特許第6669405号(P6669405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6669405
(24)【登録日】2020年3月2日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】血液自動保管装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/133 20060101AFI20200309BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   B65G1/133 G
   B65G1/137 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-221630(P2016-221630)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2018-80002(P2018-80002A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(73)【特許権者】
【識別番号】503370321
【氏名又は名称】株式会社荏原
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】江本 尚浩
(72)【発明者】
【氏名】松本 展明
(72)【発明者】
【氏名】西井 久雄
(72)【発明者】
【氏名】町田 稔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 薫
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4435181(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0098626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液パックを内部収容空間に保管する保管庫本体と、前記保管庫本体の内部収容空間に設けられた多段の回転棚と、前記回転棚の各段に対応した複数の出庫扉とを有する血液自動保管装置であって、
前記保管庫本体が、前記多段の回転棚全体に対応した開口領域を有した全面扉を一側面に備え
前記複数の出庫扉の内部収容空間側には、開放時に1つの血液パックにのみアクセス可能とするアクセス制限手段が設けられていることを特徴とする血液自動保管装置。
【請求項2】
前記複数の出庫扉が、前記全面扉に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の血液自動保管装置。
【請求項3】
前記アクセス制限手段は、1つの血液パックにのみアクセス可能な形状の開口を有する制限壁部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の血液自動保管装置。
【請求項4】
血液パックを内部収容空間に保管する保管庫本体と、前記保管庫本体の内部収容空間に設けられた多段の回転棚と、前記回転棚の各段に対応した複数の出庫扉とを有する血液自動保管装置であって、
前記保管庫本体が、前記多段の回転棚全体に対応した開口領域を有した全面扉を一側面に備え、
血液自動保管装置は、血液パックの情報を取得する情報取得ユニットと、前記回転棚、前記出庫扉及び前記情報取得ユニットを制御する制御ユニットとを有し、
前記情報取得ユニットは、前記回転棚のそれぞれの段に対応して前記保管庫本体の内部収容空間に設置された複数の固定センサを有していることを特徴とする血液自動保管装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、入庫処理部を有し、
前記入庫処理部は、前記全面扉が閉じられた際に前記回転棚を回転させて、前記回転棚に保持された各血液パックの情報、及び、各血液パックの前記回転棚における保持位置情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の血液自動保管装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、出庫処理部を有し、
前記出庫処理部は、所望の血液パックの出庫要求を受け付ける出庫指示部、前記回転棚を回転させて所望の血液パックを前記出庫扉から取り出せる位置に移動させる出庫回転制御部と、所望の血液パックに対応した前記出庫扉の開放又は開錠を行う出庫扉制御部とを有し、
前記出庫回転制御部は、保持された各血液パックの情報を基に、出庫要求の条件に合致する複数の血液パックのうち出庫優先度の高いものが取り出されるよう制御することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の血液自動保管装置。
