(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光源からのレーザ光を分配して被写体と参照ミラーとに照射し、前記被写体で反射された計測光と前記参照ミラーで反射された参照光とを干渉させた干渉光を検出し、前記干渉光の検出信号を周波数解析することで、各画素が前記干渉光の反射強度を表した光干渉断層画像を生成し、表示する光干渉断層画像生成装置の光干渉断層画像表示制御装置であって、
前記光干渉断層画像と、当該光干渉断層画像に予め設定した線分上における前記干渉光の反射強度を表したグラフとを対応付けて表示する表示制御手段、
を備え、
前記表示制御手段は、
前記計測光の照射方向に沿った第1断層面の前記光干渉断層画像と、前記照射方向に沿い、かつ、前記第1断層面に直交する第2断層面の前記光干渉断層画像とを表示し、
前記第1断層面及び前記第2断層面が交わる線分上における前記グラフを表示することを特徴とする光干渉断層画像表示制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願発明の実施形態として、OCT装置(光干渉断層画像生成装置)の概要、OCT制御装置(光干渉断層画像表示制御装置)の構成、表示装置の画面表示例、OCT制御装置の動作を順に説明する。なお、同一手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
【0022】
[OCT装置の概要]
OCT装置の概要について、OCT装置によって撮影するサンプル(被写体)を患者の歯牙であるものとして、
図1,
図2を参照して説明する。
図1,
図2のように、OCT装置1は、光学ユニット部10と、診断プローブ部30と、制御ユニット部50と、を備える。
【0023】
<光学ユニット部>
光学ユニット部10は、一般的な光コヒーレンストモグラフィの各方式が適用可能な光源、光学系、検出部を備えている。
図2のように、光学ユニット部10は、サンプル(被写体)9にレーザ光を周期的に照射する光源11と、サンプル9の内部情報を検出するディテクタ23と、光源11とディテクタ23との間の光路中に設けられた光ファイバや各種光学部品等を備えている。
【0024】
ここで、光学ユニット部10の概略を説明する。
光源11から出射された光は、光分割手段であるカップラ12により、計測光と参照光とに分けられる。計測光は、サンプルアーム13のサーキュレータ14から診断プローブ部30に入射する。この計測光は、診断プローブ部30のシャッタ31が開状態において、コリメータレンズ32、ガルバノミラー33を経て集光レンズ34によってサンプル9に集光され、そこで散乱、反射した後に再び集光レンズ34、ガルバノミラー33、コリメータレンズ32を経てサンプルアーム13のサーキュレータ14に戻る。戻ってきた計測光は、カップラ16を介してディテクタ23に出力される。
【0025】
一方、カップラ12により分離された参照光は、レファレンスアーム17のサーキュレータ18からコリメータレンズ19を経て集光レンズ20によってレファレンスミラー21に集光され、そこで反射した後に再び集光レンズ20、コリメータレンズ19を経てサーキュレータ18に戻る。戻ってきた参照光は、カップラ16を介してディテクタ23に出力される。つまり、カップラ16は、サンプル9で散乱、反射して戻ってきた計測光と、レファレンスミラー21で反射した参照光とを合波する。そして、ディテクタ23は、合波により干渉した光(干渉光)をサンプル9の内部情報として検出し、検出信号(アナログ信号)として制御ユニット部50に出力する。なお、サンプルアーム13の偏光コントローラ15、および、レファレンスアーム17の偏光コントローラ22は、診断プローブ部30を含むOCT装置1内部に生じた偏光を、より偏光の少ない状態に戻すために設置されている。
【0026】
光源11としては、例えばSS(Swept Source)−OCT方式用のレーザ光源を用いることができる。この場合、光源11は、例えば、中心波長1310nm、掃引波長幅100nm、掃引速度50kHz、可干渉距離(コヒーレント長)が14mmの性能のものが好ましい。ここで、可干渉距離とは、パワースペクトルの減衰が6dBとなるときの距離に相当する。なお、可干渉距離は10mm以上48mm未満の高コヒーレントなものが好ましいが、これに限定されるものではない。サンプル9が例えば臼歯の場合、その深さ方向(光軸方向)のより深い位置の内部情報を取得できることが好ましく、10mm以上あれば、歯牙特有のもの(う蝕等)を撮影することが可能だからである。また、48mm以上の可干渉距離を有する光源を搭載するOCT装置は理論上可能であるが、この光源は波数(波長)を階段状に掃引するというSS−OCT方式であるため、掃引速度や分解能などを含めた総合的性能をこの光源に求めると、光源自体の製作が困難になるため可干渉距離を48mm未満とするのが現実的である。
【0027】
<診断プローブ部>
