(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のインバータは、2つのn型MOSFETと2つのp型MOSFETとを含み、前記第2のインバータは、2つのn型MOSFETと2つのp型MOSFETとを含む、
請求項1に記載の無線センサデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明は、一般に電圧制御発振器(VCO)に関する。本明細書で説明するVCO例は、例えば無線センサデバイスの局部発振器又はその他との関連で使用することができる。いくつかの実装では、本明細書で説明する主題が、例えば広い周波数同調範囲、優れた同調特性などの利点又はその他の利点をもたらす。
【0006】
本明細書で説明するVCO例の一部では、VCOによって生成される基準信号の周波数をLC(インダクタ−キャパシタ)タンク発振器が設定し、LCタンクの信号損失を増幅器回路が補償する。VCOによって生成される信号の周波数及び位相は、例えばVCOによって出力された信号の位相及び周波数を外部基準信号と比較する位相ロックループ(PLL)を用いて維持することができる。PLLは、例えばLCタンクの容量を制御する同調システムを介してVCOの位相又は周波数の調整を開始することができる。増幅器回路によって信号を増幅してLCタンクによってフィルタ処理すると、LCタンクの共振周波数において正弦波振動が増大することができる。例えば、増幅器特性(相互コンダクタンスを単位とするゲイン)及びLCタンクインピーダンスによってユニティよりも大きなゲインが生じると、振動は定常状態で継続することができる。
【0007】
図1は、無線センサデバイス例100を示すブロック図である。
図1に示すように、無線センサデバイス100は、アンテナシステム102と、無線周波数(RF)プロセッサシステム104と、電源103とを含む。無線センサデバイスは、さらなる又は異なる特徴及び構成要素を含むこともでき、これらの構成要素は、図示のように又は別の形で構成することができる。
【0008】
動作中、無線センサデバイス100は、無線信号を検出して解析することができる。いくつかの実装では、無線センサデバイス100が、それ自体はセルラーネットワークの一部でない場合でも、(例えば、セルラーネットワークのための)無線通信規格に従って交換される信号を検出することができる。いくつかの例では、無線センサデバイス100が、広範囲の周波数にわたるRF信号を「リスン」又は「ウォッチ」することによってRF信号をモニタし、検出したRF信号を処理する。RF信号が検出されない時間が存在することもあり、無線センサデバイス100は、その局所環境で検出された時に(例えば、適宜又は継続的に)RF信号を処理することができる。
【0009】
アンテナシステム例102は、例えばワイヤ、リード、接点、又はアンテナシステム102とRFプロセッサシステム104との間のRF信号の交換を可能にする別のタイプの結合によってRFプロセッサシステム104に通信可能に結合される。いくつかの例では、アンテナシステム102が、無線センサデバイス100の電磁環境からのRF信号を無線で受け取り、このRF信号を処理(例えば、デジタル化、解析、記憶、再送信など)のためにRFプロセッサシステムに送信する。いくつかの例では、アンテナシステム102が、RFプロセッサシステム104からRF信号を受け取って無線センサデバイス100から無線で送信する。
【0010】
RFプロセッサシステム例104は、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートする回路、RF信号をベースバンド信号にダウンコンバートする回路、又はこれらの両方を含むことができる。このような回路は、電圧制御発振器(VCO)を含むことができる局部発振器によって供給される基準信号を利用するミキサーを含むことができる。例えば、いくつかの実装では、RFプロセッサシステムが、
図2に示すVCO例200、
図5に示すVCO例500、又は別のタイプのVCOを含む。いくつかの例では、局部発振器からのRF基準信号も受け取るミキサーにベースバンド信号を入力することができる。ミキサーは、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートすることができる。いくつかの例では、局部発振器からのRF基準信号も受け取るミキサーにRF信号を入力することができる。ミキサーは、RF信号をベースバンド信号にダウンコンバートすることができる。
【0011】
RFプロセッサシステム例104は、1又は2以上のチップ、チップセット、又はRF信号を処理するように構成された他のタイプのデバイスを含むことができる。例えば、RFプロセッサシステム104は、様々な無線通信規格に従って送信されたRF信号の復調及び復号を行うことによってRF信号内の符号化データを識別して解析するように構成された1又は2以上のプロセッサ装置を含むことができる。いくつかの例では、RFプロセッサシステム104が、1又は2以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)装置と、前方誤り訂正(FEC)装置と、場合によってはその他のタイプのプロセッサ装置とを含むことができる。
【0012】
いくつかの実装では、RFプロセッサシステム104が、例えばグローバル・システム・フォー・モバイル(GSM(登録商標))及びGSM進化型高速データレート(EDGE)又はEGPRSなどの2G規格、符号分割多元接続(CDMA)、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)及び時分割同期符号分割多元接続(TD−SCDMA)などの3G規格、ロング・ターム・エボリューション(LTE)及びLTE−Advanced(LTE−A)などの4G規格、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、ミリメートル通信などの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)又はWiFi規格などの1又は2以上の通信規格又はプロトコル、或いはこれらの又はその他のタイプの複数の無線通信規格に従ってフォーマットされた信号をモニタして解析するように構成される。いくつかの例では、RFプロセッサシステム104が、全ての取得可能な特性、同期情報、セル及びサービス識別子、RFの品質尺度、無線通信規格の物理層、及びその他の情報を抽出することができる。いくつかの実装では、RFプロセッサシステム104が、他のタイプの無線通信(例えば、非標準化信号及び通信プロトコル)を処理するように構成される。
【0013】
いくつかの実装では、RFプロセッサシステム104が、周波数領域、時間領域又はこれらの両方において様々なタイプの解析を行うことができる。いくつかの例では、RFプロセッサシステム104が、検出信号の帯域幅、パワースペクトル密度又はその他の周波数属性を特定するように構成される。いくつかの例では、RFプロセッサシステム104が、復調及びその他の動作を行って、例えば無線信号に含まれる信号情報(例えば、プリアンブル、同期情報、チャネル状態インジケータ、WiFiネットワークのSSID/MACアドレス)などの内容を時間領域において無線信号から抽出するように構成される。RFプロセッサシステム104及びアンテナシステム102は、電源103によって供給される電力に基づいて動作することができる。例えば、電源103は、バッテリ、又はRFプロセッサシステム104にAC電圧又はDC電圧を供給する別のタイプの構成要素を含むことができる。
【0014】
いくつかの例では、無線センサデバイス100が、無線信号を検知して無線スペクトル使用量を分析するために使用できる小型のポータブルデバイスとして実装される。いくつかの実装では、無線センサデバイス100が、(例えば、平均約0.1ワット〜0.2ワット又はそれ未満の)低い消費電力で動作するように設計される。いくつかの実装では、無線センサデバイス100が、典型的なパーソナルコンピュータ又はラップトップコンピュータよりも小型であって様々な環境で動作することができる。いくつかの例では、無線センサデバイス100が、無線センサネットワークにおいて、又は地理的地域にわたる無線スペクトル使用量を分析して集計する別のタイプの分散システムにおいて動作することができる。例えば、いくつかの実装では、無線センサデバイス100が、「無線スペクトルモニタリング及び分析(Wireless Spectrum Monitoring and Analysis)」という名称の米国特許第9,143,168号に記載されるように使用され、又は別のタイプの環境で使用され、或いは別の形で動作することができる。
【0015】
図2は、電圧制御発振器(VCO)例200の回路図である。VCO例200は、例えば無線センサデバイス又は別のタイプの無線装置の局部発振器に含めることができる。VCO例200は、この例ではインダクタ(L)−キャパシタ(C)発振器(「LC発振器」)である共振器回路201を含む。VCO例200は、誘導部分と、ゲイン部分202と、容量部分203とを含む。VCOは、さらなる又は異なる特徴を含むこともでき、VCOの構成要素は、図示のように又は別の形で構成することができる。
【0016】
図2に示す例では、誘導部分が変圧器209を含む。変圧器例209は、一次インダクタLを形成する一次巻線部分210と、第1の二次インダクタL
slを形成する第1の二次巻線部分212Aと、第2の二次インダクタL
srを形成する第2の二次巻線部分212Bとを含む1又は2以上の巻線(又はコイル)構造を有する。一次巻線部分210は、第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続される。第1の二次巻線部分212Aは、第1のノードN1と第3のノードN3との間でこれらのノードに接続される。第2の二次巻線部分212Bは、第2のノードN2と第4のノードN4との間でこれらのノードに接続される。
【0017】
図示の例では、変圧器の一次巻線部分210が、第1及び第2の二次巻線部分212A、212Bの各々に誘導結合される。いくつかの実装では、変圧器209を、単一の巻線(又はコイル)構造を一次巻線部分と二次巻線部分の両方として使用する自動変圧器とすることができる。例えば、一次巻線部分210、並びに第1及び第2の二次巻線部分212A、212Bは、全て単一の巻線構造によって実装することができる。いくつかの実装では、変圧器209を、例えば一次巻線部分210と第1及び第2の二次巻線部分212A、212Bとをそれぞれ異なる巻線構造として実装する別のタイプの変圧器として実装することもできる。
【0018】
図2に示す例では、一次巻線部分210と第1の二次巻線部分212Aとの間の誘導関係を結合係数kによって表し、一次巻線部分210と第2の二次巻線部分212Bとの間の誘導関係を等しい結合係数kによって表す。一次巻線部分210の第2のノードN2に接続された側に、一次巻線部分210の極性を示す。第1の二次巻線部分212Aの第1のノードN1に接続された側に、第1の二次巻線部分212Aの極性を示す。第2の二次巻線部分212Bの第4のノードN4に接続された側に、第2の二次巻線部分212Bの極性を示す。
【0019】
変圧器例209は、共振回路201の誘導部分を形成し、VCO200のバイアス部分202への電圧入力を変圧する。この例では、自動変圧器が、インバータ214A、214Bの駆動電圧を上昇させることによってインバータ214A、214Bの出力電流を増加させる。
【0020】
図2に示す例では、容量部分203が、アナログ制御容量性素子204とデジタル制御容量性素子206とを含み、これらの各々は、第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続される。従って、この例では、アナログ制御容量性素子204とデジタル制御容量性素子206とが互いに並列であり、変圧器209の一次巻線部分210とも並列である。アナログ制御容量性素子204及びデジタル制御容量性素子206は、VCO200によって出力される基準信号の周波数を同調させるように構成される。アナログ制御容量性素子例204は、アナログ同調キャパシタを含んで連続的なアナログ周波数同調を行うことができる。デジタル制御容量性素子例206は、離散制御キャパシタを含んで粗い離散(又はデジタル)周波数同調を行うことができる。いくつかの例では、アナログ制御容量性素子204とデジタル制御容量性素子206とが協働して線形周波数同調能力を提供する。
【0021】
図2に示す例では、アナログ制御容量性素子204が、
図2に示す容量C
ANALOGを全体として有する1又は2以上のアナログ同調キャパシタを含むことができる。例えば、アナログ制御容量性素子204は、それぞれが第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続された複数の並列同調素子を含むことができる。例えば、各同調素子は、1又は2以上の可変キャパシタ又はバラクタを有することができる。
【0022】
