(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ドアトリムは、上記操作可能領域として上記上部開口を臨む領域に設けられた挿入口と、上記挿入口を通じて挿入された上記ラゲッジボードを格納するための格納空間と、を有し、
上記ラゲッジボードが上記ドアトリムに取付けられたとき、このラゲッジボードの上端部が上記ドアトリムの上記挿入口から露出するように構成されている、請求項1に記載の車両バックドア。
上記ラゲッジボードは、その長手方向のボード寸法が可変とされており、上記ドアトリムの上記格納空間に上記ボード寸法が格納前よりも縮小された状態で格納されるように構成されている、請求項2または3に記載の車両バックドア。
上記ラゲッジボードは、ボード本体部と、上記ボード寸法を可変とするために上記ボード本体部に上記長手方向にスライド可能に支持された可動部と、上記可動部を上記長手方向のうち上記ボード本体部から離れる方向に弾性付勢する弾性部材と、を備える、請求項4に記載の車両バックドア。
上記ラゲッジボードの上記可動部と上記ドアトリムとの少なくとも一方は、上記ラゲッジボードが上記ドアトリムの上記挿入口を通じて上記格納空間に格納されるときに上記ドアトリムから受ける荷重を利用して上記可動部を上記弾性部材の弾性付勢力に抗して上記ボード本体部に近づく方向にガイドするガイド面を有する、請求項5に記載の車両バックドア。
上記ピラートリムは、上記支持部が上記ラゲッジボードを支持した状態で、このラゲッジボードの左右端部に対向する内壁面を有し、左側の上記ピラートリムの上記内壁面と右側の上記ピラートリムの上記内壁面との間の左右方向の間隔が、上記ラゲッジボードの格納時の上記ボード寸法である第1寸法を上回り且つ上記ラゲッジボードの上記可動部が上記弾性部材の弾性付勢力にしたがって上記ボード本体部から最も離れた位置までスライドしたときの上記ボード寸法である第2寸法を下回るように構成されている、請求項7に記載の車両後部構造。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0012】
上記の車両バックドアにおいて、上記ドアトリムは、上記操作可能領域として上記上部開口を臨む領域に設けられた挿入口と、上記挿入口を通じて挿入された上記ラゲッジボードを格納するための格納空間と、を有し、上記ラゲッジボードが上記ドアトリムに取付けられたとき、このラゲッジボードの上端部が上記ドアトリムの上記挿入口から露出するように構成されているのが好ましい。
【0013】
この車両バックドアによれば、ユーザは車外から上部開口を通じて挿入した手指でラゲッジボードの上端部を把持して、このラゲッジボードをドアトリムの格納空間から引き出すことができる。
【0014】
上記の車両バックドアにおいて、上記ラゲッジボードの上記上端部は、ユーザが把持可能な操作ハンドルによって構成されているのが好ましい。
【0015】
この車両バックドアによれば、ユーザは操作ハンドルを把持してラゲッジボードをドアトリムの格納空間から容易に引き出すことができる。また、ユーザは、ドアトリムの格納空間から抜き出したラゲッジボードの操作ハンドル25を把持したままの状態でこのラゲッジボードをラゲッジルームの所望の位置にセットすることができる。このため、ラゲッジボードを簡単にハンドリングできる。
【0016】
上記の車両バックドアにおいて、上記ラゲッジボードは、その長手方向のボード寸法が可変とされており、上記ドアトリムの上記格納空間に上記ボード寸法が格納前よりも縮小された状態で格納されるように構成されているのが好ましい。
【0017】
この車両バックドアによれば、ラゲッジボードをその長手方向のボード寸法を相対的に小さくして格納できる一方で、ラゲッジボードをその長手方向のボード寸法を相対的に大きくして使用できる。このため、ラゲッジボードのためのドアトリムの格納空間の寸法を小さく抑えることができる。
【0018】
上記の車両バックドアにおいて、上記ラゲッジボードは、ボード本体部と、上記ボード寸法を可変とするために上記ボード本体部に上記長手方向にスライド可能に支持された可動部と、上記可動部を上記長手方向のうち上記ボード本体部から離れる方向に弾性付勢する弾性部材と、を備えるのが好ましい。
