(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤層に付着するコラーゲン粉末は、平均粒子径が1〜500μmであり、かつ粒子径が10μm以下のコラーゲン粉末を1〜80質量%含有するものである、請求項1記載のパック化粧料。
前記接着剤層は、前記基材シートまたは表面処理をした基材シートの面積当たり1〜60%の範囲に分散して形成されるものである、請求項1〜4のいずれかに記載のパック化粧料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
未変性コラーゲンを乾燥状態で化粧料に調製できれば、コラーゲンを溶解した後に三重らせん構造を維持したまま使用することができる。しかしながら、特許文献1記載の化粧料は、未変性コラーゲンを担持する基材シートなどが無いため、使用に際して液ダレなどが発生し、簡便な使用が困難である。
【0009】
一方、基材シートにコラーゲンを未変性のまま固着させることは容易でない。特許文献2記載の化粧料は、不織布にコラーゲン水溶液を付与し、その後に凍結真空乾燥を行っており、乾燥工程に過大なエネルギーが必要で効率的な製造が困難である。さらに、不織布にコラーゲン水溶液を含浸してから乾燥すると、不織布を構成する繊維をコラーゲンがフィルム状に被覆する。使用時に含水しても、フィルム状コラーゲンの溶解速度は遅く、これに伴って繊維の吸水も妨害され、コラーゲンの溶出率が低下する。従って、製造が容易でかつコラーゲン利用率に優れるパック化粧料の開発が望まれる。
【0010】
なお、粉状物を基材シートに担持する方法として、平均粒子径1〜150μmの粉体を不織布に担持させた身体清浄用シートがあり(特許文献6)、粉体を不織布に均一に塗布した後、突起ローラー、超音波などによる振動やプレスによる方法などで繊維間に粉体を担持させている。しかしながらこの方法でコラーゲン粉末を担持させると、基材シートの内部にコラーゲン粉末が入り込むため、溶解液を投与してもコラーゲン粉末の溶解に長時間が必要となる。更に、コラーゲン粉末の溶液は粘度が高いため、溶解後に基材シートの表面に移行できず、コラーゲンを有効に利用することができない。この点、特許文献3記載のパック化粧料も同様である。可溶化コラーゲン繊維を基材繊維に植設により固定し、溶解液を投与しても繊維シートの内部に溶解液が浸透しづらく、コラーゲン繊維の溶解に時間がかかる。したがって、コラーゲンの溶解性および溶出率に優れるパック化粧料の開発が望まれる。
【0011】
また、特許文献4の実施例では、粗コラーゲン沈殿物の分散液を基材シートでろ過しおよび乾燥してコラーゲン粉末を基材シートに担持させているが、基材シートに担持されたコラーゲン粉末は、衝撃その他によって基材シートから離脱する場合がある。一方、コラーゲン粉末をバインダーに混練して基材に塗工すると、コラーゲン粉末の表面がバインダーで被覆されるため溶解液との接触が阻害され、コラーゲンの溶解速度が低下し、併せて溶出率も低下する場合がある。更に、バインダーが含水物であれば、この水分によってコラーゲン粉末が溶解して未変性コラーゲン含有率が低下し、またはこれを回避する場合には実質的に凍結乾燥以外の方法で乾燥することは困難となる。
【0012】
一方、未変性コラーゲンは製造が容易でなく高価である。基材シートの表面に接着剤層を形成し、その接着剤層の表面にコラーゲン粉末を固定すれば、溶解液添加後の基材シートの表面に、高濃度のコラーゲン溶液層を形成することができる。しかしながら、コラーゲン粉末は粘着性がないため接着剤層、ひいては基材シートへの固定化量が安定しない場合があり、特に、接着剤層の面積が狭い場合にその傾向が強い。
【0013】
なお、パック化粧料は、頬、首、目の回りなど貼付する部位に応じて要求されるコラーゲン量も相違するため、コラーゲン要求濃度に応じて簡便に付着量を変更できれば便宜である。しかしながら特許文献3は、コラーゲン繊維と基材繊維とを混紡するものであり、特許文献4はコラーゲン粉末を混練したバインダー組成物やコラーゲン分散液を基材に塗工するため、部位によるコラーゲン濃度の変更が困難である。また、特許文献5は、部位毎に異なる組成の化粧料組成物などを保持させるため、貼付面に液不透過性または液半透過性の仕切り部を形成する必要があり、製造が容易でない。従って、コラーゲン付着量を所定の部位に応じて容易に調整しうるパック化粧料の開発が望まれる。
【0014】
更に、顔面に貼付するパック化粧料は、特許文献5の
図1に示すように、略円形の顔面形状に成形されることが一般的である。長尺の基材シートに化粧成分などを付着した後に略円形に切り出すため、角部が廃棄部分となる。しかしながら、未変性コラーゲンは製造が容易でなく高価である。従って、少量の未変性コラーゲン粉末を効率的に使用したパック化粧料の開発が望まれる。なお、皮膚に保湿性が要求されるのは、顔面に限定されずトイレタリー用品でも同様である。
【0015】
上記現状に鑑み、本発明は、基材シートにコラーゲン粉末を付着させたパック化粧料やトイレタリー用品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、パック化粧料について詳細に検討した結果、基材シートに接着剤層を形成し、その表面にコラーゲン粉末を付着させると、コラーゲンを基材シートに過量に
付着させることなく皮膚に投与できるため、コラーゲンを効率的に利用しうること、接着剤層を分散して形成すると、接着剤層の分散率を変えることで基材シートに付着させるコラーゲン粉末量を調整できること、コラーゲン粉末の平均粒子径を調整するとコラーゲン粉末の付着量を安定させることができることなどを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち本発明は、基材シートまたは表面処理をした基材シートの表面の接着剤層にコラーゲン粉末が付着したパック化粧料であって、
