特許第6667967号(P6667967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6667967MET阻害剤に対する感受性予測用の新規なバイオマーカー及びその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6667967
(24)【登録日】2020年2月28日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】MET阻害剤に対する感受性予測用の新規なバイオマーカー及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6851 20180101AFI20200309BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20200309BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20200309BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20200309BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20200309BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20200309BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20200309BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200309BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20200309BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20200309BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20200309BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200309BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20200309BHJP
【FI】
   C12Q1/6851 Z
   G01N33/50 PZNA
   G01N33/68
   A61K45/06
   A61K48/00
   A61K31/7105
   A61K31/713
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P1/04
   A61P11/00
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
   C12N15/113 110Z
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-504723(P2017-504723)
(86)(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公表番号】特表2017-529831(P2017-529831A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】KR2015007965
(87)【国際公開番号】WO2016018088
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年6月21日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0096636
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518186230
【氏名又は名称】ウェルマーカー バイオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ジン ドン フン
(72)【発明者】
【氏名】ホン スン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ムン ジェ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】シン ジェ シク
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ミ
(72)【発明者】
【氏名】イ デ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ ウン ユン
(72)【発明者】
【氏名】イ スル
【審査官】 清野 千秋
(56)【参考文献】
【文献】 GENOMICS,1998年,48,157-162
【文献】 落合 淳志,薬剤感受性の病理診断,別冊・医学のあゆみ がん分子病理診断の新展開,2010年,78-82
【文献】 鬼島 宏,薬剤耐性,日本臨床(増刊)大腸がんの診断と治療,2003年,第61巻,303-309
【文献】 原田 大志,肺癌と薬剤耐性,日本臨床(増刊)肺癌の診断と治療,2002年,第60巻,317-321
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6851
A61K 31/7105
A61K 31/713
A61K 45/06
A61K 48/00
A61P 1/04
A61P 11/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
C12N 15/113
G01N 33/50
G01N 33/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Immunoglobulin superfamily member 1(IGSF1)遺伝子(NM_001555.2)の発現水準、または、そのタンパク質の発現水準を測定するための薬剤を含む、HGF(Hepatocyte Growth Factor)−非依存的(independent)に活性化されたMET(mesenchymal−epithelial transition factor)を有する対象の、MET(mesenchymal−epithelial transition factor)阻害剤に対する感受性予測用組成物。
【請求項2】
前記活性化が、Immunoglobulin Superfamily member 1(IGSF1)遺伝子(NM_001555.2)およびMesenchymal−Epithelial Transition factor(MET)遺伝子(NM_001127500.1)の同時発現により誘導された、METのリン酸化であることを特徴とする、請求項に記載のMET阻害剤に対する感受性予測用組成物。
【請求項3】
前記MET阻害剤が、adrenocorticotropic hormone(ACTH)―生成腫瘍、急性リンパ球性白血病または急性リンパ芽球性白血病、急性又は慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、膀胱ガン、脳腫瘍、乳ガン、子宮頸ガン、慢性骨髓性白血病、リンパ腫、子宮内膜症、食道ガン、膀胱ガン、ユーイング肉腫(Ewing’s sarcoma)、舌ガン、ホジキンスリンパ腫、カポジ肉腫、腎ガン、肝(肝臓)ガン、肺ガン、中皮腫、多発性骨髓腫、神経芽細胞腫、非ホジキンスリンパ腫、骨肉腫、卵巣ガン、乳腺ガン、前立腺ガン、膵腸ガン、大腸ガン、ペニスガン、網膜芽細胞腫(retinoblastoma)、皮膚ガン、胃ガン、甲状腺ガン、子宮ガン、精巣ガン、ウィルムス腫瘍及び栄養膜腫瘍(Trophoblastoma)からなる群より選択された1種以上のがんを治療するための治療剤であることを特徴とする、請求項に記載のMET阻害剤に対する感受性予測用組成物。
【請求項4】
MET阻害剤が、抗−MET抗体、デコイMET受容体(decoy MET receptors)、METペプチド拮抗剤、優性(dominant)ネガティブMET突然変異、MET特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム、及び選択的小分子METキナーゼ抑制剤からなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項に記載のMET阻害剤に対する感受性予測用組成物。
【請求項5】
遺伝子の発現水準を測定するための薬剤が、前記遺伝子のmRNAに特異的に結合する、アンチセンスのオリゴヌクレオチド、プライマー対またはプローブを含むことを特徴とする、請求項に記載のMET阻害剤に対する感受性予測用組成物。
【請求項6】
遺伝子の発現水準を測定するための薬剤が、前記タンパク質に特異的に結合する、抗体、ペプチドまたはヌクレオチドを含むことを特徴とする、請求項に記載のMET阻害剤に対する感受性予測用組成物。
【請求項7】
請求項1、2乃至6のいずれか一項に記載の組成物を含む、MET阻害剤に対する感受性予測用キット。
【請求項8】
活性成分として、immunoglobulin superfamily member 1(IGSF1)遺伝子(NM_001555.2)の発現、または、そのタンパク質の発現或いは活性を抑制するための阻害剤を含む、esenchymal−epithelial transition factor(MET)阻害剤に対する、HGF(Hepatocyte Growth Factor)−非依存的(independent)に活性化されたMETを有する対象の感受性を増進するための増進剤。
【請求項9】
前記増進剤が、Mesenchymal−Epithelial Transition factor(MET)遺伝子(NM_001127500.1)の発現、または、そのタンパク質の発現或いは活性を抑制するための阻害剤をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の増進剤。
【請求項10】
前記阻害剤が、
siRNA(small interference RNA)、
shRNA(short hairpin RNA)、
miRNA(microRNA)、
リボザイム(ribozyme)、
DNAzyme、
PNAs(peptide nucleic acids)、
アンチセンスオリゴヌクレオチド、
