(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材フィルム(F1)上に、水性インキ(A)から形成されたインキ層(F2)と、接着剤(B)から形成された接着剤層(F3)と、シーラントフィルム(F4)とをこの順に有する包装袋用積層体。ただし、下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする。
(1)水性インキ(A)が、酸価10〜60mgKOH/gかつ水酸基価10〜20mgKOH/gである、カルボキシル基を有する水性ポリウレタン樹脂(a1)を含有し、カルボジイミド基を有する化合物(b)を含有しない。
(2)接着剤(B)が、カルボジイミド基を有する化合物(b)を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の積層体について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0015】
本発明の積層体は、基材フィルム(F1)上に、水性インキ(A)から形成されたインキ層(F2)と、接着剤(B)から形成された接着剤層(F3)と、シーラントフィルム(F4)とをこの順に有する積層体である。さらに、水性インキ(A)が、カルボキシル基を有する樹脂(a)を含有し、カルボジイミド基を有する化合物(b)を含有せず、接着剤(B)が、カルボジイミド基を有する化合物(b)を含有することを特徴とする。
【0016】
まず、水性インキ(A)について説明する。本明細書において、水性インキ(A)は、カルボキシル基を有する樹脂(a)を含有し、カルボジイミド基を有する化合物(b)を含有しない。樹脂(a)としては、水性ポリウレタン樹脂(a1)、水性アクリル樹脂、水性ウレタン/アクリル複合樹脂などが挙げられる。好ましくは水性ポリウレタン樹脂(a1)である。樹脂(a)は、単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。樹脂(a)の含有量は、水性インキの総重量に対して、固形分で4〜25重量%が好ましく、更に好ましくは6〜20重量%である。
【0017】
本発明において、カルボキシル基を有する樹脂(a)の酸価は、水性ポリウレタン樹脂(a1)を用いる場合には10〜60mgKOH/gであることが好ましい。さらに好ましくは、酸価が25〜45mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g以上であると、経時安定性、再溶解性が向上する傾向にあり、60mgKOH/gを以下であると耐水性が向上する傾向にある。なお、酸価は、酸をアルカリで滴定して算出した樹脂1g中の酸量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K0070に準拠して測定した値である。
【0018】
水性ポリウレタン樹脂(a1)とは、ウレア結合を有しない水性ポリウレタン樹脂の他、ウレア結合を有する水性ポリウレタンウレア樹脂も含むものである。水性ポリウレタン樹脂(a1)は、公知の方法によって製造が可能であり、製造法は限定されない。水性ポリウレタン樹脂(a1)は、例えば、ポリイソシアネートと、ポリオールと、分子内にカルボキシル基と少なくとも2個の活性水素含有基を有する化合物とを反応させて(ウレタン化反応)得ることができる。また、ウレタン化反応において、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、更に鎖延長剤として有機ポリアミンを反応(鎖延長反応)させると、水性ポリウレタンウレア樹脂を得ることができる。尚、本明細書において、「イソシアネート基」とは、−N=C=O基を意味し、イソシアナト基と同義である。
【0019】
水性ポリウレタン樹脂(a1)を製造する際に用いることができるポリイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。例えば、1、5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’ − ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’− ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3− フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4 ,4 ’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m − テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。反応性等の面から、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0020】
ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等から選ぶことができる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。さらに好ましくは、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールから選ばれる。
【0021】
ポリエーテルポリオールは、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。特に、酸化エチレンの重合体、すなわちポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールを用いた場合には、再溶解性が良好となる。また、ポリテトラメチレングリコールも好適に使用できる。
【0022】
ポリエチレングリコールを用いる場合には、水性ポリウレタン樹脂(a1)のエチレンオキシド単位含有量(以下EO%と略す)は、4〜30%の範囲である事が好ましい。EO%が4%以上であると、再溶解性が向上する傾向にあり、EO%が30%以下の場合、耐水性が良化する傾向にある。尚、EO%は、水性ポリウレタン樹脂(a1)中のポリエチレングリコールの固形分重量比率である。
【0023】
ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、2−メチル−1,3 −プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,9−ノナンンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブチンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの、グリコール類、低分子ポリオール類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸あるいはこれらの無水物との脱水縮合体または重合体が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。グリコール類としては分岐のグリコールが好ましい。特に、密着性、ラミネート強度の観点では、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸の重合体が好ましい。
【0024】
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリルカーボネート、ジアルキルカーボネート等のカーボネート成分あるいはホスゲンと、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、2− メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,9−ノナンンジオール、2−メチル−1,8 − オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブチンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子ポリオール類との縮合体が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
また、水性ポリウレタン樹脂(a1)骨格中のウレタン結合密度を上げたり、樹脂中に分岐構造や3級アミノ基を導入する等の目的で上記のポリオールに加え、低分子ポリオールを適宜併用する事ができる。
【0026】
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリエチレングリコール、N,N-ビス(ヒドロキシプロピル)アニリンなどが挙げられる。
【0027】
低分子ポリオールとしては、耐水性の観点から1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、N,N-ビス(ヒドロキシプロピル)アニリンが好ましい。
【0028】
本明細書における活性水素含有基とは、水酸基、アミノ基などのイソシアネート基と反応し得る活性水素を有する基をいう。
【0029】
水性ポリウレタン樹脂(a1)にカルボキシル基を含有させるためには、分子内にカルボキシル基と少なくとも2 個の活性水素含有基を有する化合物を用いることが好ましい。分子内にカルボキシル基と少なくとも2 個の活性水素含有基を有する化合物としては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のジメチロールアルカン酸; グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等のジアミン型アミノ酸類が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
水性ポリウレタンウレア樹脂は、前述ポリウレタン樹脂に、さらに鎖延長剤として有機ジアミン等を反応させて(鎖延長反応)得ることができる。ウレア結合を含有することで、ラミネート強度、再溶解性が向上する。
【0031】
鎖延長剤としては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミン類等が挙げられる。
また、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;等の公知の鎖延長剤も必要に応じて併用できる。
【0032】
また、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有する有機ジアミンを鎖延長剤として使用すれば、水性ポリウレタン樹脂(a1)中の側鎖に水酸基を導入することができる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。また、末端停止剤として、単官能のモノアミンまたはモノオールを併用すれば、鎖延長の停止による分子量の制御も可能である。
【0033】
カルボキシル基を有する水性ポリウレタン樹脂(a1)が、さらに側鎖に水酸基を有すると、再溶解性の観点から好ましい。また、水酸基を有することにより、接着剤がイソシアネート基を有する化合物(c)を含有するとき、化合物(c)の一部は、接着剤層(F3)/インキ層(F2)界面近傍で水性ポリウレタン樹脂(a1)の側鎖の水酸基と架橋反応(I)を起こすことにより、水性ポリウレタン樹脂(a1)とカルボジイミド基を有する化合物(b)の架橋反応(II)を補完し、界面での更なる密着性向上に寄与する。
【0034】
水性ポリウレタン樹脂(a1)とカルボジイミド基を有する化合物(b)の架橋反応(II)、即ち接着剤層(F3)/インキ層(F2)界面近傍での反応であるが、次のように考えられる。インキ層上に接着剤を塗布し、接着剤層が形成される時、接着剤中の低分子量成分、カルボジイミド基を有する化合物(b)、イソシアネート基を有する化合物(c)等の一部は、インキ層中にも入り込む。接着剤に有機溶剤を使用していると、この入り込み、浸入は更に促進されるため、インキ層と接着剤層が接する境界付近は、単一で明確な界面ではなく、両層が入り混じった状態になっていると推察される。そのため、接着剤層(F3)中のカルボジイミド基を有する化合物(b)の一部とインキ層(F2)中の水性ポリウレタン樹脂(a1)のカルボキシル基との架橋反応(II)が起こる。
また、接着剤層(F3)中にイソシアネート基を有する化合物(c)が存在すれば、その一部とインキ層中の水性ポリウレタン樹脂(a1)の水酸基の架橋反応(I)により、層間での、密着強度がより向上し、耐水性等の向上につながると考えられる。
【0035】
