特許第6667939号(P6667939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667939
(24)【登録日】2020年2月28日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】転圧機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/23 20060101AFI20200309BHJP
【FI】
   E01C19/23
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-206089(P2014-206089)
(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公開番号】特開2016-75079(P2016-75079A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509198653
【氏名又は名称】株式会社トライテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】特許業務法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑 田 直 人
(72)【発明者】
【氏名】大 竹 正 志
(72)【発明者】
【氏名】端 孝 之
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 圭 祐
(72)【発明者】
【氏名】梶 原 泰 樹
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−239287(JP,A)
【文献】 特開2005−062083(JP,A)
【文献】 特開2007−064853(JP,A)
【文献】 特開平09−243365(JP,A)
【文献】 特開平11−323895(JP,A)
【文献】 特開2005−091298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/23−19/29
E02D 17/18
G01C 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の路床、路盤、舗装を締固める転圧作業を行う転圧機械(100)であって、転圧作業測位衛星(200)から位置情報を受信する衛星情報受信装置(3)と、トータルステーション(300)から位置情報を受信するトータルステーション位置情報受信装置(4)と、転圧機械の移動方向を検出する方向用慣性センサ(1A)および転圧機械の走行装置(8)の角速度を検出する角速度用慣性センサ(1B)と、前記方向用慣性センサ(1A)および角速度用慣性センサ(1B)からの信号を受信する慣性センサ受信装置(5)と、前記衛星情報受信装置(3)と前記トータルステーション位置情報受信装置(4)と前記慣性センサ受信装置(5)からの情報に基づいて位置および移動軌跡を決定する機能を有する制御装置(20)を有する転圧機械(100)において、
前記制御装置(20)は、
衛星情報受信装置(3)によって受信した(S1)測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以上であるか否かを判断し(S4)、前記受信レベルが所定値以上あれば、測位衛星からの位置情報に基づき転圧機械の現在位置と移動軌跡とを緯度経度を用いた測地系で決定し(S5)、前記決定した現在位置と移動方向を記憶する(S9)機能を有し、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下の場合は、トータルステーション受信装置(4)によって受信した(S2)トータルステーション(300)からの位置情報を受信しているか否かを判断し(S6)、前記トータルステーション(300)からの位置情報を受信していれば、前記位置情報に基づいて転圧機械(100)の所在位置と移動軌跡とをトータルステーション(300)からの位置情報におけるローカル座標系において決定し、その際に前記ローカル座標系と前記緯度経度を用いた測地系とを一致させ(S7)、前記決定した現在位置と移動方向とを記憶する(S9)機能を有し、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下であり且つ前記トータルステーションからの位置情報が受信できない場合は、角速度用慣性センサ(1B)が検出した転圧機械(100)の速度に関する情報によりサイクルにおける転圧機械の移動距離を算出して、当該移動距離と方向用慣性センサ(1A)で検出した転圧機械(100)の移動方向(方位)により転圧機械(100)の現在位置を決定して移動軌跡を決定(S8)し、前記決定した現在位置と移動軌跡とを記憶する(S9)機能を有し、
転圧機械(100)の現在位置、移動軌跡を表示装置(6)に表示する機能を有していることを特徴とする転圧機械。
【請求項2】
道路の路床、路盤、舗装を締固める転圧作業を行う転圧機械(100)の制御方法であって、測位衛星(200)から位置情報を受信する衛星情報受信装置(3)と、トータルステーション(300)から位置情報を受信するトータルステーション位置情報受信装置(4)と、転圧機械の移動方向を検出する方向用慣性センサ(1A)および転圧機械の走行装置(8)の角速度を検出する角速度用慣性センサ(1B)と、前記方向用慣性センサ(1A)および角速度用慣性センサ(1B)からの信号を受信する慣性センサ受信装置(5)と、前記衛星情報受信装置(3)と前記トータルステーション位置情報受信装置(4)と前記慣性センサ受信装置(5)からの情報に基づいて位置および移動軌跡を決定する機能を有する制御装置(20)を有する転圧機械の制御方法において、
測位衛星(200)からの位置情報を衛星情報受信装置(3)によって受信する工程(S1)と、トータルステーション(300)からの位置情報をトータルステーション受信装置(4)によって受信する(S2)工程と、方向用慣性センサ(1A)からの移動方向に関する情報と角速度用慣性センサ(1B)からの速度に関する情報を慣性センサ受信装置(5)が受信する工程(S3)を有し、
測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以上であるか否かを判断し(S4)、前記受信レベルが所定値以上あれば、測位衛星からの位置情報に基づき転圧機械の現在位置と移動軌跡とを緯度経度を用いた測地系で決定し(S5)、前記決定した現在位置と移動方向を記憶し(S9)、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下の場合は、トータルステーション(300)からの位置情報を受信しているか否かを判断し(S6)、前記トータルステーション(300)からの位置情報を受信していれば、前記位置情報に基づいて転圧機械の所在位置と移動軌跡とをトータルステーション(300)からの位置情報におけるローカル座標系において決定し、その際に前記ローカル座標系と前記緯度経度を用いた測地系とを一致させ(S7)前記決定した現在位置と移動方向とを記憶し(S9)、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下であり且つ前記トータルステーション(300)からの位置情報が受信できない場合は、角速度用慣性センサ(1B)が検出した転圧機械(100)の速度に関する情報によりサイクルにおける転圧機械の移動距離を算出して、当該移動距離と方向用慣性センサ(1A)で検出した転圧機械(100)の移動方向(方位)により転圧機械(100)の現在位置を決定して移動軌跡を決定し(S8)、前記決定した現在位置と移動軌跡とを記憶し(S9)、転圧機械の現在位置、移動軌跡を表示装置(6)に表示することを特徴とする転圧機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事、例えば道路舗装工事で用いられるロードローラ、タイヤローラ等の転圧機械に関する。
【背景技術】
【0002】
道路舗装工事を含む土木工事では、ロードローラ、タイヤローラ等の転圧機械により、路床、路盤、舗装の締固め作業(以下、「転圧作業」と記載する)を行っている。この転圧作業は、所定の締固め密度が得られるまで行われる。転圧作業が所定の回数より少ない場合は所定の(所望の)締固め密度が得られず、逆に転圧作業が過剰に行われた場合には材料崩壊を起してしまい、均一な密度が得られない。