いくつかの例では、アナログ制御容量性素子204内の各同調素子が、同調素子の容量値を同調させる電圧入力ノードを有する。各同調素子の電圧入力ノードは、電圧入力ノードに正の供給電圧(VDD)、負の供給電圧(VSS)又は同調電圧を選択的に結合できるように1又は2以上のスイッチに接続することができる。各同調素子の1又は2以上のスイッチは、制御コードK_vcoの1又は2以上のそれぞれのビットによって制御することができる。また、同調素子の最大容量値は、同調素子の順序におけるそれぞれの同調素子の配置をNとする2
N-1などの倍数によって重み付けすることができる。例えば、6つの同調素子が存在する場合、最も小さな(例えば、最下位の)同調素子は、2
0C=Cの最大容量値を有することができ、最も大きな(例えば、最上位の)同調素子は、2
5C=32Cの最大容量値を有することができる。
【0023】
いくつかの例では、アナログ制御容量性素子204内の各同調素子が、重み付けされた最大容量値を有する単一のバラクタ、又は重み付けされた最大容量値を達成する複数の並列のバラクタを有することができる。アナログ制御容量性素子204が6つの同調素子を含む例では、第1の(例えば、最下位の)同調素子を、2
0C=Cの最大容量値を有する単一のバラクタとすることができ、第2の同調素子を、2
1C=2Cの最大容量値を有する単一のバラクタとすることができ、第3の同調素子を、2
2C=4Cの最大容量値を有する単一のバラクタとすることができ、第4の同調素子を、2
3C=8Cの最大容量値を有する単一のバラクタとすることができ、第5の同調素子を、この素子が16Cの最大容量値を有するようにそれぞれが2
3C=8Cの最大容量値を有する2つの並列なバラクタとすることができ、第6の(例えば、最上位の)同調素子を、この素子が32Cの最大容量値を有するようにそれぞれが2
3C=8Cの最大容量値を有する4つの並列なバラクタとすることができる。アナログ制御容量性素子204内では、別の同調可能な容量配置を使用することもできる。
【0024】
さらに、図示の例では、デジタル制御容量性素子206が、
図2に示す容量C
DISCRETEを全体として有する1又は2以上の離散キャパシタを含むことができる。離散キャパシタは、例えば1又は2以上の制御可能スイッチを用いて閉ループ構成で共振器回路に結合することができる。例えば、デジタル制御容量性素子206は、それぞれが第1のノードN1と第2のノードN2との間に接続された複数の容量性素子を含むことができる。この例では、デジタル制御容量性素子206内の各容量性素子が、容量C
DISCRETEを増加又は減少させるように共振回路201内で個別に作動又は停止できる固定容量を有する。従って、この例では、デジタル制御容量性素子206内の容量性素子が個別に同調されず、例えば
図9、
図10、
図11及び
図12に関して説明するように個別にオン又はオフに切り替えられる。
【0025】
いくつかの例では、デジタル制御容量性素子206内の各容量性素子が、1又は2以上のキャパシタを含むことができ、容量性素子のスイッチが、1又は2以上のキャパシタを他の素子に選択的に結合することができる。例えば、スイッチは、キャパシタを第1のノードN1及び第2のノードN2に、第1のノードN1及び電源ノード(例えば、VSS)に、第2のノードN2及び電源ノード(例えば、VSS)に、又はこれら以外に選択的に結合するように構成することができる。図示の例では、各容量性素子のスイッチをマルチユニット制御コードによって制御することができる。
【0026】
いくつかの実装では、デジタル制御容量性素子206内の容量性素子のそれぞれの容量値が一定の倍数によって重み付けされる。例えば、容量値は、アレイ内のそれぞれの容量性素子の配置をNとする2
N-1という倍数によって重み付けすることができる。いくつかの実装では、各容量性素子が、重み付けされた容量値を有する単一のキャパシタ、又は重み付けされた容量値を達成する複数の並列のキャパシタを含む。デジタル制御容量性素子における容量性素子の配置例については、
図9〜
図12に関して説明する。デジタル制御容量性素子例206では、これら又はその他の離散キャパシタの構成を使用することができる。
【0027】
図2に示す例では、VCO200のゲイン部分202が、第1のインバータ214Aと第2のインバータ214Bとを含む。第1のインバータ214Aの(「IN」で表す)入力部は第3のノードN3に接続され、第1のインバータ214Aの(「OUT」で表す)出力部は第2のノードN2に接続される。第2のインバータ214Bの(「IN」で表す)入力部は第4のノードN4に接続され、第2のインバータ214Bの(「OUT」で表す)出力部は第1のノードN1に接続される。
図2の第1及び第2のインバータ214A、214Bは、
図3に示すインバータ例300に従って実装することも、又は別のタイプのインバータを使用することもできる。
【0028】
図2に示す例には、第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続された、抵抗Rを有する抵抗素子208を示している。図示の例では、抵抗素子208が、VCO200の様々な構成要素の固有の抵抗を表す。
図2に示すように、ゲイン部分202は、VCO200において抵抗Rを補うのに効果的な負の抵抗R
NEGATIVEをもたらす。効果的な負の抵抗R
NEGATIVEは、ゲイン部分例202の相互コンダクタンスG
m=1/Rによって生じる。
【0029】
いくつかの動作態様では、第1及び第2のインバータ214A及び214Bの各々が、インバータが受け取った入力電圧をインバータの相互コンダクタンス倍したものに等しい出力電流を実現する。例えば、各インバータは、出力電流i
out=g
mv
inを生じることができ、ここでのi
outは、インバータの出力電流を表し、g
mは、インバータの相互コンダクタンスを表し、v
inは、インバータの入力電圧を表す。
図2の第1のインバータ214Aを例に取ると、いくつかの例では、入力電圧v
inは、第3のノード(N3)の電圧v
N3に等しく(例えば、v
in=v
N3)、第3のノード(N3)の電圧v
N3は、変圧器209の存在に起因して、第1のノード(N1)の電圧v
N1を比例係数b倍したものに等しい(例えば、v
N3=bv
N1)。第1のノード(N1)の電圧v
N1は、タンク電圧v
tankと呼ぶこともできる。
【0030】
いくつかの実装では、第1のノード(N1)の電圧v
N1に対する第3のノード(N3)の電圧v
N3の比率である比例係数bを、例えば変圧器209にわたる電圧分割によって推定することができる。例えば、いくつかの例では、比例係数bを以下のように推定することができる。
【数1】
この推定によれば、比例係数bは1よりも大きい。i
out=g
mv
inへの代入によってi
out=bg
mv
N1(又はi
out=bg
mv
tank)となり、LCタンクが体験する実効相互コンダクタンス(例えば、i
out/v
tank)は、インバータの入力が第1のノード(N1)におけるタンク電圧に直接接続された場合よりも(比例係数bの倍数だけ)大きい。
【0031】
いくつかの例では、LCタンクが体験する実効相互コンダクタンスを大きくすることによってLCタンクのさらなる損失をVCO200のゲイン部分202によって補償することができ、これによってVCO200の同調範囲を拡げることができる。例えば、さらなる損失を補償することによってLCタンクにより多くのキャパシタを含めることができ、これによってVCO200の振動周波数同調範囲を拡げることができる。LCタンク内のキャパシタが多くなると、その固有の抵抗に起因して損失が増える可能性があり、ゲイン部分202によって補償できるものよりも(LCタンクが体験する実効相互コンダクタンスだけ)損失が大きい場合には、LCタンクが定常状態で振動しなくなる可能性がある。しかしながら、いくつかの例では、大きな実効相互コンダクタンスがこれらの損失を補償して、定常状態におけるLCタンクの振動を可能にすることができる。
【0032】
図3は、インバータ例300の回路図である。
図3に示すインバータ300は、
図2の第1及び第2のインバータ214A、214Bの各々を実装するために使用できる相補的電界効果トランジスタ(例えば、相補的金属酸化物半導体(CMOS))の例である。例えば、
図3に「IN」及び「OUT」で表すノードは、
図2に示すいずれかのインバータの「IN」及び「OUT」で表すノードに対応することができる。
【0033】
図3に示すインバータ例300は、p型トランジスタ(例えば、p型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET))304Aと、n型トランジスタ(例えば、n型MOSFET)304Bとを含む。p型トランジスタ304Aのゲート及びn型トランジスタ304Bのゲートは、共に接続されて(「IN」で表す)入力ノード308を形成する。p型トランジスタ304Aのソースは、正の電源ノード302(例えば、VDD)に接続され、n型トランジスタ304Bのソースは、負の電源ノード306(例えば、接地又はVSS)に接続される。p型トランジスタ304Aのドレイン及びn型トランジスタ304Bのドレインは、共に接続されて(「OUT」で表す)出力ノード310を形成する。
【0034】
図4は、
図3のインバータ例300の小信号回路表現400である。いくつかの例では、小信号回路表現例400が、
図2に示す第1のインバータ214A又は第2のインバータ214Bを表すことができる。例えば、
図4に「IN」及び「OUT」で表すノードは、
図2に示すいずれかのインバータの「IN」及び「OUT」で表すノードに対応することができる。
【0035】
図4に示すように、第1の入力抵抗器404Aの第1のノードは、(「IN」で表す)入力ノード402に接続される。第1の入力抵抗器404Aの(第1のノードの反対側の)第2のノードは、入力キャパシタ406の第1のノード及び第1の遅延抵抗器407Aの第1のノードに接続される。第1の遅延抵抗器407Aの(第1のノードの反対側の)第2のノードは、遅延キャパシタ409の第1のノードに接続される。遅延キャパシタ409の(第1のノードの反対側の)第2のノードは、第2の遅延抵抗器407Bの第1のノードに接続される。第2の遅延抵抗器407Bの(第1のノードの反対側の)第2のノードは、入力キャパシタ406の(第1のノードの反対側の)第2のノード及び第2の入力抵抗器404Bの第1のノードに接続される。第2の入力抵抗器404Bの(第1のノードの反対側の)第2のノードは、接地(又はVSS)418Aに結合される。
図4に示すように、(「OUT」で表す)出力ノード416と接地(又はVSS)418Bとの間には、相互コンダクタンス410と出力抵抗器412と出力キャパシタ414とが並列に接続される。
【0036】
図4に示す例では、第1及び第2の入力抵抗器404A及び404Bの各々が抵抗R
IN/2を有する。第1及び第2の遅延抵抗器407A及び407Bの各々は抵抗R
DELAY/2を有する。入力キャパシタ406は容量C
INを有し、遅延キャパシタ409は容量C
DELAYを有する。第1の遅延抵抗器407A、遅延キャパシタ409及び第2の遅延抵抗器407Bは、入力−出力遅延素子例408を構成する。入力−出力遅延素子例408の入力ノードは、第1の遅延抵抗器407Aの第1のノード及び第2の遅延抵抗器407Bの第2のノードである。入力−出力遅延素子例408の出力ノードは、(第1の遅延抵抗器407Aの第2のノードでもある)遅延キャパシタ409の第1のノード及び(第2の遅延抵抗器407Bの第1のノードでもある)遅延キャパシタ409の第2のノードである。相互コンダクタンス410は、遅延キャパシタ409を横切る負電圧に基づく電流値を有し、従って電流は(−g
mv
c)として表すことができ、ここでのv
cは、遅延キャパシタ409における電圧降下を表す。出力抵抗器412は抵抗R
OUTを有し、出力キャパシタ414は容量C
OUTを有する。
【0037】
図5は、VCO例500の回路図である。VCO例500は、例えば無線センサデバイス又は別のタイプの無線装置の局部発振器に含めることができる。VCO例500は、この例ではLC発振器である共振器回路501を含む。VCO例500は、誘導部分と、ゲイン部分502と、容量部分503とを含む。VCOは、さらなる又は異なる特徴を含むこともでき、VCOの構成要素は、図示のように又は別の形で構成することができる。
【0038】
図5に示す例では、誘導部分が、この例では自動変圧器である変圧器509を含む。変圧器例509は、一次インダクタLを形成する一次巻線部分510と、第1の二次インダクタL
slを形成する第1の二次巻線部分512Aと、第2の二次インダクタL
srを形成する第2の二次巻線部分512Bとを含む巻線(又はコイル)構造を有する。一次巻線部分510は、第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続される。一次巻線部分510は、第3のノードN3と第4のノードN4との間でこれらのノードにも接続される。第1の二次巻線部分512Aは、第1のノードN1と第3のノードN3との間でこれらのノードに接続される。第2の二次巻線部分512Bは、第2のノードN2と第4のノードN4との間でこれらのノードに接続される。
【0039】