抗体、
アブタマー、
天然抽出物および
化学物質
からなる群より、選択された、すくなくとも1種以上含む、請求項8または9に記載の増進剤。
【請求項11】
前記miRNA(microRNA)が、
配列番号1の塩基配列を含むmiR−34a;または
配列番号2の塩基配列を含むmiR−34c
であることを特徴とする、請求項10に記載の増進剤。
【請求項12】
前記siRNA(small interference RNA)が、
配列番号3の塩基配列を含むIGSF1 siRNA、
配列番号4の塩基配列を含むIGSF1 siRNAまたは、
配列番号5の塩基配列を含むMET siRNAであり;そして、
前記shRNA(short hairpin RNA)が、
配列番号6の塩基配列を含むIGSF1 shRNAまたは、
配列番号7の塩基配列を含むMET shRNA、
であることを特徴とする、請求項10に記載の増進剤。
【請求項13】
HGF(Hepatocyte Growth Factor)−非依存的(independent)に活性化されたMET(mesenchymal−epithelial transition factor)を有する対象の、Mesenchymal−Epithelial Transition factor(MET)阻害剤に対する感受性の予測に関する情報を提供するための方法であって、
生物学的試料内の、Immunoglobulin Superfamily member 1(IGSF1)遺伝子(NM_001555.2)の発現水準またはそのタンパク質の発現を、インビトロで測定する工程を含み、
ここで、IGSF1遺伝子の発現水準またはそのタンパク質の発現水準が、対照群に比べて高発現の場合、対象のMET阻害剤に対する感受性があると判定する。
【請求項14】
試料中の前記HGF遺伝子またはそのタンパク質が、対照群と比較して、低発現又は非発現された場合、対象は、MET阻害剤に対する感受性があると判定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Mesenchymal−Epithelial Transition factor(MET)遺伝子(NM_001127500.1)又はそのタンパク質が、対照群に比べて高発現されている場合には、対象は、MET阻害剤に対する感受性があると判定する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
活性成分として、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の感受性増進のための増進剤およびMET阻害剤を含む、Mesenchymal−Epithelial Transition factor(MET)シグナル伝達経路の調節異常に関連した疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大韓民国保健福祉部の支援下で課題番号1420030により行われたものであって、前記課題の研究管理専門機関はガン征服推進研究開発事業団、研究事業名は“ガン征服推進研究開発事業”、研究課題名は“大腸ガン患者におけるセツキシマブ(cetuximab)抵抗性を克服する新しい治療法の開発及び生物標識者(Biomarker)の発掘”、主管機関はソウル牙山(アサン)病院、研究期間は2014年05月01日〜2017年04月30日である。
【0002】
本発明は、大韓民国保健福祉部の支援下で課題番号HI06C0868により行われたものであって、前記課題の研究管理専門機関は韓国保健産業振興院、研究事業名は“先導型特性化研究事業”、研究課題名は“受容体チロシンキナーゼ(Receptor Tyrosine Kinase; RTK)を標的にする革新抗ガン剤の開発”、主管機関はソウル牙山病院の先導型ガン研究事業団、研究期間は2011年12月01日〜2016年11月30日である。
【0003】
本発明は、MET阻害剤に対する感受性予測用の新規なバイオマーカー及びその用途に関する。
【背景技術】
【0004】
一般的に、抗ガン療法において、抗ガン剤を投与した時の生体の反応性は、薬剤の標的になるガン細胞の該薬剤に対する感受性に大きく依存する。このようなガン細胞の薬剤に対する感受性は、ガン細胞毎に大きく異なっている。このような感受性の違いは、該薬剤の標的分子又はそれに関連する因子の量的又は質的な差、或いは薬剤耐性の獲得などに起因する。このような背景を根拠にして、標的になるガン細胞が薬剤に対して感受性を呈する場合に、特異的に現われるガン細胞の遺伝的変化を確認し得ると、早期に薬剤の効果判定、治療法の確立、新しい治療法の選択などが可能になって、極めて有益である。また、治療に先立って生体組織片などにより取得されたガン組織から、通常の方法に従ってガン細胞を分離した後、薬剤処理を実施して、該ガン細胞が薬剤感受性を持つか否かを前記変化により測定すれば、該薬剤による治療が有効であるかどうかを予め予測することができるため、臨床的に非常に有用である。
【0005】
即ち、このような抗ガン剤は、耐性と毒性とについて個人差が大きく、同一の患者であっても約半数以上で耐性を見せる問題があるため、適合する治療反応性標識者(marker)を用いた選別は、抗ガン剤治療の画期的な進歩をもたらすことができる。
【0006】
そのため、特定の遺伝子に応じる個別抗ガン剤の治療反応性に関する研究が、最近になって持続的に活発に展開されている。
【0007】
しかし、特定の薬剤に対する生体反応関連要素の複合的作用、治療剤及び投与方式の多様性、並びに、膨大な試料確保の困難さから、未だ刮目に値する成果が微弱な現状である。
【0008】
一方、細胞調節が実施される主要メカニズムのうちの一つは、細胞内で生化学的経路を順次調整して、細胞外シグナルを伝達するものである。タンパク質リン酸化とは、分子から分子まで細胞内シグナルを伝達させて、最終的に細胞反応を図る一つの過程のことを指す。これらのシグナル伝達連続段階は、多数のタンパク質キナーゼだけではなく、リン酸分解酵素の存在から明らかになるように、高度に調節され、度々重複する。リン酸化は、細胞内に非常に偏在されている過程であり、細胞の表現型は、このような経路の活性度により大きく影響を受けるため、現在、大多数の疾病状態及び/又は疾病は、キナーゼ連続段階の分子成分における異常活性化又は機能性突然変異に起因したものであると思われている(Weinstein-Oppenheimer et al. Pharma. &. Therap.、2000、88、229〜279)。
【0009】
その中で、MET(c-MET)は、細胞の表面に存在する代表的な受容体チロシンキナーゼ(Receptor Tyrosine Kinase; RTK)であって、多くの種類のガンにおいて過発現されており、特に、METの過発現のある患者たちは、ガンの治療予後の悪い場合が大部分である。
【0010】
このようなガンにおけるMETシグナル伝達は、二つの方法で活性化され得る: (i)MET活性化は、そのリガンドである肝細胞成長因子(Hepatocyte Growth Factor; HGF)と結合して、細胞内シグナル伝逹を促進するHGF-依存的メカニズム; 或いは、(ii)MET遺伝子の増幅又はMET遺伝子の突然変異のようなHGF-非依存的メカニズムによって媒介される。
【0011】
しかし、一般的にMETをターゲットにして開発された大部分の阻害剤は、HGF-依存的メカニズムによるMET活性化に焦点を合わせて進行されたものであり、現在、 HGF-非依存的メカニズムで媒介されたMET活性化に起因して発生したガンのような疾患に対するバイオマーカーを活用した治療法は、知られたところが無い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような状況下で、本発明者等は、HGF-非依存的メカニズムにより媒介されたMET活性化に起因するガンから、MET阻害剤に対する感受性を予測し得るバイオマーカーを開発するために、鋭意努力した。その結果、胃ガン及び肺ガンにおけるMET阻害剤に対する感受性を予測するバイオマーカーとして、IGSF1及びMET遺伝子及び/又はタンパク質の発現様相を分析したし、胃ガン及び肺ガン細胞株でIGSF1及びMET遺伝子を抑制させた時、ガン細胞の生存率、転移性及び移動性が有意に減少したことを確認することで、本発明を完成するに至った。
【0013】
それで、本発明の目的は、MET阻害剤に対する感受性予測用バイオマーカーを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、MET阻害剤に対する感受性予測用組成物を提供することにある。
【0015】
また、本発明のさらに他の目的は、MET阻害剤に対する感受性予測用キットを提供することにある。
【0016】
また、本発明のさらに他の目的は、MET阻害剤に対する感受性増進剤を提供することにある。
【0017】
なお、本発明のさらに他の目的は、MET阻害剤に対する感受性予測方法を提供することにある。
【0018】
なお、本発明のさらに他の目的は、MET阻害剤に対する感受性の増進方法を提供することにある。
【0019】
なお、本発明のさらに他の目的は、METシグナル伝達経路の調節異常に関連した疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下、本発明について、より詳細に説明する。
【0021】
本発明の一態様によれば、本発明は、IGSF1(Immunoglobulin Superfamily member 1、NM_001555.2)遺伝子を含む、MET阻害剤に対する感受性予測用バイオマーカーを提供する。
【0022】
本発明の最っとも大きな特徴は、IGSF1遺伝子及びその産物であるタンパク質をバイオマーカーとして用いて、MET阻害剤に対する感受性を予測することにある。
【0023】
本発明のバイオマーカーは、MET阻害剤である抗ガン剤に対する感受性の指標になり得、抗ガン剤に対する感受性マーカーとしての正確性及び信頼度も卓越しているので、ガンの発生、発展及び/又は転移の治療に利用され得る。
【0024】
本明細書中で使用されている用語“感受性”は、個々の患者のガンに対して特定の薬物が効果を現わすか否かを意味している。
【0025】
例えば、前記特定の薬物は主として抗ガン剤であり、これらの抗ガン剤には、ガンの種類に応じて効果を現わす場合と、効果を現わさない場合とがある。また、有効なものと認められている種類のガンであっても、個々の患者に応じて効果を現わす場合と、効果を現わさない場合とがあることが知られている。このような個々の患者のガンに対して抗ガン剤が効果を現わすか否かを、抗ガン剤感受性であると言う。よって、本発明に従って、治療の開始前に効果を期待し得る患者(反応者)と、効果を期待し得ない患者(無反応者)とを予測し得ると、有効性及び安全性の高い化学療法を実現することができる。