【0019】
この車両バックドアによれば、ラゲッジボードを弾性部材の弾性付勢力を利用してドアトリムの格納空間に格納することができる。また、ラゲッジボードをドアトリムの格納空間から抜き出して使用する際、可動部を弾性部材の弾性付勢力にしたがってボード本体部から離れる方向に容易にスライドさせることができる。このため、ラゲッジボードの使用形態に応じてその長手方向のボード寸法を変更する操作が簡単である。
【0020】
上記の車両バックドアにおいて、上記ラゲッジボードの上記可動部と上記ドアトリムとの少なくとも一方は、上記ラゲッジボードが上記ドアトリムの上記挿入口を通じて上記格納空間に格納されるときに上記ドアトリムから受ける荷重を利用して上記可動部を上記弾性部材の弾性付勢力に抗して上記ボード本体部に近づく方向にガイドするガイド面を有するのが好ましい。
【0021】
この車両バックドアによれば、ラゲッジボードをドアトリムの格納空間に格納する際、可動部をガイド面に沿ってボード本体部に近づく方向に容易にガイドすることができる。
【0022】
また、車両後部構造は、上記の車両バックドアと、上記ラゲッジルームの左右両側に設けられたピラートリムと、を備え、上記ピラートリムは、上記ドアトリムの上記格納空間から抜き出された上記ラゲッジボードを支持する支持部を有するのが好ましい。
【0023】
この車両後部構造によれば、ドアトリムの格納空間から抜き出されたラゲッジボードをピラートリムの支持部によって支持することができる。
【0024】
上記の車両後部構造において、上記ピラートリムは、上記支持部が上記ラゲッジボードを支持した状態で、このラゲッジボードの左右端部に対向する内壁面を有し、左側の上記ピラートリムの上記内壁面と右側の上記ピラートリムの上記内壁面との間の左右方向の間隔が、上記ラゲッジボードの格納時の上記ボード寸法である第1寸法を上回り且つ上記ラゲッジボードの上記可動部が上記弾性部材の弾性付勢力にしたがって上記ボード本体部から最も離れた位置までスライドしたときの上記ボード寸法である第2寸法を下回るように構成されているのが好ましい。
【0025】
この車両後部構造によれば、ラゲッジボードは、ピラートリムの支持部によって支持された状態で、弾性部材によってボード本体部から離れる方向に弾性付勢された可動部がピラートリムの内壁面に押し付けられることによって保持される。このため、ラゲッジボードを弾性部材の弾性付勢力を利用してラゲッジルームで保持することができる。
【0026】
以下、車両後部に取付けられる車両バックドアと、その車両バックドアを含む車両後部構造の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
この実施形態を説明するための図面において、特に断わらない限り、車両前方を矢印FRで示し、車両上方を矢印UPで示し、車両右方を矢印Rで示し、車両左方を矢印Lで示している。また、車両バックドアに取付けられるラゲッジボードの長手方向を矢印Xで示し、このラゲッジボードの幅方向を矢印Yで示し、このラゲッジボードの厚み方向を矢印Zで示している。
【0028】
(実施形態1)
図1に示されるように、車両バックドア(以下、単に「ドア」という。)10は、車両後部1に取付けられるドアである。車両後部1において、第2列目シート2の後方に第3列目シート3が配置され、この第3列目シート3の後方にラゲッジルーム4が設けられている。このラゲッジルーム4は、その後方がドア10によって区画され、その左右両側が2つのピラートリム5,5によって区画されている。
【0029】
ドア10は、第1ドア部11と、第2ドア部12と、ドアトリム13と、ラゲッジボード20と、を備えている。
【0030】
第1ドア部11は、ドア10のドア本体であり、車体に回動軸11aを介して回動可能に取付けられており、車両後部1のラゲッジルーム4を開閉可能に覆うように構成されている。
【0031】
第1ドア部11は、上下方向に開閉する上下開閉式のドア部である。具体的には、この第1ドア部11は、ドア上部に設けられた回動軸11aを中心に上方へ回動することによって開けられ、ドア開口1aを開放する(