前記接着剤層は、分散して形成され、前記コラーゲン粉末は、前記接着剤層の表面に付着されるものである、パック化粧料を提供するものである。
【0018】
また本発明は、前記接着剤層に付着するコラーゲン粉末は、平均粒子径が1〜500μmであり、かつ粒子径が10μm以下のコラーゲン粉末を1〜80質量%含有するものである、前記パック化粧料を提供するものである。
【0019】
また本発明は、
前記コラーゲン粉末は、未変性コラーゲンの乾燥物である、前記パック化粧料を提供するものである。
【0020】
また本発明は、前記コラーゲン粉末が付着する前記接着剤層の面積は、接着剤層1個あたり0.01〜30mm
2であることを特徴とする、前記パック化粧料を提供するものである。
【0021】
また本発明は、前記接着剤層は、前記基材シートまたは表面処理をした基材シートの面積当たり1〜60%の範囲に分散して形成されるものである、前記パック化粧料を提供するものである。
【0022】
また本発明は、前記基材シートは、目付け15〜180g/m
2であり、かつ保水率が500〜2,000%であることを特徴とする、前記パック化粧料を提供するものである。
【0023】
また本発明は、前記基材シートは、湿潤時の伸び率が15〜180%である、前記パック化粧料を提供するものである。
【0024】
また本発明は、前記接着剤層を構成する接着剤は親水性接着剤である、前記パック化粧料を提供するものである。
【0025】
また本発明は、基材シートまたは表面処理をした基材シートの表面の接着剤層にコラーゲン粉末が付着したトイレタリー用品であって、
前記接着剤層は
、分散して形成され、
前記コラーゲン粉末は、前記接着剤層の表面に付着されるものである、トイレタリー用品を提供するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のパック化粧料やトイレタリー用品は、基材シートに形成した接着剤層の表面にコラーゲン粉末が付着しているため、効率的にコラーゲンの効果を利用することができる。コラーゲン粉末は熱安定性に優れるため、三重らせん構造を構成するコラーゲンを付着するパック化粧料やトイレタリー用品を常温で保存することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第一は、基材シートまたは表面処理をした基材シートの表面の接着剤層にコラーゲン粉末が付着したパック化粧料であって、前記コラーゲン粉末は、前記接着剤層の表面に付着されるものである、パック化粧料である。また、本発明の第二は、基材シートまたは表面処理をした基材シートの表面の接着剤層にコラーゲン粉末が付着したトイレタリー用品であって、前記接着剤層は、前記基材シートの単位面積当たりに要求されるコラーゲン粉末量に対応して分散して形成され、前記コラーゲン粉末は、前記接着剤層の表面に付着されるものである、トイレタリー用品である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
(1)コラーゲン粉末
コラーゲンとは、タンパク質の一種で、3本のポリペプチド鎖が螺旋を巻いたものの総称である。本発明では、ウシ、ブタ、ニワトリ、ダチョウ、ウマ、魚類等の真皮や腱皮膚やその他のコラーゲンを含む組織から採取したコラーゲンなどを使用することができる。コラーゲンは、熱処理によって抽出するとコラーゲンが熱変性して特有の三重らせん構造が壊される。本発明で好ましく使用するコラーゲンは、溶液中で三重らせん構造を構成する未変性のコラーゲンである。未変性コラーゲンの製造方法は公知である。本発明で使用するコラーゲン粉末は、たとえば、動物の骨、皮などを材料として、アルカリ処理や酸処理、または酵素処理による可溶化法等で抽出したものを、凍結乾燥、繊維化、粉末化したもの、その他何れの方法で製造したものであってもよい。
【0030】
本発明における「コラーゲン粉末」とは、微細な未変性コラーゲンの乾燥物を意味する。粉末のほかに、微細状、粒子状、細粒状、顆粒状、破砕状、その他であってもよい。本発明は、繊維状コラーゲンなどよりも単位質量あたりの表面積が広いコラーゲン粉末を基材シートに付着させることで、室温で保存でき、かつ溶解性に優れるパック化粧料を製造するものである。従って、例えば、コラーゲン溶液を繊維状に吐出させてなる繊維状コラーゲンを微細に切断、粉砕、または破砕したものであってもよく、コラーゲン溶液の凍結乾燥物を粉砕または破砕したもの、コラーゲン等電点沈殿物や塩析沈殿物を乾燥、粉砕または破砕したもの、コラーゲン溶液の噴霧乾燥物、その他のいずれであってもよい。
【0031】
本発明では化粧料やトイレタリー用品にコラーゲン粉末を使用するため、化粧水その他の水性溶媒を添加した際にコラーゲン粉末がすみやかに膨潤または溶解する必要がある。本発明で使用するコラーゲン粉末の平均粒子径は1〜500μm、好ましくは2〜500μm、より好ましくは4〜400μm、特に好ましくは4〜300μmである。微細なコラーゲン粉末、例えば、コラーゲン溶液を噴霧乾燥して調製した平均粒子径が1〜5μm程度のコラーゲン粉末は、水に投入した際に溶解しないゲル状塊が形成される場合がある。しかしながら、本発明では接着剤層の表面にコラーゲン粉末を付着させるため微細な粉末であっても溶解時のゲル状塊の形成が抑制され、速やかに溶解する。一方、平均粒子径が500μmを超えると、接着剤層への付着が困難となり、または付着後にコラーゲン粉末が剥離する場合がある。なお、本願明細書において、コラーゲン粉末の粒子径は、電子顕微鏡によって測定した値であり、電子顕微鏡像の長径をもってコラーゲン粉末の粒子径とする。なお、平均粒子径は、十視野に含まれる全てのコラーゲン粉末の粒子径を平均したものとする。
【0032】