水性ポリウレタン樹脂(a1)の水酸基価は、10〜20mgKOH/gであることがさらに好ましい。なお、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K0070に準拠した。
【0036】
水性ポリウレタン樹脂(a1)の重量平均分子量は、5000〜100000の範囲内とすることが好ましい。水性ポリウレタン樹脂(a1)の分子量が、5000以上の場合には、耐水性、耐ブロッキング性が向上する傾向にあり、100000以下の場合には、得られる水性印刷インキの粘度が高くならず、インキ化、分散安定性に優れる傾向にある。
【0037】
また、ウレタン化反応には、触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、 2−エチルヘキソエート鉛、チタン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキソエート鉄、2−エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としてはテトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。これらの触媒はポリマーポリオールに対して0.001〜1モル%の範囲で使用される。
【0038】
ウレタン化反応では溶剤を使用する場合は、特に限定されないが、50〜100℃で10分〜10時間行うのが好ましい。無溶媒で行う場合は90〜180℃が好ましい。反応の終点は、粘度測定、IR測定や滴定等によるイソシアナト基(−NCO)の定量により判断される。
【0039】
また、鎖延長反応は、特に限定されないが、30〜80℃で10分〜10時間行うのが好ましい。反応の終点は、粘度測定、IR測定や滴定等によるイソシアナト基(−NCO)の定量により判断される。
【0040】
水性ポリウレタン樹脂(a1)中のカルボキシル基を中和するための塩基性化合物としては、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いられるが、印刷物の耐水性、残留臭気等の点から、水溶性であり、かつ熱によって容易に解離する揮発性の高いものが好ましく、特にアンモニアが好ましい。
【0041】
水性ポリウレタン樹脂(a1)は、前述のように、製造法は特定されないが、例えば、イソシアネートに対して不活性でかつ親水性の有機溶剤を用いるアセトン法、溶剤を全く使用しない無溶剤合成法等により得ることが好ましい。イソシアネートに対して不活性でかつ親水性の有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられるが、ポリウレタンの水性化は、通常、減圧蒸留(脱溶剤)により除去されるため、また、脱溶剤しないで使用する場合でも乾燥速度を早めるため、水より低沸点の溶剤の使用が好ましい。脱溶剤する場合には、例えば、反応溶液に水及び中和剤である塩基性化合物を添加した後、温度を上げて常圧下、又は減圧下で溶剤を必要量溜去する方法で行うことができる。
【0042】
カルボキシル基を有する樹脂(a)として使用できる水性アクリル樹脂としては、水溶型アクリル樹脂や、エマルジョン型アクリル樹脂(以下、Em型と略記ことがある)などが挙げられる。ただし、いずれの場合もカルボキシル基を含むことが必須である。本発明においては、水溶型アクリル樹脂、Em型アクリル樹脂を単独で用いても良いし、これらを2種以上混合して用いても良い。
【0043】
水溶型アクリル樹脂は、既知の方法に従い、溶液重合や塊状重合で得ることができる。例えば、有機溶剤を反応槽に仕込み、窒素雰囲気下、昇温させる。滴下層に仕込んだカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、これと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体、およびラジカル重合開始剤の混合物を滴下させる。有機溶剤は、反応時ならびにその後の処理に悪影響が無く、得られた樹脂を溶解するものであれば任意のものを使用する事ができる。得られた樹脂溶液については、塩基性化合物で中和後、そのままイオン交換水で希釈しても良いし、有機溶剤をイオン交換水に溶剤置換してもかまわない。以上の工程により、水溶型アクリル樹脂が得られるが、(メタ)アクリル酸の割合、疎水性モノマーの割合、中和率等により、Em型アクリル樹脂、或いはハイドロゾル型アクリル樹脂となる場合がある。
【0044】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、ヘキサヒドロフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等があげられる。
【0045】
共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tーブチルメタクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等の芳香族エチレン性不飽和単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコール等のヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体;ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシ(メタ)アクリレー等のケト基含有エチレン性不飽和単量体;等が挙げられる。
【0046】
ラジカル重合開始剤には公知の油溶性重合開始剤を使用でき、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物を挙げることができる。
【0047】
中和剤として使用する塩基性化合物としては、アンモニア;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いられるが、乾燥後の印刷塗膜の耐水摩擦性を向上させるためには、水溶性であり、かつ熱によって容易に解離する揮発性の高いものが好ましく、特にアンモニア、ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。
【0048】
水溶型アクリル樹脂の酸価としては、30〜100mgKOH/gである事が好ましい。30mgKOH/g未満であると、水溶型アクリル樹脂の分散力が低下するため、凝集物が発生しやすくなり、水性インキの残肉安定性が悪化する傾向にある。一方で100mgKOH/gを超えると、耐水性が悪化する傾向にある。