図1中の実線参照)。これにより、ユーザはドア開口1aを通じて車外からラゲッジルーム4へのアクセスが可能になる。一方で、この第1ドア部11は、回動軸11aを中心に下方へ回動することによって閉じられ、ドア開口1aを閉鎖する(
図1中の二点鎖線参照)。これにより、ユーザは車外からラゲッジルーム4へのアクセスが不能になる。
【0032】
図2に示されるように、第2ドア部12は、第1ドア部11と同様に、上下方向に開閉する上下開閉式のドア部である。具体的には、この第2ドア部12は、第1ドア部11に設けられた回動軸12aを介して回動可能に取付けられており、第1ドア部11が閉じられた状態でドア上部に配置される上部開口10aを開閉可能に構成されている。上部開口10aは、第1ドア部11の上部に開口形成された開口である。第2ドア部12は、第1ドア部11の一部を構成している。この第2ドア部12は、ガラス製のドアであり、「ドアハッチ」とも称呼される。
【0033】
第2ドア部12は、回動軸12aを中心に上方へ回動することによって開けられ、上部開口10aが開放される(
図2中の実線参照)。これにより、ユーザは上部開口10aを通じて車外からラゲッジルーム4へのアクセスが可能になる。一方で、この第2ドア部12は、回動軸12aを中心に下方へ回動することによって閉じられ、上部開口10aが閉鎖される(
図2中の二点鎖線参照)。これにより、ユーザは車外からラゲッジルーム4へのアクセスが不能になる。
【0034】
図2及び
図3に示されるように、ドアトリム13は、第1ドア部11の室内側に設けられている。このドアトリム13は、樹脂材料からなり、上部開口10aを臨む操作可能領域Aに設けられた挿入口13aと、格納空間13bと、ガイド面13cと、を有する。
【0035】
ドアトリム13の挿入口13aは、上部開口10aの下縁部とほぼ同じ位置に設けられ、この下縁部に沿って左右方向に開口形成されている。この場合、操作可能領域Aは、ドア10の第1ドア部11が閉じられ且つ第2ドア部12が開けられた状態で車外から上部開口10aを通じて挿入されたユーザの手指が届く範囲内の領域として規定される。この操作可能領域Aは、種々の体型のユーザが可能な限り自然な動きや状態でラゲッジボード20をドアトリム13から取外して使えることを考慮した人間工学に基づいて定められるのが好ましい。
【0036】
ドアトリム13の格納空間13bは、挿入口13aを通じて下向きにスライドすることによって挿入されたラゲッジボード20を格納するための空間である。ラゲッジボード20は、挿入口13aを通じて格納空間13bに格納されることによって、ドアトリム13に取付けられる。そして、ラゲッジボード20がドアトリム13に取付けられたとき、挿入口13aから露出するように構成されている。これにより、ラゲッジボード20の一部である上端部に設けられた操作ハンドル25が上記の操作可能領域Aに配置される。
【0037】
ドアトリム13の2つのガイド面13c,13cは、挿入口13aの左右両側の開口縁部に設けられた傾斜面であり、ラゲッジボード20の挿入方向について左右方向の間隔が徐々に狭くなるように傾斜している。
【0038】
ラゲッジボード20は、ドアトリム13に着脱可能に取付けられ、このドアトリム13から取外されてラゲッジルーム4で使用される。即ち、このラゲッジボード20は、格納位置P1に配置されることによってドアトリム13に取付けられる一方で、ドアトリム13から取外されて使用位置P2にて使用される。
【0039】
ラゲッジボード20を使用するときには、車体のうちラゲッジルーム4の左右両側に設けられたピラートリム5,5を利用する。各ピラートリム5は、ラゲッジルーム4に向けて突出した支持部5aを有する。支持部5aは、ドアトリム13の格納空間13bから抜き出されたラゲッジボード20の下面20aを下方から支持する機能を果たす。ラゲッジボード20は、使用位置P2において、ピラートリム5,5の左右の支持部5a,5aに架け渡される。このとき、ラゲッジボード20は、荷物を積むために使用され、その上面20bが荷物などを置くための載置面となる。
【0040】
次に、
図4〜
図7を参照しつつ、ラゲッジボード20の詳細な構造について説明する。
