の足袋は、足裏に対応したソール部1と、二股に分かれた足の指先部や甲部分を覆うアッパー部2のみによって構成されており、前部(指先部)を二股にした特徴的な形状を有している。
ソール部1には、ゴムやフェルトなどの滑りにくい部材を用い、アッパー部2には、布地などのフィット性や通気性に優れた部材を用いることが好ましい。
アッパー部2は、親指に対応した第1アッパー部21と、人差し指を含む残りの指に対応した第2アッパー部22とから構成され、これらを縫合することで、指先部が二股になるようにすると、本発明製品の製造を容易にする事が出来る。ただし21と22を縫合せず、あらかじめ一体のものとした場合も本発明に含まれる。
ソール部1は、アッパー部2の形状に対応した形状からなり、周縁部が、アッパー部2と縫合されている。
このような構造の足袋スリッパは、二股部3を親指と人差し指で挟むようにして履くことになる。
このため、足袋スリッパを履いた状態では、人の足指とスリッパの接触面積が広くスリッパと一体感が増すことから、歩いても脱げにくい効果を奏する。
【0010】
前記のごとく親指全体が第1アッパー部21により包み込まれるとともに、人差し指の親指側側面も第2アッパー部22が触れた状態で覆われることになるので、足指に対する布地の接触面が多く、足指が冷えにくく、暖かくすることができ、例えば、冬場や寒冷地でも、しもやけになりにくい。
【0011】
また、足袋スリッパは、親指部が独立しているため、特に親指の床に対する接地性が良い。
このため、歩行の際、床に対する踏ん張りがきくため、歩き易く、長時間の歩行でも疲れにくい。
【0012】
また親指が他の指と分離しているので、ムレにくい。
【0013】
また外反母趾で、つま先の裏が硬くなり歩くのがつらい人に対し、本発明は足裏にかかる圧力を分散するので快適な歩行が出来る。
【0014】
さらに、足袋スリッパは、格納性に優れた側面を有している。
例えば、公知のスリッパを片付ける場合、あるスリッパの履き口に他のスリッパの前部を挿入するなどして、重ねて格納することが多い。
ただし、この場合、一方のスリッパの外側面と他方のスリッパの内側面との接触(摩擦)によってある程度の結合性は保てるものの、数多くのスリッパを重ねたときに結合性が保てず外れ易い。
これに対し、本発明の足袋スリッパの場合、一の足袋スリッパ(例えば右用)の二股部3の内側に対しても、他の足袋スリッパ(同じく右用)の二股部3が入れ子状に重なるため、より多くの接触面を介して重ねることができるので、縦に収納してもズリ落ちない。
また、このとき、他の足袋スリッパの二股部3の間に、一の足袋スリッパの二股部3を楔(くさび)のように入り込ませることができる。
このため、足袋スリッパを多数重ねた場合でも、足袋スリッパ同士の結合度が高く、外れにくいため、極めて高い格納性を発揮することができる。
【0015】
図3は本発明他の実施例ハイヒールをなす。本発明
図2とコンセプトは同じであるが、高いカカト4を設けた外出用としたものである。その先端を21、22のごとく別れて3を形成していることにより足指の先端にかかる圧力を広い面で受けて分散している事により、外反母趾を防止することが出来る。
図4は
図3の上面図である。
【0016】
図5は
図3のハイヒール4の代わりにローヒール5とし、ソール1をショートソール11とし、アッパー2をミドルアッパー23とした本発明の他の実施例であり、この構造により歩くたびに足裏のツボ7を矢印のごとく押し、健康増進に役立つ本発明である。
図6は
図5の上面図である。
【0017】
図7はカカト部にヒモなどストッパ8を設けた本発明実施例で、これにより歩く時、足がパカパカする事がない。
【0018】
尚、ストッパ8はひもでもベルトでもよく、結んだり、ビジョウで留めたり、長さ調整部を設けてもよい。
図8は
図7の上面図である。
【0019】
図9は従来多くの女性が悩んでいる外反母趾に本発明がなぜ効果があるかの説明図で、
図9(a)図は公知のハイヒールを履いて、多くの女性が悩んでいる外反母趾9が発生する説明である。
図9(b)図は本発明ハイヒール又はスリッパが外反母趾を防止する又はすでに外反母趾になった人の症状をやわらげる本発明の理論の説明である。本発明は二肢部3が開くようになっているので足指が30の方向に開く。又、本発明アッパー部2の左右から足に力10が左右からかかり、五本の指が使え、横アーチを形成するので、人間本来の健康的歩行が出来、外反母趾にならない大きな効果が本発明にあり、又、外反母趾になった人も痛がらずに歩け、楽になるのが本発明の効果である。
【0020】
尚、本発明の名称や特許請求の範囲がスリッパとなっているが、本発明は室内履物のみならず前記
図3〜
図8に示した本発明実施例で述べた屋外用ハイヒールやその他の履物も本発明に含まれるものである。
以上、本発明の足袋スリッパの実施形態の数例について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
例えば、上述の実施形態では、親指と人差し指を分ける二股形状のものについて例示したが、二股部3を中央付近に設けるなどして全体を左右対称の形状にすることもできる。
これにより、足袋スリッパを左右問わず重ねても結合度高く格納することができる。
また、いわゆる前部のみならず、後部にも二股部3を設けた場合も本発明に含まれる。
これにより、足袋スリッパの向きを前後交互に変えて重ねる場合でも結合度高く格納することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、従来に無い履物でかつ前記のごとく、多くの利点があるので家庭のみならず、工場、事務所、病院等産業上の利用可能性がある。
下記は、本願の出願当初に記載されていた発明である。
<請求項1>
前部を二股にしたことを特徴とする足袋スリッパ。
【符号の説明】
【0022】
1 ソール部
11 スマートソール
2 アッパー部
21 第1アッパー部
22 第2アッパー部
23 ミドルアッパー
3 二股部
30 二股部により左右に拡げて力を分散する方向
4 ハイヒールかかと
5 ローヒールかかと
6 足
7 足裏ツボ
8 ひも等足おさえ
9 外反母趾部
10脚の左右を押す方向