【実施例】
【0012】
本発明の一実施形態に係る血液自動保管装置100について図面に基づいて説明する。
血液自動保管装置100は、
図1乃至
図4に示すように、血液パック(血液パックを個別に保持したパック保持ケースも含む。本明細書中の「血液パック」はすべて同様。)を内部収容空間111に保管する保管庫本体110と、保管庫本体110の内部収容空間111に設けられた4段の回転棚120と、回転棚120の各段に対応した4つの出庫扉131とを有している。
保管庫本体110は、直方体状の内部収容空間111を有しており、内部収容空間111の上部には冷却装置112が設けられている。
保管庫本体110は、4段の回転棚120に対応した開口領域を有し、内部収容空間111の一側面全体が開放可能な全面扉130を備え、4つの出庫扉131は全面扉130に設けられている。
保管庫本体110の内部収容空間111の上部には冷却装置112が設けられており、内部収容空間111内の回転棚120に収容された血液パックを低音で保管可能に構成されている。
【0013】
本実施形態では、回転棚120はモジュール化されており、下方の回転棚駆動部122によって回転軸123が回転駆動され、回転軸123の高さ方向に4段、縦置き放射状に血液パックを収容可能に構成されている。
また、全面扉130を開放して、回転棚駆動部122を含めて回転棚120全体にアクセス可能に構成されている。
このことで、複数の血液パックを回転棚120の各段に迅速に補充することが可能となるとともに、回転棚120や内部機構のメンテナンスや内部収容空間111の清掃が容易となる。
さらに、回転棚120全体を外部に取り出し可能とすることで、回転棚120を引き出した上で大量の血液パックを迅速に補充することも可能となるとともに、メンテナンスや内部収容空間111の清掃がさらに容易となる。
【0014】
4つの出庫扉131の内部収容空間111側には、開放時に1つの血液パックにのみアクセス可能な形状の開口を有するアクセス制限手段である制限壁部132が設けられている。
本実施形態では、出庫扉131は使用者の腕全体が挿入可能な開口を有しているのに対し、制限壁部132の回転棚120直近では横方向の開口が制限され、使用者が縦置きに収容された1つの血液パックのみを把持可能な形状に形成されている。
血液パックの形状、収納姿勢が異なる場合でも、制限壁部132の回転棚120直近での開口形状を変更するだけで、出庫扉131の設計を変更することなく1つの血液パックにのみアクセス可能とすることができる。
なお、アクセス制限手段は、血液パックの取り出し時に動作する可動式のものでもよく、全面扉130ではなく回転棚120に設けられていてもよい。
【0015】
血液パックには、血液を識別する情報が記録されたバーコード、二次元コード、RFIDタグ、ICタグ等の記録媒体が設けられており、内部収容空間111には、記録媒体を読み取る情報取得ユニット150が回転棚120に隣接して設けられている。
情報取得ユニット150は、回転棚120のそれぞれの段に対応した複数の固定センサを有しており、情報取得ユニット150に可動部を備えることなく、回転棚120を回転させことで各棚に収容された血液パックの情報を読み取るように構成されている。
全面扉130には、各出庫扉131の側方に出庫表示部133が設けられており、使用者が必要とする血液パックを出庫する際にアクセスすべき出庫扉131を知らせるように構成されている。
【0016】
血液自動保管装置100は、回転棚120、出庫扉131、出庫表示部133、情報取得ユニット150等を制御する制御ユニット140が設けられ、制御ユニット140への出庫指示のための入力装置141が設けられている。
図5に、制御ユニット140を概念的に示している。
制御ユニット140は、物理的に単一の機能ユニットで構成されていても、複数の機能ユニットで構成されていてもよく、機能ユニットの一部又は全部が自動保管装置100の外部に配置されて通信により制御可能であってもよい。
また、制御ユニット140が病院の管理システム等の上位システムと通信可能であってもよく、上位システムが直接制御ユニット140の機能ユニットとして自動保管装置100を制御してもよい。
出庫指示のための入力装置141は、出庫作業者が血液自動保管装置100の近傍のどのような位置や姿勢でも操作しやすいように、無線で制御ユニット140と通信可能で、様々な情報の表示も可能なタブレット端末等が好適である。
【0017】
制御ユニット140は、入庫処理部及び出庫処理部を有している。
入庫処理部は、全面扉130が閉じられた際に回転棚120を回転させて、回転棚120に保持された各血液パックの情報を情報取得ユニット150で読み取り、各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報を取得するように構成されている。