【0026】
本明細書中で使用されている用語“予測”は、本願において対象患者が薬物又は薬物セットに対して有利に又は不利に反応する可能性を称するのに使用される。一実施の態様において、予測はこのような反応の程度に関するものである。例えば、予測は、患者が処置後、例えば特定の治療剤の処置及び/又は原発性腫瘍の手術的除去及び/又は特定期間の間の化学療法後に、ガンが再発することなく生存するか否か、及び/又は生存確率に関するものである。本発明の予測は、大腸ガン患者に対する一番適切な治療方式を選択することで、治療を決める上で臨床的に使用され得る。本発明の予測は、患者が治療処置、例えば与えられた治療的な処置、例えば与えられた治療剤又は組合物の投与、手術的介入、化学療法などに有利に反応するか否か、又は、治療的処置後に患者の長期生存が可能であるかどうかを予測する上で有用な道具である。
【0027】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記METは、HGF(Hepatocyte Growth Factor)-非依存的(independent)に活性化されたものである。
【0028】
MET活性化は、そのリガンドである肝細胞成長因子(Hepatocyte Growth Factor; HGF)と結合して、細胞内シグナル伝逹を促進するHGF-依存的メカニズム; 或いは、MET遺伝子の増幅又はMET遺伝子の突然変異のようなHGF-非依存的メカニズムによって媒介される。本発明のMETは、HGF-非依存的メカニズムによって活性化されたものであって、HGF遺伝子及び/又はその産物であるタンパク質が非発現(発現されない)又は低発現される。
【0029】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記活性化は、IGSF1(Immunoglobulin Superfamily member 1)及びMET(Mesenchymal-Epithelial Transition factor、NM_0011275000.1)遺伝子の同時発現によりMETリン酸化が誘導されたものである。
【0030】
したがって、本発明によれば、本発明のマーカーは、METがHGF-非依存的メカニズムにより活性化される場合、MET阻害剤に対する感受性を予測するものであって、HGFが高発現されるガン細胞に対しては所望の効果が得られない場合に適用することができる。
【0031】
即ち、本発明のバイオマーカーは、HGF遺伝子及び/又はその産物であるタンパク質が非発現又は低発現されるガン細胞又はガンを持つ客体を対象にして、細胞内における前記遺伝子の発現水準を確認する。
【0032】
本発明の他の態様によれば、本発明は、IGSF1(Immunoglobulin Superfamily member 1、NM_001555.2)遺伝子の発現水準; 又は、そのタンパク質の発現水準を測定する製剤を含む、MET阻害剤に対する感受性予測用組成物を提供する。
【0033】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明のMETは、HGF-非依存的メカニズムによって活性化されたものであって、HGF遺伝子及び/又はその産物であるタンパク質が非発現又は低発現される。
【0034】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記活性化は、IGSF1(Immunoglobulin Superfamily member 1)及びMET(Mesenchymal-Epithelial Transition factor、NM_001127500.1)遺伝子の同時発現によって METリン酸化が誘導されたものである。
【0035】
したがって、本発明によれば、本発明の組成物は、METがHGF-非依存的メカニズムにより活性化される場合、MET阻害剤に対する感受性を予測するものであって、HGFが高発現されるガン細胞には所望の効果が得られない場合に適用することができる。
【0036】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記MET阻害剤は、ACTH(adrenocorticotropic hormone)生成腫瘍、急性リンパ球性又はリンパ芽球性白血病、急性又は慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、膀胱ガン、脳腫瘍、乳ガン、子宮頸ガン、慢性骨髓性白血病、リンパ腫、 子宮内膜症、食道ガン、 膀胱ガン、ユーイング肉腫(Ewing's sarcoma)、舌ガン、ホプキンスリンパ腫、カポジ肉腫、腎ガン、肝(肝臓)ガン、肺ガン、中皮腫、多発性骨髓腫、神経芽細胞腫、非ホプキンスリンパ腫、骨肉腫、卵巣ガン、乳腺ガン、前立腺ガン、膵臓ガン、大腸ガン、ペニスガン、 網膜芽細胞腫(retinoblastoma)、皮膚ガン、胃ガン、甲状腺ガン、子宮ガン、精巣ガン、ウィルムス腫瘍及び栄養膜腫瘍(Trophoblastoma)からなる群より選択された1種以上のガンに対する治療剤である。より望ましくは、ACTH生成腫瘍、急性リンパ球性又はリンパ芽球性白血病、急性又は慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、膀胱ガン、脳腫瘍、乳ガン、子宮頸ガン、慢性骨髓性白血病、腸ガン、Tゾーンリンパ腫、子宮内膜症、食道ガン、胆汁膀胱ガン、ユーイング肉腫(Ewing's sarcoma)、舌ガン、ホプキンスリンパ腫、カポジ肉腫、腎ガン、肝(肝臓)ガン、肺ガン、中皮腫、多発性骨髓腫、神経芽細胞腫、 非ホプキンスリンパ腫、骨肉腫、卵巣ガン、神経芽細胞腫、 乳腺ガン、子宮頸ガン、前立腺ガン、膵腸ガン、大腸ガン、ペニスガン、網膜芽細胞腫、皮膚ガン、胃ガン、甲状腺ガン、子宮ガン、精巣ガン、ウィルムス腫瘍、又は栄養膜腫瘍(Trophoblastoma)であり、最も望ましくは、肺ガン又は胃ガンである。
【0037】
本発明において、前記MET阻害剤は抗ガン剤を意味しており、抗ガン効果を現わす限り、如何なるMET阻害剤も適用することができ、望ましくは、抗-MET抗体、誘引 MET受容体、METペプチド拮抗剤、優性(dominant)ネガティブMET突然変異、MET特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム、及び選択的小分子METキナーゼ抑制剤からなる群より選択された1種以上である。
【0038】
本明細書中において特別な断りがない限り、本明細書中で使用される表現“遺伝子の発現水準; 又はそのタンパク質の発現水準の測定”は、当該試料内で検出しようとする対象を検出することを意味している。本発明においては、その検出しようとする対象は、試料内の当該遺伝子のmRNA及び/又はタンパク質である。つまり、遺伝子の転写産物であるRNA又は遺伝子産物であるタンパク質を検出することで、前記遺伝子の発現有無を確認することができる。
【0039】
RNA又はタンパク質の検出は、通常的には、試料からRNA又はタンパク質を抽出し、その抽出物中のRNA又はタンパク質を検出することで実施することができる。このようなRNA又はタンパク質の検出は、免疫分析学的方法、ハイブリッド化反応及び増幅反応により測定され得るが、それに限定されることなく、当業界において公知になった多様な技術を用いて容易に実施することができる。
【0040】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記遺伝子の発現水準を測定する製剤は、前記遺伝子のmRNAに特異的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド、プライマー対又はプロブを含む。
【0041】
前記mRNAの発現有無を測定する製剤は、前記遺伝子に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、プライマー対、プロブ及びそれらの組合せからなる群より選択される。つまり、核酸の検出は、遺伝子を暗号化する核酸分子、又は前記核酸分子の相補物にハイブリッド化される一つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーを使用する増幅反応によリ行われ得る。
【0042】
例えば、プライマーを用いたmRNAの検出は、PCRのような増幅方法を使用して、遺伝子配列を増幅した後、当該分野にて公知の方法で遺伝子増幅の有無を確認することで行われ得る。
【0043】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記タンパク質の発現水準を測定する製剤は、前記タンパク質に特異的に結合する抗体、ペプチド又はヌクレオチドを含む。
【0044】
前記タンパク質の発現水準を測定する製剤は、前記タンパク質に対して特異的に結合する抗体を意味しており、多クロン抗体、単クロン抗体、再組合せ抗体及びそれらの組合せを全て含む。
【0045】
前記抗体は、多クロン抗体、単クロン抗体、再組合せ抗体、並びに、2個の全長軽鎖及び2個の全長重鎖を有する完全な形態だけではなく、さらに、抗体分子の機能的な断片、例えば、Fab、F(ab')、F(ab')2及びFvを全て含む。抗体生産は、本発明の属する分野にて広く公知になった技術を用いて容易に製造することができ、製造されて商業的に販売される抗体を用いることができる。
【0046】
本発明の組成物は、上述した遺伝子の発現有無を測定する製剤のみならず、抗原-抗体複合体の形成を定量的に又は定性的に測定可能にするラベル、免疫学的分析に使用される通常的な道具、試薬などをさらに含むことができる。
【0047】