本発明では、更に粒子径が10μm以下のコラーゲン粉末を1〜80質量%、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%含有するものであってもよい。コラーゲン粉末には粘着性が無いため、接着剤層の表面に付着させる場合に、付着量が変動する場合がある。しかしながら、粒子径が10μm以下のコラーゲン粉末を所定量配合することで、付着量が安定することが判明した。大粉末間に粒子径が10μm以下の小粉末が潜り込んで接着剤層に付着することで、効率的に所定量を付着しうると推定される。したがって、ゲル状塊を形成するために使用が困難であった微細なコラーゲン粉末であってもパック化粧料として使用することができる。一方、80質量%を超えると、必要量を付着できない場合がある。基材シートの風合いや肌触りを生かすためには、接着剤層の面積がより小面積であることが好ましいが、特に、このような小面積の接着剤層での付着性に優れる。なお、10μm以下のコラーゲン粉末の含有量は、粒度分布から求めることができるが、例えば、10μmのコラーゲン粒子が残留する篩いを使用し、全体の質量に対する通過分の質量の百分率を持って、粒子径が10μm以下のコラーゲン粉末の含有率としてもよい。
【0033】
(2)基材シート
基材シートや予め表面処理をした基材シートの材質は、紙、天然繊維、合成繊維、合成樹脂、これらの複合体など、パック化粧料やトイレタリー用品に使用し得るものを好適に使用することができる。合成繊維としては、親水性繊維であっても疎水性繊維であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系繊維、ポリアクリルニトリル等のアクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維などの合成繊維がある。レーヨン、ポリノジック、キュプラなどの再生繊維や、アセテートなどの半合成繊維、これらの変性物や共重合体からなる繊維の1種を単独で、また2種以上を併用してもよい。また、天然繊維としては、綿、麻、毛、絹などがある。形状は、織物、編物、不織布、フィルム、発泡体、これらの積層体や複合体など、形状がシート状であるものを広く使用することができる。
【0034】
本発明で基材シートとして使用できる紙としては、公知の湿式抄紙法で製造可能なものを用いることができる。紙を構成する繊維としては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂からなる合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。紙には、必要に応じ、繊維以外の他の成分、例えば、澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤または定着剤、サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等の1種または2種以上が含有されていてもよい。
【0035】
織物としては、平織、綾織、朱子織、もじり織、ジャカード織、重ね織などがある。編物としては、天竺編み、フライス編み、スムース編み、鹿の子編み、ツーウェー編み、ハーフ編み、サテン編みなどを例示することができる。不織布としては、エアレイド法、カーディング法、湿式法、スパンボンド法などで形成したフリースを、ニードルパンチ法、スパンレース法、スチームジェット法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法で結合して製造される不織布などの何れであってもよい。好ましくは肌触りに優れる点で、スパンレース法により製造された不織布である。
【0036】
フィルムとしては、ポリエステルやアセテートなどのエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリル酸やメタクリル酸などのアクリル酸系樹脂などを使用することができる。親水性を有する点で、ポリアクリル酸などの吸水性ポリマーを単独で、または吸水性ポリマーに他の樹脂を混合してフィルム状に成形したものなどが好適である。
【0037】
発泡体としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、不飽和ポリエステル、フェノール系樹脂、ポリブタジエン及び合成ポリイソプレン等のゴム系樹脂、セルロース系樹脂などがある。柔軟性に優れる点でポリウレタン系樹脂やポリオレフィン系樹脂からなるシート状物が好適である。発泡体を構成する気泡は、所定の保水量を確保できれば、クローズドセルであってもオープンセルであってもよい。
【0038】
基材シートは、目付けが15〜180g/m
2であることが好ましく、より好ましくは30〜100g/m
2である。また、保水率は500〜2,000%であることが好ましく、より好ましくは500〜1,500%である。この範囲であれば、溶解液を含浸させた後にパック化粧料に柔軟性を付与し、かつ付着するコラーゲン粉末を溶解することができる。なお、基材シートの目付けはJIS L1913 6.2に準じて単位面積あたりの質量を測定した数値であり、保水率はJIS L1913 6.9.2に準じて測定した数値である。
【0039】
基材シートは、伸びる素材であってもよい。伸びる素材の場合、実使用上の伸びる方向で湿潤時の伸び率が15〜200%、より好ましくは40〜180%の範囲で伸びるものを好適に使用することができる。基材シートが伸びると、顔面の形状に沿ってパック化粧料を伸ばすことができるため、貼付性や使用感に優れる。また、方形のパック化粧料の上下・左右を適宜引き伸ばして略楕円形の顔面形状に成形することができる。長尺の原反から方形のパック化粧料を製造すれば、顔面形状のパック化粧料を製造するよりも廃棄量を低減することができる。なお、伸縮性に優れる基材シートを使用すれば、例えば肘や膝などに貼付した際も肘や膝の屈伸性を阻害することがない。なお、伸び率は、JIS L1913 6.3.2に準じて湿潤時の伸び率を測定した数値である。
【0040】