【請求項7】
前記全面扉が、出庫表示部を有し、
前記出庫扉制御部は、前記出庫表示部の表示状態をさらに制御することを特徴とする請求項6に記載の血液自動保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液パックを内部収容空間に保管する保管庫本体と、保管庫本体の内部収容空間に設けられた多段の回転棚と、回転棚の各段に対応した複数の出庫扉とを有する血液自動保管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
輸血等に使用する血液パックは、需要が発生した際に必要な量を迅速に供給する必要があるため、使用場所である病院等に設置された低温保管庫に、様々な血液型の血液パックを所定量ストックしておくことが望ましい。
使用者は、ストックの中から必要とする血液パックを的確に必要な量だけ取り出す必要があり、また、供給者は、使用された血液パックの追加補充や、長期間ストックされた血液パックのチェック等を行う必要がある。
このため、血液パックあるいは血液パックを個別に保持するケースにパックされた血液に関する情報保持手段を備え、その情報を読み込んで管理する機能を保管庫に持たせたものが公知である(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4435181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す公知の血液自動保管装置は、内部に、血液パックを収納する多段の回転棚と、血液パックの情報を取得する読み込み手段を備えている。
また、入出庫用の扉が備えられており、扉から血液パックを入庫した後に、内部に収容した血液パックの情報を読みこむとともに、出庫時には必要な血液パックを収容した回転棚を駆動し、対応する扉の開放を許容するように構成されている。
扉の構成は、1つの例として。縦方向に延びる1つの扉からなり、多段の回転棚が段毎に独立して回転可能となっており、血液パックの入庫あるいは出庫を、所定の段の所定の箇所に対してのみ行うようになっている。
また、他の例として、多段の回転棚が各段に対応した複数の扉が設けられ、回転棚は全段一体に回転し、1つの扉のみ開放可能とすることで、血液パックの入庫あるいは出庫を、所定の段の所定の箇所に対してのみ行うようになっている。
【0005】
特許文献1に示す公知の血液自動保管装置では、血液パックの補充のために入庫時にも、扉と回転棚の制御を行うことが必要であり、かつ間口の小さな扉から血液パックを1つずつ補充しなければならず、時間がかかるという問題があった。
また、回転棚や内部機構のメンテナンスや保管庫内部の清掃等を行う際には、装置の一部あるいは全部を分解した上で行う必要があり、非常に大きな手間を必要としていた。
【0006】
本発明は、公知の血液自動保管装置の問題点を解決するものであって、保管されている大量の血液パックから必要とする血液パックを的確に必要な量だけ取り出すことが可能であるとともに、血液パックの補充が容易であり、かつ、回転棚や内部機構のメンテナンスや保管庫内部の清掃が容易な血液自動保管装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、血液パックを内部収容空間に保管する保管庫本体と、前記保管庫本体の内部収容空間に設けられた多段の回転棚と、前記回転棚の各段に対応した複数の出庫扉とを有する血液自動保管装置であって、前記保管庫本体が、前記多段の回転棚全体に対応した開口領域を有した全面扉を一側面に備えていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本請求項1に係る血液自動保管装置によれば、保管庫本体が、多段の回転棚全体に対応した開口領域を有した全面扉を一側面に備えていることで、血液パックの入庫時には全面扉を開放することで、複数の血液パックを回転棚の各段に迅速に補充することが可能となるとともに、血液パックの出庫時には、複数の出庫扉を用いて、所定の段の所定の箇所に対してのみ行うことができ、大量の血液パックのストックの中から必要とする血液パックを的確に必要な量だけ取り出すことが可能となる。
また、全面扉の開口領域が多段の回転棚全体に対応していることで、回転棚や内部機構のメンテナンスや保管庫内部の清掃が容易に行うことが可能となる。
さらに、回転棚自体をモジュール化して血液自動保管装置の一部あるいは全部を分解することなく全面扉から取り出し可能とすることで、さらに回転棚や内部機構のメンテナンスや保管庫内部の清掃が容易となるとともに、回転棚を引き出した上で大量の血液パックを迅速に補充することが可能となる。