診断プローブ部30は、レーザ光を2次元走査するガルバノミラー33を備え、光学ユニット部10からのレーザ光をサンプル9に導くと共に、サンプル9で反射した光を光学ユニット部10に導くものである。
【0028】
診断プローブ部30は、ケーブル60を介して、光学ユニット部10及び制御ユニット部50に接続されている。ケーブル60は、光学ユニット部10に接続された光ファイバと、制御ユニット部50に接続された通信線とを内蔵している。
【0029】
撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、
図1(a)のように、OCT装置1の上部に配置された表示装置54の下部側から水平方向に延伸した単関節アーム70の先端のホルダに保持させておく。これにより、収納時には、長いケーブル60であってもケーブルを捻じったりすることなく収納し、収納スペースを低減することができる。
【0030】
一方、撮影時には、利用者は、診断プローブ部30を単関節アーム70のホルダから外して把持し、手振れ防止等のため診断プローブ部30を患者に対して当接させる。このとき利用者の両手が塞がっていたとしても撮影開始ボタンを操作するために、制御ユニット部50に有線又は無線で通信可能に接続されたフットコントローラ80を用いることもできる。
【0031】
図1(b)に示すOCT装置1Aは、撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、OCT装置1Aの上部に配置された表示装置54の上部側から水平方向に延伸した多関節アーム70Aの先端のホルダに保持させておくことができるようにした点以外は、
図1(a)に示すOCT装置1と同様なものである。多関節アーム70Aは、単関節アーム70に比べて、基端から先端のホルダまでの長さが長く、床からより高い位置に配置されている。そのため、ケーブル60の垂れ下がりが低減できる。このようにケーブル60が床に着かないメリットとして、衛生的である点が挙げられる。また、これにより、操作性を向上させ、垂れ下がったケーブル60を誤って踏んだりすることを防止できる。
【0032】
診断プローブ部30に設けられたガルバノミラー33は、
図3のように、X方向ガルバノミラー33Xと、Y方向ガルバノミラー33Yとで構成されている。光源11から照射されたレーザ光は、X方向ガルバノミラー33Xと、Y方向ガルバノミラー33Yとを介してサンプル9に照射される。
なお、X方向およびY方向とは、診断プローブ部30のノズル先端(
図3において左端)が正対するサンプル9の表面および縦方向に対応する。
【0033】
X方向ガルバノミラー33Xは、コリメータレンズ32側に設けられている。このX方向ガルバノミラー33Xは、ミラー面(A−V平面)を、A方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプル9の表面において横方向(X軸方向)のデータであり、B方向のデータ(以下、Bラインデータという)となる。
【0034】
Y方向ガルバノミラー33Yは、集光レンズ34側に設けられている。このY方向ガルバノミラー33Yは、ミラー面(B−V平面)を、B方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプル9の表面において縦方向(Y軸方向)のデータであり、V方向のデータ(以下、Vラインデータという)となる。
【0035】
<制御ユニット部>
制御ユニット部50は、OCT装置1の各種制御を行うものである。
図2のように、制御ユニット部50は、AD変換回路51と、DA変換回路52と、ガルバノミラー制御回路53と、表示装置54と、OCT制御装置100とを備える。
【0036】
AD変換回路51は、ディテクタ23から入力された検出信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するものである。本実施形態では、AD変換回路51は、光源11から入力されたトリガ(trigger)に同期して変換を開始する。そして、AD変換回路51は、光源11から入力されたクロック信号ckのタイミングに合わせて、ディテクタ23から入力され検出信号をデジタル信号に変換し、変換した検出信号をOCT制御装置100に出力する。
【0037】
DA変換回路52は、OCT制御装置100から入力された制御信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換するものである。本実施形態では、DA変換回路52は、光源11から入力されたトリガ(trigger)に同期して、OCT制御装置100から入力された制御信号をアナログ信号に変換する。そして、DA変換回路52は、変換した制御信号をガルバノミラー制御回路53に入力する。
【0038】
ガルバノミラー制御回路53は、診断プローブ部30のガルバノミラー33を制御するドライバである。ガルバノミラー制御回路53は、DA変換回路52から入力された制御信号に基づいて、光源11が出射するレーザの出力周期に同期して、X方向ガルバノミラー33X又はY方向ガルバノミラー33Yのモータを駆動又は停止させるモータ駆動信号を出力する。
