(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6668096
(24)【登録日】2020年2月28日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】制御機器およびアドレス設定システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20200309BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20200309BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
H04L12/28 200A
H04Q9/00 321D
G05B19/042
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-21592(P2016-21592)
(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公開番号】特開2017-143327(P2017-143327A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】岡山 義孝
【審査官】
森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0215029(US,A1)
【文献】
特開2015−231155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
G05B 19/042
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の制御のための設定情報を記憶した設定情報記憶部と、
前記設定情報記憶部に記憶されている設定情報をもとに制御データを生成する制御処理部と、
近距離無線通信を行うNFC機能部と、
前記NFC機能部におけるNFC通信による接続要求の受け付けにより近距離無線通信を確立した後、接続要求元より送出されたアドレス情報を受け付けるアドレス受付部と、
前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、前記制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定するアドレス設定部と、
前記接続要求元からの給電信号を受信する受電部と、
前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報と前記ネットワークに接続するために既に設定されているアドレスとの新旧を比較する比較部とを備え、
前記アドレス設定部は、前記比較部の比較により前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しいと判断された場合には、前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、前記ネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定することを特徴とする制御機器。
【請求項2】
請求項1記載の制御機器において、
前記比較部の比較により前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しくないと判断された場合には、既に設定されているアドレスを前記接続要求元に通知するアドレス通知部を備える
ことを特徴とする制御機器。
【請求項3】
近距離無線通信を行う携帯端末側NFC機能部、携帯端末側NFC機能部におけるNFC通信により送出された接続要求が確立されると、アドレス情報を送出するアドレス送出部、および非接触給電により給電をする給電部を備える携帯端末機器と、
設定情報を記憶した設定情報記憶部、前記設定情報記憶部に記憶されている設定情報をもとに制御データを生成する制御処理部、近距離無線通信を行う機器側NFC機能部、前記機器側NFC機能部におけるNFC通信による接続要求の受け付けにより近距離無線通信を確立した後、接続要求元より送出されたアドレス情報を受け付けるアドレス受付部、前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、前記制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定するアドレス設定部、および給電部からの給電信号を受信する受電部と、前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報と前記ネットワークに接続するために既に設定されているアドレスとの新旧を比較する比較部とを備え、前記アドレス設定部は、前記比較部の比較により前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しいと判断された場合には、前記アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、前記ネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定する制御機器と
を備えることを特徴とするアドレス設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドレスが設定されるコントローラなどの制御機器およびこの制御機器にアドレスを設定するアドレス設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調制御システムや産業用制御システムは、センサ・アクチュエータなどのフィールド機器やI/O端末が配置される末端の下位層、これらを入出力対象として制御するコントローラの下位層による2階層の論理階層構造で構成されている。また、これらの上位に、複数のコントローラを束ねて統合的な制御を行うためのコントローラを備える3階層の論理階層構造もある。これらのネットワークを構成するフィールド機器などの各ノードは、階層構造における自ノードの論理的なアドレスを付番し、この論理アドレスに基づいて、ノード間の入出力関係を認識している。
【0003】