【0049】
さらに水溶型アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は5000〜30000である事が好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、樹脂微粒子分散体の分散安定性が低下して、水性インキの残肉安定性が低下する傾向にあり、耐水性、耐ブロッキング性も劣りやすい。一方、重量平均分子量(Mw)が30000を超えた場合にも、増粘が著しくなり、水性インキの残肉安定性が低下する場合がある。ここで言う重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値をいう。
【0050】
次に、Em型アクリル樹脂について説明する。Em型アクリル樹脂は、界面活性剤や高分子分散剤を乳化剤として、エチレン性不飽和単量体を乳化重合する事で得る事ができる。これらの中でも積層体の優れた被膜耐性の観点から、前記の水溶型アクリル樹脂を乳化剤としたEm型アクリル樹脂を使用する事が好ましい。
【0051】
具体的なEm型アクリル樹脂の製造方法について述べる。まず、反応槽に水性媒体と前記の水溶型アクリル樹脂を仕込み、昇温して溶解させる。その後、窒素雰囲気下でエチレン性不飽和単量体を滴下しながら、ラジカル重合開始剤を添加する。反応開始後、反応槽の溶液の色が青白くなるので、粒子核の形成が確認できる。エチレン性不飽和単量体の滴下完了後、更に数時間反応させる事で目的のEm型アクリル樹脂、或るいはハイドロゾル型アクリル樹脂を得る事ができる。エチレン性不飽和単量体はそのまま反応槽に滴下しても良いし、水性媒体であらかじめ乳化液にしてから滴下しても構わない。前記の水溶型アクリル樹脂は水性媒体中で保護コロイド(シェル成分)として働き、生成する粒子核(コア成分)を安定化する。この方法により得られるEm型アクリル樹脂は、ニュート二アンに近い粘性を有するため印刷適性に大変優れている。
【0052】
エチレン性不飽和単量体としては、前記のエチレン性不飽和単量体を用いることができる。重合開始剤は、前記のものに加え、水溶性重合開始剤を使用することできる。水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなどが挙げられる。
【0053】
また、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。
【0054】
このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩等の還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、エチレン性不飽和単量体100重量%中、0.05〜5.0%含まれることが好ましい。なお、前記した重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常80℃程度とすればよい。重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
【0055】
さらに必要に応じて、緩衝剤として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが、また、連鎖移動剤としてのオクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、ステアリルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類が適量使用できる。
【0056】
本発明で使用するEm型アクリル樹脂をラジカル重合により得るに際しては、前記の水溶型アクリル樹脂の他、各種界面活性剤を使用することができる。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
【0057】
Em型アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、10〜65℃の範囲である事が好ましい。Tgが10℃以上であると、ラミネート強度、耐ブロッキング性が向上する傾向にある。一方でガラス転移温度が65℃以下の場合にも、低温乾燥下においても分子鎖の運動が阻害されにくく、造膜やコア成分とシェル成分の相溶性が増し、ラミネート強度が向上する傾向にある。
【0058】
Em型アクリル樹脂の酸価は、20〜200mgKOH/gが好ましい。20mgKOH/g以上であると、Em型アクリル樹脂の安定性が向上し、また、カルボジイミド基を有する化合物(b)との架橋が多くなり、耐水性が向上する傾向にある。200mgKOH/g以下では、耐水性が良好な傾向にある。重量平均分子量(Mw)は、100、000〜600、000の範囲である事が好ましい。重量平均分子量が100、000以上であると、より緻密で強靭な皮膜とり、ラミネート強度に優れる傾向にある。一方で600、000以下の場合、低温乾燥下においても造膜し易く、またコア成分とシェル成分の相溶が十分となり、ラミネート強度に優れる傾向にある。
【0059】
水性インキ(A)は、カルボキシル基を有する樹脂(a)のほかに、顔料、溶剤などを含むことができる。その他、必要に応じて、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、シランカップリング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤を含むこともできる。さらに上記に挙げた樹脂(a)以外の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、セルロ−ス系樹脂、塩素化ポリオレフィン等の水性樹脂の併用も可能である。
【0060】
顔料としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機、無機顔料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。藍インキには銅フタロシアニンを使用することが着色力の点から好ましい。
【0061】