【0041】
図4に示されるように、ラゲッジボード20は、第3方向Zについて概ね一様の板厚を有するプレート形状をなしている。このラゲッジボード20は、ボード本体部21と、2つの可動部22,22と、弾性部材である4つのコイルばね24と、を備えている。ボード本体部21及び可動部22,22はいずれも、ラゲッジボード20の軽量化のために樹脂材料によって構成されている。
【0042】
ボード本体部21は、平面視が長方形であり、ラゲッジボード20をユーザが手指で把持して操作するための操作ハンドル25を備えている。この操作ハンドル25は、ラゲッジボード20がドアトリム13の格納空間13bに格納され、且つドア10の第1ドア部11が閉じられた状態で、このラゲッジボード20の上端部を構成している。
【0043】
可動部22は、ボード本体部21を挟んでその両側に設けられている。この可動部22は、第1方向X及び第2方向Yに対して傾斜した方向に延在するガイド面22aを有する。詳細については後述するが、このガイド面22aは、ドアトリム13のガイド面13cに沿って摺動することによって、ラゲッジボード20を挿入口13aから格納空間13bへと円滑にガイドする機能を果たす。
【0044】
可動部22は、ボード本体部21にスライド可能に支持されている。この可動部22は、第2方向Yに離間し且ついずれも第1方向Xに延在する2つのスライド軸23,23を備え、各スライド軸23がボード本体部21の挿入穴21aに挿入されている。これにより、ラゲッジボード20は、その長手方向(第1方向X)のボード寸法が可変とされている。
【0045】
コイルばね24は、可動部22を長手方向のうちボード本体部21から離れる方向に弾性付勢する機能を果たす。この機能を実現するために、コイルばね24は、ボード本体部21の挿入穴21aに配置されており、スライド軸23を挿入穴21aから抜け出す方向に常時に弾性付勢するように構成されている。
【0046】
図5に示されるように、ボード本体部21は、スライド軸23の先端に設けられた係合凸部23aを係止可能な係止部21bを備えている。このため、可動部22は、外力が加えられていない状態では、スライド軸23の係合凸部23aがボード本体部21の係止部21bに係止されるまで、コイルばね24の弾性付勢力にしたがってボード本体部21から離れる方向にスライドする。そして、スライド軸23の係合凸部23aがボード本体部21の係止部21bに係止されたとき、可動部22は、ボード本体部21から最も離れた位置で保持される。
【0047】
これに対して、
図6及び
図7に示されるように、可動部22は、ボード本体部21に近づく方向の外力を受けた場合、コイルばね24の弾性付勢力に抗してボード本体部21に近づく方向にスライドする。これにより、ラゲッジボード20は、その長手方向(第1方向X)のボード寸法が外力を受ける前よりも小さく縮小され、この状態でドアトリム13の格納空間13bに格納される。即ち、このラゲッジボード20は、ドアトリム13の格納空間13bにその長手方向(第1方向X)のボード寸法が格納前よりも縮小された状態で格納されるように構成されている。
【0048】
ここで、ラゲッジボード20がドアトリム13の挿入口13aを通じて格納空間13bから抜き出されるときの様子を、
図8〜
図10を参照しつつ説明する。
【0049】
図8に示されるように、ラゲッジボード20は、ドアトリム13の格納空間13bに格納されることによってドアトリム13に取付けられる。このとき、ラゲッジボード20は、その上端部としての操作ハンドル25がドアトリム13の挿入口13aから露出するように構成されている。
【0050】
このため、ドア10の第1ドア部11が閉じられ且つ第2ドア部12が開けられた状態で、ユーザは車外から上部開口10aを通じて手を挿入し、ラゲッジボード20のうちドアトリム13の挿入口13aから露出する操作ハンドル25を手指で把持して引き上げることによって、ドアトリム13の格納空間13bからラゲッジボード20を容易に抜き出すことができる。
【0051】