このようなネットワークにおける各制御器機に対するアドレスの設定は、例えば、機器自身に設けられたロータリースイッチなどの物理的手段により行っている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−205416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、物理的手段によるアドレスの設定では、ロータリースイッチなどを各器機に実装することになり、外観に対して制約が発生する。また、ロータリースイッチの場合は桁数の制約があり、IPアドレスなどの情報が設定できない。これに対し、タッチパネルなどの表示画面が設けられている場合、表示画面を操作することで、アドレスが設定可能となる。また、パーソナルコンピュータや専用端末を用い、これを接続してアドレスを設定する技術もある。しかしながら、これらの設定では、制御機器に対して電源が供給されていることが必須となる。電源が供給されていない状況では、アドレスの設定ができない。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、電源給電がなされていない状態であっても、アドレスが設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御機器は、制御対象の制御のための設定情報を記憶した設定情報記憶部と、設定情報記憶部に記憶されている設定情報をもとに制御データを生成する制御処理部と、近距離無線通信を行うNFC機能部と、NFC機能部におけるNFC通信による接続要求の受け付けにより近距離無線通信を確立した後、接続要求元より送出されたアドレス情報を受け付けるアドレス受付部と、アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定するアドレス設定部と、接続要求元からの給電信号を受信する受電部とを備える。
【0008】
上記制御機器において、アドレス受付部が受け付けたアドレス情報とネットワークに接続するために既に設定されているアドレスとの新旧を比較する比較部を備え、アドレス設定部は、比較部の比較によりアドレス受付部が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しいと判断された場合には、アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、ネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定す
る。
【0009】
また、上記制御機器において、比較部の比較によりアドレス受付部が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しくないと判断された場合には、既に設定されているアドレスを接続要求元に通知するアドレス通知部を備えるようにしてもよい。
【0010】
本発明に係るアドレス設定システムは、近距離無線通信を行う携帯端末側NFC機能部、携帯端末側NFC機能部におけるNFC通信により送出された接続要求が確立されると、アドレス情報を送出するアドレス送出部、および非接触給電により給電をする給電部を備える携帯端末機器と、設定情報を記憶した設定情報記憶部、設定情報記憶部に記憶されている設定情報をもとに制御データを生成する制御処理部、近距離無線通信を行う機器側NFC機能部、機器側NFC機能部におけるNFC通信による接続要求の受け付けにより近距離無線通信を確立した後、接続要求元より送出されたアドレス情報を受け付けるアドレス受付部、アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定するアドレス設定部、および給電部からの給電信号を受信する受電部と
、アドレス受付部が受け付けたアドレス情報とネットワークに接続するために既に設定されているアドレスとの新旧を比較する比較部とを備え
、アドレス設定部は、比較部の比較によりアドレス受付部が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しいと判断された場合には、アドレス受付部が受け付けたアドレス情報を、ネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定する制御機器とを備える。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したことにより、本発明によれば、電源給電がなされていない状態であっても、アドレスが設定できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1における制御機器100、および制御機器100に対してアドレスを設定するためのアドレス設定システムの構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1における制御機器100の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態2における制御機器200、および制御機器200に対してアドレスを設定するためのアドレス設定システムの構成を示す構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態2における制御機器200の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0014】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における制御機器100、および制御機器100に対してアドレスを設定するためのアドレス設定システムの構成を示す構成図である。このシステムは、制御機器100および携帯端末機器120を備える。
【0015】
制御機器100は、設定情報記憶部101、制御処理部102、NFC機能部(機器側NFC機能部)103、アドレス受付部104、アドレス設定部105、受電部106、I/O制御部107、プログラム格納部108を備える。
【0016】
設定情報記憶部101は、制御対象の制御のための設定情報を記憶している。制御処理部102は、設定情報記憶部101に記憶されている設定情報をもとに制御データを生成する。制御処理部102は、プログラム格納部108に格納されているプログラムにより動作する。制御処理部102が生成した制御データは、I/O制御部107によりフィールド機器131に送出される。
【0017】
NFC機能部103は、よく知られた近距離無線通信(Near field radio communication;NFC)を行う。NFC機能部103は、例えば、NFCコントローラ,NFCアンテナ,不揮発性メモリなどを備える。
【0018】
アドレス受付部104は、NFC機能部103におけるNFC通信による接続要求の受け付けにより近距離無線通信を確立した後、接続要求元より送出されたアドレス情報を受け付ける。接続要求元は、携帯端末機器120である。また、受電部106は、接続要求元となる携帯端末機器120の給電部123からの給電信号を受信する。受電部106が受信した給電信号が、NFC機能部103,アドレス受付部104が動作するための電源となる。
【0019】
携帯端末装置120は、NFC機能部(携帯端末側NFC機能部)121、アドレス送出部122、および給電部123を備える。NFC機能部121は、NFC機能部103と同様であり、NFCコントローラ,NFCアンテナ,不揮発性メモリなどを備え、よく知られた近距離無線通信を行う。アドレス送出部122は、携帯端末側NFC機能部におけるNFC通信により送出された接続要求が確立されると、アドレス情報を送出する。給電部123は、非接触給電により給電をする。給電部123は、受電部106に対して給電信号を送出することによる非接触給電で、NFC機能部103に対して給電を実現する。
【0020】