図示の例では、変圧器の一次巻線部分510が、第1及び第2の二次巻線部分512A、512Bの各々に誘導結合される。いくつかの実装では、変圧器509を、単一の巻線(又はコイル)を一次巻線部分と二次巻線部分の両方として使用する自動変圧器とすることができる。例えば、一次巻線部分510、並びに第1及び第2の二次巻線部分512A、512Bは、全て単一の巻線構造として実装することができる。いくつかの実装では、変圧器509を、例えば一次巻線部分510と第1及び第2の二次巻線部分512A、512Aとをそれぞれ異なる巻線構造として実装する別のタイプの変圧器として実装することができる。
【0040】
図5に示す例では、一次巻線部分510と第1の二次巻線部分512Aとの間の誘導関係を結合係数kによって表し、一次巻線部分510と第2の二次巻線部分512Bとの間の誘導関係を等しい結合係数kによって表す。一次巻線部分510の第2のノードN2に接続された側に、一次巻線部分510の極性を示す。第1の二次巻線部分512Aの第1のノードN1に接続された側に、第1の二次巻線部分512Aの極性を示す。第2の二次巻線部分512Bの第4のノードN4に接続された側に、第2の二次巻線部分512Bの極性を示す。
【0041】
変圧器例509は、共振回路501の誘導部分を形成し、VCO500のバイアス部分502への電圧入力を変圧する。この例では、自動変圧器が、インバータ514A、514Bの駆動電圧を上昇させることによってインバータ514A、514Bの出力電流を増加させる。
【0042】
図5に示す例では、容量部分503が、アナログ制御容量性素子504とデジタル制御容量性素子506とを含み、これらの各々は、第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続される。従って、この例では、アナログ制御容量性素子504とデジタル制御容量性素子506とが互いに並列であり、変圧器509の一次巻線部分510とも並列である。アナログ制御容量性素子504及びデジタル制御容量性素子506は、VCO500によって出力される基準信号の周波数を同調させるように構成される。アナログ制御容量性素子例504は、アナログ同調キャパシタを含んで連続的なアナログ周波数同調を行うことができる。デジタル制御容量性素子例506は、離散制御キャパシタを含んで粗い離散(又はデジタル)周波数同調を行うことができる。いくつかの例では、アナログ制御容量性素子504とデジタル制御容量性素子506とが協働して線形周波数同調能力を提供する。アナログ制御容量性素子504及びデジタル制御容量性素子506は、それぞれ
図2のアナログ制御容量性素子204及びデジタル制御容量性素子206として構成し、動作することができる。
【0043】
図5に示す例では、VCO500のゲイン部分502が、第1のインバータ514Aと第2のインバータ514Bとを含み、これらの各々は2つの入力部を有する。第1のインバータ514Aの(「IN
1」で表す)第1の入力部は第1のノードN1に接続され、第1のインバータ514Aの(「IN
2」で表す)第2の入力部は第3のノードN3に接続される。第1のインバータ514Aの(「OUT」で表す)出力部は第2のノードN2に接続される。第2のインバータ514Bの(「IN
1」で表す)第1の入力部は第2のノードN2に接続され、第2のインバータ514Bの(「IN
2」で表す)第2の入力部は第4のノードN4に接続される。第2のインバータ514Bの(「OUT」で表す)出力部は第1のノードN1に接続される。
図5の第1及び第2のインバータ514A、514Bは、
図7に示すインバータ例700又は
図8に示すインバータ例800に従って実装することも、又は別のタイプのインバータを使用することもできる。
【0044】
図5に示す例には、第1のノードN1と第2のノードN2との間でこれらのノードに接続された、抵抗Rを有する抵抗素子508を示している。図示の例では、抵抗素子508が、VCO500の様々な構成要素の固有の抵抗を表す。
図5に示すように、ゲイン部分502は、VCO500において抵抗Rを補うのに効果的な負の抵抗R
NEGATIVEをもたらす。効果的な負の抵抗R
NEGATIVEは、ゲイン部分例502の相互コンダクタンスG
m=1/Rによって生じる。
【0045】
いくつかの実装では、インバータ514A、514Bを、
図5に示すように2つの入力信号を受け取るように構成すると、VCO例500に利点をもたらすことができる。例えば、2つの入力ノードを有するインバータでは、インバータの実効相互コンダクタンスに著しい悪影響を及ぼすことなく小型のトランジスタを使用することができる。小型のトランジスタを使用することによって小信号入力容量値を減少させることができ、これによってVCOの振動周波数同調範囲の下端をさらに低下させることができる。いくつかの例では、この結果、出力振動信号周波数を同調させることができる総同調範囲を拡げることができる。
【0046】
図6は、2つの入力ノードを有するインバータ例の小信号回路表現600である。いくつかの例では、小信号回路表現例600が、第1のインバータ514A又は第2のインバータ514Bを表すことができる。例えば、
図6に「IN
1」、「IN
2」及び「OUT」で表すノードは、
図5に示すいずれかのインバータの「IN
1」、「IN
2」及び「OUT」で表すノードに対応することができる。
【0047】
図6に示すように、分割された入力を有することによって、インバータの入力容量がこれらの入力間で分割される。この例では、(「IN
1」で表す)第1の入力ノード602Aが、第1の入力キャパシタ604Aの第1のノード及び第1の入力−出力遅延素子606Aの第1の入力ノードに接続される。第1の入力キャパシタ604Aの(第1のノードの反対側の)第2のノード及び第1の入力−出力遅延素子606Aの第2の入力ノードは、接地(又はVSS)に接続される。(「IN
2」で表す)第2の入力ノード602Bは、第2の入力キャパシタ604Bの第1のノード及び第2の入力−出力遅延素子606Bの第1の入力ノードに接続される。第2の入力キャパシタ604Bの(第1のノードの反対側の)第2のノード及び第2の入力−出力遅延素子606Bの第2の入力ノードは、接地(又はVSS)に接続される。
図6に示す入力−出力遅延素子例606A、606Bは、
図4に示す入力−出力遅延素子例408として又は別の形で実装することができる。
【0048】
図6に示す例では、(「OUT」で表す)出力ノード610と接地(又はVSS)との間に、第1の相互コンダクタンス608Aと、第2の相互コンダクタンス608Bと、出力抵抗器612と、出力キャパシタ614とが並列に接続される。第1の相互コンダクタンス608Aは、第1の入力−出力遅延素子606Aの電圧に関連し、第2の相互コンダクタンス608Bは、第2の入力−出力遅延素子606Bの電圧に関連する。図示の例では、第1の入力602Aに関連する構成要素の値が倍率aによってスケーリングされ、第2の入力602Bに関連する構成要素の値が倍率(1−a)によってスケーリングされる。倍率aは、0〜1の間の数字とすることができ、例えば0<a<1とすることができる。
【0049】
図6に示すように、第1の入力キャパシタ604Aは容量aC
INを有し、第2の入力キャパシタ604Bは容量(1−a)C
INを有する。第1の相互コンダクタンス608Aは、第1の入力−出力遅延素子606Aの遅延キャパシタを横切る負電圧に基づく電流値を有し、従って電流は(−ag
mv
c)として表すことができ、第2の相互コンダクタンス608Bは、第2の入力−出力遅延素子606Bの遅延キャパシタを横切る負電圧に基づく電流値を有し、従って電流は(−(1−a)g
mv
c)として表すことができる。出力抵抗器612は抵抗R
OUTを有し、出力キャパシタ614は容量C
OUTを有する。
【0050】
図7は、2つの入力ノードを有するインバータ例700の回路図である。いくつかの例では、インバータ例700を用いて、
図5の第1のインバータ514A及び第2のインバータ514Bの各々を実装することができる。例えば、
図7に「IN
1」、「IN
2」及び「OUT」で表すノードは、
図5に示すいずれかのインバータの「IN
1」、「IN
2」及び「OUT」で表すノードに対応することができる。
【0051】
インバータ例700は、p型トランジスタ704A(例えば、p型MOSFET)と、n型トランジスタ704B(例えば、n型MOSFET)とを含む。p型トランジスタ704Aのゲートは、(「IN
1」で表す)第1の入力ノード708Aに接続され、n型トランジスタ704Bのゲートは、(「IN
2」で表す)第2の入力ノード708Bに接続される。p型トランジスタ704Aのソースは、正の電源ノード702(例えば、VDD)に接続され、n型トランジスタ704Bのソースは、負の電源ノード706(例えば、接地又はVSS)に接続される。p型トランジスタ704Aのドレイン及びn型トランジスタ704Bのドレインは、共に接続されて(「OUT」で表す)出力ノード710を形成する。
【0052】
図8は、2つの入力ノードを有するインバータ例800の回路図である。いくつかの例では、インバータ例800を用いて、
図5の第1のインバータ514A及び第2のインバータ514Bの各々を実装することができる。例えば、
図8に「IN
1」、「IN
2」及び「OUT」で表すノードは、
図5に示すいずれかのインバータの「IN
1」、「IN
2」及び「OUT」で表すノードに対応することができる。
【0053】
インバータ例800は、第1のp型トランジスタ804A(例えば、p型MOSFET)と、第2のp型トランジスタ804B(例えば、p型MOSFET)と、第1のn型トランジスタ808A(例えば、n型MOSFET)と、第2のn型トランジスタ808B(例えば、n型MOSFET)とを含む。第1のp型トランジスタ804Aのゲート及び第1のn型トランジスタ808Aのゲートは、共に接続されて(「IN
1」で表す)第1の入力ノード806Aを形成する。第1のp型トランジスタ804Aのソースは、正の電源ノード802(例えば、VDD)に接続され、第1のn型トランジスタ808Aのソースは、負の電源ノード812B(例えば、接地又はVSS)に接続される。第2のp型トランジスタ804B及び第2のn型トランジスタ808Bのゲートは、共に接続されて(「IN
2」で表す)第2の入力ノード806Bを形成する。第2のp型トランジスタ804Bのソースは、正の電源ノード802(例えば、VDD)に接続され、第2のn型トランジスタ808Bのソースは、負の電源ノード812A(例えば、接地又はVSS)に接続される。第1のp型トランジスタ804Aのドレイン、第1のn型トランジスタ808Aのドレイン、第2のp型トランジスタ804Bのドレイン及び第2のn型トランジスタ808Bのドレインは、共に接続されて(「OUT」で表す)出力ノード810を形成する。
【0054】
図9は、粗同調システム例900の図である。
図9に示す粗同調システム例900は、スイッチドキャパシタバンク(SCB)904と、SCB904を制御する制御ロジック902とを含む。制御ロジック902は、2進数−温度計(binary−to−thermometer)(BtT)デコーダ906と、ルックアップテーブル(LUT)908と、マルチプレクサ910とを含む。粗同調システムは、さらなる又は異なる特徴を含むこともでき、構成要素は、
図9に示すように又は別の形で構成することができる。
【0055】
いくつかの実装では、粗同調システム900を電圧制御発振器(VCO)に含めて、例えばVCO内の共振器回路を同調させることができる。例えば、粗同調システム900の全部又は一部は、
図2に示すVCO例200、
図5に示すVCO500、又は別のタイプのVCOに含めることができ、又はこれらに関連して動作することができる。いくつかの例では、粗同調システム900が、共振器回路の容量部分を制御することによって共振器回路を同調させることができる。例えば、いくつかの例では、共振器回路内のデジタル制御容量性素子を修正する(増加又は減少させる)ことによって共振器回路を同調させることができる。
【0056】
いくつかの実装では、粗同調システム900が、VCO内の共振器回路のデジタル制御容量性素子として接続された容量性素子を含む。例えば、SCB904内の容量性素子は、
図2に示すVCO例200内のデジタル制御容量性素子206として、又は
図5に示すVCO例500内のデジタル制御容量性素子506として共振器回路内で接続することができる。いくつかの例では、
図9に示すKビット入力信号920が、
図2又は
図5に示すマルチビット制御コードに対応し、SCB904内の容量性素子が、共振器回路201又は501においてそれぞれ容量CDISCRETEをもたらすように構成される。
【0057】
いくつかの実装では、SCB904を、
図11に示すSCB例1100に従って、又は別の形で実装することができる。SCB例904は、自機が受け取った制御信号に従って各容量性素子を選択的に作動できる2つの容量性素子群を含む。
図9に示す例では、SCB904が、各容量性素子を制御信号CTRL_Aに従って選択的に作動できる第1の容量性素子群と、各容量性素子を制御信号CTRL_Bに従って選択的に作動できる第2の容量性素子群とを有する。いくつかの実装では、第1の群内の各キャパシタバンク素子が異なる公称リアクタンスを有し、第2の群内の各キャパシタバンク素子が実質的に同じ公称リアクタンスを有する。一例として、SCB904は、
