特許第6669119号(P6669119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000002
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000003
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000004
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000005
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000006
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000007
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000008
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000009
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000010
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000011
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000012
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000013
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000014
  • 特許6669119-乗り込み案内装置、乗客コンベア 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669119
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】乗り込み案内装置、乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/08 20060101AFI20200309BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20200309BHJP
   B66B 23/22 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   B66B29/08 Z
   B66B31/00 A
   B66B23/22 J
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-66748(P2017-66748)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167954(P2018-167954A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅昭
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−115171(JP,A)
【文献】 特開平09−249373(JP,A)
【文献】 特開2014−061975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動する複数の踏段を有する乗客コンベアへの乗り込みを案内する乗り込み案内装置であって、
乗り口側のスカートガードに配置された表示部と、
乗り込みの案内対象の踏段を決定し、案内対象の踏段を示す案内表示を前記表示部に表示させる案内制御部と
前記乗り口から乗り込む利用者を検出して検出信号を出力する検出部と、を備え、
前記表示部は、平面視で前記乗り口のフロアプレートの櫛の先端の真横となる位置から降り口方向に踏段所定個数分延びる表示領域を少なくとも有し、
前記案内制御部は
循環移動する複数の踏段のうち前記櫛の先端から出現してくる踏段を1個おきに案内対象の踏段とし、
内表示を、平面視で案内対象の踏段の真横となる位置で、かつ案内対象の踏段の移動に追随して移動させながら、前記表示部に表示させ
前記案内制御部は、
前記検出部から出力される検出信号に基づいて、案内対象の踏段の1個前方または1個後方の踏段に利用者が乗り込んだか否かを判断し、乗り込んだと判断したときは、案内対象の踏段を前記1個前方または1個後方の踏段に変更し、以後、変更後の案内対象の踏段を基準として踏段1個おきに案内対象の踏段を設定するとともに、
乗り込んだと判断したときに表示中の案内表示を消灯し、変更直後の案内対象の踏段の次に案内対象となる踏段から案内表示を再開する、
乗り込み案内装置。
【請求項2】
前記表示部は、踏段の進行方向に沿うように配列された複数個の発光素子で構成され、
前記案内制御部は、前記複数個の発光素子のうち平面視で案内対象の踏段の真横に存在する発光素子のみを点灯させることで、前記表示部に案内表示を行わせる、
請求項1に記載の乗り込み案内装置。
【請求項3】
前記発光素子はLEDである、
請求項に記載の乗り込み案内装置。
【請求項4】
前記発光素子は、出射する光線の方向が斜め下方となるように設けられている、
請求項またはに記載の乗り込み案内装置。
【請求項5】
前記所定個数は、1.5個である、
請求項1からのいずれか1項に記載の乗り込み案内装置。
【請求項6】
循環移動する複数の踏段と、
請求項1からのいずれか1項に記載の乗り込み案内装置と、を有する、
乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアへの乗り込みを案内する乗り込み案内装置及びそれを備えた乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、乗客コンベアの複数の踏段に1個おきに乗り込み位置を示す表示体を取り付けた乗客コンベアを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−297864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、多数の踏段に表示体を取り付ける必要があり、表示体を取り付けないものと比べ構造が複雑となる。
【0005】
本発明は、簡易な構成で乗り込むべき踏段を利用者に案内することができる乗り込み案内装置及びそれを備えた乗客コンベアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗り込み案内装置は、循環移動する複数の踏段を有する乗客コンベアへの乗り込みを案内する。
乗り込み案内装置は、
乗り口側のスカートガードに配置された表示部と、
乗り込みの案内対象の踏段を決定し、案内対象の踏段を示す案内表示を表示部に表示させる案内制御部と、を備える。
表示部は、平面視で乗り口のフロアプレートの櫛の先端の真横となる位置から降り口方向に踏段所定個数分延びる表示領域を少なくとも有する。
案内制御部は、案内表示を、平面視で案内対象の踏段の真横となる位置で、かつ案内対象の踏段の移動に追随して移動させながら、表示部に表示させる。
【0007】
本発明の乗客コンベアは、
循環移動する複数の踏段と、
本発明の乗り込み案内装置と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乗り口側のスカートガードに表示部を設け、表示部に、平面視で案内対象の踏段の真横となる位置で、かつ踏段の移動に追随して移動する案内表示を踏段1個おきに表示させることで、乗り込むべき踏段を利用者に案内することができる。そのため、簡易な構成で乗り込むべき踏段を利用者に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1におけるエスカレータの構成を模式的に示した側面図である。
図2】エスカレータの乗り口部分の斜視図である。
図3】エスカレータの乗り口部分の拡大側面図である。
図4】エスカレータの乗り口部分の拡大平面図である。
図5】制御装置の電気的構成を示した図である。
図6】表示器の正面図である。
図7】表示器の表示光の向きを説明した図である。
図8】表示器の表示状態の説明図である。
図9】制御装置による表示器の表示制御の一例を説明した説明図である。
図10】制御装置による表示器の表示制御の一例を説明した説明図である。
図11】制御装置による表示器の表示制御の一例を説明した説明図である。
図12】制御装置による表示器の表示制御の一例を説明した説明図である。
図13】第1センサの検出信号に基づく制御装置による表示器の表示制御のフローチャートの一例である。
図14】第2センサの検出信号に基づく制御装置による表示器の表示制御のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(実施形態1)
1.構成
1−1.概要
図1は、実施形態1におけるエスカレータの構成を模式的に示した側面図である。実施形態1におけるエスカレータ1は、本発明の乗客コンベアの一例であり、本発明の乗り込み案内装置を含んで構成されている。
【0012】
エスカレータ本体10は、建築物の2つの階床F1、F2間に架け渡された状態で設置される。エスカレータ本体10は、無端状に連結された複数の踏段11と、左右一対の無端状のハンドレール12と、モータ20の動力を踏段11及びハンドレール12に伝達する動力伝達機構(不図示)と、乗り口5及び降り口6の床面を構成するフロアプレート19等を有する。複数の踏段11及びハンドレール12は、動力伝達機構(不図示)を介して伝達されるモータ20の動力により循環移動する。
【0013】
電力供給装置30は、モータ20に駆動用の電力を供給する。電力供給装置30は、例えば、制御装置40による制御に基づいて供給電力を変化させることが可能なインバータにより構成される。
【0014】
図2図3図4は、実施形態1におけるエスカレータ1の乗り口5部分の斜視図、拡大側面図、及び拡大平面図である。
【0015】
左右のハンドレール12は、それぞれに対応させて設けられた欄干18により移動可能に支持されている。各欄干18の下方にはそれぞれスカートガード15が設けられている。スカートガード15の乗り口5側には第1センサ61及び第2センサ62が配置されている。
【0016】
第1センサ61は、光電センサで構成されており、左右のスカートガード15に対向配置された投光部61a及び受光部61bを有する。第1センサ61は、櫛19aの先端から降り口6側に踏段0.5個分の距離の位置に配置されている。投光部61aは、物体検出用の検出光を投光し、受光部61bは投光部61aから投光された検出光を受光する。受光部61bは、投光部61aから投光された検出光を受光していないとき、検出信号を出力する。受光部61bが投光部61aから投光された検出光を受光できなくなるのは、利用者等の物体により検出光が遮られるためである。
【0017】
第2センサ62は、光電センサで構成されており、左右のスカートガード15に対向配置された投光部62a及び受光部62bを有する。第2センサ62は、櫛19aの先端から降り口6側に踏段1個分の距離の位置に配置されている。投光部62aは、物体検出用の検出光を投光し、受光部62bは投光部62aから投光された検出光を受光する。受光部62bは、投光部62aから投光された検出光を受光していないとき、検出信号を出力する。受光部62bが投光部62aから投光された検出光を受光できなくなるのは、利用者等の物体により検出光が遮られるためである。
【0018】