また、複数の出庫扉の内部収容空間側には、開放時に1つの血液パックにのみアクセス可能とするアクセス制限手段が設けられていることにより、血液パック収容時の外形が小さいものや細いものであっても、アクセス制限手段によって1つの血液パックにのみアクセス可能に設定できるため、出庫扉自体を小型化する必要がなく、使用者が出庫扉を介して回転棚に収容された血液パックにアクセスする作業がさらに容易となる。
【0009】
本請求項2に記載の構成によれば、複数の出庫扉が全面扉に設けられていることにより、血液自動保管装置の一側面から、複数の出庫扉及び全面扉にアクセスすることができるため、設置スペースの制約も少なくなり、血液パックの入出庫、メンテナンス、清掃等が容易となる。
本請求項3に記載の構成によれば、アクセス制限手段は、1つの血液パックにのみアクセス可能な形状の開口を有する制限壁部を有することで、アクセス制限手段の構成が簡素化されるとともに、血液パックの形状や回転棚への収容形態(縦、横等)を異なるものであっても、単純な構成の制限壁部のみ変更することで対応が可能となる。
本請求項4に係る血液自動保管装置によれば、保管庫本体が、多段の回転棚全体に対応した開口領域を有した全面扉を一側面に備えていることで、血液パックの入庫時には全面扉を開放することで、複数の血液パックを回転棚の各段に迅速に補充することが可能となるとともに、血液パックの出庫時には、複数の出庫扉を用いて、所定の段の所定の箇所に対してのみ行うことができ、大量の血液パックのストックの中から必要とする血液パックを的確に必要な量だけ取り出すことが可能となる。
また、全面扉の開口領域が多段の回転棚全体に対応していることで、回転棚や内部機構のメンテナンスや保管庫内部の清掃が容易に行うことが可能となる。
さらに、回転棚自体をモジュール化して血液自動保管装置の一部あるいは全部を分解することなく全面扉から取り出し可能とすることで、さらに回転棚や内部機構のメンテナンスや保管庫内部の清掃が容易となるとともに、回転棚を引き出した上で大量の血液パックを迅速に補充することが可能となる。
また、情報取得ユニットは、回転棚のそれぞれの段に対応して保管庫本体の内部収容空間に設置された複数の固定センサを有していることにより、一度に大量の血液パックを入庫した際にも、回転棚を回転させるだけで各段の血液パックの情報を迅速に取得することができる。
【0010】
本請求項5に記載の構成によれば、入庫処理部は、全面扉が閉じられた際に回転棚を回転させて、回転棚に保持された各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚における保持位置情報を取得することにより、血液パックを大量に補充する場合でも、収容位置を意識することなく空いている位置に収容した後に全面扉を閉じるだけの操作でよく、短時間で補充が可能となる。
また、全面扉を大きく開放して補充作業を行っても、短時間で補充が可能なことから内部環境への影響を少なくすることができ、補充作業の負担も軽減される。
本請求項6に記載の構成によれば、回転棚にランダムに血液パックが保持され、血液パックの内容と出庫扉の関係が固定できない場合でも、需要者が所望の血液パックのみを確実に取り出すことが可能となる。
また、出庫回転制御部は、保持された各血液パックの情報を基に、出庫要求の条件に合致する複数の血液パックのうち出庫優先度の高いものが取り出されるよう制御することにより、出庫要求時に需要者が血液パックの保存期間等の他の条件の指示を行うことなく取り出すことが可能となるとともに、保存期間等の在庫の管理負担も低減する。
本請求項7に記載の構成によれば、出庫扉制御部は、出庫表示部の表示状態を制御することにより、回転棚にランダムに血液パックが保持され、血液パックの内容と出庫扉の関係が固定できない場合でも、需要者に出庫扉を知らせることで容易にアクセスすることが可能となる。
また、複数の血液パックの出庫要求時に、同一の出庫扉から複数回出庫する場合や、異なる出庫扉から出庫する場合があるが、需要者にその順序も含めて知らせることで、さらに利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る血液自動保管装置の1部カットした斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る血液自動保管装置の正面図。
図3】本発明の一実施形態に係る血液自動保管装置の1部カットした側面図。
図4図2のA−A断面の説明図。
図5】本発明の一実施形態に係る血液自動保管装置の制御ユニットの概念図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
本発明の一実施形態に係る血液自動保管装置100について図面に基づいて説明する。