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母) などが挙げられる。白インキには酸化チタン、墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母) を使用することがコストや着色力の点から好ましい。
【0062】
顔料は、単独で、または色相および濃度の調整などを目的として2種以上を混合して用いることもできる。顔料は、水性インキの濃度・着色力を確保する量、好ましくは水性インキの総重量に対して、4〜50重量%の量で水性インキ中に含まれる。
【0063】
溶剤としては、水、アルコール系が挙げられる。水性インキ(A)中の水の含有率は、5重量%以上が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上である。アルコール系としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n −ブチルアルコ−ル、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1、3−モノイソブチレート(テキサノール、イーストマンケミカル社製)等が挙げられ、特にイソプロピルアルコ−ル、n−プロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコール、エタノール、メタノールが好ましい。これらは1種、又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0064】
水性インキ(A)の製造の一例としては、着色剤、カルボキシル基を有する樹脂(a)を混練(例えば、ボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル等) した後、添加剤等を混合する方法が挙げられる。この場合、混練においては、必要に応じて顔料分散剤を使用することもできる。
【0065】
次に、接着剤(B)について説明する。接着剤(B)は、カルボジイミド基を有する化合物(b)を含有する。カルボジイミド基を有する化合物(b)を接着剤(B)に含むことで、水性インキ(A)中のカルボキシル基を有する樹脂(a)と、インキ層(F2)と接着剤層(F3)との界面近傍において架橋反応が起こる。従来の技術では、カルボジイミド基を有する化合物(b)を水性インキ中に添加していたため、印刷後の水性インキ(残肉)が、経時で増粘、ゲル化、沈殿等を生じ、これらのインキを使用した積層体の密着性、ラミネート強度、耐水性が劣るという問題を有していた。本発明により、これまで困難であった積層体の耐水性と、水性インキ(A)の残肉安定性の両立が良好となる。
【0066】
カルボジイミド基を有する化合物(b)としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などが挙げられる。市販品としては、例えば、日清紡社製、カルボジライトV−05、V−07、V−09、V−02、V−02−L2、SV−02、V−04、V−10、SW−12G、E−02、E−03Aなどが挙げられる。
【0067】
カルボキシル基とカルボジイミド基(−N=C=N−)の比率(モル)としては、カルボキシル基/カルボジイミド基=1/0.5〜1/6(モル比)が好ましい。積層体の耐水性の観点から、カルボキシル基/カルボジイミド基=1/1〜1/3(モル比)が、さらに好ましい。カルボジイミド基を有する化合物(b)を接着剤(B)に含むことで、当該化合物(b)の一部は、接着剤層(F3)/インキ層(F2)界面近傍において、水性インキ(A)中のカルボキシル基を有する樹脂(a)との間で架橋反応が起こり、積層体の耐水性が向上する。
【0068】
架橋反応は主として、接着剤層(F3)/インキ層(F2)界面近傍で起こるため、インキ層(F2)の単位体積当りのカルボキシル基数(モル数)に対して、接着剤層(F3)単位体積当りのカルボジイミド基数(モル数)考慮すればよい。界面近傍においては、両層が入り混じった状態となるため、あたかもインキの一部にカルボジイミド基を有する化合物を添加し、架橋させる様相と考えられる。本発明においてはカルボジイミド基を有する化合物(b)が、水性インキ(A)中に含まれていないため、水性インキ(A)の残肉安定性が良好となる。そのため、従来のカルボジイミド基を有する化合物(b)が添加された水性インキの残肉に比べて、その耐水性等に優れる。
【0069】
接着剤(B)には、カルボジイミド基を有する化合物(b)のほか、公知のイソシアネート基を有する化合物(c)及び水酸基を有する化合物(d)を含有させることが好ましい(以下、化合物(c)と化合物(d)との混合物を「ポリウレタン系接着剤」と表記することもある)。ポリウレタン系接着剤を含有させることで、ラミネート強度、耐水性が良好となる。イソシアネート基を有する化合物(c)として、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。ジイソシアネートとしては、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネートジフェニルメタン、1,5−ジイソシアネートナフタリン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、1,4−ジイソシアネートベンゼン、及び/又は2,4−もしくは2,6−ジイソシアネートトルエンなどの芳香族ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,10−ジイソシアネートデカン、1,3−ジイソシアネートシクロペンタン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−3もしくは−5−イソシアネートメタンシクロヘキサンなどの脂肪族および脂環式ジイソシアネートを例示することができる。ポリイソシアネートは、これらのジイソシアネート単量体から製造することができる。
【0070】
水酸基を有する化合物(d)として、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物が好ましく、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどから適宜選択することができる。
イソシアネート基を有する化合物(c)と水酸基を有する化合物(d)の配合比としては、ラミネート強度の観点から化合物(c)/化合物(d)=5/1〜1/1が好ましい。