抗原-抗体複合体の形成を定性的に又は定量的に測定可能にするラベルとしては、酵素、蛍光物、リガンド、発光物、微小粒子(microparticle)、酸化還元分子及び放射性同位元素などがあり、必ずそれに限定されるものではない。検出ラベルとして利用可能な酵素としては、β-グルクロニダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘキソキナーゼとGDPase、RNase、グルコースオキシダーゼとルシフェラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ホスホエノールピルビン酸デカルボキシラーゼ、β-ラクタマーゼなどがあり、それに限定されない。蛍光物としては、 フルオレシン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、フルオレスカミンなどがあり、それに限定されない。リガンドとしては、ビオチン誘導体などがあり、それに限定されない。発光物としては、アクリジニウムエステル、ルシフェリン、ルシフェラーゼなどがあり、それに限定されない。微小粒子としては、コロイド金、着色されたラテックスなどがあり、それに限定されない。酸化還元分子としては、フェロセン、ルテニウム錯化合物、ビオロゲン、キノン、Tiイオン、Csイオン、ジイミド、1,4-ベンゾキノン、ハイドロキノン、K4W(CN)8、[Os(bpy)3]2+、[RU(bpy)3]2+、 [MO(CN)8]4-などがあり、それに限定されない。放射性同位元素としては、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、186Reなどがあり、それに限定されない。
【0048】
前記道具又は試薬の一例として、適合する担体、溶解剤、洗浄剤、緩衝剤、安定化剤などが含まれるが、それに限定されない。標識物質が酵素の場合には、酵素活性を測定し得る基質及び反応停止剤を含むことができる。担体は、可溶性担体、不溶性担体があり、可溶性担体の一例として、当該分野にて公知の生理学的に許容される緩衝液、例えばPBSがあり、不溶性担体の一例として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサカライド、その他紙、硝子、金属、アガロース及びそれらの組合せであり得る。
【0049】
本発明の組成物は、上述したバイオマーカーを有効成分として含むので、重複する内容は、本明細書があまり複雑になることを避けるために、その記載を省略する。
【0050】
本発明の他の態様によれば、本発明は、前記組成物を含む、MET阻害剤に対する感受性予測用キットを提供する。
【0051】
前記キットには、前記遺伝子の発現; 又は、前記遺伝子のタンパク質の発現水準を測定する製剤のみならず、免疫学的分析に使用される当該分野にて一般的に使用される道具、試薬などが含まれ得る。
【0052】
前記道具又は試薬の一例として、適合する担体、検出可能なシグナルを生成し得る標識物質、発色団(chromophores)、溶解剤、洗浄剤、緩衝剤、安定化剤などが含まれるが、それに限定されない。標識物質が酵素の場合には、酵素活性を測定し得る基質及び反応停止剤を含むことができる。担体は、可溶性担体、不溶性担体があり、可溶性担体の一例として、当該分野にて公知の生理学的に許容される緩衝液、例えばPBSがあり、不溶性担体の一例として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサカライド、ラテックスに金属をメッキした磁性微粒子のような高分子、その他紙、硝子、金属、アガロース及びそれらの組合せであり得る。
【0053】
本発明のキットは、上述したバイオマーカー及び組成物を構成として含むので、重複する内容は、本明細書があまり複雑になることを避けるために、その記載を省略する。
【0054】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、IGSF1(Immunoglobulin Super family member 1、NM_001555.2)遺伝子の発現; 又は、前記遺伝子のタンパク質の発現或いは活性を抑制する抑制剤を有効成分として含む、対象のMET(Mesenchymal-Epithelial Transition factor)阻害剤に対する感受性増進剤又は感受性増進用組成物を提供する。
【0055】
本発明の望ましい具現例によれば、前記増進剤又は増進用組成物は、MET(Mesenchymal-Epithelial Transition factor、NM_001127500.1)遺伝子の発現; 又は、前記遺伝子のタンパク質の発現或いは活性を抑制する抑制剤をさらに含む。
【0056】
本発明において、前記対象は、HGF(Hepatocyte Growth Factor)-非依存的(independent)にMETが活性化(リン酸化)された場合、MET阻害剤に対する感受性を増進させるものであって、HGF(Hepatocyte Growth Factor)-依存的(independent)にMETが活性化(リン酸化)されたガン細胞には所望の効果が得られない場合に適用することができる。
【0057】
即ち、本発明のIGSF1及び/又はMET遺伝子の発現; 又は、前記遺伝子のタンパク質の発現或いは活性を抑制する抑制剤は、METのリン酸化を減少させ、ガン細胞の移動性及び転移性を減少させて、卓越した抗ガン効果を現わすことができる。
【0058】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記抑制剤は、siRNA(small inter
ference RNA)、shRNA(short hairpin RNA)、miRNA(microRNA)、リボザイム(ribozyme)、DNAzyme、PNA(peptide nucleic acids)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、アブタマー、天然抽出物及び化学物質からなる群より選択された1種以上である。より望ましくは、前記遺伝子のmRNAに特異的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド、アブタマー、siRNA(small interference RNA)、shRNA(short hairpin RNA)又はmiRNA(microRNA)であり、最も望ましくは、siRNA(small interference RNA)、shRNA(short hairpin RNA)又はmiRNA(microRNA)である。
【0059】
本明細書中で使用されている用語“miRNA(microRNA)”は、mRNAの3'非翻訳領域(UTR)部位との塩基結合を通じて、転写後に抑制者役目をするほぼ22 ntの非翻訳RNAを意味している。miRNAの製造方法としては、特に限定されなく、当業界にて公知の方法を使用することができる。
【0060】
本発明の望ましい具現例によれば、前記miRNA(microRNA)は、配列番号1の塩基配列を含むMiR34a; 又は配列番号2の塩基配列を含むmiR34cである。
【0061】
本明細書中で使用されている用語“siRNA”は、二本鎖のRNAがダイサー(Dicer)により切断されて生成される21~25ヌクレオチドサイズのRNA小片であって、相補的な配列を有するmRNAに特異的に結合して発現を抑制するものを言う。本発明の目的上、mRNAに特異的に結合して前記遺伝子の発現を抑制することを意味している。siRNAは、化学的に又は酵素学的に合成され得る。siRNAの製造方法としては特に限定されることなく、当業界にて公知の方法を使用することができる。
【0062】
本明細書中で使用されている用語“shRNA”は、45〜70ヌクレオチドの長さを有する一本鎖のRNAであって、ターゲット遺伝子siRNAの塩基配列のsenseと相補的なnonsenseとの間に3〜10個の塩基リンカーを連結するオリゴDNAを合成した後、プラスミドベクターにクローニングするか、又はshRNAをレトロウイルスであるレンチウイルス(lentivirus)及びアデノウイルス (adenovirus)に挿入して発現させると、ルーフ(loop)のあるヘアピン(hairpin)構造のshRNA(short hairpin RNA)が作られ、細胞内のダイサーによリsiRNAに転換されて、RNAi効果を現わすことを意味している。shRNA(small hairpin RNA)を含む発現コンストラクト/ベクターは、当該分野にて公知の方法で製造することができる。
【0063】
本発明の望ましい具現例によれば、前記siRNA(small interference RNA)は、配列番号3の塩基配列を含むIGSF1 siRNA、配列番号4の塩基配列を含むIGSF1 siRNA、又は配列番号5の塩基配列を含むMET siRNAであり; 前記shRNA(short hairpin RNA)は、配列番号6の塩基配列を含むIGSF1 shRNA、又は配列番号7の塩基配列を含むMET shRNAである。
【0064】
本発明によれば、ガン細胞のIGSF1遺伝子又はその産物であるタンパク質の発現を、RNAi方法(siRNA、shRNA、microRNA)で抑制させた場合、siRNA濃度-依存的にMETのリン酸化が減少される。
【0065】
また、本発明において、IGSF1及び/又はMET遺伝子、又はその産物であるタンパク質の発現が抑制されたガン細胞は、そのようでないガン細胞に比べて、生存率、移動性及び転移性(浸潤)が顕著に劣れる結果を示す。
【0066】
したがって、これは、IGSF1及び/又はMET遺伝子の発現; 又は、前記遺伝子のタンパク質の発現或いは活性抑制が、MET阻害剤に対するガン細胞の感受性を増進させるということを提示しており、それを基にして本発明は、対象のMET阻害剤に対する卓越した感受性増進の効果を提供する。
【0067】
本発明の感受性増進剤又は増進用組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。本発明に使用され得る薬学的に許容可能な担体は、通常的な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、その他添加剤、例えば、安定剤、緩和剤、乳化剤などを選択して使用することができる。例えば、賦形剤として、微結晶セルロース、乳糖(ラクトース)、低置換度ヒドロキシセルロースなどが使用され得、崩壊剤として、デンプングリコール酸ナトリウム、無水リン酸一水素カルシウムなどが使用され得る。結合剤としては、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが使用され得、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルクなどより選択して使用することができる。
【0068】
本発明の組成物は、上述したバイオマーカーの発現水準を用いて、EGFR-標的製剤に対する感受性を増進させるので、重複する内容は、本明細書があまり複雑になることを避けるために、その記載を省略する。