また、スカートガード15の乗り口5側には表示器50が設けられている。表示器50は、表示部の一例である。表示器50の構成については後述する。
【0019】
図5は、実施形態1におけるエスカレータ1の制御装置40の電気的構成を示した図である。
【0020】
制御装置40は、制御部41と記憶部42とを有する。制御装置40は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)により構成されている。
【0021】
記憶部42は、プログラムや種々のデータを格納している。プログラムには、本実施形態の制御装置40の各種機能を実現するためのプログラムが含まれている。
【0022】
制御部41は、記憶部42からプログラム及びデータを読み出し、読み出したプログラム及びデータに基づく演算処理を行う。これにより、制御装置40における各種の機能が実現される。
【0023】
制御装置40は、電力供給装置30及びモータ20の動作を制御することでエスカレータ1の動作を制御する。
【0024】
制御装置40には、第1センサ61及び第2センサ62が接続されている。制御装置40は、第1センサ61及び第2センサ62から出力される検出信号に基づいて、表示器50の案内表示の表示状態を制御する。案内表示は、乗り込むべき踏段11を利用者に案内する表示である。表示制御の詳細については後述する。
【0025】
図6は、表示器50の正面図である。表示器50は、LED51−1〜LED51−12の12個のLEDを有する。以下では、区別せず適宜LED51という場合がある。12個のLED51は、踏段の進行方向に沿うように配列される。表示器50は、踏段1.5個分の長さLを有する。つまり、8個のLED51で踏段1個分の長さを有する。12個のLED51は、個別に点灯及び消灯が可能である。
【0026】
表示器50は、図3図4に示すように、平面視で乗り口5のフロアプレート19の櫛19aの先端の真横となる位置から降り口6方向に踏段1.5個(所定個数の一例)分延びる形状を有する。つまり、表示器50は、櫛19aの先端の真横となる位置から降り口6方向に(踏段11の進行方向に)踏段1.5個分延びる表示領域を有する。表示器50は、そして、図6の一端(LED51−1側)が平面視で櫛19aの先端の真横となる位置に位置し、他端(LED51−12)側が櫛19aの先端から踏段1.5個分の距離の位置に位置している。ここで、真横とは、エスカレータ1の幅方向(踏段11の左右方向)に平行な方向である。
【0027】
図7は、表示器50の表示光の向きを説明した図である。図7に示すように、LED51は、出射する光線の方向が破線の矢印BEで示すように斜め下方となるように設けられている。この構成によると、利用者は、表示器50を直接見ることによってだけでなく、表示器50のLED51から出射される光線により照らされた踏段11を見ることで、乗り込むべき踏段11を認識することができる。そのため、利用者に対して案内対象の踏段11に適切に乗り込むべきことをより効果的に促すことができる。
【0028】
2.動作
制御装置40による表示器50の表示制御について詳しく説明する。図8は、表示器50の表示状態の説明図である。図8では点灯しているLED51を黒塗りで示し、点灯していない(消灯している)LED51を白抜きで示している。
【0029】
案内表示は、タイミングTm0〜Tm15(以下ではタイミングという言葉を付加せず適宜Tm0〜Tm15と示す)の16パターンの表示状態を有しており、制御装置40は、表示器50の表示状態を0.1秒経過毎に次の表示状態に遷移させることで、案内表示を移動させる。例えば、いま表示器50の表示状態をTm0の表示状態に遷移させた場合、その0.1秒後にはTm1の表示状態に遷移させ、その0.1秒後にはTm2の表示状態に遷移させ、その0.1秒後にはTm3の表示状態に遷移させ、以後同様に0.1秒経過毎に、次の表示状態に遷移させる。そして、Tm15の表示状態にまで遷移させると、その0.1秒後にはTm0の表示状態に戻り、以後上述の遷移を0.1秒経過毎に繰り返す。
【0030】
上記の各表示状態についてより詳しく説明すると、Tm0では、いずれのLED51も点灯させない。Tm1では、最も櫛19aに近い1個のLED51(図6の左端のLED51−1)のみを点灯させる。Tm2では、櫛19a側から1、2個目の2個のLED51を点灯させる。Tm3では、櫛19a側から1〜3個目の3個のLED51を点灯させる。Tm4では、櫛19a側から1〜4個目の4個のLED51を点灯させる。Tm5では、櫛19a側から1〜5個目の5個のLED51を点灯させる。Tm6では、櫛19a側から1〜6個目の6個のLED51を点灯させる。Tm7では、櫛19a側から1〜7個目の7個のLED51を点灯させる。Tm8では、櫛19a側から1〜8個目の8個のLED51を点灯させる。Tm9では、櫛19a側から2〜9個目の8個のLED51を点灯させる。Tm10では、櫛19a側から3〜10個目の8個のLED51を点灯させる。Tm11では、櫛19a側から4〜11個目の8個のLED51を点灯させる。Tm12では、櫛19a側から5〜12個目の8個のLED51を点灯させる。Tm13、Tm14、Tm15では、全てのLED51を消灯させる。Tm13、Tm14、Tm15で全てのLED51を消灯させるのは、案内対象の踏段11が、一般的な利用者の乗り込みに適した位置よりも降り口6側(前方)にまで進んでしまったためである。
【0031】
ここで、Tm0の表示状態となってから、表示状態を順次遷移させて、再度Tm0の表示状態に戻るまでの時間、つまり、Tm0〜Tm15の16個の表示状態を繰り返す周期は1.6秒である。この周期は、櫛19aの先端から出始めた踏段11が踏段2個分の距離を進む移動時間と等しくなるように設定している。また、単位時間当たりの案内表示の移動量を、単位時間当たりの踏段11の移動量に一致させている。さらに、踏段11の移動方向において、案内表示の前端位置が、案内対象の踏段11の前端位置に一致するように表示させる。そのため、案内表示は、案内対象の踏段11の真横となる位置で、案内対象の踏段11の移動に追随して(同期して)移動することとなる。