アドレス設定部105は、アドレス受付部104が受け付けたアドレス情報を、制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定する。上述したように、携帯端末装置120のアドレス送出部122より送出され、アドレス受付部104が受け付けて記憶したアドレス情報が、例えば、制御機器100の動作開始時において、アドレス設定部105によりI/O制御部107に設定される。このようにしてアドレスが設定されたI/O制御部107は、設定されたアドレスによりフィールド機器131が接続しているネットワークへの接続を確立する。
【0021】
次に、本発明の実施の形態1における制御機器100の動作例について
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0022】
まず、NFC機能部103が、携帯端末機器120のNFC機能部121によるNFC通信による接続要求を受け付けると(ステップS101のy)、ステップS102で、近距離無線通信を確立する。
【0023】
次に、ステップS103で、アドレス受付部104が、接続要求元である携帯端末機器120のアドレス送出部122より送出されたアドレス情報を受け付け、NFC機能部103の不揮発性メモリに記憶する。なお、給電部123からの給電信号を受電部106が受信することで、上述したステップS102,ステップS103における動作の電源としている。
【0024】
次に、制御機器100が起動されると(ステップS104のy)、ステップS105で、アドレス設定部105が、アドレス受付部104が受け付けてNFC機能部103の不揮発性メモリに記憶されているアドレス情報を、制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定する。この後、ステップS106で、制御機器100は、I/O制御部107が、設定されたアドレスによりフィールド機器131が接続しているネットワークへの接続を確立する。
【0025】
以上に説明したように、実施の形態1によれば、起動されていない(電源給電がなされていない)状態であっても、制御機器100に対するアドレスの設定が実施できる。
【0026】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の実施の形態2における制御機器200、および制御機器200に対してアドレスを設定するためのアドレス設定システムの構成を示す構成図である。このシステムは、制御機器200および携帯端末機器120を備える。
【0027】
制御機器200は、設定情報記憶部101、制御処理部102、NFC機能部(機器側NFC機能部)103、アドレス受付部104、アドレス設定部105、受電部106、I/O制御部107、プログラム格納部108、比較部201、およびアドレス通知部202を備える。
【0028】
設定情報記憶部101、制御処理部102、NFC機能部(機器側NFC機能部)103、アドレス受付部104、アドレス設定部105、受電部106、I/O制御部107、プログラム格納部108は、前述した実施の形態1における制御機器100と同様であり、説明を省略する。
【0029】
比較部201は、アドレス受付部104が受け付けたアドレス情報とネットワークに接続するために、I/O制御部107に既に設定されているアドレスとの新旧を比較する。アドレス通知部202は、比較部201の比較によりアドレス受付部104が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより古いと判断された場合には、既に設定されているアドレスを接続要求元(携帯端末機器120)に通知する。
【0030】
実施の形態2において、アドレス設定部105は、比較部201の比較によりアドレス受付部104が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しいと判断された場合に、アドレス受付部104が受け付けたアドレス情報を、ネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定する。
【0031】
次に、本発明の実施の形態2における制御機器200の動作例について
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
まず、NFC機能部103が、携帯端末機器120のNFC機能部121によるNFC通信による接続要求を受け付けると(ステップS201のy)、ステップS202で、近距離無線通信を確立する。
【0033】
次に、ステップS203で、アドレス受付部104が、接続要求元である携帯端末機器120のアドレス送出部122より送出されたアドレス情報を受け付け、NFC機能部103の不揮発性メモリに記憶する。なお、給電部123からの給電信号を受電部106が受信することで、上述したステップS202,ステップS203における動作の電源としている。
【0034】
次に、制御機器200が起動されると(ステップS204のy)、ステップS205で、比較部201が、アドレス受付部104が受け付けたアドレス情報とネットワークに接続するために、I/O制御部107に既に設定されているアドレスとの新旧を比較する。アドレス受付部104が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しくないと判断されると(ステップS206のn)、ステップS207で、I/O制御部107が、既に設定されているアドレスによりフィールド機器131が接続しているネットワークへの接続を確立する。次いで、ステップS208で、アドレス通知部202が、接続確立したネットワークにより、既に設定されているアドレス情報を接続要求元である携帯端末機器120に通知する。
【0035】
一方、比較部201で、アドレス受付部104が受け付けたアドレス情報の方が、既に設定されているアドレスより新しいと判断すると(ステップS206のy)、ステップS209で、アドレス設定部105が、アドレス受付部104が受け付けてNFC機能部103の不揮発性メモリに記憶されているアドレス情報を、制御対象が収容されているネットワークに自装置を接続するためのアドレスとして設定する。この後、ステップS210で、制御機器100は、I/O制御部107が、設定されたアドレスによりフィールド機器131が接続しているネットワークへの接続を確立する。
【0036】
以上に説明したように、実施の形態2においても、起動されていない(電源給電がなされていない)状態であっても、制御機器200に対するアドレスの設定が実施できる。また、実施の形態2によれば、起動されていない状態で受け付けたアドレスが、既に設定されているアドレスより古い情報の場合は、受け付けたアドレスではなく既に設定されているアドレスを採用するようにした。期日が古いアドレス情報は、間違っているものであり、実施の形態2によれば、このような間違えが防げるようになる。
【0037】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0038】
100…制御機器、101…設定情報記憶部、102…制御処理部、103…NFC機能部(機器側NFC機能部)、104…アドレス受付部、105…アドレス設定部、106…受電部、107…I/O制御部、108…プログラム格納部、120…携帯端末機器、121…NFC機能部(携帯端末側NFC機能部)、122…アドレス送出部、123…給電部、131…フィールド機器。