血液自動保管装置100は、図1乃至図4に示すように、血液パック(血液パックを個別に保持したパック保持ケースも含む。本明細書中の「血液パック」はすべて同様。)を内部収容空間111に保管する保管庫本体110と、保管庫本体110の内部収容空間111に設けられた4段の回転棚120と、回転棚120の各段に対応した4つの出庫扉131とを有している。
保管庫本体110は、直方体状の内部収容空間111を有しており、内部収容空間111の上部には冷却装置112が設けられている。
保管庫本体110は、4段の回転棚120に対応した開口領域を有し、内部収容空間111の一側面全体が開放可能な全面扉130を備え、4つの出庫扉131は全面扉130に設けられている。
保管庫本体110の内部収容空間111の上部には冷却装置112が設けられており、内部収容空間111内の回転棚120に収容された血液パックを低音で保管可能に構成されている。
【0013】
本実施形態では、回転棚120はモジュール化されており、下方の回転棚駆動部122によって回転軸123が回転駆動され、回転軸123の高さ方向に4段、縦置き放射状に血液パックを収容可能に構成されている。
また、全面扉130を開放して、回転棚駆動部122を含めて回転棚120全体にアクセス可能に構成されている。
このことで、複数の血液パックを回転棚120の各段に迅速に補充することが可能となるとともに、回転棚120や内部機構のメンテナンスや内部収容空間111の清掃が容易となる。
さらに、回転棚120全体を外部に取り出し可能とすることで、回転棚120を引き出した上で大量の血液パックを迅速に補充することも可能となるとともに、メンテナンスや内部収容空間111の清掃がさらに容易となる。
【0014】
4つの出庫扉131の内部収容空間111側には、開放時に1つの血液パックにのみアクセス可能な形状の開口を有するアクセス制限手段である制限壁部132が設けられている。
本実施形態では、出庫扉131は使用者の腕全体が挿入可能な開口を有しているのに対し、制限壁部132の回転棚120直近では横方向の開口が制限され、使用者が縦置きに収容された1つの血液パックのみを把持可能な形状に形成されている。
血液パックの形状、収納姿勢が異なる場合でも、制限壁部132の回転棚120直近での開口形状を変更するだけで、出庫扉131の設計を変更することなく1つの血液パックにのみアクセス可能とすることができる。
なお、アクセス制限手段は、血液パックの取り出し時に動作する可動式のものでもよく、全面扉130ではなく回転棚120に設けられていてもよい。
【0015】
血液パックには、血液を識別する情報が記録されたバーコード、二次元コード、RFIDタグ、ICタグ等の記録媒体が設けられており、内部収容空間111には、記録媒体を読み取る情報取得ユニット150が回転棚120に隣接して設けられている。
情報取得ユニット150は、回転棚120のそれぞれの段に対応した複数の固定センサを有しており、情報取得ユニット150に可動部を備えることなく、回転棚120を回転させことで各棚に収容された血液パックの情報を読み取るように構成されている。
全面扉130には、各出庫扉131の側方に出庫表示部133が設けられており、使用者が必要とする血液パックを出庫する際にアクセスすべき出庫扉131を知らせるように構成されている。
【0016】
血液自動保管装置100は、回転棚120、出庫扉131、出庫表示部133、情報取得ユニット150等を制御する制御ユニット140が設けられ、制御ユニット140への出庫指示のための入力装置141が設けられている。
図5に、制御ユニット140を概念的に示している。
制御ユニット140は、物理的に単一の機能ユニットで構成されていても、複数の機能ユニットで構成されていてもよく、機能ユニットの一部又は全部が自動保管装置100の外部に配置されて通信により制御可能であってもよい。
また、制御ユニット140が病院の管理システム等の上位システムと通信可能であってもよく、上位システムが直接制御ユニット140の機能ユニットとして自動保管装置100を制御してもよい。
出庫指示のための入力装置141は、出庫作業者が血液自動保管装置100の近傍のどのような位置や姿勢でも操作しやすいように、無線で制御ユニット140と通信可能で、様々な情報の表示も可能なタブレット端末等が好適である。
【0017】
制御ユニット140は、入庫処理部及び出庫処理部を有している。
入庫処理部は、全面扉130が閉じられた際に回転棚120を回転させて、回転棚120に保持された各血液パックの情報を情報取得ユニット150で読み取り、各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報を取得するように構成されている。
取得された情報は、記憶手段(図示しない)に記憶され、あるいは、上位システムに転送され、在庫管理や出庫処理に使用される。
出庫処理部は、入力装置141あるいは上位システムから所望の血液パックの出庫要求を受け付ける出庫指示部と、回転棚120を回転させて所望の血液パックを出庫扉131から取り出せる位置に移動させる出庫回転制御部と、所望の血液パックに対応した出庫扉131の開放又は開錠を行う出庫扉制御部とを有している。