【0069】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、上述したMET阻害剤に対する感受性増進剤及びMET阻害剤を有効成分として含む、METシグナル伝達経路の調節異常に関連した疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0070】
本発明において、前記METシグナル伝達経路の調節異常に関連した疾患は、ガン、アテローム性動脈硬化症、肺纎維症、腎纎維症及び再生、肝疾患、アレルギー疾患、炎症疾患、自己免疫疾患、脳血管疾患、心血管疾患、又は気管移植に関連した症状であり、望ましくはガンである。
【0071】
即ち、本発明のMET阻害剤に対する感受性増進剤であるIGSF1及び/又はMET遺伝子の発現; 又は、前記遺伝子のタンパク質の発現或いは活性を抑制する抑制剤は、抗ガン剤に対する感受性を増加させ、これらの抗ガン剤とともに投与される場合、抗ガン剤の抗ガン作用を増加させることで、ガンの治療をさらに容易にすることができる。
【0072】
本発明の組成物による改善、予防又は治療対象疾病である“ガン(cancer)”は、細胞が正常な成長限界を無視して分裂及び成長する攻撃的(aggressive)特性、周辺組織に侵透する浸透的(invasive)特性、及び体内の他の部位へ広がる転移的(metastatic)特性を有する細胞による疾病を総称する意味である。本明細書中において、前記ガンは、悪性腫瘍(malignant tumor)と同一の意味としても使用される。
【0073】
本発明の組成物が適用され得るガンは、乳ガン(breast cancer)、肺ガン(lung cancer)、胃ガン(stomach cancer)、肝(肝臓)ガン(liver cancer)、血液ガン(blood cancer)、骨ガン(bone cancer)、膵腸ガン(pancreatic cancer)、皮膚ガン(skin cancer)、頭部又は頚部ガン(head or neck cancer)、皮膚又は眼球の黒色腫(cutane ous or intraocular melanoma)、子宮肉腫(uterine sarcoma)、卵巣ガン(ovarian cancer)、直腸ガン(rectal cancer)、肛門ガン(anal cancer)、大腸ガン(colon cancer)、卵管ガン(fallopian tube carcinoma)、子宮内膜ガン(endometrial
carcinoma)、子宮頸ガン(cervical cancer)、小腸ガン(small intestine cancer)、
内分泌ガン(endocrine cancer)、甲状腺ガン(thyroid cancer)、副甲状線ガン
(parathyroid cancer)、腎ガン(adrenal cancer)、軟組織腫瘍(soft tissue tumor)、尿道ガン(urethral cancer)、前立腺ガン(prostate cancer)、気管支ガン(bronchogenic cancer)、骨髓ガン(bone marrow tumor)などを含むが、それに限定されるものではない。
【0074】
望ましくは、本発明の組成物は、胃ガン又は肺ガンの予防又は治療に適用することができる。
【0075】
本明細書中における用語“予防” は、疾患又は疾病を保有していると診断されたことはないが、このような疾患又は疾病にかかりやすい傾向のある動物において、疾患又は疾病の発生を抑制することを意味している。本明細書における用語“治療”は、(i)疾患又は疾病の発展の抑制; (ii)疾患又は疾病の軽減; 及び、(iii)疾患又は疾病の除去を意味している。
【0076】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。
【0077】
本発明の薬学的組成物に含まれる薬学的に許容される担体は、製剤時に通常的に用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、それに限定されるものではない。本発明の薬学的組成物は、前記成分の他にも、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。適合する薬学的に許容される担体及び製剤は、 Remington's Pharmaceutical Sciences(19th ed.、1995)に詳細に記載されている。
【0078】
本発明の薬学的組成物の適合する投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因により多様に処方され得る。
【0079】
一方、本発明の薬学的組成物の投与量は、望ましくは、一日当りに0.0001〜100mg/kg(体重)である。
【0080】
本発明の薬学的組成物は、経口又は非経口で投与することができ、非経口で投与される場合、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。本発明の薬剤学的組成物は、適用される疾患の種類に応じて投与経路が決定されることが望ましい。
【0081】
本発明の組成物に含まれる有効成分である増進剤内の当該遺伝子又はそのタンパク質の発現抑制剤の濃度は、治療の目的、患者の状態、必要期間、疾患の危重度などを考慮して決定し、特定範囲の濃度に限定されない。
【0082】
本発明の薬学的組成物は、当該発明の属する技術の分野にて通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法に従って、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することで、単位容量形態で製造するか、又は多容量容器内に入れて製造することができる。そのとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態でもあり得、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
【0083】
本発明の組成物は、上述した感受性増進剤及び抗ガン剤であるMET阻害剤を用いて、ガン細胞の細胞死を向上させるので、重複する内容は、本明細書があまり複雑になることを避けるために、その記載を省略する。
【0084】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、次の段階を含むMET阻害剤に対する感受性予測方法を提供する: (a)対象から生物学的試料を用意する段階と; (b)前記生物学的試料内のIGSF1(Immunoglobulin Superfamily member 1、NM_001555.2)遺伝子の発現水準; 又はそのタンパク質の発現水準を測定する段階であって、
前記(b)段階において、IGSF1遺伝子の発現水準又はそのタンパク質の発現水準が対照群に比べて高発現の場合、対象のMET阻害剤に対する感受性があると判定する。
【0085】
本明細書中において特別な断りがない限り、本明細書中で使用されている用語“対照群”は、正常の健康な人の当該遺伝子又はそのタンパク質の発現水準; 或いは、比較対象である患者の当該遺伝子又はそのタンパク質の発現水準を意味している。
【0086】
本発明の予測方法は、対象患者から生物学的試料を獲得して、前記試料内でIGSF1の発現有無を測定した後、対照群試料と比べて、記載された遺伝子又はタンパク質の発現が増加した場合に、当該試料がMET阻害剤に対して感受性があると判定する工程を含んでなる。
【0087】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記対象は、HGF遺伝子又はそのタンパク質の発現水準が、対照群と比べて低発現又は非発現されたものである。
【0088】
また、本発明の望ましい具現例によれば、前記対象は、MET遺伝子又はそのタンパク質の発現水準が、対照群に比べて高発現されたのである。
【0089】
より詳細には、HGF遺伝子又はそのタンパク質の発現水準が、対照群と比べて低発現又は非発現され; IGSF1及びMET遺伝子又はこれらのタンパク質の発現水準が、対照群の値に比べて増加したと確認された場合、対象患者より獲得された当該腫瘍細胞が、抗ガン剤であるMET阻害剤に対して感受性があると判定するものである。
【0090】
即ち、HGF-非発現又は低発現患者からIGSF1遺伝子又はそのタンパク質の水準が高発現された場合、IGSF1遺伝子がMETの活性化を誘導するので、MET阻害剤に対する感受性を呈すると判断する。
【0091】
本明細書中において前記遺伝子の発現水準を言及中に使用されている用語“低発現”は、バイオマーカーが異常プロセス、疾患或いは個体内のその他病態を示すかその兆候である場合、健康な又は正常な個体或いは比較対象の個体より獲得された生物学的試料から検出されるバイオマーカーの値、もしくは、水準範囲よりも低い生物学的試料内のバイオマーカーの値或いは水準のことを称する。
【0092】
本明細書中において前記遺伝子の発現水準を言及中に使用されている用語“高発現”は、バイオマーカーが異常プロセス、疾患或いは個体内のその他病態を示すかその兆候である場合、健康な又は正常な個体或いは比較対象の個体より獲得された生物学的試料から検出されるバイオマーカーの値、若しくは、水準範囲よりも高い生物学的試料内のバイオマーカーの値或いは水準のことを称する。
【0093】
また、前記遺伝子の発現水準を言及中に使用される用語らは、バイオマーカーの“正常” 発現水準或いは値と比較して、“差動(differential)水準”或いは“差動値”を有するか、“異なって発現された”ものとして称され得、発現において定量的差異だけではなく定性的差異の両方を含む。
【0094】
本明細書中で使用されている用語“生物学的試料”は、本発明のバイオマーカーの発現が検出され得る個体から得られる全試料を意味している。
【0095】
本発明の望ましい具現例によれば、前記生物学的試料は、唾液(saliva)、生検(biopsy)、血液、皮膚組織、液体培養物、糞便及び小便からなる群より選択されたいずれか一つであり、特にそれに限定されることなく、本発明の技術の分野にて通常的に使用される方法で処理して用意することができる。
【0096】
本発明の方法は、上述したバイオマーカーを用いて感受性があると判定するので、重複する内容は、本明細書があまり複雑になることを避けるために、その記載を省略する。
