特許第6668819号(P6668819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6668819
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】石炭火力発電設備
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/00 20060101AFI20200309BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20200309BHJP
   B03C 3/019 20060101ALI20200309BHJP
   B03C 3/02 20060101ALI20200309BHJP
   B03C 3/68 20060101ALI20200309BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   F23J15/00 ZZAB
   B01D53/50 245
   B03C3/019
   B03C3/02 B
   B03C3/68 Z
   B01D53/78
   F23J15/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-37471(P2016-37471)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-155970(P2017-155970A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清永 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】引野 健治
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−025108(JP,A)
【文献】 特開2008−012529(JP,A)
【文献】 特開昭58−137427(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0237423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/00
B01D 53/50
B01D 53/78
B03C 3/019
B03C 3/02
B03C 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃焼させる燃焼ボイラと、
前記燃焼ボイラの下流側に配置され該燃焼ボイラにおいて石炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる石炭灰を除去する集塵装置と、
前記集塵装置の下流側に配置され前記燃焼ボイラにおいて石炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる硫黄酸化物を湿式石灰−石膏法により吸収、分離する湿式脱硫装置と、
前記湿式脱硫装置から排出される排水中の微量物質を計測する計測装置と、
前記計測装置による結果に基づき、前記集塵装置の出力を制御する制御装置と、を備え
前記集塵装置は、複数の捕集段を有し、
前記制御装置は、前記複数の捕集段の出力を個別に制御し、
前記制御装置は、前記計測装置による結果に基づき、微量物質の量が所定量以上である場合には、前記捕集段のうち排ガスの下流側の捕集段の出力を増加させる制御を行う石炭火力発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭火力発電設備に関する。より詳しくは、脱硫装置から排出される排水中の微量物質の量を抑制できる石炭火力発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電所では、石炭の燃焼に伴い硫黄酸化物が発生するが、大気汚染防止法等により、硫黄酸化物の排出は一定水準以下に抑えることが必要となっている。そこで発電所では、硫黄酸化物を除去する脱硫装置を設置している。この脱硫装置としては、湿式脱硫装置が一般的に用いられている。すなわち、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、排ガスに含有されている硫黄酸化物を混合液に吸収させ、その後脱水処理することで脱硫を実現している。
【0003】