【0039】
表示装置54は、OCT制御装置100が生成した光干渉断層画像(以下、OCT画像という)を表示するものである。表示装置54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electronic Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等から構成される。
【0040】
[OCT制御装置の構成]
図4を参照し、OCT制御装置100の構成について説明する(適宜
図1,
図2参照)。
OCT制御装置100は、レーザ光に同期してガルバノミラー33の駆動を制御すると共に、ディテクタ23からの検出信号からサンプル9のOCT画像を生成するものである。
図4のように、OCT制御装置100は、入出力手段110と、記憶手段120と、演算手段130と、を備える。
【0041】
入出力手段110は、外部との間で各種情報の入出力を行うインタフェースである。
記憶手段120は、各種情報を記憶するRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリやハードディスクである。例えば、記憶手段120は、後記する患者ファイル121、CSVファイル124及び画像ファイル125を記憶する。
演算手段130は、各種演算を行うものであり、撮影制御手段140と、画像処理手段150と、表示制御手段160と、患者ファイル生成手段170とを備える。
【0042】
撮影制御手段140は、外部からの入力に基づいて、撮影の制御を行うものである。
例えば、撮影制御手段140は、外部から測定指示の入力を受け付けたときに撮影を開始し、当該所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する制御を行う。撮影制御手段140は、画像処理手段150に対して、撮影により取得された検出信号を画像処理させる。この測定指示に基づいて、ガルバノミラー33が所定ピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段150によって画像処理することによって、所定の解像度でサンプルSのOCT画像を表示装置54に表示することができる。
【0043】
本実施形態では、光源11の掃引速度50kHzのときに、一例として、200測定、300測定、400測定の3つの測定モードを備えることとした。
200測定時には、サンプルSの表面に対応した、200×200ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
300測定時には、サンプルSの表面に対応した、300×300ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
400測定時には、サンプルSの表面に対応した、400×400ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
ここで、何れかの測定モードの撮影により取得された検出信号は、画像処理手段150で画像処理される。この測定モードでは、1ボリューム分のOCT画像として、200枚、300枚、又は、400枚のスライド画像が生成される。
【0044】
また、撮影制御手段140は、外部からプレビュー指示の入力を受け付けたときに撮影を開始し、プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたときに撮影を終了する制御を行う。撮影制御手段140は、画像処理手段150に対して、撮影により取得された検出信号を画像処理させる。このプレビュー指示に基づいて、ガルバノミラー33が前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段150によって画像処理することによって、前記所定の解像度よりも低い解像度でサンプルSの光干渉断層画像を表示装置54に表示することができる。なお、プレビュー指示により表示する低解像度の画像は、サンプルSにおける光軸に沿った方向(A方向のデータ)については、測定モードの解像度と同じである。
【0045】
以下、このモードをプレビューモードという。
本実施形態では、プレビューモードは、光源11の掃引速度50kHzのときに、サンプルSの表面に対応した、例えば128×128ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。また、本実施形態では、プレビューモードは、前記した測定指示で何れかの測定モードになるときに終了するものとする。つまり、プレビューの解除指示は、測定指示が兼用している。このプレビューモードでは、1ボリューム分のOCT画像として、128枚のスライド画像が生成される。
【0046】