ここで、転圧機械の運転手(以下「作業者」と記載する)の技量や転圧作業中における判断ミス等に起因して、転圧されない部分や所定転圧回数が得られていない部分が発生することが懸念される。係る懸念に対処するため、情報化施工技術の一環として、作業者を補助する移動体軌跡表示記録システム(転圧管理システム)が導入されている。
転圧管理システムは移動体である転圧機械の位置情報を求めることにより、移動軌跡の記録と表示を行う機能を有している。係る機能により作業者は転圧機械が移動する状況や移動軌跡を明確に認知して、所定転圧回数が得られていない部分の発生を未然に防止出来るシステムである。
【0003】
移動する機器の位置情報を取得する方式としては、測位衛星を用いる方式(全地球航法衛星システム:例えば、GPSシステム)(以下、本明細書では「衛星方式」と記載する場合がある)が存在する。そして、係る測位衛星を用いる方式についても、測位衛星位置情報を入手し、現場内地上固定基準局の補正情報を介して正確な移動体位置情報を取得する干渉測位方式(RTK方式)と、無線データ配信を利用した仮想基準点方式(VRS方式)がある。VRS方式は地上固定基準局無しで単独で使用できるため自由度が高く、扱い易いため、近年では多く利用されている。
しかし、衛星方式を転圧機械の位置情報の取得に使用した場合(例えば、特許文献1)には、測位衛星からの位置情報信号が遮断されるような条件、例えば橋等の上空構造物の直下に転圧機械が位置する場合や、カルバートやトンネルの内部に転圧機械が位置する場合では、測位衛星からの位置情報信号を取得することが出来ないので、転圧機械の正確な位置情報を取得することができないという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−158920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、転圧機械の正確な位置情報を取得して、転圧機械の作業者が転圧機械の移動状況や移動軌跡を明確に認知して、所定の転圧回数が得られない箇所や過剰に転圧されてしまう箇所の発生を未然に防止することが出来る転圧機械の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の転圧機械(100)は、道路の路床、路盤、舗装を締固める転圧作業を行う転圧機械(100)であって、測位衛星(200)から位置情報を受信する衛星情報受信装置(3)と、トータルステーション(300)から位置情報を受信するトータルステーション位置情報受信装置(4)と、転圧機械の移動方向を検出する方向用慣性センサ(1A)および転圧機械の走行装置(8)の角速度を検出する角速度用慣性センサ(1B)と、前記方向用慣性センサ(1A)および角速度用慣性センサ(1B)からの信号を受信する慣性センサ受信装置(5)と、前記衛星情報受信装置(3)と前記トータルステーション位置情報受信装置(4)と前記慣性センサ受信装置(5)からの情報に基づいて位置および移動軌跡を決定する機能を有する制御装置(20)を有する転圧機械(100)において、
前記制御装置(20)は、
衛星情報受信装置(3)によって受信した(S1)測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以上であるか否かを判断し(S4)、前記受信レベルが所定値以上あれば、測位衛星からの位置情報に基づき転圧機械の現在位置と移動軌跡とを緯度経度を用いた測地系(GPS座標系)で決定し(S5)、前記決定した現在位置と移動方向を記憶する(S9)機能を有し、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下の場合は、トータルステーション受信装置(4)によって受信した(S2)トータルステーション(300)からの位置情報を受信しているか否かを判断し(S6)、前記トータルステーション(300)からの位置情報を受信していれば、前記位置情報に基づいて転圧機械(100)の所在位置と移動軌跡とをトータルステーション(300)からの位置情報におけるローカル座標系において決定し、その際に前記ローカル座標系と前記緯度経度を用いた測地系とを一致させ(S7)、前記決定した現在位置と移動方向とを記憶する(S9)機能を有し、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下であり且つ前記トータルステーションからの位置情報が受信できない場合は、角速度用慣性センサ(1B)が検出した転圧機械(100)の速度に関する情報によりサイクルにおける転圧機械の移動距離を算出して、当該移動距離と方向用慣性センサ(1A)で検出した転圧機械(100)の移動方向(方位)により転圧機械(100)の現在位置を決定して移動軌跡を決定(S8)し、前記決定した現在位置と移動軌跡とを記憶する(S9)機能を有し、
転圧機械(100)の現在位置、移動軌跡を表示装置(6)に表示する機能を有することを特徴としている
【0008】
また本発明において、前記位置情報取得装置は、測位衛星(200)、トータルステーション(300)から位置情報を取得する機能を有し、
前記制御装置(20)は、測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定のレベル以上の場合には測位衛星(200)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定し、測位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベルよりも低く且つトータルステーション(300)から位置情報を受信している場合にはトータルステーション(300)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定する機能を有しているのが好ましい(図3図4)。
【0009】
さらに本発明において、前記位置情報取得装置は、測位衛星(200)、(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)から位置情報を取得する機能を有し、
前記制御装置(20)は、測位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベル以上の場合には測位衛星(200)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定し、測位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベルよりも低い場合には(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定する機能を有しているのが好ましい(図5、図6)
【0010】
そして本発明において、前記位置情報取得装置は、トータルステーション(300)、(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)から位置情報を取得する機能を有し、
前記制御装置(20)は、トータルステーション(300)から位置情報を受信している場合にはトータルステーション(300)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定し、トータルステーション(300)から位置情報が受信できない場合には(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定する機能を有しているのが好ましい(図7図8)。
【0011】
上述した本発明の転圧機械(100)の制御方法は、
道路の路床、路盤、舗装を締固める転圧作業を行う転圧機械(100)の制御方法であって、測位衛星(200)から位置情報を受信する衛星情報受信装置(3)と、トータルステーション(300)から位置情報を受信するトータルステーション位置情報受信装置(4)と、転圧機械の移動方向を検出する方向用慣性センサ(1A)および転圧機械の走行装置(8)の角速度を検出する角速度用慣性センサ(1B)と、前記方向用慣性センサ(1A)および角速度用慣性センサ(1B)からの信号を受信する慣性センサ受信装置(5)と、前記衛星情報受信装置(3)と前記トータルステーション位置情報受信装置(4)と前記慣性センサ受信装置(5)からの情報に基づいて位置および移動軌跡を決定する機能を有する制御装置(20)を有する転圧機械の制御方法において、
測位衛星(200)からの位置情報を衛星情報受信装置(3)によって受信する工程(S1)と、トータルステーション(300)からの位置情報をトータルステーション受信装置(4)によって受信する(S2)工程と、方向用慣性センサ(1A)からの移動方向に関する情報と角速度用慣性センサ(1B)からの速度に関する情報を慣性センサ受信装置(5)が受信する工程(S3)を有し、