【0032】
制御装置40による表示器50の表示制御について、図9図12を参照して説明する。図9図12は、制御装置40による表示器50の表示制御の一例を説明した説明図である。図9図12では、表示器50においてLED51が点灯している部分を網がけで示し、点灯していない(消灯している)部分を白抜きで示している。また、案内対象の踏段11を一点鎖線で示し、案内対象でない踏段11を実線で示している。また、第1センサ61及び第2センサ62について、所定時間以上連続して検出信号を出力した状態であるものを黒塗りで示し、その状態にないものを白抜きで示している。
【0033】
制御装置40は、循環移動する複数の踏段11のうち櫛19aの先端から出現してくる踏段1個おきに案内対象の踏段11とし、表示器50に、踏段1個おきに踏段11の移動に追随して移動する案内表示を表示させるように構成されている。図9において、案内表示は、表示器50においてLED51が点灯している部分(網がけの部分)に相当する。案内表示は、表示器50の表示状態を0.1秒経過毎に次の表示状態に遷移させることで、踏段11の移動に追随して移動する。図9(a)では、Tm8の表示状態にあり、複数の踏段11のうち、踏段C(図9図12の説明では理解の容易のため、適宜、踏段A,B,C,・・・のように、踏段にアルファベットを付して説明する)が案内対象の踏段となっており、表示器50は踏段Cへの乗り込みを促す案内表示を行っている。踏段Cの2つ前方の踏段Aは、踏段Cよりも先に案内対象の踏段となっていた踏段であり、利用者P1が乗り込んでいる。この状態において、後続の利用者P2が案内表示にしたがって図9(b)のように踏段Cに乗り込んだ場合、前の利用者P1との間には踏段B1つ分の間隔が空くこととなる。ここで、利用者は、一般に、歩幅等の関係から、図9(b)のように、櫛19aの先端から0.5個分だけ出てきた踏段(この例では踏段D)の1個前方にある踏段(この例では踏段C)に乗り込む傾向がある。つまり、Tm12の表示状態のときには、0.5個分だけ出てきた踏段Dの前にある踏段Cに乗り込むこととなる。これを考慮して一般に、エスカレータでは、このような状態において踏段(C)と踏段(D)の上面がほぼ面一で平坦となるように構成される。なお、図10(a)に示すように、踏段Dが櫛19aの先端から出て来る前に案内表示にしたがって利用者P4が踏段Cに乗り込む場合もあるが、この場合でも、前方の利用者P3との間には踏段B1つ分の間隔が空くこととなり、図10(b)のTm12のときには、図9(b)のTm12のときと同じ乗り込み状態となる。
【0034】
ここで、本実施形態では、利用者が案内対象の踏段11に乗り込んだか否かを第1センサ61及び第2センサ62から出力される検出信号に基づいて判断する。そして、利用者が案内対象の踏段11に乗り込まずその前方または後方のいずれかの踏段11に乗り込んだと判断した場合、案内対象の踏段11を前記前方または後方の踏段に変更し、以後、変更後の案内対象の踏段11を基準として踏段1個おきに案内対象の踏段11を設定する。また、変更直後の案内対象の踏段11に対する案内表示は行わない。つまり、一時的に案内表示を消灯する。そして、変更直後の案内対象の踏段11の次に案内対象となる踏段11から案内表示を再開する。案内表示を一時的に消灯しないものとすると、適切な乗り込みを行わなかった利用者が乗り込んだ踏段11の次の案内対象の踏段11に、後続の利用者が案内表示にしたがって乗り込んでしまうおそれがある。この場合、踏段1つ分の間隔が空かなくなってしまう。本実施形態では、これを抑制するものである。
【0035】
具体的に、制御装置40は、第1センサ61または第2センサ62から所定時間Td以上連続して検出信号を受信した場合、検出したセンサの真横に案内対象の踏段11が存在するか否かを判断する。所定時間Tdは、一般的な利用者が踏段11に乗り込もうとして脚を動かしながら移動しているときに第1センサ61または第2センサ62から連続して検出信号が出力される時間よりも長い時間である。前述したように本実施形態では、単位時間当たりの案内表示の移動量を、単位時間当たりの踏段の移動量に一致させることで、案内表示を、案内対象の踏段11の真横となる位置で、案内対象の踏段11の移動に追随して(同期して)移動させるように構成している。そのため、検出したセンサの真横に案内対象の踏段11が存在するか否かの判断は、現在の案内表示のタイミングがTm0からTm15のうちのいずれであるかを判断することで行うことができる。例えば、図8において、Tm4〜Tm11のときには、第2センサ62の真横に案内対象の踏段11が存在しているものと判断する。また、Tm8〜Tm15のときには、第1センサ61の真横に案内対象の踏段11が存在しているものと判断する。なお、Tm13〜Tm15では、案内表示は行われていないが、第1センサ61の真横に実際に案内対象の踏段11が存在しているため、第1センサ61の真横に案内対象の踏段11が存在していると判断するものとする。なお、踏段11の実位置と案内表示位置との経時的なずれを防止するために、例えば、特定の踏段11が櫛19aの先端位置を通過するタイミングを1周毎に検知し、検知結果に基づいて踏段11の実位置と案内表示位置とを調整してもよい。より具体的には、例えば、エレベータ本体の内部の所定位置に第3のセンサを設け、当該第3のセンサにより、踏段11同士を連結するシャフトの通過を検知し、検知したタイミングに基づいて、櫛19aから踏段11が出るタイミングと案内表示とを同期させるようにしてもよい。
【0036】