また、撮影制御手段140は、サンプル9の撮影対象範囲として、マウス、キーボート等の入力装置Mにより利用者が選択したエリアを受け付け、選択されたエリアに従ってガルバノミラー33の走査範囲を設定する。そして、撮影制御手段140は、設定された走査範囲をレーザ光が走査するように制御信号(デジタル信号)を生成し、DA変換回路52を介して、生成した制御信号をガルバノミラー制御回路53に出力する。
【0047】
画像処理手段150は、AD変換回路51を介して、ディテクタ23から入力された検出信号を画像処理し、各種画像を生成するものである。
図4のように、画像処理手段150は、オンファス画像生成手段151と、OCT画像生成手段152と、レンダリング手段153と、を備える。
【0048】
オンファス画像生成手段151は、サンプル9における光軸に垂直な方向(B方向、V方向)のスキャン面の2次元画像として、レーザ光が照射されたサンプル9の表面の情報と、サンプル9における光軸に沿った方向(A方向)の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するものである。
【0049】
本実施形態では、オンファス画像生成手段151は、サンプル9を撮影して取得したサンプル9における光軸に沿った方向のそれぞれのデータ(後記するAラインデータ)で示される強度を平均化した値を、ガルバノミラー33で走査する2次元方向に対してそれぞれ求めることで、オンファス画像を生成することとした。
なお、オンファス画像の生成手法は、特開2012−211797号公報に詳細に記載されているため、これ以上の説明を省略する。
【0050】
OCT画像生成手段152は、サンプル9を撮影して取得したデータから、サンプル9における光軸に沿った方向の断層面のOCT画像を生成するものである。このOCT画像は、各画素が、断層面における干渉光の反射強度を表した画像であり、干渉光の反射強度が高い画素を濃く(明るく)、干渉光の反射強度が低い画素を薄く(暗く)なる。
【0051】
<立体スキャンの手順>
図5を参照し、OCT制御装置100が2次元のOCT画像を生成し、さらに立体のスキャンを行う手順について説明する(適宜
図4参照)。
事前に、患者の歯牙(サンプル9)の位置付けを行う。また、利用者の操作に基づいて、撮影制御手段140は、ガルバノミラー33の走査範囲を設定する。
【0052】
図5(a)及び
図5(b)に示すAライン、Bライン、Vラインは、
図3に示す診断プローブ部30のA軸、B軸、V軸に沿った方向を指している。
図5(a)に示すAラインは、サンプル9の表面から深さ方向に相当し、Bラインは、サンプル9の幅方向に相当する。
図5(b)に示すVラインは、サンプル9の奥行方向に相当する。予め定められた範囲のAライン、Bライン、Vラインの各データを取得すると、1ボリュームの立体(3D)のスキャンを行うことができる。
【0053】
本実施形態では、OCT画像生成手段152が、1152ポイントのAラインデータ(Aラインの内部情報(断層情報))を取得する。この場合、診断プローブ部30のノズル先端に位置付けされたサンプル9の位置に合わせた立方体の仮想空間を想定し、その仮想空間のノズル側最表面を示す第0番目のポイントを波形データの開始点、仮想空間の深さ側の最表面を示す第1151番目のポイントを波形データの終了点として、1152ポイントのAラインデータを取得する。なお、各々の点が深さの位置を示すわけではない。
【0054】
そして、OCT画像生成手段152は、収録されたデータが有限であることによる影響を最小化するために、窓関数を時間領域の計測信号に適用する(ウィンドウ処理を行う)。これにより、急激な推移のない連続的な波形が得られる。
【0055】
そして、OCT画像生成手段152は、Aラインデータに対して周波数解析(FFT処理)ができるようにするため、また、FFT処理後のスペクトルの形を滑らかにするために、1152ポイントのAラインデータにゼロサプレスを行い2048ポイントのデータとする。つまり、OCT画像生成手段152は、1152ポイントのAラインデータに、896ポイントを追加し、追加した各ポイントの波形の振幅を全て0として扱う。
【0056】
そして、OCT画像生成手段152は、この連続的な2048ポイントからなる波形を周波数解析(FFT処理)することで、1024点の周波数成分を求める。周波数解析の結果、波形データの中に周波数の低い成分が含まれている場合は浅い位置に、周波数の高い成分が含まれている場合は深い位置に反射体や散乱体が存在することが分かる。
【0057】
撮影制御手段140は、Y方向ガルバノミラー33Yが所定の回転角度のときに、X方向ガルバノミラー33Xの軸を僅かに回転させて、レーザの照射位置を、Bラインに沿って横方向(X軸方向)に移動させる。その後、OCT画像生成手段152は、Aラインデータを取得する。これを、OCT画像生成手段152は、Bラインの予め定めたポイント数(例えば128ポイント)と同じ回数だけ繰り返し、OCT画像(A、Bラインデータ)を取得する。なお、Bラインデータとは、Bラインの内部情報である。