また、ユーザは、ドアトリム13の格納空間13bから抜き出したラゲッジボード40の操作ハンドル25を把持したままの状態でこのラゲッジボード40をラゲッジルーム4の所望の位置にセットすることができる。このため、ラゲッジボード20を簡単にハンドリングできる。
【0052】
図9に示されるように、ラゲッジボード20は、ドアトリム13の格納空間13bから抜き出された状態で左右両側のピラートリム5の支持部5aによって支持される。このとき、ピラートリム5は、支持部5aが上記ラゲッジボードを支持した状態で、このラゲッジボード20の左右端部に対向する内壁面5bを有する。
【0053】
このとき、左側のピラートリム5の内壁面5bと右側のピラートリム5の内壁面5bとの間の左右方向の間隔Dがドアトリム13の格納空間13bの左右方向の第1寸法L1を上回るように寸法設定されている。この第1寸法L1は、ラゲッジボード20の格納時のボード寸法でもある。
【0054】
従って、ラゲッジボード20は、ドアトリム13の格納空間13bからラゲッジルーム4へと抜き出されることによって、その左右方向のボード寸法はコイルばね24(
図4参照)の弾性付勢力にしたがって格納前よりも拡張される。一方で、このラゲッジボード20は、スライド軸23の係合凸部23aがボード本体部21の係止部21bに係止されるよりも前に可動部22がピラートリム5の内壁面5bに当接するように構成されている。このため、このラゲッジボード20は、可動部22がコイルばね24の弾性付勢力によってピラートリム5の内壁面5bに押し付けられることによってラゲッジルーム4で保持される。
【0055】
即ち、
図10に示されるように、車両後部1のピラートリム5は、上記の間隔Dがラゲッジボード20の格納時の第1寸法L1を上回り且つラゲッジボード20の可動部22がコイルばね24の弾性付勢力にしたがってボード本体部21から最も離れた位置までスライドしたときのボード寸法である第2寸法L2を下回るように構成されている。
【0056】
次に、ラゲッジボード20がドアトリム13の挿入口13aを通じて格納空間13bに格納されるときの様子を、
図11及び
図12を参照しつつ説明する。
【0057】
図11に示されるように、ラゲッジボード20がドアトリム13の挿入口13aを通じて格納空間13bに格納されるとき、可動部22のガイド面22aがドアトリム13のガイド面13cに係合する。このとき、ガイド面22a及びガイド面13cが概ね平行に延在している。このため、可動部22は、そのガイド面22aがガイド面13cを摺動しながらコイルばね24の弾性付勢力に抗してボード本体部21に近づく方向にガイドされる。
【0058】
このように、ガイド面22a及びガイド面13cはいずれも、ラゲッジボード20がドアトリム13の挿入口13aを通じて格納空間13bに格納されるときにドアトリム13から受ける荷重を利用して可動部22をコイルばね24の弾性付勢力に抗してボード本体部21に近づく方向にガイドする機能を果たす。
【0059】
図12に示されるように、ラゲッジボード20がドアトリム13の挿入口13aを通じて格納空間13bに格納されたとき、このラゲッジボード20は、コイルばね24(
図4参照)の弾性付勢力によって可動部22がドアトリム13の内壁面13dに押し付けられることによって格納空間13bで保持される。
【0060】
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0061】
上記のドア10によれば、ラゲッジボード20の上端部が操作可能領域Aに配置されているため、第1ドア部11が閉じられ且つ第2ドア部12が開けられた状態で、ユーザは車外から上部開口10aを通じてラゲッジルーム4にアクセスしてラゲッジボード20の操作ハンドル25を把持して、このラゲッジボード20をドアトリム13の格納空間13bから容易に引き出すことができる。このため、ユーザはドア10の第2ドア部12を開けるのみで、第1ドア部11を開ける操作を行うことなく、ラゲッジボード20をドアトリム13から取外してラゲッジルーム4で使用できる。
その結果、車両後部1のラゲッジルーム4で使用されるラゲッジボード20の利便性を向上させることが可能になる。
また、車両周辺にドア10の第1ドア部11を開くためのスペースを確保する必要がない。
【0062】