本発明で使用する基材シートは、予め表面処理をした基材シートであってもよい。接着剤層の接着性を確保することができる。表面処理として、例えば、アンダーコート層が形成された基材シートを使用すると、基材シートと接着剤層との間の密着性が向上する。このようなアンダーコート層を形成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂などを単独で、または混合物として使用することができる。これらアンダーコート層は、樹脂または樹脂組成物の溶液を、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法などの公知の技術で塗布し、乾燥した後、必要に応じて紫外線、電子線などを照射し硬化させることにより形成することができる。アンダーコート層の厚みについては、0.5〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。アンダーコート層の厚みが薄いと、付着性の確保が十分に得られない場合がある。その他、表面処理として、帯電防止加工、柔軟加工などを行ったものを使用してもよく、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理及び紫外線処理などの電磁波処理であってもよい。
【0041】
更に、基材シートは、予め他の化粧料、その他の成分を含有するものであってもよい。このような成分としては、ビタミン類や紫外線吸収剤、保存料などがある。
【0042】
(3)接着剤
接着剤層を形成するために使用される接着剤は、コラーゲン粉末を未変性のまま付着しうるものを広く使用することができ、親水性接着剤、疎水性接着剤のいずれも好適に使用することができる。使用時に含水状態で使用しても、水を含まない非水状態で使用してもよいが、含水状態で使用する場合は、コラーゲンと接触させた後は50℃以下で操作することが好ましい。コラーゲン粉末が接着剤に含まれる水に溶解した後に変性するのを防止するためである。
【0043】
このような接着剤としては、ゼラチン、グアーガム、トラガントゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、シュラツゴム、アルギン酸、酸化澱粉、澱粉、α−澱粉およびその誘導体、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースやヒドロキシアルキルセルロースなど)などの水溶性高分子多糖類やポリビニルアルコール(PVA)や変性PVA、不飽和ジカルボン酸を共重合したもの、アクリル酸およびその誘導体、ポリエーテル(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、ビニル系誘導体、ターペンなどの水溶性ポリマーや合成樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂系、アクリル酸樹脂系、ポリアクリル酸メチルメタクリレート系、シリコーン樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリアミド樹脂系、塩酢ビ樹脂系、エチレン酢酸ビニル共重合体等の各種共重合体などを使用することができる。本発明では、これらを単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明では、ゼラチン、PVA、アクリル酸系樹脂などの親水性接着剤を好適に使用することができる。パック化粧料を溶解液に含浸した際に、接着剤が溶解液を含水し柔軟となり、皮膚に対する刺激が少ないからである。
【0045】
また、接着剤として、親水性接着剤と疎水性接着剤とを併用してもよい。例えば、基材シートに予め上記親水性接着剤層を形成し、その上部に疎水性接着剤層を形成してもよい。親水性接着剤層がアンダーコート層として機能し、プリント性を向上させることができる。
【0046】
コラーゲン粉末を接着する際の接着剤の粘度は、100〜7,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは200〜4,000mPa・s、より好ましくは800〜3,000mPa・sである。100mPa・sを下回ると接着剤が基材シートに容易に浸み込むため基材シートの表面に接着剤層が形成されず、コラーゲン粉末の接着が困難となる場合がある。一方、7,000mPa・sを超えると、粘度が高すぎて基材シート上への接着剤層の形成が困難となる場合がある。
【0047】
(4)接着剤層
本発明において、接着剤層は、基材シートまたは表面処理した基材シートの表面に形成される。基材シートに形成する接着剤層の面積を調整することで、基材シートの単位面積当たりに付着させるコラーゲン粉末量を調整することができる。なお、コラーゲン粉末量の調整は、接着剤層に付着させるコラーゲン粉末量を調整して行うこともできる。コラーゲン粉末は乾燥状態で接着性や粘着性がないため、接着剤層の表面に一層のコラーゲン粉末層を形成して固定される。接着剤層に付着しうるコラーゲン粉末量は、粒子径や粒度分布に対応して概算が可能である。基材シートや表面処理した基材シートの表面に接着剤層を塗工その他によって形成し、接着剤層の表面に、目的量のコラーゲン粉末を分散して付着させることで、本発明のパック化粧料とすることができる。
【0048】
接着剤層は、基材シートの全面に形成してもよく、基材シートの表面に分散して形成してもよい。分散して形成される接着剤層は、不連続に点在する態様であってもよく、直線や曲線などが連続する態様であってもよい。連続する態様としては、基材シートの表面に所定間隔で縦横に形成された罫線様を例示することができる。点在する際の形状は、ドット、丸型、三角、四角等や、花柄や星型、キャラクター柄、その他任意の形状を例示することができる。何れの態様であっても、基材シートの表面に接着剤層を均一に形成することができる。好ましくは、不連続に点在する態様である。基材シートの風合いが損なわれることが少ない。