【0058】
ここで、OCT画像生成手段152は、Aラインの1024個の振幅強度を1024個の画素の画素値(輝度値)に変換することで、OCT画像を生成する。例えば、この画素値を12ビットで表すと、0〜4095の数値なので、1024個の振幅強度に、0〜4095の何れかを割り当てればよい。
【0059】
さらに、撮影制御手段140は、Y方向ガルバノミラー33Yの軸を僅かに回転させて、レーザの照射位置を、Vラインに沿って縦方向(Y軸方向)に移動させる。そして、OCT画像生成手段152は、OCT画像(A、Bラインデータ)を取得していく。これを、OCT画像生成手段152は、Vラインの予め定めたポイント数(例えば128ポイント)と同じ回数だけ繰り返す。このようにして、サンプル9全体のOCT画像が得られる。
【0060】
BラインおよびVラインの予め定めたポイント数として、例えば、プレビュー時は128ポイント、計測時は、例えば200ポイント、300ポイント、400ポイントの中から選択できるようにする。
【0061】
図4に戻り、OCT制御装置100の構成について、説明を続ける。
レンダリング手段153は、サンプル9の3D画像をレンダリングにより生成するものである。この3D画像は、所望の視点から見たときのサンプル9の3次元形状を表した画像である。
なお、3D画像の生成手法は、特開2012−211797号公報に詳細に記載されているため、これ以上の説明を省略する。
【0062】
表示制御手段160は、外部からの入力に基づいて、OCT装置1の画像表示を制御するものである。
図4のように、表示制御手段160は、表示形式選択手段161と、コントラスト調整手段162と、画像・グラフ表示手段163と、ファイル出力手段164と、を備える。
【0063】
表示形式選択手段161は、画像処理手段150が生成したグラフの表示形式を利用者に選択させるものである。本実施形態では、表示形式選択手段161は、表示形式として、相対値表示又は絶対値表示の何れかを利用者に選択させる。
相対値表示は、干渉光の反射強度を、干渉光の最大反射強度を基準とする相対値で表した表示形式である。この最大反射強度は、1ボリュームに含まれる複数のOCT画像(例えば、400測定の測定モードであれば400枚のOCT画像)のうち、干渉光の反射強度が最大となるものである。
絶対値表示は、干渉光の反射強度を絶対値(例えば、デシベル値)で表した表示形式である。
【0064】
コントラスト調整手段162は、画像処理手段150が生成した各画像を表示するときのコントラストを調整するものである。本実施形態では、コントラスト調整手段162は、コントラストを利用者に設定させ、その設定結果に従って、コントラストを調整する。
【0065】
画像・グラフ表示手段163は、画像処理手段150が生成した各画像と、後記するグラフとを表示装置54に表示するものである。
本実施形態では、画像・グラフ表示手段163は、OCT画像生成手段152が生成したOCT画像を、グラフに対応付けて相対値で表示する。
また、画像・グラフ表示手段163は、オンファス画像生成手段151が生成したオンファス画像と、レンダリング手段153が生成した3D画像とを表示する。
また、画像・グラフ表示手段163は、表示形式選択手段161が選択した表示形式でグラフを表示する。
【0066】
ファイル出力手段164は、サンプル9全体について、干渉光の反射強度の数値データをカンマ区切りで格納したCSVファイル124と、OCT画像の画像ファイル125とを生成するものである。このとき、ファイル出力手段164は、表示形式選択手段161の表示形式で干渉光の反射強度が表されたCSVファイル124を生成する。そして、ファイル出力手段164は、生成したCSVファイル124及び画像ファイル125を記憶手段120に格納する。
【0067】
患者ファイル生成手段170は、患者の診断対象の歯牙であるサンプル9を撮影する前に、利用者が入力装置Mから入力した当該患者の個人情報や撮影対象の歯番等の患者個人情報122を含む患者ファイル121を作成するものである。
【0068】
本実施形態では、患者ファイル生成手段170は、利用者による保存操作に従って、撮影前に入力された患者個人情報122と、撮影された画像情報123とを紐付けて、患者ファイル121として記憶手段120に格納する。なお、格納される患者ファイル121の数は任意である。
【0069】
[表示装置の画面表示例]
図6を参照し、表示装置54の画面表示例について説明する(適宜
図4参照)。
本実施形態では、画像・グラフ表示手段163は、
図6のようなオンライン画面200を表示装置54に表示する。
【0070】
このオンライン画面200には、左側に3D画面210が配置され、中央下側にオンファス画面220が配置されている。また、オンライン画面200には、中央上側及び右側上下にOCT画面230A,230L,230Sが配置されている。また、オンライン画面200には、OCT画面230A,230Lの間にグラフ画面240が配置されている。また、オンライン画面200には、3D画面210の上部、及び、オンファス画面220とOCT画面230Sとの間にそれぞれ、ユーザインターフェース250,260が配置されている。