上記のドア10によれば、ラゲッジボード20をその長手方向のボード寸法を相対的に小さくして格納できる一方で、ラゲッジボード20をその長手方向のボード寸法を相対的に大きくして使用できる。このため、ラゲッジボード20のためのドアトリム13の格納空間13bの寸法を小さく抑えることができる。
【0063】
上記のドア10によれば、ラゲッジボード20をコイルばね24の弾性付勢力を利用してドアトリム13の格納空間13bに格納することができる。また、ラゲッジボード20をドアトリム13の格納空間13bから抜き出して使用する際、可動部22をコイルばね24の弾性付勢力にしたがってボード本体部21から離れる方向に容易にスライドさせることができる。このため、ラゲッジボード20の使用形態に応じてその長手方向のボード寸法を変更する操作が簡単である。
【0064】
上記のドア10によれば、ラゲッジボード20をドアトリム13の格納空間13bに格納する際、可動部22をそのガイド面22aとドアトリム13のガイド面13cとの両方に沿ってボード本体部21に近づく方向に容易にガイドすることができる。
【0065】
上記のドア10を含む車両後部構造によれば、ドアトリム13の格納空間13bから抜き出されたラゲッジボード20をピラートリム5の支持部5aによって支持することができる。
【0066】
また、この車両後部構造によれば、ラゲッジボード20は、ピラートリム5の支持部5aによって支持された状態で、コイルばね24によってボード本体部21から離れる方向に弾性付勢された可動部22がピラートリム5の内壁面5bに押し付けられることによって保持される。このため、ラゲッジボード20をコイルばね24の弾性付勢力を利用してラゲッジルーム4で保持することができる。
【0067】
以下、上記の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0068】
(実施形態2)
図13に示されるように、実施形態2の車両バックドア110(以下、単に「ドア110」という。)は、第1ドア部11及び第2ドア部12のいずれも上下開閉式のドア部である点で実施形態1のドア10と一致する一方で、第1ドア部11と第2ドア部12が別体であり且つその回動軸12aがドア下部に設けられている点で実施形態1のドア10と相違している。
【0069】
このドア110において、第2ドア部12が回動軸12aを中心に上向きに回動することによって開けられるのに対して、第1ドア部11は回動軸11aを中心に下向きに回動することによって開けられるように構成されている。第2ドア部12は、第1ドア部11が閉じられた状態でこの第1ドア部11の上方に位置する上部開口10aを開閉可能に構成されている。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0070】
実施形態2のドア110によれば、ドア10とは異なるドア構造であっても、第1ドア部11が閉じられ且つ第2ドア部12が開けられた状態で、ユーザは車外から上部開口10aを通じてラゲッジルーム4にアクセスしてラゲッジボード20を自らの手指で操作することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0071】
また、特に図示しないものの、実施形態1のドア10とは異なるドア構造として、上下開閉式の第1ドア部11を左右開閉式に変更したものを採用することもできる。
【0072】
本発明は、上記の本実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、本実施形態を応用した次の各形
態を実施することもできる。
【0073】
上記の実施形態1,2では、ドア10,110のドアトリム13に設けられた格納空間13bにラゲッジボード20が格納される場合について例示したが、ラゲッジボード20の少なくとも一部がユーザの手の届く操作可能領域Aに配置されるという条件を満足すれば、ドアトリム13におけるラゲッジボード20の取付け位置は格納空間13bに限定されるものではなく、更には車両後部1におけるラゲッジボード20の取付け対象はドアトリム13に限定されるものではない。例えば、ドアトリム13の表面や、ドアトリム13以外の取付け対象(ピラートリム5や天井など)にラゲッジボード20を着脱可能に取付けるための構造を設けることもできる。