【0049】
基材シートにドット状の接着剤層を分散して形成する場合、接着剤層1個あたりの面積は0.01〜30mm
2、好ましくは0.02〜20mm
2、特に好ましくは0.02〜10mm
2である。接着剤層1個当たりの面積が0.5mm
2、接着剤層の面積が基材シートの面積の8%である場合、基材シート1cm
2あたりの接着剤層の数は平均16個となる。これは、直径0.8mmの円形の接着剤層が2mm間隔で形成される態様である。コラーゲン粉末は基材シートの表面に付着しており、かつ含水により体積が膨張するため、これを皮膚などに付着すると基材シート上にコラーゲンが均一に広がり、十分な保湿効果を付与することができる。接着剤層1個あたりの面積が0.01mm
2を下回るとコラーゲン粉末の付着が困難となる場合がある。なお、30mm
2を超える接着剤層の形成も可能であるが、保湿性その他の効果の更なる増強も少ない。
【0050】
接着剤層を分散して形成する場合の接着剤層の面積は、基材シートまたは表面処理をした基材シートの面積当たり1〜60%、好ましくは2〜50%、特に好ましくは3〜40%の範囲である。1%を下回ると、コラーゲン粉末の付着量が少なく、コラーゲン粉末による保湿性その他の効果を十分に得られない場合がある。また、分散して形成された接着剤層と接着剤層との間隔が広くなるため溶解後のコラーゲン濃度を均一にすることが困難となる場合がある。一方、コラーゲン粉末は含水により体積が膨張するため、60%を越えてコラーゲン粉末を付着しても、コラーゲン濃度の均一性に与える影響は少なく、保湿性その他の効果の更なる増強も少ない。なお、基材シートの面積当たりの接着剤層の面積は、予め接着剤層のコラーゲン粉末付着面積と付着するコラーゲン粉末量との関係を評価し、基材シートの面積当たりに付着するコラーゲン粉末量から概算することができる。
【0051】
なお、点在する接着剤層の数や面積は、パック化粧料やトイレタリー用品の全領域において同じである必要はない。パック化粧料として使用する際の頬部分や額部分などのコラーゲン濃度を高めたい場合には、該当箇所の接着剤層の数や面積を増やし、接着剤層と接着剤層との間隔を狭めるなど接着剤層を不均一に分散させてもよい。
【0052】
(5)パック化粧料
コラーゲンは吸湿性が高くその溶液は高粘度であるが、コラーゲンが粉末状に乾燥されたコラーゲン粉末には接着性がない。本発明のパック化粧料は、接着剤層の表面にコラーゲン粉末が付着されたものであり、接着剤層にコラーゲン粉末が接触して略1層のコラーゲン粉末層が形成されることを意味する。パック化粧料を溶解液に含浸し、またはパック化粧料に溶解液を噴霧すると、それぞれのコラーゲン粉末が溶解液に接触し、ゲル状塊を形成することなくコラーゲン粉末を溶解することができる。しかも、溶解後のコラーゲンは粘度が高いため基材シートへの移行が緩慢であり、基材シートの表面に局在する。このため、少量のコラーゲンであっても効率的に皮膚面に貼付することができる。
【0053】
なお、前記接着剤層は、基材シートの単位面積当たりに要求されるコラーゲン粉末量に対応させて、基材シートの表面に分散して形成される。
【0054】
本発明のパック化粧料やトイレタリー用品に付着するコラーゲン粉末の量は、パック化粧料等を使用する対象部位、例えば顔面、首、手、足、肘、膝その他に応じて適宜選択することができる。コラーゲン粉末は、パック化粧料等に均一に分散するものに限定されない。たとえば顔面用の場合、頬部のコラーゲン濃度を高めたい場合には、頬部に該当する部分のコラーゲン粉末量が他の箇所よりも増量して付着されたものであってもよい。分散する接着剤層にコラーゲン粉末が付着しているため、貼付領域を区分するための仕切り部などの構成物が存在せず、所望箇所のコラーゲン濃度が簡便に制御されたパック化粧料となっている。
【0055】
上記を満たすことを条件に、コラーゲン粉末に加えて、他の粉末状の化粧料を接着剤層に付着させてもよい。このような他の粉末として、シルクパウダー、セルロースパウダー、ヒアルロン酸、アミノ酸、オリゴ糖、ビタミン誘導体、セラミド、植物エキスなどがある。
【0056】
本発明のパック化粧料は、これを貼付する部位に応じて適宜切り出して、使用することができる。顔面に貼付するパック化粧料の場合には、更に、目、鼻、口部分をくり貫き、または使用時の便宜のため、切り込みなどを形成してもよい。
【0057】
このパック化粧料は、使用に際して溶解液を添加してパック化粧料を湿らせ皮膚に貼付して使用する。または、肌に溶解液を塗布し、パック化粧料のコラーゲン粉末側を皮膚に貼付し、コラーゲン粉末を膨潤または溶解させて使用してもよい。
【0058】
本発明のパック化粧料は、一回の使用量ごとに個別包装されていてもよく、同様に溶解液も個別包装されていてもよい。使用時にパック化粧料の個別包装容器に溶解液を注入してコラーゲン粉末を溶解すれば、未変性のコラーゲンを安定して使用することができる。コラーゲン溶液は熱安定性が低いため冷蔵保存が必要であるが、本発明のパック化粧料は耐熱性に優れるコラーゲン粉末を使用しているため、室温保存が可能となる。
【0059】
(6)溶解液
溶解液は、コラーゲン粉末を溶解できるものであり、パック化粧料として使用するため、皮膚などへの刺激のないものを広く使用することができる。一般には、コラーゲンを溶解した状態でのpHがコラーゲンの等イオン点から外れるような水を主体とする液体であり、水のみであってもよい。なお、溶解性は使用するコラーゲン粉末の種類や平均粒子径などによって異なるため、予め基材シートに付着するコラーゲン粉末の溶解性を評価し、これに適する溶解液を使用する。通常は、皮膚に対する安全性その他から、pH5.5〜8.5、より好ましくはpH5.5〜7.5の溶液である。pHの調整は、無機または有機酸によって行うことができ、緩衝液であってもよい。なお、化粧水を溶解液として使用してもよい。
【0060】