図11に示すSCB例1100として構成することができ、この場合、(CTRL_Aによって制御される)第1の群のキャパシタバンク素子が有意性順に配置され、各キャパシタバンク素子は、有意性順内の位置をnとする2
n-1倍の公称リアクタンスを有する。
【0058】
図9に示すように、粗同調システム900によってKビット入力信号920が受け取られる。いくつかの例では、このKビット入力信号920を、例えば位相ロックループ(PLL)又は別の供給源などの、VCOの別の構成要素から受け取ることができる。
図9に示す例では、Kビット入力信号920が、Nビットの第1の部分922と、Lビットの第2の部分924と、1ビットの第3の部分926とを含む。Kビット入力信号920は、別の形で構成することもできる。いくつかの実装では、Kビット入力信号920が、共振器回路のデジタル制御部分のデジタル容量レベルを表す入力値を含む。例えば、Kビット入力信号920は、
図14に示す変数D_tuneの値を含むことができる。
【0059】
図9に示す例では、Nビットの第1の部分922が、第1のキャパシタバンク素子群のための制御信号CTRL_AとしてSCB904に入力される。SCB904は、Nビットの第1の部分922を受け取ったことに応答して、例えばVCOの共振器回路内の第1のキャパシタバンク素子群のうちの1又は2以上のキャパシタバンク素子を作動(又は停止)させる。Lビットの第2の部分924は、制御ロジック902によって処理されてMビット制御信号932を生成し、このMビット制御信号932は、第2のキャパシタバンク素子群のための制御信号CTRL_BとしてSCB904に入力される。SCB904は、Mビット制御信号932を受け取ったことに応答して、例えばVCOの共振器回路内の第2のキャパシタバンク素子群のうちの1又は2以上のキャパシタバンク素子を作動(又は停止)させる。
【0060】
図9に示す制御ロジック例902では、Lビットの第2の部分924がBtTデコーダ906及びLUT908に入力される。BtTデコーダ906及びLUT908は、それぞれ同じLビットの第2の部分924を受け取り、マルチプレクサ910のそれぞれの入力部に転送される異なる出力値を生成する。マルチプレクサ910の第1のMビット入力部929は、BtTデコーダ906によって生成された出力に基づく第1の一連の値を受け取り、マルチプレクサ910の第2のMビット入力部931は、LUT908によって生成された出力に基づく第2の一連の値を受け取る。マルチプレクサ910は、2つの異なる一連の値から選択を行い、選択された一連の値(第1の一連の値又は第2の一連の値のいずれか)をマルチプレクサ910のMビット出力部933に転送し、この選択された一連の値が、SCB904に通信されるMビット制御信号932(M)になる。
【0061】
BtTデコーダ例906は、入力値を2進コードフォーマットから温度計コードフォーマットに復号する。例えば、BtTデコーダ906は、2進数から熱への復号動作を行うように構成されたデジタル電子回路を含むことができる。
図9に示す例では、BtTデコーダ906にLビットの第2の部分924が入力され、BtTデコーダ906は、2進Lビットの第2の部分924を(ビット値O
1〜O
Mを含む)温度計符号化された(thermometer coded)Mビット出力に変換する。温度計符号化されたMビット出力値は、接続部928を通じてマルチプレクサ910の第1のMビット入力部929に通信される。
【0062】
図示の例では、接続部928が、BtTデコーダ906によって出力されたビット値の順序を反転させる反転接続部である。例えば、温度計符号化されたMビット出力からの最下位ビット(O
1)は、第1のMビット入力部929の最上位ビット(A
M)に転送され、温度計符号化されたMビット出力の最上位ビット(O
M)は、第1のMビット入力部929の最下位ビット(A
1)に転送される。
【0063】
従って、マルチプレクサ910の第1のMビット入力部929は、BtTデコーダ906から(ビット値A
1〜A
Mを含む)第1の一連の値を受け取る。マルチプレクサ910の第1のMビット入力部929において受け取られる第1の一連の値は、第2の群(すなわち、CTRL_Bによって制御されるキャパシタバンク素子群)内のキャパシタバンク素子の第1の組み合わせを表す。例えば、第1の一連の値における各ビット値(A
1〜A
M)は、第2の群内のキャパシタバンク素子のそれぞれのキャパシタバンク素子を作動させるべきかどうかを示すことができる。
【0064】
LUT例908は、コンピュータ可読マッピングデータを記憶するプログラマブルルックアップテーブルであり、コンピュータ可読マッピングデータを用いて入力値(例えば、各Lビットの第2の部分924)をそれぞれの出力値にマッピングする。LUT908は、例えばLUT908のデータ入力ポート(Din)に入力されるプログラムコード936(P)と、LUT908に対するプログラムコード936(P)の読み取り又は書き込みを可能にするテーブル書き込み制御ビット934(T_Write)とによってプログラムすることができる。
図9に示す例では、Lビットの第2の部分924がLUT908に入力され、LUT908が、このLビットの第2の部分924を、(ビット値O
1〜O
Mを含む)記憶されたMビット出力にマッピングする。記憶されたMビット出力は、接続部930を通じてマルチプレクサ910の第2のMビット入力部931に通信される。
【0065】
図示の例では、接続部930が、LUT908によって出力されたビット値の順序を維持する非反転接続部である。例えば、LUT出力からの最下位ビット(O
1)は、第2のMビット入力部931の最下位ビット(B
1)に転送され、LUT出力からの最上位ビット(O
M)は、第2のMビット入力部931の最上位ビット(B
M)に転送される。
【0066】
従って、マルチプレクサ910の第2のMビット入力部931は、LUT908から(ビット値B
1〜B
Mを含む)第2の一連の値を受け取る。マルチプレクサ910の第2のMビット入力部931において受け取られる第2の一連の値は、(CTRL_Bによって制御される)第2の群内のキャパシタバンク素子の第2の異なる組み合わせを表す。例えば、第2の一連の値における各ビット値(B
1〜B
M)は、第2の群内のキャパシタバンク素子のそれぞれのキャパシタバンク素子を作動させるべきかどうかを示すことができる。
【0067】
図9に示す例では、1ビットの第3の部分926が、(第1のMビット入力部929において受け取られた)第1の一連の入力値又は(第2のMビット入力部931において受け取られた)第2の一連の入力値のいずれを第2のキャパシタバンク素子群のための制御信号CTRL_BとしてSCB904に入力するかを制御する制御入力部である。1ビットの第3の部分926は、マルチプレクサ910の選択入力部927(Sel)に通信される。マルチプレクサ910は、この制御入力部に応答して、(Mビット入力部929において受け取られた第1の入力値に従う)キャパシタバンク素子の第1の組み合わせ、又は(Mビット入力部931において受け取られた第2の入力値に従う)第2のキャパシタバンク素子の組み合わせのいずれかを選択するMビット制御信号932を生成する。Mビット制御信号932は、選択されたキャパシタバンク素子の組み合わせを作動させる第2のキャパシタバンク素子部分制御信号CTRL_BとしてSCB904に入力される。
【0068】
図10は、粗同調システム例1000の図である。
図10に示す粗同調システム例1000は、スイッチドキャパシタバンク(SCB)1004と、SCB1004を制御する制御ロジック1002とを含む。制御ロジック1002は、2進数−温度計(BtT)デコーダ1006とマルチプレクサ1010とを含む。粗同調システムは、さらなる又は異なる特徴を含むこともでき、構成要素は、
図10に示すように又は別の形で構成することができる。
【0069】
いくつかの実装では、粗同調システム1000を電圧制御発振器(VCO)に含めて、例えばVCO内の共振器回路を同調させることができる。例えば、粗同調システム1000の全部又は一部は、
図2に示すVCO例200、
図5に示すVCO例500、又は別のタイプのVCOに含めることができる。いくつかの例では、粗同調システム1000が、共振器回路の容量部分を制御することによって(例えば、デジタル制御容量性素子を修正することによって、又は別の形で)共振器回路を同調させることができる。
【0070】
いくつかの実装では、粗同調システム1000が、VCO内の共振器回路のデジタル制御容量性素子として接続された容量性素子を含む。例えば、SCB1004内の容量性素子は、
図2に示すVCO例200内のデジタル制御容量性素子206として、又は
図5に示すVCO例500内のデジタル制御容量性素子506として共振器回路内で接続することができる。いくつかの例では、
図10に示すKビット入力信号1020が、
図2又は
図5に示すマルチビット制御コードに対応し、SCB1004内の容量性素子が、共振器回路201又は501においてそれぞれ容量CDISCRETEをもたらすように構成される。
【0071】
いくつかの実装では、SCB1004を、
図11に示すSCB例1100に従って、又は別の形で実装することができる。SCB例1004は、自機が受け取った制御信号に従って各容量性素子を選択的に作動できる2つの容量性素子群を含む。
図10に示す例では、SCB1004が、各容量性素子を制御信号CTRL_Aに従って選択的に作動できる第1の容量性素子群と、各容量性素子を制御信号CTRL_Bに従って選択的に作動できる第2の容量性素子群とを有する。いくつかの実装では、第1の群内の各キャパシタバンク素子が異なる公称リアクタンスを有し、第2の群内の各キャパシタバンク素子が実質的に同じ公称リアクタンスを有する。
【0072】
図10に示すように、粗同調システム1000によってKビット入力信号1020が受け取られる。いくつかの例では、このKビット入力信号1020を、例えば位相ロックループ(PLL)又は別の供給源などの、VCOの別の構成要素から受け取ることができる。
図10に示す例では、Kビット入力信号1020が、Nビットの第1の部分1022と、Lビットの第2の部分1024と、1ビットの第3の部分1026とを含む。Kビット入力信号1020は、別の形で構成することもできる。いくつかの実装では、Kビット入力信号1020が、共振器回路のデジタル制御部分のデジタル容量レベルを表す入力値を含む。例えば、Kビット入力信号1020は、
図14に示す変数D_tuneの値を含むことができる。
【0073】
図10に示す例では、Nビットの第1の部分1022が、第1のキャパシタバンク素子群のための制御信号CTRL_AとしてSCB1004に入力される。SCB1004は、Nビットの第1の部分1022を受け取ったことに応答して、例えばVCOの共振器回路内の第1のキャパシタバンク素子群のうちの1又は2以上のキャパシタバンク素子群を作動(又は停止)させる。Lビットの第2の部分1024は、制御ロジック1002によって処理されてMビット制御信号1032を生成し、このMビット制御信号1032は、第2のキャパシタバンク素子群のための制御信号CTRL_BとしてSCB1004に入力される。SCB1004は、Mビット制御信号1032を受け取ったことに応答して、例えばVCOの共振器回路内の第2のキャパシタバンク素子群のうちの1又は2以上のキャパシタバンク素子を作動(又は停止)させる。
【0074】
図10に示す制御ロジック例1002では、Lビットの第2の部分1024がBtTデコーダ1006に入力される。マルチプレクサ1010の第1のMビット入力部1029は、BtTデコーダ1006によって生成された出力に基づく第1の一連の値を受け取り、マルチプレクサ1010の第2のMビット入力部1031は、BtTデコーダ1006によって生成された出力に基づく第2の一連の値を受け取る。
図10に示す例では、第1の一連の入力値が第2の一連の入力値の反転である。マルチプレクサ1010は、2つの異なる一連の値から選択を行い、選択された一連の値(第1の一連の値又は第2の一連の値のいずれか)をマルチプレクサ1010のMビット出力部1033に転送し、結果として得られるMビット制御信号1032(M)がSCB1004に通信される。
【0075】
図10に示すBtTデコーダ例1006は、
図9に示すBtTデコーダ906と同様のものである。
図10に示す例では、BtTデコーダ1006が、2進Lビットの第2の部分1024を(ビット値O
1〜O
Mを含む)温度計符号化されたMビット出力に変換する。温度計符号化されたMビット出力は、第1の一連の接続部1028を通じてマルチプレクサ1010の第1のMビット入力部1029に通信されるとともに、第2の異なる一連の接続部1030を通じてマルチプレクサ1010の第2のMビット入力部1031に通信される。
【0076】
図示の例では、第1の一連の接続部1028が、BtTデコーダ1006によって出力されたビット値の順序を維持する直接(非反転)接続部であり、接続部1030が、BtTデコーダ1006によって出力されたビット値の順序を反転させる反転接続部である。例えば、温度計符号化されたMビット出力からの最下位ビット(O