この脱水処理において発生する排水には、微量のホウ素、セレン等の微量物質が含まれる。水質汚濁防止法等により、これらの微量物質の排出は一定水準以下に抑える事が必要となっている。そこで発電所では、脱硫装置から発生する排水を処理する排水処理装置を設けているが、排水中に微量物質が多量に含まれると、排水処理装置の負担が大きくなるため対策が必要となる。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、ボイラから発生する排ガスから石炭灰を除去する集塵装置を含む排ガス処理システムにおいて、排ガス中の微量物質を計測し、微量物質の量が多いときには集塵効率を高くし、排ガス中の微量物質を集塵装置で除去することで排水処理装置の負担を軽減する排ガス処理システム及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−25108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、排ガス中に含まれる微量物質の量と、湿式脱硫装置からの排水中に含まれる微量物質の量がどのように相関するかについては不明である。従って湿式脱硫装置からの排水中に含まれる微量物質の量をより確実に抑制する方法については明らかではなかった。
【0007】
本発明者らは、石炭灰に微量物質が含まれるメカニズムにつき鋭意検討した結果、従来の石炭灰の粒径である数十μm以上百μm以下程度の範囲に比べて遥かに小さい粒径の石炭灰に微量物質が含まれ、これらの微小な粒径の石炭灰が集塵装置よりも下流側の排ガス中に含まれる微量物質の主たるキャリアーとなっていることを見出した。
【0008】
従って、本発明は、湿式脱硫装置からの排水中に含まれる微量物質の量を計測し、その測定結果に基づいて微小な粒径の石炭灰を除去できるように集塵装置を制御することで、湿式脱硫装置からの排水中に含まれる微量物質の量を確実かつ効率的に抑制できる石炭火力発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、石炭を燃焼させる燃焼ボイラと、前記燃焼ボイラの下流側に配置され該燃焼ボイラにおいて石炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる石炭灰を除去する集塵装置と、前記集塵装置の下流側に配置され前記燃焼ボイラにおいて石炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる硫黄酸化物を湿式石灰−石膏法により吸収、分離する湿式脱硫装置と、前記湿式脱硫装置から排出される排水中の微量物質を計測する計測装置と、前記計測装置による結果に基づき、前記集塵装置の出力を制御する制御装置と、を備える石炭火力発電設備に関する。
【0010】
また、前記集塵装置は、複数の捕集段を有し、前記制御装置は、前記複数の捕集段の出力を個別に制御することが好ましい。
【0011】
また、前記制御装置は、前記計測装置による結果に基づき、微量物質の量が所定量以上である場合には、前記捕集段のうち排ガスの下流側の捕集段の出力を増加させる制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湿式脱硫装置からの排水中に含まれる微量物質の量を計測し、その測定結果に基づいて微小な粒径の石炭灰を除去できるように集塵装置を制御することで、湿式脱硫装置からの排水中に含まれる微量物質の量を確実かつ効率的に抑制できる石炭火力発電設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る石炭火力発電設備の構成を示す図である。
図2図1に示す燃焼ボイラの付近を拡大して示す図である。
図3図1に示す電気集塵装置を部分的に破断して内部を見せた斜視図である。
図4】同動作原理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の石炭火力発電設備の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の石炭火力発電設備1は、図1に示すように、石炭バンカ20と、給炭機25と、微粉炭機30と、燃焼ボイラ40と、燃焼ボイラ40の下流側に設けられた排気通路50と、この排気通路50に設けられた脱硝装置60、空気予熱器70、電気集塵装置90、ガスヒータ(熱回収用)80、誘引通風機210、湿式脱硫装置220と、ガスヒータ(再加熱用)230、脱硫通風機240、及び煙突250と、を備える。
【0015】
石炭バンカ20は、石炭サイロ(図示しない)から運炭設備によって供給された石炭を貯蔵する。給炭機25は、石炭バンカ20から供給された石炭を所定の供給スピードで微粉炭機30に供給する。