溶解液は、コラーゲンの溶解性を阻害しない範囲で、他の化粧料を含むものであってもよい。このような化粧料として、プラセンタエキス、コウジ酸、ルシノール、アルブチン、エラグ酸、カミツレエキスなどの美白成分、ヒアルロン酸、プロピレングリコール、グリセリン、ブタンジオール、ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、尿素、乳酸塩、ピロリドンカルボン酸塩等の保湿剤、アロエエキス等の植物抽出物、ビタミン類、紫外線吸収剤、保存料がある。
【0061】
(7)トイレタリー用品
本発明において、「トイレタリー用品」とは、身体の洗浄や身嗜みを目的として使用される物品である。パック化粧料は、一般にフェイスケアに使用されるが、顔面に限定されず、手、膝、踵、首など、全身のスキンケアを目的として使用することができる。
【0062】
(8)製造方法
本発明のパック化粧料は、基材シートの表面に接着剤層を形成し、その表面にコラーゲン粉末を分散して付着させることで製造することができる。用途に応じて適宜選択された基材シートの片面に、接着剤を塗工し、またはスクリーン印刷法、ロールプリント法、コーティング法、転写プリント、グラビアプリント、平板プリントや凸版プリント等の公知の印刷手法で形成する。
【0063】
例えば、直径1mmのドット状の接着剤層にコラーゲン粉末が1μg付着する条件で、コラーゲン粉末を100mg/m
2付着させたパック化粧料を調製する場合には、10個/cm
2となるよう基材シートに直径1mmのドット状の接着剤層を均一に形成すればよい。同様にして、接着剤層の面積、接着剤層と接着剤層との間隔、コラーゲン粉末の粒子径、接着剤の種類などを適宜選択することで、基材シートの単位面積当たりのコラーゲン粉末の付着量を調整することができる。なお、パック化粧料等の貼付部位に応じてコラーゲン粉末量を増減したい場合には、接着剤層の面積や、接着剤層と接着剤層との間隔を変更して、所定箇所のコラーゲン粉末量を変更することができる。
図1(A)は、ドット状接着剤層の一例であり、一辺(a)の正三角形を構成するように、直径(b)の接着剤層が形成され、
図1(B)は、
図1(A)に示す接着剤層が基材シートの表面に均一に形成される態様を示す。
【0064】
また、伸縮性を有する基材シートに接着剤層を形成することもできる。例えば、縦横方向の伸張率がそれぞれ120%の基材シートに、顔面形状に沿って縦横に伸張した際に各部のコラーゲン粉末量が一定になる用に接着剤層を形成することもできる。例えば
図2(A)のように方形の基材シートに中央部の接着剤層が密になるように不均一に接着剤層を形成し、これにコラーゲン粉末を付着してパック化粧料を製造する。このパック化粧料を溶解液に含浸した後に、例えば、
図2(B)に示すように、パック化粧料を縦横に顔面の形状に伸張する。顔面形状に延伸した際の単位面積当たりのコラーゲン粉末量は、パック化粧料全体に亘り略均一となる。
【0065】
基材シートが伸びる特性を有すると、方形の基材シートの4辺の略中央を伸ばして楕円形状に変形することができる。楕円形状に伸ばした際にコラーゲン粉末量が所望の濃度になるように、接着剤層を分散させて形成することができる。分散の方法は、同サイズのドット状接着剤層と接着剤層との間隔を調整して分散密度を変化させる他、ドット状接着剤層のサイズを変化させるものであってもよい。上下・左右にそれぞれ基材シートの中心から120%伸びる基材シートを使用した場合には、基材シートの中央から各4辺の中央に向かって、例えばドット面積が他よりも120%拡大された接着剤層を形成すれば、基材シートを伸ばした際にコラーゲン粉末が均一になるパック化粧料を製造することができる。
【0066】
接着剤層を形成した基材シートにコラーゲン粉末を散布し、必要に応じて基材シートを押圧してコラーゲン粉末を固定し、および接着剤層を硬化して付着したコラーゲン粉末を固着させる。接着剤層以外に散布されたコラーゲン粉末は、吸引、送風、振動その他の方法で除去することができる。なお、接着剤層にスポット状にコラーゲン粉末を載置し、接着剤層を硬化してコラーゲン粉末が付着したパック化粧料を調製することもできる。
【0067】
接着剤の硬化は、例えば、アクリル酸系接着剤を使用した場合には、乾熱処理により行う。加熱により接着剤表面にコラーゲン粉末が付着し、その後の放冷により接着剤層が硬化する。コラーゲン粉末は耐熱性に優れるが、変性を回避するため加熱は180℃以下で行うことが好ましい。
【0068】
一方、接着剤としてゼラチン系接着剤を使用した場合には、使用するゼラチンの融点に応じて、接着剤層形成後の基材シートの温度を調整する。例えば、ゼラチン系接着剤の融点が60℃以上の場合には、接着剤層を形成した後に温度20〜40℃に冷却し、接着剤がゲル状を維持している間にコラーゲン粉末を付着させる。その後風乾により接着剤層が硬化する。
【0069】
長尺の基材シートを用いて接着剤層の形成工程、コラーゲン粉末の付着工程、および必要に応じて乾燥工程を行った後、所定形状に切り出すことでパック化粧料を製造することができる。その際、顔面に貼付する用途の場合、楕円形その他の顔面形状や方形に切り出すことができる。特に、伸びる基材シートを使用し、コラーゲン粉末を基材シートが伸びた状態で均一に付着させた場合には、方形に切り出してもよい。製造の際に廃棄部分を低減できる点で優れる。このような方形のパック化粧料でも、溶解液を含浸させた後に所定箇所を引き伸ばすことで顔面形状に成形することができ、かつ自己の顔面に適した形状に調整することができる。
【実施例】
【0070】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0071】
(実施例1)
厚さ380μmの不織布(ユニチカ株式会社製、商品名「コットエース」、目付け60g/m