【0097】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、上述したMET阻害剤に対する感受性増進剤及びMET阻害剤を、対象に共同投与する段階を含む、MET阻害剤に対する感受性の増進方法を提供する。
【0098】
本発明の方法は、上述した感受性増進剤及び抗ガン剤であるMET阻害剤を用いて感受性を増進させるので、重複する内容は、本明細書があまり複雑になることを避けるために、その記載を省略する。
【発明の効果】
【0099】
本発明のMET阻害剤に対する感受性予測用バイオマーカーを用いると、個々の患者の前記感受性を治療の開始前に確実に判定することができるため、治療効果の高い抗ガン剤の選択が可能になる。また、効果が得られない抗ガン剤の使用を回避することができるため、不要な副作用を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1a】HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーを同定する過程を示す。
図1b】HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーとして 、IGSF1(immunoglobulin superfamily member 1)を同定したMALDI-TOF分析の結果 を示す。
図2a】ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的(independent)METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の発現分析の結果を示す。
図2b】ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の発現分析の結果を示す。
図2c】ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETタンパク質間の結合分析の結果を示す。
図2d】ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMET間の具体的な結合位置、及び、METとIGSF1タンパク質間の結合分析の結果を示す。
図2e】ヒト胃ガン細胞株及び肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSFの発現抑制時におけるMETリン酸化変化を示す。
図2f】胃ガン細胞株においてIGSF1又はMETの発現変化に応じる調節機序分析の結果を示す。
図3a】ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時におけるガン細胞の成長抑制の結果を示す。
図3b】ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時におけるガン細胞の成長抑制の結果を示す。
図4a】ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時におけるガン細胞の転移性及び移動性抑制分析の結果を示す。
図4b】ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時におけるガン細胞の転移性抑制分析の結果を示す。
図5a】胃ガン細胞株でのIGSF1発現有無に応じるMET阻害剤の効能比較分析の結果を示す。
図5b】肺ガン細胞株でのIGSF1発現有無に応じるMET阻害剤の効能比較分析の結果を示す。
図6a】microRNAを用いたHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETの同時抑制確認の結果を示す。
図6b】HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによるIGSF1とMETとの発現変化の結果を示す。
図6c】HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによる細胞成長分析の結果を示す。
図6d】HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによる細胞転移性及び移動性抑制分析の結果を示す。
図6e】mir-34a及びmir-34cによるIGSF1とMETとの抑制をアンタゴミル(antagomir)で回復(recovery)誘導した結果を示す。
図7】胃ガン患者組織において、HGF-非依存的METリン酸化誘導因子 IGSF1とMETとの活性化発現が現われる比率を確認した結果、及び、代表的な患者サンプルの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
以下で、実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に従って本発明の範囲がこれらの実施例により限定されないことは、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明であるだろう。
【0102】
実験方法及び条件
HGF-非依存的METリン酸化誘導
HGF-非依存的ヒト胃ガン細胞株AGS細胞株に、MET野生型構造物(plasmid)を、48時間の間形質感染(transfection)させた後、細胞培養液を収去して、HGF elisa assay(R&D Systems、Inc、Minneapolis、MN, USA)を行った。細胞溶解物は収去して、METとIGSF1タンパク質の変化をウエスタンブロットで検証した。
【0103】
免疫沈降法及びMALDI-TOFF
HGF-非依存的なMET活性化に関連した遺伝子を同定するために、ヒト胃ガンAGS細胞株に、MET野生型プラスミドを、48時間の間過発現させた後、細胞溶解物を収去した。ヒト胃ガン細胞株の溶解液500μgを、抗-pMET抗体1μgと混合した後、4℃で12時間の間培養した後、Protein-Sepharose bead(Santa Cruz Biotehcnology、 Santa Cruz、CA、USA)20μlを添加した後、2時間の間追加反応した。免疫沈降物を緩衝液(Nondiet P-40 lysis buffer)で5回洗浄した後、2XSDSサンプル溶液を20μl添加して加熱した後、SDS-PAGEを行った後、銀染色キット(GE Healthcare Bio-Sciences Corp、NJ、USA)を使用して染色した。HGF-非依存的MET活性化に関連したタンパク質を同定するために、銀染色法(Silver staining)を通じて確認されたタンパク質を、質量分析法(Mass Spectrometry)を通じて同定した。
【0104】
ウエスタンブロット
ウエスタンブロットを行うために、各細胞から分離したタンパク質を、SDS-PAGEを通じて分離した後、それをメンブレン(PolyScreen membranes(New England Nuclear、Boston、MA、USA)に移した後、多様な抗体(anti-phospho MET、E-cadherin、(Cell signaling Technology、Beverly、MA、USA)、anti-MET、anti-r-tubulin(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA、USA)、anti-IGSF1(Abnova、Jhouzih、Taipei、Taiwan)を用いて、4℃で12時間の間反応させた後、1XTBS-T緩衝液で10分間3回洗浄した。適切な抗rabbit-HRP或いは抗mouse-HRP secondary抗体を、常温で2時間反応させた後に、1XTBS-T緩衝液で10分間 3回洗浄した後、ECL solution(GE Healthcare Bio-Sciences Corp)を使用して、タンパク質の発現を検証した。
【0105】
細胞浸潤測定法(invasion chamber assay)及び細胞移動測定法(migration assy)
HGF-非依存的ヒト胃ガン細胞株MKN45、SNU638及び肺ガンHCC827 細胞株に、IGSF1 siRNA或いはMET siRNAを、48時間の間形質感染させた。24 ウェルプレートに8mm細孔サイズのインサートプレート(BD Biosceinces)を入れ、インサートプレートマトリゲル200μg /ml(BD Biosciences)の濃度で100μlずつ株分けした後、CO2インキュベータで30分間反応させた。MET或いはIGSF1 siRNAを形質感染させた2.5X104細胞を、無血清培地に全容積を100μlに調整してインサートプレートに入れた。ボトムプレートに増殖培地(RPMI1640+10%FBS)を400μl株分けした後、CO2インキュベータで24時間培養した。24時間の後に、インサートプレートをPBSで洗浄した後、上に残っている細胞を綿棒で拭き取った後に、10%のホルマリンで20分間固定した。二次水で洗浄した後に、0.01%の クリスタルバイオレット溶液で20分間染色した後に、温水で洗浄後、乾燥してから、移動した細胞数を測定した。細胞移動測定法(migration assay)の場合には、インサートプレートをコート(coating)することなく、前記と同一の方法で進行した。コントロール(control)とMET或いはIGSF1 siRNAを形質感染させた胃ガン及び肺ガン細胞株において、インサートプレートを通過して移動した細胞数を測定して検証した。
【0106】
遺伝子の発現抑制方法
siRNA及びshRNAの製造方法
HGF-非依存的ヒト胃ガン細胞株MKN45、SNU638及び肺ガンHCC827細胞株に、IGSF1 siRNA(配列番号3のIGSF1#1; 5'-GCAGGUCUUUACCGGUGCU-3'、配列番号4のIGSF1#2; 5'-GGUGCUGCUACUGGAAGGA-3')、MET siRNA(配列番号5; 5'-AAAGATAAACCTCTCATAATG-3')、IGSF1 shRNA(配列番号6; 5'-CAAAGAUGGAAGUGAAAUA UCUCUAUUUCACUUCCAUCUUUGUU-3')、及び/又は、MET shRNA(配列番号7; 5'- GCCAGCCUGAAUGAUGACAUCUCUGUCAUCAUUCAGGCUGGCUU-3')を、48時間の間形質感染させた後、細胞溶解物は収去して、METとIGSF1タンパク質の変化をウエスタンブロットで検証した。
【0107】
microRNAの製造方法