【0074】
ドアトリム13の表面にラゲッジボード20を着脱可能に取付けるための構造の一例として、ドアトリム13の表面にフックを設け、このフックに係合可能な係合部をラゲッジボード20に設けることができる。この場合、ラゲッジボード20は、その係合部がドアトリム13のフックに係合することによって、その片面がラゲッジルーム4に露出した状態でドアトリム13に取付けられる。ラゲッジボード20がドアトリム13に取付けられたとき、ドアトリム13のうち車外からドア10,110の上部開口10aを通じてユーザの手の届く操作可能領域Aにこのラゲッジボード20の少なくとも一部が配置されていればよい。即ち、ラゲッジボード20は、その一部のみが操作可能領域Aに配置されてもよいし、或いはその全体が操作可能領域Aに配置されてもよい。
【0075】
上記の実施形態1,2では、ラゲッジボード20がボード本体部21の両側に可動部22を備える場合について例示したが、これに代えてボード本体部21の片側のみに可動部22を備える構造を採用することもできる。また、1つの可動部22に対して設けられるスライド軸23及びコイルばね24のそれぞれの数は必要に応じて変更可能である。
【0076】
上記の実施形態1,2では、ラゲッジボード20が操作ハンドル25を備える場合について例示したが、この操作ハンドル25を省略することもできる。これにより、ラゲッジボード20の構造を簡素化できる。
【0077】
上記の実施形態1,2では、ラゲッジボード20の可動部22に設けられたガイド面22aと、ドア10,110のドアトリム13に設けられたガイド面13cとの両方を利用して、ラゲッジボード20をドアトリム13の格納空間13bへガイドする場合について例示したが、ガイド面22a及びガイド面13cのうちの少なくとも一方を省略することもできる。
【0078】
上記の実施形態1,2では、ラゲッジボード20の長手方向のボード寸法が可変とするために、ボード本体部21に対してスライド可能な可動部22を用いる場合について例示したが、これに代えて、可動部22に相当する部位をボード本体部21に対して折り畳み可能とした折り畳み構造を採用することもできる。
【0079】
上記の実施形態1,2では、ラゲッジボード20の長手方向のボード寸法が可変とされた構成について例示したが、本構成に代えて、ラゲッジボード20の長手方向のボード寸法が一定とされた構成を採用することもできる。この場合、ラゲッジボード20がボード本体部21自体からなるが、このボード本体部21を可動部22のガイド面22aに相当する部位のない矩形とすることもできるし、或いはこのボード本体部21に可動部22のガイド面22aに相当する部位を設けることもできる。
【0080】
上記の実施形態1,2では、ピラートリム5がドアトリム13の格納空間13bから抜き出されたラゲッジボード20を下方から支持する支持部5aを有する場合について例示したが、ピラートリム5を用いてラゲッジボード20を上方から支持する構造を採用することもできる。また、ピラートリム5以外の要素、例えば天井、フロアパネル、後席シートなどを利用してラゲッジボード20を支持するように構成することもできる。
【0081】
上記の実施形態1,2では、ラゲッジボード20の可動部22を弾性付勢する弾性部材としてコイルばね24を用いる場合について例示したが、コイルばね24に代えて、板ばねやゴムなどの他の弾性部材を採用することもできる。
【0082】
上記の実施形態1,2では、ドア10,110を構成する第1ドア部11及び第2ドア部12がいずれも1つであるドア構造について例示したが、これに代えて、第1ドア部11及び第2ドア部12の少なくとも一方が複数に分割されたドア構造を採用することもできる。
【0083】
上記の実施形態1,2では、ドア10,110のドアトリム13から取外されたラゲッジボード20が荷物を積むために使用される場合について例示したが、これに代えて或いは加えて別の用途に使用することもできる。別の用途として、例えばラゲッジルームを仕切る仕切り板や防護柵などが挙げられる。