【0071】
接着剤(B)には、上記に挙げたポリウレタン系接着剤のほか、イミン系、ポリブタジエン系、チタネート系等の各種接着剤を使用することもできる。接着剤(B)は、ラミネート加工法により適宜選択されることになるが、ラミネート加工法の詳細は後述する。
【0072】
接着剤(B)の希釈に用いられる溶剤については、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等を例示することができる。
【0073】
本発明における積層体は、基材フィルム(F1)、インキ層(F2)、接着層(F3)、シーラントフィルム(F4)を順に積層してなる。この積層体の作製方法としては、まず、基材フィルム(F1)に水性インキ(A)をグラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で印刷し、印刷物とする。インキ層(F2)の膜厚は、0.1〜10μmが好ましい。この際、好ましくはグラビア印刷である。その後、前記印刷物の印刷面に接着剤(B)を塗工し、接着剤層(F3)設け、引き続いてシーラントフィルム(F4)を用いてラミネート加工が施され、積層体となる。
この際、様々なラミネート加工方法が使用できるが、代表的なものとして、ノンソルラミネート法(NL)、ドライラミネート法(DL)、押出しラミネート法(EL)等が挙げられる。本発明における接着剤(B)とはノンソルラミネート法(NL)、ドライラミネート法(DL)に用いる接着剤、及び押出しラミネート法(EL)に用いるアンカーコート剤を含むものである。
【0074】
ノンソルラミネート法(NL)とは、無溶剤の接着剤を、得られた印刷物の印刷面に塗布し、シーラントフィルムと圧着して積層する方法である。接着剤としてはポリウレタン系接着剤が主流であり、市販品としては東洋モートン社製・EA−N373A/EA−N373Bなどが挙げられる。
【0075】
ドライラミネート法(DL)とは、接着剤を有機溶剤で適当な粘度に希釈して、得られた印刷物の印刷面に塗布し、乾燥後、シーラントフィルムと圧着して積層する方法である。接着剤としてはポリウレタン系接着剤が主流であり、市販品としては東洋モートン社製・TM−250HV/CAT−RT86L−60、TM−550/CAT−RT37、TM−314/CAT−14B等が挙げられる。
【0076】
押出しラミネート法(EL)とは、得られた印刷物の印刷面に、熱可塑性樹脂を溶融して、Tダイと呼ばれるスリット状のダイからフィルム状に押し出したものを、基材に積層する方法である。印刷物の印刷面には、予め接着剤を塗布してから、ラミネートすることが多い。また、溶融樹脂を印刷物の印刷面に押し出し、別の巻出し機からシーラントフィルムを貼り合わせることもできる。接着剤としてはイミン系、ブタジエン系、ポリウレタン系が使用できる。市販品としては、東洋モートン社製・EL−420(イミン系)、EL−452(ブタジエン系)、EL−530A/B(ポリウレタン系)、EL−540/CAT−RT32(ポリウレタン系)等が挙げられる。溶融樹脂としては低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が使用できる。具体的には、日本ポリエチレン社製ノバテックLD LC600A(低密度ポリエチレン)等が挙げられる。
【0077】
基材フィルム(F1)としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の延伸および無延伸ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ビニロンなどを使用することができる。ポリオレフィンフィルムの場合、水酸基、カルボニル基等の官能基を有する表面処理ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましい。
また、複数のフィルム積層した複合フィルム、蒸着層を有する蒸着フィルム、バリアフィルム等も使用できる
【0078】
シーラントフィルム(F4)としては、基材フィルム(F1)で用いた前記各種フィルム、紙、アルミニウム箔、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状、またはシート状のものが挙げられる。積層体を包装袋として利用する時はシーラントフィルム面同士がヒートシールされることが必要である。そのため、包装袋での最も内側に当たるシーラントフィルムには、ヒートシール性を付与するためのフィルムが使用される。例えば、無延伸のポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン等が挙げられ、市販品としては、三井化学東セロ株式会社製TUX-FCD(LLDPE)、東レ社製ZK93KM(CPP)、麗光社製ダイアラスター(VMPET)、東レ社製2203(VMCPP)等が挙げられる。積層体は食品、菓子類、医薬品、ペットフード等を包装する包装袋、包装材料として幅広く利用することができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表す。なお、水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰の無水酸でエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K0070に従って行った値である。酸価は、樹脂1g中に含有する酸基は中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数で、測定方法は既知の方法でよく、一般的にはJIS K0070(1992年)に準じて行われる。ポリウレタン樹脂の分子量(重量平均分子量)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置を用いて(測定溶媒:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃)、分子量分布を測定し、分子量既知のポリスチレンを標準物質とした換算値として求めた。
【0080】
(水性ポリウレタン樹脂の合成)
[合成例1]