ヒトmiRNA34a(配列番号1; UGGCAGUGUCUUAGCUGGUUGU)又はmiRNA34c(配列番号2; AGGCAGUGUAGUUAGCUGAUUGC)を、 サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)社から購入して使用した。HGF-非依存的ヒト胃ガンSNU638細胞4X105cellsを、シード処理(seeding)した後、miRNA34a或いはmiRNA34cを300nM形質感染させた後、0日、1日、2日、3日の間、トリパンブルー色素排除試験法(trypan blue exclusion method)を使用して細胞数を測定した。
【0108】
細胞成長の確認
HGF-非依存的ヒト胃ガン SNU638 細胞4X105cell或いはMKN45細胞3X105cellを シード処理した後、miRNA34a(配列番号1)又はmiRNA34c(配列番号2)を300nM形質感染させた後、0日、1日、2日、3日の間、トリパンブルー色素排除試験法を使用して細胞数を測定した。
【0109】
アンタゴミル(antagomir)の製造方法
ヒト miRNA34aとmiRNA34cのアンタゴミルをサーモフィッシャーサイエンティフィック社から購入して使用した。HGF-非依存的ヒト胃ガン SNU638 細胞4X105cells或いはMKN45細胞3X105cellsをシード処理した後、miRNA34a或いはmiRNA34cを300nM形質感染させた後、0日、1日、2日、3日の間、トリパンブルー色素排除試験法を使用して細胞数を測定した。
【0110】
実施例1. HGF-非依存的(independent)METリン酸化誘導マーカーとしてのIGSF1の同定
本発明者等は、HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーを同定する目的で、HGF-陰性のヒト胃ガン細胞株AGSに、MET野生型DNAを過発現させることで、HGF-非依存的METリン酸化を誘導させた(図1a中の左側グラフ)。それに、p-MET抗体を用いて免疫沈降法(immunoprecipitation)を実施した後、METと結合するタンパク質を同定するために、銀染色法(silver staining)を実施した(図1a中の右側ゲルイメージ)。
【0111】
また、前記結果物にMALDI-TOF分析を実施して、METと結合するタンパク質を確認した。
【0112】
その結果、図1bに示したように、HGF- 非依存的METリン酸化誘導マーカーとして、IGSF1(immunoglobulin superfamily member 1)を同定した。
【0113】
実施例2. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の連関性の確認
2-1. ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の発現分析
本発明者等は、ヒト胃ガン細胞株において、HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の連関性を分析する目的で、全8種の胃ガン細胞株に、IGSF1、pMET(リン酸化された活性型MET)抗体を用いて、ウエスタンブロットを実施した。
【0114】
その結果、図2a(左側)に示したように、ヒト胃ガン細胞株であるSNU638、MKN45においてMETとIGSF1とが同時発現する場合、METがリン酸化されることが観察された。
【0115】
また、前記SNU638、MKN45のHGF発現を確認したところ、図2a(右側)に示したように、陽性対照群であるU87MG細胞株に比べて、HGFが検出されなかった。
【0116】
したがって、HGF-陰性(非依存的)であり、METとIGSF1とが同時発現する場合のみに、METリン酸化が誘導されることが分かった。
【0117】
2-2. ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の発現分析
本発明者等は、ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETリン酸化間の発現を分析する目的で、全9種の肺ガン細胞株に、IGSF1、pMET(リン酸化された活性型MET)抗体を用いて、ウエスタンブロットを実施した。
【0118】
その結果、図2b(左側)に示したように、ヒト肺ガン細胞株H1944、H2228、HCC827においてMETとIGSF1とが同時発現する場合、METがリン酸化されることが観察された。
【0119】
また、前記H1944、H2228、HCC827のHGF発現を確認したところ、図2b (右側)に示したように、陽性対照群であるU87MG細胞株に比べて、HGFが検出されなかった。
【0120】
したがって、HGF-陰性(非依存的)であり、METとIGSF1とが同時発現する場合のみに、METリン酸化が誘導されることが分かった。
【0121】
2-3. ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETタンパク質間の結合確認
本発明者等は、ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETタンパク質間の結合を分析する目的で、ヒト胃ガン細胞株AGSにMETとIGSF1とを過発現させ、pMET抗体を用いて免疫沈降法を実施した後、IGSF1との結合をウエスタンブロットで確認した。
【0122】
その結果、図2c(左側)に示したように、HGF-陰性のヒト胃ガン細胞株AGSにMETを過発現させた場合、METとIGSF1とが結合することを確認した。
【0123】
また、図2c(右側)に示したように、METを過発現させたHGF-陰性のヒト胃ガン細胞株AGSの細胞質(cytosol)及び細胞膜(membrane)を分画して確認したところ、細胞膜でMETとIGSF1とが結合することを確認した。
【0124】
二つのタンパク質がどの位置で結合するかを調べるために、IGSF1タンパク質をドメイン別に欠失(deletion)させたコンストラクト(constructs)を作製した。細胞外ドメイン(Extracellular domain)を欠失したコンストラクトとヘリックスドメイン(helical domain)、或いは、 細胞質内ドメイン(cytoplasmic domain)を欠失したコンストラクトを作製した。MET WTとIGSF1欠失のコンストラクトを、293T細胞に形質感染させた後、免疫沈降法を通じてどの位置で結合するかを確認した。
【0125】
その結果、図2dに示したように、571-1328欠失(細胞外ドメイン)された所で、バインディング(binding)しないことを確認し、二つのタンパク質がその位置で結合して作用することを確認することができた。また、WT METとIGSF1とが結合することも確認することができた。
【0126】
2-4. ヒト胃ガン細胞株及び肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSFの発現抑制時におけるMETリン酸化の変化
本発明者等は、ヒト胃ガン細胞株(AGS、MKN45、SNU638)及び肺ガン細胞株(HCC827)でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSFの発現抑制時におけるMETリン酸化の変化を分析する目的で、ヒト胃ガン及び肺ガン細胞株に、IGSF1又はMETをsiRNA方法で発現を抑制させた後、METタンパク質のリン酸化の変化をウエスタンブロットで確認した。
【0127】
その結果、図2eに示したように、ヒト胃ガン(AGS、MKN45、SNU638)及び肺ガン(HCC827)細胞株において、IGSF1 siRNA或いはshRNA濃度依存的にMETのリン酸化が減少した。また、MET shRNA濃度依存的にIGSF1の発現が減少した。
【0128】
2-5. 胃ガン細胞株でのIGSF1又はMETの発現変化に応じる調節機序の分析
本発明者等は、ヒト胃ガン細胞株であるSNU638とMKN45に、IGSF1又はMETをshRNAで抑制させた後、各遺伝子の発現変化をリアルタイムPCRで確認した。
【0129】
その結果、図2fの上段パネルに示したように、二つの細胞株においてMETを抑制した場合、IGSF1の発現が減少し、IGSF1を抑制した後には、逆にMETの発現が減少した。この結果を通じて、 RNA水準で調節されていることを確認することができた。
【0130】
また、図2fの下段パネルに示したように、胃ガン細胞株においてIGSF1とMETとの発現調節は、タンパク質の水準で調節されていないことを確認した。MET抑制剤を処理した後、IGSF1の発現がどのように調節されるかを、それぞれの抑制剤(inhibitor)の処理後、ウエスタンブロット分析方法を通じて確認した結果である。
【0131】
(PHA665752: c-MET抑制剤、MG132: プロテアソーム(proteasome)抑制剤、
ロイペプチン(Leupeptin) & NH4Cl: リソソームタンパク質分解酵素(lysosomal protease)抑制剤)
【0132】
実施例3. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の抑制時における細胞成長抑制能
3-1. ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時における細胞成長抑制能の分析
本発明者等は、ヒト胃ガン細胞株SNU638とMKN45とにおいて、IGSF1の発現或いはMETの発現をshRNA技法で抑制させた後、細胞成長抑制能を分析した。
【0133】
その結果、図3aの上段パネルに示したように、3 日の間細胞数を測定した時、MET或いはIGSF1の抑制時に細胞の成長が抑制されることを確認することができた。
【0134】
また、ヒト胃ガン細胞株SNU638とMKN45において、IGSF1或いはMETの発現を抑制させた後、細胞成長抑制の程度をコロニー形成アッセイ(colony forming assay)方法で確認した。
【0135】
その結果、図3aの下段パネルに示したように、IGSF1或いはMETを抑制した場合、コロニー数が減少することを確認することができた。
【0136】
3-2. ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時における細胞成長抑制能の分析