測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以上であるか否かを判断し(S4)、前記受信レベルが所定値以上あれば、測位衛星からの位置情報に基づき転圧機械の現在位置と移動軌跡とを緯度経度を用いた測地系(GPS座標系)で決定し(S5)、前記決定した現在位置と移動方向を記憶し(S9)、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下の場合は、トータルステーション(300)からの位置情報を受信しているか否かを判断し(S6)、前記トータルステーション(300)からの位置情報を受信していれば、前記位置情報に基づいて転圧機械の所在位置と移動軌跡とをトータルステーション(300)からの位置情報におけるローカル座標系において決定し、その際に前記ローカル座標系と前記緯度経度を用いた測地系とを一致させ(S7)前記決定した現在位置と移動方向とを記憶し(S9)、
前記測位衛星(200)からの位置情報の受信レベルが所定値以下であり且つ前記トータルステーション(300)からの位置情報が受信できない場合は、角速度用慣性センサ(1B)が検出した転圧機械(100)の速度に関する情報によりサイクルにおける転圧機械の移動距離を算出して、当該移動距離と方向用慣性センサ(1A)で検出した転圧機械(100)の移動方向(方位)により転圧機械(100)の現在位置を決定して移動軌跡を決定し(S8)、前記決定した現在位置と移動軌跡とを記憶し(S9)、転圧機械の現在位置、移動軌跡を表示装置(6)に表示することを特徴としている。
【0013】
記制御方法において、測位衛星(200)トータルステーション(300)から位置情報を取得し
位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベル以上の場合には測位衛星(200)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定し、測位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベルよりも低く且つトータルステーション(300)から位置情報を受信している場合にはトータルステーション(300)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定するのが好ましい(図3、図4)
【0014】
さらに上記制御方法において、測位衛星(200)(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)から位置情報を取得し
位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベル以上の場合には測位衛星(200)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定し、測位衛星(200)からの位置情報受信レベルが所定のレベルよりも低い場合には(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械の)位置と移動軌跡を決定するのが好ましい(図5、図6)
【0015】
そして上記制御方法において、トータルステーション(300)(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)から位置情報を取得し
ータルステーション(300)から位置情報を受信している場合にはトータルステーション(300)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定し、トータルステーション(300)から位置情報が受信できない場合には(当該転圧機械100に設置された)慣性センサ(1)からの位置情報に基づいて(当該転圧機械100の)位置と移動軌跡を決定するのが好ましい(図7、図8)
【0016】
本発明の実施に際して、測位衛星(200)からの位置情報を取得するに際して、RTK方式とVRS方式を兼ね備えた既存のシステムを用いることが好ましい。
【0017】
また、測位衛星(200)からの位置情報の取得が困難な状況(上空構造物の直下や、カルバート直下に転圧機械100が位置している場合等)において、短時間で測位衛星(200)からの位置情報が取得可能な状態に回復した場合には、自動(または手動)で測位衛星(200)からの位置情報に基づいて(RTK方式、VRS方式に戻り)転圧機械100の位置と軌跡を特定する機能を発揮するのが好ましい。
換言すれば、測位衛星(200)からの位置情報受信レベルが回復すれば、速やかに、測位衛星(200)からの位置情報に基づいて転圧機械(100)の位置と移動軌跡を決定する態様に復帰し、
測位衛星(200)からの位置情報受信レベルは回復していないがトータルステーション(300)から位置情報を受信出来る状態になれば、速やかに、トータルステーション(300)からの位置情報に基づいて転圧機械(100)の位置と移動軌跡を決定する態様に復帰するように構成されているのが好ましい。
【0018】
さらに本発明の実施に際して、測位衛星(200)の位置情報における「緯度経度を用いた測地系」と、トータルステーション(300:TS)からの位置情報における「ローカル座標系」とを一致させるために、何れか一方の座標系に他方の座標系を変換し、表示機器の現場平面図データ上にローラなどの移動軌跡を表示記録することができる機能(いわゆるマップマッチング機能)を持つ装置を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
上述の構成を具備する本発明によれば、測位衛星(200)、トータルステーション(300)、転圧機械(100)に設置された慣性センサ(1)の何れか2つ以上から転圧機械(100)の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて当該転圧機械(100)の位置を特定し、移動軌跡を決定しているので、測位衛星(200)に加えて、トータルステーション(300)或いは慣性センサ(1)から位置情報を取得する場合には、基本的には測位衛星(200)から位置情報を取得し、測位衛星(200)からの位置情報の取得が困難となった場合には、トータルステーション(300)或いは慣性センサ(1)から位置情報を取得する様に切り替えて、転圧機械(100)の位置を特定し、移動軌跡を決定することが出来る。そのため、測位衛星(200)からの位置情報の取得が困難な状況、例えば、転圧機械(100)が上空構造物(橋梁等)の直下に位置している場合や、カルバート直下に位置している場合においても、トータルステーション(300)あるいは慣性センサ(1)により転圧機械(100)の位置と移動軌跡を決定することが出来るので、測位衛星(200)からの位置情報の取得が困難な領域においても転圧機械(100)の移動軌跡を把握して、転圧されない箇所や過剰に転圧されてしまう箇所の発生を防止できる。
本明細書において、「転圧されない」という文言は、一度も転圧されない場合のみならず、所定に転圧回数に達していない場合も包含する趣旨で使用されている。
【0020】
ここで、トータルステーション(300)から位置情報を取得する様に切り替えて、転圧機械(100)の位置を特定し、移動軌跡を決定する方式では、転圧作業を実行している現場内にトータルステーション(300)を設置する必要があり、トータルステーション(300)に装備された位置情報送信装置(例えば無線による位置情報送信装置)の信号到達距離を考慮して複数のポイントに設置し、転圧作業の施工状況に対応してトータルステーション(300)を移動する必要がある。さらに、見通しの悪い現場等、トータルステーション(300)が転圧機械(100)を捕捉できない場合には、複数台のトータルステーション(300)を設置し、或いは、トータルステーション(300)を頻繁に移動しなければならない。
本発明において、少なくとも測位衛星(200)、トータルステーション(300)から転圧機械(100)の位置情報を取得する場合には、測位衛星(200)からの位置情報を所定のレベル以上に受信できるのであれば、測位衛星(200)からの位置情報により転圧機械(100)の位置を特定し、移動軌跡を決定する様に構成されている。そして測位衛星(200)からの位置情報を用いる場合には、複数台のトータルステーション(300)の設置、トータルステーション(300)の頻繁な移動という問題は存在しないので、本発明によれば、上述したトータルステーション(300)を用いた場合の問題の影響を可能な限り小さくすることが出来る。
【0021】