第1センサ61または第2センサ62から所定時間Td以上連続して検出信号を受信した場合において、検出したセンサの真横に案内対象の踏段11が存在しているときは、制御装置40は、表示器50の案内対象の踏段11を変更しない。一方、検出したセンサの真横に案内対象の踏段11が存在していないときは、制御装置40は、検出したセンサに応じて、案内対象の踏段11をその前方または後方の踏段11に変更し、以後、変更後の案内対象の踏段11を基準として踏段1個おきに案内対象の踏段11を設定する。このとき、制御装置40は、変更直後の案内対象の踏段11に対する案内表示は行わない。つまり、一時的に案内表示は消灯されることとなる。
【0037】
例えば、図9(b)のように利用者P2が踏段Cに乗り込む際、第2センサ62の前を通り過ぎるが、利用者P2は脚を前方に動かしているため、第2センサ62が検出信号を出力する時間は後述する所定時間Tdを超さない。一方、利用者P2が第1センサ61の前を通りすぎるときには、踏段Cに乗り込んで停止した状態であるので、第1センサ61が検出信号を出力する時間が所定時間Tdを超すこととなる。このとき、第1センサ61の真横に案内対象の踏段Cが存在しているため、後述するような案内対象の踏段11の変更(案内表示の消灯)は行われずに、図9(c)のように踏段Cが踏段0.5個分前方に進んだときにTm0の表示状態となる。そして、各踏段が0.5個分前方に進んだときには、図9(d)のようにTm4の表示状態となり、踏段Cの2個後方の踏段Eにあわせた案内表示が行われることとなる。
【0038】
また、図10(a)に示すように、踏段(D)が櫛19aの先端から出て来る前に利用者P4が踏段(C)に乗り込んだ場合、利用者P4が第1センサ61及び第2センサ62の前をそれぞれ通りすぎるときには、踏段Cに乗り込んで停止した状態であるので、第1センサ61及び第2センサ62が検出信号を出力する時間がそれぞれ所定時間Tdを超すこととなる。第1センサ61から所定時間Td以上連続して検出信号が出力されたとき、及び第2センサ62から所定時間Td以上連続して検出信号が出力されたときには、それぞれ、各センサの真横に案内対象の踏段Cが存在しているため、案内対象の踏段11の変更(案内表示の消灯)は行われずに、図10(c)のように踏段Cが踏段0.5個分前方に進んだときにTm0の表示状態となる。また、各踏段が0.5個分前方に進んだときには、図10(d)のように、図9(d)の場合同様、Tm4の表示状態となり、踏段Cの2個後方の踏段Eにあわせた案内表示が行われることとなる。
【0039】
次に、図11を参照して、利用者が案内表示にしたがわずに、案内対象の踏段の前方の踏段に乗り込んだときの制御例を説明する。図11(a)では、Tm0の表示状態にあり、複数の踏段11のうち、一点鎖線で示す踏段Dが案内対象の踏段となっており、表示器50は、櫛19aの先端から出て来る踏段Dへの乗り込みを促す案内表示を行う予定となっている。この場合において、図11(b−1)のように、利用者P5が、案内対象の踏段Dの1個前方の踏段Cに乗り込んだものとする。この場合、利用者P5が踏段Cに乗り込む際、第2センサ62の前を通り過ぎるが、利用者P5は脚を前方に動かしているため、第2センサ62が検出信号を出力する時間は後述する所定時間Tdを超さない。一方、利用者P5が第1センサ61の前を通りすぎるときには、踏段Cに乗り込んで停止した状態であるので、第1センサ61が検出信号を出力する時間が所定時間Tdを超すこととなる。このとき、第2センサ62の真横には案内対象の踏段Cが存在していないため、図11(b−2)のように、案内対象の踏段が、踏段Dの1個前方の踏段Cに変更される。また、図11(b−1)の案内表示の表示状態がTm4の表示状態であったものとすると、案内表示のタイミングがTm12に進められるが、図11(b−2)のように、変更直後の案内対象の踏段Cに対する案内表示は行われない。つまり、一時的に案内表示は消灯されることとなる。そして、図11(c)のように、各踏段が0.5個分前方に進んだときに、つまりTm0のタイミングとなったときに、踏段Cの2個後方の踏段Eが案内対象の踏段として設定されるとともに、案内表示がTm0に対応する表示状態で再開される。そして、図11(d)のように、案内対象となった踏段Eにあわせて案内表示があらわれることとなる。そのため、後続の利用者P6に対し、適切な案内表示が行われることとなる。なお、図11(d)はTm4の表示状態を示している。
【0040】
このように、本実施形態によると、利用者(P5)が案内表示にしたがわずに、案内対象の踏段(D)の前方の踏段(C)に乗り込んだときでも、後続の利用者(P6)に対し、その前方の利用者(P5)が乗り込んだ踏段(C)の2個後方の踏段(E)への乗り込みを促す案内表示を行うことができる。すなわち、エスカレータ1の利用者に、循環移動する複数の踏段11について踏段1個おきに乗り込むべきことを案内できる。これにより、エスカレータ1全体として適切な乗り込み状態を実現できる。
【0041】
次に、図12を参照して、利用者が案内表示にしたがわずに、案内対象の踏段の後方の踏段に乗り込んだときの制御例を説明する。図12(a)では、Tm12の表示状態にあり、複数の踏段11のうち、一点鎖線で示す踏段Cが案内対象の踏段となっており、表示器50は踏段Cへの乗り込みを促す案内表示を行っている。この場合において、図12(b−1)のように利用者P7が、案内対象の踏段Cの1つ後方の踏段Dに乗り込んだものとする。この場合、利用者P7が第2センサ62の前を通りすぎるときには、踏段Dに乗り込んで停止した状態であるので、第2センサ62が検出信号を出力する時間が所定時間Tdを超すこととなる。このとき、第2センサ62の真横には案内対象の踏段Cが存在していないため、図12(b−2)のように、案内対象の踏段が、踏段Cの1個後方の踏段Dに変更される。