1)は、第2のMビット入力部1031の最上位ビット(A
M)に転送され、温度計符号化されたMビット出力からの最上位ビット(O
M)は、第2のMビット入力部1031の最下位ビット(A
1)に転送される。対照的に、温度計符号化されたMビット出力からの最下位ビット(O
1)は、第1のMビット入力部1029の最下位ビット(B
1)に転送され、温度計符号化されたMビット出力からの最上位ビット(O
M)は、第1のMビット入力部1029の最上位ビット(B
M)に転送される。
【0077】
マルチプレクサ1010の第1のMビット入力部1029において受け取られる第1の一連の値は、(CTRL_Bによって制御される)第2の群内のキャパシタバンク素子の第1の組み合わせを表す。例えば、第1の一連の値における各ビット値(A
1〜A
M)は、第2の群内のキャパシタバンク素子のそれぞれのキャパシタバンク素子を作動させるべきかどうかを示すことができる。マルチプレクサ1010の第2のMビット入力部1031において受け取られる第2の一連の値は、(CTRL_Bによって制御される)第2の群内のキャパシタバンク素子の第2の異なる組み合わせを表す。例えば、第2の一連の値における各ビット値(B
1〜B
M)は、第2の群内のキャパシタバンク素子のそれぞれのキャパシタバンク素子を作動させるべきかどうかを示すことができる。
【0078】
図10に示す例では、1ビットの第3の部分1026が、(第1のMビット入力部1029において受け取られた)第1の一連の入力値又は(第2のMビット入力部1031において受け取られた)第2の一連の入力値のいずれを第2のキャパシタバンク素子群のための制御信号CTRL_BとしてSCB1004に入力するかを制御する制御入力部である。1ビットの第3の部分1026は、マルチプレクサ1010の選択入力部1027(Sel)に通信される。マルチプレクサ1010は、1ビットの第3の部分1026に応答して、(第1のMビット入力部1029において受け取られた第1の入力値に従う)キャパシタバンク素子の第1の組み合わせ、又は(Mビット入力部1031において受け取られた第2の入力値に従う)第2のキャパシタバンク素子の組み合わせのいずれかを選択するMビット制御信号1032を生成する。Mビット制御信号1032は、選択されたキャパシタバンク素子の組み合わせを作動させる第2のキャパシタバンク素子部分制御信号CTRL_BとしてSCB1004に入力される。
【0079】
図11は、スイッチドキャパシタバンク(SCB)例1100を示す図である。SCB例1100は、それぞれが異なる公称リアクタンス値を有する(N)個の第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nを含む第1のキャパシタバンク素子部分を含む。第1のキャパシタバンク素子は、素子A
1 1104A、素子A
2 1104B〜素子A
M 1104Nを含む。SCB例1100は、全てが共通の公称リアクタンス値を有する(M)個の第2のキャパシタバンク素子1106を含む第2のキャパシタバンク素子部分も含む。第2のキャパシタバンク素子は、素子B
1、素子B
2〜素子B
Mを含む。第1のキャパシタバンク素子1104A〜N及び第2のキャパシタバンク素子1106は、(「O
n」で表す)第1のノード1102と(「O
p」で表す)第2のノード1103との間に並列に接続される。スイッチドキャパシタバンクは、さらなる又は異なる特徴を含むこともでき、これらの構成要素は、図示のように又は別の形で構成することができる。
【0080】
いくつかの例では、SCB例1100を粗同調システム内で使用して、例えば電圧制御発振器回路内にデジタル制御容量性素子を提供することができる。例えば、いくつかの例では、
図11に示すSCB例1100を、
図9に示すSCB904又は
図10に示すSCB1004として使用することができる。このような場合、
図11に「O
n」及び「O
p」で表すノードは、
図9及び
図10に示すスイッチドキャパシタバンクのいずれかに「O
n」及び「O
p」で表すノードに対応し、
図9及び
図10に示す制御信号「CTRL_A」及び「CTRL_B」は、
図11に示すビット値(例えば、Ctrl
A1、Ctrl
A2、Ctrl
AN、Ctrl
B1、Ctrl
B2、Ctrl
BMなど)を含むことができる。SCB1100は、別のタイプのシステム又は環境で使用することもできる。
【0081】
図11に示す例では、第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nの各々が、第1のキャパシタバンク素子部分のための制御信号CTRL_Aの(CtrlA1、Ctrl
A2、及びCtrl
ANで表す)それぞれのビット値によって制御され、第2のキャパシタバンク素子1106の各々が、第2のキャパシタバンク素子部分のための制御信号CTRL_Bの(Ctrl
B1、Ctrl
B2、及びCtrl
BMで表す)それぞれのビット値によって制御される。制御信号(CTRL_A及びCTRL_B)のそれぞれのビットは、それぞれのキャパシタバンク素子をSCB1103の第1のノード1102及び第2のノード1103に結合するかどうかを制御する。いくつかの例では、SCB例1100内のキャパシタバンク素子を、
図12に示す例に従って、又は別の形で実装することができる。
【0082】
図11に示す例では、第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nが、異なる公称リアクタンス値の級数(series)を定義する。一連のリアクタンス値は、指数的に重み付けされた級数又は別のタイプの級数とすることができる。例えば、第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nのリアクタンスは、級数X
n=2
n-1X
0を定義することができ、ここでのX
0は、公称基準リアクタンス値であり、nは、級数を定義する規則配列内の所与の第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nの位置であり、X
nは、所与の第1のキャパシタバンク素子のリアクタンスである。この例では、第1のキャパシタバンク素子部分が7つの素子を含む(N=7)場合、キャパシタバンク素子1104Aのリアクタンス値はX
1=X
0であり、キャパシタバンク素子1104Bのリアクタンス値はX
2=2X
0であり、キャパシタバンク素子1104Nのリアクタンス値はX
7=64X
0である。いくつかの例では、第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nの公称リアクタンス値が別の形で構成される。
【0083】
図11に示す例では、第2のキャパシタバンク素子1106が全て同じ公称リアクタンス値を有し、キャパシタバンク素子1104Nの公称リアクタンスの2倍である。上述した例では、第2のキャパシタバンク素子1106の各々のリアクタンス値がX
m=128X
0である。いくつかの例では、第2のキャパシタバンク素子1106の公称リアクタンス値が別の形で構成される。
【0084】
SCB1100が、例えば
図9及び
図10に示す粗同調システム900、1000で動作する場合には、第1のキャパシタバンク素子1104A〜Nの各々及び第2のキャパシタバンク素子1106を共振器回路(例えば、それぞれ
図2及び
図5に示すVCO例200及び500の共振器回路)内で選択的に作動させることができる。例えば、キャパシタバンク素子1104Nは、ビット値CTRL
ANに従ってVCOの共振器回路内に接続することができる。キャパシタバンク素子を共振器回路内で作動させると、キャパシタバンク素子の追加されたリアクタンスが共振器回路の共振周波数を修正する。いくつかの例では、第1のキャパシタバンク素子1104A〜N又は第2のキャパシタバンク素子1106の所与の素子kの(共振器回路が体験する)リアクタンスX
kを以下のように表すことができ、
【数2】
式中、C
kは所与の素子kの容量を表し、ωは共振器回路の周波数を表し、L
k(parasit)は所与の素子kの接続性寄生インダクタンスを表す。いくつかの例では、O
n(又はO
p)からk番目の素子までの長さが寄生インダクタンスを生じ、各素子kはO
n(又はO
p)に対して異なる位置に存在するので、L
k(parasit)の値が素子k毎に異なる。
【0085】
SCB1100をVCO(例えば、それぞれ
図2及び
図5に示すVCO例200及び500)との関連で使用する場合、SCB1100のキャパシタバンク素子は、VCO内にデジタル制御容量性素子(例えば、それぞれ
図2及び
図5に示すデジタル制御容量性素子206及び506)を提供することができる。このような場合、SCB1100のキャパシタバンク素子の基準公称リアクタンス値X0は、VCO内のアナログ制御容量性素子(例えば、それぞれ
図2及び
図5に示すアナログ制御容量性素子204及び504)を同調させることによって取得される有効周波数同調範囲に基づいて選択することができる。いくつかの例では、アナログ制御容量性素子を同調させることによって取得される有効周波数同調範囲が、VCOによって出力される信号の線形周波数応答領域とVCOの温度応答とを考慮する。例えば、有効周波数同調範囲は、例えば−40℃〜+80℃の所与の温度範囲にわたる線形範囲を考慮した時に、線形周波数範囲の最も高い下端から線形範囲の最も低い上端に及ぶことができる。この時、基準公称リアクタンス値X
0は、アナログ制御容量性素子を同調させることによって取得される有効周波数同調範囲に対応するデジタル制御容量性素子の同調から、VCOの出力信号の離散的周波数増加又は減少を引き起こすように選択することができる。いくつかの例では、公称リアクタンス値X
0が、製造プロセスのばらつき、アナログ制御容量性素子を同調させる際のデジタル−アナログ変換誤差などに起因して生じ得る周波数応答の格差を防ぐために、有効周波数同調範囲の端点における何らかの重複を可能にするように選択される。
【0086】
いくつかの実装では、SCB1100をVCOとの関連で使用する場合、VCOのデジタル制御容量性素子を同調させることに起因する、隣接する離散同調点(例えば、
図14にD_tuneで表すデジタル容量レベル)におけるVCOの出力信号の周波数間の差分が、通常はアナログ制御容量性素子を同調させることによって取得される有効周波数同調範囲以下である。このVCO内のデジタル制御容量性素子を同調させることによって生じる周波数間の差分は公称リアクタンス値X
0に影響され、一般に最も低いリアクタンス値を有する第1のキャパシタバンク素子1104Aのリアクタンスに比例する。
【0087】
図12は、キャパシタバンク素子例1200の回路図である。いくつかの例では、
図11に示す第1のキャパシタバンク素子1104A〜N及び第2のキャパシタバンク素子1106が、
図12のキャパシタバンク素子例1200の構造を有することができる。このような場合、
図12に「O
n」及び「O
p」で表すノードは、
図11に示すスイッチドキャパシタバンクの「O
n」及び「O
p」で表すノードに対応することができる。
図12に示すキャパシタバンク素子例1200は、スイッチSWと、第1のp型トランジスタMp1と、第2のp型トランジスタMp2と、第1のn型トランジスタMn1と、第2のn型トランジスタMn2と、第1のキャパシタCnと、第2のキャパシタCpとを含む。図示の例では、スイッチSWがn型トランジスタ(例えば、n型MOSFET)である。第1のp型トランジスタMp1及び第2のp型トランジスタMp2は、p型MOSFETとすることができ、第1のn型トランジスタMn1及び第2のn型トランジスタMn2は、n型MOSFETとすることができる。
【0088】
図12に示す例では、スイッチSW、第1のp型トランジスタMp1、第2のp型トランジスタMp2、第1のn型トランジスタMn1及び第2のn型トランジスタMn2のそれぞれのゲートが、ビット値(例えば、Ctrl
A1…Ctrl
AN、Ctrl
B1…Ctrl
BMなど)を入力できる制御ノードCtrlに結合される。第1のキャパシタCnの第1のノード及び第2のp型トランジスタMp2の第1のソース/ドレインは、(
図12に「O
n」で表す)第1の入力ノードに接続される。第1のキャパシタCnの(第1のノードの反対側の)第2のノード、第2のp型トランジスタMp2の(第1のソース/ドレインの反対側の)第2のソース/ドレイン、スイッチSWの第1のソース/ドレイン及び第2のn型トランジスタMn2の第1のソース/ドレインは、共に接続される。第2のn型トランジスタMn2の(第1のソース/ドレインの反対側の)第2のソース/ドレインは、接地(又はVSS)に結合される。第2のキャパシタCpの第1のノード及び第1のp型トランジスタMp1の第1のソース/ドレインは、(
図12に「O
p」で表す)第2の入力ノードに接続することができる。第2のキャパシタCpの(第1のノードの反対側の)第2のノード、第1のp型トランジスタMp1の(第1のソース/ドレインの反対側の)第2のソース/ドレイン、スイッチSWの(第1のソース/ドレインの反対側の)第2のソース/ドレイン及び第1のn型トランジスタMn1の第1のソース/ドレインは、共に接続される。第1のn型トランジスタMn1の(第1のソース/ドレインの反対側の)第2のソース/ドレインは、接地(又はVSS)に結合される。