本発明において、転圧機械(100)に設置された慣性センサ(1)により当該転圧機械(100)の位置情報を取得する場合には、直前の制御サイクルで求めた転圧機械(100)の位置(直前に取得した位置情報から決定された転圧機械100の位置)と、その時点の制御サイクルで求めた転圧機械(100)の移動方向と移動距離から、転圧機械(100)の位置と移動軌跡が決定される。そのため、慣性センサ(1)で求めた情報に誤差が包含される場合には、その誤差が積算されてしまう。
しかし、本発明によれば、測位衛星(200)からの位置情報及び/又はトータルステーション(300)からの位置情報が慣性センサ(1)からの位置情報に優先し、測位衛星(200)からの位置情報とトータルステーション(300)からの位置情報が利用できない場合にのみ、慣性センサ(1)からの情報が用いられる。したがって、慣性センサ(1)の位置情報により転圧機械(100)の位置と移動軌跡が決定される制御が実行される時間は少なく、誤差が積算されたとしても転圧機械(100)の位置及び軌跡の決定に与える悪影響は実用上の問題がない程度に小さい。上述した様に、慣性センサ(1)は方位用慣性センサ(1A)と角速度用慣性センサ(1B:速度及び距離計測用慣性センサ)を包含しており、慣性センサ(1)により計測された距離の誤差は極めて小さく抑えられる。
そして、測位衛星(200)からの位置情報及び/又はトータルステーション(300)からの位置情報を利用することができない領域においても、転圧機械(100)の位置と軌跡を正確に決定して、所定の転圧回数が得られない箇所が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
図2】第1実施形態の制御フローチャートである。
図3】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
図4】第2実施形態の制御フローチャートである。
図5】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
図6】第3実施形態の制御フローチャートである。
図7】本発明の第4実施形態を示すブロック図である。
図8】第4実施形態の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1において、第1実施形態に係る転圧管理システムにおける転圧機械は全体が符号100で示されており、転圧機械100は、位置情報取得装置(衛星情報受信装置3、トータルステーション300からの位置情報を受信するトータルステーション受信装置4、慣性センサ1からの信号を受信する慣性センサ受信装置5の総称)、コントロールユニット20、慣性センサ1、表示装置6及び受光装置7を備えている。そして、第1実施形態に係る転圧管理システムは、転圧機械100に加えて、測位衛星200及びトータルステーション300(TS)を利用している。
第1実施形態では、測位衛星200からの情報(全地球航法衛星システムからの情報)、トータルステーション300(TS)からの情報、転圧機械100に設置された慣性センサ1からの情報を用いて、転圧機械100の移動軌跡を決定している。
なお、図示の実施形態では、全地球航法衛星システム(図1では測位衛星200を図示している)として、例えばGPSを使用している。
【0024】
図1において、転圧機械100は、測位衛星200からの位置情報を受信する衛星情報受信装置3、トータルステーション300からの位置情報を受信するトータルステーション受信装置4、慣性センサ1からの信号を受信する慣性センサ受信装置5、全周プリズム7Aを備えトータルステーション300からの光波を受光する受光装置7、取得された位置情報に基づき当該転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定するコントロールユニット20(制御装置)及び前記決定された当該転圧機械100の移動軌跡やその決定に基づく必要な判断(転圧回数不足箇所の明示等)を表示する表示装置6を備えている。
図示の実施形態では表示装置6とコントロールユニット20とは別体に構成されているが、表示装置6をコントロールユニット20と一体に構成することも可能である。
【0025】
図1図2の第1実施形態では、前記衛星情報受信装置3、トータルステーション受信装置4、慣性センサ受信装置5が、位置情報取得装置と総称されている。
図1において、測位衛星200から転圧装置100の衛星情報受信装置3に発信される位置情報信号はノコギリ状の矢印Aで表現されており、トータルステーション300からトータルステーション受信装置4に発信される位置情報信号はノコギリ状の矢印Bで表現されている。
さらに、トータルステーション300から受光装置7の全周プリズム7Aに照射され、受光装置7で反射してトータルステーション300に戻る光波(例えばレーザー光等を包含する)は、図1では、破線の矢印Cで表現されている。
【0026】
衛星情報受信装置3は、信号伝達ラインL1を介してコントロールユニット20(コントロールユニット)と接続されており、トータルステーション受信装置4は、信号伝達ラインL2を介してコントロールユニット20と接続されている。
また、前記慣性センサ1は、転圧機械100の現在の方位(転圧機械100の移動方向)を検出する方位用慣性センサ1Aと、転圧機械100の走行装置8(駆動輪)の角速度(すなわち、転圧機械100の速度)を検出する角速度用慣性センサ1B(速度及び距離計測用慣性センサ)を有している。そして、方位用慣性センサ1Aは信号伝達ラインL3を介して慣性センサ受信装置5と接続されており、角速度用慣性センサ1Bは信号伝達ラインL4を介して慣性センサ受信装置5と接続されている。
【0027】
さらに、慣性センサ受信装置5は、信号伝達ラインL5を介してコントロールユニット20と接続されている。
表示装置6は、信号伝達ラインL6を介してコントロールユニット20と接続されている。
【0028】
図1図2の第1実施形態では、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが所定の受信レベルよりも低い場合、トータルステーション300から位置情報を取得する様に切り替え、トータルステーション300から位置情報に基づいて転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定する。そのため、図1図2の第1実施形態では、転圧作業を実行している現場内の既知定点にトータルステーション300を設置している。
トータルステーション300の設置位置、台数は、トータルステーション300に装備された位置情報送信装置(例えば無線による位置情報送信装置)の信号到達距離や、転圧作業現場の見通しの良否(全周プリズム7Aが光波Cを反射できるか否か)等を考慮して、決定されている。
また、転圧作業の施工状況により、必要に応じて、トータルステーション300を移動することもある。
【0029】
図1図2の第1実施形態において、衛星情報受信装置3で受信した測位衛星200からの位置情報(転圧機械100の現在位置情報)は、信号伝達ラインL1によりコントロールユニット20に伝達される。
また、トータルステーション300から受光装置7の全周プリズム7Aに照射される光波C(例えばレーザー光等を包含する)が、当該全周プリズム7Aで反射してトータルステーション300に戻ると、当該反射した光波Cを受信したトータルステーション300は、当該反射した光波Cに包含される転圧機械100の位置情報を、信号B(情報信号:例えば、電波信号)により、転圧機械100のトータルステーション受信装置4に送信する。
そして、トータルステーション受信装置4で受信した位置情報(反射した光波Cにより決定された転圧機械100の現在位置情報)は、信号伝達ラインL2を介して、コントロールユニット20に伝達される。
【0030】
方位用慣性センサ1Aが検出した転圧機械100の移動方向(方位)に関する情報は、信号伝達ラインL3により慣性センサ受信装置5に伝達される。
また、角速度用慣性センサ1Bが検出した転圧機械100の走行装置8(駆動輪)の角速度に関する情報(すなわち、転圧機械100の速度に関する情報)は、信号伝達ラインL4により慣性センサ受信装置5に伝達される。
そして、前記方位用慣性センサ1Aから受信した転圧機械100の移動方向(方位)に関する情報と、角速度用慣性センサ1Bから受信した転圧機械100の速度(走行装置8の角速度)に関する情報は、それぞれ慣性センサ受信装置5、信号伝達ラインL5を介して、コントロールユニット20に伝達される。
【0031】