【0071】
3D画面210は、レンダリング手段153で生成された3D画像が表示されている。例えば、利用者が3D画面210をマウス(不図示)でドラッグすると、画像・グラフ表示手段163は、3D画面210の表示視点を変更する。
【0072】
ここで、利用者がチェックボックス「フレーム表示」をチェックすると、画像・グラフ表示手段163は、3D画面210にAスライス、Lスライス及びSスライスを表示する。さらに、画像・グラフ表示手段163は、図示を省略するが、スライス毎に予め設定された色の太枠でOCT画面230A,230L,230Sを囲ってもよい。例えば、3D画面210のAスライス及びOCT画面230Aの太枠を赤色、3D画面210のLスライス及びOCT画面230Lの太枠を緑色、3D画面210のSスライス及びOCT画面230Sの太枠を青色とする。
【0073】
また、利用者がチェックボックス「フレーム表示」のチェックを外すと、画像・グラフ表示手段163は、3D画面210に表示されたAスライス、Lスライス及びSスライスと、OCT画面230A,230L,230Sの太枠を非表示とする。
なお、
図6では、符号A,L,Sがそれぞれ、Aスライス、Lスライス及びSスライスを表す(
図7も同様)。
【0074】
Aスライスは、診断プローブ部30が照射する計測光の方向(診断プローブ部30の光軸方向)に沿った第1断層面を表している。つまり、Aスライスは、
図5のA軸−B軸平面に平行な断層面である。
Lスライスは、診断プローブ部30の光軸方向に沿い、かつ、第1断層面に直交する第2断層面を表している。つまり、Lスライスは、
図5のA軸−V軸平面に平行な断層面である。
Sスライスは、診断プローブ部30の光軸に垂直な断層面を表している。つまり、Sスライスは、
図5のB軸−V軸平面に平行な断層面である。
【0075】
オンファス画面220は、サンプル9を上表面側から見たサンプル9の表面の情報と、サンプル9の深さ方向の情報とを合成したオンファス画像(正面画像)が表示されている。このオンファス画像には、外表面に本来表れない内部情報も合成されている。
【0076】
OCT画面230Aは、AスライスのOCT画像が表示されている。ここで、テキストボックス「Aスライスの番号」にスライス番号が入力された場合、画像・グラフ表示手段163は、そのスライス番号のOCT画像をOCT画面230Aに表示する。さらに、画像・グラフ表示手段163は、入力されたスライス番号の位置に、3D画面210のAスライスを移動させる。
【0077】
OCT画面230Lは、LスライスのOCT画像が表示されている。ここで、テキストボックス「Lスライスの番号」にスライス番号が入力された場合、画像・グラフ表示手段163は、そのスライス番号のOCT画像をOCT画面230Lに表示する。さらに、画像・グラフ表示手段163は、入力されたスライス番号の位置に、3D画面210のLスライスを移動させる。
【0078】
OCT画面230Sは、SスライスのOCT画像が表示されている。ここで、テキストボックス「Sスライスの番号」にスライス番号が入力された場合、画像・グラフ表示手段163は、そのスライス番号のOCT画像をOCT画面230Sに表示する。さらに、画像・グラフ表示手段163は、入力されたスライス番号の位置に、3D画面210のSスライスを移動させる。
【0079】
グラフ画面240は、OCT画面230A及びOCT画面230LのOCT画像と対応付けるように、グラフが表示されている。このグラフは、
図7のように、サンプル9のAスライスとLスライスとが交わる線分Gにおいて、干渉光の反射強度を表している。言い換えるなら、このグラフは、
図8のように、Aスライス及びLスライスのOCT画像が交差する線分Gに位置する画素の画素値を表す。本実施形態では、グラフの横軸が、Aスライス及びLスライスのOCT画像の画素位置を表し、グラフの縦軸が、その位置にある画素の画素値(つまり、干渉光の反射強度)を表す。
【0080】
なお、グラフ画面240を右に90°回転させているため、グラフの横軸が図面垂直方向となり、グラフの縦軸が図面水平方向となっている。
また、グラフの表示形式として相対値又は絶対値の何れかを選択可能であるが、その詳細は後記する。
【0081】
図6のユーザインターフェース250のボタン「C」が押された場合、コントラスト調整手段162は、
図9のコントラスト調整画面300を表示装置54に表示する。このコントラスト調整画面300には、上部にコントラスト設定画面310が配置され、下部にコントラスト表示画面320が配置されている。
【0082】
コントラスト設定画面310には、スライドバー「レベル値」、「幅値」、「ガンマ値」と、ラジオボタン「画像選択」とが含まれている。