微粉炭機30は、給炭機25から供給された石炭を粉砕して微粉炭を製造する。微粉炭機30においては、石炭は、平均粒径60μm〜80μmに粉砕される。また、微粉炭の粒度分布は、150μm以上が10〜15%、75μm〜150μmが30〜40%、75μm未満が45〜60%程度となる。
微粉炭機30としては、ローラミル、チューブミル、ボールミル、ビータミル、インペラーミル等が用いられる。
【0016】
燃焼ボイラ40は、微粉炭機30から供給された微粉炭を、強制的に供給された空気と共に燃焼する。微粉炭を燃焼することによりクリンカアッシュ及びフライアッシュ等の石炭灰が生成されると共に、排ガスが発生する。
尚、クリンカアッシュとは、微粉炭を燃焼させた場合に発生する石炭灰のうち、燃焼ボイラ40の底部に落下した塊状の石炭灰をいう。また、フライアッシュとは、微粉炭を燃焼させた場合に発生する石炭灰のうち、燃焼ガス(排ガス)と共に吹き上げられて排気通路50側に流通する程度の粒径(粒径200μm程度以下)の球状の石炭灰をいう。
【0017】
図2を参照して、燃焼ボイラ40について詳しく説明すると、図2において、燃焼ボイラ40は全体として略逆U字状をなしており、図中矢印に沿って排ガス(燃焼ガス)が逆U字状に移動した後、2次節炭器41eを通過後に、再度小さくU字状に反転する。
【0018】
燃焼ボイラ40の下方には、燃焼ボイラ40の内部のバーナーゾーン41a’付近で微粉炭を燃焼するためのバーナ41aが配置されている。また、燃焼ボイラ40の内部のU字頂部付近には、第一の過熱器41bが配置されており、更にそこから第二の過熱器41cが続いて配置されている。更に、第二の過熱器41cの終端付近からは、1次節炭器41d、2次節炭器41eが2段階に設けられている。ここで、節炭器(ECOとも呼ばれる)は、排ガスの保有する熱を利用してボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群である。
【0019】
以上の燃焼ボイラ40によれば、バーナーゾーン41a’において微粉炭が燃焼される。微粉炭の燃焼温度は、1300℃から1500℃に及び、燃焼によって生成される石炭灰は、矢印の方向に沿って上昇して排ガスと共に第一の過熱器41b、第二の過熱器41c、1次節炭器41d、及び2次節炭器41eを順次通過する。燃焼ガスは、ボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群を通過することによって熱交換され、450℃〜500℃程度に温度が低下する。排ガスがバーナーゾーン41a’から節炭器付近まで到達するまでに要する時間は、おおむね5秒から10秒である。
【0020】
排気通路50は、燃焼ボイラ40の下流側に配置され、燃焼ボイラ40で発生した排ガス及び生成された石炭灰を流通させる。この排気通路50には、上述のように、脱硝装置60、空気予熱器70、ガスヒータ(熱回収用)80、電気集塵装置90、誘引通風機210、脱硫装置220と、ガスヒータ(再加熱用)230、脱硫通風機240、及び煙突250が配置される。
【0021】
脱硝装置60は、排ガス中の窒素酸化物を除去する。本実施形態では、脱硝装置60は、比較的高温(300℃〜400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガスを注入し、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を無害な窒素と水蒸気に分解する、いわゆる乾式アンモニア接触還元法により排ガス中の窒素酸化物を除去する。
【0022】
空気予熱器70は、排気通路50における脱硝装置60の下流側に配置される。空気予熱器70は、脱硝装置60を通過した排ガスと押込式通風機75から送り込まれる燃焼用空気とを熱交換させ、排ガスを冷却すると共に、燃焼用空気を加熱する。
【0023】
ガスヒータ80は、排気通路50における空気予熱器70の下流側に配置される。ガスヒータ80には、空気予熱器70において熱回収された排ガスが供給される。ガスヒータ80は、排ガスから更に熱回収する。
【0024】
電気集塵装置90は、排気通路50におけるガスヒータ80の下流側に配置される。電気集塵装置90には、ガスヒータ80において熱回収された排ガスが供給される。電気集塵装置90は、電極に電圧を印加することによって排ガス中の石炭灰(フライアッシュ)を収集する装置である。電気集塵装置90に印加される電圧は、制御装置225によって制御される。電気集塵装置90において捕集されるフライアッシュは、フライアッシュ回収装置120に回収される。
【0025】