コントロールユニット20は、衛星情報受信装置3から伝達された位置情報(転圧機械100の現在位置情報)を受信し、当該位置情報が利用出来るか否かを判断し、利用できる場合(位置情報の受信レベルが所定の受信レベル以上である場合)には、衛星情報受信装置3から伝達された位置情報により転圧機械100の現在位置と移動軌跡を決定する。
一方、衛星情報受信装置3から伝達された位置情報が利用できない場合には(衛星情報受信装置3から伝達された位置情報の受信レベルが所定の受信レベルよりも低い場合には)、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を決定するのに衛星情報受信装置3から伝達された位置情報は用いない。
【0032】
衛星情報受信装置3から伝達された位置情報の受信レベルが利用できない場合には、コントロールユニット20は、トータルステーション300から位置情報を受信しているか否か(トータルステーション300が全周プリズム7Aからの反射を受信することが出来て、且つ、トータルステーション受信装置4がトータルステーション300からの信号Bを受信することが出来るか否か)を判断し、利用できる場合(トータルステーション300が全周プリズム7Aからの反射を受信することが出来て、且つ、トータルステーション受信装置4がトータルステーション300からの信号Bを受信することが出来る場合)には、トータルステーション300からの位置情報に基づいて、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を決定する。
一方、トータルステーション300が全周プリズム7Aからの反射を受信することが出来ない場合、及び/又は、トータルステーション受信装置4がトータルステーション300からの信号Bを受信することが出来ない場合には、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を決定するのにトータルステーション300からの位置情報は用いない。
【0033】
トータルステーション300が全周プリズム7Aからの反射を受信することが出来ない場合、及び/又は、トータルステーション受信装置4がトータルステーション300からの信号Bを受信することが出来ない場合(トータルステーション300からの位置情報が利用できない場合)には、慣性センサ受信装置5から伝達された慣性センサ1Aからの情報(転圧機械100の移動方向の情報)、慣性センサ1Bからの情報(転圧機械100の速度の情報)、直前の制御サイクルで求めた転圧機械100の位置に基づいて、コントロールユニット20は、転圧機械100の現時点における位置を決定する。
換言すれば、直前の制御サイクルで求めた転圧機械100の位置に対して、慣性センサ1Aからの情報で求めた転圧機械100の移動方向と、慣性センサ1Bからの情報で求めた転圧機械100の速度から、その時点の制御サイクルにおける転圧機械100の位置を決定し、移動軌跡を決定する(センサ補完処理)。
表示装置6には、コントロールユニット20で決定された転圧機械100の位置と移動軌跡が伝達され、転圧機械100の現在位置、移動軌跡と、その他の必要な情報(所定の転圧回数に達していない箇所の位置等)が表示される。
【0034】
図1図2の第1実施形態では、転圧機械100の現在位置、移動軌跡を決定するために、測位衛星200からの位置情報に基づいている状態から、トータルステーション300からの位置情報に基づいている状態に切り替える場合がある。その場合には、測位衛星200からの位置情報における「緯度経度を用いた測地系」(GPS座標系)と、トータルステーション300からの位置情報における「ローカル座標系」(TS座標系)を一致させるために、何れかの座標系に変換している(所謂「マップマッチング」)。
この「マップマッチング」は公知技術である。あるいは、同一の2点について、「緯度経度を用いた測地系」における座標と「ローカル座標系」における座標とを取得して、前記2点の内の1点における座標に基づいて、「緯度経度を用いた測地系」における座標と「ローカル座標系」における座標との「座標差」を求めると共に、それぞれの座標系における前記2点を結んだ直線が為す角度(角度差)を求め、当該「座標差」と「角度差」から「緯度経度を用いた測地系」と「ローカル座標系」を一致させる。
ここで、コントロールユニット20は、現場平面図データ上に転圧機械100の移動軌跡を表示記録する機能を備えると共に、マップマッチング機能を備えている。
【0035】
測位衛星を用いる方式として、測位衛星位置情報を入手し、現場内地上固定基準局の補正情報を介して正確な移動体位置情報を取得する干渉測位方式(RTK方式)と、無線データ配信を利用した仮想基準点方式(VRS方式)があるが、第1実施形態は何れの方式でも使用可能に構成されている。
また、図示はされていないが、転圧機械100は、測位衛星200からの位置情報が利用できない状況(上空構造物の直下や、カルバート直下に転圧機械100が位置している場合等)において、短時間で測位衛星200からの位置情報が利用できる状態に回復した場合には、自動で(手動でも良いが)測位衛星200からの位置情報に基づいて測位衛星200を用いるRTK方式、VRS方式に戻り、転圧機械100の位置と軌跡を特定する機能を有している。
また転圧機械100は、測位衛星200からの位置情報受信レベルは回復していないがトータルステーション300から位置情報を利用出来る状態(トータルステーション300が全周プリズム7Aからの反射を受信することが出来て、且つ、トータルステーション受信装置4がトータルステーション300からの信号Bを受信することが出来る状態)に復帰した場合には、速やかに、慣性センサ1の計測結果から転圧機械100の位置を決定する態様から、トータルステーション300からの位置情報に基づいて転圧機械100の位置と移動軌跡を決定する態様に復帰する機能を有している。
【0036】
上述した様に、図1図2の第1実施形態では、測位衛星200からの情報を利用する状態からトータルステーション300からの情報を利用する状態に切り替え、トータルステーション300からの情報を利用する状態から慣性センサ1からの位置情報(転圧機械100の移動方向の情報及び移動速度の情報)を利用する状態に切り替えながら、転圧機械100の位置と移動軌跡を決定している。
例えば、転圧機械100が上空構造物(橋梁等)の直下に位置している場合や、カルバート直下に位置している場合等では、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが低下する。また、トータルステーション300から転圧機械100が見通せない現場等では、トータルステーション300から位置情報が受信できなくなる。
【0037】
そのため、測位衛星200からの情報により転圧機械100の位置と移動軌跡を決定する際には、コントロールユニット20は、測位衛星200からの情報の受信レベルが、所定のレベル以上であるか否かを判断している。また、トータルステーション300からの情報により転圧機械100の位置と移動軌跡を決定する際には、コントロールユニット20は、トータルステーション300から位置情報信号を受信しているか否かを判断している。
ここで、「所定のレベル」については、転圧管理施工の条件(許容される誤差範囲)に対応して、種々のレベル(例えば、誤差数cmのレベル、誤差数mのレベル等)に設定することが出来る。その他、測位衛星200の数、PDOP値により判断することも可能である。
【0038】
図1において、慣性センサ1(方位用慣性センサ1A、角速度用慣性センサ1B)からコントロールユニット20への信号伝達と、トータルステーション300からの位置情報信号(無線信号)を受信したトータルステーション受信装置4からコントロールユニット20への信号伝達と、測位衛星200からの位置情報信号(電波信号)を受信した衛星情報受信装置3からコントロールユニット20への信号は、有線方式で伝達する様に表示されている。しかし、係る信号伝達は各種無線方式で行うことも可能である。換言すれば、各受信装置からコントロールユニット20への信号伝達については、有線方式、無線方式の何れか一方のみに限定する趣旨ではない。
また、受信装置3〜5の各々と表示装置6(ディスプレイ)は、コントロールユニット20と独立して設けられている様に図示されているが、受信装置3〜5及び表示装置6(ディスプレイ)をコントロールユニット20内に包含させても良い。
【0039】
次に、転圧機械100の移動軌跡を決定する制御について、主として図2を参照して説明する。
図2において、ステップS1では、測位衛星200からの位置情報(信号A)を、転圧機械100の衛星情報受信装置3によって受信する。
ステップS2では、トータルステーション300からの位置情報(信号B)を、トータルステーション受信装置4によって受信する。