また、図12(b−1)の案内表示の表示状態がTm15の表示状態であったものとすると、案内表示のタイミングが、Tm7に遅らせられる(戻される)が、図12(b−2)のように、変更直後の案内対象の踏段に対する案内表示は行われない。つまり、一時的に案内表示は消灯されることとなる。その後、図12(c)のように、利用者P7が第1センサ61の前を通りすぎるときには、案内対象となった踏段Dに乗り込んで停止した状態であるので、第1センサ61が検出信号を出力する時間が所定時間Tdを超すこととなる。このとき、第1センサ61の真横には案内対象となった踏段Dが存在しているので、案内対象の踏段が変更されることはない。そして、図12(d)のように踏段Dがさらに踏段0.5個分前方に進んだときに、つまりTm0のタイミングとなったときに、踏段Dの2個後方の踏段Fが案内対象の踏段として設定されるとともに、案内表示がTm0に対応する表示状態で再開される。そのため、後続の利用者P8に対し、適切な案内表示が行われることとなる。
【0042】
このように、本実施形態によると、利用者(P7)が案内表示にしたがわずに、案内対象の踏段(C)の後方の踏段(D)に乗り込んだときでも、後続の利用者(P8)に対し、その前方の利用者(P7)が乗り込んだ踏段(D)の2個後方の踏段(F)への乗り込みを促す案内表示を行うことができる。すなわち、エスカレータ1の利用者に、循環移動する複数の踏段11について踏段1個おきに乗り込むべきことを案内できる。これにより、エスカレータ1全体として適切な乗り込み状態を実現できる。
【0043】
次に、制御装置40による表示器50の表示制御について説明する。まず、第1センサ61の検出信号に基づく表示制御について図13を参照して説明する。図13は、第1センサ61の検出信号に基づく制御装置40による表示器50の表示制御を説明するフローチャートである。
【0044】
制御装置40は、まず、第1センサ61から検出信号が出力されているか否かを判断する(S11)。
【0045】
第1センサ61から検出信号が出力されている場合(S11でYES)、制御装置40は、第1タイマのカウント値(以下「第1タイマ値」という)が0か否かを判断する(S12)。第1タイマ及び後述する第2タイマは、制御部41が記憶部42に格納されているプログラムを実行することで実現される。なお、第1タイマ及び第2タイマはハードウェアタイマで実現されてもよい。
【0046】
第1タイマ値が0である場合(S12でYES)、制御装置40は、第1タイマを作動させる(S13)。
【0047】
ステップS13の処理を実行後、または第1タイマ値が0でない場合(S12でNO)、制御装置40は、第1タイマ値が所定時間Td以上の値か否かを判断する(S14)。
【0048】
第1タイマ値が所定時間Td以上の値でない場合(S14でNO)、制御装置40は、ステップS11の処理に戻る。
【0049】
これに対し、第1タイマ値が所定時間Td以上の値である場合(S14でYES)、制御装置40は、第1センサ61の真横に案内対象の踏段11が存在しているか否かを判断する(S15)。
【0050】
第1センサ61の真横に案内対象の踏段11が存在している場合(S15でYES)、つまり、利用者が、案内対象の踏段11に乗り込んでいる場合、制御装置40は、第1タイマをリセットして(S17)、ステップS11の処理に戻る。
【0051】
これに対し、第1センサ61の真横に案内対象の踏段11が存在していない場合(S15でNO)、つまり、利用者が、案内対象の踏段11に乗り込んでいない場合、制御装置40は、案内対象の踏段11を1個前方の踏段11に変更する(S16)。このとき、変更直後の案内対象の踏段11(1個前方の踏段11)に対する案内表示は行わない。つまり、案内表示を一時的に消灯する。これにより、案内表示は、変更直後の案内対象の踏段11(1個後方の踏段11)の次に案内対象となる踏段から再開されることとなる。そして、制御装置40は、第1タイマをリセットして(S17)、ステップS11の処理に戻る。
【0052】
ステップS11において、第1センサ61から検出信号が出力されていない場合(S11でNO)、制御装置40は、ステップS17で第1タイマをリセットする。ここでの第1タイマのリセットは、今回よりも前のステップS11の判断において第1センサ61から検出信号が出力されたと判断された(S11でYES)後、第1タイマ値が所定時間Tdに達する前に第1センサ61から検出信号が出力されなくなった場合(S14でNO)の第1タイマ値をリセットするためのものである。この場合、案内表示を無視して、第1センサ61の検出範囲よりもさらに前の踏段11にまで歩いていったことが考えられるが、利用者がどの程度進んだか不明であるため、次の利用者の検出に備えて、第1タイマ値をリセットする。
【0053】
次に、第2センサ62の検出信号に基づく表示制御について図14を参照して説明する。図14は、第2センサ62の検出信号に基づく制御装置40による表示器50の表示制御を説明するフローチャートである。
【0054】
制御装置40は、第2センサ62から検出信号が出力されているか否かを判断する(S21)。
【0055】
第2センサ62から検出信号が出力されている場合(S21でYES)、制御装置40は、第2タイマのカウント値(以下「第2タイマ値」という)が0か否かを判断する(S22)。
【0056】
第2タイマ値が0である場合(S22でYES)、制御装置40は、第2タイマを作動させる(S23)。
【0057】
ステップS23の処理を実行後、または第2タイマ値が0でない場合(S22でNO)、制御装置40は、第2タイマ値が所定時間Td以上の値か否かを判断する(S24)。
【0058】
第2タイマ値が所定時間Td以上の値でない場合(S24でNO)、制御装置40は、ステップS11の処理に戻る。
【0059】
これに対し、第2タイマ値が所定時間Td以上の値である場合(S24でYES)、制御装置40は、第2センサ62の真横に案内対象の踏段11が存在しているか否かを判断する(S25)。