本発明者等は、ヒト肺ガン細胞株HCC827とHCC1944とにおいて、IGSF1の発現或いはMETの発現をshRNA技法で抑制させた後、細胞成長抑制能を分析した。
【0137】
図3bに示したように、24時間、48時間に細胞数を測定したところ、MET或いはIGSF1を抑制したグループにおいて細胞成長が抑制されることを確認することができた。
【0138】
実施例4. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の抑制時におけるガン細胞の転移性及び移動性抑制の確認
4-1. ヒト胃ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時におけるガン細胞の転移性及び移動性抑制の分析
本発明者等は、ヒト胃ガン細胞株SNU638とMKN45とにおいて、IGSF1の発現をsiRNA技法で抑制させた後、転移性と移動性抑制の程度を細胞浸潤測定法(invasion chamber assay)と創傷治癒測定法(wound healing assay)で分析した。
【0139】
その結果、図4aに示したように、IGSF1の発現を抑制させた細胞とMETの発現を抑制させた細胞とが、同じく転移性と移動性とを抑制することが観察された。
【0140】
4-2. ヒト肺ガン細胞株でのHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1の発現抑制時におけるガン細胞の転移性及び移動性抑制の分析
本発明者等は、ヒト肺ガン細胞株HCC827とH1944とにおいて、IGSF1の発現をshRNA技法で抑制させた後、ガン細胞の転移性及び移動性抑制の程度を、細胞浸潤測定法(invasion chamber assay)及び細胞移動測定法(migration assay)で分析した。
【0141】
その結果、図4bに示したように、HCC827とH1944とにおいて、IGSF1の抑制は対照群(sc)と比較して、転移能が80% 以下に減少することが観察された。MET抑制の場合でも、類似した様相を見せた。
【0142】
実施例5. 胃ガン及び肺ガン細胞株でのMET抑制剤の適用時におけるIGSF1の影響分析
5-1. 胃ガン細胞株でのIGSF1発現有無に応じるMET阻害剤の効能比較分析
本発明者等は、胃ガン細胞株であるSNU638とMKN45とにおいてIGSF1を抑制した時、MET阻害剤に対する反応性が増加することを確認した。図5aに示したように、MET阻害剤であるPHA665752を濃度別に処理した時、細胞 luciferase 誘導されることをトリパンブルー排除(trypan blue exclusion)方法で確認したし、その時にcleaved caspase 3の発現が増加することを証明した。
【0143】
5-2. 肺ガン細胞株でのIGSF1発現有無に応じるMET阻害剤の効能比較分析
本発明者等は、肺ガン細胞株であるHCC827においてIGSF1の発現を抑制したところ、細胞死滅が増加し、MET阻害剤に対する反応性も増加することを確認した。
【0144】
実施例6. microRNAを用いたHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びc-METの同時抑制
6-1. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びc-METを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによるIGSF1とMETとの抑制能分析
本発明者等は、HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによる抑制の程度を分析する目的で、ヒト293細胞株においてそれぞれ、野生型IGSF1、野生型MET、それらの3'UTR部位を変異(mutation)させたルシフェラーゼ(luciferase)プラスミドを用いて、miR34a又はmiR34cと共に形質感染(transfection)させた。
【0145】
その結果、図6aに示したように、miR34a及びmiR34cは、野生型METにおいて低いルシフェラーゼ活性を示した。つまり、MiR34a及びmiR34cによるIGSF1とMETとのルシフェラーゼ活性は、野生型のみで抑制された。miR34a及びmiR34cは、METとIGSF1遺伝子の3'UTR部位に結合して、二つの遺伝子を同時阻害することを確認した。
【0146】
6-2. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びc-METを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによるIGSF1とc-METとの発現変化
本発明者等は、HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによるIGSF1とMETとの発現変化の程度を分析する目的で、ヒト胃ガン細胞株MKN45及びSNU638にmir34a又はmiR34cを形質感染させた後、METの発現とIGSF1の発現とをリアルタイムPCR方法で確認した。
【0147】
その結果、図6bの上段パネルに示したように、SNU638細胞株において、MiR34a又はmiR34cによってHGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1とMETとの発現が減少することが観察された。
【0148】
また、図6bの下段パネルに示したように、ヒト胃ガンMKN45、SNU638細胞株にmiR34a又はmiR34cを形質感染させて、MET発現とIGSF1との発現を分析したところ、MiR34a又はmiR34cによってHGF-非依存的c-METリン酸化誘導マーカーIGSF1とc-METとの発現が抑制されることが観察された。
【0149】
6-3. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びc-METを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによる細胞成長の分析
本発明者等は、HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びMETを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによる細胞成長を分析する目的で、ヒト胃ガン細胞株SNU638にmiR34a又はmiR34cを形質感染させた後、ガン細胞の成長を確認した。
【0150】
その結果、図6cの上段パネルに示したように、MiR34a又はmiR34cによってガン細胞の成長が、対照群と比較して有意に抑制されることが観察された。
【0151】
また、図6cの下段パネルに示したように、ヒト胃ガン細胞株にmiR34a又はmiR34cを形質感染させた時、関連シグナル機序の発現が減少することを確認した。
【0152】
6-4. HGF-非依存的METリン酸化誘導マーカーIGSF1及びc-METを同時抑制するmiR34a及びmiR34cによる細胞転移性及び移動性抑制の分析
図6dの上段パネルに示したように、本発明者等は、胃ガン細胞株であるSNU638とMKN45とにmir-34a 又はmir-34cを形質感染させた時、細胞移動性が抑制されることを確認した。
【0153】
また、図6dの中間パネルに示したように、胃ガン細胞株にmir-34a又はmir-34cを形質感染させた時、細胞の転移性が約 50%程度抑制される結果を確認することができた。
【0154】
また、図6dの下段パネルに示したように、胃ガン細胞株であるSNU638にmir-34a又はmir-34cを形質感染させた時、細胞の移動性が抑制され、その時、MMP9の発現が減少することを確認した。
【0155】
6-5. mir-34a及びmir-34cによるIGSF1及びMETの抑制をアンタゴミル(antagomir)で回復(recovery)誘導する
図6eの上段パネルに示したように、本発明者等は、胃ガン細胞株であるSNU638にant-mir34a或いはanti-mir34cを形質感染させた時、mir-34a又はmir-34cにより抑制されていたMETとIGSF1との発現が回復することを、RNA水準(左側)とタンパク質水準(右側)で確認した。
【0156】
また、図6eの下段パネルに示したように、肺ガン細胞株であるHCC827とH1944とにmir-34a、mir-34cを形質感染させた後、pMETとIGSF1との発現が減少し、anti-mir34aとanti-mir-34cとにより減少されていたタンパク質の発現が再度回復されることを確認することができた。
【0157】
一方、図6fの上段パネルに示したように、胃ガン細胞株であるSNU638とMKN45とにanti-mir34a又はanti-mir34cにより細胞の成長が再度回復されることを、mir34a、mir34cの結果と比較した。
【0158】
また、図6fの下段パネルに示したように、肺ガン細胞株に前記と同一の実験をした時、細胞成長が回復されることを確認した。
【0159】
一方、図6gの上段パネルに示したように、胃ガン細胞株において、anti-mir34a又はanti-mir34cにより細胞の移動性が回復されることを確認した。
【0160】
また、図6gの中間パネルに示したように、胃ガン細胞株において、anti-mir34a又はanti-mir34cにより細胞の転移性が回復されることを確認した。
【0161】
さらに、図6gの下段パネルに示したように、肺ガン細胞株(HCC827)において、anti-mir34a又はanti-mir34cにより細胞の転移性と移動性とが回復されることを確認した。
【0162】
したがって、HGF-非依存的METリン酸化を誘導するIGSF1とMETとは、MET阻害剤に対する感受性予測用バイオマーカーとしての可能性を見せる。
【0163】
実施例7. 胃ガン患者組織でのMET活性、IGSF1及びHGFの発現水準の確認
本発明者等は、実際胃ガン患者組織でのMET活性、IGSF1及びHGFの発現水準を確認するために、 US Biomax社よりTMA(tissue microarray)スライドを購入した後、免疫化学染色法を実施した。
【0164】
その結果、図7の上段パネルに示したように、胃ガン患者のTMA組織においてMET活性を見せながら、IGSF1を発現し、HGFが発現されない比率は約30%を占めることと現れた。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]