そしてステップS3では、慣性センサ1Aからの転圧機械100の移動方向に関する情報と、慣性センサ1Bからの転圧機械100の速度に関する情報を、慣性センサ受信装置5により受信する(慣性センサ1からの情報を受信する)。
【0040】
ステップS4に進み、ステップS1で受信した測位衛星200からの位置情報の受信レベルが予め設定された所定の受信レベル以上か否か、すなわち、測位衛星200からの位置情報を利用することができるか否かを(コントロールユニット20で)判断する。
ステップS4において、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが所定の受信レベル以上である場合には(ステップS4がYES)、測位衛星200からの位置情報を用いて転圧機械100の位置と軌跡を決定することが出来ると判断して、ステップS5に進む。
【0041】
ステップS5では、測位衛星200からの位置情報に基づき、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を「GPS座標系(緯度経度を用いた測地系)」において決定し、ステップS9に進む。
ステップS9では、ステップS5で決定した現在位置と移動軌跡から求めた移動方向をコントロールユニット20内の記憶装置(メモリ:図示せず)により保存する。図示しない記憶装置に保存された(その制御サイクルにおける)現在位置と移動軌跡は、慣性センサ1からの位置情報に基づいて現在位置と移動軌跡を決定する際には用いられる。
次にステップS10に進み、ステップS5で決定した転圧機械100の現在位置、移動軌跡、その他の必要な情報(所定の転圧回数に達していない箇所の明示等)を表示装置6に表示して、図示しない記憶装置に記録する。
そしてステップS1に戻り、制御サイクルを繰り返す。
【0042】
ステップS4において、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが予め設定された所定の受信レベルよりも低い場合には(ステップS4がNO)、測位衛星200からの位置情報が利用できないと判断して、ステップS6に進む。
ステップS6では、ステップS2で受信したトータルステーション300から位置情報が受信しているか否か(トータルステーション300からの位置情報を利用できるか否か)をコントロールユニット20により判断する。
トータルステーション300から位置情報を受信している場合(ステップS6がYES)、トータルステーション300からの位置情報を用いて転圧機械100の位置と軌跡を決定することが出来ると判断して、ステップS7に進む。
【0043】
ステップS7では、トータルステーション300からの位置情報に基づき、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を「ローカル座標系(TS座標系)」において決定する。
その際に、前記「ローカル座標系(TS座標系)」と測位衛星200の位置情報における「GPS座標系(緯度経度を用いた測地系)」とを一致させ、測位衛星200の位置情報からトータルステーション300からの位置情報に順調に切り替得る(所謂「マップマッチング処理」を実行する)。
そして、ステップS9に進む。
ステップS9において、現在位置と移動軌跡から求めた移動方向はステップS7で決定されている点を除き、上述と同様である。ステップS10についても、上述したのと同様である。
【0044】
一方、ステップS6で、トータルステーション300から位置情報が受信できない場合(ステップS6がNO:トータルステーション300が全周プリズム7Aからの反射を受信することが出来ない場合、及び/又は、トータルステーション受信装置4がトータルステーション300からの信号Bを受信することが出来ない場合)には、トータルステーション300からの位置情報を用いて転圧機械100の位置と軌跡を決定することができないと判断して、ステップS8に進む。
ステップS8では測位衛星200からの位置情報とトータルステーション300からの位置情報が共に受信出来なかった旨の表示(「受信エラー」の表示)がされる。そして、ステップS3で受信した慣性センサ1からの情報に基づき、現サイクルにおける転圧機械100の移動距離を算出する。そして、直前の制御サイクル(測位衛星200からの位置情報、トータルステーション300からの位置情報を用いた制御サイクルを含む)で求めた転圧機械100の位置と、慣性センサ1Aからの情報により求めた転圧機械100の移動方向と、上述した現サイクルにおける転圧機械100の移動距離から、転圧機械100の現在位置を決定し、移動軌跡を決定する。そしてステップS9に進む。
ステップS9においては、ステップS8で決定された現在位置と移動軌跡を用いる点を除き、上述と同様である。ステップS10についても、上述と同様である。
【0045】
図1及び図2に示す第1実施形態によれば、測位衛星200、トータルステーション300、慣性センサ1の3つから転圧機械100の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて当該転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定している。
そして、基本的には測位衛星200から位置情報を取得し、測位衛星200からの位置情報の取得が困難となった場合には、トータルステーション300から位置情報を取得し、さらにトータルステーション300から位置情報の取得が困難となった場合には、慣性センサ1から位置情報を取得する様に切り替えて、転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定することが出来る。
【0046】
そのため、衛星200からの位置情報の取得が困難な状況、例えば、転圧機械100が上空構造物(橋梁等)の直下に位置している場合や、カルバート直下に位置している場合においても、その位置と移動軌跡を決定することが出来る。また、トータルステーション300らの位置情報の取得が困難な状況、例えば、トータルステーション300からの見通しの悪い現場等においても、その位置と移動軌跡を決定することが出来る。
換言すれば、衛星200からの位置情報の取得が困難な領域、及び/又は、トータルステーション300からの位置情報の取得が困難な領域において、転圧機械100の位置と移動軌跡を正確に決定することが出来る。その結果、所定の転圧回数が得られていない箇所の発生を防止し、過剰な転圧を施されてしまう箇所の発生を防止できる。
【0047】
また、図1図2の第1実施形態では、トータルステーション300から位置情報を取得する様に切り替えて、転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定するが、測位衛星200からの位置情報を所定のレベル以上に受信できるのであれば、測位衛星200からの位置情報により転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定する様に構成されている。
そして測位衛星200からの位置情報を用いる場合には、複数台のトータルステーション300の設置、トータルステーション300の頻繁な移動という問題は存在しない。
したがって、第1実施形態では、トータルステーション300を用いた場合における不都合を、可能な限り抑制することが出来る。
【0048】
第1実施形態において、転圧機械100に設置された慣性センサ1により当該転圧機械100の位置情報を取得する場合には、直前の制御サイクルで求めた転圧機械100の位置と、その時点の制御サイクルで求めた転圧機械100の移動方向と移動距離から、転圧機械100の位置と移動軌跡が決定される。そのため、慣性センサ1で求めた情報に誤差が包含される場合には、その誤差が積算されてしまう。
しかし、第1実施形態によれば、測位衛星200からの位置情報及び/又はトータルステーション300からの位置情報が慣性センサ1からの位置情報に優先し、測位衛星200からの位置情報とトータルステーション300からの位置情報が利用できない場合にのみ、慣性センサ1からの情報が用いられる。したがって、慣性センサ1の位置情報により転圧機械100の位置と移動軌跡が決定される制御が実行される時間は少なく、誤差が積算されたとしても転圧機械100の位置及び軌跡の決定に与える悪影響は実用上の問題がない程度に小さい。
そして、測位衛星200からの位置情報及びトータルステーション300からの位置情報を利用することができない領域(「受信エラー」の表示がされる領域)においても、転圧機械100の位置と軌跡を正確に決定することができるので、所定の点圧回数が得られていない箇所や過剰な転圧を施されてしまう箇所の発生が抑制される。
【0049】