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコに、ポリテトラメチレングリコール(PTG2000、数平均分子量2,000、水酸基価56.3)142.5部、ポリエチレングリコール(PEG2000、数平均分子量2,000、水酸基価56.3)30.8部、ジメチロールブタン酸(DMBA)25.0部を仕込んだ後、フラスコ内の雰囲気を乾燥窒素で置換し、110℃まで昇温した。撹拌下、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)82.3部を20分間で滴下し、150℃まで昇温しながら3時間反応させた。
次に、冷却しながらアンモニア水8.1部、イソプロピルアルコール129.3部、蒸留水834.0部の混合物を30分掛けて滴下し、酸価30mgKOH/g、EO%10、重量平均分子量30,000、固形分30%、
の水性ポリウレタン樹脂(a01)を得た。得られた樹脂(a01)は、カルボキシル基を有し、ウレア結合を有しない水性ポリウレタン樹脂である。
【0081】
[合成例2]
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、温度計を備えた4ツ口の2000mlフラスコに、PMPA2000(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を構成モノマーとする両末端に水酸基を有するポリエステル、数平均分子量2000)131.8部、ポリエチレングリコール(PEG2000、数平均分子量2000、水酸基価56.4)31.0部、DMBA24.8部、IPDI87.8部、及びメチルエチルケトン(MEK)150.0部を仕込み、6時間、還流温度で反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得た。反応終点は滴定によった。次に、40℃になるまで冷却した後、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(AEA)12.9部、イソプロピルアルコール44部及びMEK71部からなる混合物を滴下し、鎖延長反応を行なった。更に80℃で1時間反応させ、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
次に、28%アンモニア水9.7部及び蒸留水863部からなる混合物を、ポリウレタン樹脂溶液に徐々に添加し、さらに共沸下でMEKの全量を留去し、水酸基価25mgKOH/g、酸価30mgKOH/g、EO%10、重量平均分子量30000、固形分30%の水性ポリウレタン樹脂(a02)を得た。得られた樹脂(a02)は、カルボキシル基を有し、ウレア結合を有する水性ポリウレタン樹脂である。
【0082】
[合成例3〜13]
合成例2と同様の方法で、表1に示す配合比にて、カルボキシル基を有する水性ウレタン樹脂a03〜a13を合成した。水酸基価、酸価、EO%、重量平均分子量を表1に記す。固形分は何れも30%である。尚、表1中の空欄は、ゼロ(配合していないこと)を示す。
【0083】
合成に用いた原料の略称は、下記の通りである。
PMPA2000:3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を構成モノマーとする両末端に水酸基を有するポリエステル、(数平均分子量2000)
PTG2000:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)
PEG2000:ポリエチレングリコール(数平均分子量2000)
DMBA:ジメチロールブタン酸
IPDI:イソホロンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
AEA:2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン
MEK:メチルエチルケトン
【0084】
(水性インキ(A)の製造)
[製造例1]
水性ポリウレタン樹脂(a01)50.0部、フタロシアニン系青色顔料(東洋インキ株式会社製 リオノールブルーKLH)15.0部、消泡剤(SC5540、トーレ・シリコーン社製)0.1部、イソプロピルアルコール5.0部、水29.9部をアイガーミル(アイガー社製)にて10分間撹拌し、水性インキ(A01)を得た。該水性インキ(A01)を、水/イソプロピルアルコール=1/1(重量比)の混合溶剤を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)で16秒になるように調整し、評価用の希釈インキ(A01d)を得た。
【0085】
[製造例2〜13]
製造例1と同様の方法で、表2に示す配合比にて、水性インキ(A02〜A13)を調製した。さらに同様の方法で、評価用の希釈インキ(A02d〜A13d)を得た。尚、表2中の空欄は、ゼロ(配合していないこと)を示す。
【0086】
[製造例14]
アクリル樹脂(a14)(BASF社製Joncryl 74J、固形分45%、酸価51mgKOH/g)50.0部、フタロシアニン系青色顔料(東洋インキ株式会社製 リオノールブルーKLH)15.0部、消泡剤(SC5540、トーレ・シリコーン社製)0.1部、イソプロピルアルコール5部、水29.9部をアイガーミル(アイガー社製)にて10分間撹拌し、水性インキ(A14)を得た。水性インキ(A14)を、水/イソプロピルアルコール=1/1(重量比)の混合溶剤を用いてザーンカップ#3(離合社製)で16秒になるように調整し、評価用の希釈インキ(A14d)を得た。
【0087】
[製造例15]
製造例1と同じ組成および方法で、水性インキ(A15)および希釈インキ(A15d)を得た後、カルボジイミド基を有する化合物(日清紡製、カルボジライトE−02、カルボジイミド当量445)5部を希釈インキ(A15d)150部に添加した。次に、本インキを用いて、実施例1記載の印刷方法と同様な方法で印刷を行い、残りのインキを回収し、40℃で1週間静置した。本インキは、残肉インキ(A15d1)である。
【0088】
(積層体の作製)
[実施例1]
製造例1で調製した希釈インキ(A01)を、グラビア印刷機(版深25μm)にて、基材フィルム(F1)としてナイロンフィルム(以下NY、ユニチカ株式会社製「エンブレムON−RT」、厚さ15μm)上に印刷してインキ層(F2)である印刷物を得た。この印刷物に、接着剤(B)を塗工して接着剤層(F3)を形成した後、押し出しラミネート機(ムサシノキカイ社製)によってライン速度100m/分にて溶融ポリエチレン(日本ポリエチレン社製・LC600A)を320℃で溶融させ、シーラントフィルム(F4)であるLLDPE(三井化学東セロ株式会社製TUX−FCD)と張り合わせ、積層体1を得た。得られた積層体は、40℃で2日間のエージングを行った。