スライドバー「レベル値」は、利用者が、コントラストの中央値を設定するものである。
スライドバー「幅値」は、利用者が、コントラストの調整幅を設定するものである。
スライドバー「ガンマ値」は、利用者が、コントラスト調整が可能となるように弱い信号をガンマ補正する際、ガンマ値を設定するものである。
各スライドバーがドラッグされた場合、コントラスト調整手段162は、その操作に応じてコントラストを調整する。
【0083】
ラジオボタン「画像選択」は、利用者が、コントラストの調整対象となる画面を選択するものである。
「全体」がクリックされた場合、コントラスト調整手段162は、オンライン画面200に含まれる全画面をコントラストの調整対象として選択する。
「A」がクリックされた場合、コントラスト調整手段162は、OCT画面230Aをコントラストの調整対象として選択する。
「L」がクリックされた場合、コントラスト調整手段162は、OCT画面230Lをコントラストの調整対象として選択する。
「S」がクリックされた場合、コントラスト調整手段162は、OCT画面230Sをコントラストの調整対象として選択する。
「正面」がクリックされた場合、コントラスト調整手段162は、オンファス画面220をコントラストの調整対象として選択する。
「3D」がクリックされた場合、コントラスト調整手段162は、3D画面210をコントラストの調整対象として選択する。
【0084】
コントラスト表示画面320には、コントラスト設定画面310で調整されたコントラストが表示されている。ここで、コントラスト表示画面320の破線は、スライドバー「レベル値」で設定されたコントラストの中央値を表している。また、コントラスト表示画面320の一点鎖線は、スライドバー「幅値」で設定されたコントラストの調整幅を表している。
【0085】
図6に戻り、表示装置54の画面表示例について、説明を続ける。
ユーザインターフェース260のチェックボックス「疑似カラー」がチェックされた場合、画像・グラフ表示手段163は、オンライン画面200に含まれる3D画像、オンファス画像及びOCT画像を疑似カラーで表示する。
一方、チェックボックス「疑似カラー」のチェックが外された場合、画像・グラフ表示手段163は、オンライン画面200に含まれる3D画像、オンファス画像及びOCT画像をグレースケールで表示する。
【0086】
ボタン「拡大表示」がクリックされた場合、画像・グラフ表示手段163は、別ウインドウにグラフを拡大表示する。
ボタン「相対値CSV」がクリックされた場合、表示形式選択手段161は、表示形式として、相対値表示を選択する。そして、画像・グラフ表示手段163は、グラフを相対値で表示する。さらに、ファイル出力手段164は、相対値で表されたCSVファイル124を生成し、記憶手段120に格納する。
ボタン「絶対値CSV」がクリックされた場合、表示形式選択手段161は、表示形式として、絶対値表示を選択する。そして、画像・グラフ表示手段163は、グラフを絶対値で表示する。さらに、ファイル出力手段164は、絶対値で表されたCSVファイル124を生成し、記憶手段120に格納する。
ボタン「ファイル変換」がクリックされた場合、ファイル出力手段164は、Aスライス、Lスライス及びSスライスのOCT画像を画像ファイル125として、記憶手段120に格納する。
【0087】
なお、図示を省略したが、オンライン画面200にボタン「Preview」及びボタン「Measure」を設けてもよい。これらボタンを入力装置Mでクリックすることで、プレビュー指示、又は、測定指示を撮影制御手段140に入力できる。
【0088】
<OCT画像及びグラフの表示形式>
図10,
図11を参照し、OCT画像及びグラフの表示形式について説明する(適宜
図4参照)。
【0089】
絶対値表示が選択された場合、画像・グラフ表示手段163は、
図10(a)のように縦軸が絶対値(デシベル値)で表されたグラフを表示する。この場合、干渉光の反射強度が常に同一基準(絶対値)でグラフに表示される。従って、同一のサンプル9を異なる時間に撮影すれば、そのサンプル9において、干渉光の反射強度の経時変化を定量的に把握できる。さらに、複数のサンプル9を撮影すれば、異なるサンプル9の間で干渉光の反射強度を定量的に比較できる。
なお、絶対値が選択された場合でも、OCT画像は、
図11のように相対値で表示される。
【0090】
相対値表示が選択された場合、画像・グラフ表示手段163は、
図10(b)のように縦軸が相対値で表されたグラフと、
図11のようにOCT画像の各画素の画素値が相対値で表されたOCT画像とを表示する。この場合、干渉光の反射強度が偏っている場合(つまり、OCT画像の各画素の画素値の分散が少ない場合)でも、グラフの変化やOCT画像の濃淡が明確になるので、グラフやOCT画像が見やすくなる。
なお、OCT画面230Aに表示されたAスライスのOCT画像を一例として説明したが、Lスライス及びSスライスのOCT画像も同様に相対値で表示される。
【0091】
[OCT制御装置の動作]