2、保水率800%、湿潤時の伸び率170%)を基材シートとし、ゼラチン系接着剤(株式会社ニッピ製、商品名「ゼラチンAP−270」)100gを溶解液(pH7〜8)200mlに仕込み、温度60℃に加温して溶解して接着剤液(温度60℃の粘度1,800mPa・s)を調製した。この接着剤液の温度を60℃に維持しながら、
図1(A)に準じて、一辺(a)が2.3mmの正三角形を構成するように各頂点に直径(b)が0.6mmのドットが均一に形成されたスクリーン(
図1(B)参照)を用いてスクリーン印刷により基材シートの表面に接着剤層を形成した。接着剤塗布後に、接着剤塗布シートの載置台を温度25℃に冷却したスキャッタリング装置を用いてコラーゲン粉末(平均粒子径158μm、10μm未満の含有率5質量%)を散布した。散布後、基材シートを反転して接着剤層に固着しなかったコラーゲン粉末を払い落とした後、風乾してパック化粧料を製造した。
【0072】
使用したコラーゲン粉末の変性温度を示差走査熱量計(DSC)で測定した。測定結果を
図3に示す。温度を徐々に上昇させると、112.4℃に熱量変化のピークが観察された。なお、対照として濃度7.2質量%のコラーゲン溶液を調製して同様に測定したところ、熱量変化のピークは33.0℃であった。また、使用したコラーゲン粉末5mgを10mM酢酸1mlに再溶解し、5mM酢酸で終濃度0.1mg/mlに調製したコラーゲン溶液の円二色性(CD)を20℃で測定した。また、実施例1で使用したコラーゲン粉末と、対照として濃度0.1mg/mlの未変性コラーゲン溶液と、このコラーゲン溶液を温度100℃で3分間熱変性させた変性コラーゲン溶液の測定チャートを
図4に示す。波長を200〜250nmに上昇させると、分子楕円率の変化パターンが観察されるが、コラーゲン粉末を再溶解した溶液のパターンは、未変性コラーゲン溶液のカーブと略一致し、20℃において三重らせん構造を維持している。
【0073】
図5(A)に接着剤層を形成した基材シートの電子顕微鏡写真を、
図5(B)にコラーゲン粉末を固定させたパック化粧料の電子顕微鏡写真を示す。
【0074】
得られたパック化粧料について、使用したコラーゲンの平均粒子径、接着剤の種類、1個あたりの接着剤層の面積、基材シートに対する接着剤層の面積率、パック化粧料の担持コラーゲン量、溶出コラーゲン量、コラーゲン溶出率、三重らせん含有率、コラーゲン含有率、未変性率等を評価した。各測定は以下に従った。結果を表1、表2、表3に示す。
【0075】
(1)コラーゲン粉末の平均粒子径
電子顕微鏡像の長径をもってコラーゲン粉末の粒子径とし、十視野に含まれる全てのコラーゲン粉末の粒子径を平均し、平均粒子径とした。また、10μmの篩いを使用し、全質量に対する通過分の質量を百分率で算出して小粒子(粒子径10μm以下の粉末)の含有率とした。
【0076】
(2)担持コラーゲン量
パック化粧料を50mm×50mmに切り取り、試験片とした。この試験片を60mm×85mmのプラスチック袋に収納し、1%クエン酸バッファー(pH6.5)を3mlを入れ、40℃で2時間放置した。その後、2,000rpmで3分間遠心し、抽出液を得た。この抽出液からミクロビュレット法によりタンパク質量(I)を測定した。なお、接着剤の影響を相殺するため、コラーゲン付着前の基材シートを同サイズに切り出して試験片とし、上記と同様にしてタンパク質量(II)を測定した。担持コラーゲン量は以下により算出した。
担持コラーゲン量=タンパク質量(I)−タンパク質量(II)
【0077】
(3)溶出コラーゲン量
パック化粧料を50mm×50mmに切り取り、試験片とした。この試験片を60mm×85mmのプラスチック袋に収納し、1%クエン酸バッファー(pH6.5)を3mlを入れ、室温で15分間放置した。その後、2,000rpmで3分間遠心し、抽出液を得た。この抽出液からミクロビュレット法によりタンパク質量(III)を測定した。なお、接着剤の影響を相殺するため、コラーゲン付着前の基材シートを同サイズに切り出して試験片とし、上記と同様にしてタンパク質量(IV)を測定した。溶出コラーゲン量は以下により算出した。
溶出コラーゲン量=タンパク質量(III)−タンパク質量(IV)
【0078】
(4)コラーゲン溶出率
担持コラーゲン量に対する溶出コラーゲン量をコラーゲン溶出率とした。コラーゲン溶出率は以下により算出した。
コラーゲン溶出率(%)=(溶出コラーゲン量/担持コラーゲン量)×100
【0079】
(5)三重らせん含有率
未変性アルカリ可溶化コラーゲンの0.1mg/ml溶液をコントロールとし、コントロールの20℃、および50℃のCDスペクトル、および各実施例の溶出コラーゲン測定用の抽出液の温度20℃のCDスペクトルを測定した。未変性アルカリ可溶化コラーゲン溶液は、温度20℃では未変性であり、221nmに三重らせん構造に基づくピークを形成するが、温度50℃では100%変性しピークが消失する。そこで、221nmの測定値に基づいて、コントロールの20℃と50℃のCD値の差を100とし、三重らせん含有率を下記により算出した。CDスペクトルを
図12に、221nmのCD値を表2に、三重らせん含有率を表3に示す。
三重らせん含有率(%)={(測定CD値−コントロール50℃のCD値)/(コントロール20℃のCD値−コントロール50℃のCD値)}×100
【0080】
(6)コラーゲン未変性率(%)
コラーゲン未変性率(%)とは、パック化粧料から溶出したコラーゲンにおける三重らせん構造を維持した未変性コラーゲンの割合を意味し、以下により算出した。なお、比較例1のコラーゲン含有率は、接着剤層に含まれるゼラチン濃度(33.3%)の接着剤4質量部に対して1質量部のコラーゲン粉末が混合される混合割合から、{1/(4×0.33+1)}×100から42.9(%)と算出した。結果を表3に示す。
コラーゲン未変性率(%)={三重らせん含有率/コラーゲン含有率(%)}×100
なお、コラーゲン含有率は、上記(5)のCD値の測定で使用した抽出液の総コラーゲン量に対する溶出コラーゲン量の割合であり、以下で算出される。