【0060】
第2センサ62の真横に案内対象の踏段11が存在している場合(S25でYES)、つまり、利用者が、案内対象の踏段11に乗り込んでいる場合、制御装置40は、第2タイマをリセットして(S27)、ステップS11の処理に戻る。
【0061】
これに対し、第2センサ62の真横に案内対象の踏段11が存在していない場合(S25でNO)、つまり、利用者が、案内対象の踏段11に乗り込んでいない場合、制御装置40は、案内対象の踏段11を1個後方の踏段11に変更する(S26)。このとき、変更直後の案内対象の踏段11(1個後方の踏段11)に対する案内表示は行わない。つまり、案内表示を一時的に消灯する。これにより、案内表示は、変更直後の案内対象の踏段11(1個後方の踏段11)の次に案内対象となる踏段から再開されることとなる。そして、制御装置40は、第2タイマをリセットして(S27)、ステップS21の処理に戻る。
【0062】
ステップS21において、第2センサ62から検出信号が出力されていない場合(S21でNO)、制御装置40は、ステップS27で第2タイマをリセットして、ステップS11の処理に戻る。ここでの第2タイマのリセットは、今回よりも前のステップS21の判断において第2センサ62から検出信号が出力されたと判断された(S21でYES)後、第2タイマ値が所定時間Tdに達する前に第2センサ62から検出信号が出力されなくなった場合(S24でNO)の第2タイマ値をリセットするためのものである。この場合、案内表示を無視して、第2センサ62の検出範囲よりもさらに上の踏段11にまで歩いていったことが考えられるが、利用者がどの程度進んだか不明であるため、次の利用者の検出に備えて、第2タイマ値をリセットする。
【0063】
前記実施形態では、案内対象の踏段を表示器50での案内表示により利用者に認識させるが、あわせて、「表示器の乗り込み案内表示にあわせて踏段に乗り込んでください」等の音声案内を行ってもよい。音声案内は、一定周期で行ってもよいし、利用者が乗り口5に接近したことを適宜の検知装置で検知して行うようにしてもよい。これにより、案内対象の踏段に乗り込むべきことをより適切に利用者に認識させることができる。また、エスカレータ1全体としてより適切な乗り込み状態を実現できる。
【0064】
(実施形態についてのまとめ)
(1)実施形態1の乗り込み案内装置は、循環移動する複数の踏段11を有するエスカレータ1(乗客コンベアの一例)への乗り込みを案内する。
乗り込み案内装置は、
乗り口5側のスカートガード15に配置された表示器50(表示部の一例)と、
乗り込みの案内対象の踏段11を決定し、案内対象の踏段11を示す案内表示を表示器50に表示させる制御装置40(案内制御部の一例)と、を備える。
表示器50は、平面視で乗り口5のフロアプレート19の櫛19aの先端の真横となる位置から降り口6方向に踏段1.5(所定個数の一例)分延びる表示領域を少なくとも有する。
制御装置40は、案内表示を、平面視で案内対象の踏段11の真横となる位置で、かつ案内対象の踏段11の移動に追随して移動させながら、表示器50に表示させる。
【0065】
本実施形態によれば、乗り口5側のスカートガード15に表示器50を設け、表示器50に、平面視で案内対象の踏段11の真横となる位置で、かつ踏段11の移動に追随して移動する案内表示を表示させることで、乗り込むべき踏段を利用者に案内することができる。そのため、簡易な構成で乗り込むべき踏段を利用者に案内することができる。
【0066】
(2)実施形態1において、
制御装置40は、循環移動する複数の踏段11のうち櫛19aの先端から出現してくる踏段1個おきに案内対象の踏段11とする。
【0067】
これにより、利用者に、循環移動する複数の踏段11について踏段1個おきに乗り込むべきことを案内できる。これにより、エスカレータ1全体として適切な乗り込み状態を実現できる。
【0068】
(3)実施形態1において、
乗り込み案内装置は、乗り口5から乗り込む利用者を検出して検出信号を出力する第1センサ61及び第2センサ62(検出部の一例)をさらに備える。
制御装置40は、
第1センサ61及び第2センサ62から出力される検出信号に基づいて、案内対象の踏段11の1個前方または1個後方の踏段11に利用者が乗り込んだか否かを判断し、乗り込んだと判断したときは、案内対象の踏段11を1個前方または1個後方の踏段11に変更し、以後、変更後の案内対象の踏段11を基準として踏段1個おきに案内対象の踏段11を設定するとともに、
乗り込んだと判断したときに表示中の案内表示を消灯し、変更直後の案内対象の踏段の次に案内対象となる踏段から案内表示を再開する。
【0069】
これにより、案内対象の踏段11の1個前方または1個後方の踏段11に利用者が乗り込んだ場合でも、案内対象の踏段11が1個前方または1個後方の踏段11に変更され、以後、変更後の案内対象の踏段11を基準として踏段1個おきに案内対象の踏段11が設定される。そのため、後続の利用者に対して適切な案内表示を行うことができる。つまり、案内対象の踏段11の1個前方または1個後方の踏段11に利用者が乗り込んだ場合において、案内表示を変更しないものとすると、後続の利用者が戸惑うおそれがあり、また、適切な乗り込みを行わなかった利用者が乗り込んだ踏段11の次の案内対象の踏段11に、後続の利用者が案内表示にしたがって乗り込んでしまうおそれがある。この場合、踏段1つ分の間隔が空かなくなってしまう。しかし、本実施形態によれば、案内対象の踏段11に利用者が適切に乗り込まなかった場合には、案内表示の表示状態が変更されることで、後続の利用者にとって適切な表示となる。
【0070】
(4)実施形態1において、
表示器50は、踏段11の進行方向に沿うように配列された複数個のLED51(発光素子の一例)で構成されている。