尚、接着剤(B)として接着剤(B01)を使用した。接着剤(B01)は、ポリウレタン系接着剤(東洋モ−トン株式会社製EL−540/CAT−RT32=16部/2.4部、酢酸エチル希釈、固形分8%)18.4部に対して、カルボジイミド基を有する化合物(b)としてカルボジライトV−05(日清紡社製、カルボジイミド当量261)を添加したものである。ここで、カルボジイミド基を有する化合物(b)の添加量は、水性インキ(A01)から形成されるインキ層(F2)の単位体積当たりのカルボキシル基と、接着剤から形成される接着剤層(F3)の単位体積当りのカルボジイミド基が同じモル数になるように、カルボジイミド基を有する化合物(b)0.15部添加した。尚、ウレタン樹脂固形分、接着剤固形分、架橋剤固形分の比重は、何れも1.2、藍顔料の比重は1.7として計算した。
【0089】
[実施例2〜17]
希釈インキ(A02d〜A14d)、および接着剤(B)として前記接着剤(B01)の他,接着剤(B02)〜(B11)を使用した。実施例1と同様の方法で、表3の構成に従い、積層体2〜17(実施例2〜17)を得た。基材フィルム、シーラントフィルムは実施例1と同様である。
なお、接着剤(B02)〜(B06)、(B10)、(B11)に使用したポリウレタン系接着剤は、接着剤(B01)と同じくEL−540/CAT−RT32(=16部/2.4部、酢酸エチル希釈、固形分8%)である。また、接着剤(B07)〜(B09)においては、イミン系接着剤(東洋モートン社製 EL−420 固形分0.7%)を用いた。ポリウレタン系接着剤、イミン系接着剤、およびカルボジイミド化合物(b)の配合量を表3に示した
【0090】
[比較例1〜2]
比較例1においては、接着剤(B01)の替わりにポリウレタン系接着剤(東洋モ−トン株式会社製EL−540/CAT−RT32=16部/2.4部、酢酸エチル希釈、固形分8%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法により積層体18を得た。比較例2においては、製造例15で得た残肉インキ(A15d1)を使用し、実施例1と同様な方法により積層体19を得た。
【0091】
上記で得られた積層体、および印刷に使用した希釈インキを用い、耐水性、再溶解性、ラミネート強度、残肉安定性の評価を行った。それぞれの評価方法及び判定基準を以下に記す。
【0092】
[耐水性]
積層体を製袋し、内部に水を入れて密封後、これを40℃、24時間の条件で水に浸し、耐水性の評価を行った。
◎:全くデラミネーション、ブリスターが生じない(極めて良好)
○:全くデラミネーションが生じず、ヒートシール部でのみブリスターが生じる(良好)
△:全くデラミネーションが生じず、ヒートシール部以外でもブリスターが生じる(実用範囲内)
×:デラミネーションが生じる(不良、実用不可)
【0093】
[再溶解性]
NBR(ニトリルブタジエンゴム)製のゴム硬度80Hsの圧胴、刃先の厚みが60μ m(母材の厚み40μm、片側セラミック層の厚み10μm)のセラミックメッキドクターブレード、東洋プリプレス株式会社製のクロム硬度1050Hvの電子彫刻版(スタイ ラス角度120度、250線/inch、および得られた印刷インキを富士機械工業株式会社製グラビア印刷機にセットし、ドクター圧2kg/cm2、100m/分の回転速度で版を回転させ15分間空転した後に、片面コロナ処理OPPフィルム「FOR−AQ(フタムラ化学株式会社製)」のコロナ処理面に、印刷速度100m/分、印圧2kg/cm
2で60分間印刷し、60℃の熱風で乾燥し印刷物を得た。印刷中は、粘度コントローラーを用いて、表2に示す各々の媒体組成の混合溶剤を、適宜補充して一定の粘度を保っている。 印刷開始と印刷終了時の印刷パターンの状態、すなわち印刷物の低版深部(5μ)において画像部に転移したインキの量を濃度計「X−Rite500(ビデオジェット・エックスライト株式会社製)」を用いて測定し、評価を行った。
◎:印刷開始時に対する印刷終了時の濃度変化が、5%未満である。(極めて良好)
○:印刷開始時に対する印刷終了時の濃度変化が、5%以上10%未満である。(良好)
△:印刷開始時に対する印刷終了時の濃度変化が、10%以上15%未満である。(実用範囲内)
×:印刷開始時に対する印刷終了時の濃度変化が、15%以上である。(不良、実用不可)
【0094】
[ラミネート強度]
積層体を長さ150mm、幅15mmに切り出し、インキ−フィルム界面で開き、テンシロン引っ張り試験機を用いて90°方向のラミネート強度を測定した。なお、実用レベルは2.0N/15mm以上とする。
◎:7.0N/15mm以上(極めて良好)
〇:4.0N/15mm以上7.0N/15mm未満(良好)
△:2.0N/15mm以上4.0N/15mm未満(実用範囲内)
×:2.0N/15mm未満(不良、実用不可)
【0095】
[残肉安定性]
印刷に使用したインキを40℃、1週間で経時促進試験を行い、印刷時と経時後でインキ粘度の変化があるかどうか評価した。インキ粘度は、25℃でザーンカップ―#3で測定した。
◎:印刷時、経時後で粘度変化が5%未満であること(極めて良好)
○:印刷時、経時後で粘度変化が5%以上10%未満であること(良好)
△:印刷時、経時後で粘度変化が10%以上20%未満であること(実用範囲内)
×:印刷時、経時後で粘度変化20%以上であること(不良、実用不可)
【0096】
評価結果を表3にまとめる。カルボジイミド基を有する化合物(b)を接着剤に添加した実施例1〜17の積層体は、比較例1と比べて、積層体の耐水性とラミネート強度に優れる。また、比較例2から従来の方法である水性インキにカルボジイミド基を有する化合物を添加したインキは、それを再使用した場合、耐水性、再溶解性が大幅に低下する、また残肉の安定性も悪い。本発明により、水性インキの再利用が可能となり、また本発明の構成を用いることにより、積層体の耐水性、ラミネート強度に優れた積層体を得ることが可能となった。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】