コラーゲン含有率(%)={溶出コラーゲン量/タンパク質量(III)}×100
【0081】
(実施例2)
一辺(a)が1.0mmの正三角形を構成するように各頂点に直径(b)が0.2mmのドットを均一に形成したスクリーンを用いて接着剤層を形成した以外は実施例1と同様に操作してパック化粧料を作成し、実施例1と同様に各評価を行った。結果を表1および表2に示す。また、
図6(A)に接着剤層を形成した基材シートの電子顕微鏡写真を、
図6(B)にコラーゲン粉末を固定させたパック化粧料の電子顕微鏡写真を示す。
【0082】
(実施例3)
実施例1で使用したコラーゲン粉末を再溶解し、等電点沈澱して得られた分散液を噴霧乾燥してコラーゲン粉末を得た。このコラーゲン粉末の平均粒子径は、4.6μmであった。このコラーゲン粉末を使用した以外は実施例1と同様に操作してパック化粧料を作成し、実施例1と同様に各評価を行った。結果を表1および表2に示す。パック化粧料の電子顕微鏡写真を
図7に示す。
【0083】
(実施例4)
ゼラチンに代えてPVA(株式会社クラレ製、商品名「PVA−117」)の水溶液(温度40℃の粘度1,400mPa・s)を使用した以外は、実施例1と同様に操作してパック化粧料を作成し、実施例1と同様に各評価を行った。結果を表1および表2に示す。
図8(A)に接着剤層を形成した基材シートの電子顕微鏡写真を、
図8(B)にコラーゲン粉末を固定させたパック化粧料の電子顕微鏡写真を示す。
【0084】
(比較例1)
実施例1で使用した接着剤4質量部に対して実施例1で使用したコラーゲン粉末を1質量部の割合で混練し、実施例1で使用した不織布に実施例1と同じスクリーンを使用してスクリーン印刷し、パック化粧料を調製した。得られたパック化粧料について、実施例1と同様に各評価を行った。結果を表1および表2に示す。コラーゲン粉末は、接着剤層の内部深くに固定されていた。パック化粧料の電子顕微鏡写真を
図9に示す。なお、表1に示す担持コラーゲン量は、実測した総タンパク質に含まれるコラーゲン含有量42.9%から算出した。
【0085】
(比較例2)
実施例1で使用したコラーゲン粉末を1%クエン酸緩衝液(pH6.5)に濃度9.8mg/mlとなるように溶解し、可溶化コラーゲン溶液を調製した。この溶液1.5gを使用して実施例1で使用した基材シートを含浸し(コラーゲン量:14.7mg/25cm
2)、その後、風乾してパック化粧料を調製した。
【0086】
このパック化粧料は、クエン酸緩衝液を含むため、溶出コラーゲン量の測定に際して、1%クエン酸バッファー(pH6.5)に代えて同量の超純水(ミリQ水)を使用した以外は上記と同様にして溶出コラーゲン量を測定した。結果を表1に示す。また、パック化粧料の電子顕微鏡写真を
図10に示す。
図10(A)は、50倍拡大図であり、
図10(B)は、100倍拡大図である。
【0087】
(比較例3)
比較例2において、コラーゲン溶液に含浸した基材シートを、風乾に代えて凍結乾燥した以外は、比較例2と同様に操作してパック化粧料を調製し、比較例2と同様にして溶出コラーゲン量を測定した。結果を表1に示す。また、パック化粧料の電子顕微鏡写真を
図11に示す。
図11(A)は、50倍拡大図であり、
図11(B)は、100倍拡大図である。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
(結果)
(1)実施例1〜4で製造したパック化粧料は、各ロット毎に担持コラーゲン量が均一で、表1に示すように担持コラーゲン量の標準偏差が小さく、固定化量が安定していた。接着剤表面へのコラーゲン粉末の付着は、
図5〜
図8に示すように、いずれも基材シートに形成した接着剤層の表面に固着され、接着剤層以外の基材シートにはコラーゲン粉末が残存していない。固定化量が安定している一因と推定される。
(2)接着剤層の面積が0.28mm
2/個のパック化粧料(実施例1)と、接着剤層の面積が0.03mm
2/個のパック化粧料(実施例2)とは、
図5(B)および
図6(B)に示すように、接着剤面積のいかんにかかわらず均一にコラーゲン粉末が付着していた。平均粒子径158μm、10μm未満の含有率5質量%のコラーゲン粉末を使用したため、均一なコラーゲン粉末層が形成されたと推定される。なお、
図7に示すように、平均粒子径が4.6μmのコラーゲン粉末を使用した場合でも、接着剤層に均一にコラーゲン粉末層が形成されていた。
(3)接着剤層の表面にコラーゲン粉末を付着させた本発明のパック化粧料は、表1に示すように、溶出率が63.6〜73.8(%)と極めて高値であり、コラーゲン利用率に優れた。一方、比較例1は、接着剤にコラーゲン粉末を混連したものを基材シートにドット状に印刷したものである。担持コラーゲン量に比較して溶出コラーゲン量が少なく、コラーゲンの溶出率も15.2%と極めて低値であった。同様に、コラーゲン溶液を基材シートに含浸させた比較例2および比較例3も、担持コラーゲン量に対する溶出コラーゲン量が低値であった。本願発明のパック化粧料は、接着剤層の表面にコラーゲン粉末が付着しているため、溶解液との接触性に優れ、迅速に溶解したためと推定される。なお、溶解液によって溶出されたコラーゲンは高粘度のため基材シートの表面に局在する。パック化粧料として使用する際には、極めて効率的にコラーゲンを利用することができる。
(4)本発明のパック化粧料は、表3に示すように、比較例1の三重らせんコラーゲン含有率16.2(%)と比較して2倍以上の三重らせん含有率を示す。この結果、コラーゲン未変性率が約6割を超える。これに対し比較例1のパック化粧料では、コラーゲン未変性率が40%未満である。含水性の接着剤と混連したため、水溶液で安定性に欠けるコラーゲンが変性したものと推定される。なお、本願発明のパック化粧料は、接着剤層の表面にコラーゲン粉末が付着しているため、接着剤層とコラーゲン粉末との接触面積が少なく、三重らせんコラーゲン含有率が高く維持されたと推定される。