次に図3図4を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、測位衛星200からの情報及びトータルステーション300からの情報に基づいて転圧機械100の移動軌跡を決定するが、第1実施形態と異なり、慣性センサは備えていない。
図3において、図1と同様な機器や部品については、図1と同様な符号を付している。そして、図3で示す第2実施形態で用いられる転圧機械についても、全体が符号100で示されている。
上述した様に、図3の第2実施形態では、慣性センサ1(方位用慣性センサ1A、角速度用慣性センサ1B)、慣性センサ受信装置5、慣性センサ受信装置5に連通する信号伝達ラインを備えていない。
図3におけるその他の構成は、図1の第1実施形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0050】
図3で示す転圧機械100の移動軌跡を決定する制御について、主として図4を参照して説明する。
図4におけるステップS21、ステップS21は、図2におけるステップS1、ステップS2と同様である。すなわち、転圧機械100の衛星情報受信装置3を介して、測位衛星200からの位置情報を受信し(ステップS21)、トータルステーション受信装置4を介して、トータルステーション300からの位置情報を受信する(ステップS22)。そしてステップS23に進む。
【0051】
ステップS23では、ステップS21で受信した測位衛星200からの位置情報の受信レベルが予め設定された所定の受信レベル以上であるか否かを判断する。このステップS23は図2のステップS4と同様である。
ステップS21で受信した測位衛星200からの位置情報の受信レベルが所定の受信レベル以上であれば(ステップS23がYES)、測位衛星200からの位置情報により転圧機械100の位置と軌跡を決定することが出来ると判断して、ステップS24に進む。
【0052】
ステップS24では、測位衛星200からの位置情報に基づき、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を「GPS座標系(緯度経度を用いた測地系)」において決定し、ステップS28に進む。
ステップS28では、ステップS24で決定した転圧機械100の現在位置、移動軌跡及び必要な情報(所定の転圧回数に達していない箇所の明示等)を表示装置6に表示する。そしてステップS21に戻り、制御サイクルを繰り返す。
【0053】
一方、ステップS23で、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが予め設定された所定の受信レベルよりも低い場合(ステップS23がNO)には、測位衛星200からの位置情報により転圧機械100の位置と軌跡を決定することはできないと判断して、ステップS25に進む。
ステップS25では、トータルステーション300から位置情報を受信しているか否かを判断する。
【0054】
トータルステーション300から位置情報を受信しているのであれば(ステップS25がYES)、トータルステーション300からの位置情報を用いて転圧機械100の位置と軌跡を決定することが出来ると判断して、ステップS26に進む。
ステップS26では、トータルステーション300からの位置情報に基づき、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を「ローカル座標系(TS座標系)」において決定し、ステップS28に進む。なお、その際、「ローカル座標系(TS座標系)」と測位衛星200の位置情報における「GPS座標系(緯度経度を用いた測地系)」とを一致させ、測位衛星200の位置情報からトータルステーション300からの位置情報に順調に切り替わる作業(所謂「マップマッチング処理」)を実行する。
そしてステップS28に進む。転圧機械100の現在位置、移動軌跡がステップS26で決定された点を除き、ステップS28以下の処理は上述したのと同様である。
【0055】
一方、ステップS25で、トータルステーション300から位置情報が受信できない場合(ステップS25がNO)には、トータルステーション300からの位置情報を用いて転圧機械100の位置と軌跡を決定することはできないと判断して、ステップS27に進む。
ステップS27では、測位衛星200からの位置情報受信レベルが低く、転圧機械100の位置と軌跡を決定するのに用いることが出来ないレベルであり、トータルステーション300から位置情報が受信できないため、受信エラーの処理を行う。そして、受信エラーを表示装置6に表示する。
【0056】
ステップS27に進む制御サイクルでは、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を決定することが出来ないため、当該制御サイクルにおける転圧機械100の移動軌跡は空白となるが、その後、測位衛星200からの位置情報受信レベルが転圧機械100の位置と軌跡を決定するのに必要なレベルまで回復し、或いは、トータルステーション300から位置情報を受信している状態になった時点で、転圧機械100の位置と移動軌跡の決定を行い、空白部分は、いわゆる「補完処理」により決定する。
その後、ステップS21に戻り、制御サイクルを繰り返す。
【0057】
図3及び図4に示す第2実施形態によれば、測位衛星200及びトータルステーション300から転圧機械100の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて当該転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定している。
そのため、測位衛星200からの位置情報の取得が困難な状況においても、その位置と移動軌跡を決定することが出来るので、測位衛星200からの位置情報の取得が困難な領域においても所定の点圧回数が得られない箇所の発生を防止し、過剰に転圧されてしまう箇所の発生も防止出来る。
【0058】
そして、基本的には測位衛星200から位置情報を取得し、測位衛星200からの位置情報の取得が困難となった場合には、トータルステーション300から位置情報を取得する様に切り替えて、転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定している。そのため、トータルステーション300を多数配置する必要はなく、測位衛星200からの位置情報の取得が困難な領域にのみトータルステーション300を配置すれば足りる。
図3図4の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1図2の第1実施形態と同様である。
【0059】
次に、図5図6を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、測位衛星200からの情報及び慣性センサ1からの情報に基づいて転圧機械100の移動軌跡を決定するが、第1実施形態と異なり、トータルステーションは備えていない。
図5において、第1実施形態と同様な機器や部品については、図1と同様な符号を用いている。そして図5においても、転圧機械は全体を符号100で表示されている。
上述した様に、図5の第3実施形態ではトータルステーション300、トータルステーション受信装置4、トータルステーション300からの光波を受光する受光装置7、トータルステーション受信装置4に連通する信号伝達ラインは備えていないが、それ以外の構成は図1の第1実施形態と同様であるので、重複説明は省略する。
【0060】
図5で示す転圧機械100の移動軌跡を決定する制御について、主として図6を参照して説明する。
図6では、図2におけるステップS2、S6、S7に相当するステップが存在しないが、その他については、図2と同様である。
図6におけるステップS31は図2のステップS1と同様であり、測位衛星200からの位置情報を受信している。
【0061】
ステップS32は図2のステップS3に相当し、方位用慣性センサ1Aからの情報及び角速度用慣性センサ1Bからの情報(速度及び距離に関する情報)を受信する。
次に、ステップS33は図2のステップS4に相当し、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが予め設定された所定の受信レベル以上か否かを判断する。測位衛星200からの位置情報の受信レベルが所定の受信レベル以上である場合には(ステップS33がYES)、測位衛星200からの位置情報により転圧機械100の位置と移動軌跡を決定することが出来ると判断して、ステップS34に進む。
【0062】