図3を参照して、電気集塵装置90について詳しく説明する。図3に示すように、電気集塵装置90は、入口絞りダクト92、出口絞りダクト94を左右のそれぞれに形成した箱形の密閉チャンバ96を有する。密閉チャンバ96上には、一対の槌打装置104が配置され、密閉チャンバ96の下部には、両極108,112の集合体からなる複数の静電極群の配列位置に対向して配置された4つの集塵ホッパ114,115,116,117(117は図示されず)が設けられ、更に各静電極群周囲における床面に点検用のフロア118が設けられる。
密閉チャンバ96内には、入口絞りダクト92に面して配置された多孔板106と、長方形の3つの捕集段98a〜cと、が配置される。
捕集段98a〜c上には、図1に示す制御装置225にそれぞれ接続された複数の高圧変圧整流器102a〜cが配置される。捕集段98a〜cの内部には、仕切り板状をなしてその面内方向が出入口方向に沿うように横列状態に多数配置された集塵極108と、各集塵極108の間に配設された放電極支持碍子110に接続された放電極112と、が設けられる。
【0026】
電気集塵装置90の動作原理は、図4に示すように、高圧変圧整流器102a〜cによって作られた直流高圧電源の+側に集塵極108が接続してプラスに帯電し、−側に放電極112が接続している。したがって、入口絞りダクト92から排ガスが流入し、この排ガスに含まれているフライアッシュが集塵極108間を通過すると、放電極112から放出される−の電荷によりフライアッシュは−に帯電し、集塵極108の表面に吸着され、ここに堆積する。
【0027】
誘引通風機210は、排気通路50における電気集塵装置90の下流側に配置される。誘引通風機210は、電気集塵装置90においてフライアッシュが除去された排ガスを、一次側から取り込んで二次側に送り出す。
【0028】
湿式脱硫装置220は、排気通路50における誘引通風機210の下流側に配置される。湿式脱硫装置220には、誘引通風機210から送り出された排ガスが供給される。湿式脱硫装置220は、燃焼ボイラ40において石炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる硫黄酸化物を湿式石灰−石膏法により吸収、分離する。具体的には、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、以下の化学反応式に従って、排ガスに含有されている硫黄酸化物を混合液に吸収させて脱硫石膏(CaSO・2HO)スラリーを生成させる。
CaCO+SO+1/2O+2HO→CaSO・2HO+CO
【0029】
この脱硫石膏スラリーを脱水処理することで脱硫石膏を生成する。湿式脱硫装置220において生成された脱硫石膏は、この装置に接続された脱硫石膏回収装置222に回収される。また、脱硫石膏スラリーを脱水した際の排水には、塩素やフッ素等の他、ホウ素やセレン等の微量物質が含まれているため、排水処理装置223によってこれらの微量物質を分離して沈殿し、更に中和等を行って処理する。湿式脱硫装置220からの排水が排水処理装置223に到る経路には、排水中の微量物質の濃度を測定可能な計測装置224が配置される。
【0030】
計測装置224は、湿式脱硫装置220から排出される排水中に含まれる、ホウ素、セレン等の微量物質の濃度を測定する装置であり、測定結果を自動的に制御装置225に送信する。
制御装置225は、計測装置224から自動的に送信された測定結果に基づき、ホウ素やセレン等の微量物質の濃度があらかじめ設定された濃度値を上回った場合には、自動的に高圧変圧整流器102a〜cの出力を増加させる制御を行う。また、高圧変圧整流器102a〜cの出力は、例えば、高圧変圧整流器102aの出力は低くし、高圧変圧整流器102cの出力は高くする等、制御装置225により個別に制御可能である。かかる構成により、排水中に含まれる微量物質の濃度が一定値を超えた場合、電気集塵装置90による石炭灰の捕集能力を自動的により高めるような制御が可能となる。
【0031】
ガスヒータ230は、排気通路50における脱硫装置220の下流側に配置される。ガスヒータ230には、脱硫装置220において硫黄酸化物が除去された排ガスが供給される。ガスヒータ230は、排ガスを加熱する。ガスヒータ80及びガスヒータ230は、排気通路50における、空気予熱器70と電気集塵装置90との間を流通する排ガスと、脱硫装置220と脱硫通風機240との間を流通する排ガスと、の間で熱交換を行うガスガスヒータとして構成してもよい。
【0032】
脱硫通風機240は、排気通路50におけるガスヒータ230の下流側に配置される。脱硫通風機240は、ガスヒータ230において加熱された排ガスを一次側から取り込んで二次側に送り出す。
煙突250は、排気通路50における脱硫通風機240の下流側に配置される。煙突250には、ガスヒータ230で加熱された排ガスが導入される。煙突250は、排ガスを排出する。