【0089】
いくつかの実装では、スイッチSWが、C
on/C
off≧4かつQ≧14に基づいて選択された最小設計ルールのチャネル長及びチャネル幅を有するn型MOSFETであり、式中、C
onはオン状態のスイッチSWの容量を表し、C
offはオフ状態のスイッチSWの容量を表し、QはC
onの品質係数である。ノイズ面からすればQが高い方が有益となり得るが、Qが高いと大型のスイッチSWが必要になることによってドレインからソースへの寄生容量が増加し、従ってC
offが増加してC
on/C
offが減少する可能性がある。いくつかの実装では、第1及び第2のn型トランジスタMn1及びMn2のチャネル長及びチャネル幅が最小設計ルール量である。さらに、いくつかの実装では、第1及び第2のp型トランジスタMp1及びMp2の幅を最小設計ルール量とし、第1及び第2のp型トランジスタMp1及びMp2のチャネル長を増加させると、これらのトランジスタの抵抗が1/(ωC
n)よりも大幅に大きくなる。いくつかの実装では、異なる値及びサイズのスイッチSW及びトランジスタMn1、Mn2、Mp1及びMp2を使用することもできる。
【0090】
動作時には、制御信号Ctrlが、スイッチSW、第1のn型トランジスタMn1及び第2のn型トランジスタを閉じて第1のp型トランジスタMp1及び第2のp型トランジスタMp2を開くものである場合、第1のキャパシタCnが第1の入力ノードO
nと接地(又はVSS)との間に閉ループ構成で結合され、第2のキャパシタCpが第2の入力ノードO
pと接地(又はVSS)との間に閉ループ構成で結合される。制御信号Ctrlが、スイッチSW、第1のn型トランジスタMn1及び第2のn型トランジスタを開いて第1のp型トランジスタMp1及び第2のp型トランジスタMp2を閉じるものである場合、第1のキャパシタCn及び第2のキャパシタCpが開ループ内に存在して事実上接断され、第1のp型トランジスタMp1及び第2のp型トランジスタMp2が、それぞれ第2のキャパシタCp及び第1のキャパシタCnの漏れ又は短絡を可能にすることができる。
【0091】
以下の説明では、
図11に示すSCB1100を
図9及び
図10それぞれに示す粗同調システム例900及び1000のSCB904又はSCB1004として使用する例について検討する。いくつかの動作態様では、Kビット入力信号920/1020のNビットの第1の部分922/1022が、第1のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_AとしてSCB904/1004に入力される。Nビットの第1の部分922/1022の最下位ビットは、第1のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_Aのビット値(CTRL
A1)とすることができ、Nビットの第1の部分922/1022の最上位ビットは、第1のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_Aの最上位ビット(CTRL
AN)とすることができ、第1のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_Aのそれぞれの中間ビット値に対するNビットの第1の部分922/1022の中間ビットについても同じ対応性を適用することができる。従って、Nビットの第1の部分922/1022の最下位ビットは、最下位の第1のキャパシタバンク素子1104A内の1又は2以上のキャパシタ(例えば、
図12に示す第1のキャパシタCn及び第2のキャパシタCp)をVCOの共振器回路内で閉ループ構成で結合するか、それとも開ループ構成で結合するかを制御することができ、Nビットの第1の部分922/1022の次の上位ビットは、次の上位の第1のキャパシタバンク素子1104B内の1又は2以上のキャパシタをVCOの共振器回路内で閉ループ構成で結合するか、それとも開ループ構成で結合するかを制御することができ、以下同様である。
【0092】
いくつかの動作態様では、マルチプレクサ910/1010から出力されたMビット制御信号932/1032が、第2のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_BとしてSCB904/1004に入力される。Mビット制御信号932/1032の最下位ビットは、第2のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_Bのビット値(CTRL
B1)とすることができ、Mビット制御信号932/1032の最上位ビットは、第2のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_Bのビット値(CTRL
BN)とすることができ、第2のキャパシタバンク素子部分の制御信号CTRL_Bのそれぞれの中間ビット値に対するMビット制御信号932/1032の中間ビットについても同じ対応性を適用することができる。従って、Mビット制御信号932/1032の最下位ビットは、素子B1内の1又は2以上のキャパシタ(例えば、
図12に示す第1のキャパシタCn及び第2のキャパシタCp)をVCOの共振器回路内で閉ループ構成で結合するか、それとも開ループ構成で結合するかを制御することができ、Mビット制御信号932/1032の次の上位ビットは、素子B2内の1又は2以上のキャパシタをVCOの共振器回路内で閉ループ構成で結合するか、それとも開ループ構成で結合するかを制御することができ、以下同様である。
【0093】
いくつかの動作態様では、マルチプレクサ910/1010が、第1のMビット入力部929/1029及び第2のMビット入力部931/1031から選択を行うことによってMビット制御信号932/1032を生成する。従って、第1のMビット入力部929/1029によって受け取られる第1の一連の値、又は第2のMビット入力部931/1031によって受け取られる第2の一連の値は、第2のキャパシタバンク素子1106のうちのどのキャパシタバンク素子が閉ループ接続されたキャパシタを有するかを制御する。2つの異なるキャパシタバンク素子の組み合わせから選択を行う能力は、例えばVCOの周波数出力の線形性に対応する際に高い柔軟性を可能にすることができる。
【0094】
図9及び
図10に示す粗同調システム例900及び1000では、一方の一連の入力値がKビット入力信号920/1020の2進Lビットの第2の部分924/1024の逆順温度計コードであり、この一連の入力値は、BtTデコーダ906/1006及び接続部928/1030の動作によってもたらされる。マルチプレクサ910/1010がこの一連の値を選択した場合、第2のキャパシタバンク素子1106は、SCB1100におけるこれらの素子の物理的順序に従って作動する。例えば、第2のキャパシタバンク素子1106のうちの単一のキャパシタバンク素子が選択された場合には、最後又は「底部」位置のキャパシタバンク素子(素子
BM)が作動し(又は「オン」になり)、第2のキャパシタバンク素子1106のうちの2つのキャパシタバンク素子が選択された場合には、最後と最後から2番目の位置のキャパシタバンク素子(素子
BM、素子
B(M-1))が作動して、以下同様に行われ、従って最初又は「最上部」の位置のキャパシタバンク素子(素子
B1)は、第2のキャパシタバンク素子1106が全て作動した場合にしか作動しない。この第2のキャパシタバンク素子1106の選択過程は、「下から上への(bottom−to−top)」(「B2T」)選択と呼ぶことができる。
【0095】
図9の粗同調システム例900では、マルチプレクサ910の第2のMビット入力部931によって受け取られる一連の入力値を、LUT908がKビット入力信号920のLビットの第2の部分924に基づいて出力するようにプログラムされたあらゆるコードとすることができる。従って、LUT908のプログラムは、あらゆる任意の組み合わせの第2のキャパシタバンク素子1106の選択を可能にする。例えば、第2のキャパシタバンク素子1106のうちの単一のキャパシタバンク素子が選択された場合には、LUT908に記憶されているマッピングデータに基づいていずれかの位置のキャパシタバンク素子(素子
BM)を潜在的に作動させる(又は「オン」にする)ことができ、第2のキャパシタバンク素子1106のうちの2つのキャパシタバンク素子が選択された場合には、LUT908に記憶されているマッピングデータに基づいてキャパシタバンク素子のうちのいずれか2つを潜在的に作動させる(又は「オン」にする)ことができ、以下同様である。
【0096】
図10の粗同調システム例1000では、第1のMビット入力部1029によって受け取られる一連の入力値が、Kビット入力信号1020の2進Lビットの第2の部分1024の非逆順温度計コードであり、この一連の入力値は、BtTデコーダ1006及び接続部1028の動作によって生じる。マルチプレクサ1010がこの一連の値を選択した場合、第2のキャパシタバンク素子1106は、SCB1100におけるこれらの素子の物理的順序に基づいて作動する。この場合、第2のキャパシタバンク素子1106は、第2のMビット入力部1031が受け取る一連の入力値によって選択される順序とは異なる順序で選択される。例えば、第2のキャパシタバンク素子1106のうちの単一のキャパシタバンク素子が選択された場合には、最初又は「最上部」の位置のキャパシタバンク素子(素子
B1)が作動し(又は「オン」になり)、第2のキャパシタバンク素子1106のうちの2つのキャパシタバンク素子が選択された場合には、最初と2番目の位置のキャパシタバンク素子(素子
B1、素子
B2)が作動して、以下同様に行われ、従って最後又は「底部」の位置のキャパシタバンク素子(素子
BM)は、第2のキャパシタバンク素子1106が全て作動した場合にしか作動しない。この第2のキャパシタバンク素子1106の選択過程は、上記で概説した「下から上への」選択順の逆である「上から下への(top−to−bottom)」(「T2B」)選択と呼ぶことができる。
【0097】
図13は、VCO例の集積回路レイアウト例1300である。いくつかの実装では、集積回路レイアウト例1300を用いて、
図11に示すSCB1100を含む
図5に示すVCO例500を実装することができる。いくつかの例では、VCO例500を、別のタイプのレイアウトに従って実装することもできる。SCBを制御するための(例えば、
図9及び
図10それぞれに示すタイプの)制御ロジックは、
図13に示すレイアウト1300の領域外に実装することができる。
【0098】
レイアウト例1300は、半導体(例えば、シリコン)基板内の部分と、半導体基板上のそれぞれの1又は2以上の誘電体層に埋め込まれた1又は2以上の金属層内の部分とを含む。レイアウト1300は、変圧器(例えば、変圧器509)の一次巻線部分1302と、変圧器の第1の二次巻線部分1304Aと、変圧器の第2の二次巻線部分1304Bとを含む。一次巻線部分1302は、半導体基板上の第1の金属層内に存在する。第1の二次巻線部分1304Aは、第1の金属層内に部分的に存在するとともに、少なくとも第1の二次巻線部分1304Aが一次巻線部分1302と重なり合う第1の金属層の上方又は下方の第2の金属層内に部分的に存在する。同様に、第2の二次巻線部分1304Bは、第1の金属層内に部分的に存在するとともに、少なくとも第2の二次巻線部分1304Bが一次巻線部分1302及び/又は第1の二次巻線部分1304Aと重なり合う第2の金属層内に部分的に存在する。
【0099】
レイアウト例1300は、第1のキャパシタバンク素子(SCB素子A1〜A7)を有する第1のキャパシタバンク素子部分1306と、第2のキャパシタバンク素子(SCB素子B1〜B8)を有する第2のキャパシタバンク素子部分1308とを含む。
図13の第1のキャパシタバンク素子は、
図11に示す第1のキャパシタバンク素子1104A、1104B〜1104Nと同様のものとすることができ、
図13に示す第2のキャパシタバンク素子は、
図11に示す第2のキャパシタバンク素子1106と同様のものとすることができる。
図13に示すキャパシタバンク素子の各々は、半導体基板内及び1又は2以上の金属層内に実装することができる。図示の例では、一次巻線部分1302と第1の二次巻線部分1304Aとの間の第1の金属層の第1の部分(例えば、第1のノード)がキャパシタバンク素子のそれぞれの入力ノードに結合され、一次巻線部分1302と第2の二次巻線部分1304Bとの間の第2の部分(例えば、第2のノード)がキャパシタバンク素子のそれぞれの他の入力ノードに結合される。
【0100】
レイアウト例1300は、第1のインバータ1312A及び第2のインバータ1312Bも含む。第1のインバータ1312A及び第2のインバータ1312Bの各々は、半導体基板内及び1又は2以上の金属層内に実装することができる。第1のインバータ1312Aの第1の入力部は、第1の金属層の第1のノードに結合され、第1のインバータ1312Aの第2の入力部は、第1の二次巻線部分1304Aの一次巻線部分1302とは反対側に結合された第1の金属層の第3の部分(例えば、第3のノード)に結合される。第1のインバータ1312Aの出力部は、第1の金属層の第2のノードに結合される。第2のインバータ1312Bの第1の入力部は、第1の金属層の第2のノードに結合され、第2のインバータ1312Bの第2の入力部は、第2の二次巻線部分1304Bの一次巻線部分1302とは反対側に結合された第1の金属層の第4の部分(例えば、第4のノード)に結合される。第2のインバータ1312Bの出力部は、第1の金属層の第1のノードに結合される。