図12を参照し、OCT制御装置100が各画像及びグラフを表示する動作について説明する(適宜
図4参照)。
【0092】
図12のように、OCT制御装置100は、OCT画像生成手段152によって、OCT画像を生成する(ステップS1)。
OCT制御装置100は、オンファス画像生成手段151によって、オンファス画像を生成し、レンダリング手段153によって、3D画像を生成する(ステップS2)。
【0093】
OCT制御装置100は、表示形式選択手段161によって、グラフの表示形式を利用者に選択させる(ステップS3)。
OCT制御装置100は、画像・グラフ表示手段163によって、ステップS3で相対値が選択されたか否かを判定する(ステップS4)。
【0094】
相対値が選択された場合(ステップS4でYes)、OCT制御装置100は、画像・グラフ表示手段163によって、グラフを相対値で表示する(ステップS5)。
相対値が選択されていない場合(ステップS4でNo)、OCT制御装置100は、画像・グラフ表示手段163によって、グラフを絶対値で表示する(ステップS6)。
OCT制御装置100は、画像・グラフ表示手段163によって、相対値でOCT画像を表示すると共に、オンファス画像及び3D画像を表示し(ステップS7)、処理を終了する。
【0095】
[作用・効果]
以上のように、本願発明の実施形態に係るOCT制御装置100は、
図8のように、グラフをOCT画像に対応付けて表示するので、干渉光の反射強度の細かな変動を目視しやすくなる。これによりOCT制御装置100では、サンプル9の内部に存在する散乱体や反射体からの反射強度を定量的に把握しやすくなり、OCT画像を用いた診察をより正確に行うことができる。
【0096】
さらに、OCT制御装置100は、Aスライス及びLスライスが交わる線分Gにおけるグラフを表示するので、グラフがサンプル9のどの部分についての反射強度を表しているかを利用者が直感的に把握でき、OCT画像を用いた診察をより正確に行うことができる。
【0097】
ここで、グラフ及びOCT画像を相対値で表示すれば、OCT制御装置100は、干渉光の反射強度が偏っている場合でも、グラフ及びOCT画像が見やすくなり、OCT画像を用いた診察をより正確に行うことができる。
また、OCT制御装置100は、OCT画像を相対値で表示することでOCT画像を見やすくし、グラフを絶対値で表示することで定量的な反射強度の把握、比較が可能となる。
【0098】
以上、本願発明の各実施形態を詳述してきたが、本願発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0099】
OCT制御装置は、光源で用いるレーザの性能として、可干渉距離(コヒーレント長)が10mm以上の高コヒーレントなものに限定されるものではない。
また、前記した実施形態では、SS−OCT方式を用いて説明したが、SD(Spectrum Domain)−OCTやTD(Time Domain)−OCTを用いてもよい。
本願発明において、被写体は、歯牙に限定されるものではない。また、歯科以外の医療機器、非破壊検査等に本願発明を適用してもよい。
【0100】
前記した実施形態では、OCT装置に内蔵されたOCT制御装置が、グラフをOCT画像に対応付けて表示することとして説明したが、本願発明は、これに限定されない。
OCT制御装置は、グラフに変えて又はグラフに併記して、OCT画像に予め設定した線分上における所望の位置の反射強度の数値を表示してもよい。
【0101】
図13のように、OCT装置1が生成した各画像や患者ファイルをビューワPC(光干渉断層画像表示制御装置)2で表示してもよい。例えば、ビューワPC2は、一般的なパーソナルコンピュータに閲覧用ソフトウェア(ビューワ)をインストールしたものである。
【0102】
ビューワPC2は、記憶手段120と、表示制御手段160Bと、OCT画像入力手段(光干渉断層画像入力手段)180とを備える。
表示制御手段160Bは、記憶手段120に記憶された各画像及び患者ファイルに基づいて、ビューワPC2の画像表示を制御するものである。この表示制御手段160Bは、
図4の表示制御手段160と同様のため、これ以上の説明を省略する。
OCT画像入力手段180は、OCT装置1で生成された各画像及び患者ファイルがオンライン又はオフラインで入力され、入力された各画像及び患者ファイルを記憶手段120に書き込むものである。
【0103】
前記した実施形態では、OCT制御装置を独立したハードウェアとして説明したが、本願発明は、これに限定されない。例えば、コンピュータが備えるCPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェア資源を、OCT制御装置として協調動作させるプログラムで実現することもできる。このプログラムは、通信回線を介して配布してもよく、CD−ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。