【0033】
次に、本発明における微量物質の排出抑制方法について説明する。
上述した電気集塵装置90における捕集段98a〜cで捕集されるフライアッシュは、排ガスの上流側の捕集段98aから下流側の98cに進むに従ってその平均粒径が小さくなることが明らかとなっている。
一方、本発明者らは、今般、石炭灰の平均的な粒径である数十μm以上百μm以下程度の範囲に比べて遥かに小さい粒径(1μm以下、より詳細には数十nm程度)の石炭灰にホウ素、セレン等の微量物質が含まれ、これらの微小な粒径の石炭灰が電気集塵装置90よりも下流側の排ガス中に含まれる微量物質の主たるキャリアーとなっていることを見出した。このような微小な粒径の石炭灰は含有量が少ないため、これまで微量物質のキャリアーであるとは考えられていなかった。
【0034】
そこで、本発明では、このような微小な粒径の石炭灰を電気集塵装置90で効率よく除去するような制御、つまり、排ガスの下流側の捕集段98cの出力を増大させる制御を行うことで、微量物質のキャリアーである微小な粒径の石炭灰の捕集能力を高めることができる。よって、電気集塵装置90よりも下流側の排ガス中に含まれる微量物質の量を効果的に抑制することができる。
また、従来の電気集塵装置90の下流の排ガス中に含まれる微量物質濃度に基づいた制御ではなく、湿式脱硫装置220の排水中に含まれる微量物質の量に基づく制御により、排水中の微量物質の量を効果的に抑制できる。具体的には、湿式脱硫装置220の排水中の微量物質の濃度が一定以上となった場合に電気集塵装置90の出力を増加させるような制御を行うことで、電気集塵装置90により微量物質を含む微小な粒径の石炭灰が除去される結果、湿式脱硫装置220の排水中に含まれる微量物質の量を効果的に抑制することができる。
【0035】
本実施形態では、石炭火力発電設備1を、電気集塵装置90における複数の捕集段98a〜cに電圧を印加する高圧変圧整流器102a〜cに接続され、高圧変圧整流器102a〜cの出力が個別に調整可能である制御装置225を含んで構成した。また、湿式脱硫装置220の排水中に含まれる微量物質濃度を測定し、測定結果を制御装置225に自動的に送信する計測装置224を含んで構成した。
【0036】
これにより、計測装置224により測定される、湿式脱硫装置220の排水中に含まれるホウ素、セレン等の微量物質の濃度があらかじめ設定された濃度値を上回った場合には、その結果は自動的に制御装置225に送信される。そして、制御装置225により、電気集塵装置90に印加する電圧が自動的に増大され、微量物質を含む排ガス中の石炭灰が電気集塵装置90により除去される。その結果、湿式脱硫装置220において排水に溶出する微量物質の量が少なくなり、排水中に含まれる微量物質濃度を一定濃度未満に保つことができる。
【0037】
更に、制御装置225は、電気集塵装置90において、より平均粒径の小さい石炭灰が捕集される排ガスの下流側の捕集段98cにより高い電圧を印加する制御を行う。これにより、微量物質の主たるキャリアーである微細な粒径の石炭灰をより効率よく除去することができる。
【0038】
以上説明した本実施形態の石炭火力発電設備1によれば、以下のような効果を奏する。
【0039】
(1)石炭火力発電設備1を、湿式脱硫装置220から排出される排水中の微量物質を計測する計測装置224と、計測装置224による結果に基づき、電気集塵装置90の出力を制御する制御装置225を含んで構成した。これにより、排水中の微量物質の濃度が高い場合、微量物質のキャリアーである微細な粒径の石炭灰を電気集塵装置90で捕集することで微量物質の濃度を一定値未満に保つことができるので、脱硫装置220からの微量物質の排出を効果的に抑制できる。
【0040】
(2)電気集塵装置90を、複数の捕集段98a〜cを含んで構成し、制御装置225を、複数の捕集段98a〜cに印加される電圧を個別に制御可能であるように構成した。これにより、微量物質のキャリアーである微細な粒径の石炭灰をより多く捕集可能な、排ガスの下流側の捕集段98cの出力を選択的に増加させることが可能となり、より効果的に微量物質の排出を抑制することが可能となる。
【0041】
(3)制御装置225を、計測装置224の結果に基づき、微量物質の量が所定量以上である場合には、排ガスの下流側の捕集段98cの出力を増加させる制御を行うように構成した。これにより、より効果的に微量物質の排出を抑制できる。
【符号の説明】
【0042】
1 石炭火力発電設備
30 微粉炭機
40 燃焼ボイラ
90 電気集塵装置
220 湿式脱硫装置
224 計測装置
225 制御装置
図1
図2
図3
図4