【0101】
レイアウト1300は、(例えば、アナログ制御容量性素子504の)バラクタを含むアナログ容量同調領域1314を含む。バラクタは、半導体基板内及び1又は2以上の金属層内に実装することができる。バラクタは、第1のインバータ1312Aの出力部と第2のインバータ1312Bの出力部との間に、例えば第1の金属層の第1のノードと第2のノードとの間に結合される。
【0102】
図14は、VCO出力周波数例のプロット1400である。プロット1400には、
図13に示すレイアウト1300に従って製造されたVCO例の、
図10に示す粗同調システム例1000がスイッチドキャパシタバンクを一定範囲のデジタル容量レベルにわたって同調させた時の出力周波数を示す。y軸1402は、VCOの出力周波数をメガヘルツ(MHz)単位で表す。x軸1404は、デジタル制御容量性素子を同調させる際に利用できる増分段階であるデジタル容量レベル(D_tune)を表す。D_tuneの各値は、制御ロジックが(Kビット制御信号に従って)選択した異なるキャパシタバンク素子の組み合わせに対応する。
図13に示す例では、A群に7つのキャパシタバンク素子が存在し(N=7)、B群に8つのキャパシタバンク素子が存在する(N=8)。
図11に示す例と同様に、A群のキャパシタバンク素子の公称リアクタンス値は、各値が先行する値の2倍である規則的級数を定め、B群のキャパシタバンク素子は、全て同じ公称リアクタンス値を有する。具体的に言えば、この例では、B群の各キャパシタバンク素子の公称リアクタンス値はX
M=2
NX
0=128X
0であり、利用可能な離散段階の数は1151(例えば、(1+M)2
N−1)である。
【0103】
図14には、第1の出力周波数データ1406と、第2の出力周波数データ1408と、第3の出力周波数データ1410とを示す。第1の出力周波数データ1406は、第2のキャパシタバンク素子群(B群)の下から上への選択過程を用いたシミュレーションを表す。第2の出力周波数データ1408は、第2のキャパシタバンク素子群の下から上への選択過程を用いた物理的実装の測定値を表す。第3の出力周波数データ1410は、第2のキャパシタバンク素子群の上から下への選択過程を用いた物理的実装の測定値を表す。
【0104】
シミュレートした第1の出力周波数データ1406では、127〜128、255〜256などのD_tune段階に反転間隔(inverted gap)(D_tuneが増すと周波数も増加する)が見られる。これらの段階は、B群内のキャパシタバンク素子が作動した段階である。測定した第2及び第3の出力周波数データ1408及び1410では、127〜128、255〜256などのD_tune段階に非反転間隔(D_tuneが増えると周波数が減少する)が見られる。これらの段階は、B群内のキャパシタバンク素子が作動した段階である。出力周波数データ1406、1408及び1410における反転間隔と非反転間隔との違いは、シミュレーションにおいて寄生インピーダンスを考慮していない結果である可能性が高い。
【0105】
図14Aは、
図14の挿入部(inset)によって示す
図14に示すプロット1400の一部の詳細
図1400Aである。第2の出力周波数データ部分1408A及び第3の出力周波数データ部分1410Aは、それぞれプロット1400の挿入部における第2の出力周波数データ1408及び第3の出力周波数データ1410の部分である。容量性素子の公称容量値によれば、B群内のキャパシタバンク素子は全て同じ公称リアクタンスを有するので、各D_tune値において第2の出力周波数データ部分1408Aと第3の出力周波数データ部分1410Aは等しいことになる。しかしながら、実際には、第2の群内のキャパシタバンク素子は、通常は同じ実効リアクタンスを有しておらず、リアクタンスは(異なる相互接続部の長さ、製造プロセスのばらつきなどに起因して)キャパシタバンク素子毎に異なり得る。例えば、B群内のキャパシタバンク素子は、共振器回路の誘導部分からの距離が異なることによって異なる寄生インダクタンスを有することができる。従って、B群内のキャパシタバンク素子の異なる組み合わせを選択することによって実効リアクタンスが異なる場合があり、従ってたとえ同じ数のB群素子が作動した場合でも周波数出力が異なる可能性がある。プロット1400の詳細
図1400Aに示すように、この例では、一般に上から下への選択過程によって生じる周波数信号が、同じD_tune段階における下から上への選択過程よりも低くなる。
【0106】
図14Aに示す例では、第2の出力周波数データ部分1408Aが、255〜256のD_tune段階に20MHzの非反転間隔を有する。第2の出力周波数データ部分1408Aにおいて使用される下から上への選択過程を使用すると、VCOは、この20MHzの非反転間隔内の周波数を有する信号を生成できないことがあり、このVCOを使用するPLLは、このような周波数を自動追跡できないことがある。しかしながら、VCOは、第2の出力周波数データ部分1408Aにおけるこの20MHzの非反転間隔内の信号を、下から上への選択過程の異なる周波数応答を利用して生成することができる。詳細
図1400Aに示すように、第3の出力周波数データ部分1410Aは、第2の出力周波数データ部分1408Aにおける20MHzの非反転間隔内の周波数を有する信号をD_tune=243〜248において達成する。従って、VCOがこのような周波数を出力すべき場合、Kビット入力信号1020は、D_tune=243〜248を用いて上から下への選択を行うビット値をSCB1004に出力するようにマルチプレクサ1010を制御する1ビットの第3の部分1026を有することができる。
【0107】
粗同調システム例900及び1000では、制御ロジック902及び1002がそれぞれ2つの選択過程を使用し、これらの2つの選択過程を例えば相補的に併用することができる。例えば、
図10の粗同調システム1000を使用する場合には、下から上への選択過程によって非反転間隔が生じる周波数を除いて下から上への選択過程を使用することができ、下から上への選択過程の非反転間隔内の周波数を有する信号は、上から下への選択過程を用いて実現することができる。或いは、上から下への選択過程の使用と下から上への選択過程の使用とを切り替えることもできる。別の例として、
図9の粗同調システム900を使用する場合、VCOは、下から上への選択過程、又はLUT908にプログラムされているいずれかの選択過程を選択することができる。従って、
図9の粗同調システムは、VCOの周波数出力を指定する上でも柔軟性をもたらす。集積回路VCOは、非反転間隔における周波数を回復するように異なる選択過程からの選択を可能にすることによって幅広い範囲又は高い柔軟性で動作することができる。いくつかの例では、異なる選択過程から選択を行うことにより、必ずしもVCOの同調範囲を低減することなく所望の周波数分解能(又は間隔)の達成が可能になる。
一般的態様では、電圧制御発振器について説明した。いくつかの例では、電圧制御発振器が、上述した1又は2以上の利点をもたらす特徴又は構成要素を含む。
【0108】
第1の例では、無線センサデバイスが電圧制御発振器を含む。電圧制御発振器は、第1のインバータと、第2のインバータと、変圧器とを含む。第1のインバータは、第1のインバータ入力ノードと第1のインバータ出力ノードとを含む。第2のインバータは、第2のインバータ入力ノードと第2のインバータ出力ノードとを含む。変圧器は、第1のインバータと第2のインバータとの間に接続されて、一次巻線部分と2つの二次巻線部分とを含む。一次巻線部分は、第1のインバータ出力ノードと第2のインバータ出力ノードとの間に接続されて、第1の二次巻線部分及び第2の二次巻線部分に誘導結合される。第1の二次巻線部分は、一次巻線部分と第1のインバータ入力ノードとの間に接続され、第2の二次巻線部分は、一次巻線部分と第2のインバータ入力ノードとの間に接続される。
【0109】
いくつかの例では、第1の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。第1のインバータは第3のインバータ入力ノードを含み、第2のインバータは第4のインバータ入力ノードを含み、一次巻線部分は、第3のインバータ入力ノードと第4のインバータ入力ノードとの間に接続される。第1のインバータは、n型MOSFETとp型MOSFETとを含み、第2のインバータは、n型MOSFETとp型MOSFETとを含む。第1のインバータは、2つのn型MOSFETと2つのp型MOSFETとを含み、第2のインバータは、2つのn型MOSFETと2つのp型MOSFETとを含む。
【0110】
いくつかの例では、第1の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。電圧制御発振器は、第1のインバータと第2のインバータとの間に接続された容量部分を含む。容量部分は、デジタル制御キャパシタ素子を含む。容量部分は、アナログ制御キャパシタ素子を含む。
【0111】
第2の例では、電圧制御発振器回路が、変圧器と、容量部分と、第1のインバータと、第2のインバータとを含む。変圧器は、第1のノードと第2のノードとの間に接続された一次巻線部分と、第1のノードと第3のノードとの間に接続された第1の二次巻線部分と、第2のノードと第4のノードとの間に接続された第2の二次巻線部分とを有する。容量部分は、第1のノードと第2のノードとの間に接続される。第1のインバータは、第3のノードに接続された第1のインバータ入力ノードと、第2のノードに接続された第1のインバータ出力ノードとを有する。第2のインバータは、第4のノードに接続された第2のインバータ入力ノードと、第1のノードに接続された第2のインバータ出力ノードとを有する。
【0112】
いくつかの例では、第2の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。第1のインバータは、第1の電源ノードに結合されたソースを有する第1のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースを有する第1のn型トランジスタとを含み、第1のp型トランジスタのゲートと第1のn型トランジスタのゲートとが、第1のインバータ入力ノードとして共に接続され、第1のp型トランジスタのドレインと第1のn型トランジスタのドレインとが、第1のインバータ出力ノードとして共に接続される。第2のインバータは、第1の電源ノードに結合されたソースを有する第2のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースを有する第2のn型トランジスタとを含み、第2のp型トランジスタのゲートと第2のn型トランジスタのゲートとが、第2のインバータ入力ノードとして共に接続され、第2のp型トランジスタのドレインと第2のn型トランジスタのドレインとが、第2のインバータ出力ノードとして共に接続される。
【0113】
いくつかの例では、第2の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。第1のインバータは、第1のノードに接続された第3のインバータ入力ノードを含み、第2のインバータは、第2のノードに接続された第4のインバータ入力ノードを有する。第1のインバータは、第1の電源ノードに結合されたソースと第1のインバータ入力ノードであるゲートとを有する第1のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースと第3のインバータ入力ノードであるゲートとを有する第1のn型トランジスタとを含み、第1のp型トランジスタのドレインと第1のn型トランジスタのドレインとが、第1のインバータ出力ノードとして共に接続される。第2のインバータは、第1の電源ノードに結合されたソースと第2のインバータ入力ノードであるゲートとを有する第2のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースと第4のインバータ入力ノードであるゲートとを有する第2のn型トランジスタとを含み、第2のp型トランジスタのドレインと第2のn型トランジスタのドレインとが、第2のインバータ出力ノードとして共に接続される。第1のインバータは、第1の電源ノードに結合されたソースを有する第1のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースを有する第1のn型トランジスタと、第1の電源ノードに結合されたソースを有する第2のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースを有する第2のn型トランジスタとを含み、第1のp型トランジスタのゲートと第1のn型トランジスタのゲートとが、第1のインバータ入力ノードとして共に接続され、第2のp型トランジスタのゲートと第2のn型トランジスタのゲートとが、第3のインバータ入力ノードとして共に接続され、第1のp型トランジスタ、第1のn型トランジスタ、第2のp型トランジスタ及び第2のn型トランジスタのそれぞれのドレインが、第1のインバータ出力ノードとして共に接続される。第2のインバータは、第1の電源ノードに結合されたソースを有する第3のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースを有する第3のn型トランジスタと、第1の電源ノードに結合されたソースを有する第4のp型トランジスタと、第2の電源ノードに結合されたソースを有する第4のn型トランジスタとを含み、第3のp型トランジスタのゲートと第3のn型トランジスタのゲートとが、第2の入力ノードとして共に接続され、第4のp型トランジスタのゲートと第4のn型トランジスタのゲートとが、第3のインバータ入力ノードとして共に接続され、第3のp型トランジスタ、第3のn型トランジスタ、第4のp型トランジスタ及び第4のn型トランジスタのそれぞれのドレインが、第2のインバータ出力ノードとして共に接続される。