【0018】
以上のように構成された血液自動保管装置100への血液パックの入庫、出庫の際の動作についてさらに詳細に説明する。
まず、血液自動保管装置100への血液パックの入庫の際には、入力装置141からの指示、上位システムからの指令、あるいは、物理的な鍵の操作によって全面扉130を解錠し、作業者が全面扉130を開放して血液パックを補充する。
この作業の際には、全面扉130を解錠に連動して回転棚120が手動で回転可能な状態になる。
このことで、作業者は任意の段の任意の位置に血液パックを収容することができ、全面扉130の開口領域が大きいことから、手早く大量に血液パックを補充することができる。
【0019】
作業者による血液パックの補充が終わり、全面扉130が閉じられると、制御ユニット140の入庫処理部は、回転棚120を回転させ、回転棚120に保持された各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報を取得し、取得した情報を記憶手段に記憶し、あるいは、上位システムに転送する。
補充後に自動的に各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報が取得されるため、作業者が血液パックを空いている位置にランダムに収容するだけでよく、作業者の負担は極めて少なく、また、全面扉130を開放している時間も短く、内部収容空間111の温度、湿度等の環境に与える影響も少ない。
また、制御ユニット140の入庫処理部が回転棚120を回転させる際に、内部収容空間111の内部を撹拌できるため、情報の取得後も、一定時間、回転棚120を連続的に回転させ、内部収容空間111の温度、湿度等の環境を迅速に安定化することができる。
【0020】
血液自動保管装置100からの血液パックの出庫の際には、出庫指示部が、作業者によって入力装置141に入力された必要な血液パックの種類、数量等の情報を含んだ出庫要求を受け付ける。
これらの情報は、上位システムから直接出庫指示部に送信されてもよい。
出庫指示部は、出庫回転制御部に必要な血液パックの種類、数量等の情報を転送し、情報を受けた出庫回転制御部は、記憶手段あるいは上位システムから各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報を取得し、回転棚120を回転させて合致する血液パックを出庫扉131から取り出せる位置に移動させる。
この時、出庫要求の条件に合致する複数の血液パックが存在する場合は、出庫回転制御部は、保持された各血液パックの情報を基に、保存期間等を考慮して出庫優先度の高いものが取り出されるよう制御する。
出庫扉制御部は、出庫回転制御部から回転完了と対応する段の通知を受け、所望の血液パックに対応した出庫扉131の開放又は開錠を行うとともに、当該出庫扉131に対応した出庫表示部133(本実施形態では表示ランプ)を点灯させる。
作業者は、出庫表示部133で示された出庫扉131から血液パックを取り出す。
【0021】
複数の血液パックをまとめて出庫要求した場合には、作業者が1つの血液パックを出庫し出庫扉131が閉じられると、次の血液パックに対して上記の処理が繰り返される。
取り出した血液パックを、外部に設けた読み取り装置に読み取らせることで、個々の血液パックの出庫完了を確認するとともに、正しい血液パックが正確に取り出されたことをチェックするようにしてもよく、その読み取り装置として、タブレット端末からなる入力装置141を使用してもよい。
また、出庫表示部133を液晶パネル等のグラフィック表示装置としてもよく、その場合は、出庫要求時から出庫処理の経過や、予定された出庫扉131に関する情報を逐次表示するようにしてもよく、タブレット端末からなる入力装置141に同様の情報を表示するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、複数の出庫扉131及び出庫表示部133が全面扉130に設けられているが、複数の出庫扉や出庫表示部が全面扉とは独立して設けられてもよく、複数の出庫扉や出庫表示部と、全面扉とを保管庫本体の異なる側面に設けてもよい。
【符号の説明】
【0022】
100 ・・・ 血液自動保管装置
110 ・・・ 保管庫本体
111 ・・・ 内部収容空間
112 ・・・ 冷却装置
120 ・・・ 回転棚
121 ・・・ 収容部
122 ・・・ 回転棚駆動部
123 ・・・ 回転軸
130 ・・・ 全面扉
131 ・・・ 出庫扉
132 ・・・ 制限壁部(アクセス制限手段)
133 ・・・ 出庫表示部
140 ・・・ 制御ユニット
141 ・・・ 入力装置
150 ・・・ 情報取得ユニット
図1
図2
図3
図4
図5