ステップS34は図2のステップS5に相当し、測位衛星200からの位置情報に基づき、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を「GPS座標系(緯度経度を用いた測地系)」において決定し、ステップS36に進む。
ステップS36は図2のステップS9に相当し、ステップS34で決定した現在位置と移動軌跡から求めた移動方向を保存する。
次のステップS37は、図2のステップS10に相当し、ステップS34で決定した転圧機械100の現在位置、移動軌跡、必要な情報(所定の転圧回数が得られない箇所の明示等)を表示装置6に表示する。
その後、ステップS31に戻り、この制御サイクルを繰り返す。
【0063】
一方、ステップS33で、測位衛星200からの位置情報の受信レベルが予め設定された所定の受信レベルよりも低い場合には(ステップS33がNO)、測位衛星200からの位置情報により転圧機械100の位置と移動軌跡を決定することができないと判断して、ステップS35に進む。
ステップS35は、図2のステップS8に相当し、角速度用慣性センサ1Bからの情報に基づき現サイクルにおける転圧機械100の移動距離を算出し、直前の制御サイクルで求めた転圧機械100の位置と、方位用慣性センサ1Aからの情報により求めた転圧機械100の移動方向と、上述した現サイクルにおける転圧機械100の移動距離から、転圧機械100の現在位置を決定し、移動軌跡を決定する。そしてステップS36に進む。
ステップS36は、ステップS35で決定された現在位置と移動軌跡を用いる点を除き、上述と同様である。ステップS37についても、上述の通りである。そしてステップS31に戻り、制御サイクルを繰り返す。
【0064】
図5及び図6に示す第3実施形態によれば、測位衛星200及び転圧機械100に設置された慣性センサ1から転圧機械100の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて当該転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定している。そのため、測位衛星200からの位置情報の取得が困難な状況においても、その位置と移動軌跡を決定することが出来るので、測位衛星200からの位置情報の取得が困難な領域においても、所定の転圧回数が得られない箇所の発生や過剰に転圧されてしまう箇所の発生を防止できる。
そして、基本的には測位衛星200から位置情報を取得し、測位衛星200からの位置情報の取得が困難となった場合にのみ、慣性センサ1から位置情報を取得する様に切り替えて、転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定している。したがって、慣性センサ1からの情報に基づいて転圧機械100の位置を特定する制御が行なわれるのは、転圧作業領域における極めて限定される領域だけであり、慣性センサ1による位置決定に際して誤差が積算されて、転圧機械100の位置決定に重大な支障を及ぼす恐れがない。
図5図6の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1図4の実施形態と同様である。
【0065】
次に、図7図8を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
第4実施形態では、トータルステーション300からの情報及び慣性センサ1からの情報に基づいて転圧機械100の移動軌跡を決定するが、第1実施形態と異なり、測位衛星200からの情報を受信して分析する機器は備えていない。
図7において、図1と同様な機器や装置には、図1と同様な符号を用いている。そして図7においても、第4実施形態に係る転圧管理システムで用いられる転圧機械は、全体を符号100で示されている。
上述した様に、第4実施形態では、測位衛星200、測位衛星200からの位置情報を受信する衛星情報受信装置3、衛星情報受信装置3に連通する信号伝達ラインは備えていないが、それ以外の構成は図1と同様であり、重複説明は省略する。
【0066】
次に、図7で示す転圧機械の移動軌跡を決定する制御について、主として図8を参照して説明する。
図8は、図2におけるステップS1、S4、S5に相当するステップが存在しない。
ステップS41は図2のステップS2に相当し、トータルステーション300からの位置情報を受信する。
ステップS42は図2のステップS3に相当し、方位用慣性センサ1A、角速度用慣性センサ1Bからの情報を受信する。
【0067】
ステップS43は図2のステップS6に相当し、トータルステーション300から位置情報を受信しているか否かを判断する。
トータルステーション300から位置情報を受信していれば(ステップS43がYES)、トータルステーション300からの位置情報により転圧機械100の位置と移動軌跡を判断することができると判断して、ステップS44に進む。
【0068】
ステップS44は図2のステップS7に相当し、トータルステーション300からの位置情報に基づき、転圧機械100の現在位置と移動軌跡を「ローカル座標系(TS座標系)」において決定する。そして、ステップS46に進む。
ステップS46は図2のステップS9に相当し、ステップS44で決定した現在位置と移動軌跡から求めた移動方向を保存する。
次に、ステップS47では、転圧機械100の現在位置、移動軌跡、必要な情報(転圧足箇所の明示等)を表示装置6に表示する。
その後、ステップS41に戻り、この制御サイクルを繰り返す。
【0069】
一方、ステップS43で、トータルステーション300から位置情報が受信できない場合には(ステップS43がNO)、トータルステーション300からの位置情報により転圧機械100の位置と移動軌跡を判断することはできないと判断して、ステップS45に進む。
ステップS45は図2のステップS8に相当し、角速度用慣性センサ1Bからの情報に基づき現サイクルにおける転圧機械100の移動距離を算出し、直前の制御サイクルで求めた転圧機械100の位置と、方位用慣性センサ1Aからの情報により求めた転圧機械100の移動方向と、上述した現サイクルにおける転圧機械100の移動距離から、転圧機械100の現在位置を決定し、移動軌跡を決定する。そしてステップS46に進む。
ステップS46では、転圧機械100の現在位置と移動軌跡がステップS45で決定された点を除き、上述と同様である。ステップS47も上述と同様である。
【0070】
図7及び図8に示す第4実施形態によると、トータルステーション300及び転圧機械100に設置された慣性センサ1から転圧機械100の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて当該転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定している。そのため、トータルステーション300からの位置情報の取得が困難な状況においても、その位置と移動軌跡を決定して転圧機械100の位置と軌跡を決定することができて、トータルステーション300からの位置情報の取得が困難な領域においても、所定の転圧回数が得られない箇所の発生や過剰に転圧されてしまう箇所の発生を防止できる。
【0071】
そして、基本的にはトータルステーション300から位置情報を取得し、トータルステーション300からの位置情報の取得が困難となった場合にのみ、慣性センサ1からの位置情報により転圧機械100の位置を特定し、移動軌跡を決定するので、慣性センサ1による位置決定に際して誤差が積算されて、転圧機械100の位置決定に重大な支障を及ぼす恐れがない。
図7図8の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1図6の実施形態と同様である。
【0072】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、全地球航法衛星システムとしてGPSを例示しているが、その他のシステム用いることや、GPSとその他のシステムを併せて用いることも可能である。
さらに、信号伝達ラインL1〜L6の一部を無線による信号伝達系統に返還することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1・・・慣性センサ
1A・・・方位用慣性センサ
1B・・・角速度用慣性センサ
3・・・衛星情報受信装置
4・・・トータルステーション無線受信装置
5・・・慣性センサ受信装置
6・・・表示装置
7・・・受光装置
7A・・・全周プリズム
8・・・走行装置
20・・・コントロールユニット(制御装置)
100・・・転圧機械
200・・・測位衛星
300・・・トータルステーション
L1〜L6・・・信号伝達ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8