【0114】
いくつかの例では、第2の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。変圧器は、自動変圧器である。容量性素子は、第1のキャパシタバンクと第2のキャパシタバンクとを含み、第1のキャパシタバンクはアナログ同調キャパシタを含み、第2のキャパシタバンクは離散制御キャパシタを含む。
【0115】
第3の例では、第1のインバータからの第1の電圧が誘導−容量(LC)タンクの第1のノードに出力される。LCタンクは、変圧器の容量部分と一次巻線部分とを含み、容量部分は、LCタンクの第1のノードと第2のノードとの間に接続され、一次巻線部分は、第1のノードと第2のノードとの間に接続される。第1のインバータの第1の入力ノードに、第3のノードからの第2の電圧が入力される。第2のノードと第3のノードとの間に、変圧器の第1の二次巻線部分が接続される。
【0116】
いくつかの例では、第3の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。第1のインバータの第2の入力ノードに、第2のノードからの第3の電圧が入力される。第1の電圧は振動する。電圧は、変圧器の一次巻線部分と第1の二次巻線部分との間で変圧される。LCタンクの共振周波数が、LCタンクにキャパシタを選択的に結合するように容量部分内のスイッチを制御すること、容量部分内のアナログ同調キャパシタを同調させること、又はこれらの両方によって制御される。
【0117】
いくつかの例では、第3の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。第2のノードに、第2のインバータからの第3の電圧が入力される。第2のインバータの第2の入力ノードに、第4のノードからの第4の電圧が入力される。第1のノードと第4のノードとの間に、変圧器の第2の二次巻線部分が接続される。電圧は、変圧器内の一次巻線部分と第1の二次巻線部分との間で変圧される。電圧は、変圧器内の一次巻線部分と第2の二次巻線部分との間で変圧される。変圧器は、一次巻線部分と、第1の二次巻線部分と、第2の二次巻線部分とを含む自動変圧器である。
【0118】
第4の例では、無線センサデバイスが電圧制御発振器を含む。電圧制御発振器は、共振器回路と、マルチプレクサと、制御ロジックとを含む。共振器回路は、共振器回路を同調させるスイッチドキャパシタバンクを含む。スイッチドキャパシタバンクは、キャパシタバンク素子を含む。マルチプレクサは、スイッチドキャパシタバンクに通信可能に結合されて、デジタル容量レベルを表す入力値に基づいてキャパシタバンク素子の組み合わせを選択する。マルチプレクサは、第1のマルチビット入力部と、第2のマルチビット入力部と、マルチビット出力部とを含む。第1のマルチビット入力部は、キャパシタバンク素子の第1の組み合わせを表す第1の一連の値を受け取るように構成される。第2のマルチビット入力部は、キャパシタバンク素子の第2の異なる組み合わせを表す第2の一連の値を受け取るように構成される。マルチビット出力部は、第1の一連の値又は第2の一連の値をスイッチドキャパシタバンクに通信して第1の組み合わせ又は第2の組み合わせのいずれかを選択するように構成される。制御ロジックは、デジタル容量レベルの各々について第1の一連の値及び第2の一連の値を生成するように構成される。
【0119】
いくつかの例では、第4の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。入力値は、第1の部分と第2の部分とを含む。制御ロジックは、入力値の第2の部分を受け取り、この部分を復号することによって第1の一連の値を生成するように構成されたデコーダと、入力値の第2の部分を受け取り、内部に記憶されているコンピュータ可読マッピングデータに従って第2の一連の値を生成するように構成されたルックアップテーブルとを含む。制御ロジックは、入力値の第2の部分を受け取り、この部分を復号することによって第1の一連の値を生成するように構成されたデコーダと、デコーダから第1の一連の値を受け取り、これらの値を並べ替えることによって第2の一連の値を生成するように構成された回路とを含む。
【0120】
いくつかの例では、第4の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。入力値は、第1の部分と第2の部分とを含む。スイッチドキャパシタバンクは、第1のキャパシタバンク素子と第2のキャパシタバンク素子とを含む。スイッチドキャパシタバンクは、各入力値の第1の部分に従ってキャパシタバンク素子の第1の組み合わせを作動させるとともに、マルチプレクサから受け取った第1又は第2の一連の値に従って、第2のキャパシタバンク素子の選択された組み合わせを作動させるように構成される。マルチプレクサは、スイッチドキャパシタバンクに通信可能に結合されて、入力値の第2の部分に基づいて第2のキャパシタバンク素子の組み合わせを選択する。制御ロジックは、入力値の第2の部分に基づいて第1の一連の値及び第2の一連の値を生成するように構成される。第2のキャパシタバンク素子の各々は、同じ公称リアクタンスを有し、第1のキャパシタバンク素子の各々は、異なる公称リアクタンスを有する。
【0121】
いくつかの例では、第4の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。マルチプレクサは、制御値を受け取るように構成された制御入力部を有し、制御値に基づいて第1の一連の値又は第2の一連の値のいずれかをマルチビット出力部に転送する。電圧制御発振器は、共振器回路に接続されたゲイン部分を含む。
【0122】
第5の例では、電圧制御発振器が、共振器回路とマルチプレクサとを含む。共振器回路は、誘導部分と容量部分とを含む。容量部分は、キャパシタバンク素子を含むスイッチドキャパシタバンクを含む。スイッチドキャパシタバンクは、マルチプレクサからのビット値に基づいてキャパシタバンク素子の組み合わせを選択的に作動させるように構成される。マルチプレクサは、第1のマルチビット入力部と、第2のマルチビット入力部と、マルチビット出力部とを含む。第1のマルチビット入力部は、第1の一連のビット値を受け取るように構成される。第2のマルチビット入力部は、第2の異なる一連のビット値を受け取るように構成される。マルチビット出力部は、スイッチドキャパシタバンクに通信可能に結合されて、第1又は第2の一連のビット値のいずれかをスイッチドキャパシタバンクに通信するように構成される。
【0123】
いくつかの例では、第5の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。マルチプレクサは、制御値を受け取るように構成された制御入力部を有し、制御値に基づいて第1の一連のビット値又は第2の一連のビット値のいずれかをマルチビット出力部に転送する。
【0124】
いくつかの例では、第5の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。マルチビット出力部は、第1のマルチビット出力部であり、電圧制御発振器は、2進数−熱デコーダ(binary to thermal decoder)とルックアップテーブルとを含む。2進数−熱デコーダは、第1の一連のビット値を生成するように構成されるとともに、マルチプレクサの第1のマルチビット入力部に通信可能に結合された第2のマルチビット出力部を有する。ルックアップテーブルは、第2の一連のビット値を生成するように構成されるとともに、マルチプレクサの第2のマルチビット入力部に通信可能に結合された第3のマルチビット出力部を有する。
【0125】
いくつかの例では、第5の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。マルチビット出力部は第1のマルチビット出力部であり、電圧制御発振器は2進数−熱デコーダを含む。2進数−熱デコーダは、第1の一連のビット値を生成するように構成される。2進数−熱デコーダは、マルチプレクサの第1のマルチビット入力部に通信可能に結合された第2のマルチビット出力部と、マルチプレクサの第2のマルチビット入力部に通信可能に結合された第3のマルチビット出力部とを有する。
【0126】
いくつかの例では、第5の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。キャパシタバンク素子は、全て同じリアクタンスを有する。キャパシタバンク素子は、第1のキャパシタバンク素子であり、第1のキャパシタバンク素子の各々は、第1のスイッチと第1のキャパシタとを含む。各第1のキャパシタバンク素子の第1のスイッチは、第1のキャパシタバンク素子の第1のキャパシタを共振器回路に閉ループ構成で選択的に結合する。マルチビット出力部の各ビットノードは、第1のキャパシタバンク素子のそれぞれの第1のスイッチに通信可能に結合されて第1のスイッチを制御するように構成される。スイッチドキャパシタバンクは、第2のキャパシタバンク素子をさらに含む。第2のキャパシタバンク素子の各々は、第2のスイッチと第2のキャパシタとを含む。各第2のキャパシタバンク素子の第2のスイッチは、第2のキャパシタバンク素子の第2のキャパシタを共振器回路に閉ループ構成で選択的に結合する。第2のキャパシタバンク素子は、それぞれが異なるリアクタンスを有する。第2のキャパシタバンク素子は、有意性順に配置される。第2のキャパシタバンク素子の各々は、公称リアクタンスの2
n-1倍を有し、nは、有意性順における第2のキャパシタバンク素子の位置を表す。
【0127】
第6の例では、第1の入力信号及び第2の入力信号がいずれもマルチプレクサに入力される。第1及び第2の入力信号は、共振器回路のデジタル容量レベルに基づく。第1の入力信号又は第2の入力信号は、マルチプレクサ出力信号としてマルチプレクサから選択的に出力される。マルチプレクサ出力信号に従って、共振器回路内のキャパシタバンク素子が選択的に作動される。
【0128】
いくつかの例では、第6の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。2進数−温度計デコーダに第3の入力信号が入力される。2進数−温度計デコーダから出力される温度計符号化信号は、第3の入力信号に基づく。温度計符号化信号は、第1の入力信号としてマルチプレクサに入力される。温度計符号化信号のビット順を逆にしたものが第2の入力信号としてマルチプレクサに入力される。
【0129】
いくつかの例では、第6の例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。2進数−温度計デコーダに第3の入力信号が入力される。第3の入力信号は、ルックアップテーブルに入力される。2進数−温度計デコーダから出力される温度計符号化信号は、第3の入力信号に基づく。温度計符号化信号は、第1の入力信号としてマルチプレクサに入力される。ルックアップテーブルから出力されるルックアップテーブル出力信号は、第3の入力信号に基づく。ルックアップテーブル出力信号は、第2の入力信号としてマルチプレクサに入力される。それぞれのキャパシタバンク素子内のスイッチは、マルチプレクサ出力信号に従って共振器回路に閉ループ構成でキャパシタを結合するように制御される。キャパシタバンク素子の各々は、マルチプレクサ出力信号におけるそれぞれのビットによって制御される少なくとも1つのスイッチを含む。
【0130】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらの詳細は、特許請求できるものの範囲を限定するものとして解釈すべきではなく、むしろ特定の例に固有の特徴の説明として解釈すべきである。本明細書において別個の実装の文脈で説明したいくつかの特徴は組み合わせることもできる。これとは逆に、単一の実装の文脈で説明した様々な特徴は、複数の実施形態において別個に、又はいずれかの好適な部分的組み合わせの形で実装することもできる。
複数の例について説明した。それでもなお、様々な修正を行うことができると理解されたい。従って、以下の特許請求の範囲には他の実施形態も含まれる。