制御装置40は、複数個のLED51のうち平面視で案内対象の踏段11の真横に存在するLED51のみを点灯させることで、表示器50に案内表示を行わせる。
【0071】
これにより、表示部及び案内制御部を簡易な構成で実現できる。
【0072】
(5)実施形態1において、
発光素子はLED51である。
【0073】
これにより、安価に乗り込み案内装置を構成できる。
【0074】
(6)実施形態1において、
LED51(発光素子)は、出射する光線の方向が斜め下方となるように設けられている。
【0075】
これにより、利用者は、表示器50を直接見ることによってだけでなく、表示器50のLED51から出射される光線により照らされた踏段11を見ることで、乗り込むべき踏段11を認識することができる。そのため、利用者に対して案内対象の踏段11に適切に乗り込むべきことをより効果的に促すことができる。
【0076】
(7)実施形態1において、
所定個数は、1.5個である。
【0077】
利用者は、歩幅等の関係から、櫛19aの先端から0.5個分だけ出てきた踏段の1個前方にある踏段に乗り込む傾向がある。所定個数を1.5個とすることで、利用者の一般的な乗り込み行動に適した乗り込み案内装置が実現される。
【0078】
(8)実施形態1のエスカレータ1(乗客コンベアの一例)は、
循環移動する複数の踏段と11と、
本実施形態の乗り込み案内装置と、を有する。
【0079】
これにより、エスカレータ1において、簡易な構成で乗り込むべき踏段を利用者に案内することができる。
【0080】
(その他の実施形態)
前記実施形態において、エスカレータ1は、本発明の乗客コンベアの一例である。本発明において、乗客コンベアは、一の階床において水平あるいは斜めに配置されたいわゆる動く歩道等の乗客コンベアであってもよい。
【0081】
前記実施形態では、本発明の表示部が複数個の発光素子としてのLED51を有する表示器50で構成されている場合を例示した。しかし、本発明において、表示部は、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等で構成されてもよい。また、本発明の発光素子は、LED51でなく電球で構成されてもよい。
【0082】
前記実施形態では、第1センサ61及び第2センサ62(検出部)の検知結果に基づいて、案内表示の表示状態を変更する例を示した。しかし、本発明では、循環移動する複数の踏段のうち櫛の先端から出現してくる踏段1個おきに案内対象の踏段に設定し、これにあわせて踏段1個おきに案内表示を行うだけでもよい。この場合でも、案内表示にしたがった乗り込みが期待される。また、この場合、図13図14のフローチャートに基づく制御は行わなくてもよい。
【0083】
前記実施形態では、本発明の案内表示は、表示器50の複数個のLED51のうち平面視で案内対象の踏段11の真横に存在するLED51のみを点灯させることで実現されている。しかし、本発明の案内表示はこれに限定されない。例えば、表示部を液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等で構成するとともに、案内表示は、例えば案内対象の踏段を示す矢印表示や案内文字を、平面視で案内対象の踏段の真横となる位置で、かつ案内対象の踏段の移動に追随して移動させながら表示させることで構成されてもよい。
【0084】
前記実施形態では、本発明の所定個数が1.5個である場合を例示した。1.5個程度の場合が利用者の乗り込み行動の観点からは適しているが、本発明の所定個数はこれに限定されるものではなく、乗客コンベアの設置環境等に応じて例えば1.3個や1.4個としてもよい。
【0085】
前記実施形態では、櫛19aの前方において、踏段1.5個分の踏段11の上面がほぼ面一で平坦となるエスカレータ1について例示した。しかし、本発明は、櫛19aの前方において、踏段1.5個分以上、例えば2個分や3個分の踏段11の上面がほぼ面一でほぼ平坦となるエスカレータ1にも適用可能である。この場合でも、櫛19aに対する表示器50の配置や表示制御は上述したものと同一でよい。
【0086】
前記実施形態では、本発明の検出部を光電センサで構成した場合を例示した。しかし、本発明において、検出部は、電波や音波を利用して利用者の検出を行うセンサで構成されてもよい。また、乗り口5付近にカメラを配置し、カメラで撮像された映像を画像解析することで利用者を検出するように構成してもよい。
【0087】
前記実施形態では、本発明の表示部としての表示器50を左右のスカートガード15にそれぞれ設けた場合を例示した。しかし、本発明において、表示部は左右のスカートガードのうちの一方のスカートガードにのみ設けられてもよい。
【0088】
前記実施形態では、本発明の案内制御部としての制御装置40はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を利用して構成され、制御装置40における各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されている。しかし、制御装置40における各機能は、ハードウェア(電子回路)のみにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 エスカレータ
5 乗り口
6 降り口
10 エスカレータ本体
11 踏段
12 ハンドレール
15 スカートガード
18 欄干
19 フロアプレート
19a 櫛
20 モータ
30 電力供給装置
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部
50 表示器
51,51−1〜51−12 LED
61 第1センサ
61a 投光部
61b 受光部
62 第2センサ
62a 投光部
62b 受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14