取得された情報は、記憶手段(図示しない)に記憶され、あるいは、上位システムに転送され、在庫管理や出庫処理に使用される。
出庫処理部は、入力装置141あるいは上位システムから所望の血液パックの出庫要求を受け付ける出庫指示部と、回転棚120を回転させて所望の血液パックを出庫扉131から取り出せる位置に移動させる出庫回転制御部と、所望の血液パックに対応した出庫扉131の開放又は開錠を行う出庫扉制御部とを有している。
【0018】
以上のように構成された血液自動保管装置100への血液パックの入庫、出庫の際の動作についてさらに詳細に説明する。
まず、血液自動保管装置100への血液パックの入庫の際には、入力装置141からの指示、上位システムからの指令、あるいは、物理的な鍵の操作によって全面扉130を解錠し、作業者が全面扉130を開放して血液パックを補充する。
この作業の際には、全面扉130を解錠に連動して回転棚120が手動で回転可能な状態になる。
このことで、作業者は任意の段の任意の位置に血液パックを収容することができ、全面扉130の開口領域が大きいことから、手早く大量に血液パックを補充することができる。
【0019】
作業者による血液パックの補充が終わり、全面扉130が閉じられると、制御ユニット140の入庫処理部は、回転棚120を回転させ、回転棚120に保持された各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報を取得し、取得した情報を記憶手段に記憶し、あるいは、上位システムに転送する。
補充後に自動的に各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報が取得されるため、作業者が血液パックを空いている位置にランダムに収容するだけでよく、作業者の負担は極めて少なく、また、全面扉130を開放している時間も短く、内部収容空間111の温度、湿度等の環境に与える影響も少ない。
また、制御ユニット140の入庫処理部が回転棚120を回転させる際に、内部収容空間111の内部を撹拌できるため、情報の取得後も、一定時間、回転棚120を連続的に回転させ、内部収容空間111の温度、湿度等の環境を迅速に安定化することができる。
【0020】
血液自動保管装置100からの血液パックの出庫の際には、出庫指示部が、作業者によって入力装置141に入力された必要な血液パックの種類、数量等の情報を含んだ出庫要求を受け付ける。
これらの情報は、上位システムから直接出庫指示部に送信されてもよい。
出庫指示部は、出庫回転制御部に必要な血液パックの種類、数量等の情報を転送し、情報を受けた出庫回転制御部は、記憶手段あるいは上位システムから各血液パックの情報、及び、各血液パックの回転棚120における保持位置情報を取得し、回転棚120を回転させて合致する血液パックを出庫扉131から取り出せる位置に移動させる。
この時、出庫要求の条件に合致する複数の血液パックが存在する場合は、出庫回転制御部は、保持された各血液パックの情報を基に、保存期間等を考慮して出庫優先度の高いものが取り出されるよう制御する。
出庫扉制御部は、出庫回転制御部から回転完了と対応する段の通知を受け、所望の血液パックに対応した出庫扉131の開放又は開錠を行うとともに、当該出庫扉131に対応した出庫表示部133(本実施形態では表示ランプ)を点灯させる。
作業者は、出庫表示部133で示された出庫扉131から血液パックを取り出す。
【0021】
複数の血液パックをまとめて出庫要求した場合には、作業者が1つの血液パックを出庫し出庫扉131が閉じられると、次の血液パックに対して上記の処理が繰り返される。
取り出した血液パックを、外部に設けた読み取り装置に読み取らせることで、個々の血液パックの出庫完了を確認するとともに、正しい血液パックが正確に取り出されたことをチェックするようにしてもよく、その読み取り装置として、タブレット端末からなる入力装置141を使用してもよい。
また、出庫表示部133を液晶パネル等のグラフィック表示装置としてもよく、その場合は、出庫要求時から出庫処理の経過や、予定された出庫扉131に関する情報を逐次表示するようにしてもよく、タブレット端末からなる入力装置141に同様の情報を表示するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、複数の出庫扉131及び出庫表示部133が全面扉130に設けられているが、複数の出庫扉や出庫表示部が全面扉とは独立して設けられてもよく、複数の出庫扉や出庫表示部と、全面扉とを保管庫本体の異なる側面に設けてもよい。